【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業支援」に関する裁判例(143)平成18年 6月 8日 東京地裁 平17(ワ)15865号 損害賠償請求事件

「営業支援」に関する裁判例(143)平成18年 6月 8日 東京地裁 平17(ワ)15865号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成18年 6月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)15865号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2006WLJPCA06080002

要旨
◆被告が展開するコーヒーショップのフランチャイズに加盟店となって参入した原告が、営業不振のため閉店に追い込まれたとして、フランチャイザーである被告に損害賠償の支払を求めた事案につき、被告に情報提供義務違反、指導援助義務違反の債務不履行はないとされた事例

出典
新日本法規提供

参照条文
民法415条

裁判年月日  平成18年 6月 8日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)15865号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2006WLJPCA06080002

原告 x興業株式会社
同代表者代表取締役 X
同訴訟代理人弁護士 中村有作
被告 タリーズコーヒージャパン株式会社
同代表者代表取締役 Y
同訴訟代理人弁護士 森田耕司
同 神田遵
同 井本吉俊

主  文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は、原告に対し、金4055万4190円及びこれに対する平成17年8月11日(訴状送達翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は、被告が展開するコーヒーショップのフランチャイズに加盟店となって参入した原告が、営業不振のため閉店に追い込まれた損害を被ったのは、フランチャイザーである被告に情報提供義務違反、指導援助義務違反があったからであるとして、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償を請求する事案である。
2  前提事実(当事者間に争いがないか、括弧内の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。)
(1)  当事者等
ア 原告は、岡山市内において、映画、演劇興業及び遊技場の経営を主たる業務とする会社であり、a観光株式会社(以下「a観光」という。)及びb商事株式会社(以下「b商事」という。)とともに、cグループとして、映画館、イベントホール、駐車場、飲食店の経営、マンション賃貸等を行っている(乙6の2・3、18の1ないし6、19)。
原告代表取締役X(以下「X」という。)及び原告常務取締役E(以下「E」という。)ら原告取締役は、a観光及びb商事の取締役を兼任していた。
Eは、昭和61年に原告に入社し、それ以降、原告(cグループ)の飲食関係の業務を担当し、被告とのフランチャイズ契約についての原告側担当者として被告との交渉等に当たった。
イ 被告は、「タリーズコーヒー」の名称でコーヒーショップのフランチャイズ事業を展開しているフランチャイズチェーンの事業本部(以下「フランチャイザー」という。)であり、同フランチャイズチェーン店の加盟店(以下「フランチャイジー」という。)の募集、加盟店の指導業務等を主たる目的とする会社である。
F(以下「F」という。)は、平成14年当時、被告の事業開発部シニアマネージャーであり、被告側担当者として原告に対する研修、指導、助言等を行った。
ウ 株式会社ベンチャー・リンク(以下「ベンチャー・リンク」という。)は、新規事業に関する研修会及びセミナーの企画運営、フランチャイズチェーン本部及びフランチャイジーの指導等を業務内容とする会社である。
ベンチャー・リンクと被告は、平成13年9月6日から同14年10月22日までの間、被告のフランチャイズビジネス事業の拡大につき業務提携関係にあった。その間、ベンチャー・リンクは、フランチャイジーとなることを希望してベンチャー・リンクの会員となった者に対する各種の情報提供業務及び被告に対するこれらの者の紹介業務により、被告とフランチャイジーの双方から報酬を得ていた。
(2)  フランチャイズ契約締結に至る経緯
Eは、平成13年9、10月ころ、ベンチャー・リンクがフランチャイズ事業を展開しようとしている企業から委託を受けてフランチャイジーを募集していることを知り(甲8)、ベンチャー・リンクに対して連絡をとり、フランチャイジーを募集している企業としてタリーズコーヒーと宅配寿司「銀のさら」を紹介され、タリーズコーヒーの出店を決意した。
Eは、同年11月ころベンチャー・リンク主催の研修を受講した(甲8)。
被告は、ベンチャー・リンクから、同月ころ、原告がタリーズコーヒーの出店を希望している旨の連絡を受け、X及びEの紹介を受けた。被告は、その紹介に際し、X及びEがそれぞれ作成したプロフィール(乙6の1)、原告作成の原告事業内容等(乙6の2)、原告のグループ会社の概要(乙6の3)及び原告の過去3年間の決算報告書(乙6の4の1ないし3)の開示を受け、被告代表取締役社長Yがフランチャイジー希望者数名に対する「オーナー面談」と称する集団面接でEと面談を行い、これらの結果を総合判断して、原告との加盟契約の締結を決定した。
そして、原告と被告は、平成14年2月17日、神戸市中央区を開店場所とする2店舗分について、1店舗ごとに全く同内容の2個のタリーズコーヒーフランチャイズチェーン加盟契約(以下、2店舗分の契約を併せて「本件加盟契約」という。甲1、乙1の1・2。以下同じ)を締結した。
(3)  本件加盟契約後の経緯
ア 原告は、平成14年2月28日、本件加盟契約第4条に基づき、2店舗分の加盟金として1680万円(消費税込)を被告に支払った(甲3の1)。
Eは、同年3月23日、被告が実施した「タリーズコーヒー オーナー研修」に参加し(乙7)、同年5月11日、同じく被告が実施した「FC加盟企業様の立地開発に関する、フォローアップ・セミナー」を受講し、原告は開店場所を探索した。
イ 原告は、同年7月ころ、神戸中華街内の神戸市中央区d1丁目3-7所在の4階建eビル1階及び3階(以下「本件物件」という。)を候補地として見つけ(甲5)、同年8月ころ、ベンチャー・リンクに対し、本件物件について本件物件が属する商圏、視認性、店舗前の通行量、物件特性、周辺状況等の提供及び解析を内容とする立地診断を依頼し、ベンチャー・リンクは、同依頼に基づき原告あてのタリーズコーヒー立地診断報告書(以下「本件報告書」という。甲4)を作成し、原告及び被告に交付した。
本件報告書によれば、本件物件の立地診断の結果は、物件特性Bランク、視認性Cランク、店前通行量Cランク、周辺状況Cランク、商圏Bランクで立地診断結果Cランク(出店検討可能、諸条件によっては検討可能なクラス)であった。その項目別評価は、既存店標準クラスをBとし、S、A、B、C、Dの5段階で評価するもので、立地診断結果は、S及びAが出店推奨(出店をお奨めするクラス)、Bが出店可能(賃料等条件があえば出店可能クラス)、Cが上記、Dが出店不可(出店をお奨めできないクラス)であり、その合否結果は、あくまでもベンチャー・リンクの診断結果であり、被告が下す最終立地診断結果においての合否を保障するものではないと明記されている。
Eは、これと並行して、同年8月6日、被告本社において、Fと本件物件について面談を行い。同月8日、Fとともに、本件物件の貸主となる株式会社イクシマヤ(以下「イクシマヤ」という。)を訪問した。被告は、本件加盟契約第12条5項2号に基づき、本件物件について出店場所としての承認を行い、原告は、出店を決断した。
ウ イクシマヤと被告は、同年8月26日、本件物件について、契約期間同年9月10日から2年間、賃料月額70万円、保証金(敷金)1000万円とする賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。甲5)を締結し、原告が連帯保証人となり、原告と被告は、同年8月26日、同物件について、イクシマヤの承諾のもと、転貸人を被告、転借人を原告とし、上記と同内容の転貸借契約(以下「本件転貸借契約」という。乙2)を締結した。
エ 原告は、被告に対して、同年10月4日、加盟保証金100万円を、同月18日、保証金(敷金)1000万円、2か月分の家賃140万円及び仲介手数料70万円の合計1210万円を、それぞれ送金して支払った(甲2の2ないし5、甲3の2・3)。
オ その後、被告は、同日から、原告従業員のGに対するマネージャー研修を開始し、同年9月19日には、スーパーバイザー(フランチャイズ店舗の直接の担当者として店舗の管理を行う担当者)である被告従業員のH(以下「H」という。)が、同年10月19日の開店前日には、Hに加え、被告従業員のI、J及びKが店舗運営やサービスに関する指導を行った(乙8の1・2)。
(4)  店舗開店後の経緯
原告は、平成14年10月20日、本件物件において、「タリーズコーヒー神戸南京町店」(以下「本件店舗」という。)を開店した(乙4)。しかし、本件店舗の平成16年4月までの月額売上は、最低で約154万円(平成16年4月)から最高でも約325万円(平成14年12月)にとどまり(乙5)、原告と被告は、平成16年5月、本件店舗を閉鎖することを合意し、本件店舗は、同月20日、閉店した。
原告は、本件店舗の閉店に伴い、被告から、保証金(敷金)として384万7970円、売却した什器備品代として318万7650円の返還を受けた(甲6、7)。
なお、原告と被告との間で、「契約店舗の閉店に関する合意書」(以下「本件合意書」という。乙9)は、現在も締結に至っていない。
3  争点及び当事者の主張
本件の争点は、本件加盟契約において、〈1〉被告が情報提供義務を負うか、負うとした場合、本件において被告に同義務違反があったか、〈2〉被告に指導援助義務違反があったか、〈3〉前記各義務違反があった場合、これにより被告が原告に対し賠償すべき損害額、である。
(1)  情報提供義務の有無及び義務違反の有無(争点〈1〉)
ア 原告の主張
(ア) 被告は、フランチャイズ契約締結段階において、原告に対し、売上、収益予測を含め、正確な情報を提供すべき信義則上の義務を有する。すなわち、フランチャイズ契約において、フランチャイジーは、フランチャイザーの有する営業に関するノウハウ及び専門的知識を有していないからこそ、フランチャイズ契約を締結してその欠如を補おうとするのであり、フランチャイジーにとってフランチャイザーからの指導、援助を期待できる点が重要な要素となっており、フランチャイザーは、フランチャイジーに対して、フランチャイズ契約を締結する段階でできるだけ正確な情報を提供すべき信義則上の義務を負っているのである。
(イ) しかるに、〈1〉被告の担当者Fは、原告に対し、具体的・客観的根拠がないにもかかわらず、月額の売上が600万円程度であると予測し(客観性のない売上・収益予測)、また、〈2〉原告が神戸の中華街のほぼ中心地というコーヒーショップの経営には不向きな場所に出店しようとしているのを認識しながら、立地条件としてふさわしいか否かについて的確に情報を提供しなかった(出店場所について注意喚起の懈怠)。
そして、〈3〉被告は立地診断に関してベンチャー・リンクにその一切を業務委託していたが、被告はフランチャイザーなのであるから、情報提供義務を負い、ベンチャー・リンクが行った立地診断が合理的なものかチェックする義務があるにもかかわらず、本件報告書が客観的データに乏しい点について調査等を行わなかった。本件報告書は、店前通行量について非常に限られた時間のデータしか提供していないこと、他のコーヒーショップの所在地についても中華街内には出店店舗がないにもかかわらずその点の指摘がないこと等、正確な情報の提供がされていない(客観的データの乏しい立地診断書の採用)。
さらに、〈4〉被告は、オーナー研修や面談の際、原告に対し、神戸の中心街に11店舗の出店を予定していると説明し、最終的には6店舗(被告直営店が2店舗、原告店が2店舗、他のフランチャイジーが2店舗)が出店予定との説明を行った(店舗展開についての不正確な情報の提供)。原告は、被告が神戸中央区において直営店を展開しようとしているほど当地区に力を入れていると判断したのである。
イ 被告の主張
(ア) 被告は、本件にかかわらずフランチャイジー募集に当たり、加盟契約に先立って売上等の予測に関する情報をフランチャイジー候補者に開示することはない。本件においても、本件加盟契約締結の前後を問わず、被告が原告に対して、売上予想を行ったり、一定の売上を保証する旨の表明又は示唆をしたことはないが、被告にはそもそも情報提供義務はないから、被告が原告に対して売上予測等を行わなかったとしても、義務違反はない。
(イ) 〈1〉FがEに対して、本件店舗において毎月600万円の売上の達成が可能であると述べた事実はない。
また、〈2〉中華街中心部における出店がコーヒーショップの経営において不向きであるとはいえない。
そして、〈3〉本件加盟契約第12条のとおり、開店場所の確保のための店舗探しはフランチャイジーの義務であり、原告がベンチャー・リンクに委託した立地診断について、業務委託関係にない被告には、立地診断の内容に明らかに不合理な点を発見した場合等の例外を除いては、内容の充実、明確化を行い又は訂正する一般的責任を負うこともない。本件報告書には、被告が原告に対して注意を喚起すべきような不合理な事項は認められず、立地診断に関して被告に情報提供義務違反は認められない。
さらに、〈4〉被告が原告に対し、11店舗が出店予定であると説明した事実及び最終的には6店舗が出店することとなったと説明した事実はない。被告は、平成14年当時、ベンチャー・リンクとの間で、神戸市内における出店枠数を最大11店舗と取り決めており、原告は、この点について誤解した可能性があるにすぎない。
(2)  指導援助義務違反の有無(争点〈2〉)
ア 原告の主張
被告は、本件加盟契約において、適正な売上があがるように指導、援助すべき信義則上の義務を有する。
しかるに、被告は、本件店舗が開店当初から数百万円の大幅な赤字を出していたにもかかわらず、適切な指導、援助を行うことなく営業を継続させ、また、赤字が経常的に発生していたのであるから、開店から6か月が経過した際に閉店を勧めるべきであったのに、これを怠り漫然と原告の営業を継続させた。
被告が主張するような支援があったことは認めるが、形式的なものが多く、他の飲食店との差別化を図り本件店舗の売上及び収益を上げる具体的方策とはならなかった。
イ 被告の主張
被告は、本件店舗の開店後、その経営改善のために、〈1〉賃料減額交渉、〈2〉本件店舗の店長とその他従業員に対する研修及び継続指導、〈3〉本件店舗限定商品の販売及び開発、〈4〉各種雑誌社への本件店舗紹介記事掲載依頼等の全面的な指導、援助を行ってきたのであり、被告に指導援助義務違反はない。
また、本件加盟店契約第3条において、「加盟店は、契約店舗の運営が、すべて加盟店自身の独立した責任に基づく判断と運営努力によって行われるものであり」と規定されているとおり、店舗を閉店するかどうかは、独立した事業主体としてのフランチャイジーである原告自身の独立した責任において判断すべきものであって、被告には閉店勧告義務はない。
(3)  損害額(争点〈3〉)
ア 原告の主張
(ア) 原告は、被告の上記各義務違反によって、以下のとおりの出捐をさせられた。
〈1〉 立地診断料       42万円
〈2〉 求人広告料        6万3000円
〈3〉 営業許可申請料      1万6000円
〈4〉 店舗改装費     3409万3500円
〈5〉 研修費、面接会場費    4万1500円
〈6〉 加盟金(2店舗分) 1680万円
〈7〉 保証金(敷金)   1000万円
〈8〉 加盟保証金      100万円
〈9〉 前払家賃       140万円
〈10〉 仲介手数料       70万円
〈11〉 家賃        1190万円
〈12〉 解体工事費用     231万円
(イ) そして、加盟金(以下「本件加盟金」という。)については、原告は、1店舗しか開店しておらず、1店舗分の加盟金840万円の返還に加え、被告の関西における知名度を考慮すれば加盟金840万円は高額にすぎて対価性を欠くものであり、その返還を認めないという加盟金不返還特約は暴利行為であって公序良俗に反し無効である。そして、原告から被告へ年間数百万円のロイヤリティが支払われることにかんがみると、商号、商標等の使用料としての加盟金は420万円を超えることはない。
また、加盟保証金は賃貸借契約の敷金と同様の性格のものであり、終了すれば全額返還されるべきものである。
したがって、加盟金1260万円及び加盟保証金100万円について、被告は、原告に対し、過失相殺をすることなく全額を賠償すべきである。
(ウ) 原告は、被告から保証金(敷金)384万7970円及び什器備品代318万7650円の支払を受けたことから、これを加盟金及び加盟保証金を除く損害額6094万4000円から控除し、また、原告も、被告とは独立の企業体であり、その経営に関しては自身の判断とリスクを負うものであるが、本件店舗経営の失敗に関する原告の過失割合としては5割とみるのが相当であるから、5割の過失相殺をすると、2695万4190円となる。
(エ) 以上から、原告は、被告の本件義務違反により合計4055万4190円の損害を被った。
イ 被告の主張
(ア) 原告の出捐のうち、〈1〉ないし〈5〉は不知。〈6〉ないし〈10〉及び〈12〉は認める。〈11〉は否認する。平成14年2月から同16年7月までの月額家賃累計額は1110万円である。
(イ) 原告は、本件加盟金の返還を主張するが、本件加盟契約第4条には、加盟金はいかなる理由があっても返還されない旨明記されている。また、本件加盟金は、本件フランチャイズ付与及び加盟研修の対価であって、開店後に発生するロイヤリティとは別個の性質を有するものである。
そして、原告は、そのグループ会社とともに多角的経営を行う事業会社であり、本件加盟契約の不返還特約、加盟金の性質等を十分理解した上で本件加盟契約を締結しているのであるから、被告が原告に対して本件加盟金の一部又は全部を返還する義務はない。
また、加盟保証金についても、原告は、本件店舗閉店後、本件合意書の締結をせず、本件訴訟に至っているのであるから、原告は、加盟保証金返還請求権を放棄して、本件加盟契約を途中解約したというべきであり、被告に対して加盟保証金の返還を請求することはできない。仮にそうでないとしても、本件においては被告の債務の清算が終了していない以上、加盟保証金を返還することはできない。
第3  当裁判所の判断
1  情報提供義務違反の有無(争点〈1〉)
(1)  一般にフランチャイズシステムにおいては、フランチャイジーは店舗経営の知識や経験に乏しい者が多く、専門的知識を有するフランチャイザーがこのようなフランチャイジーを指導、助言することが予定されており、フランチャイジーも専門家であるフランチャイザーの提供する資料や説明内容に大きな影響を受けるのが通常であるから、フランチャイザーはフランチャイジーの指導、援助等に当たり、客観的かつ的確な情報を提供するべき信義則上の義務(以下「情報提供義務」という。)を負っているものというべきである。
しかし、他方、売上や収益の予測に関する情報は、将来の不確定な事象を予測し、売上や収益への影響を分析するものであるから、情報の調査や売上等の算出方法等に客観的に問題のある情報を提供していれば格別、売上や収益の予測に関する情報を提供しなかったことをもって、直ちに上記義務に反しているということはできない。
そして、原告は、本件店舗の出店に当たって、本件報告書による診断に基づき被告が出店を許可し、その際、「600万円はいけます。」との被告の助言があったこと等を理由として出店を決定したと主張しているところ、被告が上記の助言を行い、その助言を含めて、原告に対して示した情報が客観的かつ的確な情報ではなく、これにより原告の本件店舗出店に関する判断を誤らせたといえる場合には、被告は、情報提供義務違反により、原告が本件加盟店契約により被った損害を賠償する責任を負うというべきである。
この点、本件加盟契約には、「加盟店は、本出店枠内において、自己の責任と負担に基づき開店場所を確保するものとし、万一確保できなかった場合でも、その責任を本部に問わないものとします。」(第12条3項)、「本部は、加盟店から個別・具体的な要請を受けた場合は、開店場所の立地選定方法について適宜助言を与えることができます。但し、当該助言の有無および内容にかかわらず、加盟店は開店場所確保の責任を免れません。」(同条4項)と規定され、出店場所確保については原告の責任とされている。確かに、経営責任は一次的には経営者である原告が負うものであるが、フランチャイズシステムの性質にかんがみれば、被告から示された情報が客観的かつ的確な情報でなく、これにより原告の判断を誤らせたと認められる場合、原告が誤った情報を入手したのを被告において知りながら、これを是正しなかった場合等には、情報提供義務違反による損害賠償責任を負うというべきである。
(2)  そこで、被告が本件店舗出店に当たり原告に対して示した情報の適否等について判断する。
ア 原告は、Fから本件店舗の売上について、「600万円はいけます。」と助言を受けたと主張し、証人Eは、これに沿う証言(甲8を含む。以下同じ)をし、また、月商700万円と記載されたタリーズ出店条件設定表(甲9)が作成されている。
しかしながら、上記出店条件設定表は、被告ではなくベンチャー・リンクがモデルケースとして作成、提示したもので、本件店舗についてのものではなく、また、ベンチャー・リンクがタリーズについて一般的に600万円の月額売上予想を出していたというにすぎず(証人E)、Fの上記発言の裏付けとはいえないことが明らかであるし、証人Fは、上記のような売上予想をしたことを明確に否定する証言(乙16を含む。以下同じ)をしている上、証人Eも、Fが上記発言をしたときの状況について、Fが月額売上600万円はいけますと話したとするのみで発言の日時、状況や経緯等について具体的な証言を一切していない。
そうすると、この点に関する証人Eの証言は信用することができず、他に原告主張の事実を認めるに足りる証拠はない。
イ 原告は、被告が中華街でのコーヒーショップの出店が不向きであることを被告に対して注意しなかったことが情報提供義務違反に当たると主張し、証人Eは、本件店舗の出店場所に関して、神戸中華街に来てコーヒーを飲もうとする観光客はほとんどおらず、また、地元の人も余りいない状況であったなどと原告の主張に沿う証言をする。
しかしながら、中華街におけるコーヒーショップ出店に関して、経営に成功している例もある(乙21の2・3、証人F)ことから、中華街がコーヒーショップの出店場所として必ずしも不向きであるとはいえず、また、店舗経営が出店場所の選定以外のサービスや商品展開といった経営努力によるところも大きいことにかんがみれば、中華街でのコーヒーショップの出店が不向きであるとの情報が、被告が原告に対して提供すべき客観的かつ的確な情報であるとは認められない。
ウ 本件報告書(甲4)について、被告が店舗出店の許可の判断に同報告書を利用し診断内容を参考にする以上、たとえベンチャー・リンクが作成したものであっても、被告は、情報提供義務の内容として、本件報告書の内容に明らかに不合理な点があれば、これを指摘し、訂正するなどの義務を負っているものと認められる。
本件報告書について、提供された情報が限られたものであったとしても、客観的情報に基づき立地診断が行われており、その診断に不合理な点があるとは認められないのであり、他方、原告は、そのグループ企業とともに、映画館やイベントホールに加え飲食店の経営も行い(乙6の1ないし3、18の1ないし6)、原告担当者のEは従前から原告の飲食店経営を担当していたのである(証人E)から、経営についての相当な知識、経験を有していたと認められ、本件報告書の内容について自ら検討し、不十分な点があればベンチャー・リンクや被告に対して問い合わせるなどの措置をとることが可能であったのである。
そうすると、本件報告書について、被告が情報提供義務に反したとは認められない。
エ 被告の神戸での店舗展開について、証拠(乙14、証人F)によれば、被告は、当初11店舗の出店枠を決めていたこと、直営店についても出店枠を設け物件を探索していたこと、そのことをEに説明したこと、現在まで神戸市中央区において本件店舗以外の出店がされていないことが認められる。
確かに、被告の店舗展開に関する説明と現実の出店状況に相違はあるが、被告の説明はあくまで今後の店舗展開の予定にすぎないのであって(証人F)、原告の有する経営知識や経験からそのことは十分理解可能であり、説明どおりの出店がされていないことをもって、被告の説明が客観的かつ的確な情報ではないとはいい難く、また、原告は、被告の関西での知名度が低いことが本件店舗の経営失敗の一因であると主張するが、本件店舗出店前に被告の知名度の低さが原告社内で問題となったことはないこと(証人E)に加え、被告の店舗展開が原告の出店判断の大きな要素となったことを認めるに足りる証拠もないことにかんがみれば、被告の出店予定についての説明が原告の本件店舗出店に関する判断を誤らせたとは認められない。
(3)  以上によれば、被告の情報提供義務違反をいう原告の主張は理由がない。
2  指導援助義務違反の有無(争点〈2〉)
(1)  本件加盟契約上、原告が被告に対して、〈1〉契約店舗の開店、〈2〉契約店舗の改装、〈3〉食材及び商品供給、受発注業務、〈4〉提供するメニュー、商品構成、〈5〉従業員の採用、教育研修、〈6〉経営及び会計業務、〈7〉その他契約店舗の運営等に関して指導援助義務を負うことが定められ(第7条)、指導員の派遣を行うこととされていた(第10条)。そして、前提事実並びに証拠(証人E、同M(乙17を含む。)のほか、括弧書きしたもの)及び弁論の全趣旨によれば、被告が原告の本件店舗の営業に関して行った指導、援助について、以下の事実が認められる。
ア 本件店舗開発
被告は、Eに対して、平成14年3月23日、「タリーズコーヒー オーナー研修」を行い、出店候補地の選定等について指導し、同年5月11日、「FC加盟企業様の立地開発に関する、フォローアップ・セミナー」を開催し、立地開発についての指導を行った(前提事実(3)ア、証人F)。そして、原告が見つけた本件店舗について、被告は、同年8月26日、イクシマヤの要望により、原告に代わって被告が本件店舗の賃借人となり、イクシマヤの承諾の下、原告に転貸した(前提事実(3)ウ)。
イ 賃料減額交渉
被告は、平成15年4月16日から、本件賃貸借契約についてイクシマヤと本件店舗の賃料の一時減額交渉を行い、同月中にイクシマヤからの賃料一時減額の内諾を受け、同年7月分ないし同年9月分については月額40万円、同年10月分ないし平成16年4月分については月額45万円とすることを合意し(乙3)、本件転貸借契約に上記減額賃料を反映して適用し、合計265万円の賃料減額を実現した。
ウ 従業員に対する研修、指導
被告は、本件店舗開店前の平成14年8月26日から、本件店舗の店長となる原告従業員Gに対するマネージャー研修を行うとともに、Hは、同年9月19日と同年10月19日、本件店舗を訪れ、開店に向けた実地トレーニング、試飲、店舗の衛生、販売のノウハウについて指導を行ったが、特に本件店舗の開店前日であった10月19日には、Hのほかに被告従業員のI、J及びKも参加して、午前11時から午後7時までの間、本件店舗運営に関する指導を行った(前提事実(3)オ)。
Hは、本件店舗開店以降も、本件店舗を訪問して商品及びサービスの質、雰囲気、清潔さ等について継続的に指導を行い、また、廃棄ロスの削減や損益計算書に基づく経営指導等を行っており、Hが本件本舗を訪問した回数は平成16年5月の閉店までの間に60回以上にのぼった(乙12)。
さらに、本件店舗は開店から平成15年7月末までの間に原告側の事情で店長が4名も入れ替わり、また、従業員3名が一斉に退職又は休職したことがあったが、被告は店長が変わる都度、被告の直営店等において、店長研修を行ったほか、本件店舗の副店長その他の従業員についても研修を行った。
エ 本件店舗限定商品の販売、開発
本件加盟契約上は被告の承諾なしに被告が指定した商品以外の商品の販売を行うことはできない(本件加盟契約第22条1項1号)ところ、被告は、原告からの依頼を受け、本件店舗限定商品の販売を個別に承諾し、中華街という立地条件を考慮したタピオカモカや中華食材パウンドケーキの開発を行ったり、他の店舗に先駆けて新商品の導入を認めるなど他の店舗との差別化を行い、また、本来被告では禁止されていた店頭販売を承諾するなどした。
オ 各種雑誌への取材記事掲載依頼
被告は、本件店舗の紹介記事を掲載してもらえるように各雑誌社に依頼し、「神戸ウォーカー」、「KANSAI 1週間」、「とらばーゆ」等の各雑誌に本件店舗の紹介記事が掲載された(乙13の1ないし3)。
カ その他の指導、援助
被告は、本件店舗にHら被告従業員を派遣して近隣地へのビラ配りを行ったり、神戸中華街の春節祭、神戸ルミナリエ等の開催時に営業支援・店頭販売援助要員を派遣するなどの援助を行った(乙17)。
また、被告は、原告が経営していた宅配寿司のフランチャイズ店である「銀のさら」(本件と同様にベンチャー・リンクの紹介によるもの)と本件店舗の損益とを区別せずに損益計算書を作成していたため、本件店舗の損益を正確に把握することができるよう本件店舗のみの損益計算書を作成するように指示した。
さらに、被告常務取締役L、被告FC事業部長、運営部長M(M)及びHは、平成15年11月、原告本社を訪れ、E及びXと面談して改善策を協議し(乙15の1)、平成16年1月28日、本件店舗での協議の際、神戸市内において被告が経営する直営店「神戸ファッションマート店」を原告に売却することを提案した。同店舗は被告の直営店として既に利益が出ており、被告の提案は、原告の経営状態の改善と未だ出店していなかった本件加盟店契約の1店舗分の枠の活用を図る目的でされたもので、売却価格は被告の簿価とされた。しかし、原告は、既に本件店舗において損失が発生しておりこれ以上の出捐はできないとして被告の提案を断った。
(2)  以上の認定事実に基づいて被告の指導、援助が本件加盟契約に基づく指導援助義務を尽くしたといえるか否かを検討するに、本件加盟契約では、被告による必要な指導、援助が契約の目的とされ、当該指導、援助の対価としてロイヤルティの支払が規定されており(第8条)、原告も被告のフランチャイザーとしての専門的な経営知識に期待して本件加盟契約を締結したものであるところ、被告の行った前記(1)アないしカの指導、援助は、いずれも被告の専門的知識やノウハウを背景として可能となるものであるといえる上、特にエの本件店舗限定商品の販売、開発については、本件店舗が中華街内にあったことから、立地特性をいかした本件店舗限定商品の開発や関東地区限定の商品の先行販売を認めたことに加え、本来被告加盟店においては行われていない店頭販売の許可等は、本件店舗の差別化のため特に指導、援助を行ったものと認められ、また、カの神戸ファッションマート店の簿価での売却は原告の経営状態を改善する有効かつ現実的な援助策であったと認められるのであり、これらの点を考慮すれば、被告は、本件加盟契約に基づく指導援助義務を履行したものというべきであり、それ以上の指導、援助をすべき義務があったと認めることはできない。
被告は、原告の指導、援助は形式的なものが多く売上や収益増加の具体的方策とはならなかったと主張するが、上記認定事実のほか証人Eの証言によれば、被告が指導、援助として売上増加のために具体的方策を示していたことが認められるのであり、被告のした指導、援助によって結果として原告の売上や収益が増加しなかったとしても、それのみをもって、被告が指導援助義務に違反したとは認められないのであるから、この点の原告の主張は理由がない。
(3)  原告は、本件店舗は毎月赤字が経常的に発生していたのであるから、開店から6か月が経過した際に閉店を勧めるべきであった旨主張するが、そもそも本件店舗の経営責任が原告に存するものであり、その損失も原告に責任が存するのであるから、本件加盟契約において、被告は前記各指導、援助を行ったことにより指導援助義務を尽くしたものと認められ、原告に対して本件店舗の閉店を勧める義務まで負っていると認めることはできない。
(4)  以上のとおりで、被告の指導援助義務違反をいう原告の主張は理由がない。
3(1)  したがって、損害額(争点〈3〉)について判断するまでもなく、被告の債務不履行を理由とする原告の本訴請求は理由がない。
(2)  なお、原告は、本件加盟金について、本件加盟契約の加盟金不返還特約は暴利行為であって公序良俗に反し無効であると主張しているので、この点について検討する。
原告が被告に対し、2店舗分の本件加盟金1680万円を支払ったことは、前提事実(3)アのとおりである。
本件加盟金は、フランチャイジーとしてのフランチャイズ付与と加盟研修の対価としての性質を併せ持つものと解され、本件加盟契約第4条には、加盟金不返還条項が規定されているところ、同条項が暴利行為であって公序良俗に反し無効なものとは認められず、原告がそのグループ企業とともに多角的に経営業務を行っていること(乙6の2・3、18の1ないし6、19)にかんがみれば、原告も加盟金の不返還について十分に了解した上で本件加盟店契約を締結したと認められる。
未出店分の加盟金については、本件加盟金がフランチャイズ付与と加盟研修の対価としての性質を有していることから、原告がフランチャイズ店を出店していないためその対価性が問題となりうるが、被告が原告に対して加盟研修をしていることは、前提事実(3)アのとおりであり、また、被告は、原告に対して、1店舗分の出店枠の有効活用として神戸ファッションマート店の売却を申し出るなどしているのであるから、一応対価性も満たしていることがうかがわれる。
いずれにしても、原告は、本訴において債務不履行に基づく損害賠償を請求しているのであるから、被告に債務不履行責任が認められない以上、加盟金についての損害賠償義務を認めることはできない。
4  よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 杉山正己 裁判官 篠原礼 裁判官 新城博士)

 

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