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「テレアポ 営業」に関する裁判例(8)平成28年 3月16日 東京地裁 平27(ワ)9220号 発信者情報開示請求事件

「テレアポ 営業」に関する裁判例(8)平成28年 3月16日 東京地裁 平27(ワ)9220号 発信者情報開示請求事件

裁判年月日  平成28年 3月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)9220号
事件名  発信者情報開示請求事件
文献番号  2016WLJPCA03168022

裁判年月日  平成28年 3月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)9220号
事件名  発信者情報開示請求事件
文献番号  2016WLJPCA03168022

大阪市〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 神田知宏
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 五島丈裕

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,別紙1「発信者情報目録」記載の各情報を開示せよ。
2  訴訟費用は被告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,原告が,ウェブサイトにおいて氏名不詳者が発信した別紙2「投稿記事目録」記載の投稿記事2及び同3(以下別紙2「投稿記事目録」記載の投稿記事2を「本件投稿記事2」,同3を「本件投稿記事3」といい,これらを併せて「本件各投稿記事」という。)によって原告の信用等が毀損された旨主張して,経由プロバイダである被告に対し,本件各投稿記事を発信した者(以下「本件発信者」という。)に対する損害賠償請求権等の行使のために,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,別紙1「発信者情報目録」記載の各情報(以下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
1  前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
(1)  当事者
ア 原告は,住宅ペイント,太陽光発電システム販売施工,一般住宅,マンション,ビルのトータルリフォーム事業等を営む株式会社である。
イ 被告は,インターネット等の通信ネットワークを利用した情報・コンテンツの処理,仲介及び提供業務等を目的とした株式会社である。
(2)  事実経過等
ア 本件各投稿記事の発信は,平成27年1月31日,エックスサーバー株式会社のサーバー上の「よくわかる!外壁塗装業者の【口コミ・評判】掲示板サイト」(URL:http://〈省略〉,以下「本件ウェブサイト」という。)にウェブページをアップロードする方法により行われた。
(甲1の1,2)
イ 原告は,エックスサーバー株式会社を債務者として,大阪地方裁判所に対し,本件ウェブサイトが蔵置されたサーバーにログインすることができるアカウント(以下「本件アカウント」という。)に係る発信者情報で,本件アカウントで平成27年1月15日から同年3月3日までの間にログインした際のIPアドレス並びにそのログイン情報が送信された年月日及び時刻について開示を求める仮処分を申し立てたところ,同年3月11日,これを認める仮処分決定がされた(大阪地方裁判所平成27年(ヨ)第158号)。
(甲3)
ウ 上記仮処分決定に基づき,エックスサーバー株式会社は,原告に対し,平成27年1月31日から同年3月2日までの間に本件アカウントにログインした際のIPアドレス及びログイン情報が送信された年月日及び時刻として,別紙3「発信者情報」記載のIPアドレス(〈省略〉)及び日時を原告に開示した。そのうち,同年1月31日のログインは,19:49:26と20:48:04の2回であった(以下,上記IPアドレスを,同日19:49:26に割り当てられたログインに係る発信を「本件発信1」,20:48:04に割り当てられたログインに係る発信を「本件発信2」といい,これらを併せて「本件各発信」という。また,これに割り当てられたIPアドレスを「本件IPアドレス」という。)。
(甲4,7)
エ 本件IPアドレスは,被告が保有するIPアドレスであり,氏名不詳者が被告を経由プロバイダとして本件ウェブサイトが蔵置されたサーバー領域にログインする際に用いられたものである。
(甲4,5の1,2,甲6の1~3)
オ 本件ウェブサイトは,一般の閲覧者が自由に投稿できる仕組みではなく,これをサーバーにアップロードし,保存するためには,本件アカウントでログインする必要がある。
(甲1の1,2,甲6の1~3)
カ 被告は,法2条2号の特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いて通信を媒介する,いわゆる経由プロバイダであり,法2条3号の特定電気通信役務提供者に当たる。
被告は,契約者情報として,本件IPアドレス使用者の住所氏名,電子メールアドレス等の情報を保有している。
2  争点及びこれに対する当事者の主張
(1)  本件各投稿記事による権利侵害の明白性
(原告の主張)
ア 信用毀損等の有無について
(ア) 本件投稿記事2は,「テレアポさんから勧誘の電話がしつこく」,「ほんとに迷惑で」,「出来れば関わりたくない」と摘示しており,一般人の通常の注意と読み方を基準にすると,原告は電話勧誘を断っても何度も電話をしてくると読め,特定商取引に関する法律に違反する営業行為をしていると読めることから,原告の社会的評価を低下させるものである。
(イ) 本件投稿記事3は,「『契約は取り消せない』とかうやむやなことを言われ」,「素人を騙すようなやり方」と摘示しており,一般人の通常の注意と読み方を基準にすると,原告がクーリングオフを消費者に告知していないと読め,特定商取引に関する法律に違反する営業行為をしていると読めることから原告の社会的評価を低下させるものである。
イ 違法性阻却事由の不存在について
(ア) 本件投稿記事2については,原告は,顧客が電話勧誘を断わったときは,電話禁止案件リストに登録し,以後,テレアポ担当者が電話をかけることがないよう必要な措置を講じているのであって,本件投稿記事2の内容は真実に反する。
本件投稿記事3については,原告は契約時にクーリングオフの説明をしており,「契約は取り消せない」などと説明したとの事実は真実に反するし,「素人を騙すようなやり方」はしていない。
なお,本件投稿記事2においては「X社さんが飛び込み営業に来ました。」と,本件投稿記事3においては「急に訪問営業をされていた」と指摘されているが,原告は飛び込み営業活動は行っていないことから,本件各投稿記事はいずれも実体験に基づいて記載されたものではない。
(イ) 本件ウェブサイトの末尾には,「業者を決める前にコチラを読むのがオススメ」として,「○○」とのリンクを表示しており,同リンクをたどっていくと,アフィリエイトサービスを提供するウェブサイトを経由した後,「a相談センター」のウェブサイトが表示される仕組みとなっている。すなわち,本件ウェブサイトは,アフィリエイターがアフィリエイト報酬目的(アフィリエイト報酬を支払うのはa相談センター)で作成したアフィリエイトサイトであって,本件各投稿記事に公益目的はない。
(被告の主張)
ア 信用毀損等の有無について
(ア) 本件投稿記事2は,しつこいと感じられる架電による勧誘があったことを摘示するものであるが,「テレアポさんから勧誘の電話がしつこくかかってきました。これがほんとに迷惑で……」という抽象的な適示にとどまり,それ以上に違法な電話勧誘取引を行ったような印象を与える適示があるものではない。一般人の通常の注意と読み方を基準にすれば,本件投稿記事2の閲覧者は,当該記事を作成した者が原告の電話勧誘を迷惑に感じたという印象を持つとしてもこれを超えて原告が違法な電話勧誘取引をしているという印象まで持つものではなく,よって,当該記事について,不法行為を構成するほどの違法性をもって,原告の社会的評価を低下させるものと評価することはできない。
(イ) 本件投稿記事3は,強引な契約をさせられたことを摘示するものであるが,「『契約は取り消せない』とかうやむやなことを言われ」,「素人を騙すようなやり方」という抽象的な摘示にとどまり,それ以上に違法な契約締結を行ったような印象を与える事実摘示があるものではない。一般人の通常の注意と読み方を基準にすれば,本件投稿記事3の閲覧者は,当該記事を作成した者が原告の契約を強引に感じたという印象を持つとしても,これを超えて,原告が違法な契約締結をしているという印象まで持つものではなく,よって,当該記事について,不法行為を構成するほどの違法性をもって,原告の社会的評価を低下させるものと評価することはできない。
イ 違法性阻却事由の不存在について
仮に本件各投稿記事が,原告の違法な電話勧誘及び違法な契約締結の事実を摘示するものであり,原告の社会的評価を低下させるものであると評価されたとしても,業者による違法な行為は,一般の消費者の利害に関係するものであり,不特定多数人が当該事実につき関心を寄せることが正当と認められるものといえるし(事実の公共性),本件各投稿記事の投稿は,一般にこれを知らせて違法や不正を是正しまたは今後のトラブルを未然に防ぐための注意喚起を意図するものと解釈し得るものである(目的の公益性)。
したがって,真実性がうかがわれる事情がある場合には,違法性が阻却される可能性があることは否定できない。
(2)  本件各発信を発信した者が法4条1項の「侵害情報の発信者」に当たるか
(原告の主張)
本件ウェブサイトは,平成27年1月31日に更新されたと考えられるところ,同日の本件発信1又は本件発信2のログインにより成立したセッションにおいて本件ウェブサイトの最終更新がされたと理解できる(なお,どちらのログインによって成立したセッションによって本件ウェブサイトが更新されたかは厳密には特定できない。)。
侵害情報の発信に最も近接した時点でログインした者以外が侵害情報を発信するとは考えにくく,特にアカウントを取得してログインを求められる場合は,ログインするのは当該アカウント使用者である蓋然性があること,法4条1項の「当該権利の侵害に係る発信者情報」という文言と同法の趣旨に照らすと,開示請求の対象が侵害情報の発信そのものの発信者情報に限定されているとまではいえないことから,本件各発信を発信した者が侵害情報の発信者というべきである。
(被告の主張)
本件各発信の発信者が本件各投稿記事の発信者に当たるとは限らない。すなわち,本件各投稿記事の発信者のIPアドレスは明らかでなく,被告はログインに係る本件各発信をした者の発信者情報を保有するものであるが,本件各発信をした者が本件各投稿記事を発信したことを示す的確な証拠はないことから,本件各発信の発信者が本件各投稿記事を流通させたと認めることはできない。
(3)  本件各発信が「当該特定電気通信」に当たるか
(原告の主張)
最高裁平成22年4月8日第一小法廷判決・民集64巻3号676頁は,「特定電気通信役務提供者」の意義について,法2条の規定の文理に照らすならば,最終的に不特定の者によって受信されることを目的とする情報の流通過程の一部を構成する電気通信を電気通信設備を用いて媒介する者は,同条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に含まれると解するのが自然であるなどと判示して,発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を媒介する経由プロバイダは同号の「特定電気通信役務提供者」に該当する旨の判断をした。つまり,侵害情報を自動公衆送信しているサーバーのほか,当該サーバーへの投稿を媒介した接続サーバーもまた,特定電気通信設備であると判断したものである。
上記(2)のとおり,本件ウェブサイトにウェブページをアップロードするにはログインが必要であることから,ログインIPアドレス及びログインタイムスタンプで特定される者の住所氏名等は発信者情報開示請求の対象であり,1月31日のログインが投稿行為であるから,被告サーバーは,侵害情報の流通に使用された特定電気通信設備である。また,本件各発信はウェブサイトの更新によって本件各投稿記事を掲載する際のログイン情報の発信であるところ,ブログやウェブサイトの記載それ自体で権利侵害が行われる場合には,当該サイトへのログインも情報の流通過程の一部を構成する電気通信といえることから,侵害情報を流通させる際のログインに使用された電気通信設備は,「当該」特定電気通信に供される特定電気通信設備と評価することができる。したがって,本件各発信は,法4条1項の「当該特定電気通信」に当たるものである。
(被告の主張)
法4条1項は,特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたと主張する者について,権利侵害が明白であり,かつ,発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるときには,当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる開示関係役務提供者に対して,その保有する発信者情報の開示を請求できる旨規定し,情報の流通によって自己の権利が侵害されたと主張する者に,上記のような権利を創設した反面,発信者のプライバシーや表現の自由,通信の秘密等に配慮し,その権利行使の要件として権利侵害の明白性等の厳格な要件を定めているものである。この趣旨に照らすと,「当該特定電気通信」とは,侵害情報それ自体の送信に使用した電気通信をいうと解するべきである。「当該特定電気通信」をむやみに拡大して解釈することは,発信者のプライバシーや表現の自由,通信の秘密を不当に侵害する結果となる。
この点,本件各発信は,侵害情報それ自体の発信ではなく,ログインのために使用された発信であることから,法4条1項の「当該特定電気通信」には当たらない。
(4)  本件各発信を発信した者が法4条1項の「侵害情報の発信者」に当たらない場合,本件各発信を発信した者が,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第四条第一項の発信者情報を定める省令(以下「省令」という。)の「その他侵害情報の送信に係る者」に当たるか
(原告の主張)
仮に,本件各発信を発信した者が法4条1項の「発信者」に当たらないとしても,省令の「その他侵害情報の送信に係る者」に当たるというべきである。投稿者が一人でない可能性があるとしても,契約者が本件アカウントの使用を許諾し,あるいはパスワードを共有できる同使用者と一定の関係のある者というべきであるから,同使用者は少なくとも発信者を特定するに足りる「その他侵害情報の送信に係る者」に当たる。
(被告の主張)
原告は,本件各発信をした者が法4条1項に規定する「侵害情報の発信者」ではないとしても,省令が規定する「その他侵害情報に係る者」であると主張するが,「その他侵害情報の送信に係る者」として想定しているのは,発信者が自己の所属する企業,大学の通信端末を用いて侵害情報を発信した場合における当該企業や大学等であり,すなわち,「侵害情報そのものの送信に係る者」に限られると解するべきである。
本件各発信をした者は,省令の「その他侵害情報に係る者」には当たらない。
(5)  発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無
(原告の主張)
原告は,本件発信者に対し,権利侵害を理由として,不法行為に基づく損害賠償請求,差止請求等の準備をしており,そのためには,本件発信者に係る発信者情報が必要であり,発信者情報の開示を求める正当な理由がある。
(被告の主張)
否認ないし争う。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件各投稿記事による権利侵害の明白性)について
(1)  信用毀損等の有無について
本件投稿記事3の内容は,別紙2「投稿記事目録」記載のとおりであり,これによって摘示されている事実は,投稿者の祖母が原告の飛び込み営業によって半ば強引に契約をさせられ,金額も高額で,投稿者が原告に連絡をしたところ,当初,契約は取り消せないなどと言われたというものである。そして,一般人の通常の注意と読み方を基準にすれば,原告は,飛び込み営業によって高齢者との間で高額な外壁塗装の契約を強引に締結するような営業活動を行っており,クーリングオフの告知を行わないばかりか,その後の問合せに対しても,契約は取り消すことができない旨述べているように受け取れる内容である。そうすると,本件投稿記事3は,外壁塗装業者としての原告の社会的信用ないし評価を低下させるものということができ,これにより,顧客は原告に対して外壁塗装工事を依頼することを控えることが十分考えられることから,住宅ペイントサービスを提供する原告の事業を妨害するものと認められる。
(2)  違法性阻却事由の不存在について
本件投稿記事3に係る事実については,原告代表者がその陳述書(甲2の1)において,原告は飛び込み営業を行っていない旨,契約時にクーリングオフの説明はしている旨陳述するとともに,事前に顧客との間で訪問日時の約束を取り付けることが営業研修(甲2の3)及びマニュアル(甲2の4)に記載されており,本件証拠上,上記事実が真実であることがうかがわれるような事情は存せず,また,本件発信者において,上記事実を真実であると信ずるにつき相当の理由があったことがうかがわれるような事情も存しない。
(3)  以上によれば,本件投稿記事3は,原告の信用を毀損するものであり,かつ,違法性を阻却する事由の存在をうかがわせる事情は存しないものと認められる。
2  争点(2)(本件各発信を発信した者が法4条1項の「侵害情報の発信者」に当たるか)
前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば,本件ウェブサイトは,一般の閲覧者が自由に投稿できる仕組みではなく,本件ウェブサイトに情報をアップロードするためには,アカウントを取得してログインすることが必要であるところ,通常ログインした者がアカウントを管理する者である蓋然性が高いこと,本件アカウントで平成27年1月15日から同年3月3日までの間にログインした際のIPアドレス等の開示を仮に命ずる決定に対し,同年1月31日の本件各発信に係る情報として,本件IPアドレス及びログインタイムスタンプが開示されたこと,本件ウェブサイトは同年1月31日に更新されたものと考えられるところ,本件各発信はいずれも同日の1時間程度の間に発信されており,時間的に接近していることが認められる。そして,一般に,他者にID及びパスワードを教えてアカウントを共有することは考え難いところ,本件アカウントが共有されているとの事情は証拠上うかがわれない。これらの点を総合すれば,本件各発信に係る発信者が本件アカウントを管理し,本件投稿記事3を本件ウェブサイトにアップロードする方法により投稿した蓋然性は高く,本件各発信に係る発信者は,本件投稿記事3に係る侵害情報の発信者に当たるものと認められる。
なお,本件各発信は,平成27年1月31日に2回発信されたものであって,いずれか又は両方のログインにより本件投稿記事3が発信されたのか特定することはできないが,本件各発信の時間的近接性及び本件アカウントの共有が考えにくいことからすると,同一人物によるログインである蓋然性は高いものというべきであるから,上記判断を左右しない。
3  争点(3)(本件各発信が「当該特定電気通信」に当たるか)
(1)  被告は,法4条1項の「当該特定電気通信」は,侵害情報それ自体の発信に使用した電気通信をいい,本件各発信は,侵害情報それ自体の発信ではない旨主張する。
しかしながら,上記2で説示したとおり,本件各発信に係る発信者(本件アカウントにログインした者)が本件投稿記事3をアップロードした者であると認められる上,本件ウェブサイトをサーバーにアップロードするためには,本件アカウントでログインする必要があり,ログインしなければ本件投稿記事3を流通過程に置くことはできないものであるから,本件各発信は,本件投稿記事3を流通させるために必要不可欠なものといえることからすると,本件発信者情報は,本件投稿記事3の投稿により権利の侵害をした者に係る発信者情報であると認めることができ,本件各発信も当該権利の侵害に係る情報の発信に使用された電気通信(当該特定電気通信)に該当するものというべきである。
(2)  被告は,「当該特定電気通信」をむやみに拡大して解釈することは,発信者のプライバシーや表現の自由,通信の秘密を不当に侵害する結果となる旨主張するが,上記説示に照らし,採用することができない。
4  争点(5)(発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無)について
本件投稿記事3によって原告の信用が毀損されたことは,上記1の認定説示のとおりであるところ,証拠(甲2の1)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,本件発信者に対して不法行為に基づく損害賠償請求,差止請求等を行うことを予定していることが認められ,原告には,本件発信者情報の開示を求める正当な理由があると認めることができる。
5  結論
よって,原告の本訴請求は,その余の点について判断するまでもなく理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第34部
(裁判長裁判官 相澤眞木 裁判官 上村考由 裁判官 松本高明)

 

別紙1
発信者情報目録
IPアドレス「〈省略〉」を,下記日時に使用した契約者に関する情報であって,次に掲げるもの
1 氏名または名称
2 住所
3 電子メールアドレス

日時
2015/01/31 19:49:26
2015/01/31 20:48:04

〈以下省略〉

 

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