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「営業支援」に関する裁判例(85)平成23年 9月 9日 大阪地裁 平20(ワ)856号 損害賠償等請求事件

「営業支援」に関する裁判例(85)平成23年 9月 9日 大阪地裁 平20(ワ)856号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成23年 9月 9日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)856号・平20(ワ)5823号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2011WLJPCA09098001

要旨
◆ソフトウェアの販売代理店が,顧客に対し,ソフトウェアのリース契約を締結すれば無償で宣伝用ホームページを作成すると申し向けてその締結を勧誘した行為が,顧客の契約締結過程における意思決定の自由を侵害するものであって,社会的相当性を著しく欠き,不法行為を構成するとされた事例

評釈
田中壯太・NBL 981号118頁
島川勝・消費者法ニュース 93号186頁
村井満・消費者法ニュース 91号174頁
岩本尚禧・商学討究(小樽商科大学) 63巻4号143頁

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成23年 9月 9日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)856号・平20(ワ)5823号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2011WLJPCA09098001

大阪府門真市〈以下省略〉
甲事件被告兼乙事件原告 X1(以下「原告X1」という。)
大阪府守口市〈以下省略〉
甲事件被告兼乙事件原告 X2(以下「原告X2」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 別紙「原告ら訴訟代理人弁護士目録」記載のとおり
東京都豊島区〈以下省略〉
甲事件原告兼乙事件被告 株式会社クレディセゾン(以下「被告クレディセゾン」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 別紙「被告クレディセゾン訴訟代理人弁護士目録」記載のとおり
東京都港区〈以下省略〉
株式会社テレウェイヴリンクス訴訟承継人
乙事件被告 株式会社SBR(以下「被告SBR」という。)
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 南栄一
同 松井章
同 阿部智
東京都渋谷区〈以下省略〉
乙事件被告 株式会社アントレプレナー(以下「被告アントレプレナー」という。)
同代表者代表取締役 C
同訴訟代理人弁護士 佐々木博英

 

 

主文

1  原告X1及び原告X2は,被告クレディセゾンに対し,連帯して,194万7750円及びこれに対する原告X1は平成20年2月6日から,原告X2は同月7日から各支払済みまで年14.6%の割合(年365日の日割計算)による金員を支払え。
2  被告SBRは,原告X1に対し,14万8625円及びこれに対する平成17年2月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告X1の被告SBRに対するその余の請求並びに被告クレディセゾン及び被告アントレプレナーに対する請求をいずれも棄却する。
4  原告X2の被告クレディセゾン,被告アントレプレナー及び被告SBRに対する請求をいずれも棄却する。
5  訴訟費用は,原告X1に生じた費用の30分の1と被告SBRに生じた費用の11分の1とを被告SBRの負担とし,原告X1及び被告SBRに生じたその余の費用と原告X2及び被告クレディセゾン並びに被告アントレプレナーに生じた費用を原告X1及び原告X2の負担とする。
6  この判決は,第1,2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  甲事件
主文第1項に同旨
2  乙事件
(1)  主位的請求
ア 被告クレディセゾン,被告アントレプレナー及び被告SBRは,原告X1に対し,連帯して,230万5000円及びこれに対する平成16年7月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
イ 被告クレディセゾン,被告アントレプレナー及び被告SBRは,原告X2に対し,連帯して,10万円及びこれに対する平成16年7月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  予備的請求
被告クレディセゾンは,原告X1に対し,35万7250円及びこれに対する平成20年5月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
甲事件は,被告クレディセゾンが,原告X1との間でコンピュータのソフトウェアのリース契約を締結し,原告X2が同契約に基づく原告X1の債務を連帯保証したとして,原告X1及び原告X2(以下,これら両名を併せて「原告ら」という。)に対し,連帯して規定損害金194万7750円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(原告X1については平成20年2月6日,原告X2については同月7日)から支払済みまで約定利率年14.6%の割合(年365日の日割計算)による遅延損害金の支払を求める事案である。
乙事件は,(1)主位的に,原告らが,被告アントレプレナーとの間で販売代理店契約を締結している株式会社テレウェイヴリンクス(以下「テレウェイヴリンクス」という。)の担当者による違法な勧誘行為により,被告クレディセゾンとの間でリース契約及び連帯保証契約を締結させられ,損害を被ったなどとして,不法行為による損害賠償請求権に基づき,被告クレディセゾン,被告アントレプレナー及びテレウェイヴリンクスを吸収合併した被告SBR(以下,これら3名を併せて「被告ら」という。)に対し,連帯して損害賠償金(原告X1につきリース料総額220万5000円,慰謝料5万円及び弁護士費用相当額5万円の合計230万5000円,原告X2につき慰謝料5万円及び弁護士費用相当額5万円の合計10万円)及びこれに対する不法行為の日である平成16年7月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,(2)予備的に,原告X1が,上記リース契約が詐欺により取り消され,錯誤により無効であるなどとして,被告クレディセゾンに対し,不当利得返還請求権に基づき,既払リース料,慰謝料及び弁護士費用相当額の合計35万7250円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成20年5月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  争いのない事実等(証拠を掲げたもののほかは当事者間に争いがない。)
(1)  当事者等
ア 原告らは,中西工務店の屋号で建築業を営む者である。
イ 被告クレディセゾンは,リース業等を営む株式会社である。
ウ 被告アントレプレナーは,被告クレディセゾンとの間でリース契約に関する業務提携契約を締結し,被告クレディセゾンに対してリース物件を売却していた株式会社である。
エ 被告SBR(旧商号テレウェイヴ)は,リース契約の取次等を営む株式会社であり,平成21年4月1日にテレウェイヴリンクスを吸収合併した。
(2)  テレウェイヴリンクスによる勧誘行為
テレウェイヴリンクスの担当者は,平成16年6月頃,中西工務店の事業所において,原告らに対し,被告クレディセゾンとの間でコンピュータのソフトウェアのリース契約を締結するとともにテレウェイヴリンクスとの間でインターネット上のホームページの保守管理等を内容とするサービス契約を締結すれば,テレウェイヴリンクスにおいて中西工務店の宣伝用ホームページを無償で作成すると申し向けて,リース契約等を締結することを勧誘した(以下「本件勧誘行為」という。)。
(3)  本件リース契約等の締結
原告X1は,平成16年7月上旬頃,本件勧誘行為に基づき,テレウェイヴリンクスとの間でホームページの保守管理契約(丁2。以下「本件サービス契約」という。)を締結するとともに,同月16日,被告クレディセゾンとの間で,原告X1をユーザー,被告クレディセゾンをリース会社,被告アントレプレナーをサプライヤーとして,以下の内容のリース契約(以下「本件リース契約」という。)を締結し,リース物件(以下「本件リース物件」という。)の引渡しを受けた(乙1)。
ア リース物件
テレウェイヴリンクスWall Color Simulator 1台
シャープファイリングPro 1台
イ リース期間
平成16年7月16日から同21年7月15日まで(60か月)
ウ リース料
総額220万5000円(消費税相当額込み。月額3万6750円)
エ 支払方法
毎月4日に,自動振替の方法により支払う。
初回リース料は,2回目のリース料と併せて支払う。
オ 期限の利益喪失
原告X1がリース料の支払を1回でも怠ったときは,原告X1は,リース料債務につき,被告クレディセゾンからの通知,催告がなくても当然に期限の利益を喪失し,被告クレディセゾンに対し,残リース料を直ちに支払う。
カ 無催告解除
原告X1が上記オの支払をしないときは,被告クレディセゾンは催告をせず直ちに本件リース契約を解除することができる。
キ 規定損害金
前記カの規定により被告クレディセゾンが本件リース契約を解除したときは,原告X1は,本件リース物件を被告クレディセゾンに返還するとともに,損害賠償として残リース料総額を直ちに支払う。
ク 遅延損害金
原告X1が被告クレディセゾンに対して負担する債務の支払を遅滞したときは,原告X1は,支払うべき金額に対し支払済みまで年14.6%の割合(年365日の日割計算)による遅延損害金を支払う。
(4)  本件連帯保証契約の締結
原告X2は,平成16年7月16日,被告クレディセゾンとの間で,本件リース契約に基づく原告X1の債務を連帯保証する旨の契約(以下「本件連帯保証契約」という。)を締結した(乙1)。
(5)  本件リース契約のリース料の支払状況
原告X1は,本件リース契約に基づき,平成17年2月4日までに合計25万7250円のリース料を支払ったものの,同年3月4日以降,リース料の支払をしておらず,リース料残額は合計194万7750円である。
(6)  被告クレディセゾンによる本件リース契約解除の意思表示
被告クレディセゾンは,平成20年2月5日,原告X1に対し,本件リース契約につき,解除の意思表示をした。
(7)  原告らによる本件リース契約の取消し等の意思表示
ア 原告X1は,平成20年4月8日,被告クレディセゾンに対し,本件リース契約につき,詐欺による取消し及び特定商取引に関する法律(平成16年法律第44号による改正前のもの。以下「特定商取引法」という。)9条1項の規定による申込みの撤回又は解除の意思表示をした。
イ 原告X2は,平成20年10月1日,被告クレディセゾンに対し,本件連帯保証契約につき,詐欺による取消しの意思表示をした。
ウ 原告らは,平成20年11月6日,被告クレディセゾンに対し,本件リース契約及び本件連帯保証契約につき,消費者契約法4条1項の規定による取消しの意思表示をした。
2  争点及び争点に関する当事者の主張
【甲事件関係】
(1) 詐欺による取消しの可否
テレウェイヴリンクスは,原告らを欺罔して,原告らに本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結させたか(争点甲(1))。
【原告らの主張】
ア テレウェイヴリンクスの担当者は,本件勧誘行為の際,中西工務店の宣伝用ホームページを作成する意思がないにもかかわらず,原告らに対し,「これからはインターネットの時代です。立派なホームページを作ってあげましょう。」,「ホームページを作成すれば受注増間違いない。」などと申し向けて,上記意思があるかのように装い,原告らをして,テレウェイヴリンクスに上記ホームページを作成する意思があるものと誤信させ,原告らは,この誤信に基づいて,本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結した。
イ テレウェイヴリンクスの担当者は,本件勧誘行為の際,本件リース契約が中西工務店の宣伝用ホームページの作成とは何ら関係のないソフトウェアを目的物件とするものであって,上記ホームページを作成するために本件リース契約を締結する必要はなかったのに,原告らに対し,「ホームページ作成に必要な1式セットの商品である。」などと申し向け,原告らをして中西工務店の宣伝用ホームページの作成のためには本件リース契約を締結する必要があると誤信させ,原告らは,この誤信に基づいて,本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結した。
ウ テレウェイヴリンクスは,被告クレディセゾンと一体となって,又は同被告の代理人,使者若しくは履行補助者として,本件勧誘行為を行ったのであるから,同被告は,テレウェイヴリンクスの詐欺について善意の第三者には当たらない。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認する。
ア テレウェイヴリンクスに中西工務店の宣伝用ホームページを作成する意思がなかったことは否認する。なお,テレウェイヴリンクスは,平成17年2月8日ころまでに,中西工務店の宣伝用ホームページ(丁1)を作成し,サーバー上にアップロードしたが,その後,原告らが保守管理料等を支払わなくなったため,同年6月ころ,サーバーの使用停止に伴い,作成した中西工務店の宣伝用ホームページをサーバーから削除し,その後はテレウェイヴリンクスのバックアップデータのみを保管していた。
イ テレウェイヴリンクスは,原告らに対して,中西工務店の宣伝用ホームページの作成のためには本件リース契約を締結する必要があると述べたことが,虚偽の事実の告知であるとの点は否認する。テレウェイヴリンクスは,ホームページの作成とソフトウェアとをパッケージ商品として販売していたのであり,テレウェイヴリンクスは,原告らに対しても,これらがパッケージ商品であるために,上記ホームページの作成のためには本件リース契約が必要となることを説明したのであって,これは,虚偽の事実の告知には当たらない。
ウ 被告クレディセゾンは,テレウェイヴリンクスの詐欺について,善意の第三者である。
(2) 錯誤による無効の成否
原告らは,中西工務店の宣伝用ホームページの作成が本件リース契約の内容に含まれていないにもかかわらず,これが含まれているものと誤信して本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結したか(争点甲(2))。
【原告らの主張】
中西工務店の宣伝用ホームページの作成は,本件リース契約の内容とはなっていないのに,原告らは,本件リース契約の内容に上記ホームページの作成が含まれているものと誤信して本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結した。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認する。
本件リース契約の内容にホームページの作成が含まれないことは,その契約書(乙1)から明らかであるし,テレウェイヴリンクスの担当者も,原告らに対して,ホームページの作成が無償の役務提供として行われることを説明していた。
(3) 心裡留保による無効の成否
原告らには,本件リース契約及び本件連帯保証契約の締結の際,本件リース物件についてリース契約を締結してリース料支払債務を負担する意思がなく,被告クレディセゾンは,そのことを認識し得たか(争点甲(3))。
【原告らの主張】
原告らは,中西工務店の宣伝用ホームページの作成のために本件リース契約を締結したが,本件リース物件は原告らに全く不要なソフトウェアであり,原告らは,本件リース契約及び本件連帯保証契約の締結の際,これらをリース物件としてリース契約を締結してリース料支払債務を負担しようとする意思がなく,心裡留保があった。そして,被告クレディセゾンは,原告らに対する契約締結の意思確認の際に,そのような原告らの真意を容易に認識することができた。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認する。
(4) 暴利行為による無効の成否
本件リース契約は,暴利行為に当たり公序良俗に反するか(争点甲(4))。
【原告らの主張】
本件リース物件の客観的価値は高々10万円程度であり,原告らがこれの20倍もの金員の支払を負担することとなる本件リース契約は,被告クレディセゾンによる暴利行為というべきであるから,公序良俗に反し,無効である。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認し,争う。
本件リース物件の客観的価値が高々10万円程度であることはありえない。被告クレディセゾンは,被告アントレプレナーから196万5180円で購入し,これを総額210万円でリースしているのであり,被告クレディセゾンの利益は14万円以下である。また,本件リース契約は,ファイナンス・リースであり,本件リース物件を取得しようとする原告らに対して金融の便宜を図るためのものであるから,本件リース契約の客観的価値とリース料との間に不均衡があっても,それが直ちに暴利行為に当たるとはいえない。
(5) 特定商取引法9条1項による申込みの撤回又は解除の可否
本件リース契約は,原告X1が「営業のために若しくは営業として」(特定商取引法26条1項1号)締結したものに当たり,特定商取引法の適用が除外されるか(争点甲(5))。
【被告クレディセゾンの主張】
原告X1は,中西工務店の商号で建築業を営んでおり,本件リース契約締結当時3名の従業員を雇用し,年商4000万円の規模で事業を展開しており,中西工務店の屋号で,本件リース契約を締結した。本件リース物件は,コンピュータに取り込んだデジタル画像を簡単に加工するためのソフトウェア及びビジネス文書を電子データとして保管するためのソフトウェアであった。原告X1は,テレウェイヴリンクスとの間で,本件リース契約とともに,中西工務店の宣伝用ホームページの作成を目的とする契約を締結した。
このような事情からすれば,本件リース契約は,原告X1の「営業のために若しくは営業として」締結されたものであり,原告X1は,特定商取引法の9条1項の規定により本件リース契約について申込の撤回や解除をすることはできない。
【原告らの主張】
被告クレディセゾンの主張は否認し,争う。
原告X1は,大工仕事を本来の活動としており,ソフトウェアを普段の仕事で使用することはなく,何らの専門的知識も持っていなかったし,ホームページの作成も大工業と関係しない。
したがって,本件リース契約は,原告X1の「営業のために若しくは営業として」締結されたものではなく,原告X1は,特定商取引法9条1項の規定により本件リース契約の申込を撤回し,又はこれを解除することができる。
(6) 消費者契約法4条1項による取消しの可否
本件リース契約及び本件連帯保証契約は,消費者契約にあたり,被告クレディセゾンは,本件リース契約及び本件連帯保証契約の締結の際,原告らに対し,不実の告知をし又は断定的判断を提供し,原告らがその旨誤認したか(争点甲(6))。
【原告らの主張】
本件リース契約及び本件連帯保証契約は,原告らが事業のために契約したものではないから,消費者契約に当たり,消費者契約法が適用される。そして,テレウェイヴリンクス及び被告クレディセゾンは,本件リース契約の締結の際,原告X1に対し,不実告知及び断定的判断の提供をした。なお,テレウェイヴリンクスは,被告クレディセゾンと一体となって,又は同被告の代理人,使者若しくは履行補助者として,本件勧誘行為を行ったのであるから,テレウェイヴリンクスの不実の告知及び断定的判断の提供は,被告クレディセゾンによるものと同視されるべきである。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認する。
(7) テレウェイヴリンクスによるホームページ作成義務の不履行による本件リース契約解除の可否
テレウェイヴリンクスは,中西工務店の宣伝用ホームページを作成したか(争点甲(7))。
【原告らの主張】
テレウェイヴリンクスは,本件リース契約締結に際して原告らに約した中西工務店の宣伝用ホームページの作成を行わなかったかった。そして,テレウェイヴリンクスは,被告クレディセゾンと一体となって,又は同被告の代理人,使者若しくは履行補助者として,本件勧誘行為を行ったのであるから,テレウェイヴリンクスの上記債務不履行は,本件リース契約に基づく被告クレディセゾンの債務の不履行と同視されるべきであり,原告らは,この被告クレディセゾンの債務不履行に基づいて,本件リース契約及び本件連帯保証契約を解除することができる。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認し,争う。
テレウェイヴリンクスは,平成17年2月8日頃までに,中西工務店の宣伝用ホームページを作成した。
(8) 被告クレディセゾンによる残リース料の請求の権利濫用該当性
被告クレディセゾンが本件リース契約及び本件連帯保証契約に基づいて原告らに規定損害金の支払を求めることは権利の濫用であり,信義則に反し許されないか(争点甲(8))。
【原告らの主張】
被告クレディセゾンは,テレウェイヴリンクスの不当な勧誘態様を知りながら,これをあえて利用又は黙認し,原告らに対する十分な情報提供や説明をせず,その結果として原告らはに不当に高額なリース料債務を負担させるに至っているから,被告クレディセゾンが原告らに規定損害金の支払を求めることは,権利の濫用であり,信義則に反し許されない。
【被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は,否認し,争う。
【乙事件関係】
(1) 本件勧誘行為の違法性
本件勧誘行為は,不法行為としての違法性を有するか(争点乙(1))。
【原告らの主張】
テレウェイヴリンクスの担当者は,本件勧誘行為の際,争点甲(1)の原告らの主張で述べたとおりの虚偽の事実を告知したほか,原告らが本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結すれば,テレウェイヴリンクスにおいて原告らの集客に役立つホームページを無償で作成するなどの口実を構えて言葉巧みにそそのかし,リース契約を中途解約する際には残リース料と同額の違約金を支払う必要があることなどのリース契約に関する説明もしないで,原告らに対し,売価が10万円もしない本件リース物件について,リース料総額が220万円を超える本件リース契約と本件連帯保証契約を締結させたものである。
ホームページの作成等の役務やソフトウェア等の物件は,その内容を,客観的に一義的に明白にすることが極めて困難であり,市場における定価や標準価格が存在しないことが多く,ユーザーがリース契約の対象となる役務やソフトウェアの価値を理解できない場合があるため,ソフトウェアを目的とするリース契約においては,サプライヤーが,ユーザーに対し,ソフトウェアをホームページの作成等の役務と抱き合わせて提供することにより,対価の相当性に関するユーザーの判断を誤らせ,不当に高額のリース契約を締結させることがあり得る。
テレウェイヴリンクスの担当者は,原告らに対し,中西工務店の宣伝用ホームページの作成,掲載による集客効果と売上増加の見通しを強調し,無償でそのような役務提供が受けられると説明されて強い関心を抱いた原告らの心理状態に乗じて,原告らにとって無用な本件リース物件を目的とし,リース料が不当に高額な本件リース契約を締結させたものであり,このようなテレウェイヴリンクスによる本件勧誘行為は,不法行為としての違法性を有するというべきである。
【被告らの主張】
原告らの主張は否認し,争う。
争点甲(1)についての被告クレディセゾンの主張のとおり,テレウェイヴリンクスの担当者が原告らに対して詐欺行為を行ったことはない。また,テレウェイヴリンクスの担当者の一連の勧誘行為は,適切なものであった。
(2) 本件勧誘行為についての被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンの責任
テレウェイヴリンクスは,被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンと一体となって,又は同被告らの代理人,使者若しくは履行補助者として,本件勧誘行為を行ったか(争点乙(2))。
【原告らの主張】
テレウェイヴリンクスと被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンは,一体となって本件勧誘行為を行った。また,仮にテレウェイヴリンクスと同被告らが一体とはいえないとしても,テレウェイヴリンクスは,同被告らから本件勧誘行為をする権限を与えられ,同被告らの代理人,使者又は履行補助者(締約補助者)として,本件勧誘行為を行った。
したがって,本件勧誘行為は被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンによるものと同視することができ,同被告らは,本件勧誘行為について,共同不法行為責任又は使用者責任を負う。
【被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンの主張】
原告らの主張は否認する。
(3) 被告クレディセゾンによるその他の違法行為
被告クレディセゾンは,原告らがテレウェイヴリンクスによる本件勧誘行為により財産権を侵害されることを防止する義務を怠ったか(争点乙(3))。
【原告らの主張】
ア 提携販売事業者管理責任等の違反
本件のような提携販売業者がユーザーに対して勧誘をするリース契約においては,リース会社とユーザーとの間の情報量の格差が大きく,ユーザーがリース契約によって不測の損害を被るおそれがあり,リース会社は販売事業者の営業により利益を受け,販売業者を管理し得る立場にあるため,リース会社は提携販売業者を管理するなどの義務を負うというべきである。被告クレディセゾンは,①テレウェイヴリンクスが不法,不正,不公正な契約をしないように管理・監督すべきであり,②原告らに対して契約締結の意思確認を慎重に行うなどして,原告らにとって不必要なリース契約や支払能力を超える過剰なリース契約の締結を防止すべきであり,③不法,不正,不公正な契約が締結された際には,事後的にもこれを是正すべきであった。しかしながら,被告クレディセゾンは,この義務を全く果たさず,むしろ,クーリングオフの説明がまったく記載せれておらず,リース料総額も記載できないように作成されたリース契約の申込用紙を販売業者に交付し続けるなど,テレウェイヴリンクスの不当な勧誘を助長していた。
イ 情報提供義務の違反
契約締結過程に入ったリース会社は,ユーザーが不当に害されないように適切な情報を提供する義務を負う。
被告クレディセゾンは,①原告らに対し,テレウェイヴリンクスが不適切な勧誘等により無理矢理契約を締結させようとしていないかなどを確認すべきであり,②原告らに対し,中西工務店の宣伝用ホームページの作成という役務の内容を納得しているかなどを確認すべきであり,③本件リース物件の適正な価格を調査し,暴利性を理由として本件リース契約の締結を拒否すべきであった。しかしながら,被告クレディセゾンは,テレウェイヴリンクスの行為を漫然と放置して適切な監督をすることなく,本件リース契約の締結の際には極めて簡単な意思確認しかしていない。
【被告クレディセゾンの主張】
被告クレディセゾンが原告らの主張する義務を負うことは争う。
(4) 損害額
原告らがテレウェイヴリンクスによる本件勧誘行為及び被告クレディセゾンによるその他の違法行為によって被った損害の額はいくらか(争点乙(4))。
【原告らの主張】
原告らは,テレウェイヴリンクスの本件勧誘行為及び被告クレディセゾンによるその他の違法行為によって,本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結させられ,その結果,原告X1は230万5000円(リース料相当額220万5000円,慰謝料5万円及び弁護士費用相当額5万円の合計額),原告X2は10万円(慰謝料5万円及び弁護士費用相当額5万円の合計額)の損害を被った。
【被告らの主張】
原告らの主張は争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
(1)  前記争いのない事実等,証拠(後掲各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 原告らの事業
原告X1は,原告X2とともに,中西工務店の屋号で建築業を営み,平成16年当時は,従業員3名を雇用し,年間約4000万円の売上を上げていた。(乙1)
イ テレウェイヴリンクスの営業活動
(ア) テレウェイヴリンクスは,主として中小企業に対し,ITインフラの提供,ホームページの作成や保守管理,営業支援等を行うことを業とする株式会社であったところ,営業支援等の一環と称して,ソフトウェアのリース契約と宣伝用ホームページの保守管理等の契約の締結を併せて勧誘する営業活動を行っており,その勧誘に際しては,顧客に対し,これらの契約を締結すれば,無償で宣伝用ホームページを作成する便宜を供与し,それによる集客効果と売上の増加が期待できるとの説明をしていた。
(イ) テレウェイヴリンクスは,平成13年6月1日,被告アントレプレナー(当時の商号は工事ドットネット株式会社)との間でリース契約取次業務契約(丁4)を締結し,被告アントレプレナーに代わって顧客を探し,被告アントレプレナーを販売店とするリース契約の締結を取り次ぐ業務を行っていた。(丁4,証人D)
ウ 本件リース契約の締結に至る経過
(ア) テレウェイヴリンクスの担当者は,平成16年6月中旬頃,原告X1に電話をかけて,中西工務店の宣伝用ホームページを作成することを勧めた。原告X1は,インターネットに関する知識が乏しかったことなどから,原告X2と一緒に説明を聞きたいと考え,同社の担当者に対し,後日説明に来て欲しいと答えた。同社の担当者は,その際,原告X1に対し,本件リース物件の内容やこれについてリース契約を締結することがホームページの作成の条件であることなどを説明しなかった。(原告X1本人)
(イ) テレウェイヴリンクスの担当者は,同月下旬頃,中西工務店の事務所を訪ね,原告らに対し,テレウェイヴリンクスの営業内容を説明し,「テレウェイヴリンクスWall Color Simulator」を目的とするリース契約を締結することがホームページの作成の条件であると告げて,本件リース契約の締結を勧誘した。原告らは,宣伝用ホームページには関心があったものの,上記ソフトウェアを購入する必要性を感じなかったことから,その内容の説明を求めることもないまま,テレウェイヴリンクスの担当者に対し,宣伝用ホームページの作成のみを依頼することができないかを尋ねた。しかし,上記担当者は,本件リース契約の締結とホームページの作成が一体のものであって,本件リース契約の締結がホームページ作成の条件である旨を繰り返した。(原告X1本人,原告X2本人)
(ウ) テレウェイヴリンクスの担当者は,同年7月16日,三度,中西工務店の事務所を訪ね,原告らに本件リース契約の締結を勧誘した。テレウェイヴリンクスの担当者は,その際,原告らに対し,「シャーププロファイリングPro」を示し,これと「テレウェイヴリンクスWall Color Simulator」を目的物件とするリース契約を締結することがホームページ作成の条件であること,本件リース契約のリース料が月額3万6750円(消費税相当額込み)であることを説明し,仮に原告らが本件リース物件をあまり利用しないとしても,宣伝用ホームページの集客効果で売上げが増えることを考えれば,その程度のリース料は安いものだという趣旨のことを述べて,原告らを説得した。原告らは,この説得を受けて,本件リース物件の必要性には依然として疑問を抱きながらも,いずれは本件リース物件を利用することがあるかもしれず,仮にこれが不要になれば本件リース契約を解約すれば足り,そうでなくても,宣伝用ホームページの集客効果によって売上が増加すれば,リース料を補填するに足りる程度の利益が得られるものと考え,また,本件リース物件がリース料相当額の価値を有する以上,無償で上記のような効果を持つ宣伝用ホームページを作成してもらえるのであれば,本件リース契約を締結することにより,リース料に見合う以上の価値を有する物品と役務の提供を受けられることになると理解して,本件リース物件のリース契約及び宣伝用ホームページの保守管理契約を締結することを決意し,中西工務店の名義で,本件リース契約(丁1)及び本件サービス契約(丁2)を締結した。(乙1,丁2,原告X1本人,原告X2本人)
エ 本件リース物件の内容等
(ア) 本件リース物件は,被告アントレプレナーが,テレウェイヴリンクスから185万1800円で購入し,被告クレディセゾンに対し187万1600円で売却したものである(丙4)。
(イ) 「テレウェイヴリンクスWall Color Simulator」は,コンピュータに取り込んだデジタル画像を簡単に加工するためのソフトウェアであり,松下電工株式会社(当時)が販売していた「デジカメレオン」(甲6)に類似した商品であるところ,同社は,「デジカメレオン」(甲6)及び3次元住宅シミュレーションソフトを組み合わせた商品を12万8000円で販売していた。また,「シャープファイリングPro」は,ビジネス文書を電子データとして保管するソフトウェアであり,シャープ株式会社が6万3000円で販売していた「Sharp FilingR5ライセンスキット」(甲7)に類似したソフトウェアである。(甲6,7,乙1)
(ウ) 原告X1は,平成16年7月20日頃,本件リース契約に基づき,本件リース物件を受け取ったが,テレウェイヴリンクスの担当者は,その際に初めて,原告らに対して,本件リース物件の使用方法等の説明を行い,その稼働状況を実演して見せた。原告らは,本件リース物件の購入後,これらを中西工務店の事業のためにも,原告ら個人の用途のためにも,使用したことがない。(原告X1本人,原告X2本人)
オ 中西工務店の宣伝用ホームページの完成
(ア) テレウェイヴリンクスの担当者は,平成16年7月頃から,中西工務店の宣伝用ホームページの作成を開始し,原告らとの打合せを重ね,同月16日頃の打合せの際には,同年10月頃までには中西工務店の宣伝用ホームページが完成してインターネット上にアップロードができると説明していた。原告X2は,同年7月20日頃,テレウェイヴリンクスの担当者に対し,ホームページの作成のための資料として,中西工務店の施工現場の写真等を渡し,同月末頃,中西工務店の紹介文等をファクシミリで送信するなどした。(原告X2本人)
(イ) 原告X2は,同年9月頃,テレウェイヴリンクスの別の担当者から電話を受けて,ホームページの作成者が代わったなどと伝えられ,その作成のための資料等を送付するように指示された。原告X2は,上記担当者に対し,以前資料等を送付済みであると告げ,同年12月頃までに,再度写真や文章等を送付した。(原告X2本人)
(ウ) テレウェイヴリンクスは,同17年2月8日頃までに中西工務店の宣伝用ホームページ(丁1)を完成させ,そのころ,原告らに対し,上記ホームページが完成したことを知らせるとともに,これをアップロードしてもよいかを問い合わせる趣旨の連絡をした上,テレウェイヴリンクスの管理するサーバー上にアップロードした。(丁1,3,10,原告X2本人)
(エ) テレウェイヴリンクスは,本件サービス契約に基づき,中西工務店の紹介ページ(甲25)を作成し,これをテレウェイヴリンクスの運営するポータルサイト上の「マイリフォームレシピ」に掲載した。(甲25,証人D)
カ 本件リース契約解除の意思表示
(ア) 原告らは,平成17年1月頃,本件リース契約のリース料を中西工務店の経費として計上しようとしたところ,税理士から,本件リース契約のリース料が高額に過ぎるのではないかとの指摘を受けた。(原告X1本人)
(イ) 原告X1は,同年2月25日,被告らに対し,テレウェイヴリンクスが中西工務店の宣伝用ホームページを完成させないとして,本件リース契約を解除する旨の意思表示をし,同年3月以降,本件リース契約に基づくリース料及び本件サービス契約に基づく利用料の支払を中止した。(甲2ないし4)
(ウ) これを受けて,テレウェイヴリンクスは,同年6月頃,中西工務店の宣伝用ホームページがアップロードされているサーバーの稼働を停止した。(丁2,弁論の全趣旨)
(2)  原告らは,テレウェイヴリンクスが中西工務店の宣伝用ホームページを作成しておらず,又はその作業が大幅に遅れたと主張している。
確かに,テレウェイヴリンクスが原告らに対して上記ホームページの作成を無償の役務提供として行う旨説明していたことや,原告らとテレウェイヴリンクスとの間であらかじめ上記ホームページの作成期限や内容,品質等について確定的な合意がされた形跡もないことからすれば,テレウェイヴリンクスが上記ホームページの作成をどの程度原告らに対する法律上の義務として認識していたかについては,疑問を差し挟む余地もないではない。
しかしながら,前記認定の事実,証拠(丁1,3,10,原告X2)及び弁論の全趣旨によれば,中西工務店の宣伝用ホームページ(丁1)は,現在被告SBRの会社内部のローカルディスク中の共有フォルダに保存されており,同ホームページの各ページを構成するデータは,平成17年1月19日前に作成されていること,テレウェイヴリンクスが作成した原告X1との交渉記録中(丁10)には,同年2月8日の欄に「独ドメUP。先方に連絡をしています。」と記載されていること,原告X2は,同日頃までに,テレウェイヴリンクスの担当者から,上記ホームページが完成した旨の連絡を受けたことが認められ,これらの事実に照らすと,テレウェイヴリンクスの担当者は,同年1月19日頃までに,上記ホームページを構成するデータを作成した上,遅くとも同年2月8日頃でには,独自ドメイン(インターネット上に存在するウェブサイト等を識別するために付された文字列)を取得し,これを利用して,上記ホームページを構成するデータを同社の管理するサーバー上にアップロードしたものと推認することができる。
なお,証拠(甲25)によれば,平成17年2月ころにおいても,テレウェイヴリンクスの運営するポータル上の「マイリフォームレシピ」に掲載された中西工務店の紹介ページ(甲25)が未完成であったことが認められるが,上記紹介ページは,テレウェイヴリンクスが原告らに対して作成を約した中西工務店の宣伝用ホームページとは別個のものであるから,上記紹介ページが未完成であるからといって,上記ホームページも未完成であったと即断することはできない。
2  甲事件関係の争点についての判断
(1)  争点甲(1)(詐欺による取消しの可否)について
ア 原告らは,テレウェイヴリンクスが,本件勧誘行為の際,中西工務店の宣伝用ホームページを作成する意思がなかったにもかかわらず,これがあるように装って,原告らを欺罔したと主張する。
しかし,前記認定のとおり,テレウェイヴリンクスは,ホームページの作成や保守管理も目的とし,本件リース契約の締結と同時に原告らとの間でホームページの保守管理等を内容とする本件サービス契約を締結したこと,テレウェイヴリンクスの担当者は,本件リース契約の締結後,原告らとの間で中西工務店の宣伝用ホームページ(丁1)の作成のための打合せや資料収集等の作業を行い,遅くとも平成17年2月8日までには,これを作成したことからすると,本件勧誘行為当時,テレウェイヴリンクスに上記ホームページを作成する意思がなかったとまで認定することはできない。
イ 原告らは,本件リース物件が中西工務店の宣伝用ホームページの作成と何ら関係がないにもかかわらず,本件リース物件が上記ホームページの作成のために必要であるかのように装って,原告らを欺罔したとも主張する。
確かに,前記認定のとおり,原告らは,本件リース物件を購入する必要性を感じておらず,テレウェイヴリンクスの担当者から,本件リース契約を締結することが上記ホームページを無償で作成するための条件であると説明されたために,無償で上記ホームページを作成させることを主たる動機として,本件リース契約を締結したのであり,本件リース物件自体は,上記ホームページの作成のために必要なものではない。
しかし,前記認定のとおり,テレウェイヴリンクスは,ソフトウェアのリース契約及びホームページの保守管理契約の締結を条件として顧客の宣伝用ホームページを無償で作成するという営業方針を採っていたのであり,テレウェイヴリンクスの担当者の上記説明は,そのような同社の営業方針を表明したものにすぎず,本件リース物件自体がホームページの作成に必要である旨を述べたものではないと解する余地もあるところ,そのような営業方針を表明しただけでは,客観的事実に反する虚偽の事実を告知したことにはならないから,これをもって詐欺に当たるということはできない。
ウ 以上のとおり,争点甲(1)についての原告らの主張には理由がない。
(2)  争点甲(2)(錯誤による無効の成否)について
原告らは,本件リース契約を締結した際,テレウェイヴリンクスが中西工務店の宣伝用ホームページを作成することが本件リース契約の内容に含まれているものと誤信したと主張する。
しかし,本件リース契約の目的物件が本件リース物件のみであることは,本件リース契約の契約書(乙1)の記載からも明らかであり,前記認定のとおり,テレウェイヴリンクスの担当者は,原告らに対して上記ホームページを無償で作成すると説明していたのであるから,原告らにおいて上ホームページの作成が本件リース契約の内容に含まれ,リース料支払の対象となると誤信したということは,容易に認め難いというべきである。
したがって,争点甲(2)についての原告らの主張には理由がない。
(3)  争点甲(3)(心裡留保による無効の成否)について
原告らは,本件リース契約を締結した際,本件リース物件についてリース契約を締結したりそのリース料の支払債務を負担したりする意思がなかったと主張する。
しかし,前記認定のとおり,原告らは,本件リース物件が中西工務店の業務に必要ではないと感じつつも,テレウェイヴリンクスの担当者から無償で宣伝用ホームページを作成すると説得されて,リース料の支払を覚悟しつつそれを上回る利益が得られるものと期待して,本件リース契約を締結するに至ったものであること,現に,原告らは,本件リース契約締結後,リース料の支払をしていたことなどの事実が認められるのであり,これらの事実に照らせば,原告らが真意に基づいて本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結したことは明らかである。
そうすると,争点甲(3)についての原告らの主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
(4)  争点甲(4)(暴利行為による無効の成否)について
原告らは,本件リース契約のリース料は本件リース物件の市場価格に照らして不当に高額であって,本件リース契約が暴利行為に該当すると主張する。
確かに,前記認定のとおり,本件リース物件に類似したソフトウェア(甲6,7)が高々十数万円程度の市場価格で販売されていることからすると,本件リース契約のリース料総額220万5000円が本件リース物件の価格に比較して相当高額である可能性があることは否定し難いというべきである。
しかしながら,ファイナンスリース契約は,リース会社が,物件の利用を希望するユーザーに代わって,リース物件を購入し,これをユーザーに使用させ,その購入代金に金利等の諸経費を加えたものをリース料として回収する制度であって,その実体はユーザーに対する金融上の便宜を付与するものであり,リース物件の購入価格は,実際上,サプライヤーとユーザーの交渉によって決定されるのであるから,一般市場におけるリース物件の価格と個別のリース契約において決定されるリース料の額とを単純に比較することによって,そのリース料の適切性を判断できるものではない。
本件においても,前記認定のとおり,被告クレディセゾンは,本件リース物件を187万1600円で取得しているのであるし,被告クレディセゾンが原告X1の無知無経験や経済的困窮に乗じて本件リース契約により不当に高額のリース料を設定したということもできない。
このことに加え,前記認定のとおり,原告X1は,本件リース契約を締結することにより,テレウェイヴリンクスに無償で中西工務店の宣伝用ホームページを作成させることができるのであるから,原告X1が本件リース契約によって得た利益は,単に本件リース物件の交換価値にとどまるものではない。
したがって,本件リース契約が暴利行為に当たり,公序良俗に反して無効であるとはいえず,争点甲(4)についての原告らの主張には理由がない。
(5)  争点甲(5)(特定商取引法9条1項による取消しの可否)について
特定商取引法26条1項1号は,売買契約又は役務提供契約で,その申込みをした者が「営業のために若しくは営業として」締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が「営業のために若しくは営業として」締結するものに係る販売又は役務の提供については,いわゆるクーリングオフ(同法9条1項)等に関する規定を適用しないと定めるところ,当該規定における「営業のため若しくは営業として」する取引であるか否かは,契約名義等の形式的な側面だけでなく,当該取引の実体から判断すべきである。
これを本件についてみると,前記認定のとおり,原告らは,本件リース契約締結当時,中西工務店の屋号で建築業を営んでおり,3人の従業員を雇用し,年間約4000万円の売上を上げていたこと,原告X1は中西工務店の名義で本件リース物件を締結し,これに基づくリース料を上記建築業の経費として計上しようとしていたこと,本件リース物件は,コンピュータに取り込んだデジタル画像を簡単に加工するソフトウェアとビジネス文書を電子データとして保管するソフトウェアであり,これを上記建築業を離れた原告ら個人の用途に使用することは予定されていなかったこと,本件リース契約の締結を条件として無償での作成が合意されたホームページは,中西工務店の宣伝を目的とするものであったことが認められ,これらの事実によれば,原告らは,中西工務店の屋号で営む建築業の「営業のために」本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結したと認めるのが相当である。
したがって,本件リース契約は,原告X1が「営業のために若しくは営業として」締結したものであるということができるから,原告X1が特定商取引法9条1項により本件リース契約の申込の撤回又は解除をすることはできないというべきである。
以上のとおり,争点甲(5)についての被告クレディセゾンの主張には理由がある。
(6)  争点甲(6)(消費者契約法4条1項による取消しの可否)について
前記(5)で説示したところに加え,原告X2が原告X1とともに中西工務店の屋号で工務店を営んでいたことに照らせば,原告らは,原告らが営む「事業のために」本件リース契約及び本件連帯保証契約の当事者になったというべきであるから,本件リース契約及び本件連帯保証契約は,消費者契約法2条3項にいう消費者契約には該当しないというべきである。
そうすると,争点甲(6)についての原告らの主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
(7)  争点甲(7)(テレウェイヴリンクスによるホームページ作成義務の不履行による本件リース契約解除の可否)について
原告らは,テレウェイヴリンクスによる中西工務店の宣伝用ホームページを作成する債務の不履行を理由として本件リース契約を解除することができると主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,本件リース契約の内容にはテレウェイヴリンクスが上記ホームページを作成することが含まれておらず,かつ,テレウェイヴリンクスは本件リース契約の当事者でなく,被告クレディセゾンの履行補助者でもないから,テレウェイヴリンクスが上記ホームページの作成を怠ったとしても,これによって原告らに本件リース契約の解除権が発生することにはならないというべきである。そうすると,原告らの主張はそれ自体失当というべきである。
また,前記認定のとおり,テレウェイヴリンクスは,平成17年2月8日頃までには,中西工務店の宣伝用ホームページ(丁1)を完成したのであるから,いずれにしても,原告らの主張には理由がないというべきである。
したがって,争点甲(7)についての原告らの主張には理由がないというべきである。
(8)  争点甲(8)(被告クレディセゾンによる残リース料の請求の権利濫用該当性)について
原告らは,被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスによる違法,不当な勧誘態様を知りながら,これをあえて利用又は黙認し,原告らに対して十分な情報提供や説明をする義務に違反し,その結果として原告らに不当に高額なリース料債務を負担させたとして,被告クレディセゾンが規定損害金の支払を求めることが権利の濫用に当たると主張する。
しかし,後記説示のとおり,被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスによる勧誘態様を知りながらこれを利用又は黙認したことなどの原告ら主張の事実を認めるに足りる証拠はないから,その余の点について判断するまでもなく,争点甲(8)についての原告らの主張には理由がない。
(9)  甲事件についてのまとめ
以上によれば,本件リース契約及び本件連帯保証契約は有効に成立し,かつ,存続しているものというべきであるから,原告らは,本件リース契約及び本件連帯保証契約に基づき,残リース料相当額の規定損害金の支払義務を負う。そして,前記争いのない事実等によれば,本件リース契約の残リース料は194万7750円であるから,原告らは,被告クレディセゾンに対し,連帯して,同額の規定損害金及びこれに対する訴状送達の日の翌日(原告X1については平成20年2月6日,原告X2については同月7日)から支払済みまで約定利率年14.6%の割合(年365日の日割計算)による遅延損害金の支払をする義務を負うというべきである。
3  乙事件関係の争点についての判断
(1)  争点乙(1)(本件勧誘行為の違法性)について
ア 前記認定によれば,テレウェイヴリンクスは,本件勧誘行為の際,原告らに対して,当初は,専らホームページの集客効果とそれによる売上増加の見通しを強調して,中西工務店の宣伝用ホームページの作成を強く勧めながら,原告らがこれに強い関心を示すようになると,本件リース契約及び本件サービス契約を締結すれば上記ホームページを無償で作成するとして,本件リース契約等の締結を強く勧誘するようになり,原告らが本件リース物件が中西工務店の事業に不要であるとの意向を示したのに対しても,ホームページ単体での販売はせず,むしろ,本件リース契約等を締結することが無償でホームページを作成するための条件であると申し向け,ついには,本件リース契約を締結させるに至っている。この間,原告らは,終始,本件リース物件が中西工務店の営業のためには不要であると考えていたために,テレウェイヴリンクスの担当者から本件リース物件の使用方法等の説明を受けることや稼働状況の実演を見せられることもなく,本件リース物件の価値がリース料に見合うかどうかや,本件リース物件が結局不要のものであった場合に同社が無償で作成するとしているホームページの価値がリース料を補填するに足りるものであるかなどについて検討した形跡もなく,同社の担当者から本件リース物件の使用方法等の説明を受けたのは,本件リース契約を締結した後のことであった。原告らが,購入の必要性を感じていなかった本件リース物件について,その内容や価値について十分な検討をすることもなく本件リース契約及び本件連帯保証契約を締結する意思決定をするに至ったのは,テレウェイヴリンクスの担当者が無償でホームページの作成をすると述べる以上,本件リース物件がリース料相当の価値を有することは当然の前提であると理解した上で,同社の担当者が説明するように集客に多大な効果を発揮するホームページを無償で作成してもらえるのであれば,本件リース契約を締結することにより,リース料に見合う以上の価値を有する物品と役務の提供を受けられることになって,契約内容が原告らにとって極めて有利なものであると信じたからこそであると考えられる。
イ しかし,そもそも,ソフトウェア等の物品やホームページの作成等の役務は,その価値や有用性を一義的,客観的に評価することが極めて困難であり,市場における定価や標準価格が存在しないことも多く,これらをリース契約の目的物件とする場合,一般のユーザーがそれらの物品や役務の価値や有用性を適切に評価することができずに,対価の相当性についての判断を誤り,リース料が不当に高額なリース契約を締結してしまう危険性があることは否定できないと考えられる。
特に本件においては,テレウェイヴリンクスの担当者が,本件勧誘行為の際,原告らに対して,本件リース契約の締結と中西工務店の宣伝用ホームページの作成が不可分一体であり,しかも,ホームページを無償で作成するかのように説明したために,原告らは,一方で,本件リース物件が不要であっても,無償で提供される中西工務店の宣伝用ホームページの集客効果によってリース料が補填できることになり,他方で,ホームページ作成の価値自体はさほどのものでなくても,もともとそれが無償で作成されたものである上に,リース料相当額の価値を有する本件リース物件を取得できると考えて,本件リース物件(本件リース物件自体の適正な価格がいくらであるかはともかくとして,その類似品が高々十数万円程度の市場価格で販売されていることは,前記認定のとおりである。)についても,ホームページ作成(仮に中西工務店の宣伝用ホームページの作成が形式的,法律的には対価の支払を伴わない無償の役務の提供であるとしても,テレウェイヴリンクスは,ソフトウェア等の物品とホームページ作成等の役務を一体のものとして提供していたのであるから,物品の価値とそのリース料の関係いかんによっては,テレウェイヴリンクスが実質的,経済的には有償で役務を提供したのと同様の利益を上げ得ることは,見易い道理であるのみならず,テレウェイヴリンクスは,ホームページの作成が無償での役務の提供であるとの形式を整えることによって,それが有償での役務の提供であるとした場合に生じ得る法律上の責任を免れることも可能になる。)についても,その有用性や必要性,価格の相当性について,十分な検討をすることなく,本件リース契約の締結に至った蓋然性が極めて高いというべきである。
ウ このように,本件勧誘行為には,その価値や有用性を一義的,客観的に評価することが極めて困難な物品又は役務を本来的又は付随的な給付の内容とする本件リース契約の締結を勧誘するものであったこと,本件リース契約がそれらの物品及び役務を一体のものとして給付することを内容とするものであったこと,ユーザーである原告らに対してはそれらの物品又は役務の一方だけでリース料に見合う価値や有用性があり,他方は無償で提供されると説明することによって,それらを合わせた価値がリース料を確実に超えるとの誤信を生じさせるものであったことという事情があるのであり,これらの事情は,原告らにおいて給付の内容である物品又は役務のそれぞれの価値や有用性について十分検討することを著しく困難にするものであるということができる。
そうすると,サプライヤーとしての立場でこのような本件勧誘行為を行うテレウェイヴリンクスとしては,原告らが本件リース契約による給付の内容を成す物品や役務の価値や有用性について十分検討することが可能となるように,リース契約の締結に先立ち,原告らに対し,原告らの負担するリース料と給付の内容を成す物品又は役務との対応関係のほか,それぞれの物品又は役務の内容,有用性,価値等を説明し,原告らがこれらを十分に検討した上で,契約締結の意思決定ができるように配慮すべき義務があったというべきであり,本件勧誘行為がそのような配慮を欠いたものであった場合には,本件勧誘行為は,社会的相当性を著しく欠き,原告らの意思決定の自由を侵害したものとして,不法行為法上違法の評価を免れないというべきである。
エ ところが,前記認定によれば,テレウェイヴリンクスの担当者は,本件勧誘行為において,本件リース契約の締結前には,原告らに対して本件リース物件の使用方法等の説明やその稼働状況の実演をして見せたことがなく,作成予定の宣伝用ホームページの内容や品質についても具体的な取決めをしていなかったのであり,むしろ,無償で宣伝用ホームページを作成してもらえることに強い関心を持っていた原告らの心理状態に乗じて本件勧誘行為を行ったものというべきであるから,本件勧誘行為が上記のような配慮を欠くものであったことは明らかというべきである。
そうすると,本件勧誘行為は,不法行為としての違法性を有するというべきであり,テレウェイヴリンクスは,原告らが本件勧誘行為に応じて本件リース契約と本件連帯保証契約を締結したことによって被った損害を賠償する責任があるというべきである。
オ 以上のとおり,争点乙(1)についての原告らの主張には理由がある。
(2)  争点乙(2)(本件勧誘行為についての被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンの責任)について
原告らは,テレウェイヴリンクスが被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンと一体となって本件勧誘行為を行ったなどとして,同被告らが本件勧誘行為について不法行為責任を負うと主張する。
しかしながら,テレウェイヴリンクスと被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンとがそれぞれ別の法人格を有することは明らかであり,本件全証拠によっても,テレウェイヴリンクスが同被告らから代理権等を授与されたことを認めることはできず,テレウェイヴリンクスと同被告らとの間に使用関係があったということもできないから,テレウェイヴリンクスの本件勧誘行為に違法性があったとしても,被告アントレプレナー及び被告クレディセゾンが原告らに対して不法行為責任を負うことはないというべきである。
したがって,争点乙(2)についての原告らの主張には理由がない。
(3)  争点乙(3)(被告クレディセゾンによるその他の違法行為)について
ア 原告らは,被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスの不法行為を認識しながらあえて積極的にこれを容認し,同社の不法行為を利用して原告らからリース料を得ていたと主張するが,被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスによる勧誘態様を知りながらこれを利用したという事実を認めるに足りる証拠はない。
イ(ア) 提携販売事業者管理責任等について
原告らは,被告クレディセゾンが提携販売事業者であるテレウェイヴリンクスを管理することができたことなどを理由として,被告クレディセゾンが提携販売事業者管理責任等を負うと主張する。
しかしながら,本件全証拠によっても被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスとの間で同社の勧誘行為を管理することができる旨の契約を締結していたことを認めることはできず,事実上も被告クレディセゾンがテレウェイヴリンクスを管理監督する関係にあったと認めることはできない。また,原告らは,経済産業省の指導(甲12)等を根拠としてリース会社が提携販売事業者を管理する立場にあるとも主張するが,上記指導等は,リース会社に対して,顧客との関係において提携販売事業者を管理する私法上の義務を課すものであると解することはできない。
したがって,被告クレディセゾンが原告らの主張するような提携販売事業者管理義務等を負うということはできない。
(イ) 情報提供義務違反について
取引を開始し契約準備段階に入った者は,相互に相手方の財産を害しない信義則上の注意義務を負うものというべきであり,これに違反して相手方に損害を及ぼしたときは,信義則上の責任として,相手方に対する損害賠償義務を負うものというべきであり,このことは,リース契約におけるリース会社とユーザーとの間にも当てはまるというべきである。
本件において原告らは,被告クレディセゾンの情報提供義務の具体的内容として,同被告において,①原告らに対し,テレウェイヴリンクスが不適切な勧誘等により無理矢理契約を締結させようとしていないかなどを確認し,②原告らに対し,ホームページの作成という役務の内容を納得しているかなどを確認し,③本件リース物件の適正な価格を調査し,暴利性を理由として本件リース契約の締結を拒否すべきであったと主張する。
しかし,前記説示のとおり,被告クレディセゾンはテレウェイヴリンクスによる勧誘行為を監督すべき立場にあったわけではなく,本件リース契約の具体的内容はテレウェイヴリンクスと原告らによって決定され,中西工務店の宣伝用ホームページの作成は本件リース契約に含まれていなかったのであるから,同被告が原告らの指摘する事項について,注意を払い,原告らに対して説明すべきであったということはできない。
なお,原告らは,被告クレディセゾンが情報提供義務を負うことの根拠として,社団法人リース事業協会が平成20年11月26日に作成した「小口リース取引に係る問題事例の解消を目指して」と題する書面(甲9)を援用するが,そもそも,本件リース契約は,上記書面作成前に締結されたものである上,同書面の存在が直ちに原告らの主張するような私法上の情報提供義務の発生根拠となるものとは解し難い。
ウ 以上のとおり,争点乙(3)についての原告らの主張には理由がない。
(4)  争点乙(4)(損害額)について
ア 原告X1について
(ア) リース料相当額の損害について
前記(1)のとおり,原告X1は,違法な本件勧誘行為によって本件リース契約を締結させられたということができ,争いのない事実等によれば,原告X1は,平成17年2月4日までに,被告クレディセゾンに対し,本件リース契約に基づき,25万7250円を支払ったことが認められるから,原告X1は,テレウェイヴリンクスの上記違法行為によって,同額の損害を被ったということができる。
(イ) 慰謝料について
原告X1は,本件勧誘行為によって精神的苦痛を被ったとして慰謝料の請求をするが,本件勧誘行為によって原告X1に生じた損害は,財産上のものであり,その損害が賠償されてもなお慰謝され得ないような精神的苦痛が原告X1に生じたと認めるに足りる証拠はない。
(ウ) 過失相殺について
ところで,テレウェイヴリンクスの担当者による違法な本件勧誘行為があったとはいえ,前記認定のとおり,原告X1は,本件リース物件が中西工務店の事業にとって不要なものであると感じていたのに,それ以上慎重にリース料の妥当性や本件リース物件購入の当否を十分検討することなく本件リース契約を締結するに至っているのであり,そのことについては,原告X1にも相当程度の過失があったというべきであり,被告SBRの賠償すべき額を定めるに当たっては,5割の過失相殺をするのが相当である。
(エ) 弁護士費用について
弁論の全趣旨によれば,原告X1は,テレウェイヴリンクスの前記不法行為によって被った損害の賠償を求めるために,原告ら代理人に委任して本件訴訟を提起せざるを得ず,弁護士費用を支払うことを約したことが認められるところ,本件訴訟の事案,難易,請求額,認容額等諸般の事情を考慮すると,上記不法行為と因果関係のある弁護士費用相当額の損害は,2万円と認めるのが相当である。
イ 原告X2について
前記説示のとおり,原告X2は,テレウェイヴリンクスの違法な本件勧誘行為によって本件連帯保証契約を締結させられたということができるが,本件全証拠によっても,そのことによって原告X2に損害が生じたものとは認められない。
ウ 以上のとおり,争点乙(5)についての原告らの主張は,被告SBRにおいて原告X1に賠償すべき損害額が14万8625円であることをいう限度で理由がある。
(5)  乙事件についてのまとめ
以上によれば,原告X1は,主位的請求として,被告SBRに対し,不法行為に基づき,損害賠償金14万8625円及びこれに対する不法行為の日である平成17年2月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができるものというべきであるが,原告X1のその余の主位的請求及び予備的請求並びに原告X2の請求は,いずれも理由がない。
第4  結論
以上の次第で,被告クレディセゾンの原告らに対する請求はいずれも理由があるからこれを認容し,原告X1の請求は,主位的請求として,被告SBRに対し,不法行為に基づき,損害賠償金14万8625円及びこれに対する不法行為の日である平成17年2月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の主位的請求及び予備的請求はいずれも理由がないから棄却し,原告X2の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 矢尾渉 裁判官 中川博文 裁判官 松波卓也)

 

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