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「成果報酬 営業」に関する裁判例(48)平成26年 1月29日 東京地裁 平24(ワ)26025号 損害賠償等請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(48)平成26年 1月29日 東京地裁 平24(ワ)26025号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成26年 1月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)26025号・平24(ワ)33097号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件一部認容  文献番号  2014WLJPCA01298016

要旨
◆原告が、被告Y2が執筆し、被告Y1社が発行した雑誌及び書籍に掲載された記事によって名誉を毀損されたとして、被告Y1社に対し、謝罪広告の掲載、本件雑誌及び書籍の発行の差止め並びに取次店及び書店からの回収並びに慰謝料の支払を求め(第1事件)、被告Y2に対し、謝罪広告の掲載及び慰謝料の支払を求めた(第2事件)事案において、本件書籍等の発行当時、不特定多数の者が、本件記事中の人物は原告を指すと特定できたといえ、本件記事中の各記載はいずれも原告の名誉を毀損するものであるとした上で、情報商材業界において詐欺行為が横行していること等を訴える本件各記載の内容に公共性、公益目的は認められるが、同記載の重要部分につき真実性ないし真実相当性は認められず違法性は阻却されないと判断し、慰謝料額150万円及び弁護士費用15万円の損害を認めたが、謝罪広告の掲載等は不要として、各事件に係る各請求を一部認容した事例

参照条文
民法709条
民法710条
民法723条

裁判年月日  平成26年 1月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)26025号・平24(ワ)33097号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件一部認容  文献番号  2014WLJPCA01298016

平成24年(ワ)第26025号 損害賠償等請求事件(以下「第1事件」という。)
平成24年(ワ)第33097号 損害賠償等請求事件(以下「第2事件」という。)

東京都千代田区〈以下省略〉
第1事件・第2事件原告 X(以下「原告」という。)
同訴訟代理人弁護士 髙木薫
東京都千代田区〈以下省略〉
第1事件被告 株式会社Y1(以下「被告Y1社」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 芳賀淳
東京都中野区〈以下省略〉
第2事件被告 Bこと Y2(以下「被告Y2」という。)

 

 

主文

1  被告Y1社及び被告Y2は,原告に対し,連帯して165万円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,第1,第2事件を通じてこれを15分し,その1を被告Y1社及び被告Y2の負担とし,その余を原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
(1)  被告Y1社は,被告Y1社が発行する雑誌「a」及び被告Y1社のウェブサイト(http://〈省略〉)に,別紙1記載の謝罪広告を同別紙の掲載条件で各1回掲載せよ。
(2)  被告Y1社は,別紙2書籍目録記載の書籍1及び書籍2を発行してはならない。
(3)  被告Y1社は,別紙2書籍目録記載の書籍1及び書籍2を取次店及び書店から回収せよ。
(4)  被告Y1社は,原告に対し,2200万円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  第2事件
(1)  被告Y2は,被告Y1社が発行する雑誌「a」に,別紙3記載の謝罪広告を同別紙の掲載条件で1回掲載せよ。
(2)  被告Y2は,原告に対し,2200万円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,被告Y2が執筆し,被告Y1社が発行した雑誌及び書籍に掲載された記事によって,名誉を毀損されたと主張して,被告Y1社に対し,民法723条に基づく原状回復として,被告Y1社が発行する雑誌及びそのウェブサイトへの謝罪広告の掲載,同条の類推適用又は人格権に基づく妨害排除として,前記雑誌及び書籍の発行の差止め並びに取次店及び書店からの回収並びに民法709条,710条に基づく損害賠償として,2200万円及び前記雑誌の発行日である平成24年4月24日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(第1事件),被告Y2に対し,民法723条に基づく原状回復として,被告Y1社が発行する雑誌への謝罪広告の掲載並びに民法709条,710条に基づく損害賠償として,2200万円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(第2事件)事案である。
2  前提事実(証拠等により容易に認定できる事実については,末尾に証拠等を記載した。)
(1)  当事者
ア 原告は,コンサルティング業,執筆業をしている者である。(弁論の全趣旨)
イ 被告Y1社は,雑誌,書籍,新聞の編集,発行等を目的とする株式会社であり,雑誌「a」を発行,販売している。(弁論の全趣旨)
被告Y2(以下,被告Y1社と併せて「被告ら」という。)は,フリーライターであり,「a誌」の執筆者プロフィールにおいて,ジャーナリスト,週刊誌記者として紹介されており,「B」というペンネームを用いている。
(2)  本件書籍等の発行
被告Y1社は,平成24年4月24日,別紙2書籍目録記載の書籍1(乙40。以下「本件書籍」という。)を発行し,同年5月10日,本件書籍を改訂し,文庫化した別紙2書籍目録記載の書籍2(以下「本件文庫」といい,「本件書籍」と併せて「本件書籍等」という。)を発行した。(甲1,2(枝番を含む。),乙40)
(3)  本件記事及び本件各記載
ア 本件書籍等には,被告Y2がB名義で執筆した「情報商材 詐欺まがいの商材が横行 ネット恐喝事件まで発生! 情報商材業界の怪しい舞台裏」と題する別紙4記載の記事(以下「本件記事」という。)が掲載されていた。本件記事は,投資,ギャンブルなどのノウハウや裏技と称してインターネットで売買される「情報商材」という商品と,これをインターネット上に掲載し,その販売者と購入者との間の代金決済を代行する業務を行う「アフィリエイト・サービス・プロバイダ」(以下「ASP」という。)と呼ばれる業者に関するものであり,固有名詞は仮名を使用してレポートするとした上で,情報商材の販売と批判とを同時に展開する人物として,C(以下「C」という。)を紹介し,その活動について記述するものであった。(甲1ないし3(枝番を含む。),乙3,8,40)
イ 本件記事には,Cに関する以下の記載(以下,個別に「本件記載(ア)」のようにいい,本件記載(ア)ないし(コ)を併せて「本件各記載」という。)がある。(甲1ないし3(枝番を含む。),乙40)
(ア) 「「(中略)詐欺罪で摘発されたことで懲りたCは,今度は詐欺師の上前をはねることをビジネスにしようとしたのでしょう」(同)」(「(同)」は,業界関係者の談話であることを示すもの。以下同じ。)
(イ) 「「(中略)Cは,同社が出している商材のファイルを示しながら『ひどい商材を出しているねえ』などと話を切り出し,右翼の名刺をチラつかせながら,顧問契約を迫りました」(同)」
(ウ) 「自分の正体がバレたためか,Cはフリージャーナリストや探偵を雇って,b社幹部の経歴を洗い,当時の経営者を退任にまで追い込んでいる。」
(エ) 「b社以外のASP叩きも次々と行なったが,攻撃に耐えられず,会社を売却せざるを得なくなった経営者もいるという。」
(オ) 「Cは言論を武器に業界の頂点に君臨していたと言える。そして,増長したCは,顧問先のc社からさらにカネをむしろうと画策し,両者の関係は冷え込んでいった。」
(カ) 「dサイトでも,c社の弁護士や幹部の家族まで名指しで攻撃され,」
(キ) 「「Cがよく使っていた脅迫文句の1つに『海外サーバーにアップするぞ』というのがあります。(中略)」(同)」
(ク) 「さらにCは新たにASPを立ち上げ,c社の主要な販売者であるDを引き抜いて顧問契約も結び,みかじめ料を取り立てているという。Dはc社の売り上げの大半を稼ぐ大物詐欺商材師だったが,」
(ケ) 「Cが行った行為は「ネット恐喝」とでもいうべき犯罪であり,許されるものではない。」
(コ) 「Cに庇護された詐欺師グループの勢いはまだ衰えていない。」
3  争点及び争点に関する当事者の主張
(1)  本件記事中のCは原告を指すと特定することができるか(争点1)。
(原告の主張)
ア 本件記事においては,原告の氏名ではなく,Cという仮名が用いられるとともに,会社名,商品名についても仮名が用いられている。しかし,本件記事の仮名は次のとおり実際の会社名等との対応関係があり,別紙5「比較一覧表」記載のとおり,本件記事の内容が原告の属性及び原告を取り巻く環境とほぼ一致していることからすれば,原告の関係者にとってCが原告を指すことは明らかである。
(本件記事の記載) (実際)
情報商材新聞社 e株式会社(以下「e社」という。)
情報商材新聞 f紙
情報商材大全集 「g」
b社 株式会社h(以下「h社」という。)
c社 株式会社i(以下「i社」という。)
イ また,被告Y2は,同人のブログにおいて,原告の前科を実名で公表し,原告が企業恐喝を企てている等の記事や本件書籍等の紹介及び情報商材に言及した記事を掲載した。被告Y2のブログは,原告や被告Y2の氏名でインターネット検索をすると検索結果の最上位に表示されることから,誰にでも閲覧される可能性が極めて高い。さらに,「c社」「C」の単語でインターネット検索をすると,「○○」と題するブログが表示され,同ブログでは本件記事と同内容の記事が掲載されていた。
したがって,被告Y2の関係者や被告Y2のブログを閲覧した者,さらに単にネットビジネスや情報商材に関心がある者にとっても,Cは原告を指すと特定することができることは明らかである。
(被告らの主張)
本件記事は,関係者も商品名も匿名であると明記した上で執筆されており,本件記事の中には,原告の氏名はもちろんのこと,原告との関係を示す記載は存在しない上,本件記事のb社,c社と同一ないし類似する商号を有する企業は多数存在する。また,本件記事は,被告Y2がB名義で執筆したものであって,被告Y2の氏名は表示されず,被告Y2は本件書籍等に別の記事を実名で執筆し,被告Y2のブログにおいても本件記事のことは何ら触れられていないから,被告Y2のブログを閲覧した者が本件記事と原告とを結びつけて考えることはない。
したがって,本件記事中のCが原告を指すと特定することはできない。
(2)  本件各記載は原告の名誉を毀損するか(争点2)。
(原告の主張)
本件各記載は,一般の読者の普通の注意と読み方を基準とした場合,原告が,右翼団体の名刺をチラつかせたり,「海外サーバーにアップする」などの脅迫文言を用いるなどして関係者を恐喝し,大物詐欺師との間で顧問契約を締結し,詐欺師グループを庇護し,詐欺師グループの上前をはねることをビジネスとしているかのような印象を与えるものであるから,原告の社会的評価を著しく低下させ,原告の名誉を毀損することは明らかである。
(被告らの主張)
本件書籍等は,情報商材業界を含むIT産業の儲けのカラクリやビジネスモデルを解説するとともに,その実態を暴くことを目的とし,本件記事も,本件書籍等の目的に沿って,情報商材業界の儲けのカラクリ,ビジネスモデル,業界の内幕を明らかにしたものであって,匿名化しているとおり,原告を批判することを目的としたものではないから,本件各記載は原告の名誉を毀損するものではない。
(3)  本件各記載の執筆及び公表について違法性が阻却されるか(争点3)。
(被告らの主張)
ア 公共性,公益目的について
本件記事は情報商材業界の内幕を紹介するとともに,その一例として,詐欺罪の前科のある原告が情報商材業界の関係者に対してネット上の激しい攻撃を加えることを背景として利益を上げた事例を指摘した上で,それを「ネット恐喝」ともいうべきものとして論評する内容となっているのであるから,本件記事の内容は公共の利害に関する事実に当たり,公益を図る目的で執筆,公表されたものである。
イ 真実性,真実相当性について
(ア) 本件記載(ア),(オ),(カ)及び(ケ)について
本件記載(ア)の「詐欺師」はi社を指すが,原告は,i社を脅迫して,原告が実質的に経営する株式会社j(以下「j社」という。)との間でコンサルティング契約を締結させ,月額200万円という高額の報酬を取得し,i社がこれを解除した後は,e社が運営するウェブサイトに,i社は行政処分を受けた詐欺会社であり,計画倒産をもくろんでいるとの記事や,その役員や弁護士,情報商材の販売者を攻撃する記事を掲載してi社を攻撃する一方,j社は,i社及びその実質的経営者であるE(以下「E」という。)に対し,未払のコンサルティング報酬及びi社の関係会社の経営権譲渡に関する損害賠償として1億6000万円の支払を求める訴えを提起し,訴訟外の和解により7000万円を取得したものであり,このような事実を踏まえて,本件記載(ア),(オ),(カ)及び(ケ)のとおり,原告が詐欺師の上前をはね,ネット恐喝ともいうべき犯罪行為をしたものと論評したのであるから,その内容は真実である。
(イ) 本件記載(イ)について
原告は,Eに対し,会社や自宅近辺で街宣車やジャーナリストを使って嫌がらせをするぞなどと言って脅迫し,右翼団体の名刺を示して,コンサルティング契約の締結を強要したものであり,j社とi社及びEとの間の訴訟におけるEの陳述書にはその旨の記載がある。したがって,本件記載(イ)の内容は真実である。
(ウ) 本件記載(ウ)について
原告は,株式会社k(以下「k社」という。)の代表取締役であるF(以下「F」という。)を通じて,被告Y2に,情報商材ビジネスは詐欺商法,悪質商法であるとしてh社を攻撃し,その代表取締役であるG(以下「G」という。)の経歴疑惑を取り上げる記事を書かせて,Gを退任させた。したがって,本件記載(ウ)の内容は真実である。
(エ) 本件記載(エ)について
原告は,青森県八戸市に本店があるl株式会社(以下「l社(八戸市)」という。)に対しても執拗な取材を行い,そのため,その運営するウェブサイトの運営者が,埼玉県久喜市に本店がある株式会社m(以下「m社(久喜市)」という。)に代わったのであるから,本件記載(エ)の内容は真実である。
(オ) 本件記載(キ)について
原告は,企業等に対して攻撃を加える際,「海外サーバーにアップする」などと述べて圧力を加える方法を用いていたのであるから,本件記載(キ)の内容は真実である。
(カ) 本件記載(ク)及び(コ)について
原告は,H(以下「H」という。)と顧問契約を結び,Hから売上げの一部を取り立てているが,Hが「nサイト」というASPのサイトで販売している情報商材は詐欺商品であるから,本件記載(ク)及び(コ)の内容は真実である。
(キ) 以上のとおりであるから,本件各記載の内容が真実であることは明らかであり,仮に真実でないとしても,被告らにおいて,それを真実であると信じるについて相当な理由がある。
(原告の主張)
ア 公共性,公益目的について
本件記事が執筆されたのは原告と被告Y2との間の名誉毀損に係る別件の民事裁判の係属中であったこと,被告Y2が遅くとも平成23年12月28日までには原告から名誉毀損の刑事告訴を受けたことを認識していたこと,被告Y2は「○○」とのブログに本件記事と同内容の記事を掲載し,加えて,「vサイト」と題するウェブサイトを作成し,原告が企業恐喝を行っているかのごとき記事を掲載していたことからすれば,本件記事は,専ら原告に対する被告Y2の個人的な感情ないし自己保身の目的で執筆されたものであって,公共の利害に関するものではなく,公益を図る目的で執筆及び公表されたものでもない。
イ 真実性,真実相当性について
原告が,右翼団体の名刺を示したり,「海外サーバーにアップする」などの文言を用いて恐喝を行ったこと,h社に対して攻撃を加えたこと,大物詐欺師と顧問契約を締結したり,詐欺師グループを庇護し,詐欺師グループの上前をはねることをビジネスとしていたことはなく,本件各記載の内容については,具体的な裏付けが一切ない。
したがって,本件各記載の内容が真実ではないことはもちろんのこと,被告らにおいて,それが真実であると信じるについて相当な理由がないことも明白である。
(4)  原告が被った損害及びその救済方法(争点4)
(原告の主張)
ア 原告は,本件各記載の公表により多大な精神的苦痛を被ったほか,その対応に苦慮し,有形無形の損害を被った。原告の損害を回復するには,原告について事実と異なる評価を有するに至った読者及びその伝播者に対し,事実に反することを周知徹底する必要があるから,被告Y1社が発行する「a誌」及び同社ウェブサイトに被告らの謝罪広告を掲載することが不可欠である。
イ また,被告Y1社が,本件書籍等の発行を継続したり,既に発行された本件書籍等の回収をしなければ,本件書籍等が販売されることにより原告はさらなる精神的苦痛を被ることを強いられるから,本件書籍等の差止め並びに取次店及び書店からの回収を行うことも不可欠である。
ウ 加えて,原告が被った多大な精神的苦痛を慰謝するに足りる慰謝料としては,少なくとも2000万円を下らず,原告は,被告らの不法行為により,原告訴訟代理人に本件訴訟の提起,遂行の委任を余儀なくされたから,弁護士費用相当額200万円の損害が発生し,これらの合計は2200万円である。
(被告らの主張)
原告の主張は争う。
第3  争点に対する判断
1  争点1(本件記事中のCは原告を指すと特定することができるか。)について
(1)  前記第2の2判示の事実並びに証拠(甲1ないし5(枝番を含む。),8,15,25,28,33,乙1,4,10,12ないし20,26,27,40,58ないし60)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。
ア 本件記事には,Cに関し,Cが元詐欺師であって,10年ほど前に被害金額が数十億円に上る巨額詐欺事件で摘発され,実刑判決を受けたこと,Cが関係する情報商材新聞社は,人気商材のダイジェスト版である「情報商材大全集」を発行して業界関係者に衝撃を与え,さらに,同新聞社は「情報商材新聞」という無料メールマガジンを発行して,業界を代表するASPであるb社が取り扱う商材を批判し,さらに,b社自体や同社の経営陣を激しく非難したこと,他方,CはASP中堅のc社と報酬月額200万円及び売上げに応じた成果報酬という内容の顧問契約を締結し,同社とM&Aの交渉を行ったが,それが破談になると,c社に対し,顧問契約の打切りとM&Aの破談が契約違反に当たるとして,1億数千万円の損害賠償請求訴訟を提起し,かつ,c社のビジネスを詐欺と批判するメールマガジンを配信するとともに,その幹部の私生活や,弁護士や幹部の家族まで攻撃し,その結果,c社はCとの和解を余儀なくされ,攻撃中止と引換えに7000万円を支払ったこと,Cのこの行為はネット恐喝とでもいうべき犯罪であることが記載されている。
イ 原告は,e社を実質的に経営し,「e社I1」又は「w会I1」と名乗り,また,o株式会社(以下「o社」という。)の相談役として「I2」という名を使用し,さらに,遅くとも平成19年12月頃からj社の実質的な経営者であり,相談役「I3」と名乗っていた。
ウ 原告は,主婦3人に約13万円のテープ起こしの内職の研修教材を売り,約40万円を騙し取ったという疑いで,平成15年1月に逮捕され,平成17年5月頃に詐欺・特定商取引法違反の有罪判決が確定した。当時の新聞報道では,被害の総額は19億円又は24億円とされていた。
エ o社は,「g」と題する多数の情報商材のダイジェストを紹介しながら批評する電子書籍を販売するとともに,「f紙」と題するメールマガジンを配信し,平成19年9月頃から,「o株式会社編集部 I2」の文責により,情報商材のASP最大手であるh社が取り扱う情報商材について「詐欺商材である」「特定商取引法違反である」などの批判を展開し,h社自体や同社の代表取締役であるGを激しく非難した。
オ j社は,平成20年5月22日頃,情報商材のASPであるi社との間で,i社及び同社支配企業の経営,業務,法令遵守に係る助言及び業界の市場分析の遂行の委託によりi社の業務拡大と経営の安定,消費者の保護に資することを目的とする経営コンサルティング契約(以下「本件コンサルティング契約」という。)を締結したが,その報酬は月額200万円及びi社の販売額に応じた成果報酬とされていた。さらに,原告及びj社は,平成22年2月21日頃,i社及びEとの間で,情報商材のASPであるp株式会社(以下「p社」という。)の全株式の買収及び経営権獲得に関する交渉業務の委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結した。
カ i社は,平成22年3月4日付け原告及びj社宛ての通知書により,本件委託契約が委任の目的を達し得ないことを理由に終了した旨通知し,さらに,同月29日付け原告及びj社宛ての通知書により,本件コンサルティング契約を解除する旨通知した。
キ e社は,平成22年9月頃から,同社が配信する「□□」と題するメールマガジンにおいて,「詐欺被害者20万円【i社】返金請求」「大阪府和泉市のE代表(34)詐欺グループi社 〈自称ネットベンチャー〉が日本全国に詐欺情報商材を販売詐欺被害は年間30億円を上回る模様。」との記載を繰り返し掲載するとともに,同年10月から平成23年4月頃までの間,上記メールマガジン等において,i社及び関連会社とこれらの会社の役員の実名を挙げて批判する記事や役員の家族に関する記事を掲載し,また,インターネット上で協力者を募集して,i社を通じて情報商材を販売している者を個別に取材して追及する企画等を掲載した。また,e社は,同じ頃,i社とその関連会社の経営者らの顔写真の入った「犯行証拠公開第1弾」と題する特設サイトに「情報商材組織詐欺 i社・副業出版グループ」などの表題で,「i社は行政処分を受けた詐欺会社であり,計画倒産を目論んでいる」との趣旨の記事を掲載した。さらに,インターネット上のdサイトなどの掲示板には,i社の代理人である弁護士について,i社の代理人を受任したことを激しく批判する内容の記事が多数掲載された。
ク j社は,コンピュータシステムに関するコンサルティング等を目的とする株式会社q(以下「q社」という。)とともに,平成22年11月26日,i社及びEを被告として,本件コンサルティング契約に基づく未払報酬及びp社の経営権譲渡がi社とEの責任で不調に終わったことによって被った損害の賠償として合計1億6000万円の支払を求める訴えを提起した(以下「別件訴訟」という。)。
ケ 別件訴訟の当事者及び原告は,平成23年6月1日,訴訟外で,以下の内容の和解(以下「別件和解」という。)をした。
(ア) i社及びEは,j社及びq社に対し,両者の請求内容及び主張一切を認め,解決金として,j社に対して6000万円,q社に対して1億円(合計1億6000万円)の連帯支払義務があることを認める。
(イ) 原告が実質的な経営を行うe社がi社及びEに対して行った取材活動において,i社及びEは原告に抗議を行い,原告は真摯に受け止め遺憾の意を表明する。
(ウ) j社,q社及び原告並びにi社及びEは,別件訴訟においてi社及びEが主張する原告の同人らに対する脅迫行為等一切の不法行為がなかったことを確認する。
(エ) i社及びEは,j社及びq社に対し,前記(ア)の解決金のうち7000万円を分割して支払い,j社及びq社は,上記金員が支払われたときは,前記(ア)の解決金の残額合計9000万円の支払義務を免除する。
(オ) e社の実質的な経営者である原告は,前記(エ)の分割金が支払われることを条件として,e社が運営するウェブサイト上のi社及びEに関する一切の記事を削除し,今後再び掲載を行わないこと等を約束する。
(カ) j社,q社及び原告並びにi社及びEは,本合意成立前の事柄について互いに刑事その他一切の処分を求めないものとする。また,既に被害届及び刑事告訴を提出している場合は,速やかに一切取り下げる。
コ 情報紙「r」の平成23年3月25日号には,「姿なきネット犯罪者たちの群像を追う! ネットを巧みに利用した企業恐喝グループ 事件の指令はネットジャーナリストたちが」との記事が掲載されたが,同記事には「Xが,かつて,(中略)「起業家情報センター」(中略)の代表取締役をしていた」との記載や「ネット恐喝の司令塔は前科2犯の男」の見出しの下に「X一味・一派が執拗にサイバー・ネット攻撃を,i社とE社長に集中したことによって,巧妙に狡猾に巨額の金品を巻き上げようとしている意図は明白である。」「ことに,黒幕のXは,ネット創生期に同様手口で詐欺・恐喝まがいの事件の主役をつとめたことで検挙された「前科2犯」の前歴がある。」との記載があった。
サ 被告Y2は,「△△」と題するブログ(以下「被告Y2ブログ」という。)において,平成23年5月21日付けで,「i社攻撃で姿を現した「ネットジャーナリスト」X」との記事(以下「本件ブログ記事」という。)を掲載し,原告を「g」,e社,j社,s社の実質的経営者であるとし,前記コの記事の一部の画像を掲載し,さらに,平成15年1月の新聞記事を引用して,内職紹介詐欺事件で,宮城県警が起業家情報センター社長である原告について詐欺と特定商取引法違反の疑いで逮捕状を取ったこと,同県警は,全国で約2万7000人,約19億円にのぼるとみられる被害の全容解明を進めるとしていたことを紹介した。さらに,平成23年5月23日付けの「X・VS・h社」との記事では,原告が,現在,i社に対する攻撃をしているが,以前は情報商材ASP最大手のh社への攻撃も熾烈を極め,h社は原告について恐喝容疑で警察署に被害届を出し,受理されたことを紹介していた。
(2)  上記認定事実によれば,本件記事中のCに関する記載の内容は,かつて被害金額の総額が数十億円に上る詐欺事件で摘発され,実刑判決を受けたこと,Cが関係する会社が商材のダイジェスト版を発行し,かつ,メールマガジンで業界最大手のASPを激しく非難したこと,Cが中堅のASPと報酬月額200万円及び売上げに応じた成果報酬を内容とするコンサルティング契約を締結したこと,Cが同ASPに対して1億数千万円の損害賠償請求訴訟を提起するとともに,同社及びその弁護士や幹部の家族までネットで激しく非難したこと,和解によって7000万円を取得したこと,以上の点で,原告に関する事実と極めてよく合致しているから,原告の経歴やその行動を知る者であれば,Cは原告を指すものと特定することができるというべきである。しかも,原告の前科や行動については,平成23年3月25日号の情報誌で「X」というイニシャルで報じられた後,被告Y2は,同年5月21日付けの本件ブログ記事により,その人物が原告であることを記載していたのであり,これを考慮すれば,本件書籍等が発行された当時,不特定多数の者が,本件記事中のCが原告を指すと特定することができたものと認められる。
(3)  前記認定に関し,被告らは,本件記事は,関係者も商品名も匿名であると明記した上で執筆されており,原告の氏名や原告との関係を示す記載は存在せず,本件記事のb社,c社と同一ないし類似する商号を有する企業は多数存在するから,本件記事中のCが原告を指すと特定することはできない旨,また,本件記事は被告Y2がB名義で執筆したものであって,被告Y2は本件書籍等に別の記事を実名で執筆し,被告Y2ブログでも本件記事のことは触れられていないから,被告Y2ブログを閲覧した者が本件記事と原告とを結びつけて考えることはない旨主張するけれども,不特定多数の者が本件記事中のCが原告を指すと特定することができると認められる理由は,前記(2)判示のとおりであって,Cと原告の前科や行動内容が極めてよく合致し,しかも,原告についてイニシャルを用いた記事が掲載された後に,被告Y2はそれが原告を指すことをブログに記載していたことによるのであるから,b社,c社と同一ないし類似する商号が多数存在し,また,本件記事がB名義で執筆されていることをもって,前記(2)の認定を左右するに足りるものとはいえず,他に前記(2)の認定を左右するに足りる証拠はない。
2  争点2(本件各記載は原告の名誉を毀損するか。)について
(1)  特定の記事の内容が他人の名誉を毀損するものかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準としてその記事の意味内容を解釈して,その記事が当該他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかにより判断するのが相当である。
(2)  以下,本件各記載について,Cが原告を指すものとして特定することができることを前提として検討するに,本件記事は,詐欺まがいの商材が横行し,ネット恐喝事件まで発生する情報商材業界の怪しい舞台裏を報じるという趣旨の表題の下で,情報商材には詐欺まがいの商材も少なくなく,中身ではなく,詐欺的な宣伝文句や第三者を装うアフィリエイターにより販売がされており,業界では日常的に誹謗中傷が横行していること,この業界で,原告ないしその関係する会社が,情報商材を販売するとともに,無料のメールマガジンで情報商材やそれを取り扱うASPを批判するレポートを始め,業界を代表するASPを激しく攻撃する一方で,中堅のASPに接触して高額の報酬を内容とする顧問契約を締結し,顧問契約が打ち切られると,同社に対して1億数千万円の損害賠償請求訴訟を提起するとともに,同社やその幹部,弁護士等に対し苛烈なネット攻撃を行い,攻撃中止と引換えに7000万円の支払を受けたことが,ネット恐喝ともいうべき犯罪であるとの趣旨のものである。これを前提として,本件各記載について,以下,個別に検討する。
ア 本件記載(ア)は,原告が「詐欺師の上前をはねること」をビジネスにしようとしたというものであり,他人が詐欺行為によって得た利益から更に利益を得ようとするものであることを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
イ 本件記載(イ)は,原告が,右翼の名刺をちらつかせながらc社(i社を指す。)に顧問契約を迫ったとの事実を摘示したものであり,他人の威力を利用して不当な利益を得ようとすることを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
ウ 本件記載(ウ)は,原告が詐欺師の上前をはねるような人物であることがばれたために,フリージャーナリストや探偵を雇って,b社(h社を指す。)の経営者を退任に追い込んだことを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
エ 本件記載(エ)は,原告が次々に他のASPを攻撃し,会社を売却せざるを得なくなった経営者もいるという趣旨の記載であるが,原告が金銭を得る目的でASPを攻撃しているとの本件記事中の他の記載と相まって,原告の行為が社会的相当性を欠くものであることを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
オ 本件記載(オ)は,原告が顧問先であるc社(i社を指す。)から不当に利益を得ようと画策したことを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
カ 本件記載(カ)は,本件記事中の他の記載と相まって,原告が不当な利益を得るためにc社(i社を指す。)の弁護士や幹部の家族を名指しで攻撃したというものであり,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
キ 本件記載(キ)は,原告が他人を脅迫文句で脅迫していたことを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
ク 本件記載(ク)は,原告が「大物詐欺商材師」という詐欺行為を常習的に行う者と顧問契約を結び,金員を受領していることを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
ケ 本件記載(ケ)は,原告の行為を恐喝という犯罪行為であると評価するものであり,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
コ 本件記載(コ)は,原告が詐欺師グループを庇護していることを意味するから,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
したがって,本件各記載は,いずれも,それ自体で又は本件記事中の他の記載と相まって,原告の名誉を毀損すると認められる。
(3)  被告らは,本件記事が,情報商材業界の儲けのカラクリ,ビジネスモデル,業界の内幕を明らかにするものであって,原告を批判することを目的とするものではないから,本件記載の執筆及び公表は原告の名誉を毀損しない旨主張するけれども,特定の記事の内容が他人の名誉を毀損するものかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきものであり,当該記事の目的によって判断すべきものではないから,被告らの主張は採用の限りではない。
3  争点3(本件各記載の執筆及び公表について違法性が阻却されるか。)について
(1)  新聞,雑誌等に事実を摘示した記事を掲載する行為が当該記事の対象となった者の名誉を毀損するとしても,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合において,摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときは,上記行為には違法性がなく,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信じるについて相当の理由があれば,その故意又は過失は否定されると解すべきである。
(2)ア  証拠(甲1ないし3(枝番を含む。),乙40)によれば,本件書籍等は国内IT産業における巨額の利益の源泉がモラルなきビジネスモデルの上に成り立っているとして,主要IT産業における儲けのカラクリとビジネスモデルを解説し,その実態を暴くことを目的として発行されたものであることが認められるところ,本件記事及び本件各記載についてみると,その趣旨は,前記2(2)判示のとおり,情報商材業界において不正な行為が行われ,情報商材を取り扱うASPがネット攻撃を受けて恐喝の被害を受けていること,同業界において詐欺行為が横行していることを訴えるものであり,本件各記載の内容は公共の利害に関する事実に当たり,かつ,その執筆及び公表の目的は専ら公益を図ることにあったものと認められる。
イ  原告は,本件記事は,専ら原告に対する被告Y2の個人的な感情ないし自己保身の目的で執筆されたものであって,公共性,公益目的を有しない旨主張し,証拠(甲25ないし27,33,34の24・62,甲45,47(枝番を含む。),55ないし58)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成23年6月14日頃,被告Y2を被告として被告Y2ブログ掲載の記事による名誉毀損,プライバシー侵害及び肖像権侵害を理由に謝罪広告及び損害賠償を求める訴えを提起し,本件書籍発行当時係属中であったこと,原告は,同年11月30日頃,被告Y2を被告訴人とする被告Y2ブログ掲載の記事による名誉毀損の告訴をしたこと,被告Y2は原告に関するブログを作成し,本件記事をほぼ全文掲載するなどしていることが認められる。
しかし,前記ア判示のとおり,本件記事は,情報商材業界において不正な行為が行われ,恐喝の被害が生じ,詐欺行為が横行していることを訴えるものと認められるのであるから,被告Y2が原告から民事訴訟や告訴を提起された後に本件記事を執筆するとともに同記事や原告に関する記事をブログやウェブサイトに掲載した事実があるからといって,前記アの認定判断を左右するものではないというべきである。原告の主張は採用することができない。
(3)  次に,本件各記載が真実であるか及び被告らが真実であると信じるについて相当の理由があるかについて判断する。
ア 本件記載(ア),(オ),(カ)及び(ケ)について
(ア) 被告らは,原告が,i社を脅迫して,原告が実質的に経営するj社との間で本件コンサルティング契約を締結させ,月額200万円という高額の報酬を取得し,i社がこれを解除した後は,e社が運営するウェブサイトに,i社やその役員,弁護士等を攻撃する記事を掲載する一方,i社及びEに対し,未払のコンサルティング報酬及びi社の関係会社の経営権譲渡に関する損害賠償として1億6000万円の支払を求める訴え(別件訴訟)を提起し,別件和解により7000万円を取得したものであり,これらの事実が,原告が詐欺師と指摘していたi社の上前をはねるもので,ネット恐喝ともいうべき犯罪行為に当たる旨主張し,別件訴訟においてi社及びEが提出した準備書面(乙21,22,24)並びにE作成の陳述書(乙23)並びに被告Y2作成の陳述書(乙57)には,これに沿う内容の記載がある。
(イ) よって検討するに,原告が実質的に経営していたj社は,平成20年5月頃,i社との間で本件コンサルティング契約を締結し,その報酬が月額200万円及び売上げに応じた成果報酬であったこと,原告及びj社は,i社及びその実質的な経営者であるEとの間で,p社の経営権獲得に関する本件委託契約を締結したが,その後,i社はこれを解除し,次いで本件コンサルティング契約も解除したこと,原告が実質的に経営するe社は,i社が詐欺商法を行っているとして激しく非難し,その役員を批判する記事や役員の家族に関する記事を掲載し,i社の代理人である弁護士を激しく非難する内容の記事が掲示板に多数掲載されたこと,j社は,i社及びEを被告として未払のコンサルタント報酬及びi社の関係会社の経営権譲渡に関する損害賠償として1億6000万円の損害賠償を求める別件訴訟を提起し,訴外で7000万円の支払を内容とする別件和解をしたことは,前記1(1)認定のとおりである。
しかし,別件和解においては,別件訴訟においてi社及びEが主張する原告の同人らに対する脅迫行為等一切の不法行為がなかったことを確認するとされ,さらに,当事者は別件和解成立前の事柄について互いに刑事その他一切の処分を求めないものとするとされたことも,前記1(1)認定のとおりであるから,当事者間においてこのような合意がされたことに照らせば,前記(ア)掲記の準備書面及び陳述書の記載をもって,原告の脅迫行為によって本件コンサルティング契約が締結されたこと及び原告の脅迫行為によって別件和解が成立したことを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,被告らが,原告の行為について,「詐欺師の上前をはねる」「ネット恐喝という犯罪である」と論評した部分については真実であると認めることはできず,本件記載(ア),(オ),(カ)及び(ケ)については,その重要な部分で真実であると認めることはできないというべきである。
(ウ) そして,前記(ア),(イ)において判示したところに照らせば,別件訴訟においてi社及びEが提出した準備書面及び陳述書に被告らの主張に沿う内容の記載がされ,また,原告が実質的に経営するe社がi社及びその関連会社並びにその役員,役員の家族等を激しく非難する記事をウェブサイトやメールマガジンに掲載していたとしても,別件和解において前記(イ)判示のとおりの合意がされていることを考慮すれば,被告らについて,本件記載(ア),(オ),(カ)及び(ケ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
イ 本件記載(イ)について
(ア) 被告らは,原告が,Eに対し,会社や自宅近辺で街宣車やジャーナリストを使って嫌がらせをするぞなどと言って脅迫し,右翼団体の名刺を示して,本件コンサルティング契約の締結を強要したものであるから,本件記載(イ)の内容は真実である旨主張し,別件訴訟の被告であったi社及びEが提出した準備書面(乙21,22,24)及びE作成の陳述書(乙23)並びに被告Y2作成の陳述書(乙57)には,これに沿う内容の記載がある。
(イ) しかし,別件和解において,別件訴訟においてi社及びEが主張する原告の同人らに対する脅迫行為等一切の不法行為がなかったことを確認するとの合意がされたことは,前記1(1)認定のとおりであるから,当事者間においてこのような合意がされたことに照らせば,前記(ア)掲記の準備書面及び陳述書の記載をもって,本件コンサルティング契約の締結が原告の脅迫行為によるものであったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,本件記載(イ)の内容が真実であるとは認められないというべきである。
(ウ) そして,前記(イ)において判示したところに照らせば,別件訴訟においてi社及びEが提出した準備書面及び陳述書に,被告らの主張に沿う内容の記載がされているとしても,別件和解において前記(ア)判示のとおりの合意がされていることを考慮すれば,被告らについて,本件記載(イ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
ウ 本件記載(ウ)について
(ア) 被告らは,原告が,Fを通じて,被告Y2に,情報商材ビジネスを詐欺商法,悪質商法であるとしてh社を攻撃し,その代表者であるGの経歴疑惑も取り上げる記事を書かせ,Gを退任させたのであるから,本件記載(ウ)の内容は真実であると主張し,Fの被告Y2に対する平成21年9月19日付け電子メール(甲6,乙7)及び同年10月3日付け電子メール(乙10)には,h社が詐欺的な商法を行っていることを記事にするよう依頼する内容が含まれており,被告Y2は,t紙平成22年1月号にh社及びGを批判する記事を執筆したことが認められる(乙44)。
しかし,Gがh社の取締役及び代表取締役を辞任したのは平成21年11月14日頃であって(乙43),被告Y2による前記記事の執筆以前のことである。さらに,証拠(甲4ないし6,乙7,20)によれば,q社は,「s」という名称のニュースサイト(以下「本件サイト」という。)を立ち上げることを計画し,そのコンテンツの制作をk社に発注したこと,k社の代表取締役であるFは,本件サイトで情報商材を取り上げることを企画し,Y2に対してh社を糾弾する内容の記事の執筆依頼をしたことが認められるけれども,FのY2に対する前記依頼について,原告の指示に基づくものであったことを認めるに足りる証拠はない。以上の事情に照らせば,本件記載(ウ)の内容が真実であるとは認められないというべきである。
(イ) そして,前記(ア)において判示したところに照らせば,被告らが本件記載(ウ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
エ 本件記載(エ)について
(ア) 被告らは,原告が,l社(八戸市)に対しても執拗な取材を行い,そのため,その運営するウェブサイトの運営者がm社(久喜市)に代わったのであるから,本件記載(エ)の内容は真実であると主張し,証拠(乙28,30ないし32,45ないし49(枝番を含む。))によれば,Fが,平成21年9月19日,被告Y2に対し,l社(八戸市)の販売する情報商材は詐欺的商材であると論評する原稿案を送信したこと,l社(八戸市)が運営していたウェブサイトの運営者がm社(久喜市)に代わったことが認められる。
しかし,l社(八戸市)が運営するウェブサイトの運営者がm社(久喜市)に代わった理由について,原告による攻撃に耐えられなくなったためであることを認めるに足りる証拠はなく,また,原告の指示によってl社(八戸市)に対する執拗な取材が行われたことを認めるに足りる証拠もないから,本件記載(エ)の内容が真実であると認めることはできないというべきである。
(イ) そして,前記(ア)において判示したところに照らせば,被告らが本件記載(エ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
オ 本件記載(キ)について
(ア) 被告らは,原告が,企業等に対して攻撃を加える際,「海外サーバーにアップする」などと述べて圧力を加える方法を用いていたから,本件記載(キ)の内容は真実であると主張し,証拠(乙51,52(枝番を含む。))によれば,海外のウェブサイトに,「報道センター フォトジャーナル特設サイト」として,u社というASPを批判し,その社長の自宅や母親の写真等を取材した記事が掲載されていることが認められ,また,被告Y2ブログの平成23年5月21日付けの記事(甲12)には,「X氏の代理人より架電。「Y2さん,Xさんがブログ記事を取り下げないと,訴訟を起こすとか,契約書を海外サーバーにアップするぞって言ってますよ」」との記載があり,F作成の陳述書(乙50)には,「X氏は私に「Y2はとんでもないライターだ。確認書をなんだと思っているんだ。削除しないならもういい,ライブドアに抗議して消させる。私は私でY2を糾弾する。私のサイトは海外サーバーにおいてあるから,ブログみたいに消すことはできない」というような趣旨のことを興奮気味に話していた」との記載がある。
しかし,前記のような記事が海外のウェブサイトに掲載されていること自体から,原告が企業等を「海外サーバーにアップする」との文言を使って脅迫したとの事実を認めることはできないし,原告がY2に関して前記記事(甲12)のとおりFに述べた事実があるとしても,そのことから,原告が企業等を当該文言を使って脅迫したとの事実を認めることもできないというべきである。したがって,本件記載(キ)の内容が真実であると認めることはできない。
(イ) そして,前記(ア)において判示したところに照らせば,被告らが本件記載(キ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
カ 本件記載(ク)及び(コ)について
(ア) 被告らは,原告はHと顧問契約を結び,Hから売上げの一部を取り立てているが,Hが「nサイト」というASPのサイトで販売している情報商材は詐欺商品であるから,本件記載(ク)及び(コ)の内容は真実であると主張し,被告Y2作成の陳述書(乙57)にはこれに沿う内容の記載がある。
しかし,同陳述書(乙57)によっても,被告Y2は,i社関係者からHが原告と顧問契約を結んだと聞いている,「nサイト」の関係者J氏にもメールで問い合わせたところ,原告に売上げの1割を支払う話は聞いているというのであって,具体的な裏付けが示されているものではないから,これによって,原告がHとの間で顧問契約を締結し,その売上げの一部を取得している事実を認めるには足りず,原告が詐欺師グループを庇護している事実を認めることもできない。したがって,その余の点について判断するまでもなく,本件記載(ク)及び(コ)の内容が真実であると認めることはできないというべきである。
(イ) そして,前記(ア)において判示したところに照らせば,被告らが本件記載(ク)及び(コ)の内容を真実であると信じることについて,相当の理由があったとは認められないというべきである。
キ 以上によれば,本件各記載について,いずれもその重要な部分で真実であると認めることはできないし,被告らについて,それらが真実であると信じるについて相当の理由があったとも認めることはできないというべきである。
(4)  したがって,被告らが本件各記載を執筆し,公表した行為については,公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に当たるものの,本件各記載の重要な部分が真実であるとは認められず,被告らにおいてその内容を真実と信じるについて相当な理由があったということもできないから,違法性は阻却されないというべきである。
4  争点4(原告が被った損害及びその救済方法)について
(1)  本件記事の内容は,前記2(2)判示のとおり,原告が,情報商材の業界でネット攻撃を行うことにより,ある企業から多額の金員を取得する恐喝行為を行い,また,他方で,原告が大物詐欺師との間で顧問契約を締結し,詐欺師グループを庇護しているかのような印象を与えるものであること,証拠(甲61,62)によれば,本件書籍は取次業者を介して1万6401部が市場に出荷され,平成25年7月22日時点においてそのうち6784部が流通していること,本件文庫は1万0509部が市場に出荷され,同月30日時点においてそのうち3795部が流通していることが認められること,他方において,本件記事は原告を含めて関係者は全て匿名で記載されており,本件記事中のCが原告を指すと特定することができる者は本件記事の読者の一部にとどまることなど,本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると,被告らの名誉毀損によって原告が被った精神的苦痛に対する損害額としては150万円が相当であり,原告の名誉毀損と相当因果関係がある弁護士費用としては15万円が相当である。
したがって,本件記事を執筆した被告Y2及び本件記事を掲載して本件書籍等を発行した被告Y1社は,共同の不法行為によって他人に損害を加えたものであり,前記損害について連帯してこれを賠償する責任を負うべきである。
(2)  原告は,原告の社会的評価の低下を回復する方法として,金銭による賠償とともに,被告Y1社が発行する「a誌」及び同社のウェブサイト(http://〈省略〉)への謝罪広告の掲載が必要であり,さらに,被告Y1社が本件書籍等の発行を継続したり,既に発行された本件書籍等の回収をしなければ,本件書籍等が販売されることによりさらなる精神的苦痛を被るから,本件書籍等の差止め並びに取次店及び書店からの回収が不可欠である旨主張する。
しかし,前記1ないし3において判示したところに照らせば,原告が本件記事の掲載及び公表によって被った精神的苦痛については,慰謝料をもって慰謝することで足り,謝罪広告を命ずる必要性があるとまでは認められないというべきであり,また,証拠(甲61,62)によれば,被告Y1社は本件書籍等を重版する予定はなく,今後も取次業者から本件書籍等の返品がされることが認められ,本件書籍等が今後さらに市場に流通するおそれは小さいということができるから,本件書籍等の差止め並びに取次店及び書店からの回収を命ずる必要性があるとも認められないというべきである。
原告の主張は採用することができない。
5  結論
以上によれば,原告の請求は,被告らに対し連帯して165万円及びこれに対する平成24年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれらを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 後藤博 裁判官 田口紀子 裁判官 佐々木耕)

 

〈以下省略〉

 

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