【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業 スタッフ」に関する裁判例(20)平成21年 1月15日 大阪地裁 平19(ワ)6718号 地位確認等請求事件、損害賠償請求事件 〔南海大阪ゴルフクラブほか事件〕

「営業 スタッフ」に関する裁判例(20)平成21年 1月15日 大阪地裁 平19(ワ)6718号 地位確認等請求事件、損害賠償請求事件 〔南海大阪ゴルフクラブほか事件〕

裁判年月日  平成21年 1月15日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)6718号・平19(ワ)15664号
事件名  地位確認等請求事件、損害賠償請求事件 〔南海大阪ゴルフクラブほか事件〕
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2009WLJPCA01156005

要旨
◆ゴルフクラブ(本件クラブ)に雇用されていた個人原告らが、被告クラブが本件クラブからゴルフ場事業の譲渡を受けた旨の契約をしたことを前提として、同事業譲渡契約を通じて同原告らの雇用を解消した行為が、解雇に該当するところ、同解雇が解雇権の濫用で違法無効であるとして、被告クラブに対し、個人原告らが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び未払賃料等の支払を求めた事案において、本件事業譲渡契約では本件クラブと個人原告らを含む従業員との雇用関係の承継は合意されていないとし、また、被告クラブは本件クラブと個人原告らとの雇用関係の承継を信義則上拒否できないとはいえないとし、さらに、被告らの本件クラブからの退職と被告クラブでの不採用を総合して、被告クラブからの同原告らに対する解雇と評価し、同解雇が解雇権の濫用であるとの原告の主張は理由がないとして、請求を棄却した事例
◆原告らが、本件クラブと被告クラブを支配する被告会社が、個人原告らの使用者というべき立場で原告組合ないし同組合に加入していた個人原告らを嫌悪して上記事業譲渡契約という手法を使って本件クラブないし被告クラブから個人原告らを排除しようとしたものであって、同排除行為などは不当労働行為に該当するとして、不法行為に基づいて慰謝料等の支払を求めた事案において、被告会社が個人原告らの本件クラブからの退職について現実かつ具体的支配力を行使したとまでは窺えず、また、本件事業譲渡の際、本件クラブとその従業員との雇用契約を承継しない旨の合意及び本件クラブからの退職、被告クラブの不採用のいずれもが原告組合ないし個人原告らを嫌悪して行われた不当労働行為とまではいえないとして、請求を棄却した事例

出典
労判 985号72頁
労経速 2039号3頁

評釈
西修一郎・労経速 2039号2頁
本久洋一・法セ 658号121頁
竹林竜太郎・ジュリ増刊(実務に効く労働判例精選) 19頁

参照条文
民法1条2項
民法709条

裁判年月日  平成21年 1月15日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)6718号・平19(ワ)15664号
事件名  地位確認等請求事件、損害賠償請求事件 〔南海大阪ゴルフクラブほか事件〕
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2009WLJPCA01156005

1・2事件原告 X1(以下、単に「原告X1」という)
1・2事件原告 X2(以下、単に「原告X2」という)
1・2事件原告 X3(以下、単に「原告X3」という)
1・2事件原告 X4(以下、単に「原告X4」という)
1・2事件原告 X5(以下、単に「原告X5」という)
1・2事件原告 X6(以下、単に「原告X6」という)
1・2事件原告 X7(以下、単に「原告X7」という)
1・2事件原告 大阪ゴルフ労働組合
同代表組合長 X1(以下、単に「原告組合」という)
上記原告ら訴訟代理人弁護士 永嶋靖久
位田浩
小田幸児
1事件被告  式会社南海大阪ゴルフクラブ
同代表者代表取締役 A(以下、単に「被告クラブ」という)
同訴訟代理人弁護士 宮崎裕二
2事件被告 南海電気鉄道株式会社
同代表者代表取締役 B(以下、単に「被告南海電鉄」といい、被告クラブとあわせていう時には「被告南海電鉄ら」という)
上記被告ら訴訟代理人弁護士 種村泰一
勝井良光
田中崇公
中井崇
1事件被告 Y1(以下、単に「被告Y1」という)
1事件被告 Y2(以下、単に「被告Y2」という)
1事件被告 Y3(以下、単に「被告Y3」という)
1事件被告 Y4(以下、単に「被告Y4」という)被告クラブを除く1事件被告ら(以下「被告Y1ら」という)
訴訟代理人弁護士 森口悦克

 

 

主文

1  1・2事件原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は1・2事件を通じて1・2事件原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  1事件
(1)  原告組合を除く原告らが被告クラブとの間で雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
(2)  被告クラブは、原告組合を除く原告らに対し、平成19年6月25日から本判決確定の日まで毎月25日限り、別紙賃金一覧表記載の割合による金員及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(3)  1事件被告らは、連帯して、各原告らに対し、それぞれ100万円及びこれらに対する平成19年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  2事件
被告南海電鉄は、上記1(3)の1事件被告らと連帯して、各原告らに対し、それぞれ100万円及びこれらに対する平成19年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要など
1  事案の概要
(1)  1事件
ア 原告組合を除く原告ら(以下、1・2事件を通じて「個人原告ら」といい、同原告らと原告組合をあわせて「原告ら」という)は、都市公園法に基づいて都市公園みさき公園内で大阪ゴルフクラブという名称のゴルフ場(以下「本件ゴルフ場」という)を営む法人格なき社団である大阪ゴルフクラブ(以下「本件クラブ」という)に雇用されていた。
イ そこで、個人原告らが、被告クラブが本件クラブから同ゴルフ場事業の譲渡を受けた旨の契約をしたことを前提として、①その際、被告クラブが雇用関係の承継も受けた、また、②被告クラブが本件クラブと実質的に一体であった(ただし、同譲渡契約書上は人的関係部分〔雇用関係部分〕は除くとされていた)などを理由に、原告組合ないし同組合に加入していた個人原告らを嫌悪する意思(不当労働行為意思など)をもって同事業譲渡契約を通じて同原告らの雇用を解消した行為(本件クラブが同原告らを退職させ、被告クラブがその雇用をせず、不採用とした一体の行為)が解雇に該当するところ、同解雇が解雇権の濫用で違法無効であるとして、被告クラブに対し、①個人原告らが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び②個人原告らに平成19年6月から本判決確定の日まで毎月25日限り、別紙賃金一覧表記載の割合による賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、原告らが1事件被告らそれぞれに対し、同被告らが同違法な個人原告らを排除する行為(解雇)に関与したとして、同排除行為によって原告らそれぞれが被った慰謝料など各100万円及びこれらに対する不法行為の日(原告らを同排除した日)である平成19年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(2)  2事件
2事件は、原告らが、本件クラブと被告クラブを支配する被告南海電鉄が個人原告らの使用者というべき立場で原告組合ないし同組合に加入していた個人原告らを嫌悪して上記事業譲渡契約という手法を使って本件クラブないし被告クラブから排除しようとしたものであって、同排除行為などは不当労働行為に該当するとして、不法行為に基づいて同排除行為によって原告らそれぞれが被った慰謝料など各100万円及びこれらに対する不法行為の日(原告らを同排除した日)である平成19年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2  前提事実(ただし、文章の末尾に証拠などを掲げた部分は証拠などによって認定した事実、その余は当事者間に争いのない事実)
(1)  本件ゴルフ場
本件ゴルフ場は、都市公園法に基づく都市公園みさき公園(開設者・公園管理者岬町)内にあり、その面積は57.2ヘクタールで、同公園のうち、本件ゴルフ場以外の部分は、駅前部分が9.9ヘクタール、みさき公園部分が23.9ヘクタールで、都市公園みさき公園全体の面積合計は91ヘクタールである。本件ゴルフ場敷地を含む同公園全体の土地の所有者は被告南海電鉄である。
(2)  当事者など
ア(ア) 本件クラブは、ゴルフを目的とした社団で、定款の定めがある独立した団体として被告南海電鉄から委託を受けて本件ゴルフ場の運営をしてきた。同クラブの定款(書証省略)には定められていないものの同クラブには本件ゴルフ場を運営するためのグリーン委員会や競技委員会など計9委員会が組織されていた。(書証(省略)、弁論の全趣旨)
ところで、本件ゴルフ場は、昭和13年7月に開業され、戦中、戦後の一時期にその運営が中断した時期があったものの昭和33年に再開された名門ゴルフコースで、同クラブの理事長は、かっては被告南海電鉄の社長が就任していたことがあった。同クラブ解散時の理事である被告Y2及び被告Y3は、いずれも被告南海電鉄の元取締役で、理事長付き支配人、支配人、副支配人の3名はいずれも被告南海電鉄からの出向社員であった。
なお、同解散時、支配人が2名となっていたのはC支配人が病気であったためで、たまたまの事態である(弁論の全趣旨)。
本件クラブの平成18年12月当時の構成員(会員数)は1109名で、従業員が78名(正社員36名、パート・アルバイト39名、被告南海電鉄からの出向者3名)いた(書証省略)。
(イ) 本件クラブは、平成19年4月22日、臨時総会で被告南海電鉄が新たに出資して設立した被告クラブに対する本件ゴルフ場事業の譲渡承認とともに本件クラブ解散の各決議をした。
本件クラブによる本件ゴルフ場の営業は平成19年5月31日をもって終了した。
イ 被告クラブは、本店所在地が被告南海電鉄と同一で、本件クラブから本件ゴルフ場事業の事業譲渡を受けるため、被告南海電鉄が100%出資して平成19年4月12日、設立された。同クラブの代表取締役は、被告南海電鉄の元取締役のAである。
ウ(ア) 原告組合は、本件クラブの従業員のうち、キャディを除く従業員で構成される労働組合でUIゼンセン同盟に加入している。
(イ) 個人原告らは、いずれも本件クラブの従業員で、原告組合の組合員である。個人原告らの入社年月、その職務などは別紙原告ら一覧表記載のとおりである(被告南海電鉄らとの関係で、弁論の全趣旨)。
(3)  本件ゴルフ場の運営など
ア 都市公園みさき公園管理者である岬町は、平成19年3月31日までの間、ゴルフ場敷地に係る部分の公園の設置及び管理を被告南海電鉄に委ねてきたところ、本件クラブは、被告南海電鉄からの委託を受けてその事業を辞めた平成19年5月31日まで本件ゴルフ場の運営に当たってきた。
なお、本件ゴルフ場の土地及びクラブハウス施設はいすれも被告南海電鉄が所有している(ただし、同クラブハウス施設は平成18年3月まで株式会社大阪ゴルフクラブの所有であった)(書証(省略)、弁論の全趣旨)。
イ 被告クラブは、後記のとおり本件ゴルフ場を譲り受け、同年6月1日より本件クラブに代わって本件ゴルフ場の経営に当たっている。
(4)  本件ゴルフ場事業の譲渡
本件クラブと被告クラブとの間で平成19年4月22日までに以下の内容を含む譲渡契約書が締結されている(以下、同契約書による契約を「本件事業譲渡契約」という)(ただし、以下のイの譲渡財産部分は書証(省略))。
ア 本件クラブは、本件クラブのゴルフ事業及びこれに付随する事業の全部(以下「本事業」という)を被告クラブに譲り渡し、被告クラブはこれを譲り受ける。
イ 本件クラブは、平成19年5月31日(以下「譲渡日」という)をもって、譲渡財産(譲渡日現在における本件クラブの本事業に関する一切の固定資産とリース資産と法定期限内の貯蔵品並びに会員の預かり保証金債務と退会金債務と同日時点での未払いリース債務及び株式会社大阪ゴルフクラブの株主会員を含む会員の地位〔但し、被告クラブ所定の届出用紙で所定期限内に新たに会員の届出をした者に限る〕とし、その詳細については本契約締結後、本件クラブと被告クラブとの協議の上、これを決定する。なお、被告クラブは上記以外はいかなる債務〔税金を含む〕も承継しない)を被告クラブに譲渡し、被告クラブはこれを譲り受けるものとする。
ウ 本事業に従事している本件クラブの従業員の雇用関係については、被告クラブは、これを承継せず、本件クラブの責任と負担において退職金・給与その他一切の従業員に対する支払をする。
(5)  本件解雇にいたる経緯(ただし、以下のアないしエについて、被告南海電鉄らとの関係で書証(省略))
ア 本件クラブは、平成17年11月27日、業績悪化を理由として原告組合に対し、「コース管理業務を平成18年3月から、専門業者に業務委託する。コース管理に所属する従業員は、平成18年2月末で本件クラブを退職(退職金支給)し、希望者は委託業者が受け入れる」旨の申し入れをした(書証省略)。
本件クラブと原告組合は、同申入内容について団体交渉を重ねたが、合意に達することができなかった。そこで、原告組合は、同年10月26日、大阪府労働委員会にあっせんの申し立て(書証省略)をしたが、あっせんは合意に至らなかったため打ち切られている。
イ 本件クラブは、原告組合に対し、同月28日付けで翌月の11月1日から当分の間、コース部門従業員全員(同全員が原告組合の組合員である)に自宅待機を命じる旨の通知(書証省略)をした。
ウ 本件クラブは、同日以降、株式会社ジャムス(以下「ジャムス」という)に対して本件ゴルフ場のコース管理業務を委託している。
なお、ジャムスは、ゴルフ場の造成などを主な業とする株式会社稲治造園工務所の100%出資会社で、ゴルフ場のコース管理などを主な業とする会社である。
エ 原告組合は、平成19年1月7日、上記自宅待機の解除を求めて、始業時間から終業時間までストライキを行った(書証省略)。その後、同自宅待機の解除を求めて団体交渉の開催を本件クラブに対して繰り返し求めた。
本件クラブは、原告組合との間で上記自宅待機解除及び同解除した者を来場者獲得のための営業販売促進活動に就ける旨の合意をし(書証省略)、同合意に基づいて同年3月24日、自宅待機を命じていた原告らに対して営業課への配置転換を命じた(書証省略)。しかし、本件クラブからは同配置転換をした個人原告らに対し、狭い建物の室内に待機を命じただけで、何らの具体的業務指示がなされたわけでもなかった。
オ 本件クラブは、同年4月1日、原告組合との団体交渉の中で「同年5月31日付けをもって被告南海電鉄が100%出資する関係会社、仮称南海大阪ゴルフクラブ株式会社に事業譲渡が行われる。本件クラブは譲渡日をもって解散する。そのために会員総会を開く必要があるので臨時会員総会を4月22日に行う予定である」旨明らかにした。
それ以降、原告組合及びその上部団体のUIゼンセン同盟は本件クラブと被告南海電鉄に雇用と労働条件の承継について団体交渉の申し入れをした(書証省略)。
カ(ア) 被告クラブは、同月25日、本件クラブの従業員を対象として、①業務スタッフ職(事務所・ロッカールーム・浴場など)6名程度、②営業スタッフ職(フロント・売店など)3名程度、③マスタ室(マスタ室・ポーターなど)6名程度、④キャディ職(キャディなど)50名程度の募集を行った(被告Y1ら関係について、書証(省略))。
(イ) 個人原告らを含む本件クラブの従業員64名は同募集に最終的に応募し、同年5月7日から同月11日にかけて被告クラブの面接を受けた(丙1)。
しかし、原告らは、同月22日付けで不採用との通知(書証省略)を受けた。同不採用となったのは上記応募者のうち原告らとD(従前、原告X1らと同様コース管理部門を担当していた)のみである。
キ 本件クラブは、同月27日、個人原告らを含む従業員全員に同年5月31日をもって解雇する旨の意思表示をした(以下「本件解雇」という)(書証省略)。
(6)  本件クラブ内での労働組合構成
本件クラブには、平成19年5月31日時点で、原告組合、キャディで構成される大阪ゴルフキャディ労働組合、キャディで構成される泉州労連大阪ゴルフキャディ労働組合の3つの労働組合が存在していた。前2つの労働組合がUIゼンセン同盟に加入し、最後の労働組合が泉州地方労働組合連合会(泉州労連)に加入していた(被告南海電鉄らとの関係で、書証(省略)、弁論の全趣旨)。
(7)  賃金額
個人原告らの平成19年3月分ないし5月分の賃金の平均月額は別紙賃金一覧表記載のとおりである(被告南海電鉄らとの関係で弁論の全趣旨)。
3  争点及び争点に対する当事者の主張
(1)  本件事業譲渡契約の際、本件クラブから被告クラブへの従業員の雇用承継合意があるか。(争点1)
(原告ら)
ア 本件クラブと被告クラブとの間の本件事業譲渡契約書にはその承継対象として本件クラブと従業員との間の雇用関係を除く旨記載されている。
イ(ア) しかし、被告クラブは、平成19年6月1日の本件ゴルフ場での事業再開後ほどなく、多数の従業員の募集を行い(書証省略)、キャディとして採用した者をキャディ職以外の職務に従事させている(書証省略)。被告クラブでは本件クラブから継続雇用を希望する従業員だけでなく本件クラブでの従業員全員を解雇する必要性が客観的にあった。
(イ) 本件クラブと被告クラブは、本件クラブと従業員との雇用関係も承継させることを原則としたうえで、本件事業譲渡契約書上、本件クラブの従業員の労働条件の切り下げを容易に行う趣旨から雇用関係を承継対象から除外したに過ぎない。
ウ したがって、本件クラブと被告クラブとの間の本件事業譲渡契約では同雇用関係の承継も合意されている。
(被告ら)
否認する。
本件事業譲渡契約書には、明確に雇用関係が承継されない旨記載されている。
(2)  本件クラブと被告クラブとの間に同一性があるか。(争点2)
(原告ら)
ア 本件クラブと被告クラブは、以下の事由からして実質的同一性がある。
(ア) 本件クラブと被告クラブは、
① いずれも全く同一の施設を用いて同一の営業(本件ゴルフ場営業。なお、会員も会員の成績も承継している)を行っている。
② 財政的、資本的に被告南海電鉄の100%支配下にある。
なお、本件クラブの存続は被告南海電鉄の一存で決せられ、また、本件クラブからの事業承継のみを目的とした被告クラブの設立も被告南海電鉄の意思によって決せられた。
③ 主要な役員が被告南海電鉄の元役員で占められている。
④ 本件事業譲渡の前後を通じて本件ゴルフ場の支配人など使用者は、いずれも被告南海電鉄からの出向者で使用者の実態に変化がない。
⑤ 従業員も解雇された原告らを除けばほぼ同一である。
(イ) 被告クラブは、本件クラブから本件ゴルフ場の事業承継のみを目的として設立されたもので、あたかも本件クラブに法人格を付与したものというべきである。
(ウ) 本件クラブから被告クラブへの同事業承継は個人原告らを排除するため、被告らの原告組合に対する嫌悪の情(不当労働行為意思)をもってなされたものである。同事業承継という手続は個人原告らを排除するための手段に過ぎない。
イ したがって、本件クラブと被告クラブとの間に実質的同一性がある以上、個人原告らの本件クラブに対する雇用契約上の権利を有する地位は被告クラブに承継される。
(被告ら)
ア 本件クラブと被告クラブは、以下の事由からして実質的同一性がない。
(ア) 被告南海電鉄は、本件クラブからの支援要請を受け、その経過の中で破綻が回避できない状況であったことを踏まえ、同破綻による混乱の回避や本件ゴルフ場の健全な運営を意図して、本件クラブに本件事業譲渡の提案をしたものである。同提案には社会的、経済的合理性がある。
(イ) 本件クラブは、被告南海電鉄に対して、多額の債務を有しているが、被告南海電鉄とは独立した存在であって、本件事業譲渡ないし本件クラブの解散については会員総会などでの各決議が不可欠で、同各決議には会員の自主的な判断が介在している。被告南海電鉄が本件事業譲渡ないし本件クラブの解散について決定したものではない。
(ウ) 被告クラブが本件クラブが営んでいた本件ゴルフ場と同一の施設を用いて同一の営業を行っているのは同事業を譲り受けた以上、当然のことである。また、被告クラブの従業員が本件クラブの従業員と重なり合っているのも、本件クラブより雇用確保の要請があったこともあって本件クラブの従業員から採用を行うこととしたためであった。これも同一性の事由となるものではない。
(エ) 本件クラブの役員の中に被告南海電鉄の元役員などがいたが、それは本件クラブでの社員総会などで選任されたものである。同選任された者は本件クラブの役員として社員の意思を代表して行動している。
(オ) 被告らには、原告が主張するような不当労働行為意思はなかった。
イ したがって、本件クラブと被告クラブとの間に実質的同一性がない以上、個人原告らの本件クラブに対する雇用契約上の権利は被告クラブに承継されない。
(3)  本件事業譲渡契約の一部(本件クラブとその従業員との雇用関係を承継させない旨の合意部分〔以下「本件除外合意部分」という〕)が無効か。(争点3)
(原告ら)
ア 本件事業譲渡契約のうち、本件クラブと従業員との「雇用関係を承継しない」旨の本件除外合意部分は以下の事情から無効である。
(ア) 本件クラブと被告クラブは、同除外合意部分の合意について、原告組合ないし原告組合に加入している原告らを嫌悪する不当労働行為意思に基づいて行った。
同各クラブに不当労働行為意思があったことは、後記(7)の原告らの主張ア(ア)の①ないし⑥記載のとおりである。
(イ) 同除外合意部分は平成19年法律128号(労働契約法)による削除前の労働基準法18条の2(労働契約法では16条)を潜脱するものである。
イ 個人原告らの本件クラブに対する雇用契約上の権利は同除外合意部分が公序良俗に反して無効となるため、同雇用関係が被告クラブに承継されることとなる。
したがって、個人原告らは、被告クラブとの関係で雇用契約上の権利を有する地位にあることになる(参照・東京高裁平成14年2月27日判決〔中労委青山会事件〕〔労判824号17頁〕)。
(被告ら)
ア 本件クラブと被告クラブは、同除外合意部分を原告組合に対する嫌悪の情(不当労働行為意思)をもって締結したものではない。
なお、被告クラブにおける従業員の採否状況は以下のとおりであって、不当労働行為意思に基づくものではなく、合理的理由に基づいている。
(ア) 本件クラブの従業員に対し、従業員の募集をして採用した。その際、キャディを50名程度募集した(書証省略)が、本件クラブからは40名程度が応募し、全員を採用した。しかし、人数が足りなかったため、平成19年6月1日の開業以後もキャディを積極的に募集し、採用している。しかし、クラブハウス関係の仕事については同開業以後一切募集、採用していない。
なお、同開業以後、キャディとして採用した者のうち3名をクラブハウス関係の仕事に従事させているが、それは人材の効率的活用という観点から行っている。
(イ) 被告クラブは、個人原告らを以下のとおりの事情で不採用としたものである。
原告X4、原告X7を除く原告X1らは、従前コース管理業務を行ってきた者で被告クラブにおいて同業務を行う者は不要(外部委託方針)であり、同人らを他の職務に就かせるとなると他の者の雇用に影響が及ぶため不採用とした。また、原告X4は、従前経理課長ないし業務課長の職務を遂行してきたが、被告クラブにおいて原告X4が行ってきた業務は必要(経理業務は外注化方針)がなく、原告X4のような高給の者を雇い入れることは難しく、不採用とした。そして、原告X7は、面接時、フロント業務が好きでない旨話したことと被告クラブにおいてフロントに専属の従業員を置くまでの必要性がなかったこと、同人を他の職務に就かせるとなると他の者の雇用に影響が及ぶため不採用とした。
なお、コース管理業務に従事していた者で原告X1ら以外の1名も不採用としている。
(ウ) 被告クラブは、原告組合の組合員も以下のとおり採用している。
被告クラブは、コース管理業務に従事していた原告X1ら7名を除いて原告組合の加入者7名が上記採用に応募してきたが、原告X4、原告X7を除く5名を採用している。また、原告組合の執行委員の要職にあったEの採用を決定している(ただし、同人は、事後に辞退している)。
被告クラブが上記応募に従って採用したキャディの中にはUIゼンセン同盟大阪キャディ労働組合に加入している者が相当数いたと思われるところ、同組合は原告組合と同様UIゼンセン同盟が上部団体であるが、応募した者全員を採用している。
イ 本件事業譲渡契約による承継は特定承継である。したがって、本件クラブと従業員らとの雇用契約は本件クラブと被告クラブとの間で個別の承継する旨の合意がない限り承継が認められない。また、仮に原告らが主張するとおり本件事業譲渡契約のうち同除外合意部分が無効としても、本件クラブと従業員との雇用関係が被告クラブとの関係で承継するという法的根拠はない。
(4)  被告クラブは、本件クラブと個人原告らとの雇用関係の承継を信義則上拒否できないか。(争点4)
(原告ら)
ア 本件事業譲渡契約の契約書の中では本件クラブと個人原告らを含む従業員との間の雇用関係について、被告クラブに承継されない旨合意されているが、以下の事情などからして、被告クラブは、信義則上、同雇用関係の承継を拒否できない。
(ア) 事業譲渡の際における譲渡元企業と労働者との間の雇用関係の承継にあたっては、労働者の地位の不安定を解消するという観点から信義則上、解雇権濫用法理にしたがって制限するのが相当である。
(イ) 本件においては以下の事由がある。
① 上記(2)の(原告ら)の主張ア(ア)及び(ウ)を引用する。
② 本件ゴルフ場の土地所有者である被告南海電鉄は、都市公園内にあった本件ゴルフ場を私企業が営むことができなかったため、やむなく本件クラブに同事業業務を委託していた。
③ 本件事業譲渡の最大の理由は本件クラブの被告南海電鉄に対する都市公園使用料の滞納にあったところ、被告南海電鉄が本件ゴルフ場用地を取得した際には都市公園使用料を請求すべきではないとされていた(書証省略)。また、被告南海電鉄は、平成17年当時から岬町に対して同用地を都市公園指定地内からはずすように協議していたところ、同指定地からはずれると同ゴルフ場は私企業でも営むことができ、本件クラブにその業務を委託する必要がなかった。
④ 本件事業譲渡後も原告X1らが行っていた本件ゴルフ場のコース管理業務は存在し、原告X1ら以外の本件クラブの従業員は被告クラブに採用され、ほぼ従来の雇用がそのまま継続されている。
⑤ 被告南海電鉄は、昭和51年12月7日、本件クラブから9000万円を受領した際、「ゴルフ場の従業員は99%まで地元民」であり、「岬町、被告南海電鉄、本件クラブの三者が共存共栄の精神に徹し将来も培って行くべき」ことを「被告南海電鉄の歴代責任を担われる方々に申し送られるものとし」て受領している(書証省略)。上記事情からすると、原告X1らが本件事業譲渡後も被告クラブにおいて雇用が継続されると期待することに合理性がある。
イ したがって、個人原告らは、被告クラブとの間で従前本件クラブとの間で有していた雇用契約上の権利を有する地位にある。
(被告ら)
ア 通常、事業譲渡契約による承継は特定承継であるところ、当該事業譲渡契約の当事者は、その対象を何にするか自由に決定することができる。
イ 被告クラブは、本件クラブとの本件事業譲渡契約に際して、本件クラブから従業員との雇用関係を承継すると、人件費が高くなりすぎ、事業として成り立ち得なくなるとして同雇用関係を除外したものである。
ウ 上記(3)の被告らの主張アのなお書き部分を引用する。
(5)  個人原告らの本件クラブからの退職と被告クラブでの不採用を総合して、被告クラブからの同原告らに対する解雇と評価しうるか。同解雇と評価される場合、同解雇は解雇権の濫用か。(争点5)
(原告ら)
ア 個人原告らの本件クラブに対する雇用契約上の権利が被告クラブに承継される場合、そこからの排除は解雇と評価すべきものであって、同解雇は以下の事情からして解雇権の濫用で無効である。
(ア) 原告組合に加入している個人原告らの排除は、後記(7)の原告らの主張ア(ア)の①ないし⑥記載のとおりの事由から明らかなとおり原告組合ないし同組合に加入している原告らを嫌悪してなされた解雇で、不当労働行為意思に基づく解雇である。
(イ) 原告組合に加入している個人原告らの排除は、いわゆる整理解雇の要件を欠いている。すなわち、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの相当性のいずれも欠いている。
被告クラブは、平成19年6月1日の営業再開後、ほどなく多数の従業員の募集を行い、4名の従業員を新たに雇い入れ、キャディとして採用しながらキャディ職以外の職務に従事させている従業員が3名いる。少なくとも、個人原告らのうち、3名については解雇する合理的理由がない。実際には同原告らのうち4名以上は解雇の必要性がなかった。
(被告ら)
否認ないし争う。
(6)  被告南海電鉄に使用者性があるか。(争点6)
(原告ら)
被告南海電鉄は、個人原告らに対する労働組合法上の使用者である(同法7条)。そのことは以下の事情から明かである。
本件クラブから被告クラブへの本件事業譲渡は、被告南海電鉄が自己の所有地上で営まれている本件ゴルフ場運営の委託先を自己が最大の債権者として支配する本件クラブから自己が100%株主として設立した被告クラブへの変更という、同ゴルフ場運営のスキームの変更を立案し、主導して進めたものである。被告南海電鉄は、その手続きの中で本件クラブないし被告クラブに対して、その存続、設立を含めた経営の基本的方針についてまで支配権を有しているところ、個人原告らの雇用の確保に強い影響力を有し、同影響力を行使して同原告らを本件クラブないし被告クラブから排除して、原告組合に対して壊滅的打撃を与え、同組合を除く原告らの地位にも大きな影響を与えた。
(被告南海電鉄)
否認する。
被告南海電鉄は、本件クラブとは別個独立の存在で、個人原告らを含む本件クラブの従業員との雇用関係について何らの影響力も支配力も及ぼしていない。被告クラブないし被告南海電鉄は、本件事業譲渡契約の相手方に過ぎない。
(7)  被告らに原告らに対する不当労働行為意思があるか。被告らに不当労働行為があるか。(不法行為の成否など)(争点7)
(原告ら)
ア(ア) 本件クラブの役員であった被告Y1ら及び被告クラブは、原告組合に対する嫌悪の情から原告組合を弱体化させる意図をもって原告組合の主要な構成員である個人原告らを上記のとおり本件クラブないし被告クラブから排除(解雇)し、また、原告組合の運営に支配介入し、団結権を侵害した(労組法7条1号、3号)。
また、被告南海電鉄は、同各クラブに対する存続・設立の成否を含めて実質的影響力ないし支配権を有しているところ、原告組合に対する嫌悪の情から原告組合を弱体化させる意図をもって同各クラブによる上記一連の手続きを通して原告らを排除することを決定し、同各クラブをして行わせた。
被告らに上記不当労働行為意思があったことは以下のことから明らかである。
① 本件クラブが行ったコース管理の外部委託は経費削減としての効果がなかった。それは、原告X1らを排除するため行われた。
② 被告クラブらが不採用にした者は原告組合に所属していた者で、熱心に組合活動をしていたものである。
③ 被告クラブは、平成19年6月1日の営業開始後、多数の従業員の募集を行っている上、また、キャディとして採用しながら、キャディ職以外に少なくとも3名を従事させている。
④ 本件クラブ及び被告クラブは、原告組合からのコース管理の外部委託に伴う労働条件を含む労働条件に関する交渉申出に対して、不誠実な対応しかせず、少なくとも、本件事業譲渡による本件クラブからの全員解雇については、団体交渉の申し入れを原告組合から何度も受けたが、同交渉することはなかった。
⑤ 本件クラブのF副支配人は、平成19年、原告X4に対して、被告南海電鉄の社長らが処分を考えている旨、また、「組合長を信じてついて行ったらそのうち、えらい目に遭う」旨述べたりしている。
⑥ 被告クラブは、原告組合に対し、繰り返し組合事務所からの退去を求めている。
(イ) 原告組合は、本件クラブの役員である被告Y1ら及び被告クラブ並びに被告南海電鉄の上記違法行為により有形・無形の損害を被った。同損害を金銭的に評価すると100万円を下らない。
イ 個人原告らは、本件クラブの役員である被告Y1ら及び被告クラブ並びに被告南海電鉄の上記違法な同各クラブからの排除(解雇)により精神的苦痛を被った。同苦痛を金銭的に評価すると各100万円を下らない。
(被告Y1ら)
ア 被告南海電鉄が本件クラブの経営について、実権を掌握し、支配してきたという事実はない。本件クラブは、被告南海電鉄と取引上、密接な関係にあったが、その運営は外部からの介入を受けない自治的運営で、強い独立性を有していた。
イ 本件クラブと被告南海電鉄は、本件クラブの著しい経営悪化状況、倒産不可避という状況を踏まえ、本件クラブから被告クラブへの本件事業譲渡、本件クラブの解散というスキームを協議して決定したが、仮に、被告南海電鉄がそれを是認しなければ本件クラブは倒産にいたっていた。同スキームは従業員の労働債権(退職金債権)の確保(本件事業譲渡により確保)という点からも本件クラブにとって必要な、かつ、やむを得ない措置であった。なお、同理事会での本件事業譲渡承認、解散の各決議に先だって本件クラブの会員総会で同各決議をしている。
ウ 本件クラブは、経営破綻状況を踏まえ、本件事業譲渡とともに解散をせざるを得なくなったため、理事会においてそれらを決したものである。同理事会の決議は、特定の人を排除するとか、組合嫌悪の情などの意図でなされたものではない。したがって、個人原告らに対する解雇も以上のような事情による。
(被告南海電鉄ら)
ア 被告クラブは、本件クラブとの間の本件事業譲渡の際、本件クラブとの自由な契約によって同クラブと従業員との雇用関係を承継しないこととした。
イ ところで、被告南海電鉄は、本件クラブからの本件事業譲受に当たって同クラブと従業員との雇用契約を承継しない旨の判断をしたが、それは同承継を認めれば人件費が高く、多大な経費がかかることとなり、事業として成り立つ見通しが立たなかったためである。
(被告ら)
上記(3)の被告らの主張アのなお書き部分を引用する。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実及び証拠(省略)並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)  本件クラブの運営状況、財政状況など
ア 本件クラブは、従前、被告南海電鉄とは独立した存在としての認識が強かった。
ところで、本件クラブが被告南海電鉄から業務委託を受けていた本件ゴルフ場は、戦後、廃止の危機にあったところ、本件クラブは、同ゴルフ場再開復活に向けて積極的な活動をした。本件クラブの同再開復活の活動により、同クラブ用地の所有者であった被告南海電鉄及びGは、所有土地について、国に農地解放の開拓地として買収されることなく、また、地元民耕作者に完全に払い下げられずにすんだ。その結果、本件ゴルフ場は再開することができた。また、本件クラブは、昭和50年12月ころ、被告南海電鉄が本件ゴルフ場用地のかなりの部分を占めたG所有に係る土地を取得する際、多大の貢献をし、その取得資金として9000万円を被告南海電鉄へ捻出している。以上のような事情もあって、本件クラブは、同月7日ころ、本件ゴルフ場用地所有者である被告南海電鉄と対等の立場で相互の共存共栄を貫くことを決議し、被告南海電鉄との間で対等の立場で相互の共存共栄を貫くことを約束している。
なお、本件クラブは、昭和50年12月当時、戦後の本件ゴルフ場再開復活の際、地元耕作者の協力があったことも踏まえて、元同ゴルフ場用地の耕作者も含めて地元民の働き得る施設を作り、地域開発という精神に則り、本件ゴルフ場の従業員を地元民でまかなうよう意図し、その当時、99%まで地元民でまかなっていた。
(書証(省略)、弁論の全趣旨)
イ 本件クラブは、ほぼ唯一の事業として被告南海電鉄からの委託を受けて、本件ゴルフ場を運営してきたが、バブル経済の崩壊などに伴う入場者数の激減、ゴルフプレイ料金の低価格化、飲食売上げの激減などで平成12年ころから業績が顕著に悪化し始め、同年以降7年連続で赤字決算という状況となり、運営状況が急激に悪化した。そのような事態を受けて、本件クラブは、その運営健全化のため、平成15年度に従業員の賃金カット、平成16年には会員の年会費の増額、来場者誘致策としての期間限定の優待券の発行、非会員に対する入会勧誘、特別会員制度の導入など収支改善策を実施してきたが、欠損繰越金は平成13年度で約8600万円、平成15年度には約5億6000万円、平成17年度には約7億円を計上し、同年10月当時、同年度単独だけでも8000万円を超える赤字が予想された(書証省略)。また、株式会社大阪ゴルフクラブに対するクラブハウスの家賃滞納額も平成12年度末で約2億5300万円、平成17年度末で約4億円に達し、被告南海電鉄に対する公園(土地)使用料も平成12年度ころから始まり平成17年度末には約3億6900万円、平成18年度末は約2億7300万円にそれぞれ達し、借入金についても平成17年度末には約9億円となっていた。
(書証(省略)、弁論の全趣旨)
(2)  本件クラブと被告南海電鉄との関係など
ア 本件クラブの理事長には被告南海電鉄の元社長が就任したり、元取締役などの役員が理事などの役員に就任していたり、社員が支配人などに出向したりしていた。
(書証省略)
イ 被告南海電鉄は、本件クラブに出向した支配人などの給与について、平成15年度までは本件クラブが支払っていたため支払うことがなかったが、その運営がかなり厳しくなってきた平成16年度以降、本件クラブに代わって支払うようになった。また、被告南海電鉄は、本件クラブの上記運営状況を踏まえて本件ゴルフ場用地使用料の支払猶予などを含めて様々な態様で資金援助をしてきた。しかし、本件クラブは、平成19年に入っても業績改善の見通しが立たず、資金も枯渇し、経営破綻が必至の状況となっていた。その他、本件クラブは、被告南海電鉄から本件ゴルフ場運営のため、主として本件クラブの資金調達面で補完的作用を果たしてきていた株式会社大阪ゴルフクラブを通じても多額の資金援助を受けていた。
本件クラブは、被告南海電鉄からの上記資金援助の過程で、被告南海電鉄から本件クラブがさらなる資金援助を受けるためには自立経営が成り立つ経営改善が必要である旨要請された。
(書証省略)
(3)  本件クラブの運営改善の取り組みなど
ア 本件クラブは、そのような厳しい経営状況の中で、平成17年11月27日付け申入書と題する書面(書証省略)で経営の安定と従業員の雇用維持を保つという趣旨から、経営効率化のため、その一つとしてより一層の人件費の削減が不可欠との認識を持ち、①平成18年3月からコース管理を外部の専門業者に業務委託する、②コース管理所属従業員を委託業者に転籍する旨の提案を原告組合に行った。
なお、本件クラブは、コース管理の外部委託で年間2000万円程度の経費削減が見込まれるとの予想をしていた。
(書証省略)
イ 原告組合は、本件クラブの財政状況の厳しさを踏まえて本件クラブに対し、経営状況の公開、業績悪化の原因の提示、経営責任の明確化と謝罪などを求めるとともにコース管理の外部委託問題(従業員の転籍問題)などについて団体交渉の申し入れをし、本件クラブからは同年12月7日付けの「11月27日付け「申入書」に関する詳細説明」と題した書面が出されたりした。その後も、原告組合と本件クラブとの間で本件クラブからの上記提案に関して原告組合から代替案が出されるなどし、また、多数の文書でのやりとりの他、平成18年10月末ころまでに10数回にわたって団体交渉などが繰り返されたが合意にいたらなかった。
(書証省略)
ウ 本件クラブは、同月ころ、前提事実(5)イ、ウのとおりコース管理部門を担当していた従業員全員に自宅待機を命じるとともに原告組合に対し、同月13日付け「コース管理業務外部委託の具体的提示について」と題する書面(書証省略)で同年11月1日以降、ジャムスに本件ゴルフ場のコース管理を委託する旨通知して、同日からジャムスに同管理を委託した。
(書証省略)
(4)  本件事業譲渡契約に至る経緯など
ア 本件クラブは、平成18年11月ころから、内々に、そして、平成19年1月23日付け「経営支援のお願い」と題する書面(書証省略)で、本件ゴルフ場運営の委託者でこれまでもその運営について支援を行ってきた被告南海電鉄に対し、「平成12年度以降、7年連続の赤字決算という厳しい運営状態にあります。・・・・資金的に全く余裕のない状況にあることから、近い時期の資金枯渇による経営破綻が不可避であり、社会に多大な影響を及ぼすことにもなりかねません。今般、こうした最悪の事態を避けるために、貴社に対して、資金、運営の両面からの全面的な支援をお願いする次第です」とのお願いをしている。
本件クラブは、同お願いに当たって、原告組合からの要請もあって、従業員に対する労働債権(退職金債権)の支払原資の確保がはかられるよう要請している。
(書証省略)
イ 被告南海電鉄は、本件クラブから破綻不可避の状況を踏まえた同お願いを受けて本件ゴルフ場の運営ないし今後の対応について本件クラブと協議を重ねるようになった。被告南海電鉄は、同協議を重ねる中、独自にゴルフコンサルタント会社に依頼して本件ゴルフ場の経営再建の見通しなどを調査依頼したところ、その調査結果(営業活動の強化、サービスレベルの向上などかなりの増収努力と思い切ったコスト〔人件費が大きなウエイトを占めていた〕削減を行って初めて黒字化が可能との調査結果)と被告南海電鉄と密接な関係のある本件クラブの破綻が与える社会的影響などを考慮し、本件クラブの倒産ではなく、本件ゴルフ場の存続をはかる手段として同ゴルフ場の健全な経営も意図して被告南海電鉄が100%出資する子会社を設立して同会社をもって事業の受け皿とする本件事業譲渡の案を平成19年3月30日付け書面で、本件クラブに提案した。同提案に当たっては承継した後の本件ゴルフ場の健全な経営、合理的な経営という観点から高い人件費を抑える意図もあって、本件クラブと従業員との雇用契約関係は承継しない旨の条件を設定した。
なお、上記コンサルタント会社は、上記調査結果の他、コース管理については経費削減の見地から外部委託が相当との意見を出していた。
ところで、本件クラブは、被告南海電鉄に対する支援要請を踏まえて、会員に対しても「当クラブの経営状況及び今後の方針」と題する書面を作成して危機的な財務状況と支援要請したことを報告した。
(書証省略)
ウ 本件クラブは、破綻が必至であったこと、同提案を受け入れることにより従業員に対する労働債権(退職金債権)の支払原資を確保することができることなどがあったため、被告南海電鉄からの同提案を受けて同月31日、理事会を開き、同提案を受け入れることとして、その内容である本件ゴルフ場事業の譲渡を受け入れる旨、本件クラブの解散をする旨の各決議をした。
なお、本件クラブは、同提案を受け入れるに当たって、被告南海電鉄に対し、使用者としての立場、原告組合の意向も踏まえて、従業員の採用について本件クラブの従業員の採用を優先的に配慮されるよう依頼した。
(書証省略)
(5)  被告クラブによる採用、不採用など
ア 被告クラブは、本件クラブからの上記従業員の採用に関する申入れを受けて、本件クラブの従業員から優先的に募集をしているが、本件ゴルフ場のフロントなどハウス内での仕事に従事する人数として、上記コンサルタント会社は、健全経営という観点から15名程度が適正人数であるとの意見であったため、15人程度を募集することとした。
(書証省略)
イ ところで、本件クラブの従業員のうち、個人原告らを含めた上記ハウス内での職務希望者(なお、キャディでの採用は希望していない)は26名いたが、そのうちの1名がキャディ希望で辞退し、さらに一人も面接前に辞退し、結局24名が最終的に応募したところ、平成19年5月8日から11日にかけて同応募者の面接がなされた。被告クラブは、個人原告らの他1名を除いた16名を採用した(ただし、そのうちの1名は、原告組合の執行役員のEであったが、後に、その採用を辞退している)。
被告クラブは、コース管理部門について、上記コンサルタント会社の意見も踏まえて本件クラブと同様外部委託にする予定であったため、従前コース管理部門の職務に就いていた同原告らのうち原告X1ら7名(ただし、原告X4、原告X7を除く)を元の職務に就かせることはできず、また、仮に同人らを採用することになると従前の職務経験を生かした者を不採用としないといけなくなる事情があったため、不採用とした。また、原告X4について、従前経理課長兼業務課長の職務にあったところ、被告クラブにおいては、経理業務を外部委託する予定であったが、同部分の職務に就かせることはできず、また、原告X4を採用すると、責任者クラスで高額の給与で処遇する必要があったところ、そのようなことを踏まえて同人を採用することになると従前の職務経験を生かした者を不採用としないといけなくなる事情があったが、あえて原告X4を採用しなければならない必要性がなかったため、不採用とした。そして、原告X7について、従前フロントの専属であったところ、面接の際の受け答えが明確でない印象を受け、ゴルフ場において接客サービスの顔ともいうべきフロント係として適切かつ疑問があり、フロント専属の担当者を配置する予定でなかったこととハウス内適正人数も踏まえて不採用とした。
なお、被告クラブは、原告組合の組合員でない従前コース管理部門担当者1名も上記コース管理部門を担当していた原告らと同様の理由で不採用とした。
(書証省略)
ウ 被告クラブは、キャディの募集に当たって原告組合と同じ上部団体に所属している組合の組合員である者も含めて本件クラブの従業員から応募してきたものは全員を採用している。それでも必要な人数(50名程度)が不足していたため、平成19年6月1日の開業以降も新たに求人広告を出して募集し、平成20年4月当時までに10数名程度採用している。
同採用した者は全てキャディ職として採用したものの、そのうち数名をフロントなどを担当させたりしているが、そのうちの1名は腰を悪くしたこととその性格などを踏まえた措置で、その他の者についても能力の拡充という意図に基づく措置である。
(書証省略)
(6)  本件ゴルフ場敷地の都市公園からの指定区域の解除など
被告南海電鉄は、都市公園みさき公園の管理者である岬町に対し、平成17年ころからその指定区域の見直しについて相談し、平成18年4月、パブリックとして運営されていた本件ゴルフ場敷地についてその運営再建をはかる趣旨から、都市公園区域からはずすようその見直しについて協議依頼をした。それを受けて岬町は、見直しの検討を決定し、大阪府の公園課、総合計画課と協議し、同年9月ころ、都市公園みさき公園区域の減少はやむを得ないと判断し、被告南海電鉄と協議し、同公園区域から駅前部分と本件ゴルフ場部分をはずし、都市計画区域については駅前部分のみをはずす方向で合意した。その後、さらに、大阪府の公園課、総合計画課と協議し、同案件が岬町議会で審議を経て、平成19年7月1日付けで本件ゴルフ場敷地部分について都市公園区域の指定がはずれた(書証省略)。
(7)  本件クラブの退職金の支払
本件クラブは、本件事業譲渡契約により従業員の労働債権の支払原資を確保することができ、個人原告らに対しては、その受領を拒否しているため退職金の支払ができていないが、同原告ら以外の従業員に対してはその支払を終わっている(書証省略)。
2(1)  まず、争点1(本件事業譲渡契約の際、本件クラブから被告クラブへの従業員の雇用承継合意があるか)について検討する。
原告らは、本件クラブと被告クラブとの間の本件事業譲渡契約では本件クラブと個人原告らを含む従業員との雇用関係の承継も合意されている旨主張する。
しかし、本件全証拠によるも同主張に係る事実を認めることができず、かえって、本件事業譲渡契約の契約書(書証省略)には明確に本件クラブとその従業員との雇用関係は承継しない旨明示的に記載されていること、また、同契約の当事者である本件クラブと被告クラブの間でも同契約について、同記載に沿った内容で理解されていることを踏まえると、本件事業譲渡契約においてはその契約書に記載されたとおり本件クラブとその従業員との間の雇用関係はその契約対象から除かれていたことが推認される。
そうすると、原告らの上記主張は理由がない。
(2)  争点2(本件クラブと被告クラブとの間に同一性があるか)について検討する。
ア 原告らは、本件クラブと被告クラブが実質的に同一性がある旨主張する。
イ 確かに、被告クラブは、被告南海電鉄が本件クラブから本件ゴルフ場事業の譲渡を受けるため(同ゴルフ場の健全経営目的も含む)設立した100%子会社である。また、本件クラブと被告南海電鉄との関係であるが、被告南海電鉄は、上記1(2)で認定したとおり本件クラブに本件ゴルフ場の運営を委託し、本件クラブの役員に被告南海電鉄の元役員などが就任したり、従業員も平成18年当時支配人などとして3名を出向させていること、本件クラブの運営に当たって資金提供などを含めて多大な貢献をしていること、特に、本件クラブが赤字経営となった平成12年以降資金援助額が増え、平成18年末当時は2億7300万円にものぼる資金援助を行っていること、本件クラブから本件ゴルフ場の運営を含めた本件クラブの運営について、破綻が不可避の事態となった際に相談を受けていること、そして、上記1(6)で認定したとおり本件ゴルフ場の運営改善の趣旨もあって、本件ゴルフ場敷地を都市公園の指定区域からはずすよう都市公園管理者である岬町と交渉し、協議を重ねていることを踏まえると、本件クラブとも密接な関係を有していることが窺われる。しかし、本件クラブと被告クラブは、別個独立した団体であって、同独立性を前提として本件事業譲渡契約は締結されているものであって、本件全証拠によるも両クラブの独立性が形骸化しているような実体はない。また、本件クラブは、上記のとおり被告クラブの親会社である被告南海電鉄とは密接な関係を有しているが、会員数が1000名を超える独立性を持った権利能力なき社団であって、従前、被告南海電鉄とは別個独立した存在であるとの認識が強く、被告南海電鉄とも独立した一個の団体として存在しているうえ、本件事業譲渡契約ないし本件クラブの解散などのその死命を決する際には本件クラブの社員総会、理事会の各決議など独自の判断が必要であったところ、本件クラブでは現実にも破綻が不可避な事態を踏まえて、適正な手続きに従って同各決議がなされている。そして、本件事業譲渡契約は本件クラブの破綻が不可避という状況の下、上記本件ゴルフ場の存続とともに健全な経営を意図してなされたものである。以上の事実を踏まえると、原告らが主張する実質的一体性の意味が法的に如何なることを意味するのか必ずしも明かでないが、本件クラブと被告クラブについて、形骸化、濫用のいずれの側面から見ても法的に一体のものととらえることはできない。したがって、原告らの本件クラブと被告クラブとの実質的一体性との上記主張は理由がない。
ところで、被告南海電鉄は、上記1(6)で認定したとおり平成17年当時、厳しい運営状況にあった本件ゴルフ場の運営改善のため、同当時ころ、岬町と都市公園の指定区域の見直しを求めて行動しているが、本件クラブと上記のとおり密接な関係にあった被告南海電鉄が本件ゴルフ場の運営改善のための方法を模索していたとしても不自然なことではなく、そのことをもって被告南海電鉄が本件クラブを支配していたとまで認めることはできない。したがって、被告南海電鉄の同行為をもってしても上記認定判断を左右することはできない。
(3)  争点3(本件除外合意部分が無効か)について検討する。
個人原告らは、本件事業譲渡契約のうち、本件クラブと従業員との「雇用関係を承継しない」旨の除外合意部分が原告組合ないし原告組合に加入している原告らを嫌悪する不当労働行為意思に基づいて行われたとして無効である旨、その結果、被告クラブに本件クラブと同クラブの従業員との雇用関係が承継される旨主張する。
ところで、原告らの上記の不当労働行為に係る主張については後記(5)で認定、説示するとおり理由がないといわなければならない。
仮に、原告らの同主張に理由があり、本件除外合意部分が原告らが主張するとおり無効であるとしても、少なくとも、本件事業譲渡契約中の同合意部分が存在しなくなる(本件クラブと同クラブの従業員との雇用関係の承継の有無について合意がない状況)だけであって、当然に、本件クラブと同クラブの従業員との雇用関係が被告クラブに承継される旨擬制されることはない。ところで、原告らが掲げる東京高裁平成14年2月27日判決(労判824号17頁)は救済命令取消に係る訴訟であって、その内容も譲渡元の従業員の譲渡先での不採用について、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為に当たるとして譲渡先使用者に同従業員の採用を命じた初審命令及び再審査命令を相当として、これを維持してその取消しを求めた同使用者の請求を棄却した原審判決を維持したものであるところ、同判決も当然に譲渡先使用者と同従業員との雇用契約関係の成立それ自体を認めたものではない。同判決の判示は本件に直ちに当てはまるものではない。
そうすると、本件クラブと従業員との雇用関係が被告クラブに承継がなされることにはならない。
したがって、原告らの上記承継に係る主張は理由がない。
(4)  争点4(被告クラブは、本件クラブと個人原告らとの雇用関係の承継を信義則上拒否できないか)について検討する。
ア 原告らは、本件事業譲渡契約の中で本件クラブと個人原告らとの雇用関係について被告クラブに承継されない旨合意されているが、被告クラブは、信義則上、同雇用関係の承継を拒否できない旨主張する。確かに、被告クラブの業務実態(本件ゴルフ場の運営)は本件クラブと同様で、その従業員のかなりの部分も本件クラブで従業員であった者である。また、本件クラブは、戦後復活の際の地元耕作者の協力を踏まえ地元民を積極的に雇用し、昭和50年12月当時にはその従業員のうち99%までが地元民でまかなわれていた。
イ(ア) ところで、本件事業譲渡契約は対象物の特定承継を意図した契約であるところ、原則として、当該事業譲渡契約の当事者は、その対象を何にするか自由に決定できるところ、上記業務実態の同一性は本件事業譲渡契約の内容からして当然のことであり、また、従業員についても本件クラブの役員からの優先的雇用の要請を踏まえたもので、上記1(5)で認定した採否の状況に被告クラブが譲り受ける本件ゴルフ場の健全経営を意図していたことを踏まえると、被告クラブが同事業譲渡契約の中で雇用関係の承継を除外したことはことさら不自然なことでもない。
(イ) 原告らは、上記主張の基礎となる事実として、被告南海電鉄が都市公園内にあった本件ゴルフ場の土地所有者であったが、私企業であったこともあって同ゴルフ場を営むことができなかったため、やむなく本件クラブに同ゴルフ場事業業務を委託していた旨主張する。しかし、本件全証拠によるも同事実を認めることができない。かえって、証拠(省略)によれば、本件ゴルフ場は、戦後、本件クラブがゴルフ場再開の復活の動きを起こしていなければ被告南海電鉄所有土地も含めて国に農地解放の開拓地として買収され、地元民耕作者に完全に払い下げられていた可能性が高かったこと、本件クラブは、被告南海電鉄が本件ゴルフ場用地のかなりの部分を占めたG所有に係る土地を取得する際、多大の貢献をし、その取得資金として9000万円を被告南海電鉄へ捻出していること、本件クラブは、昭和50年12月7日、本件ゴルフ場用地所有者である被告南海電鉄と対等の立場で相互の共存共栄を貫くことを約束していることが認められる。以上の事実からすると、被告南海電鉄がやむなく、本件クラブに本件ゴルフ場の業務を委託したものではないことが推認される。
(ウ) 本件クラブと被告クラブとの本件事業譲渡契約は本件クラブから破綻不可避の状況を踏まえたお願い(書証省略)に端を発して被告南海電鉄が本件クラブ状況を踏まえた提案がその基礎となっているところ、同提案は本件クラブの破綻(倒産)の回避、同クラブ従業員の退職金の確保と本件ゴルフ場の存続、健全経営をいう観点から一応の方法として認められるものである。また、その提案に当たって、被告南海電鉄は、独自にゴルフコンサルタント会社に依頼して本件ゴルフ場の経営再建の見通しなどを調査し、その調査結果(営業活動の強化、サービスレベルの向上などかなりの増収努力と思い切ったコスト〔人件費が大きなウエイトを占めていた〕削減を行って初めて黒字化が可能との調査結果)とともに被告南海電鉄と密接な関係のある本件クラブの破綻が与える社会的影響などを考慮した上で行ったものである。その際、被告南海電鉄は、被告クラブが本件クラブとの本件事業譲渡契約に際して、本件クラブから本件クラブと従業員との雇用関係を承継すると、人件費が高くなりすぎ、事業として成り立ち得ないとして同雇用関係を除外したものであるが、その判断にも一応の合理性がある。
ウ 上記イで認定した事実に後記(6)で認定説示した事情を踏まえると、原告の上記主張は理由がない。
(5)  争点5(個人原告らの本件クラブからの退職と被告クラブでの不採用を総合して、被告クラブからの同原告らに対する解雇と評価しうるか。同解雇と評価される場合、同解雇は解雇権の濫用か)について検討する。
個人原告らは、個人原告らの本件クラブからの退職と被告クラブでの不採用を総合して、被告クラブからの同原告らに対する解雇と評価でき、同解雇が解雇権の濫用である旨主張する。
しかし、同主張は、本件クラブと被告クラブとの実質的一体性、被告クラブが本件クラブと同クラブの従業員との間の雇用関係を承継していることを前提とする主張であるところ、同前提事実が認められないことは上記(1)ないし(4)で認定説示したとおりである。そうすると、個人原告らの上記主張は理由がないといわなければならない。
なお、個人原告らは、同主張する解雇について不当労働行為意思に基づくもの、整理解雇の要件を満たしていない旨それぞれ主張するが、上記のとおり本件クラブの退職と被告クラブの不採用をもって個人原告らの雇用契約の解消(解雇)と評価できない以上、同主張も理由がない。
(6)  争点6(被告南海電鉄に使用者性があるか)について検討する。
ア 原告らは、被告南海電鉄が個人原告らとの関係で労働組合法上の使用者である旨主張する。
ところで、直接の雇用主体でない者が労働組合法7条で言う「使用者」と認められるためには少なくとも「その労働者の基本的な労働条件などについて、雇用主と部分的にも同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができること」(参照・最高裁判所平成7年2月28日第3小法廷判決労判668号11頁)が必要と解するのが相当であるところ、原告ら主張のような被告南海電鉄と被告クラブ、本件クラブとの支配関係を前提として被告南海電鉄が「使用者」と認められるためには、支配会社(被告南海電鉄)が被支配会社(被告クラブ、本件クラブ)の業務運営を支配し、被支配会社の労働者の労働条件について現実かつ具体的な支配力を有していることが必要である。
イ そこで、被告南海電鉄と被告クラブであるが、被告クラブは、被告南海電鉄が本件クラブから本件ゴルフ場の事業譲渡を受けるために設立した100%子会社である。したがって、被告クラブの従業員との関係では「使用者」性が認められる余地がある。
他方、本件クラブは、被告南海電鉄と上記2(2)イで認定説示したとおり密接な関係にあったことが窺われるが、被告南海電鉄が本件クラブの従業員の労働条件、本件では個人原告ら従業員の退職について現実的、かつ、具体的な支配力を有していたとまで認めることはできず、その他、それを認めるに足りる証拠はない。かえって、本件クラブは、被告南海電鉄とは別個独立した存在であって、本件事業譲渡契約をした当時、破綻が不可避な状況にまであったことを踏まえると、被告南海電鉄が個人原告らの本件クラブからの退職について現実かつ具体的支配力を行使したとまでは窺えない。
ウ そうすると、原告らの被告南海電鉄が使用者である旨の上記主張のうち、少なくとも本件クラブの使用者であるとの主張は理由がない。
(7)  争点7(被告らに原告らに対する不当労働行為意思があるか。被告らに不当労働行為があるか。〔不当行為の成否など〕)について検討する。
ア 原告らは、本件クラブの役員であった被告Y1ら及び被告南海電鉄らが原告組合に対する嫌悪の情(不当労働行為意思)から原告組合を弱体化させる意図をもって原告組合の主要な構成員である個人原告らを上記のとおり本件クラブないし被告クラブから排除(解雇)し、また、原告組合の運営に支配介入し、団結権を侵害した(労組法7条1号、3号)旨主張する。
イ 確かに、原告組合は、上記1(5)で認定したとおり①本件クラブとの間で、本件クラブがコース管理の外部委託、同管理を担当していた者の同委託先への転籍について平成17年11月27日に申し入れた以降、そのことで団体交渉を含めて交渉を重ねてきたが、強く反対したため本件クラブとの間で合意に至らなかったこと、また、②平成19年1月7日、本件クラブの個人原告らに対する自宅待機措置についてその解除などを求めてストライキを行ったこと、そして、③本件クラブからの本件事業譲渡契約の説明後、本件クラブとともに被告南海電鉄に対しても団体交渉を求めるなどしたことがある。また、前提事実(5)カで記載したとおり本件クラブの従業員のうち、被告クラブの募集に応じて応募した者の中で採用されなかったのは個人原告らを除くと1名がいるに過ぎない。
しかし、本件クラブが原告組合にコース管理の外部委託などの申し入れをしたのは平成17年11月で、その時点でも財政状況はかなり悪化していたとはいえ、同申し入れ時点では破綻が不可避との判断をせず、本件クラブの継続を前提として本件クラブの経営の健全化を意図したものであったこと、同申し入れ時点以前、本件クラブと原告組合との間でもめたり、ことさら対立するような関係があったわけではないこと、また、本件事業譲渡契約は本件クラブの破綻が不可避という状況の下、本件ゴルフ場の存続とともに健全な経営を意図してなされたものであって、同方法は本件ゴルフ場の存続、健全経営をいう観点からは一応の方法であると評価できること、その経営の健全化のためには来場者人数の拡大とともに人件費の抑制がその主要な課題とされていたこと、そして、個人原告らの本件クラブからの退職は同事業譲渡契約と本件クラブの解散にともなうものであって、不自然なものではないこと、被告クラブが個人原告らを採用しなかったのは上記1(5)で認定した事情によるものであって、その事情にも一応の合理性があること、原告組合と同じ上部団体である大阪キャディ労働組合の組合員のうち、被告クラブの募集に応じて応募したキャディ職の人は全員採用されていることがある。以上の事実に通常、営業譲渡を行う場合、人的部分の承継をするか否かは同譲渡契約者の自由な意思に任されていることを総合すると、本件事業譲渡契約の際、本件クラブとその従業員との雇用契約を承継しない旨の合意及び本件クラブからの退職、被告クラブの不採用のいずれもが本件クラブないし本件クラブの当時の役員である被告Y1ら及び被告クラブ、被告南海電鉄の原告組合ないし個人原告ら組合員を嫌悪して行われた不当労働行為とまで認めることはできず、かえって、そのような行為でなかったことを窺わせる。
ところで、被告クラブは、平成19年6月1日、本件ゴルフ場を引き継いで経営を始めた以降、キャディの募集をしているが、それは本件クラブの退職者の応募による採用だけではその運営に必要な人員が確保できなかったためであって、そのことをもって被告らの上記各行為について、不当労働行為性を認めることはできない。また、キャディ職として採用した者のうち、一部の者をフロントなどの職務に従事させていることがあるが、そのことも被告らの上記各行為について、不当労働行為性を認めることはできない。そして、原告らは、本件クラブのF支配人のX4に対する「組合長を信じてついて行ったらその内、えらい目に遭うで」などの言動をもって不当労働行為意思のあらわれである旨主張するところ、同言動に沿うX4の供述(書証省略)があるが、同言動があったか本件全証拠によるも必ずしも明らかでなく、仮にその言動があったとしてもそれによって直ちに本件クラブ及び被告らがそれぞれ不当労働行為意思をもっていたとまで推認することはできない。
ウ ところで、従業員の採用時における雇入れ拒否は、それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り、労組法7条1号本文にいう不利益な取り扱いに当たらないと解するのが相当である(参照・最高裁判所平成15年12月22日第一小法廷判決民集57巻11号2335頁)ところ、本件全証拠によるも被告クラブの個人原告らに対する採用拒否には同特段の事情を認めることができない。
エ そうすると、原告らの上記不当労働行為に関する主張はいずれも理由がない。
3  以上によれば、原告らの本件各請求はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判官 中村哲)

 

別紙
原告ら一覧表

原告名 入社年月 平成18年10月31日
までの職務
平成19年3月24日
以降の職務
組合役職
1 X1 昭和58年3月 コース管理部係長 業務部営業課係長 組合長
2 X2 平成4年9月 コース管理部員 業務部営業課員 副組合長
3 X3 昭和47年4月 コース管理部員 業務部営業課員 会計
4 X4 昭和47年4月 ハウス部経理課長 左同 なし
5 X5 昭和61年6月 コース管理部員 業務部営業課員 なし
6 X6 平成9年8月 コース管理部員 業務部営業課員 なし
7 H 平成7年2月 コース管理部員 業務部営業課員 なし
8 X7 平成17年5月 ハウス部員 左同 なし

賃金一覧表

原告名 賃金額
X1 314,519
X2 190,180
X3 279,036
H 152,693
X5 175,052
X6 134,187
X4 360,713
X7 176,867

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296