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「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(6)平成30年 9月21日 東京地裁 平29(ワ)15226号 不当利得返還請求事件

「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(6)平成30年 9月21日 東京地裁 平29(ワ)15226号 不当利得返還請求事件

裁判年月日  平成30年 9月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)15226号
事件名  不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA09218009

裁判年月日  平成30年 9月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)15226号
事件名  不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA09218009

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社X2
同代表者代表取締役 X1
川崎市〈以下省略〉
原告 X1
原告ら訴訟代理人弁護士 東條岳
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 上野真裕
同 鈴木規央
同訴訟復代理人弁護士 岡嶋友也

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告株式会社X2に対し,6786万1914円及びこれに対する平成27年6月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告X1に対し,315万円及びこれに対する平成27年6月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告らが,被告に対し,原告らと被告との間の原告らが被告に対しそれぞれ金員を支払う旨の合意(以下「本件合意」という。)は被告の強迫によるものでありこれを取り消したとして,原告らが被告に給付した金員(原告株式会社X2(以下「原告会社」という。)につき6786万1914円,原告X1(以下「原告X1」という。)につき315万円)の不当利得の返還及びこれらに対する平成27年6月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(当裁判所に顕著な事実,争いのない事実又は括弧内挙示の各証拠若しくは弁論の全趣旨により認められる事実)
(1)  当事者等
ア 原告会社は,昭和59年5月1日に設立された,広告物の制作,各種キャンペーンの実施などのいわゆる広告制作業を中心とする業務を行う株式会社である(争いのない事実,甲1)。
原告X1は平成21年から原告会社の代表取締役を務めている者である(争いのない事実)。
訴外A(以下「A」という。)は,昭和59年5月から平成24年11月まで原告会社の代表取締役を務めていた者である(甲11)
イ 被告は,広告制作業において総合的な業務を行う者であり,コピーライターである(乙18,弁論の全趣旨)。
(2)  原告会社及び原告X1の被告に対する金員の支払
ア 原告会社は,被告に対し,少なくとも平成18年10月31日から平成27年6月25日までの間,別紙原告会社から被告への振込金集計一覧のとおり,金員を支払った(これら以外の支払及び支払合計額については争いがある。甲2,甲3,弁論の全趣旨)。
イ 原告X1は,被告に対し,平成18年10月から平成27年6月12日までの間,毎月3万円ずつ105回にわたり,合計315万円を支払った(争いのない事実)。
(3)  取消の意思表示(当裁判所に顕著な事実)
原告らは,被告に対し,平成29年9月12日の本件第1回弁論準備手続期日において,本件合意を取り消す旨の意思表示をした。
2  争点
(1)  被告の原告らに対する強迫行為の有無(争点1・請求原因)
(2)  原告らの請求権の消滅(争点2・訴訟要件の欠缺ないし抗弁)
(3)  原告らの損害の発生及びその額(争点3・請求原因)
3  争点に関する当事者の主張
(1)  被告の原告らに対する強迫行為の有無(争点1)について
ア 原告ら
(ア) 被告は,原告らに対し,平成15年8月,レストラン「銀座らん月」において,次のように申し向け,原告会社が8000万円を支払うこと,同時点で原告会社が支払い続けていた顧問料名目の月額44万円の支払を継続して行うこと,原告X1が毎月3万円ずつを支払うことを要求した。
a 「俺は全て知っていると。X2社とクライアントの間に何があったのか。商品券を用意して,渡したワイロの事実を。」
b 「この用紙を持っている。(X1メモ)見れば明らかだ。また商品券を宅配で送らせた時の指示書(X1の手書きメモ)もある。」
c 「またYが関わったPR誌の仕事で,利益を不当に搾取している事実も知っている。20号続く仕事で,毎月400万は不当に余剰な利益だ。それほど利益があるとは聞いていない。利益は15%程度だという話を信じていた。20号制作したので,毎号400万が余剰の利益とすると,8000万は自分が取ってしかるべきだ。」(原告会社を退職した社員が横流しした営業利益の表を見せながら)
d 「これを埋め合わせるのが,X1の仕事だ。これが出来ない場合は,どうなるかわかるか。知り合いには,このような種類の詐欺行為をした奴で,二度と世間に出てこなくなった人間もいる。消息不明だ。」
e 「ワイロの件は,(他のNTT関係のワイロの新聞記事を見せながら)お縄になるんだぞ。わかっているんだろうな。」
f 「またこの話をその筋に話したら,奴らはどう動くか。娘もいるんだよな。売ることもできるんだぞ。」
g 「もし俺に何かあったら弁護士から自動的に警察やその筋に話が行くことになっているからな。」
これに対し,原告X1は,家族の身を案じ,また,平成4年頃,原告会社が訴外株式会社NTTファシリティーズ(以下「NTTファシリティーズ」という。)の従業員(B(以下「B」という。),C(以下「C」という。))からマスコミ対策に使うために商品券を送ってくれないかと依頼され,NTTファシリティーズから原告会社に対して案件が発注されるごとに一定の金員を上乗せして請求するように指示され,原告会社がこの上乗せ分を原資として商品券を購入し,当該従業員に送付していたという事実(以下「本件水増し請求の事実」という。)があり,この事実が明らかになれば,極めて重要な取引先であるNTTの関連会社の従業員が懲戒処分を受けるのみならず,刑事訴追される可能性もあると考え,また,もし,そこまでの大事にならないとしても,取引先に大変な迷惑をかけることは免れず,原告会社としても存亡の危機に陥ると,畏怖した。
そこで,原告らは,被告に対し,原告会社が8000万円を支払うこと,同時点で原告会社が支払い続けていた顧問料名目の月額44万円の支払を継続して行うこと,原告X1が毎月3万円ずつを支払うことを口頭で承諾した(以下「本件強迫行為①」という。)。
(イ) 原告会社(代表取締役A)は,被告に対して,平成21年12月頃,八重洲ブックセンターにおいて,「社長の代替わりもあるので,毎月支払っていた45万円は,支払を中止したい」と申し入れたところ,被告は,Aが不正をしているという内容の被告作成のメモとNTTファシリティーズの従業員宅宛に宅配便で商品券を送った際の配送伝票の控えのコピーなどを見せながら,「これを電通にばらしてもいいのか?」と申し向け,本件水増し請求の事実が発覚することを怖れる原告会社を強迫した。
そこで,原告会社と被告は,原告X1が代表取締役に就任する平成21年12月以降も原告会社が被告に対して顧問料名目で月額40万円(源泉控除後金額)を支払う旨合意した(以下「本件強迫行為②」という。)。
(ウ) 被告は,原告会社(代表取締役原告X1)に対し,平成25年12月6日,中国料理六本木樓外樓飯店(以下「樓外樓飯店」という。)において,色々な数字の書いてあるシートを原告会社の代表取締役である原告X1に何枚も見せながら,次のように申し向け原告会社を強迫した。
a 「俺のいうところの毎月260万円支払うということについては,明白だと。今までの支払を除いたのちの金額を分割で支払え,もし支払えないなら,ワイロの件をばらすぞ」
b 「今までの支払を除くと,2億4640万が正当なYへの支払額になる。これをX2社が支払える金額にならすと毎月150万で,2026年2月までの支払だ。わかったな。」
c 「誓約書を次回持ってくるので,サイン捺印しろ。」
そこで,原告会社と被告は,平成26年1月16日,同年3月以降,原告会社が被告に対し,顧問料名目で支払っていた月額40万円(源泉控除後金額)を増額し,月額150万円(源泉控除後金額)を支払う旨合意した(以下,「本件強迫行為③」といい,本件強迫行為①ないし③を総称して,「本件各強迫行為」という。)。
イ 被告
(ア) 本件強迫行為①の事実は否認する。
a 本件強迫行為①の事実を裏付ける客観的証拠はない。
b 本件強迫行為①の内容自体不自然不合理なものである。
そもそも,被告は,本件水増し請求の事実を知らず,これをばらすとの本件強迫行為①を行うことはあり得ない。
また,本件強迫行為①の当時の原告会社の代表取締役はAであり,原告X1ではないところ,原告らの主張は,当時被告との対価報酬の交渉権,決定権のない,一営業担当であった原告X1を強迫したというものであり,不自然不合理なものである。
さらに,原告らの主張によると,原告X1が被告に対して月額3万円の支払を開始したのは,本件強迫行為①から3年後の平成18年10月からであり,この点でも不自然なものである。
なお,原告X1と被告との間で,原告X1が被告に対し毎月3万円支払うとの合意が成立したのは,平成18年9月,八重洲ブックセンター内のカフェ「ティファニー」においてである。
c 被告が,原告らと,平成14年10月頃,金員の支払について協議したことはあるが,これは,被告が編集長となって,編集方針・企画,特集テーマの立案,誌面の構成,インタビュー相手の人選・内容,インタビュー,原稿の作成,デザイナーなど外部クリエイターのプロデュースとディレクションなど制作のすべてをほぼ一人で行ったPR誌○○について,原告会社が発注元である電通から,その報酬として1号当たり1200万円から1400万円の支払を受けていたにもかかわらず,1号当たり750万円しか受領していないと虚偽の事実を説明し,被告に対し,1号当たり170万円から500万円程度の報酬しか支払わなかったことから,被告は,原告会社が被告から○○1号当たり少なくとも400万円,創刊号から20号まで総額8000万円の利益を搾取したと考え,原告会社の○○の担当であった原告X1に,原告会社が被告から搾取した利益の埋め合わせを相談し,被告と原告X1が,その方法について協議したというものであって,原告会社及び原告X1を強迫したものではない。
d 原告X1が,被告に対し,平成18年10月から毎月3万円を支払ったのは,原告X1が被告をだまし,原告会社が○○の被告の報酬を搾取したことに対する埋め合わせとして,原告会社から株式会社KIMエンタープライズ(以下「KIM」という。)に対して毎年1億円の仕事を8年間にわたり発注すると被告に約束したにもかかわらず,その約束が履行されなかったので,その約束が履行されるまでの担保として受領していたものであり,飽くまで原告X1と被告が話し合い,合意の上で行われていたものである。
e 原告会社の被告に対する顧問料は,昭和61年3月以降,金額の変遷はあるものの継続して支払われてきたものであり,平成15年8月頃に原告会社と被告との間で合意して支払われるようになったものではない。したがって,取消の対象となる意思表示は存在しない。
(イ) 本件強迫行為②の事実は否認する。
本件強迫行為②の事実を裏付ける客観的証拠はない。
また,前記(ア)dと同様であり,原告会社の被告に対する顧問料の支払は,平成21年12月頃に原告会社と被告との間で合意して支払われるようになったものではなく,取消の対象となる意思表示は存在しない。
(ウ) 本件強迫行為③の事実は否認する。
a 本件強迫行為③の事実を裏付ける客観的証拠はない。
b 被告が,原告会社に対し,平成25年12月6日,樓外樓飯店において,顧問料の増額を申し入れた事実はあるが,これは,被告が,原告会社のために,業務を行い,また,大手代理店や大手クライアントからの仕事を獲得し,従業員を育て上げ,その多くの時間と労力を原告会社に使ったことで,チラシ制作程度しかできなかった原告会社をコピーライティング,ビジュアライジング等の質の高いクリエイティブな仕事を手掛ける会社に引き上げ,売上高も伸ばしたことから,自己の報酬は月額手取りで260万円が相当であると考え,平成9年8月頃から,原告会社に対し,自己の月額報酬を手取りで260万円にするように申し入れを行ってきたが,原告会社は資金繰り上できないとしてこれを断っていたところ,平成10年3月に原告会社の営業担当従業員から,原告会社がNTTファシリティーズ関連の仕事で得た売上高や利益,また,会社の業績が極めて良好であることを聞き,原告会社の説明が虚偽であり,自己の役務が搾取されていたことを知り,被告は,原告X1を問いつめたものの,埋め合わせがなかなか実行されず,被告も68歳になり,月額40万円ではいつまで経っても自己が本来受領すべき金額の埋め合わせができないと考え,上記のとおり顧問料の増額を申し入れたものである。そして,被告は,原告X1と協議した結果,平成26年2月に顧問料を月額150万円とすることで合意したものである。
(2)  原告らの請求権の消滅(争点2)について
ア 被告
原告らは,平成27年(2015年)7月22日付け通知書において,今後,被告が原告らに対して名誉ないし信用を毀損する行為,不当な要求を繰り返す行為等をしなければ,原告らが被告に対して法的手段をとることはないとして,条件付きの権利放棄の意思表示をしたところ,被告は,原告らの要求を受け入れて,原告らに対して何らの行為もしなかったのであり,本件に関する原告らの被告に対する請求権は既に消滅している。
したがって,原告らの請求は,訴訟要件を欠き,又は,権利濫用ないし信義則に反するものであり,いずれにせよ認められる余地はない。
イ 原告ら
否認ないし争う。
原告らは,被告が不当な要求を繰り返す場合には損害賠償請求等の法的手段を行うと主張したに過ぎず,条件付きの権利放棄の意思表示をしたものではない。
(3)  原告らの損害の発生及びその額(争点3)
ア 原告ら
(ア) 被告の原告会社に対する本件各強迫行為に基づき,原告会社は被告に対し,平成18年10月から平成27年6月まで合計6697万3026円を支払った。
原告会社は本件合意を前記前提事実(3)のとおり取り消したから,被告は,上記金額を法律上の原因なく取得している。
(イ) 被告の原告X1に対する本件強迫行為①に基づき,原告X1は被告に対し,平成18年10月から平成27年6月12日までの間,毎月3万円ずつ105回にわたり,合計315万円を支払った。
原告X1は本件合意を前記前提事実(3)のとおり取り消したから,被告は,上記金額を法律上の原因なく取得している。
イ 被告
いずれも否認ないし争う。前記(1)イのとおり被告は本件各強迫行為をいずれもしていない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提事実に加え,括弧内挙示の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告は,大学卒業後,a社に入社し,昭和44年にb社に入社し,昭和48年にc社に入社し,同社においてコピーライター,クリエイティブディレクターを兼ねつつ制作局第三制作部長を務めた後,昭和59年に同社を退職し,事務所を開設し,個人事業主として,キャンペーンの企画・制作,テレビコマーシャルの企画・制作,コピーライティング,インタビュー,編集企画等の業務を行い,また,これらの業務を通じてデザイナー,アートディレクター,イラストレーター,カメラマン等とのネットワークを有していた(甲4,乙1,乙18,被告本人尋問の結果(以下「被告本人」という。))。
(2)  被告は,昭和61年,知人を通じてAと知り合った。原告会社は,被告に対し,広告制作の企画立案,そのプレゼンテーション,コピーライティング,原告会社の新人従業員の教育等の業務を,月額50万円の報酬で業務委託した。(甲4,乙18,証人Aの証言(以下「証人A」という。),被告本人。以下,この業務委託を「本件業務委託」という。)
(3)  原告会社は,昭和63年,電通からNTTデータ通信のPR誌である○○の制作の進行・連絡・校正等の作業業務を受注し,被告が原告会社における作業担当従業員の指揮,ディレクション,コンサルティング等の一切の業務を行った。○○は,昭和63年の1号(創刊号)から平成19年の38号(最終号)まで発刊された。被告に対する上記業務に対する報酬の支払は,○○の1号から32号までは,原告会社から,平成14年10月中旬以降,33号から38号(最終号)までは電通テックから支払われた。(乙7ないし9,乙18,被告本人)
(4)  原告会社と被告は,昭和63年5月以降,本件業務委託の報酬を月額70万円とすることに合意した(乙14,乙18)。
(5)  原告会社と被告は,平成7年9月以降,本件業務委託の報酬を月額130万円とすることに合意した(乙14,乙18)。
(6)  原告会社と被告は,平成9年10月以降,本件業務委託の報酬を月額140万円とすることに合意した。この際に,被告は原告会社に対し,平成9年9月19日付けで,「A氏とYの合意にもとづく,Yのギャランティの「とりきめ」について。」と題する書面を送付し,この中で,被告は,原告会社に対し,NTTファシリティーズの仕事のみを従来どおりの仕事の仕方で月額140万円の報酬とするAの提案を了承するが,NTTファシリティーズが原告会社の顧客から外れたとしても上記の報酬額とは無関係であること,NTTファシリティーズの仕事が大量に増加した場合には見直すこと,○○の仕事については,1回分の報酬を750万円とするAの提案を了承すること,この金額でようやく被告の仕事と見合う額になったと認識していることなどを記載した。(甲11,乙3,乙18)
(7)  被告は,平成10年3月31日,原告会社の従業員であるD(以下「D」という。)から,Dの給料交渉のシートを受領した。これによると,原告会社はコストダウン等により,目標要請である利益率35パーセントを上回る39パーセントを達成しており,顧客からのリピートオーダーを受けていること,原告会社の売上が伸びていること等が記載され,また,各顧客の売上,請求額,支払額,利益,利益率を記載した表が添付されており,その表によると○○の22号から24号の請求額が1334万4806円ないし1436万4141円で,被告への支払額を含む支払額は概ね1000万円前後であり,利益率は28ないし29パーセントであることが記載されていた(乙4)。
(8)  原告と被告は,平成12年4月,同年5月以降,本件業務委託の報酬を月額40万円とすることに合意した(争いのない事実)。
(9)  被告は,平成14年5月30日,原告X1に対し,前記(6)の書面に書き込みをした書面を送付した(乙3)。
(10)  原告会社と被告は,平成14年ないし平成15年頃,原告会社がKIMに毎年1億円の仕事を8年間発注し,被告が仲介料として原告会社がKIMに発注した金額の10パーセント(1000万円)を受領することを合意した(甲4,乙18,原告X1本人尋問の結果(以下「原告X1本人」という。),被告本人)。
(11)ア  原告会社は,被告に対し,平成18年10月から平成27年6月までの間,40万円ないし150万円の金員を毎月支払った(前記前提事実(2)ア)。
イ  原告X1は,被告に対し,平成18年10月から平成27年6月までの間,毎月3万円ずつを支払った(前記前提事実(2)イ)。
(12)  原告X1は,平成25年4月19日付けで,被告に対し,○○に関する被告の報酬合計8000万円を搾取したこと,未払の残額2600万円と8000万円の28パーセント2240万円の合計4840万円を同年より毎年800万円ずつ支払うこと,現在埋め合わせとして支払っている毎月40万円については改めて継続の仕組みを打ち合わせたいなどと記載した手書きの念書(甲5)を渡した。
その後,原告X1は,被告の指示により,同年9月26日付けで上記の念書と同様の内容をワープロ打ちした誓約書(念書)(甲6,乙12)を渡した。(甲4ないし5,乙12,乙18,原告X1本人,被告本人)
(13)  原告X1は,平成26年2月13日付けで,被告に対し,誓約書(念書)(甲7)を交付した。この誓約書(念書)には,原告X1とAが共謀して,被告に対し,原告会社の経営状況等について虚偽の説明をし,合計3億1440万円を搾取したこと,そのうち既に埋め合わせをした額を差し引いた2億4640万円からさらに3040万円差し引いた2億1600万円を平成26年3月25日以降月額150万円ずつ12年間で支払うこと,また,特記事項として,「株式会社X2が,d広告企画室・Y氏より14年間に亘り搾取した氏の月額賃金報酬3億1441万円は、1980年代,1990代に当社の右肩上がり業績アップのための経営資金として使用し,当社の未来のための必要経費としての成果をあげました。今回,2014年3月より開始のd広告企画室・Y氏への埋合せ代償報酬支払い金は,同じように当社が未来へ支障なく前進していけるための,また私自身と搾取したお金の使い道と深く関係しているNTTファシリティーズの当時の広報部長C氏,主査B氏らが支障なく未来へ前進していけるために有効に使える必要経費と捉え,認識しています。」,「いわば虚偽,詐欺,搾取の「物的証拠」となる書類,株式会社X2の「経営成績概要」(平成9年度),当社元社員D氏の「営業成績一覧」(平成9年),また…B氏に関連しての当社の好業績を証明する「私,X1のメモ」(1993年,1994年),さらにY氏が月額260万円を正当と証明し当社へ提出し交渉の根拠とした「文書」(平成9年)は,すべて私,X1も当社前取締役も確認済みで,その一部を手元に所有しています。さらに,書類の他,証人として前記のD氏,B氏,C氏,また当社クライアントの電通の営業のE氏らと連絡の取れる体制をY氏は敷いており,氏の求めに応じて私の方からも連絡を取る約束を氏としています。こうした事態に至らぬように,2億1600万円の速やかな支払い履行を誓います。」,また,末尾に「本誓約書を,誓約書の内容に関わっていることを考慮して,D,B,Cの各氏へ配布するか否かはY氏へ一任します。私の,株式会社X2の,氏に対しての「埋合せ賃金報酬代償支払い」の約束の履行,実行次第によってのことと推察しますが,そうならないように,私ことX1は約束の履行・完遂を誓います。」といったことなどが記載されている。(甲4,甲7,乙18,原告X1本人,被告本人)
(14)  原告会社と被告は,平成26年3月以降,本件業務委託の報酬を月額150万円とすることに合意した(甲3,乙18)。
(15)  原告らは,被告に対し,平成27年7月23日,被告が,原告らに対し,本件水増し請求の事実を公表するなどとほのめかすことにより原告らを畏怖させ,原告らはこのような畏怖に基づき被告に対し実体のない金員を交付し,また,KIMを通じて被告の要望金額を満たすような支払を行ってきたものであり,これらの行為は,恐喝罪(刑法249条1項),強要罪(同法233条1項)等に該当するものであり,これ以上実体のない金員の支払をすることはできないこと,また,被告が,原告らに対する名誉・信用を毀損するような行為を行ったり,原告らに対して不当な要求を繰り返したりするようであれば,損害賠償請求等の法的手続を行う旨通知した(甲8の1及び2)。
(16)  原告らは,被告らに対し,平成29年5月10日,本件訴訟を提起した。
2  争点2(原告らの請求権の消滅)について
前記認定事実(15)のとおり,原告らは,被告が,原告らに対する名誉・信用を毀損するような行為を行ったり,原告らに対して不当な要求を繰り返したりするようであれば,損害賠償請求等の法的手続を行う旨通知したことは認められるが,この通知において,そのような行為を行わない場合には損害賠償請求等の法的手続を行わない旨記載しておらず,全証拠及び弁論の全趣旨によっても,上記の通知の時点においてそのような意思表示をしたと認めるに足りない。
したがって,この点に関する被告の主張は理由がない。
3  争点1(被告の原告らに対する強迫行為の有無)について
(1)  本件強迫行為①について
ア 原告らは,平成15年8月,レストラン「銀座らん月」において本件強迫行為①が行われたと主張し,被告はこの事実があったこと自体を否認している。
確かに,前記認定事実(10)によれば,原告会社と被告が,平成14年ないし平成15年頃,KIMへの発注を通じて多額の金員が被告にわたる旨の合意をしていることが認められる。
しかしながら,本件強迫行為①の時期が平成15年8月であるのに対し,原告X1の被告に対する毎月3万円の支払は前記認定事実(11)イのとおり,平成18年10月以降であり,3年以上も開いていることからすれば,これが本件強迫に基づく支払であるとはにわかには認め難い。
また,前記認定事実(12)のとおり,原告X1が被告に対して交付した念書等(甲5,甲6)には,原告会社の被告に対する搾取行為とその填補に関する記載はあるものの本件水増し行為の存在に関する記載は認められず,前記認定事実(13)のとおり,原告X1が被告に対して交付した別の誓約書(念書)(甲7)においても,NTTファシリティーズの従業員の氏名やそれらの者に対する配慮を示すような記載はあるものの,本件水増し請求の事実の存在に関する明確な記載はない。
そして,前記各認定事実からは,被告が,原告会社において相応の内容の業務を行っていたこと,この業務に対する報酬に不満を持ち,原告らと被告との間でしばしばその相当額が問題となり,被告が時機に応じてその改定等を申し入れ,実際に改定を行っていたことが認められることからすれば,本件強迫行為①がないとしても,原告らから被告に対し前記認定事実(11)の金員の継続した支払がされていることや,前記認定事実(12)及び(13)の念書等が存在することが不自然であるとまではいえない。
さらに,全証拠及び弁論の全趣旨によっても,本件強迫行為①を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。
以上によれば,本件強迫行為①を認めるに足りない。
イ この点,原告X1は,本件強迫行為①の事実があり,これに基づいて本件強迫行為①以後2か月に1回は呼び出されて2か月分6万円を現金で被告に対し支払っていた旨供述している(甲4,原告本人)。
しかしながら,この供述を裏付けるに足りる客観的な証拠はなく,また,被告が本件水増し請求の事実を知っていたことを裏付けるに足りる客観的な証拠はないこと,本件水増し請求の事実は,本件強迫行為①がされたとされる時点において10年以上も前の行為である上,その内容が発覚すること自体,原告会社や原告X1の命運にかかわるような問題であるとまでは認め難いものであること,さらに,全証拠及び弁論の全趣旨によっても,被告が反社会的勢力と関係があることなどは認められず,原告X1の家族に危害を加えるかのような発言をするとはにわかには考え難く,また,そのような発言を受けて原告X1が畏怖するとも考え難いことからすれば,必ずしも自然で合理的な内容のものであるとは認め難く,その信用性は高いものとはいえず,これを採用することはできない。
ウ また,Aは,前記認定事実(6)及び(8)の際に本件水増し請求の事実をばらす旨の強迫があった旨供述する(甲11,A証人)。
しかしながら,この供述を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。また,被告が本件水増し請求の事実を知っていたことを裏付けるに足りる客観的な証拠はなく,その内容が発覚すること自体,原告会社や原告X1の命運にかかわるような問題であるとまでは認め難いものであることは上記イと同様である。さらに,それらの強迫を受けたとされる際に証拠となるような書面を示されたかについてのAの供述が曖昧である。こうしたことからすれば,Aの上記供述は,信用性が高いものとはいえず,採用することができない。
(2)  本件強迫行為②について
ア 原告らは,平成21年12月頃,八重洲ブックセンターにおいて,本件強迫行為②が行われたと主張し,被告はこの事実があったこと自体を否認している。
この点,前記(1)で説示したとおり,原告X1が被告に対して交付した念書等(甲5ないし甲7)には本件水増し請求の事実の存在に関する明確な記載はなく,また,本件強迫行為②がないとしても,原告らから被告に対し前記認定事実(11)の金員の継続した支払がされていることや,上記念書等が存在することが不自然であるとまではいえない。
さらに,全証拠及び弁論の全趣旨によっても,本件強迫行為②を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。
以上によれば,本件強迫行為②を認めるに足りない。
イ これに関し,Aは,本件強迫行為②の事実があった旨供述する(甲12,証人A)。
しかしながら,この供述を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。また,前記(1)ウで説示したとおり,被告が本件水増し請求の事実を知っていたことを裏付けるに足りる客観的な証拠はなく,その内容が発覚すること自体,原告会社や原告X1の命運にかかわるような問題であるとまでは認め難い。さらに,それらの強迫を受けたとされる際に証拠となるような書面を示されたかについてのAの供述が曖昧である。こうしたことからすれば,Aの供述を上記供述は,信用性が高いものとはいえず,採用することができない。
(3)  本件強迫行為③について
ア 原告らは,平成25年12月6日,樓外樓飯店において,本件強迫行為③が行われたと主張し,被告はこの事実があったこと自体を否認している。
確かに,前記認定事実(12)及び(13)によれば,原告X1が被告に念書等(甲5ないし7)を交付していること,前記認定事実(14)によれば,平成26年3月以降,本件業務委託の報酬をそれまでの月額40万円から月額150万円とすることに合意したことが認められる。
しかしながら,前記(1)で説示したとおり,上記念書等には本件水増し請求の事実の存在に関する明確な記載はなく,また,本件強迫行為③がないとしても,原告らから被告に対し前記認定事実(11)の金員の継続した支払がされていることや,上記念書等が存在することが不自然であるとまではいえない。
さらに,全証拠及び弁論の全趣旨によっても,本件強迫行為③を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。
以上によれば,本件強迫行為③を認めるに足りない。
イ 原告X1は,本件強迫行為③の事実があった旨供述している(甲4,原告本人)。
しかしながら,この供述を裏付けるに足りる客観的な証拠はない。また,前記(1)イで説示したとおり,被告が本件水増し請求の事実を知っていたことを裏付けるに足りる客観的な証拠はない。そして,本件水増し請求の事実は,本件強迫行為③がされたとされる時点において20年以上前の行為である上,その内容が発覚すること自体,原告会社や原告X1の命運にかかわるような問題であるとまでは認め難いものである。そうすると,上記原告の供述は必ずしも自然で合理的な内容のものであるとは認め難く,その信用性は高いものとはいえず,これを採用することはできない。
(4)  まとめ
以上によれば,本件各強迫行為はいずれもこれを認めるに足りない。
第4  結論
よって,その余の点について判断するまでもなく原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第5部
(裁判官 鈴木秀孝)

 

〈以下省略〉

 

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