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「営業支援」に関する裁判例(36)平成27年10月26日 東京地裁 平24(ワ)15860号 損害賠償等本訴請求事件(第1事件)、履行請求事件(第2事件)、損害賠償等反訴請求事件(第3事件)

「営業支援」に関する裁判例(36)平成27年10月26日 東京地裁 平24(ワ)15860号 損害賠償等本訴請求事件(第1事件)、履行請求事件(第2事件)、損害賠償等反訴請求事件(第3事件)

裁判年月日  平成27年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)15860号・平25(ワ)2807号・平25(ワ)8254号
事件名  損害賠償等本訴請求事件(第1事件)、履行請求事件(第2事件)、損害賠償等反訴請求事件(第3事件)
裁判結果  第1事件認容、第2事件請求棄却、第3事件請求棄却  文献番号  2015WLJPCA10268007

要旨
◆Xが、Y社の使者Y2を通じてX保有のY社株式をY社が買い取ることなどを内容とする本件覚書をY社と合意した、Y2がY社の使者でないとしてもY社は代理権をY2に授与した、Y2がY社の使者又は代理人でないとしてもY社はY2の行為を黙示に追認したか表見代理に当たるとして、Y社に対し本件合意による金員支払を求めたほか、Y社と本件消費貸借契約を締結しY社代表取締役Y1は連帯保証したとして、Y社及びY1に対し貸金の支払を求めた事案において、Y1は、Y2を通じてXと本件覚書を締結することを認識し、かつ、承諾していたから、Y社はY2を使者又は代理人として本件覚書を締結したと認められる上、本件消費貸借契約及び連帯保証契約の成立も認められるとして、各請求を全部認容した事例(第1事件)
◆Xが、Y社代理人としてXと本件合意を締結したY2は代理権を有していなかったから無権代理人として本件合意の履行義務を負うとして、一部金の支払を求めた事案において、本件合意に関しY2はY社の使者又は代理人であると認められるから、Y2がY社の無権代理人であることを前提とするXのY2に対する請求は前提を欠くとして、請求を棄却した事例(第2事件)
◆Y社が、Xと出資契約を締結したとして出資金の支払を求め、また、Xは本件出資ができないのに言葉巧みにY社を信用させ、Y社の実印等を管理していたことを利用してY社と訴外I社との間で本件システム開発契約を締結させY社に対価の支払債務を負わせたなどとして、不法行為による損害賠償を求めた事案において、XはY社事業に関し出資することについての基本合意を締結したものの、これはあくまで目標あるいは基本方針であってこれにより本件出資契約が締結されたとはいえず、また、Y1はY社代表取締役として本件システム開発契約の締結について了承していたと認められるから、Xに不法行為は成立しないとして、請求を棄却した事例(第3事件)

参照条文
民法99条1項
民法110条
民法117条1項
民法414条1項
民法446条1項
民法454条
民法587条
民法709条

裁判年月日  平成27年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)15860号・平25(ワ)2807号・平25(ワ)8254号
事件名  損害賠償等本訴請求事件(第1事件)、履行請求事件(第2事件)、損害賠償等反訴請求事件(第3事件)
裁判結果  第1事件認容、第2事件請求棄却、第3事件請求棄却  文献番号  2015WLJPCA10268007

平成24年(ワ)第15860号 損害賠償等本訴請求事件(第1事件)
平成25年(ワ)第2807号 履行請求事件(第2事件)
平成25年(ワ)第8254号 損害賠償等反訴請求事件(第3事件)

東京都中央区〈以下省略〉
第1事件原告兼第2事件原告兼第3事件被告 アイピーアールベンチャーキャピタル株式会社(以下「原告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 杉山央
宇都宮市〈以下省略〉
第1事件被告兼第3事件原告 株式会社フェアカード(以下「被告フェアカード」という。)
同代表者代表取締役 Y1
宇都宮市〈以下省略〉
第1事件被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 中尾宙史
東京都足立区〈以下省略〉
第2事件被告 Y2(以下「被告Y2」という。)

 

 

主文

1  被告フェアカードは,原告に対し,1億円及びこれに対する平成24年10月17日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2  被告フェアカード及び被告Y1は,原告に対し,連帯して400万円及びこれに対する平成23年7月1日から支払済みまで年14.6%の割合による金員を支払え。
3  原告の被告Y2に対する請求及び被告フェアカードの反訴請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,本訴反訴を通じ,原告に生じた費用の50分の47と被告フェアカードに生じた費用を被告フェアカードの負担とし,原告に生じた費用の50分の2と被告Y1に生じた費用を被告Y1の負担とし,原告に生じたその余の費用と被告Y2に生じた費用を原告の負担とする。
5  この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴
(1)  被告フェアカードに対する請求
主文1項と同旨
(2)  被告フェアカード及び被告Y1に対する請求
主文2項と同旨
(3)  被告Y2は,原告に対し,150万円及びこれに対する平成25年2月19日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2  反訴
原告は,被告フェアカードに対し,300万円及びこれに対する平成25年4月20日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2  当事者の主張
1  本訴
(原告の主張)
(1) 被告フェアカードに対する請求
ア 原告と被告フェアカードは,平成23年2月7日,次の内容を含む覚書(以下「本件覚書」という。)を締結し,その旨合意した(以下,この合意を「本件合意」という。)。
(ア) 原告が保有する被告フェアカードの株式2500株を代金5000万円(1株2万円)で被告フェアカードが買い取ること
(イ) 原告の被告フェアカードに対する営業支援に関する顧問報酬として,被告フェアカードが原告に対して5000万円を支払うこと
イ 本件合意は,被告Y2が被告フェアカードの使者として締結したものである。
ウ 仮に,被告Y2が被告フェアカードの使者でないとしても,被告フェアカードは,本件合意に先立って被告Y2に対して,本件合意についての代理権を授与していたものであり,被告Y2は,被告フェアカードの代理人として本件覚書を締結し,本件合意をした。
エ 仮に,被告Y2が被告フェアカードの使者又は代理人でなかったとしても,被告フェアカードは,被告Y2の行為を黙示に追認したか,民法110条の表見代理が成立する。
オ よって,原告は,被告フェアカードに対し,本件合意に基づき,1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年10月17日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。
(2) 被告フェアカード及び被告Y1に対する請求
ア(ア) 原告は,被告フェアカードに対し,平成23年4月22日,次の約定で400万円を貸し付けた(以下「本件消費貸借契約」という。)。
利息 年5%
返済期限 平成23年6月30日
遅延損害金 年14.6%
(イ) なお,本件消費貸借契約に基づく貸付金は,株式会社インターネットイニシアチブ(以下「IIJ」という。)に直接支払っているが,これは,被告フェアカードが,同貸付金の使途を被告のIIJに対する債務の返済のみに限定すること及び貸付けと同日にIIJに対し送金することに同意したことによるものである。
イ 被告Y1は,同日,原告との間で,書面により,本件消費貸借契約に基づく貸金債務を連帯保証するとの合意をした。
ウ よって,原告は,被告フェアカードに対しては本件消費貸借契約に基づき,被告Y1に対しては本件連帯保証契約に基づき,連帯して400万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成23年7月1日から支払済みまで約定の年14.6%の割合による遅延損害金の支払を求める。
(3) 被告Y2に対する請求
ア 被告Y2は,被告フェアカードの代理人として本件合意を締結したが,代理権を有していなかった。
イ したがって,被告Y2は,無権代理人として,民法117条1項に基づき,本件合意の履行義務を負う。
ウ よって,原告は,被告Y2に対し,本件合意の履行として,1億円のうち150万円(本件合意のうち前記(1)ア(ア)の履行義務5000万円のうち75万円及び本件合意のうち前記(1)ア(イ)の履行義務5000万円のうち75万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年2月19日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告らの主張)
(1) 被告フェアカードに対する請求について
原告の主張はいずれも否認する。
被告フェアカードは,被告フェアカードに出資していた原告との関係を清算することについて,被告Y2に一任していたが,被告Y2は被告フェアカードの使者ではないし,被告Y2に対して本件合意に関して代理権を授与したこともない。また,被告フェアカードが本件合意を追認したこともない。本件合意に係る覚書(甲5)は,被告フェアカードの実印等を管理していた原告の取締役かつ被告フェアカードの取締役であるB(以下「B」という。)らによって,勝手に作成されたものである。
(2) 被告フェアカード及び被告Y1に対する請求について
原告の主張のうち,被告Y1が本件消費貸借契約の契約書(甲7)に署名押印したこと,本件消費貸借契約に基づき原告が交付すべき400万円について,被告フェアカードのIIJに対する債務の返済にのみ使用する旨合意したことは認め,その余は否認する。
被告フェアカードは本件消費貸借契約に基づく400万円を受領していないから,本件消費貸借契約は成立していない。したがって,原告と被告Y1との間の連帯保証契約も成立していない。
(3) 被告Y2に対する請求について
原告の主張は否認する。
2  反訴
(被告フェアカードの主張)
(1) 出資金請求
ア 次の(ア)ないし(エ)の事実によれば,原告は,遅くとも平成23年1月6日までに,被告フェアカードとの間で,同年3月末日までに4億5000万円を出資する旨の契約が締結されたことが明らかである(以下,この契約を「本件出資契約」という。)。
(ア) 原告と被告フェアカードは,平成22年7月2日,原告が被告フェアカードに対して,5億円を目標として出資する旨の記載がある基本合意書(乙1)を締結した。
(イ) 原告が作成した資料(乙4)には,原告が被告フェアカードに対して,5億円を出資する旨が計画されている旨の記載がある。
(ウ) Bらは,被告フェアカードに対し,打合せの際に,原告の投資家・加盟店候補リストを提示して入金予定があること,そのため,必ず前記(ア)の基本合意書に基づき,合計5億円を出資する旨を度々発言していた。
(エ) Bらは,平成23年1月6日に行われた打合せの際に,被告フェアカードが「残りの4億5000万円は出資してもらえるのか。」と質問したのに対し,「今年の2月,3月には必ず払う。」と述べた。
イ よって,本件出資契約に基づき,出資金4億5000万円のうち150万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成25年4月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。
(2) 不法行為に基づく損害賠償請求
ア 原告は,被告フェアカードに対して,本件出資契約に基づく5億円の出資ができないにもかかわらず,言葉巧みに上記出資ができるなどと繰り返し述べて被告フェアカードを信用させた上,被告フェアカードの実印等を管理していたことを利用し,平成22年10月以降,被告フェアカードとIIJとの間で,被告フェアカードのシステム開発を依頼する内容の各契約(以下「本件システム開発契約」という。)を締結した。
イ そのため,被告フェアカードは,IIJに対して,本件システム開発契約に基づき支払うべき対価(合計8049万3735円)の支払債務を負うこととなり,同額相当の損害を被った。
ウ 原告は,被告フェアカードの資金面を掌握していたので,原告が被告フェアカードに対して本件出資合意に基づく出資をしなければ,被告フェアカードのIIJに対する前記イの支払ができなくなることについては十分認識していた。
エ よって,被告フェアカードは,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,8049万3735円のうち150万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である平成25年4月20日から支払済みまで年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。
(原告の主張)
(1) 出資金請求について
被告フェアカードの主張アのうち,基本合意書を締結したことは認め,その余は否認ないし争う。
なお,基本合意書の5条において,「本合意書の当事者に対し何らの法的拘束力も有しないものとする。」とされ,法律上の拘束力のあるものではないことが明記されている。
(2) 不法行為に基づく損害賠償請求について
被告フェアカードの主張アのうち,原告が本件出資契約に基づく出資をしなかったこと,Bが被告フェアカードの実印等を管理していたこと,被告フェアカードとIIJが本件システム開発契約を締結したことは認め,その余は否認する。
被告フェアカードの主張イ及びウはいずれも否認する
本件システム開発契約の締結については,被告Y1も対応していたのであって,勝手にしたものではない。
第3  当裁判所の判断
1  本訴
(1)  被告フェアカードに対する請求について
ア 被告Y1のほか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨等によれば,次の事実が認められる。
(ア) 被告フェアカードの代表取締役である被告Y1は,平成23年1月11日頃までには,被告フェアカードに出資していた原告との関係を清算しようと考えるようになった。(甲17)
(イ) 被告Y1は,その頃,いずれ被告フェアカードの取締役に就任してもらおうと考えていた被告Y2に対し,原告との関係清算について(少なくとも,関係清算の可否,関係清算に関しての条件面等の調整を含む。)一任した。
(ウ) 被告Y2は,平成23年2月1日,被告Y1に対して,本件覚書の草案を電子メールで送信した。(争いがない)
なお,上記草案は,被告Y2が,原告とのやり取りを踏まえて作成したものである。(証人B,被告Y2)
(エ) 被告Y1は,遅くとも同月3日までには,前記電子メールに添付された本件覚書の草案を確認した。
(オ) 原告とY2との間で,同月7日,本件覚書が作成され,その後,被告Y2は被告Y1に対して本件覚書を交付した。(争いがない)
(カ) 原告は,本件訴訟(本訴)が提起されるまで,原告に対し,本件覚書を否定するような言動をとっていない。
イ 前記認定事実によれば,被告Y1は,被告Y2を通じて,原告との間で本件覚書を締結することを認識し,かつ,承諾していたものと認められる。
これに対し,被告Y1は,原告との間で本件覚書のうち,特に2条については承諾していなかったので,その旨被告Y2に伝えた旨供述するが,これを裏付ける証拠はない。また,仮に,被告Y1が被告Y2に対してそのように伝えていたとすれば,被告Y2が被告Y1の意向に反してまで,本件覚書を交わさなければならないような事情は見当たらない。したがって,被告Y1の上記供述は採用できない。(なお,被告フェアカードは,本件覚書の草案については,電子メールに添付されたもので確認したにすぎず,賛成も反対もしていない旨主張している(準備書面5)。)
ウ 以上によれば,被告Y1は本件覚書を原告との間で締結することについて承諾していたものと認められるところ,前記アの認定事実によれば,被告フェアカードは,被告Y2を使者又は代理人として本件覚書を締結したものと認められる。
エ よって,原告の主張ア及びイ又はウが認められる。
(2)  被告フェアカード及び被告Y1に対する請求について
甲7,証人B,被告Y1によれば,原告の主張ア及びイが認められる。
これに対して,被告フェアカード及び被告Y1は,本件消費貸借契約に基づく400万円の交付を受けていないから契約が成立していない旨主張する。
しかし,本件消費貸借契約は,被告フェアカードのIIJに対する債務の返済に充てるために締結されたものであり(争いがない),それ故に,本件消費貸借契約に基づき被告フェアカードに貸し付けた400万円については,原告からIIJに直接送金することが合意されたことが認められる(前掲証拠)のであるから,原告の上記主張は採用できない。
したがって,原告の被告フェアカード及び被告Y1に対する請求は理由がある。
(3)  被告Y2に対する請求について
前記(1)で認定,判断したところによれば,本件合意に関して,被告Y2は被告フェアカードの使者又は代理人であると認められる。
したがって,被告Y2が被告フェアカードの無権代理人であることを前提とする原告の被告Y2に対する請求は前提を欠くこととなり,理由がない。
2  反訴
(1)  出資金請求について
ア 後掲の証拠及び弁論の全趣旨等によれば,次の事実が認められる。
(ア) 原告と被告Y1が代表取締役を務めていた株式会社カードバンク(以下「カードバンク」という。)は,平成22年1月26日,原告がカードバンクの株式を取得するに当たって,5億円を目標として出資することなどについての基本合意書を締結した。なお,上記基本合意書の5条には,同合意書が,原告及びカードバンクの基本的な了解事項を記載したものであり,両者に対し何らの法的拘束力も有しないものとする旨規定されている。(乙3)
(イ) その後,カードバンクの財務状況がよくなく,原告がカードバンクに出資することができないことから,カードバンクに代えて原告が出資する会社として,平成22年6月8日,被告フェアカードが設立された。被告Y1は,被告フェアカードの代表取締役に就任するとともに,原告のA,B及びCが被告フェアカードの取締役又は監査役に就任した。(争いがない)
(ウ) 原告と被告フェアカードは,平成22年7月2日,原告が被告フェアカードの株式を取得するに当たって,5億円を目標として出資することなどについての基本合意書を締結した。(争いがない)
なお,上記基本合意書の5条には,同合意書が,原告及び被告フェアカードの基本的な了解事項を記載したものであり,両者に対し何らの法的拘束力も有しないものとする旨規定されている。(乙1)
(エ) 原告と被告フェアカード及び被告Y1は,平成22年7月2日,投資契約書(甲10)を作成した上,原告は,被告フェアカードに対し,同日から同年10月29日までの間に,合計5000万円を出資した。(争いがない)
(オ) その後,Bと被告フェアカードは,週1回程度の打合せを行ったが,原告が前記(エ)のほかに出資することはなかった。(争いがない)
イ 被告フェアカードの主張について
被告フェアカードの主張(1)ア(ア)は当事者間に争いがない。同(イ)について,乙4及び弁論の全趣旨によれば原告が被告フェアカードに5億円を出資することを前提とした資金計画が記載されていることが認められる。同(ウ)及び(エ)はこれを認めるに足りる証拠がない。
前記アの事実によれば,原告は被告フェアカードの事業に関して5億円を目標として出資することについての基本合意を締結したものの,これはあくまで目標あるいは基本方針であって,原告が被告フェアカードに対して5億円を出資する法的義務を負う趣旨のものとは認められない。乙4も原告が被告フェアカードに対して5億円を出資することを前提とした損益の予想を記載したものと認められ,これをもって本件出資契約が締結されたと認めることはできない。他に,本件出資契約が締結されたと認めるに足りる証拠はない。
したがって,被告フェアカードの請求は理由がない。
(2)  不法行為に基づく損害賠償請求について
被告フェアカードの主張(2)アのうち,原告が本件出資契約に基づく出資をしなかったこと,Bが被告フェアカードの実印等を管理していたこと,被告フェアカードとIIJが本件システム開発契約を締結したことは当事者間に争いがない。
しかし,前記(1)のとおり,原告と被告フェアカードとの間で本件出資契約が締結されたとは認められず,原告において,被告フェアカードに対して出資すべき義務があったとは認められない。また,被告フェアカードは,原告が管理していた実印等を利用して本件システム開発契約を締結した旨主張するが,被告フェアカードないしその代表者である被告Y1の意向に反して,本件システム開発契約が締結されたと認めるに足りる証拠はない。むしろ,本件システム開発契約は被告フェアカードの事業であるクレジットカードの決済システムに関するものであり,被告フェアカードの代表取締役である被告Y1の意向を無視して締結できるものではないし,原告において,被告Y1の意向を無視して勝手に締結するメリットがあるとは認められないこと,被告Y1ないし被告フェアカードにおいて,本件システム開発契約について異議を述べた形跡が見当たらないこと,被告Y1は,IIJとの間で本件システム開発契約に関して被告フェアカードが負った債務について,個人として連帯保証したこと(甲11)などからすれば,被告Y1は被告フェアカードの代表取締役として,本件システム開発契約の締結について了承していたものと認められる。
したがって,被告フェアカードの請求は理由がない。
第4  結論
以上によれば,原告の被告フェアカード及び被告Y1に対する各請求は理由があるが,原告の被告Y2に対する請求及び被告フェアカードの反訴請求はいずれも理由がない。
(裁判官 多田尚史)

 

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