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「成果報酬 営業」に関する裁判例(16)平成29年 3月24日 東京地裁 平27(ワ)30693号 広告取引代金支払請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(16)平成29年 3月24日 東京地裁 平27(ワ)30693号 広告取引代金支払請求事件

裁判年月日  平成29年 3月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)30693号
事件名  広告取引代金支払請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA03246021

事案の概要
◇被告Y1社と広告取引契約を締結した原告会社が、被告Y1社に対し、未払代金及びその遅延損害金の支払を求めるとともに、被告Y1社の取締役である被告Y2に対し、同契約について連帯保証契約を締結したとして、未払代金相当額及びその遅延損害金の支払を求めた事案

裁判経過
控訴審 平成30年 6月14日 東京高裁 判決 平29(ネ)1746号 広告取引代金支払請求控訴事件

裁判年月日  平成29年 3月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)30693号
事件名  広告取引代金支払請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA03246021

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 遠藤常二郎
同 遠藤純
同 長瀬恵利子
福岡市〈以下省略〉
被告 株式会社Y1
同代表者代表取締役 B
福岡市〈以下省略〉
被告 Y2
被告ら訴訟代理人弁護士 桃原健二
同 馬場勝

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して,5億9619万4000円及びこれに対する平成27年11月22日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告に対し,連帯して,967万円及びこれに対する平成28年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3  原告のその余の請求を棄却する。
4  訴訟費用は,被告らの負担とする。
5  この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告株式会社Y1及び同Y2は,原告に対し,連帯して6億0056万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成27年11月22日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告株式会社Y1及び同Y2は,原告に対し,連帯して967万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日の翌月末日を経過した日(平成28年1月1日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告株式会社Y1(以下「被告会社」という。)と広告取引契約を締結したところ,被告会社が代金を支払わないとして,未払の代金及び商事法定利率の遅延損害金の支払を求めるとともに,上記契約について連帯保証契約を締結したとして,被告Y2(以下「被告Y2」という。)に対し,連帯保証契約に基づいて,未払代金相当額の金銭及び商事法定利率の遅延損害金の支払を求める事案である。
第3  前提事実(末尾掲記の証拠等によるもの以外は争いがない)
1  当事者等
原告は,広告代理等を業とする株式会社である。
被告会社は,通信販売業務,化粧品の製造,販売,輸出入等を業とする株式会社であり,平成11年9月に設立された。
被告Y2は,被告会社の取締役である。
2  本件広告取引契約の開始
原告と被告会社は,平成17年頃,原告が被告会社に関する広告宣伝を行う広告取引を開始した(以下「本件広告取引契約」という。)。本件広告取引契約の具体的内容は,原告が,テレビCMの作成,被告会社が毎月発行している情報誌の作成,折り込みチラシを作成すること等である。
3  テレビCMの放送
被告会社は,毎月多額の広告取引を原告に依頼していたところ,毎月の支払額が大きいことや被告会社の資金繰りが厳しくなってきたこともあり,原告に対する支払が遅滞することもあった。
被告会社は,平成26年10月下旬,原告に対し,今後のCM放送等を解除したい旨を申し入れた。原告は,同年11月以降のCM枠については,他の企業にリセール(転売)するなどして,被告会社にできる限り負担がかからないよう配慮することも約束した。そこで,同月以降,原告は,被告会社の放送枠を他の企業ヘリセールするようになった。具体的には,「○○」(番組名)の同月11日,18日,24日,同年12月2日及び9日放送分,「△△」(番組名)の同年11月15日,22日,29日,同年12月6日,13日,20日及び27日放送分がリセールされ,他社のCMが流された。被告会社の企業CMが流されたのは,「□□」(番組名)の同年11月11日,13日,17日,19日,21日,25日及び27日放送分,「◎◎」(番組名)の同月12日,13日,19日,20日,26日及び27日放送分,「▽▽」(番組名)の同月12日,14日,18日,20日,24日,26日及び28日放送分,「◇◇」(番組名)の同月10日,14日及び20日放送分であった。
被告会社に関するCM(商品CMを含む。)は,平成27年5月まで放送されていた。
4  新商品のテレビCM
被告会社は,平成26年7月から平成27年2月まで,「●●」(以下「商品A」という。)を製造販売していたところ,同年3月以降は商品をリニューアルし,「▲▲」(以下「商品B」という。)を製造販売することとなり,商品Bの販売に合わせて,商品Aの製造販売を取りやめることにした。
被告会社は,原告に対し,同月以降は商品Bを製造販売し,商品Aの製造販売を中止する旨を伝え,商品Bにかかるパンフレットの作成を原告に依頼した。
同月以降,商品AのCMが流れたのは,「○○」の同月3日,10日,17日及び24日放送分,「□□」の同月3日,5日,9日,11日,13日,17日,19日,23日,25日,27日及び31日放送分,「◎◎」の同月4日,5日,11日,12日,18日,19日,25日,26日,同年4月1日及び8日放送分,「△△」の同年3月7日,14日,21日,28日及び同年4月4日放送分,「▽▽」の同年3月2日,4日,6日,10日,12日,16日,18日,20日,24日及び26日放送分,「◇◇」の同年3月4日及び26日放送分である。
原告は,同月下旬から,商品BのCMを流すようになった。
5  情報誌の制作
被告会社は,原告に対し,情報誌の制作を依頼していたところ,平成23年2月までは,表紙イラスト制作費として20万円,新規制作ページ費として1ページ当たり10万円,リデザイン費として1ページ当たり7万5000円,リデザイン微調整ページ費として1ページ当たり4万円であった(乙12)。
同年3月以降は,新規制作ページ費が1ページ当たり13万円,リデザイン費が1ページ当たり10万円,リデザイン微調整費が1ページ当たり7万円に変更された。
6  タレント出演料
タレントの出演料について,Cについては平成22年11月時点で50万円であったが,平成23年6月時点では75万円であった。Dについては平成19年6月時点で25万円であったが,同年7月時点では40万円であった。Eについては平成22年8月時点で55万円であったが,同年9月時点では80万円であった。
7  アフィリエイト制作費
アフィリエイトLP制作費について,平成24年6月時点では1本当たり7万3500円であったところ,平成26年10月時点では14万5000円に値上げされていた。また,プロモーション紹介文についても1本当たり1万0500円であったところ,その後1万7500円となった。
8  連帯保証人の要求
被告会社は,覚書(甲3)の記載のとおり,平成27年1月に2000万円,同年2月に3248万円,同年3月に8000万円を支払ったが,同年4月予定の1億円については支払ができず,2000万円のみを支払った。原告は,再度,被告会社に対し,支払計画書を作成することを求めるとともに,連帯保証人を付すよう求めた。
第4  争点及びこれに関する当事者の主張
1  被告会社に対する広告取引代金支払請求
(原告の主張)
(1) 本件広告取引契約は,原告からのテレビCM,新聞,雑誌広告及びウェブサイト用動画広告等の企画提案に対し,被告会社代表者との協議及び承認,決裁を経て,原告が宣伝等の広告業務を実施し,実施した月の末日に原告から被告に請求書を交付し,被告会社は翌月末日を支払期日として広告代金を支払うという形態で行われた。
具体的には,①被告会社代表者から原告への広告取引の依頼,②原告から被告会社代表者へ企画の提案,③同人による企画提案への承諾,④同人への見積もり提示,⑤原告による広告制作・納品,⑥被告会社代表者の承諾後,請求書の作成,⑦代金の支払という流れである。ただし,④の見積もりの提示は,月末に20件から30件ほどの見積もりを一括して行っていたため,⑤の広告制作と時期が前後することはあった。上記のやり取りのうち,③の企画や④の見積もりの提示は,基本的には,原告担当者が被告会社代表者と直接面会し,企画書や見積書を提示し,同人の決済を受けるという方法により実施されていた。
(2) 原告は,被告会社との間で,平成26年6月30日から平成27年7月31日までの間に,別紙1請求債権一覧表(以下「一覧表」という。)の「売掛金」欄記載の各代金額にて,同一覧表の「件名」欄記載の各広告業務を実施することを約し,原告は,被告会社に対し,同一覧表の「実施日」欄記載の各期日までに,各広告業務の仕事を完成し実施した。また,各取引の個々の契約締結日については,原被告ら双方の論拠・反論が記載された別紙2の「契約締結日」欄記載のとおりである。
ただし,平成26年9月30日実施の折込チラシ制作費については,広告取引代金を190万円との約定で実施し,うち47万2000円は既に被告会社から支払われている。
(3) 原告は,被告会社に対し,上記(2)記載の各実施日後,平成27年7月25日,同月28日,同月31日実施分(以下「未請求項目分」という。)を除き,同一覧表の「請求日」記載の各期日に各請求書を交付した。
したがって,本件広告取引契約に基づく広告代金債権の支払期日は,未請求項目分を除き,請求書交付日の各翌月末日である一覧表「支払日」記載の各日に到来した。
既に原告による請求により支払期日が到来し,被告会社から支払われた広告取引代金を除く未払額は合計6億0056万円である。また,原告は,被告会社に対し,本件訴訟の訴状送達をもって,未請求項目分の広告取引代金合計967万円の支払を請求する。
(4) CM放送について
ア 原告のような広告代理店がCM放送をするには,テレビ局との間で,半年分(4月から9月,10月から3月)の番組提供枠を,放送開始時点の1か月から3か月前に,広告主を定めて購入する必要がある。広告代理店は,半年分の番組提供枠の購入後,広告主を変更することは原則としてできず,また,番組提供枠自体を解約することができないのが商慣習となっている。
そこで,広告代理店は,事件や事故,破産等により,広告主のCMが放送できない事態が生じた場合,新たな広告主を探してテレビ局の許可を得てCMを放送(リセール)するか否かをテレビ局と協議しなければならない。
イ 本件広告取引契約において,原告の営業担当者であったF(以下「F」という。)は,平成26年10月下旬,被告会社代表者から,資金繰りが厳しく,また,製品の供給が遅れる事態が生じているため,キャンセル料がかかってもかまわないのでCM放送を解除したい旨を申し入れられた。
原告は,商慣習上,今後の放送を解除することはできなかったので,解除が不可能であることを伝え,リセールに注力して被告会社の負担を減らすよう交渉する旨回答し,被告会社代表者の了承を得た。そして,実際にリセールに成功したものについては,被告会社が,本来の広告費と実際に放送された他社との広告費の差額を支払うことで合意した。
実際にリセールできた番組提供枠は,全体の中のごくわずかにすぎなかった。原告は,リセールできた部分については,本来の費用から,他の広告主が負担した費用を減額して請求した。
ウ 原告は,平成26年に被告会社が資金繰りに窮しているとの報告を受けていたため,平成27年1月頃,同年4月から9月までの番組提供枠を確保すべきか否か,どの程度確保すべきかを打合せした。
被告代表者からは,平成26年は資金繰りが苦しかったものの,役員報酬の減額や店舗の退店などの経営体制の見直しにより,今後の支払を約束できるため,平成27年4月以降もCM放送は継続したいとのことであった。そこで,Fは,これまでよりもかなり減額した総広告費5000万円のうち,約2000万円の範囲内で番組提供枠を確保する提案をしたところ,被告会社代表者は,これを了承した。原告は,テレビ局から,同月から同年9月分までの被告会社のための番組放送枠を購入した。
しかし,被告会社は,同年4月30日,テレビ媒体の出稿の早期の打切りを求めるとともに,再度支払の猶予を申し入れた。この申入れは,被告Y2が担当し,同人から債務承認件支払計画書が提出されるに至った。
そこで,原告は,平成27年5月で被告会社のCM放送を打ち切った。
エ 放送されていないCMがあるとの主張について
放送確認書は,放送を実施した媒体社の責任において発行されるものであり,媒体社が,放送を実施せずに放送確認書を発行することは常識的にあり得ない。「■■チャンネル」での放送確認書が発行されている以上,日本民間放送連盟の定める10桁のバーコードが記載されていないことや平成26年11月のテレビ媒体CM進行スケジュールに「■■チャンネル」に関する記載がないことは,それぞれ作成者の記載ミスと考えられても,CM放送の実施の有無とは無関係である。
オ 商品AのCMについて
放送中のCMを新商品に改定するためには,新たにテレビ局の考査を経る必要があり,さらに,化粧品のCMの場合,通常の考査に加えて薬機法(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律)の観点からも厳格なテレビ局の考査を経る必要があり,差替えに一定の期間を要することとなる。また,新商品に改定する場合,通常,広告会社は,半年から3か月前に広告主から説明を受け,CMの改定作業等に着手する。しかし,原告が,被告会社代表者から商品Bに改定することについての説明を受けたのは,販売開始まで1か月に迫ったタイミングであった。そこで,原告は,被告会社代表者に対し,上記のような理由でCMの差替えに時間がかかる旨を説明したところ,同人は,商品Aと商品Bの内容に本質的に差異がないため,新たに改定した商品BのCMについてテレビ局から許可が出るまでは,商品Bの販売時期にかかわらず商品AのCMを流すよう原告に要請し,原告もこれを了承した。
したがって,原告は,被告会社との間の合意に基づき,差替えまでの期間,商品AのCMを放送したのである。
(5) PR活動費について
原告の請求しているPR活動費とは,被告会社が平成21年に商品の表記に関し行政処分を受けたことで原告から被告会社に対し紹介したPR会社に支払われるべき費用である。原告は,被告会社代表者の了解を得て,本件広告取引契約の一環として,被告会社からPR会社への費用支払を代行していた。
原告は,最近はPR会社によるPR活動が定期的に行われていないとの話を聞いていたため,被告会社代表者に対し,PR業務の依頼を中止してはどうかと持ちかけたことがあった。しかし,被告会社代表者は,PR会社との契約を引き続き希望する旨回答したので,原告も支払の代行を続けていたものである。
(6) 撮影費について
原告は,被告会社に対し,これまで10年近く,情報誌制作費と画像処理費を別々に請求しており,被告会社も支払を続けていたのであるから,被告らの主張するように,画像処理費が情報誌制作費のページ単価に含むという合意はなされていない。
また,ディレクション費については,原告は,担当者の都合がどうしてもつかない場合を除き,写真撮影の現場に立ち会い,必要に応じて指示等を出していた。
(7) 情報誌制作費について
ア 情報誌制作費については,原告が,被告会社代表者から,費用が上がってもかまわないので,情報誌の質を上げてほしいとの指示を受けて,同人の了解を得て費用を変更したものである。
イ また,情報誌の裏表紙の広告について,被告会社の主張するような合意はしていない。
ウ(ア) 流用コピーによりチラシを作成できる場合とは,表裏全てが同一のデザインである場合であり,被告会社の主張する折込チラシは,表面のデザインが異なっているため,流用して作成できる場合に該当しない。
(イ) タレントを起用する場合,同一の機会に撮影された写真を使用するとしても,所属事務所との関係では,使用態様によりタレント起用料が新たに発生する場合がある。具体的には,タレントの露出機会が地域や媒体等により拡大される場合は,タレントの所属事務所との新たな合意が必要となり,起用料等が新たに発生する。
(8) タレント出演料について
タレント出演料は,出演依頼の態様等により異なる。例えば,被告らの指摘するCは,平成23年6月の情報誌出演時には,平成22年11月の出演時とは異なり,被告会社の商品の愛用者としての出演依頼となり,タレントによるエンドースメント(注:企業がタレント等に報酬を支払う一方でタレントが当該企業の商品を使用するなどの契約形態)が付加されたことや取材内容も増加している。したがって,タレント出演料は,出演依頼の態様等に応じて合理的に定められている。当然ながら,原告は,金額の設定について被告会社代表者の了承を得ている。
(9) アフィリエイトについて
アフィリエイトLP制作費及びプロモーション紹介文が値上げされてはいるが,原告と被告会社代表者が合意に基づき値上げしたものである。
アフィリエイト成果報酬とX社管理進行費は全く異なる性質のものである。前者は,アフィリエイト広告掲載のための媒体費(成果連動型)であり,後者はアフィリエイト用LP制作に対する管理費である。原告は,被告会社に対し,アフィリエイト収入に対する手数料を二重に請求していない。
(被告会社の主張)
原告の主張(1)から(4)はいずれも否認ないし争う。
(1) 被告会社は,会社を設立して数年後から,原告を含めた広告代理店数社と取引を行っていたが,平成17年頃から原告に一本化するようになった。本件広告取引契約の具体的内容としては,テレビCM作成,被告会社が毎月発行している情報誌の作成,折込チラシの作成などである。
被告会社は,化粧品の通信販売を主力事業としているが,訪問販売や電話勧誘はしておらず,主にCM放送や顧客への情報誌発送,折込チラシの配布等により通信販売にて売上を上げている。
このように,通信販売を主力事業とする被告会社にとって,いかなる広告媒体を利用するか,どのような広告方法を実施するのかは会社の売上に直結する重要事項であった。そして,被告会社は,平成17年頃,会社設立当初から長年取引を行っており,広告業界第2位の大手広告代理店である原告に広告に関する事項を全面的に依頼することにした。被告会社は,毎月多額の広告宣伝費を支出しており,原告に対し多大な信頼を寄せていた。
(2) 広告業界における一般的な契約については,初めに大筋の基本契約を締結し,その後,個々に具体的な契約を締結することになる。例えば,1つのCMを作成する場合には,①見積依頼,②見積作成,③発注,④納品(CM放送),⑤請求書作成,⑥支払という流れとなる。
もっとも,原告については上記のような流れではなかった。すなわち,本件広告取引契約では基本契約を締結していないほか,①被告会社が原告に広告取引を依頼,②原告がCM等の商品を作成,③明細の記載のない総額だけの請求書が送付され,④支払,⑤見積書の送付という流れになっていた。また,個々の広告取引についても契約書などが交わされることはなく,全て口頭でのやり取りでなされていた。
(3) 上記のやり取りの場合,実際の支払後でなければ各請求内容の具体的内容が分からないため,被告会社は原告に対し,事前に見積書を作成するよう何度も依頼したが,原告は,「社長には伝えている。」などとして被告会社の要求に応じなかった。また,支払後に送付される見積書に関し疑問点や不明な点があり,原告に詳しい説明を求めても,原告は,「社長は了解している。」などとしか回答せず,各広告取引の具体的内容について説明をすることはなかった。そのため,被告会社は,原告から送付される請求書のまま支払をせざるを得なかった。
被告会社は,このような原告の対応に不満を抱いていたが,原告に広告取引を全面的に委ねており,原告との関係が悪化することや原告との取引が打ち切られることはどうしても避けなければならなかったことなどから,それ以上原告に対して強い要求をすることもできなかった。
過去に被告会社と取引のあった原告と同じ広告代理店である株式会社h,株式会社iの時でも,必ず事前に見積書の提出があった。被告会社と取引のある外の取引先も常に事前に見積書を提出し,承認された上で業務を見積金額内で遂行し,完了した後に請求書を提出してもらっていた。
原告のみ,何度も事前の見積書提示を要請していたが,一度たりとも事前に見積書が提出されたことがなく,常に請求書と同じか,もしくは請求書の後に経理部門に提出されていたため,見積金額の交渉もチェックできない状況にあった。請求金額に合わせた見積書となっており,本来の見積書としての意味を持っておらず,意図的に見積書の提示を遅くしていたといわざるを得ない。
(4) CM契約について
ア 平成26年11月以降のCM放送の合意解除
被告会社は,平成26年10月26日,原告に対し,今後のCM放送等を解除したい旨を申し入れた。そうしたところ,原告は,急なCM契約の解除は難しいし,中途解約などをすると今後の放送枠を確保する時に確保できないことなども考えられるため,番組枠を他ヘリセールなどして新たなCM経費を抑えながら,今後のCM実施に影響とならないように,CM契約の早期の解約を進める旨回答し,被告会社のために早急にCMを打ち切る旨の対応をすることを約束した。しかし,原告は,被告会社との約束を反故にして,その後も被告会社のCMを流し続け,その後のCM放送を打ち切ることはしなかった。
被告会社は,同年11月以降のCM放送の打ち切りを申し出ており,原告もCM放送の打切りを了承していたのであるから,同月1日以降のCM放送に関する請求は過剰なものである(合計3億0118万8000円)。
被告会社は,上記のとおり申し出ていたが,平成27年5月まで同社のCMが放送されていた。被告会社は,化粧品の通信販売を主力事業としており,新規顧客開拓のためにはCM放送や新聞広告が有効である一方,既存顧客に対しては毎月情報誌を発行して囲い込みをすることが有効であった。被告会社は,平成26年10月頃に諸事情により商品入荷が遅れ一時的に商品在庫不足が生じていたことや資金不足等の事情があったために,会社の営業方針として同年11月以降のCM放送等を打ち切って新規顧客の開拓を一時的に中断する一方,会社の売上を維持するために既存顧客の囲い込みについては従前どおり行うこととしていた。もっとも,情報誌の作成も原告に依頼しており,CM放送の打切りを強く要求するなどして原告との関係を悪化させることは,原告から情報誌の作成にかかる取引まで中止されかねないことからどうしても避けなければならなかった。そのため,被告会社が法的措置をとることや強い抗議をすることはできなかったという事情がある。
イ 平成27年4月以降のCM契約
被告会社は,平成27年4月以降のCM放送にかかる番組提供枠を購入する旨の意思表示をしたことはない。
したがって,少なくとも同月以降については,原告と被告会社間でCM放送に関する取引契約が成立していないから,同月4月以降のCM費用が過剰請求となっている。
ウ 平成27年6月27日以降のキャンセル分について
原告は,平成27年6月27日以降のキャンセル分として,合計1919万円を請求している。しかし,被告会社の求めに応じずにCM放送を継続していたのは原告であり,このような事情の下で中止後のCMキャンセル料を被告会社に請求するのは不当である。そもそも,キャンセル料に関する取り決めを原告と被告会社間でしておらず,当該キャンセル料は過剰な請求である。
エ リセール分の過剰請求
被告会社のCM放送の解除申出に際し,原告は,平成26年11月のCM枠については,他の企業にリセールするなどして,被告会社側にできる限り負担がかからないよう配慮することも約束した。そこで,同月以降原告が被告会社の放送枠を他の企業ヘリセールするようになった。
しかし,被告会社の放送枠がリセールされ,他社のCMが流されていたにもかかわらず,原告は,当該リセール分についても被告会社に請求しており,過剰な請求となっている。その合計額は1716万5000円である。なお,乙1の見積書には一部「値引き」や「サービス」の記載があるが,これは本件広告取引契約が毎月多額に渡ることから原告が定期的に値引きやサービスをしていたものであり,リセール分の値引きというものではない。
オ 放送されなかったCMがあること
原告は,CS11月放映分番組提供料として16万6000円を請求している。このうち,「■■チャンネル」については実際には放映されなかった。しかし,原告は放映されなかったものについても請求しており,10万8000円は過剰請求となっている。
カ 商品AのCM放送について
(ア) 被告会社は,平成26年7月から平成27年2月まで,商品Aを製造販売していたが,同年3月以降は商品をリニューアルし,商品Bを製造販売することになり,商品Bの販売に併せて商品Aの製造販売を取りやめることにしていた。また,被告会社は商品リニューアルに伴い,同月以降は商品Bを製造販売し,商品Aの製造販売を中止する旨を原告に伝えており,商品Bにかかるパンフレットの作成も原告に依頼していた。
被告会社は,平成26年12月中旬の商品レクチャーの際に,商品Aが廃版となり今後は順次商品Bに切り替える旨を原告に告知している。また,被告会社は,平成27年1月に,原告に対し同年2月号の情報誌の制作を依頼しているが,この2月号の情報誌には商品Aは販売終了商品として掲載しない旨を伝えており,実際に商品Aは掲載されていない。
しかし,原告は,手違いにより同年3月以降も旧商品である商品AのCMを流し続けたため,同月以降は被告会社にとって全く意味のないCMが放送されることになった。
原告は,意味のないCM放送分についても被告会社に請求しており,その額は合計5251万8000円となる。
(イ) また,原告は,同月以降に誤って商品AのCMが流れていることに気づいたため,同月下旬以降から順次CM内容を修正し,商品BのCMを流すようになったが,原告は,被告会社にTVCM改定編集費として216万1000円を請求している。
しかし,そもそも同月以降に商品AのCMが流れたのは原告の落ち度であるにもかかわらず,そのTVCM改訂編集費を被告会社に請求するのは不当な請求である。また,編集といっても原告は画像を加工し,商品の一部に「organic」という文字を加えただけであるにもかかわらず,216万1000円という高額な費用を被告会社に請求するのも不当な請求というべきである。
さらに,同月以降も商品AのCMが流れたことにより,そのCMを見た顧客から商品Aの注文や問い合わせが多数入ることとなった。もっとも,同商品の製造販売は既に終了していたため,被告会社は既に同商品の製造販売が終了していることを顧客に説明してお詫びするとともに,注文のあった顧客に対しては商品Aと商品Bの差額をもらわずに商品Bを発送することとした。そのため,合計440万7425円の損害を被ることとなった。
キ 不要な企業CMの放送について
原告は,平成26年11月以降のCM放送を中止せず,当面の間は商品ではなく企業CMを流した方が良いなどとして,結果的に被告会社の企業CMを流すこととなった。被告会社は,企業CMを流すことについて大きな不満があったものの,原告との関係を悪化させて情報誌の作成を含めた取引を中止されることはどうしても避けなければならなかったことから,原告の指示に従うしかなかった。
そのようなCMの合計額は,2514万3500円である。
(5) PR活動費について
原告は,平成26年10月分から平成27年3月分までのPR活動費として420万円を請求している。
しかし,実際のところ,原告は上記期間中に何らのPR活動をしておらず,また,被告会社も原告から当該PR活動について何の報告も受けていないのであって,当該請求は不当なものである。
(6) 撮影費について
ア 原告は,平成26年9月から平成27年5月までの情報誌撮影費として合計2713万2000円を請求している。
イ 原告は,写真撮影費の1項目として,画像処理費を請求しているが,画像処理は,実際には情報誌を作成する過程で必要となるものであるから,原告と被告会社の間において画像処理費は情報誌制作費のページ単価に含むものとされていた。しかし,原告は,ページ単価以外に別途写真撮影費の1項目として画像処理費も請求しているのであり,二重請求となっている。したがって,画像処理費の合計2005万5000円は過剰な請求である。
ウ また,原告は,ディレクション費も請求しているが,原告は写真撮影の場に立ち会うことはなく,撮影の指示や統括等をしている実態はない。当該請求合計331万5000円は活動実態のない不当な請求である。
(7) 情報誌制作費等について
ア 不当に高額な料金への変更
情報誌制作費について,平成23年2月までは,表紙イラスト制作費として20万円,新規制作ページ費(新規にページを制作する際に必要となる費用。前記の画像処理費もここに含まれる。)として1ページあたり10万円,リデザイン費(新規作成ページに変更を加えた場合の費用)として1ページあたり7万5000円,リデザイン微調整ページ費(新規作成ページに若干の修正を加えた場合の費用)として1ページあたり4万円であった。
しかし,同年3月以降,突然に新規制作ページ費が1ページあたり13万円,リデザイン費が1ページあたり10万円,リデザイン微調整費が1ページあたり7万円と変更されることになった。
このように突然料金を高額にして請求することは不当な請求というべきである。
原告が,平成26年10月から平成27年6月までに過剰に請求した額は合計3236万7250円となる。
イ 裏表紙の広告収入の控除
被告会社は,会員向けの情報誌の発行を原告に依頼していたところ,当該情報誌の裏表紙に広告を掲載することもあった。原告に広告の掲載を依頼した場合,当該広告収入の入金に関しては,毎月の原告の請求金額から広告収入代金が差し引かれる形で精算することとされていた。また,通常,被告会社が直接広告主と契約を締結する場合,裏表紙への広告掲載であれば1件当たり120万円であったところ,原告に掲載を依頼した場合は原告の手数料を考慮する必要もあるため,1件当たり150万円(消費税別)となり,原告からは,1件当たり120万円(消費税別)が毎月の原告の請求金額から差し引かれることになっていた。
被告会社は,原告に依頼し,平成18年2月号から平成21年2月号までの情報誌において,裏表紙に広告を掲載したが,現在まで,1件当たり120万円(消費税別)として毎月の請求から差し引いて計算されたことはない。
したがって,当時の消費税5%を含む1260万円は,原告の請求から差し引かれるべきである。
ウ 折込チラシにかかる過剰請求
(ア) 被告会社は,原告に,平成27年2月の折込チラシとして,①被告会社代表者の写真及び「大阪の方限定」と記載されたもの(以下「折込チラシA」という。)及び②タレントのGの写真及び「埼玉県の方限定」と記載されたもの(以下「折込チラシB」という。)の作成を依頼した。
折込チラシAと折込チラシBは,両者の裏面が同一内容であるため,どちらか一方は,見積書の請求項目として「デザイン・コピー・撮影・フィニッシュ一式」となるが,もう一方については,既存データの流用となるため,「デザイン・流用コピー・撮影・フィニッシュ一式」の項目となる。しかし,原告は,いずれの折込チラシについても,前者の項目にて被告会社に請求しており,少なくとも13万円が過剰請求となっている。
(イ) また,折込チラシBの作成に先立ち,被告会社は,原告に対し,平成26年12月号の被告会社会報誌(▼▼)の作成を依頼した。同月号では,Gのスペシャルインタビューの特集が組まれており,同誌発行に当たり同人の写真撮影も行われた。
被告会社は,折込チラシBの依頼をする際,原告から,「Gの写真は▼▼12月号の際に撮影しており,折込チラシBには当該写真を流用するのでタレント起用料はかからず二次使用料のみの低料金になる。」旨の説明を受けていた。しかし,原告は,新規に撮影したのと同様にタレント費として150万円を被告会社に対して請求した。
(ウ) 原告は,これらの費用及びこれらにかかるX社管理進行費(10%)の合計179万3000円を過剰に請求したのであるから,当該金額分は本件にかかる請求から差し引かれるべきである。
(8) タレント費用について
各タレントの出演料について,不合理に値上げがされている。平成19年4月時点でのタレント出演料単価は概ね40万円程度であったものの,平成27年3月時点では80万円を超えるようになった。
そうすると,原告はタレント出演料を通常価格より少なくとも30パーセントほど過剰に請求していたものといえ,合計1768万5000円のうち30パーセントに当たる530万5505円は過剰な請求といえる。
(9) アフィリエイトについて
ア 原告は,平成26年9月30日実施のアフィリエイトLP制作費として45万6000円を請求し,同年10月31日実施のアフィリエイトLP制作費追加分として92万4000円の計138万円を請求している。
もっとも,このアフィリエイトLP制作費については,平成24年6月時点では1本あたり7万3500円であったところ,平成26年10月時点では14万5000円に値上げされていた。また,プロモーション紹介文についても1本あたり1万0500円であったのが1万7500円に不合理に値上げされていた。
そうすると,甲1の8のうち,LP制作費の差額分7万1500円の7点分とプロモーション紹介文の差額分7000円の2点分の合計51万4500円が過剰な請求となっている。
イ さらに,原告は,アフィリエイトの成果報酬として毎月一定額を被告会社に請求しているが,それ以外にX社管理進行費として12万5500円の請求もしている。
これらアフィリエイト成果報酬とX社管理進行費は,被告会社のアフィリエイト収入に対する手数料として実質的に同一の意味合いを持つものであるが,原告は,請求の名称を変えることでアフィリエイト収入に対する手数料を被告会社に二重に請求しているものである。
合計64万円が過剰請求となっている。
2  被告Y2に対する請求
(原告の主張)
(1) 被告Y2は,原告との間で,平成27年5月15日,本件広告取引契約に関する被告会社の支払債務について,書面により,連帯保証契約を締結した(以下「本件保証契約」という。)。
(2) したがって,被告Y2は,原告に対し,本件保証契約に基づき,被告会社の広告取引代金債務について連帯保証債務を負う。
(被告Y2の主張)
(1) 被告会社の資金繰りが厳しかったことから,平成26年11月頃,被告会社が原告に対し支払の猶予を求めたところ,原告は,被告会社に対し,現在の債務総額を伝えた上で,当該債務総額の支払方法に関して文書を作成するよう求めてきた。
被告会社は,大手広告代理店であり,長年取引を続けてきた原告が過剰請求をしているとは考えもしなかったことや,被告会社が広告取引を全面的に原告に依頼しており,取引の打切りを避けるために原告との関係を悪化させることは極力避けたかったことなどから,原告が伝えてきた債務総額をそのまま信用して文書を作成せざるを得ず,平成26年12月31日に,月々の返済額を平成27年3月以降は大幅に増額させることを内容とする覚書を強制的に作成させられた。
(2) その後,被告会社は,懸命の資金繰りをして覚書のとおり,平成27年1月に2000万円,同年2月に3248万円,同年3月に8000万円を支払ったものの,同年4月には店舗閉鎖に伴う多額の支払が発生することから,同月の1億円の支払ができずに2000万円しか返済できなかった。そうしたところ,原告は,再度,支払計画書を作成するとともに,連帯保証人を付すよう求めてきた。
被告らは,原告を信頼し,また,原告との関係を悪化させたくなかったことから,原告の要求に応じざるを得ず,平成27年5月15日に,強制的に債務承認兼支払計画書を作成させられた。
(3) このように,被告会社の債務承認は,強迫又は錯誤によってなされたものであり,無効ないし取り消されるべきである。
第5  当裁判所の判断
1  被告会社に対する請求
(1)  CM放送について
ア 原告と被告会社間の本件広告取引契約(テレビCM部分)の内容
前記前提事実及び証拠(甲7,10,15,16,F証人)によれば,原告のような広告代理店がCM放送をするには,テレビ局との間で,半年分(4月から9月,10月から3月)の番組提供枠を,放送開始時点の1か月から3か月前に,広告主を定めて購入する必要があること,広告代理店は,半年分の番組提供枠の購入後,広告主を変更することは原則としてできず,また,番組提供枠自体を解約することができないのが商慣習となっていること,広告代理店は,事件や事故,破産等により,広告主のCMが放送できない事態が生じた場合,新たな広告主を探してテレビ局の許可を得てCMをリセールするか否かをテレビ局と協議しなければならないことが認められる。
そして,本件広告取引契約においても,上記認定事実と異なる契約であることをうかがわせる事情がないことを併せ考えると,上記の事実を前提として,個々の契約について検討すべきといえる。
イ 平成26年11月にCM放送に関して合意解除されたといえるか
この点,前記前提事実及び証拠(甲7)によれば,被告会社は,平成26年10月26日,原告に対し,同年11月以降のCM放送に関する原告と被告会社との契約を解除することを求めたことが認められる。しかし,上記アのとおり,広告主(本件でいえば被告会社)が契約を終了させたいとの意思表示をすれば契約が終了するということはできない。
そして,同証拠(甲7)によれば,Fは,被告会社代表者に対し,もともと契約解除やキャンセルという概念がないこと,それでもキャンセルということになれば大きな問題となり,被告会社のイメージが悪化することが懸念されること,同月及び同年12月については企業広告にするという方法を提案していること,リセールに注力することといった回答を行っていることが認められる。これらの事実に照らせば,原告において,被告会社との契約を合意解除したとみるのは困難である。また,平成27年1月以降のCM放送分についても,原告から被告会社に対して同年2月以降に代金が請求されていることが認められる(甲1の69,70等)にもかかわらず,同年1月以降,被告らから,原告に対し,CMが放送されていることに対して何ら間合せをしておらず(被告Y2・12頁),同年3月には,新商品である商品BのCMが放送されている(争いない事実)ことに照らすと,同年に入ってからも被告会社のCMが放送されていたにもかかわらず,被告会社が原告に対して放送の中止等,契約を解消に向けた具体的な行動をとったとみえる事情がうかがわれない。これらの事実を併せ考えれば,原告と被告会社の間でCM放送についての契約が解除されたということはできない。
ウ 平成27年4月以降のCM契約について
証拠(甲10,甲15,甲16,F証人)によれば,被告会社は,平成27年1月末から同年2月上旬にかけて,原告と打合せを行い,同年4月以降のCM契約を原告と締結したことが認められる。この点,F証人の証言は,具体的であり,かつ,客観的な証拠とも整合的であり,信用できる。一方,被告Y2は,原告との間で,同月以降にCMを放送するかについて具体的な打合せをしていない旨供述するが(被告Y2・13頁),同年4月以降に放送されたCMについて,原告が被告会社に対し代金を請求している(甲1の125等)にもかかわらず,請求を受けた時点で,金額の多寡は別として,そもそも契約を締結していないといった意義を述べているといった事実が認められず,特に,被告Y2によれば,商品BのCMについては原告が勝手に制作したというのであり,そのような状況にありながら,被告会社として,何らの異議も述べていないというのは不自然である。したがって,この点についての被告Y2の供述は信用できない。
そうすると,平成27年4月から同年9月分についても,原告と被告会社の間で,CM契約が締結されたと認めるのが相当である。
エ 平成27年6月27日以降のキャンセル分について
被告会社は,同日以降もCMを放送したのは原告の側の事情であるとして,キャンセル分については請求できない旨主張するが,証拠(F証人)によれば,原告と被告代表者の間で,キャンセルの固定費についても支払う旨の合意がなされたことが認められる(F証人14頁)。したがって,被告の主張は採用できない。
オ リセール分も請求しているとの主張について
被告会社は,リセールとなった枠についても原告が請求していると主張するが,証拠(甲13,14)によれば,リセールになった部分について明示した上で請求していることが認められ,リセール部分について,全額を請求していると認めることはできない。したがって,被告会社の主張は採用できない。
カ 商品AのCMについて
証拠(F証人)によれば,原告が,商品Aを新商品(商品B)に切り替えるとの話を被告会社から聞いたのは平成27年の1月末から2月頃であることが認められる(F証人7頁)。この点,被告Y2は,被告会社は同年1月中旬の情報誌会議で原告に対して同年3月以降商品Aが販売停止になることを伝えている,同年2月10日には情報誌の原稿を印刷に出しているから同日頃には明確な認識を有していたと供述する(被告Y2・13頁)。しかし,仮に被告Y2の供述のとおり,1月中旬には商品Aの販売停止を原告が認識したとしても,F証人の証言によっても,2週間程度の違いでしかないことに加え,同人の証言によれば,テレビ局の素材考査の時間も必要であることが認められ(F証人7,8頁),いずれにせよ,同年3月1日から商品BのCMを放映するのは困難であったというべきであり,少なくとも,原告に落ち度があったということまでいえるものではない。これらの事情に,前記アの事情を併せ考えると,原告は,商品AのCMについても,被告会社に代金を請求できるというべきである。
なお,被告会社は,そもそも同月以降に商品AのCMが流れたのは原告の落ち度であるにもかかわらず,そのTVCM改定編集費を被告会社に請求するのは不当な請求であり,また,編集といっても,画像を加工し,商品の一部に「organic」という文字を加えただけであるにもかかわらず,216万1000円という高額な費用を被告会社に請求するのも不当な請求というべきであると主張する。しかし,前者については,上記のとおり,原告の落ち度ということはできないし,後者については,当該金額が高額であると主張するにとどまり,証拠(乙7)によっても,単に文字を加えただけにとどまるものではなく,被告会社の主張を採用することはできない。さらに,被告会社は,同月以降も商品AのCMが流れたことにより,合計440万7425円の損害を被ることとなったと主張するが,この点も,原告に落ち度があったということができない以上,原告に対して何らかの請求ができるというものではない。したがって,被告会社の主張は採用できない。
キ 平成26年11月のCS放送のCMについて
この点,証拠(甲5)によれば,平成26年11月10日から14日の間,「■■チャンネル」において被告会社のCMが放送された旨の記載がある。しかし,一方で,証拠(乙21の1,2,乙22ないし24)によれば,放送確認書には,10桁のCMコードを記載する必要があるところ,甲5にはその記載がなく,また,同年9月分のテレビ媒体のCM進行スケジュールにはCS放送のCMについて記載がある一方,同年11月分のスケジュールにはその記載がないことが認められる。これらの記載のない点について,原告は,記載漏れであると主張するが,そのような事実をうかがわせる証拠はない。そうすると,同月において,原告の主張するCMが放送されたかどうか,疑いが残るといわざるを得ない。しかも,当該CMについて,CMが放送されていないとしてもその分の代金を支払う旨の合意があったという事実を認めるに足りる証拠もない。
そうすると,この点については原告の主張を証拠上認めることはできない。
ク 不要な企業CMの主張について
この点について,平成26年11月以降にCM放送についての原告と被告会社との間の契約が合意解除されたとは認められないことは前記のとおりであり,そうすると,リセールができなかった時間帯については,被告会社の何らかのCMを放送する必要があったといえるところ,証拠(甲7)によれば,この頃,被告会社において,商品の在庫が乏しい状況にあったことが認められ,企業CMを放送することについて,原告が早急な対応をすることで避けられた事態というものではない。したがって,被告会社の主張は採用できない。
(2)  PR活動費について
この点,証拠によっても,原告自身において,被告会社のためにPR活動をしたことを認めるに足りる証拠はなく,また,被告会社代表者が,PR会社との契約を引き続き希望する旨回答したと認めるに足りる証拠もない。
したがって,この点における原告の請求には理由がない。
(3)  情報誌撮影費について
被告会社は,原告の請求する画像処理費について,情報誌制作費のページ単価に含むものとされていたと主張するが,金額の多寡はおくとしても,証拠(乙9の1ないし7,乙10)によれば,画像処理費は独立した項目として計上されており,原告の見積書が作成された当時,被告会社がこの点について何らかの指摘をしたことを認めるに足りる証拠がないことに照らすと,画像処理費が情報誌制作費のページ単価に含まれていたことをうかがわせる事情があるということはできない。そうすると,この点に対する被告会社の主張を採用することはできない。
また,被告会社は,原告がディレクション費も請求している点につき,原告は写真撮影の場に立ち会うことはなく,撮影の指示や統括等をしている実態はないと主張する。しかし,証拠(乙9の1ないし7)によれば,当該費用も,独立した項目として計上されているものであり,被告会社が当時からディレクション費について何らかの指摘をしていたとは認められないことに照らすと,撮影費等の個別の費用とは別に,ディレクション費を請求し得るというべきである。したがって,この点についても被告会社の主張は採用できない。
(4)  情報誌制作費等について
被告会社は,情報誌制作費等について,原告が不当に高額な料金へ変更したと主張する。確かに,証拠(乙12,13)によれば,平成23年3月に情報誌制作費が変更され,それまでより高額になったことが認められる。しかし,料金が変更されたことから,直ちに不当であるというわけではなく,不当であることを基礎付ける事実が証拠上認められるわけではない。また,情報誌制作費の変動については,被告会社代表者から言われたことが認められること(乙13,F証人44頁。なお,乙13については,たとえ文字が小さいとしても,被告会社代表者に確認した旨記載され,それに対して同証拠の作成時点で被告会社において何らかの異議を述べたとは認められない以上,その記載の信用性は十分あるといえる。)からすれば,原告の請求している情報誌制作費について,過剰請求であるということはできない。
また,被告会社は,平成18年2月号から平成21年2月号までの情報誌の裏表紙の広告収入について,1件当たり120万円を控除すべきと主張する。しかし,原告と被告会社間で,このような控除をする旨の合意があったと認めるに足りる証拠はない。したがって,この点についての被告会社の主張は採用できない。
さらに,被告会社は,折込チラシAと折込チラシBは,両者の裏面が同一内容であるため,どちらか一方は,見積書の請求項目として「デザイン・コピー・撮影・フィニッシュ一式」となり,もう一方については,既存データの流用となるため,「デザイン・流用コピー・撮影・フィニッシュ一式」の項目となるが,原告は,いずれの折込チラシについても,前者の項目にて被告会社に請求しており,少なくとも13万円が過剰請求となっていると主張する。しかし,証拠(乙27,28)によれば,折込チラシAとBでは,片面は同一内容であるが,片面は別の内容である。そうすると,少なくとも,片面についてはそのままデータを流用できない以上,一定の作業が必要となり,「デザイン・流用コピー・撮影・フィニッシュ一式」の項目とすることはできないというべきである。
加えて,被告会社は,折込チラシBの依頼をする際,原告から,「Gの写真は▼▼12月号の際に撮影しており,折込チラシBには当該写真を流用するのでタレント起用料はかからず二次使用料のみの低料金になる。」旨の説明を受けていたと主張するが,このような事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって,被告会社の主張は採用できない。
(5)  タレント費用について
この点,被告会社は,各タレントの出演料について,不合理に値上げがされていると主張するが,弁論の全趣旨によれば,タレントの出演料については,タレントの所属事務所との交渉結果が影響すると認められるところ,単に従前と比較して出演料が上がったからといって,直ちに原告の請求が不当なものになるということはできない。したがって,この点についての被告会社の主張は採用できない。
(6)  アフィリエイトについて
この点,被告会社は,原告は,平成26年9月30日実施のアフィリエイトLP制作費として45万6000円を請求し,同年10月31日実施のアフィリエイトLP制作費追加分として92万4000円の計138万円を請求しており,従前の制作費と比較して,不合理に値上げされた旨主張する。しかし,値上げされたことから直ちに不当であるというわけではないことは他の費用と同様であり,不当であることを基礎付ける事実を認めるに足りる証拠もない。したがって,この点の被告会社の主張は採用できない。
また,被告会社は,原告がアフィリエイトの成果報酬として毎月一定額を被告会社に請求するとともにX社管理進行費として12万5500円の請求もしていることにつき,実質的に同一の意味合いを持つものであり,請求の名称を変えることでアフィリエイト収入に対する手数料を被告会社に二重に請求していると主張する。しかし,上記各費用が,実質的に同一の意味合いを有することを基礎付ける事実を認めるに足りる証拠はなく,この点についても被告会社の主張は採用できない。
(7)  小括
以上検討したことに加え,証拠(甲1の1ないし152〔ただし,甲1の20,36,39,57,80,88,112を除く。〕,7,15,16,F証人)によれば,別紙1一覧表記載の原告の被告会社に対する請求のうち,平成26年11月分のCS放送のCM代金及び同年10月以降のPR活動費を除いて,原告の請求が認められるというべきである。そうすると,原告が被告会社に対して請求できる金額は,未請求項目分を除いた部分として,5億9619万4000円(=6億0056万円-10万8000円-5万8000円-70万円×6)となり,加えて,未請求項目分として,967万円を請求できるということになる。
なお,被告会社は,債務承認兼支払計画書(甲2)及び覚書(甲3)について,原告の強迫による,あるいは被告会社の錯誤に基づいて作成されたものであると主張するが,そもそも,上記請求が認められるのは,個々の取引ごとに原告担当者と被告会社代表者が合意をした結果であり,上記計画書等の作成経緯いかんによって,原告の請求が認められるかどうかが定まるものではない。それをおくとしても,上記計画書等の作成において,原告が被告会社代表者を強迫したことを認めるに足りる証拠はないし,被告代表者と原告担当者の間で,個々の取引について,その意思表示と内心に齟齬がみられたというものでもない。確かに,本件に至る経緯をみるに,被告会社において,上記計画書等の内容に真に納得の上で作成されたかといえば,不本意であったということがあるかもしれないが,それは,法的に瑕疵ある意思表示といえるものではない。
2  被告Y2に対する請求
この点,証拠(甲2)によれば,被告Y2が,原告との間で,平成27年5月15日,本件広告取引契約に関する被告会社の支払債務について,書面により,連帯保証契約を締結したことが認められる。
被告Y2は,上記証拠が,被告会社に対する強迫又は被告会社の錯誤に基づいて作成されたものであると主張するが,この点については前記1(7)のとおり,採用できない。
したがって,原告は,被告Y2に対しても,被告会社に対して請求できる額と同額を,被告会社と連帯して支払うよう請求できる。
第6  結論
以上のとおり,原告の請求には主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求については理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用について民事訴訟法64条ただし書き,61条を,仮執行の宣言について同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。なお,仮執行免脱宣言については,相当でないことからこれを付さないこととする。
東京地方裁判所民事第24部
(裁判官 奥田大助)

 

〈以下省略〉

 

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