【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業支援」に関する裁判例(110)平成20年12月19日 東京地裁 平19(ワ)19018号 売買代金請求事件

「営業支援」に関する裁判例(110)平成20年12月19日 東京地裁 平19(ワ)19018号 売買代金請求事件

裁判年月日  平成20年12月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)19018号
事件名  売買代金請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2008WLJPCA12198001

要旨
◆訴外会社から紹介を受け、同社を転売先として、データ管理システム等のソフトウェアを被告に売却した原告が、売買契約に基づき、被告に対し、売買代金等の支払を求める事案において、同売買契約は、経済的には被告が商流に介入して利益を得ることを目的として行われたものではあるが、売買の目的物としてCD-ROMが現実に引き渡されており、売買代金と売買の対象物との対価性が保持されていることが前提となっていたとして、同CD-ROMが商品として無価値であり、売買代金に相当する価値がなかったことは、法律行為の要素に錯誤があったものといえるとして、被告の錯誤の抗弁を認め、原告の請求を棄却した事例

評釈
宮崎拓也・判タ別冊 29号30頁(平21主判解)
星野豊・ジュリ 1432号105頁
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 2888号(旬刊商事法務1879号)
松尾健一・ジュリ別冊 243号92頁(商法判例百選)

参照条文
民法95条

裁判年月日  平成20年12月19日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)19018号
事件名  売買代金請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2008WLJPCA12198001

東京都中央区〈以下省略〉
原告 菱洋エレクトロ株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 河村綱也
同 豊泉貫太郎
同 岡野谷知広
同 木屋善範
東京都江東区〈以下省略〉
被告 日本ユニシス株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 野田雅生
同 高橋康夫

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,8億0577万円及びこれに対する平成19年2月1日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,訴外株式会社アイ・エックス・アイ(以下「IXI」という。)から紹介を受け,IXIを転売先として,データ管理システム等のソフトウェアを代金7億6740万円(消費税3837万円)で被告に売却した原告が,売買契約に基づき,被告に対し,売買代金及び消費税合計8億0577万円並びにこれに対する代金支払期日の翌日である平成19年2月1日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提となる事実(当事者間に争いがない。)
(1)  原告は,半導体製品,電気機器及びソフトウェアの販売等を業とする株式会社である。
被告は,コンピューター及びその関連機器並びにソフトウェアの販売等を業とする株式会社である。
IXIは,システム開発等を目的とする株式会社であるが,平成19年1月21日,大阪地方裁判所に民事再生手続開始を申立て,同月29日,民事再生手続開始決定がされた。
(2)  原告と被告は,平成18年12月下旬,原告を売主,被告を買主として,下記ソフトウェア①から⑩(以下すべてを合わせて「本件製品」という。)を,IXIを転売先として,代金額を下記各ソフトウェアの代金額の合計7億6740万円及びこれに対する消費税3837万円の合計8億0577万円,代金支払期日を平成19年1月31日と定めて売買契約を締結した(以下「本件売買契約」という。)。

ソフトウェア製品名 代金額(消費税別)
① データ管理システム 9720万円
② 営業支援システム 9390万円
③ セキュリティシステム 7960万円
④ 在庫管理システム 6290万円
⑤ 配送管理システム 6150万円
⑥ 販売管理システム 5500万円
⑦ メッセージ配信システム 8460万円
⑧ 顧客管理システム 8190万円
⑨ 顧客分析システム 6460万円
⑩ 情報管理システム 8620万円
合計(消費税別) 7億6740万円
消費税 3837万円
合計(消費税込み) 8億0577万円
(3)  原告は,平成18年12月22日,被告に対し,本件売買契約に基づき,本件製品として上記各システムの名称のラベルを貼付したCD-ROM10枚を引き渡し,被告はこれを受領した。
2  原告の主張
(1)  被告は,本件売買契約に係る売買代金及び消費税合計8億0577万円を代金支払期日である平成19年1月31日までに支払わなかった。
(2)  原告と被告は,本件売買契約の際,「製品の納入日から30日経過した日をもって,検収が完了したものとする。」旨合意をしたところ,被告は,平成18年12月22日,本件製品を受領したのであるから,平成19年1月21日の経過をもって,検収が完了したものとみなされ,商法526条により,本件製品の瑕疵を理由として上記の売買代金等の支払を拒むことはできない。
(3)  本件売買契約は,被告の目標売上高を確保するための,目的物の内容や実在性に着目しない取引であり,本件製品が代金額に見合う価値を有しているか否かは契約の要素となっていないから,法律行為の要素に錯誤はない。
(4)  よって,原告は,被告に対し,本件売買契約に基づき,代金等8億0577万円及びこれに対する弁済期の翌日である平成19年2月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
3  被告の主張
(1)  錯誤による無効(主位的抗弁)
被告は,実体を伴う実需売買であると信じて本件売買契約を締結したが,売買の目的物が無価値物であったから,その要素に錯誤があり,本件売買契約は無効である。目的物に売買代金に相応する価値があるかどうかは,売買の動機であるが,黙示的に表示されており,仮にそうでなくても,原告と被告の双方が錯誤に陥っていた(共通錯誤)のであるから,動機の表示の有無を問わず本件売買契約は無効というべきである。
(2)  履行不能による解除(予備的抗弁1)
被告が引渡しを受けた製品は,無価値物であるが,原告から価値がある製品の再納品を受けることは事実上不可能であり,他方,IXIは本件製品を被告から購入したと認識していないというのであるから,被告がIXIに対して納品することも不可能であり,転売先が存在しないことになる。したがって,本件売買契約の履行は不能である。被告は,履行不能を理由として本件売買契約を解除するとの意思表示をした。
(3)  被告とIXIの間の売買契約の無効(予備的抗弁2)
本件売買契約は,被告が本件製品をIXIに転売することを目的としていたから,被告とIXIとの間の売買契約と牽連性を有し,被告とIXIの間の売買契約が無効となれば,本件売買契約の目的は達成されないことになる。被告とIXIの間の本件製品の売買契約は,IXIの担当者であるCが権限なく行ったもので,無権代理により無効である。したがって,それと牽連性がある本件売買契約も無効になるというべきである。
(4)  信義則違反(予備的抗弁3)
原告は,被告に対し,自己とIXIの間の売買契約に介入するよう勧誘したのであるから,勧誘した者の責任として,IXIの担当者が決裁を得ているかどうかを確認する義務があったのにこれを怠り,また,本件売買契約を被告に紹介する前に,本件売買契約が環状取引の一環をなすものである可能性を容易に認識し得たにもかかわらず,本件製品のエンドユーザ及び目的物の実在性を全く確認せずに,本件製品の取引を紹介し,無価値物を交付したのであるから,被告に対して代金支払を請求するのは信義則に反し許されない。
(5)  公序良俗違反(予備的抗弁4)
本件売買契約は架空取引であり,反社会性の強い行為であるから,公序良俗違反で無効である。
(6)  相殺の抗弁(予備的抗弁5)
本件売買契約が有効であり,目的物たる本件製品の引渡しがあったとしても,本件製品には修復不能な瑕疵があるから,被告は,本件売買契約における代金相当額の損害を被っており,原告に対し,瑕疵担保責任を理由とする同額の損害賠償請求権を有する。被告は,同債権を自働債権,原告の本訴請求債権を受働債権として,相殺するとの意思表示をした。
(7)  訴訟追行上の信義誠実義務違反
証人尋問を終えるまで,自らが介入取引の介入者であることを主張していなかった原告が,証人尋問終了後において,新たに自らも介入者であると主張することは,先行行為に矛盾する挙動として,信義則上許されないし(民事訴訟法2条),また,時機に後れた攻撃防御方法でもある(同法157条1項)。
4  主な争点
(1)  本件売買契約について法律行為の要素に錯誤があったのかどうか。目的物が代金額に見合う価値があるかどうかは契約の要素であるのかどうか。動機が表示されていたのかどうか。共通錯誤があったのかどうか。
(2)  被告は,本件製品の受領後30日の経過により,瑕疵を理由とする主張が許されなくなるのかどうか。
(3)  本件売買契約の履行は不能であるのかどうか。
(4)  被告とIXIの間の売買契約は無効であるのかどうか,また,それが無効になれば本件売買契約も無効となるのかどうか。
(5)  原告が被告に対して本件売買契約に基づき代金を請求することが,信義則に違反するのかどうか。
(6)  本件売買契約は,公序良俗に違反し無効であるのかどうか。
第3  当裁判所の判断
1  前記前提となる事実,証拠(甲1から11,乙1から14,16から18,24から37,42から52(いずれも枝番号を含む。),証人D,証人E)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)  原告は,半導体製品,電気機器及びソフトウェアの販売等を業とする株式会社である。原告の決算期は毎年1月とされている。Dは,大阪市北区にある原告の大阪支店営業第二部に所属するグループリーダーであった。
一方,被告は,コンピューター及びその関連機器並びにソフトウェアの販売等を業とする株式会社である。被告の決算期は毎月3月とされている。Eは,愛知県豊田市にある被告の自動車産業事業部中部営業部営業一部に所属する第3グループリーダーであった。なお,被告における契約締結等に関する決裁は,Eの上司である営業一部長であるFを経て,自動車産業事業部長が行うこととされていた。
IXIは,大阪市淀川区にあるシステム開発,コンサルティング及びコンピューター機器の販売等を目的とする株式会社である。
(2)  原告の大阪支店においては,新興のシステム開発会社であるIXIと取引を行っていたが,平成15年2月ころからは,実需を伴う取引のほかに,売買の対象,仕入先及び仕入価額並びに販売先及び販売価額をIXIが指定し,原告がその売買に介入して利益を得る取引を行うようになった。そして,平成16年1月ころ,被告のEは,原告のDに対し,売上目標を達成するために取引の紹介を求めた。そこで,Dは,Eに対し,IXIのGを紹介した。
このようにして,被告は,次のとおり,IXIから紹介を受けて商流に介入する取引を行うようになった。
ア 原告は,平成16年2月ころ,被告に対し,動態管理システムを代金8490万円(税別)で売却した。なお,被告からの転売先は,IXIではなかった。
イ 原告は,同年8月ころ,被告に対し,在庫管理システムを代金5140万円(税別)で売却し,被告は,IXIに対し,それを転売した。
ウ 原告は,平成17年2月ころ,被告に対し,顧客管理システム等を代金1億4274万円(税別)で売却した。なお,被告からの転売先は,IXIではなかった。
エ 原告は,平成18年2月ころ,被告に対し,データ共有管理システム等を代金5億1460万円(税別)で売却した。なお,被告からの転売先は,IXIではなかった。
これらの取引においては,原告から被告に対し,売買の対象となった各システムが現実に引き渡されることはなかった。そして,特に問題なく,短期間で,代金の決済がされた。
また,これらの取引とは逆に,Eが,Dに対し,介入する商流を紹介することもあり,同年3月ころには,原告は,被告に対し,訴外太平洋工業株式会社を転売先として,「Stampack V6.0日本語版 永久ライセンス」を売却した。
(3)  Eは,平成18年12月ころ,Dに対し,売上目標達成のため,被告が商流に介入する取引の紹介を依頼し,同月14日,Dに対し,電子メールを送信し,「昨年並みの5億円程度あればありがたい」,「差益などは,殆ど無しで結構です。(12月に仕入れ処理をし,3月までに弊社が売上がたてば結構です。)」と伝えた。
Dは,上記のEの意向を,Gに伝えた。Gは,Dに対し,本件製品について,訴外三信電気株式会社(以下「三信電気」という。)から原告,原告から被告,被告からIXIという商流を提案した。
(4)  そこで,原告は,平成18年12月19日,三信電気のソリューション営業本部大阪営業部に対し,注文書(乙46の1から10)及び受領書(乙47の1から10)を交付し,Gの指定どおりに,被告を転売先として,三信電気との間で,本件製品を,代金7億8109万5000円(消費税込み),支払期日を平成19年1月31日として,買い受ける旨の売買契約を締結した。
本件製品の各システムの名称のラベルを貼付したCD-ROM10枚は,平成18年12月19日,大阪市淀川区にあるIXIから,上記売買契約を担当していた大阪府吹田市にある三信電気のソリューション営業本部大阪営業部を介することなく,送り状の「記事欄」に「書類」と記載して,直接,原告の物流センターである東京都大田区平和島所在の醍醐倉庫宛てに送付された。なお,上記CD-ROM10枚は,その貼付されたラベルと内容が対応しないもの,システムをインストールできないものなどがあり,いずれも付されたシステム名のソフトウェアとして正常に稼動するプログラムが格納されておらず,商品としては価値がないものであった。
そして,三信電気は,原告から,同月20日,受領書兼検収書(乙48)を受け取ったが,その備考欄には「納入システムの検収における瑕疵責任は,三信電気へ問わないものとする」との注記がされていた。
なお,原告は,同月19日,納入先を前記醍醐倉庫として,訴外東京リース株式会社(以下「東京リース」という。)から動態管理システムを買い受ける旨の売買契約を締結したが,原告が,東京リースに対して交付した注文書(乙33)にも,備考欄に「物件の瑕疵担保責任について東京リース株式会社はその責任を負いません」との注記がされていた。
(5)  Eは,平成18年12月20日,Dから,Gから入手した前記(3)の商流を記載した書面(乙5),原告の「御見積書」(乙6)及びIXIの被告に対する本件製品の注文書のコピー(乙7の1から10)の交付を受けた。上記書面には,案件1から案件10として,本件製品の各システムごとに,原告から被告,被告からIXIという商流が記載され,原告から被告の売買については,受注・発注が12月,仕入・売上が同月,入金・支払が1月,被告からIXIの売買については,受注・発注が12月,仕入・売上が2月,入金・支払が3月とされ,被告が取得する利益率が3パーセントから3.17パーセントである旨の記載があった。また,上記注文書のコピーには,受渡期限が平成19年2月28日,支払方法が検収月末締め翌月末現金払いである旨の記載があり,担当者としてGが押印をしていた。
そして,Eは,被告の社内決裁手続をとらないまま,Dが用意した平成18年12月18日付けの「注文書」(甲1)に署名した。上記注文書には,本件製品の各システムごとの数量,金額が記載され,注文金額「7億6740万円」,受渡期日「別途お打合せ」,支払条件「月末締翌月月末現金」と記載がされていた。
(6)  Dは,平成18年12月21日,Eに対し,2通の納品書(乙1の1及び2)を送付するとともに,上記CD-ROM10枚が梱包された段ボール箱1個を,前記醍醐倉庫から,愛知県豊田市にある被告の中部営業部営業一部宛てに送付し,被告は,同月22日,これを受領し,原告に対し,本件製品を受領した旨の営業一部長Fの記名押印がある同月21日付け受領書(甲4の1及び2)を発行した。また,Dは,同月22日,被告に対し,10通の納品書(乙2の1から10)を送付した。
また,被告は,同月25日,IXIから,IXIの執行役員営業・開発本部副本部長Cの署名・押印のある本件製品の注文書10通(乙18の1から10)の送付を受けた。
(7)  被告は,社内の決裁手続を経て,平成18年12月27日付けで,原告に対し,本件製品の注文書(甲2の1から10)を発行したが,納期を平成18年12月22日とすべきところを平成19年2月28日と記載していたため,平成18年12月28日付けで,納期を訂正した合計10通の「注文書(変更)」(甲3の1から10)を発行した。その各注文書には,「支払条件」として「納入月末締翌月末現金(振込)払」,「引当先」として「株式会社アイ・エックス・アイ」,「受渡条件」として「日本ユニシス株式会社指定場所」,「配送先」としてIXIの住所及び「株式会社アイ・エックス・アイ G様」との各記載がされ,注文書の受領後7日以内に諾否の通知がない場合には,注文書記載の条件で契約が成立したものとみなす旨の記載がされていた。また,上記各注文書の裏面には,契約条項として,検収(第2条)に関して,買主が製品受領後速やかに検収を行うこととし,買主から検収不合格の通知がない場合には,製品納入日から30日経過した日をもって検収が完了したものとする旨の記載,品質保証(第7条)に関して,売主が製品に物理的な損傷等がないこと及び関係資料に記載された方法,手順により所定の稼動環境で使用された場合,上記資料に記載された機能及び性能のとおり稼動することを保証する旨の記載,製造物責任(第9条)に関して,売主は,製品に欠陥があった場合,自己の責任と負担において原因の究明,欠陥の除去,良品との交換等の必要な措置を講じる旨の記載がされていた。
なお,原告からは,上記各注文書に記載された契約条件について特に諾否の通知はされなかった。
(8)  他方で,Dは,原告との上記取引に先立ち,決算期を控え,IXIに対し,介入取引の紹介を求め,IXIの紹介で,平成18年11月27日,東京リースに対し,在庫管理システム等を8億1889万5000円(消費税込み),販売管理システム等を6億0774万円(消費税込み)で買い受ける旨の仮注文をした。
また,Dは,同月26日,同様に,IXIの紹介で,東京リースを仕入先とし,平成19年1月31日決済とする合計16件の発注を行った。
(9)  ところで,IXIは,東京証券取引所第2部に上場していたが,平成19年1月5日に監理ポストに指定され,同月21日には,大阪地方裁判所に民事再生手続開始を申し立てた。そして,同月22日以降,IXIが架空循環取引に関わっていたとの疑惑がマスコミ等で報じられるようになった。
そして,同月29日,IXIについて民事再生手続開始決定がされた。
(10)  Dは,平成19年1月17日,東京リースに対し,IXIの諸般の事情により同年2月の納入,受入検収が不可能であるとして,前記(8)記載の平成18年11月27日付けの仮注文をキャンセルする旨を通知した(乙12)。また,原告は,平成19年1月30日,東京リースに対し,架空循環取引に類する取引が行われた可能性があるとして,同月31日の決済について支払を保留する旨の通知をした(乙13)。
(11)  原告は,その一方で,平成19年1月17日付けで,被告に対し,平成18年12月31日現在の勘定残高確認依頼を行った。被告の決算管理室は,平成19年1月24日,原告の会計監査を担当するあずさ監査法人宛てに,被告が原告に対して買掛金8億0642万8437円を負っている旨の確認書を送付した(甲5)。同確認書に記載された買掛金債務の中には,本件売買契約に基づく代金債務が含まれていた。
(12)  被告においては,前記のとおり,IXIについて架空循環取引に関わったとの疑いがある旨の報道がされたことを受け,保管していた前記CD-ROM10枚の内容を分析することとした。その結果,平成19年1月25日深夜になって,その貼付されたラベルと内容が対応しないもの,システムをインストールできないものなどがあり,いずれも付されたシステム名のソフトウェアとして正常に稼動するプログラムが格納されておらず,商品としては価値がないものであることが判明し,同月26日には被告の社内でそれが確認された。
そこで,被告は,同月29日,原告に対し,本件売買契約が法令等に違反し,契約の成立自体に疑義のある行為として無効であると判断したこと,被告が発行した注文書を返却するよう通知した(乙8)。これに対し,原告は,同月31日,本件売買契約の代金支払期日が到来したため,被告に対し,代金を支払うよう請求した(乙9)。被告は,同年2月8日,原告に対し,再度,本件売買契約が無効であると判断している旨を通知した(乙10の1及び2)。
(13)  原告は,平成19年3月29日付けで,「半期報告書の訂正報告書」(乙36)を公表し,IXIに関連する取引内容を精査した結果,商品がIXIから原告に直送され最終的にIXIが買い取る取引が一部に含まれていることが判明したため,IXIに関連する当該取引は営業取引ではないと判断し,当該取引の売上高及び売上原価を取り消して純額を営業外収益とすることとした旨を発表した。
また,原告は,同日付けで,「決算訂正に関わる社内調査結果と当社の対応について」と題する書面(乙37)を公表し,IXIに対する債権について取立不能又は取立遅延のおそれが生じ,特別損失を計上したことで,業績予想を下方修正したことに関し,取引内容の精査を怠ったことが不適切な対応を招く結果となったこと,今後この種の問題の再発を防止するよう努めることを表明した。
(14)  三信電気は,それに先立ち,平成19年2月28日,東京地方裁判所に,原告に対して,売買代金7億8109万5000円の支払を求めて売買代金請求事件を提起した(平成19年(ワ)第4948号)。上記売買代金請求事件の第3回弁論準備手続(同年7月9日)において,前記(4)の原告と三信電気との間の本件製品の売買契約の代金について,原告が三信電気に対して有する2億1294万円の債権を自働債権,上記代金債権を受働債権として相殺した後の残額である5億6815万5000円及びそれに対する遅延損害金等の合計5億8482万5255円を,原告が三信電気に対し支払う旨の訴訟上の和解が成立した。
上記和解における和解条項には,「原告(三信電気)と被告(本件原告)は,本件売買…が訴外株式会社アイ・エックス・アイに関連した取引であることを確認するとともに,本和解が,本件売買…の有効・無効及びそれに基づく代金請求権の存否を確定するものではなく,被告において,後日,原告に対し,本件売買…が無効でありそれに基づく代金支払義務は存在しなかったと主張して,本件金員…の返還を求める訴訟を提起することを妨げるものではないことを確認する。」,「本件売買…を無効である旨判示する判決がされるなど本件売買…が無効であると考えるべき客観的・合理的な事情が生じた場合において,被告が原告に対して本件金員等の返還を申し入れたときは,原告は被告との協議に誠実に応じるものとする。」との各条項が存在する。
原告は,同月10日,三信電気に対し,上記5億8482万5255円を支払った。
そして,原告は,同月25日,被告に対し,本件訴えを提起した。
2  原告と被告との間において,本件製品に関する本件売買契約が締結されたが,前記のとおり,Eが正式な社内決裁手続をとることなく,Dが用意した注文書に署名し,その直後に,売買の対象である本件製品が被告に納品され,その後に,被告から正式な注文書が発行されたなどの経過があるため,本件売買契約の詳細は必ずしも明確なものではない。しかしながら,前記認定のとおり,被告の決裁手続を経て平成18年12月28日付けの注文書が送付され,注文書に記載された諸条件について,原告も注文書受領後7日以内に特段の諾否をしていないのであるから,原告と被告との間においては,本件製品が被告の指定した配送先であるIXIに送付されるのではなく,既に同月22日に被告に納品済みであることを前提として,代金を合計7億6740万円(消費税別),代金支払期日を平成19年1月31日とし,検収(第2条)に関して,買主が製品受領後速やかに検収を行うこととし,買主から検収不合格の通知がない場合には,製品納入日から30日経過した日をもって検収が完了したものとする旨,品質保証(第7条)に関して,売主が製品に物理的な損傷等がないこと及び関係資料に記載された方法,手順により所定の稼動環境で使用された場合,上記資料に記載された機能及び性能のとおり稼動することを保証する旨,製造物責任(第9条)に関して,売主は,製品に欠陥があった場合,自己の責任と負担において原因の究明,欠陥の除去,良品との交換等の必要な措置を講じる旨などが合意されたものというべきである。
そして,上記の合意を内容とする本件売買契約は,経済的には,被告が商流に介入して利益を得ることを目的として行われたものではあるが,売買契約という法形式をとり,売買の目的物としてシステム名が記載されたラベルが貼付されたCD-ROM10枚が現実に引き渡されており,売買代金と売買の対象物との対価性が保持されていることが前提となっていたというべきである。売買の目的物に売買代金に相応する価値があるかどうかは,売買契約の動機に当たるものではあるが,納品済みの本件製品の代金を合計7億6740万円(消費税別)とし,品質保証の合意もされていたのであるから,その動機は少なくとも黙示に表示されていたものといえる。したがって,売買の対象物であるCD-ROM10枚が商品として無価値であることは,法律行為の要素に錯誤があったものというほかはない。
そうすると,本件売買契約は錯誤により無効であるから,原告の売買代金請求は理由がない。
3  原告は,本件売買契約は,取引に介入して利益を確保することに主眼があり,売買の目的物の内容や実在性に着目しない取引であるから,本件製品が代金額に見合う価値を有していたかどうかは重要ではなく,法律行為の要素にはならないものと主張する。
確かに,前記認定によれば,本件製品については,IXI→三信電気→原告→被告→IXIという循環取引あるいは環状取引がされた疑いが高く,循環あるいは環状構造を知ってその取引に関与した当事者は,売買の目的物の内容や実在性に着目していないといい得るとしても,本件においては,被告が,IXI→三信電気という商流が存在することを知っていたことを認めるに足りる証拠はないから,被告が循環取引あるいは環状取引であることを知ってその取引に関与したものとはいえない。
また,原告と被告との間で,従前から,互いに商流に介入する取引を紹介し合っており,DとEが関与し,IXIから紹介を受けて被告が介入した取引が本件売買契約のほかに4件存在したことも事実である。しかしながら,商流に介入する取引であるからといって,直ちに,売買の目的物の内容や実在性に着目しない取引であるとはいえず,そのような取引であるかどうかは,売買の目的物が実際に存在していたのかどうか,それが現実に引き渡されたのかどうか,瑕疵担保責任や製造物責任等の目的物に関する売主の責任を排除する特段の合意があったかどうか,転売先が確保されていたかどうか,仕入れから転売までの期間(在庫を抱える期間)がどの程度であるか等の諸事情によって判断するのが相当である。
これを本件についてみると,前記認定によれば,前記1(2)のアからエに記載した各取引は,売買の目的物の原告から被告への引渡しがなかったのに対し,本件売買契約は,売買の目的物とされたCD-ROM10枚が現実に引き渡されている上,原告が三信電気に対して交付した受領書兼検収書や東京リースに対して交付した注文書には,瑕疵担保責任を免除する旨の記載があるのに対し,被告が原告に対して交付した注文書には,瑕疵担保責任及び製造物責任等の売主の責任についてこれを免除するような記載は一切なく,しかも,売買の目的物が原告から被告に対して引き渡された約2か月後に被告からIXIに対してそれが引き渡されることとされており,被告は,その約2か月の間,それを在庫として抱えることになっていたのであるから,本件売買契約が目的物の内容や実在性に着目しない取引であったとはいえないものというべきである(なお,証人Dは,Eとの間では,本件売買契約についても,売主の瑕疵担保責任を免除する合意があったと証言するが,証人Eは,これを否定しており,原告と被告との間で交わされた各種の書類にもそれを免除する記載はない。)。被告が交付した注文書に,検収について規定があるにもかかわらず,被告が速やかに検収を行わなかったことは,前記の認定を妨げるものではない。
次に,原告は,本件売買契約においては,本件製品の納入日から30日経過した日をもって,検収が完了したものとする旨の合意があったところ,被告は,平成18年12月22日に本件製品を受領したのであるから,平成19年1月21日の経過をもって,検収が完了したものとみなされ,本件製品の瑕疵を理由とする主張は許されない(商法526条)と主張する。しかしながら,被告は,主位的に,本件売買契約には錯誤があるから無効である旨を主張しているのであって,本件製品に瑕疵があったとして,売買契約の解除あるいは損害賠償を請求しているものではない上,商法の瑕疵担保責任の規定は,錯誤の主張を制限するものではない。また,被告が,原告の勘定残高確認依頼に対して,本件売買契約に基づく代金債務を負っていることを確認する旨の確認書を発行していることは,錯誤の主張を排斥する事由とはならない。原告の上記主張は理由がない。
4  よって,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 阿部潤 裁判官 佐藤英彦 裁判官 吉田達二)

 

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