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「成果報酬 営業」に関する裁判例(52)平成25年 4月17日 東京地裁 平23(ワ)25425号 損害賠償請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(52)平成25年 4月17日 東京地裁 平23(ワ)25425号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成25年 4月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)25425号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(原判決一部変更、追加的予備的請求一部認容)  文献番号  2013WLJPCA04178007

要旨
◆原告訴訟被承継人会社が、訴外株式会社との間のSearchEngineOptimization(SEO)サービス契約に関して、訴外株式会社の同サービス事業部門を譲り受けて本件SEO契約上の義務を承継した被告会社及び同契約締結当時訴外株式会社の担当者でその後に原告訴訟被承継人会社と労働契約を締結した被告Y1に対し、本件SEO契約上の債務不履行又は詐欺、被告Y1による虚偽説明等を主張して、本件労働契約の締結自体が不法行為に当たり、また、本件労働契約上の義務違反、損害賠償を求めるとともに、被告Y1に対し、原告訴訟被承継人会社の本件サイトに関する訴外有限会社との間の売買契約の締結させた後に同社の取締役に就任して同契約を解除させた行為は背任に当たるとして、損害賠償を求めた後、原告が原告訴訟被承継人会社を吸収合併した事案において、本件SEO契約を締結する際に被告Y1が用いた数値に関して、同人は説明義務の履行を怠り、訴外株式会社を承継した被告会社は使用者責任を負うとし、請求を一部認容した事例

裁判経過
控訴審 平成25年10月 2日 東京高裁 判決

参照条文
民法96条
民法415条
民法709条
民法715条

裁判年月日  平成25年 4月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)25425号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(原判決一部変更、追加的予備的請求一部認容)  文献番号  2013WLJPCA04178007

東京都渋谷区〈以下省略〉
ウェブインベスティゲーション株式会社訴訟承継人
原告 合同会社JPN技研
同代表社員 A
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告 ディーエムソリューションズ株式会社(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 B
東京都練馬区〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
被告ら訴訟代理人弁護士 髙井信也

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して金29万6697円及びこれに対する平成20年10月1日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを25分し,その24を原告の,その余を被告らの負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,原告に対し,連帯して金628万2795円及びこれに対する平成20年1月23日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
2  被告Y1は,原告に対し,金191万1337円及びこれに対する平成20年9月30日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  原告訴訟被承継人ウェブインベスティゲーション株式会社(以下「WI社」という。)は,ウェブサイトの企画,作成等を目的とする会社であり,平成24年8月1日,原告に吸収合併された(甲1,53)。
WI社の主たる事業は,消費者金融会社のサービスを比較できる機能を持つウェブサイトを運営し,当該サイトを閲覧した一般ユーザーが,当該サイト上に広告を出稿している企業から商品を購入したり,購入の検討のための資料の取寄せなどをした場合に,当該広告主の企業から広告収入を得るというものであった(争いがない)。
2  被告会社は,ウェブサイトの企画,製作等を行う会社である。同被告は,平成20年6月ころに,ネクストウォーク株式会社(以下「NW社」という。)から,後述するSEOサービス事業を譲り受け,NW社がWI社に対して負う契約上の義務も承継した(争いがない)。
3  WI社は,平成20年1月,NW社との間で,SEOサービス契約を締結した(以下,「本件SEO契約」という。)。「SEO」とは,「Search Engine Optimization」の略であり,「SEOサービス」とは,SEO業者が,自らのサイトへのアクセス数を増やしたいと考えている顧客の依頼を受け,一般ユーザーが特定のキーワードを検索エンジンで検索したとき,その顧客のウェブサイトが上位表示されるような手法・技術を提供するサービスをいう。本件SEO契約におけるNW社の担当者は,被告Y1であった(争いがない)。
4  NW社を退職した被告Y1は,5月,WI社との間で労働契約(以下「本件労働契約」という。)を締結した(争いがない)。
5  WI社は,被告Y1の仲介により,9月,有限会社インフィニティエステート(以下「IE社」という。)との間で,同社のサイト「キャッシング比較マニア」を157万5000円で売買する契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した(甲16,乙7)。
第3  争点及び当事者の主張
1  本件SEO契約上の債務不履行又は詐欺
(1)  本件SEO契約を締結する際,被告Y1は,Aに対し,「キーワード『キャッシング』によって検索エンジン上で10位に掲載された場合,貴社のサイトに対して,月間約6万回のアクセスが見込め,月間300回程度の申込みが見込めます。この申込数を前提として,申込客1人につき貴社の広告収入を1万5000円と仮定すると,最低でも月間450万円程度の売上げが見込めます。当社に100万円のSEOサービス代金を支払うとして,350万円程度の粗利が見込めます」などと提案した。
(2)  被告Y1がAに交付した提案書(以下「本件提案書」という。)には,検索順位が20位以内に入った場合は,WI社のサイトへのアクセス数が4600回程度,検索順位が10位以内に入った場合は,WI社のサイトへのアクセス数が9300回程度上昇すると記載されており,NW社は,本件SEO契約上のサービスとして,WI社のサイトへのアクセス数を相当程度上昇させる義務を負っていた。
(3)  平成20年8月3日(以下,平成20年については月日のみで表記する。)から同月22日までの間,ヤフーにおいて,キーワード「キャッシング比較」で検索された場合のWI社のサイトの検索順位が10位以内となったが,この期間のアクセス数は72回にすぎなかったのであり,被告会社は,アクセス数を相当上昇させる義務を履行しなかった。また,被告Y1は,虚偽の説明をして本件SEO契約を締結させたのであるから,詐欺による不法行為に当たる。
被告らには,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任が成立する。
(被告らの主張)
被告Y1は,原告の運営するサイトが検索結果の上位に表示される見込みがあると説明することはあっても,必ず上位に表示されると説明することはない。
また,被告Y1が,SEOサービスの義務の内容である「検索結果の順位」以外の「アクセス数」,「申込み」,「売上げ」,「粗利」について断定的な見込みを述べることもない。本件提案書の数値はあくまでも目安であり,やってみないと分からないと説明している。
被告会社が本件SEO契約に基づいて負っていた義務は,検索順位を上昇させる努力義務であって,アクセス数を上昇させる義務は負っていないし,詐欺にも当たらない。
2  虚偽説明による不法行為責任
(原告の主張)
(1) 本件提案書には,キーワード「キャッシング」による検索は月間60万0641回あり,本件サービスを受けることで,WI社のサイトが検索エンジン上で1位から5位に掲載された場合,月間12万0129回のアクセスが,6位から10位に掲載された場合,月間6万0065回のアクセスが,11位から20位に掲載された場合,3万0033回のアクセスがあると記載されていた。
1位から20位までのアクセス数を合計すると約126万回となって,上記の約60万回を大幅に上回るのであり,本件提案書には虚偽の内容が含まれている。
また,8月3日から同月22日までの間,ヤフーにおいて,キーワード「キャッシング比較」で検索された場合のWI社のサイトの検索順位が10位以内となったが,グーグルでの検索順位は上昇しなかった。本件提案書にはこの点でも虚偽の内容が含まれている。
(2) したがって,被告Y1が虚偽の記載を含む本件提案書を用いてWI社に本件SEO契約を締結させた行為は,不法行為に当たる。また,本件SEO契約締結は被告会社の業務としてされたものであるから,被告会社には使用者責任が成立する。
(被告らの主張)
本件提案書記載の検索数は,以下の手法により客観的に算出されたものであり,虚偽ではない。
① 月間検索数のデータは,Overture社のキーワードアドバイスツールで取得した。同社の後継サービスにおける,キーワード「キャッシング」の平成23年9月の検索数は40万回であり,60万0641回とわずかな差である。
② アクセス数の合計については,消費者が訪問するのは平均5サイトというデータを参考にして,控えめの数値として検索数の2倍とした。
3  本件労働契約の締結自体の不法行為,労働契約上の義務違反
(原告の主張)
(1) 被告Y1が,当初からWI社の利益ではなく,被告会社の利益のために行動する意図を秘して,WI社との労働契約を締結したのであり,本件労働契約の締結は不法行為に当たる。
(2) 労働契約上の義務違反
ア 被告Y1は,本件労働契約上,労働契約書で指示されたWI社のサイトを検索結果の上位に表示させる義務を負っていた。しかし,同被告は,WI社に対し,同年6月26日には「私がサイトの修正の対応をすることは難しいと思います」などと連絡し,同年9月21日には「□□」「などの対策も中止します」と連絡し,上記義務を履行しなかった。
イ Aは,同年8月下旬,WI社のサイトのヤフーでの検索順位が10位以内になったにもかかわらず,アクセス数が72回しかなかったため,自社サイトが検索エンジンに認識されないよう設定をしたが,被告Y1は,この設定を解除した。
ウ 被告Y1は,Aから指示され,FFFTPツールを使用しての売却サイトのデータをIE社へ引き渡す義務を負っていたのに,これを履行しなかった。
(3) 被告Y1は,被告会社の利益を図るために上記各行為に及んだのであり,被告会社には,使用者責任が成立する。
(被告らの主張)
(1) 被告Y1は,5月ころ,NW社の経営が悪化したため,自分で生計を立てる必要があり,Aに対し,本件SEO契約対象サイト以外のサイトについて個人的にコンサルティングをしたいと打診した。そして,本件労働契約書に記載された9つのサイトについて,月額10万円で,検索エンジンのマーケティングを行った上でSEO対策を施すこととなった。本件労働契約は,被告Y1がNW社在籍中に締結されたのであり,Aは,業務範囲を棲み分けて契約関係が併存することを承知していた。
(2)ア 同被告が負っていた義務は,WI社の9つのサイトにSEO対策を施すことに限られていたのであり,同被告がWI社から依頼されたサイトのデザイン変更を断ったことは義務違反ではない。また,9月19日,WI社は同被告に対し,懲戒解雇する旨の通知をしており,それ以降はWI社と同被告の契約関係は解消された。
イ 被告Y1が,Aが行った設定を変更したのは,何かの手違いが起きたと考え,WI社のサイトが検索エンジンに認識されるよう設定変更を行ったにすぎない。
ウ 被告Y1は,サイトのデータをCD-ROMに落とすための前提としてFFFTPを用いてダウンロードすることを引き受けたのであり,そのデータをIE社に引き渡す作業はAが行うこととされていた。
4  背任に基づく債務不履行又は不法行為
(原告の主張)
(1) 被告Y1は,本件労働契約上,WI社のサイトを売買する義務を負っていた。被告Y1の仲介により,WI社とIE社との間で,同年9月17日,本件売買契約が締結されたが,被告Y1は,同月16日,WI社に連絡することなくIE社の取締役に就任し,同社に働きかけて,同月30日,上記契約を解除させた。
被告Y1の行為は背任であり,債務不履行又は不法行為に当たる。
(被告らの主張)
WI社とIE社の契約が解除されたのは,WI社の不備によるものであり,被告Y1の行為との間に因果関係がない。被告Y1は,IE社の取締役会に出席したこともない。被告Y1が負っていた義務は,WI社の9つのサイトにSEO対策を施すことに限られていたのであり,サイトを売買する義務はなかった。
5  損害
(原告の主張)
(1) WI社は,1月18日,NW社に対し,初期費用として,10万5000円を支払った。また,WI社は,3月から11月までの間に,NW社及び被告会社に対し,合計110万1963円を支払った。この合計額120万6963円は上記1の債務不履行による損害であり,上記2の虚偽説明による不法行為による損害でもある。
(2) WI社は,本件SEO契約上のサービスを利用して運営することを前提として,合計323万0625円で他社からウェブサイトを購入した。これは上記1の債務不履行等による損害であり,上記2の虚偽説明による不法行為による損害でもある。
(3) WI社は,被告Y1が在籍していた時期を除けばAが1人で運営していた会社であるところ,上記1の債務不履行等,上記2,3の不法行為により,Aが被告Y1との打ち合わせや同被告への業務上の指示その他の対応に費やした機会費用が,WI社の損害となった。喪失した機会費用は,Aの1か月分の報酬70万円である。
(4) 上記3の不法行為により,WI社が被告Y1に支払った平成20年5月から9月までの賃金の内,月額基本給10万円の4か月分である40万円が損害となった。
(5) 被告Y1の妨害行為がなければ,上記4の債務不履行等により,WI社は売買代金157万5000円を得ることができたはずであり,同額の損害を被った。また,Aは,サイト売買契約解除に伴いIE社に代金を返還した際,融資を受け,事務手取扱手数料,保証料,支払利息,払込指図手数料の合計33万6623円がWI社の損害となった。
(6) WI社は,本件訴訟提起を弁護士に委任したので,上記(1)から(5)の合計額744万9211円の1割に当たる74万4921円の弁護士費用相当額の損害を受けた。
(7) 被告らが上記2の不法行為によって負う損害賠償債務は,WI社が本件SEO契約を締結した1月23日に遅滞に陥る。また,被告らが上記3の不法行為によって負う損害賠償債務は,検索順位を上位に表示させる義務を履行しなかった9月21日に遅滞に陥る。さらに,上記4の債務不履行等に基づく損害賠償債務は,被告Y1がIE社との契約を解除させた9月17日に遅滞に陥る。
(8) よって,原告は,被告らに対し,債務不履行又は不法行為に基づき,被告Y1に対し,上記(1)から(6)の合計額819万4132円のうち628万2795円及びこれに対する1月23日から支払済みまで年6%の割合による遅延損害金を連帯して支払うよう求め,被告Y1に対し,残額191万1337円及びこれに対する9月30日から支払済みまで年6%の割合による遅延損害金の支払を求める(なお,被告Y1のみに対する請求分は,上記4の債務不履行等による損害157万5000円と33万6623円の合計額の一部請求と考えられる。また,被告らに連帯して支払を求める部分全額が1月23日に遅滞に陥るとする根拠,債務不履行責任において履行補助者である被告Y1が責任を負う根拠,不法行為に基づく損害賠償債権の遅延損害金利率が年6%である根拠はいずれも不明である。)。
(被告らの主張)
NW社が,WI社から,初期費用として10万5000円の支払を,被告会社が,WI社から,6月分として2万7999円,8月分として40万6451円の支払を受けたことは認めるが,WI社のサイトの順位が本格的に上昇したのは,8月からであるから,それ以前の支払は,本件SEO契約とは別の支払であったとみるべきである。
6  過失相殺
(被告らの主張)
Aは,被告Y1の説明を聞けば,本件提案書記載の数字が目標指標であって,結果を保証するものではないことが容易に理解できるのに,そのように誤信したことに過失がある。過失相殺率は9割とすべきである。
第4  当裁判所の判断
1  前提となる事実
(1)  Aは,被告Y1からSEO契約の勧誘を受け,平成19年12月24日,被告Y1と会い,本件提案書に基づいた説明を受けた。そして,Aは,他のSEO業者の採用も検討したが,翌年1月23日,本件SEO契約を締結した(甲45,原告代表者本人)。
(2)  本件SEO契約の主たる内容は次のとおりである(甲6,被告Y1本人)。
ア サービス内容
① キーワード毎,ヤフー又はグーグル10位以内表示達成の日から課金を開始する。
② ヤフー又はグーグル10位以内表示達成の日の翌月1日から6か月契約
③ 10位以内達成の月から,月間で10位以内を達成した日数分のみ順位に応じた課金が発生する。
イ サイト変更作業費用の単価5万2500円が2口。
ウ SEO成果報酬キーワード費用
① 対象サイト「www.○○○.com」,キーワード「キャッシング」
単価(1位から5位)月額126万円,単価(6位から10位)月額84万円
② 対象サイト「www.△△△.com」,キーワード「キャッシング比較」
単価(1位から5位)月額63万円,単価(6位から10位)月額42万円
(3)  本件提案書は,NW社がWI社のニーズに合わせてSEO契約を締結すれば,どのような結果が見込めるのかを説明した文書である。
その中の「投資対効果」のページにおいて,キーワード「キャッシング」の場合,検索順位が10位ならば,月間検索回数が62万0016回,予想月額費用が100万円,予想アクセス数が6万2002回,予想成約数が311回,客単価が1万5000円,広告費用回収率が467%になるという記載がある。上記の予想アクセス数は,検索回数に10%を乗じたものであるが,この10%の根拠は特にない(なお,その他のページでもクリック率が10%である旨の記載がある。)。そのほかのキーワードについてもそれぞれ数値は違うものの,予想アクセス数が検索回数の10%ないし20%であることや,成約率が5%であることを前提とした記載がされている(甲5)。
(4)  WI社は,NW社に対して,本件SEO契約の初期対策費用として1月18日に10万5000円を支払い,その後,同月23日に30万円を,2月22日に45万円を,3月17日に46万4482円を,4月17日に12万1935円を,5月28日に25万2000円を,6月18日に27万9096円を支払った(甲20,40)。
(5)  WI社は,4月28日,Cが権利を有する「□□」等のサイトを150万円で購入し,5月31日,Cが権利を有する「キャッシング比較」等のサイトを150万円で購入した(甲22,24)。
(6)  WI社と被告Y1は,5月25日,主たる内容を次のとおりとする労働契約を締結した(甲11)。
ア 職務の内容は,検索エンジンマーケティング及びウェブコンサルティング
イ 対象サイトは,9サイト(本件SEO契約対象サイトとは別のもの)
ウ 勤務時間は月30時間以上
エ 基本給は10万円(契約日の翌日を起算日として30日毎に支払う)
オ 対象サイト運営成果報酬手当は,売上粗利の10%
カ サイト売買成果報酬手当は,売買利益の5~10%
(7)  WI社は,被告Y1に対し,本件労働契約に基づき,5月26日,6月24日,7月24日に,各9万6500円,8月25日に15万9327円を支払った(甲26)。
(8)  被告Y1は,6月26日,Aに対し,サイトの修正は労働契約書の業務範囲ではないので対応するのは難しい,とメールで連絡した(甲12)。
(9)  WI社は,7月23日,被告会社に対し,本件SEO契約の6月分の維持費用として,2万7999円を支払った(甲7,26)。
(10)  8月のヤフーにおける,キーワード「キャッシング比較」によるWI社サイトの検索順位は,1位2回,2位9回,3位6回,6位2回,7位1回であった。なお,同月のヤフーにおけるアクセス数は証拠上明らかではない。また,同月のグーグルにおける,キーワード「キャッシング比較」によるWI社サイトのアクセス数は72回であり,検索順位が100位以内に入ったことはなかった(甲8~10)。
(11)  Aは,8月,本件SEO契約対象サイトのアクセス数が予想より著しく下回ったとして,被告Y1に連絡することなく,対象サイトを検索エンジンに認識されないようにする措置をとった。その後,被告Y1は,対象サイトを検索エンジンに認識させる措置を取り直した(甲13,14)。
(12)  被告会社は,8月29日,WI社に対し,同月分の維持費用として40万6451円の請求をした。同額は,支払日である9月30日にそれまで支払っていた金員から充当されたと認められる(乙4,原告代表者本人)。
(13)  被告Y1は,9月16日,IE社の取締役に就任した(甲15)。
(14)  WI社とIE社は,同年9月17日,本件売買契約を締結した(甲16)。
(15)  WI社は,9月19日ころ,被告Y1に対し,本件SEO契約対象サイトを検索エンジンに認識されない措置をとったのに,被告Y1がそれを妨害したとして,6万円余りの損害賠償請求と,応じない場合は懲戒免職処分等を検討する旨を通知した(甲13)。
(16)  被告Y1は,9月21日,Aに対し,「A様がどういうお考えかわかりませんので,キャッシング比較マニアの件の仲介,または契約の白紙を含めて一旦中止にさせて頂きます」,「他のサイトのSEO対策などの対策も中止します」とメールで連絡した(甲17)。
(17)  IE社は,10月1日,WI社が契約書所定の第三者に対する十分な説明がされていないなどとして本件売買契約を解除するとともに,売買代金の一部として支払済みの78万7500円を返還するよう求めた(甲19)。
(18)  WI社は,10月7日,日本振興銀行から200万円を借り入れた(甲29)。
2  争点1(本件SEO契約上の債務不履行等)
上記1(2)で認定したとおり,本件SEO契約の内容はヤフー又はグーグルにおける検索順位が基準となっており,アクセス数については内容となっていない。したがって,被告会社が本件SEO契約上の内容としてWI社のサイトへのアクセス数を相当程度上昇させる義務を負っていたとする原告の主張は前提を欠く。
また,本件提案書の内容が虚偽とまで認めるに足りる証拠はないので,詐欺の主張も認められない。
3  争点2(虚偽説明による不法行為)
(1)  約126万回というアクセス数は,60万回という検索数を2倍したものであって,根拠を欠くものとはいえない。また,本件提案書には,キーワード「キャッシング」の合計検索数60万0641回の内訳が,ヤフー38万7510回,グーグル21万3131回とヤフーの検索数が上がればグーグルの検索数もある程度上がるような記載があるが,本件SEO契約の内容はヤフー又はグーグルの検索順位を基準にしており,ヤフーでの検索順位が上がればグーグルの検索順位も上がるということは前提にしていないので,本件SEO契約と併せて読めば,必ずしも両検索エンジンで順位が上がる趣旨とは読み取れないのであって,虚偽記載とはいえない。
(2)  上記(1)のとおり,原告が虚偽説明による不法行為として主張するところは採用できないのであるが,原告は,争点1において,本件SEO契約締結過程における被告Y1の説明も問題視しており,この点も,説明義務違反として主張しているものと解することができる。
ところで,本件提案書には,上記1(2)のとおりの記載があるところ,予想アクセス数が特段の根拠がないものであることは被告Y1が認めており,予想成約率5%を裏付ける証拠も提出されていない。このような希望的観測に基づく数値を用いる場合は,そもそも,提案書の記載を幅のある数値にすべきであり,断定的な数値を用いる場合は,被告Y1としては,検索回数は実績値を基にしているが,アクセス数には特に根拠がなく,アクセス数から計算される,成約数や粗利もあくまで希望的な数値であることを説明すべきであったといえる。
被告Y1は,本件SEO契約を締結する際,Aに対して,「検索回数はOverture社のデータをもとにして,アクセス数,クリック率はSEO業界でそのとき言われていたようなものを参考にした」と,アクセス数,クリック率も実績に基づくかのような説明をしており(被告Y1本人),上記の説明義務の履行を怠ったと認められるので,不法行為責任が成立する。また,被告Y1の行為は,NW社の業務上のものであり,NW社は使用者責任を負い,被告会社がそれを承継したので,被告会社は使用者責任を負う。
4  争点3(本件労働契約)
(1)  上記1(6)で認定したとおり,本件労働契約は,契約内容自体から被告Y1にWI社への専念義務を課す契約とは認められないし,Aも兼業が前提とされていたことを認めている(原告代表者本人)。また,本件労働契約書上に被告Y1が同様の業務を行うことを禁止する条項はない。したがって,被告Y1が被告会社の従業員の地位を保持したまま本件労働契約を締結しても,それをもって不法行為に当たるとはいえない。
(2)ア  被告Y1は,6月26日にサイトの修正の対応が困難である旨メールで連絡しているが,その後もそのことが問題にされることなく,本件労働契約は継続されていたことからすれば,上記の点について被告Y1に義務違反があったとは認められない。また,被告Y1は,9月21日にSEO対策を中止する旨の連絡をしているが,そのためにWI社にどのような損害が生じたかは立証されていない。
イ  Aは,被告Y1に連絡せずにWI社のサイトの設定を変更していたのであるから,Aが行った設定を被告Y1が変更したことに故意も過失も認められない。
ウ  IE代表者とAとの間で,IE社へのデータの引渡しはAが行うこととされたのであり(甲49の2),被告Y1に義務違反は認められない。
(3)  したがって,争点3について,被告Y1に損害賠償責任は認められない。
5  争点4(背任)
上記1(16)で認定したとおり,被告Y1は,9月21日に本件売買契約を白紙にすると述べていたことに加え,IE社代表者がAに対し,個人的には何とかしたかったが取締役会で本件売買契約の解除が決定されたと述べていたこと(甲18)に照らすと,被告Y1がIE社の取締役会で本件売買契約の解除を主張した可能性は認められる。しかしながら,解除によりWI社に売買目的のサイトの権利が返還されたのであり,売買代金相当額の損害は生じていない。また,WI社の日本振興銀行からの借入れがIE社への代金返還のためであったかどうかも立証されていない。
したがって,争点4についても被告Y1の損害賠償責任は認められない。
6  損害
上記3で認定したとおり,被告らはWI社に対して説明義務違反に基づく不法行為責任(以下「本件不法行為」という。)を負うので,因果関係のある損害について検討する。
まず,WI社が本件SEO契約に基づいて支払った10万5000円及び2万7999円,40万6451円は,本件不法行為と因果関係のある損害と認められる。他方,WI社のNW社に対するそれ以外の支払は本件SEO契約に基づくものかどうかが明らかでないので,本件不法行為との因果関係が認められない。
また,WI社がCに支払ったサイト売買の代金等については,そのサイトを本件SEO契約の対象とするための措置が行われた形跡がなく,本件不法行為との因果関係が認められない。そして,原告の主張する喪失した機会費用と本件不法行為の具体的な因果関係は不明というほかない。
7  過失相殺
本件SEO契約がWI社にとって自己の中核的な業務に関する契約であるところ,本件提案書に記載がある利益率は明らかに過大であったから,Aは,被告Y1にさらに資料を求めたり,他のSEO業者の提案を比較するなどして,本件提案書の数値の信憑性を慎重に検討すべきであったといえるし,勧誘を受けてから契約締結に至るまで約1か月あったのだから,検討にかける時間も十分にあったといえる。
したがって,WI社には,本件SEO契約を締結したことに過失が認められるのであって,過失相殺率は,WI社も業者であることから5割をもって相当と認める。
8  被告らが負担すべき損害額及び遅延損害金の起算日
以上によれば,被告らが負担すべき損害額は,上記6で認定した損害合計円に弁護士費用相当額(WI社は,弁護士に委任して本件訴訟を提起した。)の1割を加え,過失相殺率5割を乗じた29万6697円と認められる。
また,遅延損害金の起算日は,本件不法行為による損害のうち最後のものが発生した9月30日の翌日である10月1日とするのが相当である。
9  よって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由がある。
(裁判官 松山昇平)

 

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