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「テレアポ 営業」に関する裁判例(4)平成30年 7月10日 東京地裁 平28(ワ)7585号 損害賠償等請求事件

「テレアポ 営業」に関する裁判例(4)平成30年 7月10日 東京地裁 平28(ワ)7585号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成30年 7月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)7585号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA07108006

裁判年月日  平成30年 7月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)7585号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA07108006

千葉県柏市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 笹山尚人
同 江夏大樹
京都市〈以下省略〉
被告 株式会社Y1(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 Y2
京都市〈以下省略〉
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 崎間昌一郎
同 伊山正和

 

 

主文

1  被告会社は,原告に対し,29万1000円及び別紙「別表1」中平成25年12月分,平成26年1月分及び同年2月分の各「未払賃金の内金額」欄記載の内金に対する「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告会社は,原告に対し,343万7863円及びこれに対する平成28年3月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告らは,原告に対し,連帯して20万円及びこれに対する平成28年3月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告会社は,原告に対し,386万8026円及びうち28万3026円に対する平成27年11月26日から,うち別紙「別表2」中「平成27年12月分」から「平成28年9月分」までの各「未払賃金の内金額」欄記載の内金に対する「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
5  被告会社は,原告に対し,平成28年10月から本判決確定の日まで毎月25日限り11万7500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から,3万円及びこれに対する同年12月13日から,5万4000円及びこれに対する平成29年7月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
6  被告会社は,原告に対し,2万2169円及びこれに対する平成29年9月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
7  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
8  訴訟費用は,原告に生じた費用の2分の1,被告会社に生じた費用の2分の1及び被告Y2に生じた費用の5分の3を原告の負担とし,原告に生じた費用の100分の49及び被告会社に生じたその余の費用を被告会社の負担とし,原告に生じたその余の費用を被告らの連帯負担とし,被告Y2に生じたその余の費用を被告Y2の負担とする。
9  この判決は,1ないし6項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告会社は,原告に対し,491万4316円及び別紙「別表1」中「未払賃金の内金額」欄記載の各内金に対する「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告会社は,原告に対し,539万2863円及びこれに対する平成28年3月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告らは,原告に対し,連帯して50万円及びこれに対する平成28年3月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告会社は,原告に対し,501万1500円及びうち別紙「別表2」中「未払賃金の内金額」欄記載の各内金に対する「遅延の始期となる日」欄記載の日から,うち35万1000円に対する平成28年7月13日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
5  被告会社は,原告に対し,平成28年10月から本判決確定の日まで毎月25日限り11万7500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から,42万円及びこれに対する平成28年12月13日から,5万4000円及びこれに対する平成29年7月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
6  被告会社は,原告に対し,3万9831円及びこれに対する平成29年6月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  事案の要旨
被告会社は,平成19年3月22日頃から現在まで,原告を雇用している。
本件は,原告が,被告会社及びその代表取締役である被告Y2に対し,
①  (雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求1)(請求1項)
被告会社は,原告に対し,平成22年4月から,上記雇用契約に基づく賃金及び賞与を理由なく減額したと主張して,被告会社に対し,上記雇用契約に基づき,未払賃金447万9000円(ただし,別紙「別表1」中「未払賃金の内金額」欄記載の各内金の合計。)及び未払賞与43万5316円(ただし,別紙「賞与金額と是正後賞与金額との差額」中「差額」欄記載の合計。)の合計491万4316円並びにうち各月の賃金に対する弁済期の翌日である別紙「別表1」中「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた
②  (退職強要等に係る債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求)(請求2項)
被告会社は,原告に対し,被告会社の使用人である原告の上司らにおいて,不当な言動により退職の強要を繰り返すなど,原告の人格権や人格的利益を侵害する行為をしたことにより,原告にうつ状態を発症させたと主張して,被告会社に対し,債務不履行又は不法行為に基づき,休業損害430万2963円,治療費及び通院交通費小計8万9900円並びに慰謝料100万円の損害金合計539万2863円及びこれに対する債務不履行又は不法行為の後の日(被告会社に対する訴状送達の日の翌日)である平成28年3月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた
③  (被告Y2の暴言に係る不法行為に基づく慰謝料請求)(請求3項)
被告Y2は,原告に対し,被告会社代表取締役として職務を行うについて,又は,被告会社の事業の執行について,原告を侮辱しその人格を毀損する言動をしたと主張して,被告らに対し,被告Y2に対しては不法行為,被告会社に対しては会社法350条又は使用者責任に基づき,連帯して慰謝料50万円及びこれに対する被告Y2の不法行為の後の日(被告らに対する訴状送達の日の翌日)である平成28年3月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた
④  (民法536条に基づく休職期間満了後の賃金・賞与請求)(請求4項)
被告会社は,原告が,平成26年3月1日から上記うつ状態により休職し,平成27年9月7日までに復職を申し出たのに,平成28年10月まで原告を復職させず,原告の提供した労務の受領を拒絶したと主張して,被告会社に対し,民法536条2項に基づき,未払賃金466万0500円(ただし,別紙「別表2」中「未払賃金の内金額」欄記載の各内金の合計。)及び平成28年7月12日に支給されるべき賞与35万1000円の合計501万1500円並びにうち各月の賃金に対する弁済期の翌日である別紙「別表2」中「遅延の始期となる日」欄記載の日から,うち上記賞与に対する弁済期の翌日である平成28年7月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた
⑤  (雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求2)(請求5項)
被告会社は,原告に対し,上記復職後も,上記雇用契約に基づく賃金及び賞与を理由なく減額していると主張して,被告会社に対し,上記雇用契約に基づき,上記復職の月である平成28年10月から本判決確定の日まで弁済期である毎月25日限り未払賃金11万7500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から,平成28年12月12日に支給されるべき未払賞与42万円及び平成29年7月11日に支給されるべき未払賞与5万4000円並びにこれらに対する弁済期の翌日である上記各日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた
⑥  (雇用契約に基づく有給休暇分の賃金・通勤手当請求)(請求6項)
被告会社は,原告に対し,上記雇用契約に基づく賃金の一部(ただし,有給休暇取得分。)を支払わないと主張して,被告会社に対し,上記雇用契約に基づき,平成29年6月分の未払賃金3万9831円及びこれに対する弁済期の翌日である平成29年6月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた
事案である。
2  前提事実
次の事実は,括弧内に掲げた証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実を除き,当事者間に争いがない。
(1)  原告は,昭和38年○月生まれの男性である(乙2)。
被告会社はソフトウェアの製造,販売等を目的とする株式会社であり,被告Y2(昭和18年○月生まれの男性)は被告会社の代表取締役会長兼社長である(乙20)。
(2)  原告は,平成19年3月22日頃,被告会社との間で,賃金は1か月45万4500円(ただし,基準給23万円,能力給8万円,裁量労働手当5万7500円,技能手当2万7000円,住宅手当1万円,役職手当5万円の合計。),毎月末日締め当月25日払,賞与あり,勤務地は被告会社京都本社,配属は管理本部との約定で雇用契約を締結した(以下「本件雇用契約」という。)。
(3)  平成20年4月1日から,本件雇用契約に基づく原告の勤務地及び配属は被告会社東京支社勤務,a1事業部(現a事業部)配属に変更され,被告会社が原告に対して支払う賃金は1か月37万4500円(ただし,基準給23万円,能力給3万円,裁量労働手当5万7500円,技能手当2万7000円,住宅手当3万円の合計。)に変更された。
原告は,同日,被告会社東京支社に転勤し,以後,同支社で就労していた。
上記賃金は,その後,平成21年4月1日から,能力給が1か月3万円から3万2000円に増額されたことにより,1か月37万6500円に増額された。
(4)  被告会社は,原告に対し,平成22年4月1日から,本件雇用契約に基づく賃金につき,1か月当たり基準給を23万円から15万2000円に,能力給を3万2000円から0円に,裁量労働手当を5万7500円から3万8000円に,技能手当を2万7000円から3000円に減額するとして,以後,別紙「給与金額の推移と是正後の賃金との差額」中「基準給」「役職手当」「能力給」「裁量労働手当」「技能手当」「家族手当」「住宅手当」欄各記載の金額を支払い,また,賞与として,別紙「賞与金額と是正後賞与金額との差額」中「賞与」欄記載の金額を支払っていた。
(5)  原告は,平成26年1月18日,医師からうつ状態と診断され,これにより,同年3月1日から休職期間(1年6か月)満了日である平成27年8月31日まで,休職した。
(6)  原告は,被告会社に対し,平成27年8月26日,復職届(甲22)及び診断書(甲23)を提出し,その後,被告会社の求めに応じて,同年9月7日,復職願(甲25)及び医師作成に係る回答書(甲26)を提出するなどして,復職を申し出た。しかし,被告会社は,原告に対し,同月11日,原告が休職期間満了の日である同年8月31日をもって退職となったとの旨記載のある通知書(甲27)を送付した。
原告と被告会社とは,その後,代理人弁護士を介するなどして,原告の復職につきやりとりを継続した。
(7)  原告は,平成28年3月8日,本件訴えを提起した。
(8)  原告と被告会社は,平成28年9月30日,本件訴えが判決の確定等により終了するまでの間,次の条件で,原告が被告会社東京支社において同年10月1日から(ただし,就労の開始は同月3日。)暫定的に復職することを合意した(以下「本件復職合意」という。)(甲66,原告本人)。
ア 配属先 a事業部
イ 待遇 1か月24万1000円(ただし,基準給19万4000円,能力給4000円,技能手当3000円,家族手当1万円,住宅手当3万円の合計。)
(9)  原告は,平成28年10月1日,被告会社に復職し,以後,現在まで,被告会社東京支社において就労し,被告会社から本件復職合意により合意された額の賃金の支払を受けている。また,被告会社は,原告に対し,この間,賞与として,同年12月12日に16万5000円(ただし,本件復職合意により合意された基本給(基準給と能力給の合計)19万8000円に2.5か月を乗じ,3分の1(上記復職から同年11月までの月数(2か月)を賞与対象期間である同年6月から11月までの月数(6か月)で除した数値。)を乗じた金額。),平成29年7月11日に29万7000円(ただし,上記基本給19万8000円に1.5か月を乗じた金額。)をそれぞれ支払った。
3  争点
(1)  事案の要旨①及び⑤(雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求1及び同2)(請求1項及び5項)に係る争点
被告会社は原告に対して本件雇用契約に基づく賃金を承諾なく減額できるか,本件雇用契約において定額の賞与を支払うとの合意があるか,消滅時効の成否。
(原告の主張)
ア 賃金減額の法的根拠の不存在
被告会社の賃金規程によっても,賃金の一方的な減額は許されない。そして,原告が,被告会社に対し,平成22年3月31日当時の前提事実(3)の賃金につき,これが減額されることを承諾したことはない。したがって,被告会社は,原告に対し,前提事実(4)のとおり賃金を一方的に減額した同年4月1日以降も,減額前の賃金を支払うべき債務を負うものである。
しかし,被告会社は,原告に対し,同日以降,原告が休職した月の前月である平成26年2月までの間,賃金のうち別紙「別表1」中「未払賃金の内金額」欄記載の金額(ただし,減額前(前提事実(3))の賃金と実際に支払われた別紙「給与金額の推移と是正後の賃金」中「総支給額」欄記載の賃金との差額である,同別紙中「是正後賃金との差額」欄記載の金額。)を支払わない(事案の要旨①)。また,被告会社は,原告に対し,原告が復職した平成28年10月以降,賃金のうち1か月11万7500円(ただし,減額前(前提事実(3))の基準給,裁量労働手当及び技能手当と本件復職合意(前提事実(8))に基づく基準給及び技能手当との差額。)を支払わない(事案の要旨⑤)。
イ 賞与の約定
本件雇用契約においては,賞与は夏季が基本給の1.5か月分・冬季が同2.5か月分との約定があるから,原告は,被告会社に対し,上記金額の賞与請求権を有する。
しかし,被告会社は,原告に対し,平成22年4月1日以降,原告が休職した月の前月である平成26年2月までの間,賞与のうち別紙「賞与金額と是正後賞与金額との差額」中「差額」欄記載の金額(ただし,減額前(前提事実(3))の基準給を前提として計算した金額である同別紙中「是正後賞与相当額」と実際に支払われた同別紙中「賞与」欄記載の金額との差額。)を支払わない(事案の要旨①)。また,被告会社は,原告に対し,原告が復職した平成28年10月以降,賞与として平成28年12月12日に58万5000円(ただし,減額前(前提事実(3))の基準給を前提とする基本給23万4000円(上記減額前の基準給23万円に当時の能力給4000円の合計)の2.5か月分),平成29年7月11日に35万1000円(ただし,上記基本給の1.5か月分)を支払うべきところ,それぞれ16万5000円及び29万7000円を支払ったのみで,その余の支払をしない。
ウ 時効中断
原告は,被告会社に対し,平成27年12月22日頃,平成22年4月分から平成26年2月分までの未払賃金の支払を催告した。
原告は,被告会社に対し,平成28年3月8日,本件訴えを提起した。
(被告会社の主張)
ア 賃金の減額事由
被告会社の就業規則である賃金規程中には,基準給は本人の経験,年齢,技能,職務遂行能力等を考慮して各人別に決定する(10条1号),裁量労働手当は裁量労働時間制で勤務する者に対し従事する職務の種類及び担当する業務の質及び量の負荷等を勘案して基準給の25%を基準として各人別に月額で決定支給する(12条),技能手当は従業員の技能に対応して決定,支給する(13条)との定めがある。
被告会社は,原告が被告会社の期待する十分な業務成果を上げることができず,その技能が著しく不足していたことから,平成22年4月1日以降,原告の賃金を別紙「給与金額の推移と是正後賃金との差額」中「基準給」「裁量労働手当」及び「技能手当」欄記載のとおり減額することを決定したものである。
イ 賞与請求権の不発生
被告会社の賃金規程において,賞与の支給率は,会社の業績及び従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに定めるとされている(25条)。すなわち,被告会社から原告に対して当然に一定額又は一定割合の賞与が支払われるものではないから,原告が被告会社に対して一定額又は一定割合の具体的な賞与請求権を有するものではない。
また,被告会社が従業員に対する賞与の支給率を定めるに当たって考慮する「従業員の勤務成績」(賃金規程25条)には,勤怠状況も含まれ,勤務実績のない期間は支給率が0か月分と査定することも相当である。
原告の主張する賞与の支給率は,被告会社の過去の業績を前提としたものにすぎない。
ウ 消滅時効
平成28年2月26日までに,平成26年2月25日までの各日からそれぞれ2年が経過した。
被告会社は,原告に対し,平成28年4月26日に開かれた本件の第1回口頭弁論期日において,上記時効を援用するとの意思表示をした。
(2)  事案の要旨②(退職強要等に係る債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求)(請求2項)に係る争点
原告の上司らにおいて,原告に対し,原告の人格権や人格的利益を侵害する違法な行為があったか否か。
(原告の主張)
ア 被告会社は,原告に対し,本件雇用契約に基づき,退職を勧奨する場合には原告の自由な意思を尊重して社会通念上相当な態様で説得し,原告の人格的利益を不当に侵害したり原告に不利益な措置を講じたりして原告の自由な意思の形成を妨げることのないよう配慮するべき義務を負い,また,その使用者において原告の人格権を侵害する言動を行わずこれを保全するよう配慮するべき義務を負うのに,これを怠り,次のとおり,被告会社の使用人らにおいて上記義務に違反する言動をした。
(ア) 平成20年2月28日,被告会社の経営企画室長であった原告の上司であったA専務兼管理本部長(以下「A管理本部長」という。)は,原告に対し,被告会社京都本社専務室において,約30分にわたり,「経営企画室長失格で経営企画室業務にも失格だ。退職しろ。」と述べて繰り返し退職を迫った。
(イ) 同年3月3日,被告Y2は,原告に対し,被告会社会長室において面談をした際に,約2時間40分にわたり,原告が経営企画室長として不適当である旨述べ,また,退職するよう述べた。
(ウ) 同月17日,被告会社は,原告が退職勧奨に応じなかったことから,原告に対し,同年4月1日付けで被告会社東京支社a事業部に転勤させるとの業務命令をした。
(エ) 同年4月以降,被告会社は,原告の賃金につき,能力給を1か月8万円から3万円に,役職手当を5万円から0円にそれぞれ減額した。
(オ) 平成21年11月25日,被告会社のB事業部長(以下「B事業部長」という。)は,原告に対し,被告会社東京支社会議室において,1時間以上にわたり,退職を勧奨した。
(カ) 平成22年1月19日,被告Y2は,原告に対し,2時間以上にわたり,「給料泥棒」「役立たず」「無能な人間」「会社の寄生虫」などと述べ,退職を勧奨した。
(キ) 同年4月以降,被告会社は,原告が退職勧奨に応じなかったことから,原告の賃金につき,基準給を23万円から15万2000円に,裁量労働手当を5万7500円から3万8000円に,能力給を3万2000円から0円に,技能手当を2万7000円から3000円にそれぞれ減額した。
(ク) 平成25年12月12日午前11時30分頃,被告会社のC事業部長(以下「C事業部長」又は「C」という。)は,被告会社東京支社長室入口付近から,原告を呼びつけ,原告に対し,他の社員の前で,原告の同年11月分の勤務月報を示しながら,代休を2日取得したことにつき,「仕事はいつするんだ」と怒鳴り,手に持っていたファイルを投げつけた。
(ケ) 同年12月18日,被告Y2及びC事業部長は,原告に対し,被告会社東京支社長室において,約1時間10分にわたり,繰り返し退職を勧奨し,被告Y2は,原告に対し,この際,「会社の寄生虫」「無能な人間」「役立たず」などと発言し,また,被告Y2及びC事業部長は,原告に対し,それぞれ「営業が出来ないのだから京都で運転手でもやるか。」「テレアポ専業」と述べて,原告が退職勧奨に応じない場合には転勤や配置転換を命じることを示唆した。
(コ) 同年12月20日,C事業部長は,原告に対し,被告会社東京支社長室において,扉を開けたまま,大声で,約30分にわたり,「無能」「年収300万円程度で恥ずかしくないのか。」「君が無能なことは皆が知っている。」などと発言し,「会社を辞めてくれ。」と述べ,退職勧奨に応じない原告に対し,「京都本社で車両整備か東京支社でテレアポ専業のどちらかを選べ。」と述べ,さらに,「給与体系も変える。」と述べて賃金の減額を示唆した。
(サ) 平成26年1月14日,C事業部長は,原告に対し,被告会社東京支社長室において,「年末から話をしているテレフォンマーケット専門でやってもらう。」「給与体系も変わる。」と述べ,被告会社東京支社の全従業員に配布されている入退館証の返還を要求した。
(シ) 同日,C事業部長は,原告の代休取得申請につき,無断欠勤と判断するとして拒否した。
イ 又は,被告会社並びにその事業のために被告会社に使用されている被告Y2,A管理本部長,B事業部長及びC事業部長は被告会社の事業の執行について,原告に対し,それぞれ故意又は過失により前記ア(ア)ないし(シ)の不法行為をした。
ウ 原告は,被告会社及びその使用人らの前記ア(ア)ないし(シ)の各行為により,平成26年1月18日,うつ状態と診断され,同年3月から平成27年8月までの間,被告会社において就労することができなくなり休職したことによって,次の損害を被った。
(ア) 休業損害 430万2963円
ただし,平成26年3月分から平成27年8月分までの賃金合計645万3000円(1か月35万8500円(ただし,基準給23万円,能力給4000円,裁量労働手当5万7500円,技能手当2万7000円,住宅手当3万円,家族手当1万円の合計。)の18か月分)から原告が上記期間に受給した傷病手当金390万5037円を差し引いた後の残金254万7963円並びに賞与合計175万5000円(ただし,平成26年7月11日支給分35万1000円(基本給23万4000円の1.5か月),同年12月10日支給分58万5000円(同2.5か月分),平成27年7月10日支給分35万1000円(同1.5か月分)及び同年12月11日支給分46万8000円(同2.0か月分)の合計。)の合計。
(イ) 治療費及び通院交通費 8万9900円
ただし,別紙「医療費明細一覧表」記載のとおり。
(ウ) 慰謝料 100万円
以上合計539万2863円
(被告会社の主張)
ア 原告の主張ア(ア)のうち,A管理本部長が平成20年2月28日原告と面談したことは認め,その余は否認する。A管理本部長は,原告に対し,上記面談の席で,それまでの経営企画室での業務の対応が不十分であることを説明し,このままでは室長はもとより同業務を任せること自体できないとの旨述べたが,退職を命じる発言はしていない。
イ 同(イ)のうち,被告Y2が同年3月3日原告と面談したことは認め,その余は否認する。被告Y2は,原告に対し,上記面談の席で,原告を経営企画室から異動させることになる旨述べ,受け入れないのであれば退職してもらうほかにないとの旨述べたが,退職するよう命じたり退職を勧めたりしたことはない。
ウ 同(ウ)のうち,被告会社が原告に対して同年4月1日付けで被告会社東京支社a事業部に転勤させるとの業務命令をしたことは認める。原告は,被告Y2に対し,前記(イ)の面談を受けて,同年3月6日,異動の命令には従う旨,電子メールで回答した。そこで,被告Y2は,原告に対し,同月17日,営業職への異動を予定していること,経営企画室長として就労することを前提とした賃金は変更することを説明し,原告はこれを承諾した。上記業務命令は,このような経緯によりなされたものである。
エ 同(エ)は争うことを明らかにしない。
オ 同(オ)のうち,B事業部長が平成21年11月25日原告と面談したことは認め,その余は否認する。B事業部長は,原告に対し,上記面談の席で,原告が被告会社の他の従業員と協力する意識が希薄であることや,他の従業員に不満を記載した電子メールを送信することにより部内での信頼関係に支障を来しかねない旨指摘して注意し,営業成績が上がらなければ被告会社で働き続けるのは難しいとの旨述べたが,退職を勧奨してはいない。
カ 同(カ)のうち,被告Y2が平成22年1月19日原告と面談したことは認め,その余は否認する。被告Y2は,原告に対し,上記面談の席で,能力給を付したが期待に応えられず給料相当の働きができていないとの旨や,そのまま営業職を任せることはできないとの旨述べたが,「給料泥棒」「役立たず」「無能な人間」「会社の寄生虫」などと言ったことはなく,退職を勧奨したこともない。
キ 同(キ)のうち,被告会社が同年4月以降原告の賃金につき基準給を23万円から15万2000円に,裁量労働手当を5万7500円から3万8000円に,能力給を3万2000円から0円に,技能手当を2万7000円から3000円にそれぞれ減額したことは争うことを明らかにしない。上記減給は,原告の営業成績や対応方法を踏まえての被告会社の就業規則である賃金規程に基づく査定として不合理なものではない。
ク 同(ク)のうち,C事業部長が平成25年12月12日原告を被告会社東京支社長室に呼び出して原告と面談したことは認め,その余は否認する。C事業部長は,同日,原告の勤務態度につき叱責したが,他の社員の前で叱責してはおらず,原告に対し有形力を行使したこともない。
ケ 同(ケ)のうち,被告Y2とC事業部長が同年12月18日原告と面談したこと,原告に対して外勤の営業職から外れること及びテレフォンマーケット業務に就くことを打診したこと,原告が対応可能な庶務の仕事として車両に関する職務があることを述べたことは認め,その余は否認する。
コ 同(コ)のうち,C事業部長が同年12月20日原告と面談したこと,原告に対して扉を開けたまま話をしたこと,営業成果が上がっていない旨述べた上で従来の営業職は任せられず庶務的な仕事かテレフォンマーケット業務かの選択となる旨述べたことは認め,その余は否認する。
サ 同(サ)のうち,C事業部長が平成26年1月14日原告と面談したこと,原告に対してテレフォンマーケット業務に専属してもらうこととなる旨述べたこと,被告会社東京支社の全従業員に配布されている入退館証の返還を求めたことは認め,その余は否認する。原告は,平成25年12月24日から無断欠勤をし,被告会社からの電話や電子メールにも応じなくなった。その後,平成26年1月14日になって,原告が被告会社に出勤したことから,C事業部長は,原告と上記面談をした。上記入退館証は,原告がテレフォンマーケット業務に専従する場合には,被告会社東京支社の閉館時の入退館が不要となるため回収した。
シ 同(シ)は認める。なお,原告は,平成25年12月24日から同月27日まで及び平成26年1月6日から同月10日まで欠勤し,同月14日,これらについて事後的に代休取得申請をしたものであり,上記欠勤が無断欠勤であることは事実である。
(3)  事案の要旨③(被告Y2の暴言に係る不法行為に基づく慰謝料請求)(請求3項)に係る争点
被告Y2において,原告に対し,違法な言動があったか。
(原告の主張)
ア 被告Y2は,原告に対し,被告会社代表取締役として職務を行うについて,又は,被告会社の事業の執行について,平成27年10月14日,被告会社東京支社応接室で原告と面談した際,「会社の寄生虫みたいなもんや。」「この寄生虫にきちんとしたことを言わんと。」と述べて,原告を侮辱し,原告の人格を毀損した。
イ 原告は,被告Y2の上記言動により,精神的苦痛を受け,これに対する慰謝料としては少なくとも50万円が相当である。
(被告らの主張)
被告Y2が平成27年10月14日原告と面談したこと(なお,C事業部長も同席していた。)は認め,その余は否認する。
(4)  事案の要旨④(民法536条に基づく休職期間満了後の賃金・賞与請求)(請求4項)に係る争点
原告が休職期間の満了後直ちに復職して就労をしなかったことにつき,原告に債務の本旨に従った労務の提供があったか,被告会社がその受領を拒絶したものであるか。
(原告の主張)
原告は,被告会社に対し,平成27年9月7日までに,復職を申し出て労務を提供したが,被告会社は,原告に対し,同月11日以降,原告を復職させた日の前日である平成28年9月30日まで,その受領を拒絶した。
したがって,被告会社は,原告に対し,民法536条2項に基づき,平成27年9月分から平成28年9月分までの賃金合計466万0500円(ただし,別紙「別表2」中「未払賃金の内金額」欄記載の各内金の合計額。)及び同年7月11日支給分の賞与35万1000円(ただし,基本給23万4000円の1.5か月分。)を支払うべき債務を免れない。
(被告会社の主張)
原告の復職の申出は,労働債務の本旨に従った弁済の提供には当たらないものであった。すなわち,被告会社は,原告に対し,その回復程度を斟酌して,労働の成果を問われないテレフォンマーケット業務中心の内勤業務に就いての復職を命じたが,原告は,被告会社が命じた復職許可の条件を拒否して,復職に応じなかったものである。
(5)  事案の要旨⑥(雇用契約に基づく有給休暇分の賃金・通勤手当請求)(請求6項)に係る争点
本件雇用契約において通勤手当は欠勤の際に控除されるべきか否か,原告の年次有給休暇の有無。
(原告の主張)
ア 原告と被告会社は,本件雇用契約において,被告会社が原告に対し通勤手当として1か月2万6760円を支払うとの合意をした。
通勤手当は通勤交通費実費であり,原告が通勤に要する定期券代金相当額であるから,欠勤によりその一部が控除されるのは不合理である。また,被告会社の通勤手当支給規程は,通勤手当につき,1か月に10日以上欠勤又は有給休暇を使用した場合は日割りで支給すると規定しており(5条2項),10日未満の欠勤又は有給休暇を使用した場合に日割り計算で支給することは許されない。
イ 原告が就労しなかった平成29年5月1日及び同月2日の合計2日は,有給休暇である。原告は,上記当時,年次有給休暇を有していた。
(被告会社の主張)
ア 原告は,平成29年5月1日,同月2日及び同月24日の合計3日,就労しなかった。
イ 被告会社の賃金規程には,欠勤及び無給休暇による不就労日については,基準内賃金について,原則として次の計算式による金額を賃金から控除するとの定め(4条2項)がある。
(計算式)
控除額=基準内賃金×不就労日/月間所定勤務日数
なお,月間所定勤務日数は,365日から就業規則45条の休日を減じた日数を12か月で除した日数とする。
ウ 被告会社は,原告の同年6月分の賃金から,前記アの欠勤に係る過払賃金3万5851円及び過払通勤手当3980円の合計3万9831円を控除した。
エ 被告会社は,原告に対し,同年9月25日,前記アの欠勤に係る過払賃金及び過払通勤手当として本来控除するべき3万9344円(ただし,次の計算式による過払賃金3万5412円及び過払通勤手当3932円の合計。)と,前記ウのとおり,違算により控除した3万9831円との差額のうち439円を弁済した。
(計算式)
(ア) 賃金(通勤手当を除く。)
24万1000円(ただし,基準給19万4000円,能力給4000円,技能手当3000円,家族手当1万円,住宅手当3万円の合計)×3日/20.4166(ただし,(365日-120日)/12か月)≒3万5412円
(イ) 通勤手当
2万6760円×3日/20.4166≒3932円
オ 平成29年5月当時,原告に付与された年次有給休暇はなかった。また,被告会社が原告に対し同月1日及び2日につき有給休暇としたこともない。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(被告会社は原告に対して本件雇用契約に基づく賃金を承諾なく減額できるか,本件雇用契約において定額の賞与を支払うとの合意があるか,消滅時効の成否)(事案の要旨①及び⑤(雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求1及び2)(請求1項及び5項))
(1)  賃金減額の当否
ア 労働契約は,労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し,又は変更するべきものである(労働契約法3条1項)。そして,特に賃金は労働契約の中で最も重要な労働条件であるから,使用者が労働者に対してその業務成果の不良等を理由として労働者の承諾なく賃金を減額する場合,その法的根拠が就業規則にあるというためには,就業規則においてあらかじめ減額の事由,その方法及び程度等につき具体的かつ明確な基準が定められていることが必要と解するのが相当である。
イ 本件についてみるに,証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の就業規則である賃金規程中には,被告会社が原告につき前提事実(4)のとおりその承諾なく減額した賃金について,①基準給は本人の経験,年齢,技能,職務遂行能力等を考慮して各人別に決定する(10条1号),②裁量労働手当は裁量労働時間制で勤務する者に対し従事する職務の種類及び担当する業務の質及び量の負荷等を勘案して基準給の25%を基準として各人別に月額で決定支給する(12条),③技能手当は従業員の技能に対応して決定,支給する(13条)との規定があることが認められる。そして,上記各規定によっても,上記各賃金が減額される要件(従前支給されていた手当が支給されなくなる場合を含む。)や,減じられる金額の算定基準,減額の判断をする時期及び方法等,減額に係る具体的な基準等はすべて不明であって,被告会社の賃金規程において,賃金の減額につき具体的かつ明確な基準が定められているものとはいえない。
また,証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば,上記賃金規程中には,昇給に係る規定はあるが(21条),降給については何らの規定もないことが認められ,被告会社の賃金規程は,そもそも降給,すなわち労働者の賃金をその承諾なく減額することを予定していないものといえる。
ウ 以上によれば,被告会社において,原告の業務成果等を理由としてその賃金を減額することには,法的な根拠がないというべきである。このことは,原告の配置や業務が変更されたことによっても左右されない。
したがって,その余の点について検討するまでもなく,この点に係る被告会社の主張は理由がない。
(2)  賞与請求権の有無
ア 次に,賞与について,証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の賃金規程中には,①賞与の対象期間は,7月支給分については前年12月1日ないし当年5月末日,12月支給分については当年6月1日ないし当年11月末日とする(23条),②賞与は原則として7月及び12月に支給する(22条本文),③ただし,会社の業績が著しく良好な期には決算賞与を支給し,また,著しく低下その他やむを得ない事由がある場合には支給時期を延期し又は支給しないことがある(同条ただし書),④賞与の支給率は会社の業績及び従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに定める(25条)との規定があることが認められる。
上記賃金規程中の規定によれば,被告会社が原告に対して支払うべき賞与額は,被告会社が上記③の事情を考慮して賞与を支給する旨を決定し,かつ,上記④のとおり,会社の業績及び原告の勤務成績等を考慮してその支給率を定めることによって決まるものであり,原告の被告会社に対する賞与請求権は,これによって初めて発生するものというべきであって,その前に,原告が被告会社に対し一定額又は一定割合の具体的な賞与請求権を有するものとは認められない。
イ この点,原告が証拠として提出する被告会社の賃金規程(甲4)中には,上記22条の注釈として,賞与の支給率は夏季が基本給の1.5か月分,冬季が同2.5か月分であるとの記載があり,同25条の注釈として,これまでの実績としては個人ごとに支給率が変わるというのはまれである,個人の頑張りについては支給率による調整ではなく10万円を上乗せするなどの対応がされることが多いとの旨の記載があることが認められる。しかし,これらの記載によっても,被告会社の従業員に対して上記支給率の賞与の支給が常に保障されているとまで解することはできず,前記アに説示したところは左右されない。
ウ 他方,被告会社が原告に対して,特定の賞与対象期間について,現に基本給の一定割合により計算した金額の賞与を支払った場合には,被告会社は原告について特定の時期に支払うべき賞与額を算定するために基本給に乗じるべき支給率を上記割合とする旨個別具体的に定めたものと認められるから,原告は,被告会社に対し,基本給に対する上記割合による賞与請求権を有するというべきである。
したがって,この場合に限り,原告は,被告会社に対し,受給済みの賞与については,被告会社が前記(1)のとおり法的な根拠なく減額した基本給と減額前の基本給との差額に上記割合を乗じた金額の未払賞与請求権を有するものと認められる。
(3)  消滅時効の成否等
ア 平成28年2月26日までに平成26年2月25日までの各日からそれぞれ2年が経過したこと,被告会社が原告に対して平成28年4月26日に開かれた本件の第1回口頭弁論期日において時効を援用するとの意思表示をしたことは,いずれも当裁判所に明らかである。
他方,原告が被告会社に対して平成27年12月22日頃平成22年4月分から平成26年2月分までの未払賃金の支払を催告したこと,原告が被告会社に対して平成28年3月8日本件訴えを提起したことは,当事者間に争いがない。
イ 以上によれば,原告の被告会社に対する賃金及び賞与債権のうち,平成25年12月22日までに弁済期が経過する債権は,時効により消滅したものと認められる。
(4)  小括
以上の次第で,原告の被告会社に対する雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求1(請求1項)は,別紙「別表1」記載の金員のうち平成25年12月23日より後に弁済期が到来する金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があり(なお,別紙「賞与金額と是正後賞与金額との差額」記載の平成25年12月賞与について,その弁済期が同月22日より前であると認めるに足りる的確な証拠がない。),その余の請求は理由がない。また,原告の被告会社に対する雇用契約に基づく減額分の賃金・賞与請求2(請求5項)は,未払賃金,平成28年12月12日に支給されるべき未払賞与3万円(ただし,減額前の基準給23万円と本件復職合意に基づく能力給の合計(基本給相当額)23万4000円の2.5か月分に3分の1(上記復職から同年11月までの月数(2か月)を賞与対象期間である同年6月から11月までの月数(6か月)で除した数値。)を乗じた金額である19万5000円から既払分16万5000円を差し引いた残金。)及び平成29年7月11日に支給されるべき未払賞与5万4000円(ただし,上記基本給の1.5か月分35万1000円から既払分29万7000円を差し引いた残金。)並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求は理由がない。
2  争点(2)(原告の上司らにおいて,原告に対し,原告の人格権や人格的利益を侵害する違法な行為があったか否か。)(事案の要旨②(退職強要等に係る債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求)(請求2項))
(1)  使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負うが(労働契約法5条),さらに,労務遂行に関連して労働者の人格的尊厳を侵しその労務提供に重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ,又はこれに適切に対処して,職場が労働者にとって働きやすい環境を保つよう配慮する注意義務を負うものと解される。すなわち,使用者がこの義務を怠り,その使用人において他の労働者の意思決定を不当に強要し,あるいはその人格権を違法に侵害する言動があったときは,使用者は,債務不履行に基づき,これによって労働者に生じた損害を賠償するべき義務を負うと解するのが相当である。
(2)ア  次に,被告Y2,A管理本部長,B事業部長及びC事業部長(以下併せて「被告Y2ら4名」という。)が原告と平成20年2月28日から平成26年1月14日までの間に原告主張に係る面談をしたこと,この間,被告会社が原告について原告主張に係る賃金の減額をしたことは,当事者間に争いがないか,又は,被告会社において争うことを明らかにしない。そして,原告の陳述書(甲64)及び本人尋問における供述中には,被告Y2ら4名の言動等について,原告の主張に沿う記載部分及び供述部分(以下併せて「供述等」という。)がある。原告の上記供述等は,相互に大きな矛盾や相違がなく,その内容は,被告Y2ら4名が原告に対してした言動等につき,いずれも具体的であり,被告会社及び被告Y2ら4名が原告に対してその営業成績等を責め,退職を要求し,賃金を減額し,配置転換をし,原告の人格権を傷つけるような強い言葉を用いて叱責するなどしたという事の流れにおいて,格別不自然な点はない。
イ  これに対し,証人Cの証言及び被告Y2の本人尋問における供述中には,被告Y2及びC事業部長が原告に対して退職を勧めたことを否定する証言部分及び供述部分がある。
しかしながら,証拠(甲6,甲7,甲11,甲12の1)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,A管理本部長との面談後の平成20年3月3日,被告Y2との面談後の同月6日,それぞれ,被告Y2に対して,「退職などは一切考えておりません。」「繰返し(判決注・原文ママ)になりますが退職は考えておりません。」などと記載した電子メールを送信し,B事業部長との面談後の平成21年12月5日,B事業部長に対して,「退職は考えておりません。」などと記載した電子メールを送信し,被告Y2との面談後の平成22年1月26日,被告Y2に対し,「退職は考えておりません。」などと記載した電子メールを送信したことが認められることに照らせば,被告Y2,A管理本部長,B事業部長は,いずれも原告に対して上記面談の際に退職を勧告する発言をしたものと推認される。また,証人Cの証言については,その証言中に,被告らもその発言内容を強いて争っていない面談記録(録音反訳書)(甲50)記載の被告Y2の不適切な言動についてすら,その場に同席していながら,これがなかったと否定するような,真実に反する証言部分がある。以上に述べたところに照らし,証人Cの上記証言部分及び被告Y2の上記供述部分はいずれも採用しない。
ウ  かえって,証拠(甲47,甲50,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,C事業部長は,平成26年1月14日に原告と被告会社東京支社の支社長室で面談した際,その出入口扉を開けたままで他の従業員にも声が聞こえるような状況で,「覚えてろよ。」「診断書持って来い,そんなら。今から帰って持って来い。」「ガタガタ,ガタガタ言うんじゃねえよ。」「だから,いつなんやって言ってんねん。」などと声を荒げて強い口調で話し,本件の証人尋問の際にも,出廷していた原告の面前で,原告について,「全然役に立たなかった」「まともに動いているふりをしていた。」といった表現を用いたこと,被告Y2は,平成27年10月14日に原告と面談した際,原告を評して「裏切り」「寄生虫」などと発言したことが認められることに照らせば,被告Y2及びC事業部長は,原告と面談した他の機会にも,原告の主張する「給料泥棒」「役立たず」「無能な人間」「会社の寄生虫」(以上被告Y2),「仕事はいつするんだ」「無能」「年収300万円程度で恥ずかしくないのか。」「君が無能なことは皆が知っている。」(以上C事業部長)といった発言をしていたと推認して不自然,不合理ではない。
エ  以上によれば,被告Y2ら4名は,平成20年2月28日から平成26年1月14日までの間に行った面談の席上で,それぞれ,原告の主張するような表現を用いて原告を非難し,退職を迫るなどしたものと認められる。
(3)ア  前記(2)に認定した被告Y2ら4名の言動は,その表現や態様に照らせば,原告の人格的尊厳を傷つけ,その人格権を違法に侵害するものと認められる。また,このような言動により繰り返し退職を勧告し,さらに,前記1に説示のとおり,法的な根拠なく一方的に賃金を減額した行為(なお,原告を被告会社東京支社に転勤させたこと,C事業部長が原告の代休取得申請を拒んだことは,その内容に照らし,上記退職勧告と一連の不当行為とまでは認めるに足りない。)は,原告の労働環境を不当に害するものと認められる。すなわち,被告会社は,原告に対し,この点において,前記(1)に説示した従業員の労働環境に対して配慮する注意義務を怠ったものと認められる。
イ  そして,前提事実(5)及び前記(2)に認定したところのほか,証拠(甲18,甲50,甲64,乙17,乙18,証人C,原告本人,被告代表者兼被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,従前から厳しく退職を勧告され,賃金を一方的に減額されていたところ,平成25年12月に至って,被告Y2及びC事業部長から,不適切な言動により罵倒されるなどしながら繰り返し退職を迫られ,退職に応じなければ被告会社京都本社に転勤させてそれまでの営業以外の業務に就かせて賃金を更に減額するなどと言われ,同月下旬頃から複数回欠勤するようになり,平成26年1月14日,C事業部長から担当業務の変更や賃金の減額を通告され,同月18日,医師からうつ状態と診断され,これを原因として同年3月1日から休職するに至ったことが認められる。
ウ  以上によれば,被告会社は,原告に対し,本件雇用契約に基づく注意義務を怠り,被告Y2や原告の上司らにおける不当な言動や一方的な賃金の減額等を行って原告の意思決定を不当に制約するとともにその人格権を違法に侵害し,これによって,原告はうつ状態を発症するに至ったものと認められる。
したがって,被告会社は,原告に対し,債務不履行に基づき,原告に生じた次の損害を賠償する責任を負う。
(ア) 休業損害 254万7963円
ただし,平成26年3月分から平成27年8月分までの賃金合計645万3000円(1か月35万8500円(ただし,基準給23万円,能力給4000円,裁量労働手当5万7500円,技能手当2万7000円,住宅手当3万円,家族手当1万円の合計。)の18か月分)から原告が上記期間に受給した傷病手当金390万5037円を差し引いた後の残金。
これに対し,前記1(2)に説示のとおり,原告は被告会社に対して支給率が決定されるまで具体的な賞与請求権を有さないから,被告会社が原告につき賞与支給率を決定した事実がない休職期間中において支給されなかった賞与に関して,原告に具体的な損害は認められない。
(イ) 治療費及び通院交通費 8万9900円
証拠(甲19の1ないし31,甲20の1ないし28)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,前記うつ状態により通院し,別紙「医療費明細一覧表」記載のとおり,治療費等を支出したことが認められる。
(ウ) 慰謝料 80万円
被告会社における被告Y2ら4名の原告に対する退職の勧告等は繰り返されたものであり,かつ,そこで用いられた表現は原告の人格的尊厳を直接傷つけるものであること,上記言動のされた期間は約6年間もの長期に及ぶこと,原告はうつ状態を発症して少なくとも約1年間に渡り1か月に1回ないし4回程度通院し,その後も通院を継続していること(甲67の1ないし23,甲68の1ないし22,甲69),他方,賃金減額による損害は原則として減額分の賃金の支払により填補されること,原告のうつ状態が重度のものであったとまで認めるに足りる証拠はないことなど,各事情を総合考慮すれば,原告の精神的苦痛に対する慰謝料としては,上記金額が相当である。
以上合計343万7863円
3  争点(3)(被告Y2において,原告に対し,違法な言動があったか。)(事案の要旨③(被告Y2の暴言に係る不法行為に基づく慰謝料請求)(請求3項))
(1)ア  証拠(甲50,甲64,原告本人,証人C,被告会社代表者兼被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告と被告Y2は,原告の休職期間(平成27年9月30日まで)満了後の平成27年10月14日,被告会社東京支社応接室において,C事業部長も同席して面談したこと,この席で,被告Y2は,原告に対し,被告会社東京支社での営業業務から京都本社での庶務業務への配置転換を打診したが,原告は,転居が精神疾患に影響を及ぼすことが懸念されるとして,直ちにこれを承諾しなかったこと,さらに,被告Y2は,原告に対し,原告が被告会社に利益を上げていないとして,「営業の人間が営業として役に立たへんというのは世の中に対するものすごい裏切りや。会社に対してはもちろん。そういう裏切りの人生をずっと続けていきたいんか,君は。」「利益を上げられない社員っていうのは裏切りや。」「違う言葉で言えば,会社の寄生虫みたいなもんや。」と言い,さらに,原告が上記配置転換について異論を述べたのを受けて,机を叩き,口を挟んだC事業部長に対して,「この寄生虫にきちんとしたこと言わんと。」と言ったことが認められる。
イ  この点,証人Cの証言中には,被告Y2の「寄生虫」との発言を否定するかのような証言部分がある。しかし,弁論の全趣旨によれば,被告らは,原告が上記面談時の会話の録音反訳書として提出した面談記録(甲50)の内容を争わなかったことが認められることに照らし,採用しない。
また,被告Y2の本人尋問における供述中には,被告Y2は,原告に対して,「裏切り『をしてはいけない』」「寄生虫『になってはいけない』」という趣旨で上記発言をしたものであるとの供述部分がある。しかし,上記に認定のとおり,被告Y2は,原告に向かって「そういう裏切りの人生をずっと続けていきたいんか,君は。」と言い,被告Y2に反論した原告をとらえて,原告の面前で「この寄生虫にきちんとしたことを言わんと。」と言ったものであることに照らせば,これらの発言の趣旨は,原告を社会や被告会社に対して「裏切り」行為をした者,「寄生虫」のごとき者と断じたものと以外に解しようがないことに照らし,採用しない。
(2)  次に,復職の条件について協議していた席において,それまで勤務していた東京都から京都市への転居を伴う配置転換を打診された原告が,その精神疾患への影響を懸念して直ちにこれを承諾しなかったことには,相応の合理性があり,このことについて,被告Y2から厳しく叱責されなければならない合理的な理由は認められない。しかも,被告Y2が原告に対する評価として用いた「裏切り」「寄生虫」という言葉が原告を侮辱しその人格を傷つけるものであることは明白であり,これが正当化される余地はなく,被告Y2の上記発言は,社会通念上許されない違法な行為と認められる。
また,前記(1)アに認定のとおり,被告Y2の上記発言は,被告会社の代表取締役として原告の復職後の配置を決定するために行った面談の席上でのものであることに照らせば,上記発言は,被告会社代表取締役として職務を行うについてなされた行為と認められる。
したがって,被告らは,原告に対し,被告Y2の上記発言等によって原告に生じた精神的苦痛について,連帯してこれを賠償するべき責任を負う。
(3)  そして,被告Y2の原告に対する上記発言等が,原告がうつ状態による1年6か月に及ぶ休職期間の満了後に,ようやくこれが寛解して臨んだ面会の席上で行われたこと,上記発言中において,被告Y2は原告に対して「裏切り」「寄生虫」という言葉を複数回用いたこと,前記2に認定のとおり,被告Y2が原告に対してこのような発言をしたのはこれが初めてではないことなどの事情を総合考慮すれば,被告Y2の原告に対する上記発言によって生じた原告の精神的苦痛に対する慰謝料としては,20万円が相当である。
4  争点(4)(原告が休職期間の満了後直ちに復職して就労をしなかったことにつき,原告に債務の本旨に従った労務の提供があったか,被告会社がその受領を拒絶したものであるか。)(事案の要旨④(民法536条に基づく休職期間満了後の賃金・賞与請求)(請求4項))
(1)  次の事実は,証拠(後記のもののほか,甲64,乙18,原告本人,被告会社代表者兼被告Y2本人)及び弁論の全趣旨により認められる事実を除き,当事者間に争いがない。
ア 被告会社の就業規則中には,①休職期間中の従業員が休職期間満了前に復職を申し出たときは,会社が指定する医師の診断を求めた上,復職の当否を決定する(24条2項),②復職後は,休職前の職務・職場に就ける,ただし,身体の条件その他を考慮し,別の職務・職場に就くこともできる(同条3項),③休職期間が満了したときは,休職期間満了日をもって退職とする(29条1項4号)との規定がある(甲3)。
イ 被告会社は,原告に対し,平成27年7月23日頃,同年8月31日をもって休職期間満了となり,職場復帰できない場合,休職期間の満了をもって退職となるとの旨通知した(甲21)。
これを受けて,原告は,被告会社に対し,同年8月26日,同年9月1日から復職する旨記載した復職届(甲22)及び診断書(原告につき,病状が改善したため同年9月1日から復職可能であると判断するとの旨記載があるもの。)(甲23)を提出し,その後,被告会社の求めに応じて,同年9月7日,うつ病が治癒したので同月14日から復職することの承認を求めるとの旨記載した復職願(甲25)及び医師作成の回答書(原告につき,状態は徐々に改善しており現状では寛解の状況にあると考えるとの旨及び就業上の配慮するべき事項につき無制限との旨記載があるもの。)(甲26)を提出した(甲22ないし26)。
ウ 被告会社は,原告に対し,同年9月11日,原告が休職期間満了日である同年8月31日をもって退職となったとの旨記載のある通知書(甲27)を送付した。
これを受けて,原告は,被告会社に対し,同年9月14日頃,上記通知は承服しかねる,直ちに復職させるよう求めるとの旨記載した書面(甲28)を送付した。
エ その後,被告Y2は,同年10月14日,被告会社東京支社において原告と面談し(なお,前記3に説示した面談である。),原告に対し,復職に当たり,営業業務は担当させられないとして,被告会社京都本社に配置して庶務業務を担当させるとの条件を提示した(甲29,甲50)。
これを受けて,原告は,被告会社に対し,同月20日頃,診断書(転勤については大きな負荷がかかり病状悪化が予想されるため避けることが望ましいと考えますとの旨記載があるもの。)(甲30)とともに,主治医から今後も通院継続の必要があり転勤は病状悪化が予想されるため避けることが望ましいとの診断を受けたことから,復職にあたり,引き続き被告会社東京支社での勤務を希望するとの旨記載のある書面(甲29)を送付した。
オ その後,被告会社は,原告を被告会社東京支社に復職させるとして,原告に対し,同年10月27日,次のとおり記載のある復職許可通知(甲31)を送付した。
(ア) 原告につき,同年11月9日限り,次の条件で復職を許可する。
a 配属先はa事業部。
b 待遇は休職前と同様(ただし,裁量労働手当を除く。)。
c 特記事項として,①C事業部長の指示がある場合を除き原則としてC事業部長付きでオフィスワークを行うこと,②勤務時間は9時から18時とし,裁量労働制は適用せず,C事業部長の指示がある場合を除き残業は認めない。
(イ) 次の旨誓約するとの記載のある誓約書(甲32)を,原告及び保証人が連署の上,同年11月4日までに提出すること。
a 復職許可通知(甲31)に記載された条件に従い勤務する。
b 欠勤を繰り返す等,通常の労務提供をできない状態に至った場合,また,会社が病状を確認する必要が生じた場合は,会社が保証人に連絡,確認することを了承する。
c 会社が必要と認めた場合は,会社の指示に従い,会社指定医の診断を受診すること,また,会社が主治医に直接診断内容を確認することを了承する。
d 会社を休まなければならない場合や遅刻する場合は,当日の始業時刻前までに必ず事業部長に直接電話連絡する。
e 就業規則や職場ルールを遵守するとともに,事業部長の指示に従い誠実に業務に専念する。
カ 原告が,被告会社に対し,同年11月2日,前記オ(イ)の誓約書(甲32)を提出せず,①就業規則その他諸規程に定められた条件に従い勤務する,②会社が必要と認めた場合は会社指定医の診断を受診することを了承する,③会社を休まなければならない場合や遅刻する場合は当日の始業時刻前までに事業部長に電話連絡するとの旨記載した,保証人の署名のない誓約書(甲33)を提出したところ,被告会社は,原告に対し,同月5日,原告につき,同月9日からの復職を認めないとの旨記載のある通知書(甲34)を送付した。
キ 原告は,その代理人であったD弁護士において,被告会社に対し,同年11月30日,原告につき,次の条件で復職を求めるとの旨記載のある通知書(甲36)を送付した。
(ア) 勤務場所は被告会社東京支社(休職前と同じ。)。
(イ) 勤務部署はa事業部(同前。)。
(ウ) 担当職種は営業職(同前)。
(エ) 賃金は基準給23万円,能力給4000円,裁量労働手当5万7500円,技能手当2万7000円,家族手当1万円,住宅手当3万円の合計35万8500円に通勤手当実費を加えた金額。
(オ) 復職が可能であった同年9月1日から復職日までの賃金を支払う。
ク 原告は,新たにその代理人となった原告訴訟代理人弁護士らにおいて,被告会社に対し,平成28年2月24日頃,改めて,平成27年11月30日頃提示した前記カの条件で復職を求めるとともに,仮に被告会社が飽くまで同年10月27日頃提示した前記オ(ア)の条件での復職を求めるのであれば,暫定的にこれに応じて就労する意思があるとの旨記載のある書面(甲38)を送付した。
ケ 原告は,原告訴訟代理人弁護士らにおいて,東京地方裁判所に対し,平成28年7月25日,被告会社に対して賃金の仮払等を求める仮の地位を定める仮処分命令を申し立てた。
原告訴訟代理人弁護士らと被告会社から委任を受けた被告訴訟代理人弁護士らは,同年9月30日,本件復職合意をするに至り,原告は,上記仮処分命令の申立てを取り下げ,同年10月1日,被告会社に復職した。
(2)ア  前記(1)イに認定のとおり,原告が被告会社に対して復職の申出をしたのは,休職期間満了の日(平成29年8月31日)のわずか5日前(同月26日)であり,それまでの原告の休職期間は1年6か月の長期に及んでいた。また,前記(1)アに認定のとおり,被告会社の就業規則によれば,被告会社は,原告の復職の当否を,医師を指定して診断を受けさせるなどして検討することが許されている。したがって,被告会社が原告を休職期間満了日の翌日である同年10月1日から復職させなかったことには,やむを得ない事由があったものと解され,また,前記(1)イに認定のとおり,原告に対して重ねて医師の意見を求めるなどし,その結果原告が同日から就労できなかったことについては,合理的な理由があったといえ,直ちに被告会社に帰責事由がある労務提供の受領遅滞であったとまでは認められない。
次に,前記(1)アに認定した被告会社の就業規則中の規定によれば,被告会社は,復職を申し出た原告について,復職の当否を決定することができるほか,原告の状況等を考慮して休職前とは別の勤務地や部署に配置することも可能であると解される。したがって,前記(1)エに認定のとおり,原告に対して営業職以外の部署への配置転換や被告会社の東京支社から京都本社への転勤を打診したことは,それ自体,裁量の範囲内として許容されるものと解されるのであって,被告会社が上記のとおり原告の復職後の配置を検討して原告と協議をしていた間についても,被告会社に帰責事由があるというべき労務提供の受領遅滞があったとまでは認められない。
イ  しかしながら,前記(1)オに認定のとおり,被告会社は,原告に対して東京支社において休職前と同じ配属先に同年11月9日から復職させる旨通知した同年10月27日までには,現に原告を復職させる条件を整えることができていたものである。
そして,前記1及び2に説示したところのほか,前記(1)オないしケに認定したところによれば,原告が同年11月9日から実際に復職して就労を開始できなかった原因は,被告会社が原告に対し,復職の条件として,法的な根拠なく不当に減じたままの賃金額からさらに裁量労働手当相当額を減じるとし,就業規則上の根拠がないのに保証人を選定して被告会社に提出する誓約書に連署させるよう求め(なお,この点,被告Y2の本人尋問における供述中には,原告が所在不明となったときに連絡を取れる者を指定してもらおうとしたにすぎないとの旨の供述部分があるが,前記(1)オ(イ)bの文言と合致しないことに照らし,採用しない。),欠勤する際には,休職前に原告に対して違法不当な暴力的言動を繰り返していたC事業部長に直接電話連絡することを義務付けるなど,およそ原告が応じる義務がなく内容自体不当な要求をしたことにあるというべきである。
(3)  以上によれば,原告の休職期間満了日の翌日である平成27年10月1日から本件復職合意に基づく復職日の前日である平成28年9月30日までのうち,遅くとも前記のとおり被告会社が復職日として指定した平成27年11月9日以降の原告の不就労については,原告が本件雇用契約に基づく債務の本旨に従った労務の提供を申し出ていたのに,被告会社がその責に帰するべき事由により受領を拒絶していたものというべきである。したがって,被告会社は,原告に対し,民法536条2項に基づき,上記平成27年11月9日から平成28年9月30日までの賃金(ただし,1か月35万8500円(前提事実(4)の減額前の基準給23万円,裁量労働手当5万7500円及び技能手当2万7000円,休職直前の月である平成26年2月当時の能力給4000円,家族手当1万円及び住宅手当3万円の合計)。なお,平成27年11月分については日割り計算により28万3026円(35万8500円×15日(同年11月9日から同月30日までのうち休日を除く日数)/(30日-11日(同年11月の休日数)),小数点以下切捨て。)の支給を拒むことができない。他方,前記1(2)に説示のとおり,原告は被告会社に対して被告会社が支給率を決定するまで具体的な賞与請求権を有さないから,被告会社が原告につき上記期間において賞与支給率を決定した事実がない以上,原告が被告会社に対して民法536条2項に基づき上記期間の賞与の支払を求めることまではできない。
5  争点(5)(本件雇用契約において通勤手当は欠勤の際に控除されるべきか否か,原告の年次有給休暇の有無。)(事案の要旨⑥(雇用契約に基づく有給休暇分の賃金・通勤手当請求)(請求6項))
(1)  原告が被告会社において,平成29年5月のうち同月1日,同月2日及び同月24日の合計3日就労しなかったことは当事者間に争いがない。
そして,弁論の全趣旨によれば,上記不就労日3日につき,被告会社は,原告に対し,同年6月25日支給分の賃金から欠勤控除として3万9831円を控除したこと,その後,違算があったとして,うち439円を同年9月25日支給分の賃金とともに支払ったことが認められる。
(2)ア  次に,原告の前記(1)の不就労日のうち平成29年5月1日及び同月2日について,証拠(甲3,甲59,甲61,甲62)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の就業規則中には,年次有給休暇の計画付与につき,従業員が有する年次有給休暇日数のうち5日を超える日数について,労使協定で付与期間を定めたときには,その時期に年次有給休暇を付与するとし,この場合,従業員は上記時期に年次有給休暇を取得しなければならないとの規定(49条)があること,被告会社においては,上記両日について,上記規定にいう有給休暇計画的実施日と定められ,その従業員に対し,事前に出勤の届出をしない限り,年次有給休暇として取得するよう指示していたことが認められる。このことは,原告から問い合わせを受けた被告会社担当者が,原告に対し,上記両日を欠勤と取り扱った理由につき,原告には付与された年次有給休暇がないと説明し,上記両日が年次有給休暇の対象ではないとは説明しなかったこと(甲58の6)からも明らかである。
また,証拠(甲3)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の就業規則中には,各年次の所定労働日数の8割以上出勤した者に対しては,勤続年数に応じ,次表に掲げる日数(表については記載を省略する。なお,勤続年数が6.5年以上に当たる原告の場合,20日である。)の年次有給休暇を与えるとの規定(47条1項)があることが認められる。さらに,年次有給休暇の付与の条件となる出勤日数について,労働者の責に帰するべき事由によるとはいえない不就労日は出勤日数に算入するのが相当である。そして,前記4に説示のとおり,原告は,平成29年5月の属する年次の前年次(平成27年9月22日から平成28年9月21日まで。),休職期間満了後現に復職するには至っておらず,就労していなかったものであるが,遅くとも平成27年11月9日から平成28年9月22日まで(1年の8割を優に上回り,約9割弱に相当する。)の不就労については被告会社にその帰責事由があるから,原告は,平成29年5月の属する年次において年次有給休暇を与えられる条件を満たすものと認められる。
したがって,上記両日は有給休暇であったものと認められる。
イ  他方,原告の前記(1)の不就労日のうち同年5月24日について,これが欠勤であることは当事者間に争いがない。そして,証拠(甲3,甲4)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の賃金規程中には,欠勤による不就労日について,基準内賃金(判決注・基本給と諸手当(なお,時間外休日勤務手当と深夜シフト手当を除く全ての手当。)の合計。)につき,原則として基準内賃金に不就労日数を乗じ月間所定勤務日数(365日から休日である土曜日・日曜日・国民の祝日・国民の祝日が日曜日に当たるときはその翌日・前日及び翌日が国民の祝日である日(5月4日)・その他会社が定める日)で除した金額を月例賃金より控除するとの規定(4条2項)があることが認められる。したがって,原告は上記欠勤1日につき上記の計算による金額を賃金より控除されることを免れない。
ウ  ただし,証拠(甲4,甲65)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社において,上記諸手当のうち通勤手当については,賃金規程の特則である通勤手当支給規程が定められているところ,同規程中には,通勤手当として支給する月額は,会社の認める通勤経路及び方法による実費相当額とし(5条1項),通勤定期乗車券は1か月を単位とする(同条2項本文)が,月に10日以上欠勤し又は有給休暇を取得した場合は日割り計算で支給する(同項ただし書)との規定があることが認められる。そして,弁論の全趣旨によれば,原告の当時の通勤手当(1か月2万6760円)は原告使用の通勤定期乗車券の実費であることが認められる。したがって,上記規定に照らせば,被告会社において,原告が1か月に10日未満欠勤し又は有給休暇を取得したとしても,通勤手当として当該日数を除いた通勤手当を日割り計算により支給したり,上記欠勤又は有給休暇日数分を日割り計算により賃金から控除することは許されないと解される。
(3)  以上によれば,被告会社は,原告に対し,平成29年6月25日支給分の賃金から控除した金額につき,次の計算式のとおり,未払賃金残元本2万2169円及びこれに対する弁済期の後の日(一部弁済の日の翌日)である同年9月26日から支払済みまでの遅延損害金を支払うべき債務を負う。
(計算式)
ア 同年5月24日の欠勤につき控除が許される金額
35万8500円(ただし,前提事実(4)の減額前の基準給23万円,裁量労働手当5万7500円及び技能手当2万7000円,平成29年5月24日当時の能力給4000円,家族手当1万円及び住宅手当3万円の合計)×1日/20.4166(ただし,月間所定労働勤務日数((365日-120日)/12か月))≒1万7559円(小数点以下切捨て)
イ 被告会社が平成29年6月25日支給分の賃金から控除することが許されないのに控除した(本来賃金として支給するべき)金額
3万9831円(現に控除した金額)-1万7559円(控除が許される金額)=2万2272円
ウ 前記イに対する同年6月26日から同年9月25日までの遅延損害金
2万2272円×6%×(92日/365日)≒336円(小数点以下切捨て)
エ 前記イの同年9月25日当時の残元本
2万2272円+336円-439円=2万2169円
6  結論
よって,原告の請求は,
①  被告会社に対して,本件雇用契約に基づき,未払賃金29万1000円(ただし,平成25年12月分,平成26年1月分及び同年2月分)及び別紙「別表1」中平成25年12月分,平成26年1月分及び同年2月分の各「未払賃金の内金額」欄記載の内金に対する弁済期の翌日である「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金
②  被告会社に対して,債務不履行に基づき,休業損害254万7963円,治療費及び通院交通費小計8万9900円並びに慰謝料80万円の損害金合計343万7863円及びこれに対する債務不履行の後の日(被告会社に対する訴状送達の日の翌日)である平成28年3月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
③  被告Y2に対しては不法行為,被告会社に対しては会社法350条に基づき,連帯して慰謝料20万円及びこれに対する被告Y2の原告に対する不法行為の後の日(被告らに対する訴状送達の日の翌日)である平成28年3月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
④  被告会社に対し,民法536条2項に基づき,未払賃金386万8026円(ただし,平成27年11月9日から同月30日までの賃金28万3026円及び同年12月分から平成28年9月分までの別紙「別表2」中「平成27年12月分」から「平成28年9月分」までの各「未払賃金の内金額」欄記載の各内金の合計。)及びうち平成27年11月分の賃金28万3026円に対する弁済期の翌日である平成27年11月26日から,うち別紙「別表2」中「平成27年12月分」から「平成28年9月分」までの各「未払賃金の内金額」欄記載の内金に対する弁済期の翌日である「遅延の始期となる日」欄記載の日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金
⑤  被告会社に対し,本件雇用契約に基づき,平成28年10月から本判決確定の日まで弁済期である毎月25日限り未払賃金11万7500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から,平成28年12月12日に支給されるべき未払賞与3万円(ただし,同日支給分19万5000円から既払分16万5000円を差し引いた残金。)及び平成29年7月11日に支給されるべき未払賞与5万4000円(ただし,同日支給分35万1000円から既払分29万7000円を差し引いた残金。)並びにこれらに対する弁済期の翌日である上記各日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金
⑥  被告会社に対し,本件雇用契約に基づき,平成29年6月分の未払賃金2万2169円及びこれに対する弁済期の後の日(平成28年9月分の賃金とともに一部弁済があった日の翌日)である平成29年9月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金
の支払を求める限度で理由があるからその限りでこれらを認容することとし,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文及び65条1項ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第11部
(裁判官 阿部雅彦)

 

〈以下省略〉

 

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