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「成果報酬 営業」に関する裁判例(75)平成19年 1月19日 東京地裁 平18(ワ)13935号 退職金等請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(75)平成19年 1月19日 東京地裁 平18(ワ)13935号 退職金等請求事件

裁判年月日  平成19年 1月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)13935号・平18(ワ)14332号
事件名  退職金等請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2007WLJPCA01198016

要旨
◆労働審判手続で審判がなされ、当事者双方が当該審判に異議を申し立てて訴訟に移行した事案で、被告が経営する健康予防管理を業とする医療施設に看護師として勤めていた原告の退職金及び未払賃金の請求につき、退職金については当事者間の退職前の交渉状況、被告の原告に関する退職金の税務上の処理などの状況証拠から退職金の合意の存在、額及び支払期日を認定し、未払賃金については、被告が報酬規定に基づいて控除したとするものの、当該規定が当事者間で労働契約の内容となっておらず、被告が原告の同意なく一方的に減額したものであることを認定した上で、原告の請求をいずれも認容した事例

参照条文
労働基準法2条
労働基準法24条

裁判年月日  平成19年 1月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)13935号・平18(ワ)14332号
事件名  退職金等請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2007WLJPCA01198016

東京都港区〈以下省略〉
原告 X
上記訴訟代理人弁護士 徳住堅治
同 梅田和尊
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 四谷メディカルサロンこと

上記訴訟代理人弁護士 佐々木敏雄

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,1027万6500円及び内金27万6500円に対する平成17年7月26日から同年10月31日まで年6パーセントの割合による金員,同内金に対する平成17年11月1日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員及び内金1000万円に対する平成18年1月1日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
3  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
主文と同旨
第2  事案の概要
本件は,被告が経営する四谷メディカルサロンに看護師として勤めた末に退職したことから,退職の際に被告と退職金に関する合意をしたことを理由に当該合意額から既払金を控除した残額である1000万円を請求するとともに,原告が勤務時間前の講話を欠席したことを理由に在職中の平成17年6月分の給与から被告が一方的に賃金を減額して支給したとして,同月分の未払賃金を請求した事案である。
これに対して,被告は,原告が主張するような退職金に関する合意はしていないこと,賃金については報酬制度規定に基づいて計算した結果により全額支給済みであり未払賃金は存しないとして,原告の請求をいずれも争っている。
1  争いのない事実
(1)  被告は,新宿区四谷において,健康予防管理等を業とする四谷メディカルサロンを個人で営み,同サロンの院長をしている。
原告は,四谷メディカルサロンが設立されたころの平成4年8月1日当時から看護師として被告に雇用され,平成17年10月末日に同サロンを退職した。
(2)  原告は被告に対して,平成17年9月ころ退職届を提出し,同年10月末日をもって四谷メディカルサロンを退職した。その際に原告は被告に対して退職金を支払うように要求した。
(3)  平成17年12月30日,被告は原告に対して,原告名義の銀行口座に259万円を振り込んだ。
(4)  平成18年1月末ころ,原告はA税理士(以下「A税理士」という。)のところに行き,退職金の源泉徴収票をもらった。その源泉徴収票には,「支払金額」欄に1300万円,「源泉徴収税額」欄に41万円と記載されていた。
(5)  原告の四谷メディカルサロンにおける毎月の給与は,労働金額(労働時間×時間給)+売上報酬であった。
(6)  原告の平成17年6月の労働金額は21万5040円,売上報酬は55万3000円であった。
(7)  平成17年6月1日午前9時から30分程度被告が行った講話を原告が欠席したことを理由として,被告は,原告の6月売上報酬を50パーセントカットし,6月売上報酬を27万6500円として計算し,同年6月分給与を支払った。
(8)  四谷メディカルサロンにおける原告の労働時間は午前10時から午後7時であり,前同日,原告は講話だけを欠席し,午前10時から通常の業務に就いた。
(9)  四谷メディカルサロンにおける給与は,毎月末日締め翌月25日払いである。
2  争点及びこれに対する当事者の主張
(1)  原被告間における退職金に関する合意の有無及び額
【原告の主張】
原告が,平成17年11月,被告に対して退職金の支払いを催促したところ,被告はもう少し待てと原告に対して言った。その後,同年12月下旬になって,原告が被告に対して,退職金はいくらもらえるかと聞いたところ,被告は原告に対して,退職金は勤続年数が13年なので1年100万円として合計1300万円を支払う,支払いは平成17年12月末日にするとの合意をした。そして,その合意の際に,原告は被告から,源泉税があるのでA税理士から退職金の源泉徴収票をもらい確定申告をするように言われた。
原告が平成18年1月末日ころにこれを取りに行ったところ,その源泉徴収票には,「支払金額」欄に1300万円,「源泉徴収税額」欄に41万円と記載されていた。
よって,かかる源泉徴収票から,被告が原告に対して,退職金として1300万円を支払う旨の合意があったことは明らかである。
【被告の主張】
平成17年10月ころ,原告から被告に対し退職の申出がなされた。同時に原告は被告に対し今までの「将来の退職金より今の収入」を要求していた立場から掌を返したように,「退職金が欲しい」と要求してきた。
平成17年11月ころ,被告は原告から「退職後においても,ずっとパートで働き続ける。だから,それを考慮した退職金を頂きたい」という申し出を受けた。この申出を受けた被告は最終的に下記条件を原告に提示した。
① 原告は定年退職の年齢までパートで働き続ける。
② 60歳定年とすると,平成15年6月以後の勤続年数26年になり,退職時給与を約50万円と想定し,退職金額は1300万円(50万円×26年)とする。
③ 原告が要求する300万円はこの一部として現時点で支払う。
④ 1300万円のうち残余の1000万円は原告が60歳になるまで被告が指定する関連法人に預託する(年利1パーセント)。
⑤ もし,原告が60歳までパートで働かない場合,預託された1000万円は違約金として没収する。
原告は回答を保留し,被告がこの条件を記した提案書を持ち帰った。
原告は,平成17年12月29日に至り,突然被告宛に「実家が大変なことになっているので,大至急,259万円のお金を振り込んで欲しい。振り込んでくれたら,あの提案書のとおりにする」と電話で要請してきた。
被告は「では,予定では,1259万円の全額を振り込んだ上で1000万円を私に振り込み返して有限会社メディカルサロンマネージメントへの貸付金にすることになっているが,私のほうで最初から259万円と1000万円に分けて処理するがそれで良いか?」と尋ねたところ,原告は「それでいいです。」と言ってきた。そこで被告は翌日12月30日に259万円を原告宛に振り込むと同時に,提案書のとおり,残額の1000万円は有限会社メディカルサロンマネージメントに振り込み,原告からの借入金(預託金)として経理処理をなした。
上記の処理に従い,四谷メディカルサロンの通帳から,原告に対する退職金1259万円が引き出され,そのうち1000万円が有限会社メディカルサロンマネージメントに入金されている。
被告が259万円を振り込んだ後,原告からは全く連絡がなく,原告の居場所も不明になった。「60歳までパートで働き続ける」という原告の約束が不履行の状態となった。
以上のとおり,被告は原告が一旦退職した後,60歳まで被告のもとでパート勤務するという条件で60歳までの退職金として1300万円を支払っている。
このうち1000万円は有限会社メディカルサロンマネージメントが原告から預かり,原告が退職後もパート勤務をし,かつ60歳に達したときに原告に返還されることになっているものである。
(2)  平成17年6月分の給与における未払賃金の有無及び額
【原告の主張】
原告は,平成17年6月は30分程度の講話を1度欠席したのみである。被告がそのことだけを理由として原告の給与を一方的に,しかも,売上報酬の50パーセントである27万6500円もの金額を減額したことは明らかに違法である。更に,講話を欠席した他の者には何らの処分もないのに,原告のみを一方的に処するは明らかに不合理な差別的取扱であり,この点からも,被告の原告に対する一方的な給与の減額が違法であることが明らかである。
【被告の主張】
付加給としての成果報酬は乙第6号証のとおり規定され,平成17年5月に全従業員に周知され,平成17年6月1日より全従業員に対し,厳格,公平に実施されている。これに基づいて平成17年6月に原告が獲得した最終成果報酬は,27万6500円であり,被告はその全額を原告に支払っているから,当月の未払賃金はない。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(退職金請求)について
(1)  原告は,被告との間に退職金を1300万円とする合意があったことに基づいて本件退職金請求をしており,被告は,その主張からすると,原告と単に退職金を1300万円とする合意をしたのではなく,退職後60歳まで四谷メディカルサロンにパート勤務することを条件に1300万円の退職金額とし,内300万円を原告が直ちに受け取り,残り1000万円は一旦被告が原告に支給した後に関連会社である有限会社メディカルサロンマネージメントに原告が預託することとし,当該条件を守らない場合には預託した上記1000万円を没収する旨合意したという,しかるに原告が当該合意後職場に出勤しなかったので上記1000万円は合意に従い没収され,300万円分は退職金額1300万円についての源泉所得税徴収金額である41万円を控除した既に259万円を支払い済みであるから退職金に関する未払はない旨主張しているものと思われる。
(2)  そこで検討するに,原告が平成4年8月1日から被告の経営する四谷メディカルサロンの従業員であったものを平成17年10月末に退職したことは当事者間に争いのない事実であるところ,本件は原告が上記退職の後に被告といかなる合意が退職金についてあったかということが争点となる。
末尾記載の各証拠によれば,以下の事実を認定することができる。
ア 被告は,平成17年12月30日,三井住友銀行の「四谷メディカルサロン Y」名義の口座から現金1259万円を引き出している。(乙3の1,2)
イ そして,同日付で1000万円が関連会社である有限会社メディカルサロンマネージメントに現金で振り込まれている。(乙4の1,2)
ウ また,同日付で被告は,原告の口座に259万円を振り込んでいる。
エ 他方,被告は,平成18年1月16日,原告を含めた職員の給与の所得税の源泉徴収分とともに,原告の退職手当として1300万円を計上し,当該手当の源泉徴収分として41万円を国税に納付している。(乙5)
オ その結果,原告には,平成17年分の退職所得の源泉徴収票として,勤続年数14年,すなわち平成4年8月1日から平成17年10月31日までの勤務分に対する退職金として1300万円が支払われ,そのうちから41万円の源泉徴収がなされたことになっている。(甲2)
(3)  上記認定事実に前記争いのない事実及び弁論の全趣旨を総合すると,原告と被告との間には,原告が四谷メディカルサロンを退職する際の退職金に関して,1300万円とする合意のあったことを有効に認定することができる。
すなわち,原告が平成17年12月末ころに被告と退職金について1300万円の合意があった旨主張しているのに対して,被告が,(ア)退職する10月ころに原告から退職金の要求があり,さらに同年11月ころに被告が一定の条件を提示したとしており(争いあない事実(2),弁論の全趣旨),当該条件内容には退職金額を1300万円とする金額の符合が見られること(弁論の全趣旨),(イ)被告は税務申告において被告から原告に対して1300万円の退職金を支給したことを前提に所得税の源泉徴収による41万円の納税をしていること(上記認定事実エ,オ,争いのない事実(4),甲2,乙5),(ウ)実際に被告は平成17年12月30日に四谷メディカルサロンの被告名義の口座から1259万円を引き出し,同日そのうち259万円を原告の口座に振り込んでいること(上記認定事実ア,ウ,争いのない事実(3),甲1,乙3の1,2)といった各事実を認定することができる。
このような両当事者の当時の言動において符合する点,被告の税務申告における届出内容及びそれに対応する金銭の動きからすると,原被告間には平成17年の12月中に原告の退職金につき1300万円とすることの合意,そして当該支給期日を平成17年12月末日とすることの合意があったものと有効に推認することができるものというべきである。
(4)  これに対して,被告は,原告の退職金につき単純な1300万円の合意ではなく,原告が四谷メディカルサロンに60歳までパートで勤めることを条件としたものであることを主として主張し,証拠としては乙第2号証を提出し,被告本人はその内容に沿う供述をしている。
しかしながら,乙第2号証については合意書面の体裁ではなく被告の原告に宛てた文書であり,作成の日付も明らかでなく,原告はこのような書面を退職金要求交渉の過程で見たことがない旨供述していること(原告本人【3,4頁】)からすると,真に乙第2号証のような内容で退職金に関する合意が当事者間で成立したものと認定することは難しく,この点に関する被告本人の供述もこれに原告が真っ向から背反する供述(原告本人【3頁】)をしている状況からすると,客観的な裏付けに欠けるものとしてにわかに信用することができないものといわなければならない。
また,被告は,同人が主張する条件付合意の内容を裏付けるものとして,年末に原告から至急259万円のお金を振り込んで欲しい旨の要請があったこと,その際に被告が乙第2号証と同内容の条件提示をしたところ最終的には原告がこれに同意したこと,そのため被告は当該合意の条件内容に従って退職金1259万円を引き出し,内259万円を原告に支払い,1000万円は一旦原告に支払った上で貸付金として被告の関連会社である有限会社メディカルサロンマネージメントに入金したことを主張し,これを裏付ける証拠として乙第2ないし第4号証(各枝番号を含む)を提出し,被告はこれに沿った供述をしている。
しかしながら,被告の条件付合意の主張を裏付ける証拠として乙第2号証が不十分であることは前記のとおりであり,金銭の動きを示す乙第3,4号証によっては当該合意の内容を的確に裏付けることはできず,被告本人の供述部分にも前記のように原告がこれに反する供述をしている状況からするとこれを客観的に裏付ける証拠に乏しいものとして与することはできない。
ところで,そもそも被告が主張するような条件付合意が認定できないのであれば,原告が主張する退職金を1300万円とする合意そのものも立証できていないと考える余地もあるかもしれない。しかし,被告主張の条件自体は法律行為の付款として被告が立証責任を負っているものであり,原被告間における原告の退職金の額を1300万円とする合意と常に一体であるとは考える必要のないものであることからすると,必ずしもそのようにはいえないものというべきである。また,被告が取り上げる中小企業退職金共済からの原告の退職金に関する中途解約による返戻金126万円に関する主張あるいは被告が新宿に新たなサロンを展開するのに資金繰りが必要であったなどとする事情に関する主張が,上記に認定判断したところに消長を来すものとも考えられない。
(5)  したがって,原告の本件退職金につき被告が原告に対して合意に基づく契約によって支給する義務を負っているのは1300万円から源泉徴収の上所得税を控除した1259万円のうち,既払いの259万円を控除した残りの1000万円であるということになる。そして,前記認定事実及び証拠に照らすと,当該金員を被告は原告に対して平成17年12月31日限りで支払う約束であることが有効に推認できるので,当該金員の遅延損害金は平成18年1月1日以降年6パーセントとなる。
2  争点(2)(未払賃金)について
(1)  原告は,平成17年6月の勤務分の売上報酬の50パーセントを被告が一方的に減額したのは違法無効であると主張し,被告は,乙第6号証の規定に基づいて原告の当月の売上報酬の額は27万6500円に有効に確定しているので未払はないと主張していることからすると,乙第6号証の「運営系スタッフの成果報酬制度」なる被告が規定と主張するものが,使用者である被告と労働者である原告との間で有効に労働契約の内容になっているかどうかが争点となるものと考えられる。
(2)  そこで検討するに,前記争いのない事実,末尾記載の証拠及び弁論の全趣旨によると以下の事実を認定することができる。
ア 被告が経営する四谷メディカルサロンは,平成4年の当初は被告が大学院在学中に四谷に健康管理の指導を中心とする診療所を開設して始まり,開設当初から原告は当該診療所で勤務していた。(被告本人【1,2頁】)
その後,被告は,平成12年ころから健康食品の製造開発としてサプリメントの事業を始め,この間に名古屋,大阪,六本木,新橋等に店舗を展開し,現在では17店舗,従業員は70人から80人くらいを擁するに至っている。(甲4,被告本人【4,5頁】)
四谷メディカルサロンでは月初めに1回,被告が講話の時間を設けて従業員らに話をしていた。(原告本人【11頁】,被告本人【22頁】)
原告は,6月1日の講話(当日の始業時刻である午前10時以前である午前9時に実施される30分から1時間程度のもの)に欠席した。(争いのない事実(7)(8),甲3,原告本人【11頁】)
イ 四谷メディカルサロンにおいては,就業規則と銘打った規程類が見当たらない。(被告本人【7頁】)
同サロンでは原告を含む従業員の勤務時間は午前10時から午後7時までである。(争いのない事実(8))
ウ 原告が請求している本件未払賃金は平成17年6月分のものであるところ,被告の主張によっても乙第6号証の成果報酬制度の書面は平成17年6月1日から実施するものとされている。(弁論の全趣旨)
エ 被告作成の個人給料計算表による原告の平成17年6月分の給与は,売上報酬の支給額が27万6500円となっており,同計算表の欄外に「X6月1日AM9:00の講話欠席のためYDrの指示により6月売上報酬を50%(\276,500-)カットした。」と表記されている。(甲3)
オ 原告の平成17年6月分の労働金額(労働時間×時間給)は21万5040円であり,売上報酬は55万3000円であるところ,現実の支給額は売上報酬につき半額の27万6500円が控除されている。(争いのない事実(5)(6),甲3)
(3)  上記認定事実からすると,原告が勤務するところの被告が経営する四谷メディカルサロンには従業員を規律する明文の就業規則がなく,原告と被告との間の労働契約の内容は当事者間の合意によって規律されているものと考えるのが相当である。
ところで,上記認定事実によれば,原被告間では平成17年6月分の給与のうち売上報酬としての原告の取り分は本来55万3000円であるところ,原告が平成17年6月1日に被告が実施した講話に欠席したことを唯一の理由に6月分の売上報酬の50パーセントを減額している。
しかし,原告と被告との間においては,平成17年6月の本来の取り分である売上報酬から半分を減額あるいは売上報酬自体を半分にする旨の合意がなされた形跡は見受けられない。
してみると,被告は当月の原告の売上報酬である本来的取り分55万3000円を原告に支給すべき債務を負っていたところ,原告の同意なしに一方的にこれを半分に減らして27万6500円として支給したことになる。
(4)  この点,被告は,乙第6号証の成果報酬制度規定が四谷メディカルサロンにおける従業員を拘束するものであることを前提に,この規定に従うと上記のように原告が6月1日の講話に欠席したことにより成果報酬が本来の受取額の50パーセントになる旨主張する。
しかしながら,乙第6号証の制度規定が従業員に周知徹底されたかどうかが証拠からは明らかではなく,また,そもそも被告がこれが就業規則に該当するものと主張する趣旨かどうか定かではないものの,従業員の代表者の意見を聴取した形跡も窺われず,労働基準監督署に届け出た様子もない以上就業規則としての体裁を有するものとは考えられない。そうだとすると,各従業員との間で労働契約の内容とするには,これに関する明示ないし黙示の各労働者個々人の同意が必要となるか,あるいは,当該制度内容が労使間の慣行になっていなければならないところ,少なくとも原告の同意のあった事実は窺われず,当該制度が原告が請求している平成17年6月勤務分の当月から発効しているという被告の主張に照らしても労使慣行化している実態がないことは明らかである。
それゆえ,乙第6号証の制度内容が原被告間の労働契約の内容となっているものとする被告の主張は,前提を欠くものとして採用できない。
他に,本件証拠上,当月分の原告の成果報酬を半分にすることを合理的に根拠付けることのできる事情は見当たらない。
(5)  したがって,被告は,原告に対して,平成17年6月分の給与のうち27万6500円が未払いとなり,争いのない事実(9)によれば,被告の原告に対する同月分の給与は同年7月25日に支給されるものゆえ,同月26日から遅滞に陥っていることになる。そして,賃確法6条,同法施行令1条により原告が退職した日の翌日である平成17年11月1日からは上記未払金額に年14.6パーセントを乗じて得た金額の支払義務を被告は負うことなる。
第4  以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 福島政幸)

 

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