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「テレアポ 営業」に関する裁判例(12)平成27年 8月28日 東京地裁 平25(ワ)30955号 損害賠償請求事件

「テレアポ 営業」に関する裁判例(12)平成27年 8月28日 東京地裁 平25(ワ)30955号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 8月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)30955号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2015WLJPCA08288012

要旨
◆本件会社の運営する会員制リゾートクラブの会員であった原告X1、原告X2及び原告X3が、同会員権の販売に関し、本件会社のテレフォンアポインターであった被告は、実際には将来の施設利用預託金の払戻し等が困難であったことを認識し、あるいは容易に認識し得たにもかかわらず、これが確実に履行される旨の断定的文言等を用いて原告らに電話勧誘等を行い、預託金等を拠出させたと主張して、被告に対し、不法行為ないし共同不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、原告X1及び原告X3が主張する被告の各勧誘行為等は認められないとして同原告らの請求を棄却するとともに、原告X2に対する勧誘時点において、被告に故意ないし過失があったということはできないなどとして、同原告の請求も棄却した事例

参照条文
民法709条
民法719条1項

裁判年月日  平成27年 8月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)30955号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2015WLJPCA08288012

東京都大田区〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
東京都八王子市〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
東京都あきる野市〈以下省略〉
原告 X3(以下「原告X3」という。)
原告ら訴訟代理人弁護士 青木秀樹
同 梅津竜太
同 晴柀雄太
静岡県伊東市〈以下省略〉
被告 Y
被告訴訟代理人弁護士 瀬野俊之

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告X1に対し,1100万円及びこれに対する平成25年5月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告X2に対し,110万円及びこれに対する平成25年5月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告X3に対し,550万円及びこれに対する平成25年5月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,株式会社a(以下「a社」という。)の運営する△△ホテルグループの会員制リゾートクラブ「○○クラブ」の会員権(以下,単に「会員権」という。)販売に関し,a社のテレフォンアポインター(以下「テレアポ」という。)であった被告が,実際には将来の施設利用預託金(以下「預託金」という。)の払戻し等が困難であったことを認識し,あるいは容易に認識し得たにもかかわらず,これが確実に履行される旨の断定的文言等を用いて原告らに電話勧誘等を行い,預託金等を拠出させたなどとして,原告らが,被告に対し,不法行為ないし共同不法行為による損害賠償請求権に基づき,各拠出金相当額及び弁護士費用並びに遅延損害金の各支払を求める事案である。
1  争いのない事実等(認定事実については証拠を掲記する。)
(1)  当事者等
ア a社は,○○クラブの運営及びその会員権販売を行っていた株式会社であり,東京本社のほか,熱海,名古屋,大阪及びbホテル(以下「bホテル」という。)内等に会員権販売の勧誘等を行う営業所が設置されていた。
イ 原告らは,いずれも○○クラブの会員であった者である。
ウ 被告は,bホテルを所有している株式会社c(以下「c社」という。)にパートタイム労働者として雇われ,平成19年1月頃からは,bホテル内の営業所で,a社のテレアポとして○○クラブの会員権販売の電話勧誘業務に従事していた者である。
(2)  a社が会員権販売に至る経緯
ア A(以下「A」という。)は,平成12年よりdホテルの経営に参画し,株式会社e(以下「e社」という。)をその運営会社として立ち上げ,他のホテルを買収して系列ホテルとするなど,△△ホテルグループの実質的経営を担っていた。
イ Aは,後述する会員制リゾートクラブ「○○クラブ」を考案し,平成17年より,e社において会員の募集を始めた。Aらは,平成18年10月25日には,○○クラブの運営及びその会員権の販売を行う会社としてa社を設立し,以後,同社が会員権販売を担うこととなった。また,Aは,系列ホテルを運営するグループ会社としてc社などを準備し,会員権販売により得た預託金を原資にホテルの買収を更に進めた。
(3)  ○○クラブの会員権システムの具体的内容
○○クラブの会員権システムの具体的内容は以下のとおりである。すなわち,予め定められた入会諸費用を拠出した者を会員とし,会員は△△ホテルグループのホテルに通常の2割引の料金で宿泊できる,会員から拠出された入会諸費用のうち,預託金に相当する部分は5年後に全額返還される,△△ホテルグループのホテルで現金の代わりに用いることのできる宿泊ポイントが毎年会員に付与され,未利用の宿泊ポイントについては一定の割合で現金に換金できる,というものである。
○○クラブの会員権販売の募集内容は,募集時期に応じて一次募集,二次募集,三次募集及び四次募集に分けられ,それぞれ付与される宿泊ポイントやその払戻割合等が異なっていたが,本件で問題となる二次募集及び三次募集の内容は次のとおりである。
ア 二次募集
会員権販売の二次募集は,e社によって平成18年2月頃から開始され,同年10月にa社が設立されて以降は同社が会員権販売の運営を担った。二次募集においては,入会時に拠出が求められる入会諸費用のうち,一部が払戻しの対象とならない「施設利用料」とされ,入会から5年後に払戻しの対象となる「預託金」とは区別された。具体的な募集内容は以下の表のとおりである。

コース 入会諸費用(円) 付与される
宿泊ポイント
払戻預託金及び
5年間ポイント未使用
の場合に払い戻せる
金額の合計(円)

合計 預託金 施設利用料 5年間合計 払戻率
ブロンズ 100万 80万 20万 60万 60% 116万
シルバー 300万 255万 45万 195万 65% 381万7500
ゴールド 500万 450万 50万 365万 70% 705万5000
プラチナ 1000万 920万 80万 815万 75% 1531万2500

イ 三次募集
会員権販売の三次募集は,平成21年7月頃から開始された。その募集内容は以下の表のとおりであるが,宿泊ポイントの現金換金ができなくなるなど,会員に不利な内容であったことから入会数が伸び悩み,同年9月頃からは三次募集に代わって二次募集が再開された。

コース 入会諸費用(円) 付与される
宿泊ポイント
払戻預託金及び
5年間ポイント未使用
の場合に払い戻せる
金額の合計(円)

合計 預託金 施設利用料 5年間合計 払戻率
ブロンズ 100万 75万 25万 60万   75万
シルバー 300万 240万 60万 200万   240万
ゴールド 500万 425万 75万 375万   425万
プラチナ 1000万 900万 100万 820万   900万

ウ なお,会員権システムには,入会会員が現在のコースと上位のコースの入会諸費用の差額を支払うことで上位のコースに変更できる「グレードアップ」というシステムも存在した。
(4)  a社における会員権の販売方法(甲6ないし18,19の1及び2,20,27,29)
a社の各営業所には,会員権販売の勧誘を行う営業員とテレアポが配置され,各営業員に複数のテレアポが付いてチームを組み,チーム毎に勧誘が行われた。会員権販売の勧誘方法は以下のとおりである。すなわち,テレアポは,事前に渡されたトークマニュアルの内容に従って勧誘相手に電話をかけて会員権販売の勧誘を行い,興味を持った相手に会員権システムの具体的内容が記載されたパンフレットを送付したり,勧誘相手を系列ホテルの無料体験宿泊に勧誘したりするなどして営業員との接触の段取りを行い,営業員が入会契約を取り付ける,などというものである。
(5)  a社の財務状況等(甲5,21)
a社の主たる売上は,会員が支払った施設利用料やa社が所有するホテルをグループ会社に賃貸して受け取る家賃収入であったところ,会員に対する未使用分の宿泊ポイントの払戻しや,会員権販売の勧誘を行う営業員らに支払った販売手数料の額等はこれを大幅に上回っており,更に,Aらが多額の使途不明金を持ち出すなどしたことから,a社は,設立当初から多額の純損失を計上していた(純損失額につき,平成19年9月期が約22億5122万円,平成20年9月期が約16億9799万円,平成21年9月期が約33億4353万円)。また,会員に返還する必要のある預託金を初めとする負債の額も,所有するホテル等の資産の額を大幅に上回っており,その超過額も年を追うごとに増加していった(資産に対する負債の超過額につき,平成19年9月30日時点で約21億6178万円,平成20年9月30日時点で約37億5977万円,平成21年9月30日時点で約71億0330万円)。a社は,これらの損失を穴埋めするために更なる会員権募集を行い,5年後に会員に返還する預託金を取り崩して運転資金に充てるなど,いわば自転車操業の状態に陥っていた。
平成22年6月には,a社に対する破産手続開始決定がなされた。
(6)  捜査及び刑事裁判の経過
平成22年5月26日,a社は警視庁等から強制捜査を受け,Aらa社幹部のほか,各営業所の営業員やテレアポらの供述調書が作成された(甲7ないし17,20,25ないし27,29)。Aに対し,平成23年3月18日付けで組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反事件について起訴がなされ,a社が,○○クラブの預託金及び施設利用料名目で金銭を詐取することなどを共同の目的とする多数人の継続的結合体であり,Aを頂点とする指揮命令に基づき,平成21年9月上旬頃から平成22年5月下旬頃までの間,会員から○○クラブの預託金及び施設利用料の名目で多額の金銭を詐取したとして,平成25年5月30日に懲役18年の有罪判決が言い渡された。
2  争点及び当事者の主張
(1)  被告の原告らへの勧誘行為の有無,態様等(争点1)
(原告らの主張)
ア 原告らに共通する事情
被告は,原告らを含む会員権販売の勧誘相手に対し,いずれもbホテル内営業所で配布されていたトークマニュアルの内容に従って,以下の勧誘文言を用いて勧誘を行った。すなわち,会社の経営は順調であり,預託金は5年後に全額返還される,ホテルの土地建物は全て△△ホテルの所有で無担保である,万が一の場合には,ホテルの資産を売って対応する,銀行に預け入れるよりも絶対に得である,会員権募集の口数は△△ホテルの資産の範囲内に限定している,などというものである。また,契約締結を躊躇している顧客には,二次会員の募集は残り少なくなり,締切が迫っている,三次募集となるとポイント買取がなくなるなど条件が悪くなるので,増資するなら今である,などと執拗かつ早期に契約の決断をするように勧誘を行った。更に,被告は,自身が行った勧誘内容等を営業員に伝える等して,同じく上記文言を用いて行われていた営業員の勧誘行為についても援助・助長していた。
イ 原告ら固有の事情
原告ら固有の事情は以下のとおりである。
(ア) 原告X1について
被告は,原告X1に対し,平成19年7月頃から勧誘を行い,ブロンズコース及びプラチナコースに入会させた。なお,原告X1が平成21年12月25日にa社に支払った預託金500万円に係る勧誘行為を行ったのはB(以下「B」という。)であるが,被告は,同年8月25日以降に,原告X1に関する情報の引継ぎをBに行うとともに,原告X1に送付された入会手続案内にはアポインターとして被告の氏名が記載されている。被告は,これにより,勧誘行為をBと共に共同し,あるいはこれを幇助したものである。
(イ) 原告X2について
被告は,原告X2に対し,平成20年8月頃より勧誘を始め,平成21年4月頃からは頻繁に電話勧誘を行った。同年5月16日には,原告X2を体験宿泊に誘い出して営業員と引き合わせ,その後も同年7月27日の拠出金の拠出に至るまで,多数回にわたり電話勧誘を行い,ブロンズコースに入会させた。
(ウ) 原告X3について
被告は,原告X3に対し,平成20年1月頃に3回ほど電話勧誘を行い,シルバーコースに入会させた。その後も,同年2月12日に至るまでゴールドコースへのグレードアップの勧誘を継続して行った。
(被告の主張)
ア 原告らに共通する事情
被告が,勧誘相手に対し,○○クラブの5年後に元本を返還する仕組みを説明したことは認めるが,その余の原告らが主張するようなトークマニュアルに基づく勧誘はしておらず,被告は,主として△△ホテル及びその関連施設の利用の観点から勧誘を行っていたにすぎない。
イ 原告X1について
被告が,原告X1に電話勧誘を行ったことは認めるが,勧誘内容は否認する。また,被告が,原告X1をプラチナコースに入会させた事実もない。
ウ 原告X2及び原告X3について
被告が原告X2及び原告X3に勧誘行為を行った記憶はなく,仮に行ったとしても,上記アで述べた内容の勧誘を行ったにすぎない。また,被告が原告X3にグレードアップの勧誘を行った事実もない。
(2)  被告の勧誘行為の違法性(争点2)
(原告らの主張)
ア 出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)違反について
a社は,会員に対して約定通りの預託金返還や未使用分の宿泊ポイントの現金払戻しにより,元本を超える金員を得られることを謳い文句に不特定多数の者に対して会員を募っているところ,これは,出資法1条が定める出資金の受入の制限規定に違反する。また,上記を謳い文句に,不特定且つ多数の者から預託金として金銭を預かることは,「業として預り金をする」ことに当たり,同法2条1項の定める預り金の禁止規定にも違反する。出資法上の犯罪は,一般大衆の財産のみならず、社会の信用制度や経済秩序をも保護し,刑罰を科しているのであるから,これらに違反する行為は,社会的相当性を著しく欠き,民事上も違法であるところ,被告の原告らに対する各勧誘行為も,そのような商法の一環として行われたのであるから,民事上の違法性を有する。
イ 虚偽ないし断定的判断の提供について
後記(3)のとおり,被告は,出資者が○○クラブに出資をしても,5年後に預託金が払い戻されなくなる蓋然性があることを認識し,あるいは容易に認識し得たにもかかわらず,これが確実に払い戻される旨の文言を述べた上で原告らに対する各勧誘行為に及んだものである。これは虚偽ないし将来の不確実な事実に関する断定的判断の提供に当たるから,社会的相当性を逸脱し,違法性を有する。
(被告の主張)
ア 出資法違反について
原告らの主張は否認し,争う。本件の預託金は共同の事業のために拠出される金銭ではないから,出資法1条の「出資金」に該当しない。仮に,出資法違反の事実があったとしても,出資法は取締法規であるから,直ちに民事上の違法性と結びつくわけではないし,出資法は従業員を処罰対象から除外しているから,a社の従業員にすぎない被告に民事上の違法性はない。
イ 虚偽ないし断定的判断の提供について
原告らの主張は否認し,争う。
(3)  被告の故意・過失の有無(争点3)
(原告らの主張)
ア 出資法違反について
前記(2)アで述べたとおり,被告が用いた勧誘文言は,出資法ないしその趣旨に違反する違法なものであるから,被告にはかかる違法行為に対する故意ないし過失が認められる。
イ 虚偽ないし断定的判断の提供について
以下で述べるとおり,○○クラブの二次募集の内容や,a社の財務状況等からすれば,同社に支払われた預託金が5年後に払い戻されなくなる蓋然性があり,そのことは,他のテレアポを指導するなど営業における統括的地位にあった被告において容易に認識しえたのであるから,被告には故意ないし過失が認められる。
すなわち,被告が勧誘をしていた二次募集の内容は,前記のとおり,会員にのみ一方的に有利なもので,a社に極めて大きな経済的・金銭的負担を強いるものであった。また,被告は,平成20年11月頃からテレアポへの給与支払いが遅延したこと,平成21年3月頃からa社の未使用ポイントの払戻の遅延に対して顧客からの苦情の電話が多発したこと,同年7月頃には,bホテル内営業所において,a社がどうやって資金繰りをしているのか,会社はつぶれないか,といった話題が出ていたことなどを認識していた。
以上によれば,被告において,○○クラブが慢性的な赤字構造であり,出資者が○○クラブに出資をしても,5年後に預託金が払い戻されなくなるなどの蓋然性があることを認識し,あるいは容易に認識し得たにもかかわらず,これが確実に払い戻される旨の虚偽ないし断定的な文言を述べた上で各勧誘行為に及んだと認められるから,故意ないし過失が認められる。
ウ 保護義務違反について
また,上記イで述べた事情からすると,会員権購入には金銭的リスクを伴うことが明らかであるから,被告において,自らの発する勧誘文言によって相手方に損害が生じないように保護する義務を信義則上負っており,原告らへの勧誘に当たっても,会員権購入が利益を出す根拠とリスクの有無・程度について合理的資料ないし情報に基づいて説明する義務があったところ,被告はかかる義務を怠ったものであり,被告には故意ないし過失が認められる。
(被告の主張)
ア 出資法違反について
否認し,争う。
イ 虚偽ないし断定的判断の提供について
否認し,争う。被告は,テレアポのパートタイム労働者にすぎず,営業における統括的地位にはなかった。被告は,a社の経営状況や財務状況について知らされておらず,これを容易に認識し得る立場でもない。原告らが指摘する給与支払いの遅延や顧客からの苦情の電話はいずれも東京本社の状況であり,被告が勤務していたbホテル内営業所で給料の支払いが遅延するなどしたのは原告らが主張する時期よりも後のことである。
ウ 保護義務違反について
否認し,争う。
(4)  原告らに生じた損害の有無・損害額(争点4)
(原告らの主張)
原告らが,被告の勧誘行為により,下記日時に入会諸費用ないしグレードアップ費用としてa社に支払った下記拠出額(支払方法は括弧書きのとおり)のほか,弁護士費用相当額(拠出額の1割)が損害となる。
ア 原告X1につき,平成21年4月に100万円(振込),同年8月20日に50万円(送金),同月21日に50万円(送金),同月25日に44万5080円(送金)及び255万4920円(振込),同年12月25日に500万円(手渡し)。
イ 原告X2につき,平成21年7月27日に100万円(送金)。
ウ 原告X3につき,平成20年1月25日に10万円(小切手),同月28日に290万円(振込),同年2月12日に200万円(送金)。
(被告らの主張)
原告らの主張はいずれも否認し,争う。
第3  当裁判所の判断
1  前記争いのない事実等,証拠(甲12ないし14,17,20,26,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告が勤務していたbホテル内営業所でテレアポに配布されていたトークマニュアルの内容は,預託金は5年後に全額返還される,会員権は資産の範囲内で口数限定で募集している,万が一の場合には,ホテルを売却してお金を返すことができるなどというものであるところ,同営業所に在籍するテレアポは,これに従って勧誘を行っており,営業員も,テレアポらに対し,上記の点を強調して会員権販売の勧誘をするように指導を行っていた。
(2)  平成21年7月頃以降のbホテル内営業所における状況等は以下のとおりであった。
ア 同月頃,テレアポ同士で,どうやってお金まわしてるのかな,会社はつぶれたりしないよね,などという話題が出るとともに,bホテルの従業員の給料の支払が遅れることがあり,被告らテレアポがbホテルの業務を手伝うことがあった。
イ 同年8月ないし9月頃からは,会員からテレアポに対し,宿泊ポイントの現金化ができないなどの苦情が出るようになった。営業員らからは,久美浜で新事業を始めており,お金がなくなっているとの説明がなされた。
ウ 同年夏頃に,二次募集から三次募集へ募集内容が変更されたが,同年9月頃には二次募集を復活することとされた。
エ 同年12月頃に起きた伊東地方の地震により,bホテルの壁やエレベーター等が壊れた際,直ちに修理が行われず,a社は義援金と称して会員から修理費を募るなどした。平成22年2月頃からは,テレアポの給料の支払が遅れるようになった。
オ bホテル内営業所は,同年3月に閉鎖した。
2  争点1及び4について
(1)  被告の勧誘態様
前記1認定のとおり,bホテル内営業所の各テレアポにはトークマニュアルが配布され,営業員からもそれに則って勧誘を行うように強く指導されていたのであるから,被告のみがトークマニュアルの内容から大きく離れた勧誘を行っていたとは考えがたい。また,Cの供述調書(甲26)に記載された被告の勧誘内容も,資産の範囲内で会員権を募集しており,預託金は確実に返還できるという上記トークマニュアルの内容と整合するものである。
そうすると,被告においても,会員権販売の勧誘相手に対し,会社の経営は順調であり,預託金は5年後に全額返還される,会員権は資産の範囲内で口数限定で募集している,万が一の場合には,ホテルを売却してお金を返すことができるなどの文言を用いて,上記トークマニュアルに従った勧誘を行っていたものと認めるのが相当である(これに反する被告の供述は採用できない。)。
(2)  被告の各原告らに対する勧誘の有無及び態様並びに損害の有無
ア 原告X1について
原告X1は,平成19年7月頃以降,被告から勧誘を受けてブロンズコース及びプラチナコース等に入会し,平成21年4月から同年12月25日にかけて,5回にわたり,合計1000万円をa社に支払った旨主張する。
これに対し,被告は,原告X1にブロンズコースの勧誘を行い,同原告が契約を締結するに至ったことは自認するものの,その余の事実は否認しているところ,原告X1の主張する上記各支払の事実に関する客観的証拠としては預託金の預り証(平成21年12月25日付けの名目額920万円のもの(甲個ハ1の1)と平成22年2月20日付けの名目額80万円のもの(同1の2))があるのみで,必ずしも上記の各支払時期と整合していないばかりか,同原告の陳述書(甲個ハ2及び3)をみても,上記各支払に対応する具体的な勧誘時期及び勧誘内容は明らかにされていない(なお,被告が自認している同原告に対するブロンズコースへの勧誘が,本件で同原告が主張する入会に対応する勧誘であることを認めるに足りる証拠もない。)。
したがって,原告X1の主張する上記各支払に対応する勧誘を被告が行ったと認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。
なお,原告X1は,被告が,平成21年8月25日以降に,同原告に関する情報の引継ぎをBに行ったとし,同原告に送付された入会手続案内(甲個ハ4)にアポインターとして被告の氏名が記載されていることをもって,被告において勧誘行為をBと共に共同し,あるいはこれを幇助したと主張するが,かかる引継ぎの事実を認めるに足りる証拠はないし,入会手続案内に被告の氏名が記載された事実のみをもって被告がBと勧誘行為を共同し,あるいはBの勧誘行為を幇助したと認めることもできない。
よって,原告X1の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
イ 原告X2について
証拠(甲個ニ7)によれば,原告X2は,平成21年7月27日,a社に対して100万円を送金したことが認められる。
そして,原告X2は,上記送金に至る経緯について,同年4月頃より被告から電話勧誘を受け,同年5月16日にはbホテルの体験宿泊に赴いて被告及び営業員であるDと会い,その後も同年7月27日に至るまで多数回にわたる電話勧誘を被告から受け,ブロンズコースに入会した旨供述しているところ,かかる供述は,上記体験宿泊の案内に係る手紙(甲個ニ5)や入会申込等に係る連絡文書(甲個ニ2の1,2)に添えられた被告による加筆部分とも整合している。
そうすると,被告は,同年4月頃から同年7月27日にかけて,前記(1)に認定したとおりの勧誘文言を用いるなどして原告X2に対する勧誘を行い,これにより同原告がブロンズコースに入会し,同日,a社に対して入会諸費用100万円を支払ったと認めることができる。
ウ 原告X3について
原告X3は,平成20年1月頃,被告から電話による勧誘を受け,シルバーコースに入会したと主張するところ,被告の同原告に対する勧誘に係る証拠としては,同原告の妻の陳述書(甲個ホ1)があるのみで,a社に対する送金等を裏付ける客観的証拠も提出されていない。
そうすると,原告X3の主張する被告の勧誘行為及び損害を認めるに足りる証拠はないといわざるを得ないから,同原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
3  争点3について(原告X2関係)
(1)  原告X2は,会員にとってのみ一方的に有利な二次募集の内容,被告が用いていた勧誘文言,a社の財務状況等からして,被告において,○○クラブが慢性的な赤字構造にあり,同原告への勧誘時点で5年後に預託金の返還等を実施できない蓋然性があることを認識し,あるいは容易に認識し得たと主張する。
しかし,前記争いのない事実等によれば,被告は,bホテル内営業所で働くテレアポにすぎず,a社の経営に関与する立場にはなかったと認められるから,a社の資産及び負債並びに損益の状況,返還予定の預託金の保全状況等について詳細に認識していたとは考えられないし,そのような事情を容易に認識し得る立場にあったとも考えられない。また,被告は,より上位の立場にある営業員らから,会員権は資産の範囲内で口数限定で募集している旨の説明を受けていたと認められるところ,被告においてかかる営業員らの説明内容を疑わせるような事情を認識していたとも認められない。
ところで,確かに,前記1認定のとおり,bホテル内営業所において,平成21年7月頃には,テレアポ同士で,会社の資金繰りに関する話題が出たり,bホテルの従業員の給料の支払が遅れたりしたこと,同年8月ないし9月頃には,会員から宿泊ポイントの現金化ができないなどの苦情が寄せられたこと,同年夏頃に三次募集へ募集内容が変更されたにもかかわらず,同年9月頃には二次募集を復活することとされたことなどが認められ,被告もこれらの事実を認識していたと推認することができる(なお,原告X2は,東京本社等における事情を指摘し,被告においても上記事情等を早期の段階で認識していた旨主張するが,bホテル内営業所で勤務していたテレアポ等の供述調書の内容等に照らし,採用できない。)。
しかし,同年7月頃にテレアポ同士で話題となった内容は上記のとおりの抽象的なものにすぎず,a社の財務状況が悪化していることを具体的に示す徴表とはなり得ないし,bホテルの営業状況は,○○クラブないしa社の財務状況や預託金の保全状況等に関する認識と直ちに結びつくものでもない。そして,前記2(2)イで認定したとおり,原告の被告X2に対する勧誘行為が行われたのは同月27日までであるから,同年8月以降の事情は過失の評価根拠事実たりえない。
そうすると,原告X2への勧誘時点において,5年後に預託金の返還等が実現できない蓋然性があることを被告が認識し,あるいは認識し得たと認めることはできず,被告に故意ないし過失があったということはできない。
(2)  また,原告X2は,会員権購入に金銭的リスクを伴うことは明らかであるとして,自らの勧誘文言によって相手方に損害が生じないように保護する義務が被告にあったとも主張するが,上記(1)で判示したとおりの被告の認識に照らせば,そのような義務が被告にあったと認めることもできない。
なお,原告X2は,被告の勧誘につき,出資法違反に関する主張もしているが,仮に○○クラブの会員権販売に出資法違反が認められたとしても,それが個人の権利保護を目的とする民事不法行為上の違法性等に直ちに結びつくものではないし,被告の従業員という立場や上記認識状況等にも鑑みると,被告の勧誘行為に違法性ないし故意・過失があったと認めることはできないから,原告X2の上記主張を採用することもできない。
(3)  したがって,原告X2の請求は理由がない。
4  結論
よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,これをいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 茂木典子 裁判官 森下宏輝 裁判長裁判官土田昭彦は,転官につき署名押印することができない。裁判官 茂木典子)

 

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