【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(79)平成23年 2月28日 東京地裁 平21(ワ)23987号 損害賠償請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(79)平成23年 2月28日 東京地裁 平21(ワ)23987号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成23年 2月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)23987号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2011WLJPCA02289019

要旨
◆被告Y2社の講座におけるビデオ講義を担当した原告が、講義のために作成した資料を被告Y1社に提出したところ、被告らが、原告に無断でこれを複製、改竄し、被告Y2社の講義用のテキストとして作成し配布したと主張して、被告らに対し、著作権(複製権)侵害及び著作者人格権(同一性保持権)侵害に基づく損害賠償請求として、連帯して140万円の支払を求めた事案において、第8回テキスト原稿による原告メモ等の流用、使用に基づき、被告Y2社テキスト(第8回)により原告メモ等の著作権が侵害されたとの原告の主張は、原告メモ等に依拠して上記原稿及びテキストが作成されたことを認めることはできないから、理由がないなどとして、請求を棄却した事例

評釈
知的財産研究センター研修チーム・知的財産権判決速報 434号9頁

参照条文
著作権法2条1項11号
著作権法20条1項
著作権法21条
著作権法27条
著作権法32条
著作権法114条
民法709条
民法710条

裁判年月日  平成23年 2月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)23987号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2011WLJPCA02289019

東京都町田市〈以下省略〉
原告 X
横浜市神奈川区〈以下省略〉
被告 Y1株式会社
同訴訟代理人弁護士 瀧谷耕二
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社Y2
同訴訟代理人弁護士 松尾和子
同 佐竹勝一
同 今井麻紗子

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告の負担とする。

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,原告に対し,連帯して140万円を支払え。
2  仮執行宣言
第2  事案の概要
1  本件は,被告株式会社Y2(以下「被告Y2社」という。)の講座におけるビデオ講義を担当した原告が,講義のために作成した資料を被告Y1株式会社(以下「被告Y1社」という。)に提出したところ,被告らが,原告に無断でこれを複製,改竄し,被告Y2社の講義用のテキストとして作成し配布したと主張して,被告らに対し,著作権(複製権)侵害及び著作者人格権(同一性保持権)侵害に基づく損害賠償請求(著作権法114条,民法709条,710条)として,連帯して140万円の支払を求める事案である。
2  前提となる事実(争いのない事実以外は,証拠を項目の末尾に記載する。)
(1)  当事者等
ア 原告は,中小企業診断士である。
イ 被告Y1社は,経営コンサルティング,講演会講習会の企画・開催等を目的とする株式会社である。
ウ 被告Y2社は,資格取得講座を開講し,受講生用の教材を発行すること等を目的とする株式会社である。
(2)  講座の開講(甲5,乙10,11)
ア 被告Y2社は,平成13年,中小企業診断士試験の受験講座を開設し「2001年度○○講座」(以下「本件講座」という。)を開講した。
イ 本件講座の第5回は「新規事業」の講義であり,ビデオブースクラス(以下「VBクラス」という。)は,同年3月1日以降に実施された。
ウ 本件講座の第8回は「財務」の講義であり,VBクラスは,同月11日以降に,生クラスは,同月10日及び同月11日に実施された。
エ 本件講座では,各回の講義ごとにテキストが作成,配布された(乙10,11。以下「被告Y2社テキスト」といい,第8回の講義について,作成,配布された被告Y2社テキストを,「被告Y2社テキスト(第8回)」という。)。
(3)  本件講座の講義等(甲3,5,乙2,3,証人A)
ア 被告Y2社は,被告Y1社に対し,平成13年1月ころ,本件講座の講義及びテキスト作成等の業務を委託した。
イ 被告Y1社は,同年2月中旬ころ,原告に対し,本件講座の財務のVBクラスの講義を担当するよう依頼した。
ウ 原告は,平成13年3月1日,本件講座のVBクラスの講義について,ビデオ収録を行った(同ビデオ収録が第5回の「新規事業開発」のためのものであったのか,第8回の「財務」のためのものであったのかについては,当事者間に争いがある。)。
エ 原告は,上記ビデオ収録を行うに当たり,「新規事業開発ビデオ収録メモ」と題する講義メモ及びOHP撮影用のカード(以下「原告メモ等(甲3)」という。)を作成した。
オ なお,本件講座の第8回「財務」の生クラスは,被告Y1社のA(以下「A」という。)が担当した。
(4)  原告メモ等(甲3)
ア 原告メモ等(甲3)は,表紙に「新規事業開発ビデオ収録メモ H13・3・1」との表題が記載され,全33頁の講義メモ部分と,全55枚のOHP撮影用のカード部分から構成されている(別紙「原告メモ等(甲3)」参照)。
イ 講義メモ部分
(ア) 講義メモ部分は,横書きであり,1~17頁,20~28頁及び33頁は,手書きにより,18~19頁及び29~32頁は,印刷文字により,それぞれ記載されている。手書き部分は,口述用の原稿であり,項目については,番号等のみを記載し,口頭で内容を補充することを予定した部分が複数ある。印刷部分は,テキスト用の原稿と同様の体裁となっている。
(イ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である1頁上段には,P1に続けて,「皆さん今日は」,「Y2社専任講師のXです。」,「只今から『○○講座基礎編第8回』前半の講義を始めます。」,「テーマは『ビジネスプランの作成と評価です。』」,「ビジネスプランは『財務・会計』の科目と密接な関係があるので『財務管理』における…や重要事項を復習しながら進めていきます。」,「P2,P3は,本テーマの目次を表しています。」と記載されている。
(ウ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である1頁下段~2頁には,P4,「まず最初に『ビジネスプランとは何か』ということから入って行きます。」との記載に続く説明が記載されている。
(エ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である3~4頁には,P5,「次にビジネスプランの目的について触れてみましょう」との記載に続く説明とともに,P6,「ビジネスプラン策定時に考慮すべき点として次のようなことがあります。」との記載に続く説明,P7,「ビジネスプラン策定時の留意事項として『実行すべきこと』と『実行してはいけないこと』に分けられます。」との記載に続く説明(3~4頁)が,それぞれ記載されている。
(オ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である4~15頁には,P9,「ビジネスプランの内容は次のようなものが含まれます。」との記載に続いて,P10,「概要」(5頁),「業界と製品またはサービス」(6頁),P12,「市場調査と分析」(7頁),P13,「事業の経済性」(8頁),P14,「マーケティング」(8頁),P15,「研究開発」(9頁),P16,「製造と営業プラン」(10頁),P17,「経営チーム」(11頁),P18,「全体スケジュール」(12頁),P19,「達成期限,チェックポイントについて更に詳しくのべる。」,P20,「重要なリスク 問題点,前提条件」(13頁),P21,「ファイナンス計画」(14頁),P22,「資金調達の詳細」(15頁)の各項目ごとの説明が,それぞれ記載されている。
(カ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である15頁には,P23,「ビジネスプランの作成方法とポイント」との項目のみ及び「P24」との表示のみが記載されている。
(キ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である16頁には,P25,「6)資料作成とプレゼンテーション法」との項目について説明が記載され,末尾に「それでは 前半の講義を終了します。」と記載されている。
(ク) 講義メモ部分のうち,手書き部分である17頁には,P28,「事業の進捗管理 事業のスケジュール策定」について,説明が記載されている。
(ケ) 講義メモ部分のうち,印刷文字部分である18~19頁には,「7)事業の進捗管理」について,「(1)事業のスケジュール策定,(2)事業計画と財務計画」の各項目ごとに説明が記載されている。また,19頁には,手書きで「図表1」と付された印刷文字による図表の表題である「事業計画と財務計画に必要なものの関連図」の記載とともに,再度,印刷文字による「図表5-14 事業計画と財務計画に必要なものの関連図」との表題が付された図表及び項目の重要度に関する説明が,それぞれ記載されている。
(コ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である20~28頁には,P32,「事業計画と財務計画」(20頁),P33,「財務管理 西澤脩」(21頁~22頁),p34「損益計算書は『一定期間の成績』を表しています。」で始まる説明,P35,「損益分岐点」(23頁),P36,「固定費/変動費」(23頁),P37,「事業シミュレーション」(24~28頁)の各項目ごとの説明が,それぞれ記載されている。
(サ) 講義メモ部分のうち,印刷文字部分である29~32頁には,「8)成長管理」について,「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとに説明が記載されている。また,30頁には,「図表9 資金の使途のチェックリスト」と題する図表が記載されている。32頁には,手書きで「図表10」と付され,印刷文字により記載された「創業期と転換期のマネジメント」との表題の図表が記載されている。
(シ) 講義メモ部分のうち,手書き部分である33頁には,講義のまとめと参考文献の紹介等が記載され,末尾に「以上をもちまして後半の講義を終了します。」と記載されている。
ウ OHP撮影用のカード部分
(ア) OHP撮影用のカードは,横書きであり,すべて印刷文字で記載されている。
(イ) No1のカードには「皆さんこんにちは。」,「Y2社専任講師のXです。」,「只今から,『○○講座 基礎編 第8回』前半の講義を始めます。」,「テーマは,4.ビジネスプランの作成と評価です。」と記載されている。
(ウ) No2~26
① No2のカードには「ビジネスプランの作成と評価(前半)」,No3のカードには「ビジネスプランの作成と評価(後半)」について,各項目が列挙されている。
② No4のカードには「1)ビジネスプラントは」について記載されている。
③ No5~8のカードには「2)ビジネスプランの目的」について記載され,No6のカードには,(1)策定時の考慮すべき点について,No7のカードには(2)-1策定時の留意事項(実行すべきこと)について,No8のカードには(2)-2策定時の留意事項(実行してはいけないこと)について記載されている。
④ No9~22のカードには,「3)ビジネスプランの内容」について記載され,このうち,No10のカードには,①概要について,No11のカードには,②業界と製品またはサービスについて,No12のカードには,③市場調査と分析について,No13のカードには,④事業の経済性について,No14のカードには,⑤マーケティングについて,No15のカードには,⑥研究開発について,No16のカードには,⑦製造と営業プランについて,No17のカードには,⑧経営チームについて,No18,19ののカードには,⑨全体スケジュール,⑨全体スケジュール(続き)について,No20のカードには,⑩重要リスク,問題点,前提条件について,No21のカードには,⑪ファイナンス計画について,No22のカードには,⑫資金調達の詳細について,それぞれ項目を列挙する方式により記載されている。
⑤ No23のカードには,「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」について記載されている。
⑥ No24のカードには,「5)ビジネスプランの評価」について記載されている。
⑦ No25のカードには,「6)資料作成とプレゼンテーション法」について記載されている。
⑧ No26のカードには,「それでは『○○講座 基礎編 第8回』前半の講義を終了します。」と記載されている。
(エ) No27~55
① No27のカードには,「それでは『○○講座 基礎編 第8回』後半の講義を始めます。」と記載されている。
② No28~46のカードには,「7)事業の進捗管理」について記載されており,このうちNo28~31のカードには,(1)事業のスケジュール策定について記載され,No32~46のカードには,(2)事業計画と財務計画について記載されている。また,上記(1)については,No29のカードに,日々あるいは週ごとの管理について,No30のカードに,月ごと,3ヶ月ごとの管理について,No31のカードに1年ごとに向こう3~5年ごとの管理について,それぞれ記載されている。上記(2)については,No32のカードに,「図表1 事業計画と財務計画必要資料との関連図」が,No33のカードに,貸借対照表に関して「図表2 貸借対照表の構造(勘定式)」が,No34のカードに,損益計算書に関して,「図表3 損益計算書の構造」が,No35のカードに,損益分岐点に関して,「図表4 損益分岐点分析グラフ」が,No36のカードに,固定費/変動費に関して,「図表5 固定費/変動費の構造変更」が,No37,38のカードに,事業シミュレーションに関して,No37に「図表11 事業シミュレーション(事業開始前作成)」が,No38に「図表12 事業シミュレーション(事業開始後実績に基づき作成)」が,No39,40のカードに,収益感度分析に関して,No39に「図表6 収益感度分析(オリジナルケース:来客数7%/月増加)」が,No40に「図表6 収益感度分析(続き)」が,No41,42のカードに,収益感度分析1に関して,No41に「図表7 収益感度分析1(来客数横ばい)」が,No42に「図表7 収益感度分析1(続き)」が,No43,44のカードに,収益感度分析2に関して,No43に「図表13 収益感度分析2(来客数7%増,客単価5%増)」が,No44に「図表13 収益感度分析1(続き)」が,No45,46のカードに,キャッシュフロー計算書に関して,No45に「図表8 キャッシュフロー・シミュレーション」が,No46に「図表8キャッシュフロー・シミュレーションX年4月拡大」がそれぞれ記載されている。
③ No47~52のカードには,「8)成長管理」について記載されており,このうち,No47のカードには,(1)増加運転資金と資金調達について,No48のカードには,(2)資金調達に関して「図表9資金の使途のチェックリスト」が,No49のカードには,図表9の続きが,No50のカードには,金融機関からの資金調達について,No51のカードには,その他に関して「図表10 創業期と転換期のマネジメント」が,No52のカードには,図表10の続きがそれぞれ記載されている。
④ No53~56のカードには,中小企業白書の項目と,参考文献,そして,「それでは『○○講座 基礎編 第8回』後半の講義を終了します。」と記載されている。
エ 項目立て
上記のとおり,原告メモ等(甲3)における項目立ては,次のとおりとなっている(No2,3のカード参照)。
1) ビジネスプランとは
2) ビジネスプランの目的
(1) ビジネスプラン策定時に考慮すべき点
(2) ビジネスプラン策定時の留意事項
(2)-1 策定時の留意事項(実行すべきこと)
(2)-2 策定時の留意事項(実行してはいけないこと)
3) ビジネスプランの内容(12項目)
4) ビジネスプランの作成方法とポイント
5) ビジネスプランの評価
6) 資料作成とプレゼンテーション法
7) 事業の進捗管理
(1) 事業のスケジュール策定
(2) 事業計画と財務計画
8) 成長管理
(1) 増加運転資金と資金調達
(2) 資金調達
(3) その他 創業期と転換期のマネジメント
(5) 被告Y2社テキスト(第8回)の原稿(甲2)
ア 受講生に配布された被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)に関しては,同テキストの原稿(甲2)(以下「第8回テキスト原稿(甲2)」という。),同原稿(甲2)を元に被告Y2社が作成し,Aが手書きで修正を加えた同テキストの校正原稿(乙4),被告Y2社において保管されていた同テキストの電子データ(丙11の1~3)が残されている。
イ 第8回テキスト原稿(甲2)
(ア) 第8回テキスト原稿(甲2)は,表紙に「○○講座基礎編 8回 財務(ビジネスプランの作成・評価と財務)」との表題等が記載され,本文は,横書きで全14頁であり,被告Y1社のAの筆跡による手書き部分である前半部分(1~4頁)と,印刷文字部分である後半部分(5~14頁)から構成されている(別紙「第8回テキスト原稿(甲2)」参照)。なお,表紙には,表題の下に,作成者について「中小企業診断士 X」とされ,「X」の上部にAの名が追記されたように薄い文字で記載されている。
(イ) 前半部分(1~4頁)
① 前半部分には,「1 ビジネスプランの作成と評価」との表題の下に,「1)ビジネスプランとは」,「2)ビジネスプランの目的」,「3)ビジネスプランの内容」(以上,1~2頁),「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」,「5)ビジネスプランの評価」,「6)資料作成とプレゼンテーション法」(以上,3~4頁)について記載されており,2頁には,J.A.ティモンズ著「c」ダイヤモンド社から引用した「ビジネスプランの内容」と題する項目を列挙した図表が転載されている。
② 前半部分の4頁には,「7)事業の進捗管理 (1)事業のスケジュール策定,・(2)管理と資金計画」,「8)成長管理 (1)増加運転資金と資金調達,(2)必要な人材,(3)アウトソーシング」との項目のみが記載された上,7),8)のそれぞれの項目全体に×印が付されている。
(ウ) 後半部分(5~14頁)
① 後半部分のうち,5~11頁には,「7)事業の進捗管理」について,「(1)事業のスケジュール策定,(2)事業計画と財務計画」の各項目ごとに説明が記載されている。また,6頁には,手書きで「図表1」と付された図表「事業計画と財務計画に必要なものの関連図」が,7頁には,手書きで「図表2」と付された図表「貸借対照表の構造(勘定式)」及び手書きで「図表3」と付された図表「損益計算書の構造」が,8頁には,手書きで「図表4」と付された図表「損益分岐点分析グラフ」及び手書きで「図表5」と付された図表「固定費/変動費の構造変更」が,9頁には,手書きで「図表6」と付された図表「収益感度分析[オリジナル・ケース]」及び「オリジナル・ケースの月次収支,月末キャッシュ残高」が,10頁には,手書きで「図表7」と付された図表「収益感度分析[感度分析1:客数横ばい]」及び「感度分析1の月次収支・月末キャッシュ残高」が,11頁には,手書きで「図表8」と付された図表「キャッシュフロー・シミュレーション」がそれぞれ記載されている。
② 後半部分のうち,12~14頁には,「8)成長管理」について,記載されているが,項目立てはなく,「P.F.ドラッカーによると,その著『d』において『ベンチャービジネスは売上が40%ないし50%伸びるごとに資本構成が陳腐化してゆく』といわれる」,「このようにベンチャービジネスが成長を遂げると,通常,新しい資本構成が必要になります」,「図表9に創業期と転換期のマネジメントを示している」とのみ記載している。また,13頁には,手書きで「図表9」と付された図表「創業期と転換期のマネジメント」が,14頁には,2頁と同じ図表「ビジネスプラン」が,それぞれ掲載されている。
(エ) 項目立て
上記のとおり,第8回テキスト原稿(甲2)における項目立ては,次のとおりとなっている。
1) ビジネスプランとは
2) ビジネスプランの目的
(1) ビジネスプラン策定とその作成に当たって考慮すべき点
(2) ビジネスプランを成功させるための留意事項
① 実行すべきこと
② 実行してはいけないこと
3) ビジネスプランの内容
(1)概要,(2)業界と製品又はサービス,(3)市場調査と分析,(4)事業の経済性,(5)マーケティング,(6)研究開発,(7)製造と営業計画,(8)経営チーム,(9)全体スケジュール,(10)重要リスク,問題点,前提条件,(11)ファイナンス計画,(12)資金調達の詳細
4) ビジネスプランの作成方法とポイント
(1) 作成方法
(2) 作成のポイント
5) ビジネスプランの評価
(1) ビジネスプラン作成の各ステップ毎に企業家や経営チームのメンバーや投資家達から行われる質問や疑問に答えられる様検討及び企画がなされているか,ステップ毎,項目ごとの評価が不可欠である。
(2) 全プランの流れの中の主要事項を評価者の立場でそれぞれの評価を行う。(評価者とは,次の6)(2)のプレゼンテーション対象者と同じ。)
6) 資料作成とプレゼンテーション法
(1) 「ビジネスプラン」が完成してから,プレゼンテーション法を考え,検討しても遅い。
(2) 「ビジネスプラン」を作成し,資料を作成する段階から,プレゼンテーションを行う対象者別に,ビジネスプランの構成や,スタイル等を対応させておくことが重要である。対象者を明確にせず作成したビジネスプランでプレゼンテーションを行うことは,プレゼンテーション・マインドに欠けた行動をとることになる。
(3) ビジネスプランの対象者の例は次のとおりである。
(4) ビジネスプランの書き方を,対象者を念頭に置いて決めていく。
7) 事業の進捗管理
(1) 事業のスケジュール策定
(2) 事業計画と財務計画
8) 成長管理
(6) 被告Y2社テキスト(乙10,11)
ア 被告Y2社テキスト(第5回)(乙10)
(ア) 被告Y2社テキスト(第5回)(乙10)は,表紙に「○○講座 基礎編 5回」との表題等が記載され,本文は,横書きで全12頁である。
(イ) 被告Y2社テキスト(第5回)(乙10)の1頁には,「●本稿の体系図」と題するチャートが記載され,主要な項目として「企業家の役割と企業活動」,「事業機会の発見と評価」,「ビジネスプランの作成と評価」,「ビジネスモデルの構築」がブロックで記載されている。また,1頁末尾には,「第5回は,『創業や経営革新に関する診断・助言』のための次の理論と知識を学習し,整理する(このうち『ビジネスプランの作成と評価』については,第8回『財務』のところで詳しく展開する予定)」と記載されている。
(ウ) 被告Y2社テキスト(第5回)(乙10)の2~12頁には,「1.企業家の役割と企業活動」,「2.事業機会の発見と評価」,「3.ビジネスモデルの構築」について,それぞれ記載され,「ビジネスプランの作成と評価」についての記載はない。
イ 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)
(ア) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,表紙に「○○講座 基礎編 8回」との表題等が記載され,本文は,横書きで全15頁である(別紙「被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)」参照)。
(イ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の本文は,「1.ビジネスプランの作成と評価」との表題の下に,次の項目立てとなっており,項目ごとの説明を記載している。
1) ビジネスプランとは(1頁)
2) ビジネスプランの目的(1~2頁)
(1) ビジネスプランの策定とその作成にあたって考慮すべき点
(2) ビジネスプランを成功させるための留意事項
① 実行すべきこと
② 実行してはいけないこと
3) ビジネスプランの内容(2~3頁)
(1)概要,(2)業界と製品,またはサービス,(3)市場調査と分析,(4)事業の経済性,(5)マーケティング,(6)研究開発,(7)製造と営業計画,(8)経営チーム,(9)全体スケジュール,(10)重要リスク,問題点,前提条件,(11)ファイナンス計画,(12)資金調達の詳細
4) ビジネスプランの作成方法とポイント(4頁)
(1) 作成方法
(2) 作成のポイント
5) ビジネスプランの評価(4頁)
(1) 質問,疑問の答えられるか(対質問項目)
(2) 評価者の立場に立っての評価(対主要事項)
6) 資料作成とプレゼンテーション法(5頁)
(1) ビジネスプランが完成してから,プレゼンテーション法を考え,検討しても遅い。
(2) 「ビジネスプラン」を作成し,資料を作成する段階から,プレゼンテーションを行う対象者別にその構成やスタイル等を対応させておくことが重要である。対象者を明確にせず作成したビジネスプランでプレゼンテーションを行うことは,プレゼンテーション・マインドに欠けた行動をとることになる。
(3) ビジネスプランの対象者は以下の通りである(例)。
(4) ビジネスプランは対象者を念頭に行う。
7) 事業の進捗管理(5~12頁)
(1) 事業スケジュールの策定
(2) 事業計画と財務計画
8) 成長管理(13~15頁)
(1) 増加運転資金と資金調達
(2) 資金調達
(3) その他
(ウ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の「3)ビジネスプランの内容」の関係では,「『c』J.A.ティモンズ著/ダイヤモンド社」の「■ビジネスプラン」と題する「Ⅰ~ⅩⅢ」の主要な項目に該当する項目が列挙された図表が引用されている(3頁)。
(エ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の「7)事業の進捗管理」(5~12頁)の関係では,「図表① 事業計画と財務計画に必要なものの関連図」(7頁),「図表② 貸借対照表の構造(勘定式)」,「図表③ 損益記計算書の構造」(8頁),「図表④ 損益分岐点分析グラフ」,「図表⑤ 固定費/変動費の構造変更」(9頁),「図表⑥収益感度分析(オリジナルケース)」,「上記オリジナルケースの月次収支,月末キャッシュ残高」(10頁),「図表⑦ 収益感度分析1/客数横ばい」,「収益感度分析1の月次収支・月末キャッシュ残高」(11頁),「図表⑧ キャッシュフロー・シミュレーション」(12頁)がそれぞれ記載されている。
(オ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の「8)成長管理」(13~15頁)には,前記の「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとに説明が記載されている。また,「図表⑨ 資金の使途のチェックリスト」(14頁),「図表⑩ 創業期と転換期のマネジメント」(15頁)がそれぞれ記載されている。
ウ 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と第8回テキスト原稿(甲2)の対比
(ア) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と第8回テキスト原稿(甲2)は,「1)ビジネスプランとは」(1頁),「2)ビジネスプランの目的」(1~2頁),「3)ビジネスプランの内容」(2~3頁),「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」(4頁),「5)ビジネスプランの評価」(4頁),「6)資料作成とプレゼンテーション法」(5頁)は,形式面,内容面において,ほぼ同じである。
(イ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,「7)事業の進捗管理」(5~12頁)においては,第8回テキスト原稿(甲2)と,内容面において,ほぼ同じであり,形式面においても,一部,文の順番を変えたり,図表における文の配置や棒グラフを立体的な表現に変更したり,文体を統一する等の変更を除き,ほぼ同じである(なお,当該部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と,原告メモ等(甲3)の「7)事業の進捗管理」(18~19頁)部分が,同一である。)。
(ウ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,「8)成長管理」(13~15頁)において,冒頭「P.F.ドラッカーはその著『d』において「ベンチャービジネスは売上が40%ないし50%伸びるごとに資本構成が陳腐化してゆく」と言っている。」,(改行)「このように,ベンチャービジネスが成長を遂げると,通常,新しい資本構成が必要になる。」と記載している部分,「創業期と転換期のマネジメント」と題する図表を記載している部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と同一である(なお,当該部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と,原告メモ等(甲3)の「8)成長管理」の冒頭4行部分(29頁)及び「図表10」(32頁)が,ほぼ同一である。)。
(エ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,(ウ)に続き,「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとに説明が記載されるとともに,「図表⑨ 資金の使途のチェックリスト」(14頁)が記載されているが,第8回テキスト原稿(甲2)には,当該部分はなく,両者は,相違している(なお,当該部分は,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と,原告メモ等(甲3)の「8)成長管理」の「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとの説明部分(29~31頁)及び「図表⑨」(30頁)が,ほぼ同一である。)。
(7) 本件訴訟に至る経緯等(甲1,2,乙6,原告本人)
ア 原告は,被告Y1社から,平成15年10月31日付けで,第8回テキスト原稿(甲2)を含む資料の送付を受けた。
イ 原告と被告ら間においては,平成18年,別件著作権侵害訴訟(東京地方裁判所平成18年(ワ)第4824号,12689号,東京高等裁判所平成18年(ネ)第10090号。以下「別件訴訟」という。)が係属していたが,控訴審において和解により解決した。
ウ 原告は,被告Y1社に対し,平成19年1月28日付け内容証明郵便(乙16)により,,本件講座の第8回で使用されたテキストが,原告メモ等(甲3)の著作権及び著作者人格権を侵害したと主張して,損害賠償金として30万円を支払うよう求め,さらに,平成21年6月5日付け内容証明郵便(甲1)により,同じく被告Y1社に対し,同様の理由により,損害賠償金として50万円を支払うよう求めた。
エ 原告は,当裁判所に対し,平成21年7月13日,本件訴訟を提起した。原告は,本件訴訟において,別紙原告準備書面・及び同原告準備書面・各記載の部分について,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及びその原稿である第8回テキスト原稿(甲2)による,原告メモ等(甲3)の著作権及び著作者人格権の侵害を主張している。
3  争点
(1)  第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,原告メモ等(甲3)に依拠して作成されたものか否か
(2)  原告メモ等(甲3)の著作物性
(3)  原告メモ等(甲3)の著作権侵害行為の成否
(4)  原告メモ等(甲3)の著作者人格権侵害行為の成否
(5)  故意過失の有無
(6)  損害
(7)  消滅時効の成否
4  争点に対する当事者の主張
(1)  第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,原告メモ等に依拠して作成されたものか否か
(原告)
ア 主位的主張
(ア) 前提となる事実(3)ウのとおり,原告は,平成13年3月1日,本件講座の「第8回」のVBクラスの講義について,ビデオ収録を行った。
(イ) 原告は,「新規事業開発」の講義を担当しているとの認識であり,内容的にも「新規事業開発」であった(甲6,8)。
(ウ) 原告は,被告Y1社に対し,平成13年3月3日ころ,質問者への対応に備えるためとの依頼に基づき,原告メモ等(甲3)の確定版のコピーを同被告に送付した。
(エ) 被告Y1社のAは,本件講座の「第8回 財務」の生クラスの講義で使用する被告Y2社テキスト(第8回)の原稿を,平成13年2月19日から書き始めたが,(ウ)のとおり,財務的要素を多く含む原告メモ等(甲3)の送付を受けて,同年3月3日から同月8日までの間に,原告に無断でこれを流用し,同月10日の生クラスの講義に間に合わせた。
(オ) 被告Y2社は,被告Y1社との間で業務委託契約を締結しており,また,本件講座を開催し,原告の新規事業開発用の著述を流用して,被告らが財務のテキストを作成,配布したから,管理責任を負う。
イ 予備的主張
仮に,上記アの事実が認められないとしても,原告は,被告Y1社に対し,次の事情から,平成13年2月中に,原告メモ等(甲3)の原稿を送付したことが想定され,又は,同被告が,何らかの方法で原告メモ等(甲3)を入手したものであり,同被告は,これを流用して,第8回テキスト原稿(甲2)等を作成した。
(ア) Aは,第8回テキスト原稿(甲2)の作成を急いでいたため,原告に対し,「受験生の質問に備えるので,資料を提出せよ。」と述べ,「未完成でも,乱雑なメモでも良いから早く送れ」と催促した。
(イ) 原告は,Aの関係者であるBとは,同人が,平成13年2月,新規事業開発に関する参考資料を送付してきたことから交流があり,ビデオ収録前に確認のため,同月中に原告メモ等(甲3)の原稿を送ったことが想定される。
ウ 被告らの主張に対する反論
(ア) 第8回テキスト原稿(甲2),校正原稿(乙4),被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)を2月中に納品したことを表すを日程的に確定できる資料はない。仮に,ありえたとしても,被告Y1社は,何らかの方法で入手して流用し,第8回テキスト原稿(甲2)を作成した。
(イ) 原告は,原稿料の支払いを受けていない。原告が受領した4万5000円は,講義のビデオ収録に対する報酬である。報酬支払明細書(乙7)の「k50000」は,行中の空白部分に書き加えられており,後日操作された可能性がある。同書面(乙7)が正しい場合には,上記記載から,被告Y1社が,原告メモ等(甲3)の少なくとも後半部分を平成13年2月中に入手し,流用したことになる。また,被告が支払ったという1万9188円は,原告メモ等(甲3)を流用したために,後日問題が起きたときに釈明できるよう支払ったことが想定される。原告は,平成12年12月18日の会合に出席したことはあるが,何らの説明も受けておらず,平成13年1月中の会合には出席していないから,講師料や原稿料の説明は受けていない。
(ウ) 校正原稿(乙4)の受信記録は,コピー技術が普及している現在においては,信頼できない。校正原稿(乙4)の状態で,被告Y2社が2月度支払計上を承認したとは考えられない。
(エ) 原告は,第8回テキスト原稿(甲2)を,平成15年10月31日付けで初めて受領したから(乙6),これに基づいて原告メモ等(甲3)を作成することはない。
(オ) 原告の担当講義
原告は,「新規事業開発」の講義を担当した。講義においても「テーマは『ビジネスプランの作成と評価です』,ビジネスプランは『財務・会計』の科目と密接な関係にあるので…」(原告メモ等(甲3)1頁)と述べて,財務とは異なる範疇の講義であることを説明しており,参考文献としても,「e」(被告Y2社が出版)を明記している。内容も,財務関連の項目は,8項中の第7項目「事業の進捗管理」の2番目の項目「事業計画と財務計画」に含まれるだけで,大部分は「新規事業開発」である。「新規事業開発」のVBクラスは,ビデオ収録が終了した平成13年3月1日の19:30以降でも受講は可能であるから,同日の収録もあり得る。
(被告ら)
第8回テキスト原稿(甲2)及び校正原稿(乙4)は,次のとおり,平成13年2月末日までに完成し,被告Y2社に納品されており,被告Y2社は,同年3月2日に,テキスト原稿の印刷を業者に依頼しているから(丙5,6),同年3月3日ころに送付されたという原告メモ等(甲3)に依拠して,これを使用・改竄して作成することはない。
他方,原告メモ等(甲3)は,第8回テキスト原稿(甲2)又は校正原稿(乙4)を元に原告が作成したものと推認される。
ア 作成の経緯
(ア) 第8回テキスト原稿(甲2)のうち前半手書き部分は,Aが作成し,後半印字部分は,原告がAから指示・依頼を受けて作成した。
(イ) すなわち,Aは,原稿を全て自ら執筆するつもりで途中まで書き上げたが,納期までに原稿を完成させることが困難となったため,原告に対し,途中まで執筆した原稿(甲2の前半部分)を送り,「財務」のテキストとして必要な項目(事業の進捗管理,成長管理)及び項目ごとに参考とすべき文献を指示して,「財務」のテキストの原稿を完成させるよう依頼した。これを受けて,原告は,残りの原稿(甲2の後半部分)を執筆した。なお,Aは,原告に「財務」のビデオ講義の講師も依頼した。
(ウ) Aは,自ら及び原告が執筆した原稿(甲2)を合わせて被告Y2社に送付し,これを元に被告Y2社が校正原稿(乙4)を作成した。被告Y2社は,平成13年2月27日,Aに校正原稿(乙4)をFAX送信した。
(エ) Aは,校正原稿(乙4)を確認し,一部修正を入れた。
(オ) 修正の入った校正原稿(乙4)を元に被告Y2社がデータ(丙11の1~3)を作成し,これを印刷・製本してテキスト(乙11)を作成した。
イ 作成時期
(ア) 校正原稿(乙4)は,上部に「2001 02/27 15:27FAX 〈省略〉」,「Y2社シンジュクホンブ34」との受信記録が印字されており,校正原稿(乙4)が,平成13年2月27日の15時27分に被告Y2社新宿本部からFAXで送信されてきたことが分かる。
(イ) 被告Y1社が作成した平成13年2月分の報酬支払明細書(乙7)には,「合格講座(8回)[テキスト]」,「15頁」と記載されており,テキストが2月中に納品されていることが分かる。同書面(乙7)に記載された金額は,被告Y2社にも承認され,平成13年3月に被告Y2社から被告Y1社に「原稿料」として支払われている(丙7)。
(ウ) 本件講座のスケジュール表(乙12の1)によると,被告Y2社テキスト(第8回)である「創業基礎 財務」のテキストの入稿は,平成13年2月27日以前に完了しており,第8回テキスト原稿(甲2)及び校正原稿(乙4)が同月中に作成されていたことは明らかである。
(エ) 被告Y2社が被告Y1社に対して同年3月に支払った原稿料は,同年2月末日までに納品が完了した原稿に対してであるところ(丙5),被告Y1社の報酬請求明細(乙7)には,上記テキストの原稿料も含まれている。そして,被告Y1社は,原告に対し,第8回テキスト原稿(甲2)後半部分の原稿料として,平成13年4月9日に4万5000円=5万円(=5000円/頁×10頁)-5000円(源泉徴収)を支払った(乙7)。2次試験の講師経験のある講師も,ビデオ講義の講師料単価は8000円/時であり,当該経験のなかった原告の講師料単価が,1万8000円/時(=4万5000円÷2.5時間)であることはない。被告Y1社は,業務を行った翌月に被告Y2社から委託料の支払を受け(乙7,9,丙5,6),その翌10日ころに,講師料や原稿料を支払っていたから,平成13年3月1日に行われた本件講座第8回のビデオ講義の講師料が,同年4月9日に支払われることは,業務フロー的にあり得ない。なお,当該ビデオ講義の講師料は,同年5月10日に,{2万円(=8000円×2.5時間)+1320円(交通費)}-2132円(10%)=1万9188円を支払っている(乙8,9)。
イ 時機に後れた攻撃防御方法
原告の予備的主張である「平成13年2月中に,原告メモ等(甲3)の原稿を送ったことが想定される」との主張は,時機に後れた攻撃防御方法であり,却下すべきである。すなわち,被告らは,本件訴訟前及び本件訴訟において,再三にわたり,被告Y2社テキスト(第8回)は,平成13年2月中に被告Y2社に納品されており,ビデオ収録後に被告Y1社に送ったとされる原告メモ等(甲3)を流用して作成されることはあり得ない旨主張を繰り返してきたのであるから,原告が,平成22年5月11日付け原告準備書面(19)において,上記主張をしたことは,時機に後れたものと言わざるを得ず,また,時機に後れたことについて少なくとも重過失があることは明らかである。そして,原告の上記主張を認めれば,裁判所としては,原告メモ等(甲3)の原稿が現実に送付されたのか,いかなるものであるのか,それと校正原稿(乙4)とはどの点が一致するのか等についても審理しなければならなくなり,訴訟の完結を後らせることになる。
(2)  原告メモ等(甲3)の著作物性
(原告)
ア 原告メモ等(甲3)のうち,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)による著作権ないし著作者人格権侵害を主張する部分(別紙原告準備書面(18),(20)参照)は,創作性のある著作物であり,2次的著作物に該当する。
イ ティモンズやドラッカーの著作は,新規事業開発の分野においてバイブル的存在であり,試験問題に引用されることも多いため,受験生にその内容を的確に伝えることが重要である。原告は,約2000頁の参考文献から,10頁くらいの文章・図表を,原告の経験,感性,思想により選択,引用し,ポイントとなる部分の項目立てをし(小項目であっても重要なものは取り入れた。),平易な表現にして解説を加え,原告メモ等(甲3)を著作しており,項目立て,順序,追加,補足説明で創作性を発揮している。また,参考文献から,公正な慣行に従った正当な引用をしている(別紙「原告準備書面(15)」の説明欄参照)。
(被告Y2社)
ア 原告メモ等(甲3)のうち,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)による著作権ないし著作者人格権侵害を主張する部分(別紙原告準備書面(18),(20)参照)は,次のとおり,他の文献をそのまま,またはわずかに修正して転載したものであり,未完成な部分もあるから,創作性はない。
(ア) 原告メモ等(甲3)のNo2のカードの項目立てについては,原告の感性により行ったとはいえず,創作性はない。
(イ) 原告メモ等(甲3)のNo3のカードの項目立てについては,単独で著作物を構成することはあり得ない上,原告の感性により行ったとはいえず,創作性はない。
(ウ) 原告メモ等(甲3)のNo4のカードは,参考文献1(「c」ティモンズ著,ダイヤモンド社刊,丙7の1。以下「参考文献1(丙7の1)」という。)342頁12~14行の記述中,括弧書き部分を省略しているのみであり,他は同一である。同カードには,「ビジネスプランとは」という参考文献1(丙7の1)にはない項目立てがあるが,同カードの記載そのものは,原告の思想を創作的に表現したものではなく,参考文献1の上記箇所を借用したものにすぎない。
(エ) 原告メモ等(甲3)のNo5のカードは,参考文献1(丙7の1)343頁「ビジネスプランの目的」の冒頭「①資金調達,②成長を先導する手段である」という文言を,そのまま目立った態様で描き,その後に括弧書きで「(経営チームや従業員に交付する事業内容の明確化,浸透化,事業の問題点の認識・事業の進歩・成長管理などがある。)」を付加しているにすぎない。また,括弧内の部分は,参考文献1(丙7の1)の344~345頁以下の要約記載であるから,原告の創作性はない。
(オ) 原告メモ等(甲3)のNo6のカードは,参考文献1(丙7の1)343頁左端から3行ないし344頁3行にほぼ同一の記載があり,原告の創作性はない。
(カ) 原告メモ等(甲3)のNo7,8のカードは,参考文献1(丙7の1)357頁の上段の重要部分がNo7のカードに,同頁の下段の重要部分がNo8のカードに,それぞれ実質的に同一の態様で記載されているから,原告の創作性はない。
(キ) 原告メモ等(甲3)のNo9のカードは,参考文献1の1(「c」ティモンズ著,ダイヤモンド社刊,丙7の1の1。以下「参考文献1の1(丙7の1の1)」という。)の60頁の「目次」の項目及び70頁「概要」の主要部分を取り出してほぼ同一順序で並べたに過ぎないから,原告の創作性はない。
(ク) 原告メモ等(甲3)のNo10~22のカードは,いずれも参考文献1(丙7の1)及び参考文献1の1(丙7の1の1)から抽出されており,No10が,参考文献1(丙7の1)402頁図表「ビジネスプラン目次」中のⅠと,No11が同Ⅱと,No12が同Ⅲと,No13が同Ⅳと,No14が参考文献1の1(丙7の1の1)の88~92頁と,No15が参考文献1(丙7の1)の402頁目次中のⅥと,No16が同Ⅶと,No17が同Ⅷと,No18が参考文献1の1(丙7の1の1の98~101頁と同一又は実質的に同一であり,原告の創作性はない。
(ケ) 原告メモ等(甲3)のNo23のカードは,参考文献1(丙7の1)400頁の1~7行から抜粋されており,原告の創作性はない。
(コ) 原告メモ等(甲3)のNo24のカードは,同カードの②(5~10行)の部分は,参考文献3(「f」株式会社グロービス著,ダイヤモンド社刊,丙7の3。以下「参考文献3(丙7の3)」という。)の10頁及び11頁の項目立てと同様か又は実質的に同一態様の記載である。この項目立ては参考文献3(丙7の3)に特有のものであり,当該部分は,原告の著作物ではない。No24のカードのその余の部分は,表現自体が短く,特に工夫がされていることもないから,創作性はない。
(サ) 原告メモ等(甲3)のNo25のカード,講義メモ16頁の項目立ては,「中小企業診断士試験・養成課程科目構成(案)」(乙15)に従っており,原告の感性によるものではないから,創作性はない。講義メモの内容は,そこまで記載されたところの締めくくり文章であり,内容的に常識的なところを普通に表現したものに過ぎず,原告の創作性はない。
(シ) 原告メモ等(甲3)の講義メモ18頁及び19頁1~19行(図表を含む。)は,参考文献2(「f」株式会社グロービス著,ダイヤモンド社刊,丙7の2。以下「参考文献2(丙7の2)」という。)の217頁下から4行~220頁2行まで,215頁中段の(図表5-14)それ自体を複写し,その下に同215頁の9~10行の説明を加えたものにすぎないから,原告の思想を創作的に表現したものではない。
(ス) 原告メモ等(甲3)のNo33,34のカードは,「g」(甲7)の60~61頁と同一であるが,同文献は「中小企業診断士共通科目」の書籍であり,「中小企業診断士試験科目内容」(甲6)の項目「会計」に貸借対照表とあるところを考慮しても,一般的な貸借対照表の構造にすぎず,これが原告の著作物とは考えられない。
(セ) 原告メモ等(甲3)のNo35のカードは,参考文献2(丙7の2)207頁上段の図表(5-11)そのものであり,No36のカードは,参考文献2(丙7の2)90頁上段の図表(3-7)そのものである。また,講義メモ23頁20~21行は,図表の簡単な説明であり,創作性はない。
(ソ) 原告メモ等(甲3)のNo39のカードは,参考文献2(丙7の2)202頁上段の図表(5-5)それ自体であり,No40のカードは,同202頁の図表(5-6)そのものである。また講義メモ25頁6~8行は,客観的事実と条件を記載したものに過ぎず,個性の発露はなく,創作性はない。
(タ) 原告メモ等(甲3)のNo41のカードは,参考文献2(丙7の2)203頁上段,No42のカードは,同頁下段の図表(5-9)自体である。講義メモ26頁1~2行は,客観的事実を記載したにすぎず,創作性はない。
(チ) 原告メモ等(甲3)のNo45のカードは,参考文献2(丙7の2)196頁の図表(5-3)自体である。講義メモ28頁1~11行は,図表の意味に係る客観的事実の説明にすぎず,表現に特段の工夫もないから,創作性はない。
(ツ) 原告メモ等(甲3)の講義メモ32頁の図表10は,参考文献2(丙7の2)の184頁の図表であるから,原告の創作性はない。
イ 原告メモ等(甲3)は二次的著作物ではない。原告メモ等(甲3)は,翻訳著作物,編曲著作物,変形著作物,翻案著作物のいずれにも該当しない。このうち,翻案著作物は,脚色し,映画化し,その他翻案すること(2条1項11号,27条)であり,翻案は,原著作物の存在及び内容を知った上で,「大筋をまね,細かい点を作り直す」行為をいうから,表現形式はそのままで創作行為を加えることをいう。原告メモ等(甲3)は,ほとんどの場合において,参考文献と該当部分との同一性を保っているに過ぎず,変更を加えた部分も些細な点にすぎない。また,項目立ても,Aが原告に対して,項目及び項目ごとの参考文献を指示しており,原告メモ等(甲3)は合格講座用テキストであるから,原告独特の創作活動は困難な性質なものであり,現にそのような項目である。(乙15の30頁)。
原告は,二次的著作物性に関し,原著作者なり翻訳者の許諾について,一切言及していない。
ウ 原告メモ等(甲3)は,参考文献中の相当数のものを,そのまま取り入れて掲載しており,単純な複製であって,適法な引用(48条)ではない。
(3)  原告メモ等(甲3)の著作権侵害行為の成否
(原告)
ア 被告らは,次のとおり,原告の著作物である「新規事業開発」のビデオ講義用の原告メモ等(甲3)を流用・改竄して,第8回テキスト原稿(甲2)を作成し,また,本件講座の「財務・会計」の講義用の被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)を作成して配布し,原告の著作権(複製権)及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害した。権利侵害部分は,別紙原告準備書面(18),(20)各記載のとおりである。
イ 第8回テキスト原稿(甲2)等
第8回テキスト原稿(甲2)等は,原告メモ等(甲3)をわずかに変更しているが,内容が同一であり,複製している。
(ア) 流用等
① 第8回テキスト原稿(甲2)前半手書き部分は,Aが,原告メモ等(甲3)前半部分が口述用で,乱雑なため,そのままでは原稿として提出できず,これを流用して手書きで作成したものである。
② 第8回テキスト原稿(甲2)後半印字部分は,Aが,原告メモ等(甲3)後半部分の印字原稿をそのまま利用し,財務用に改竄して,作成したものである。
③ 原告は,第8回テキスト原稿(甲2)の作成には関わっていない。
a 原告は,Aから,「財務」のテキストの原稿の送付も,その原稿を完成させる依頼も,依頼文書(乙3)の送付も受けていない(原告が執筆すれば,乙4の8頁の図表中の誤記(前期を前記と記載。)2か所を校正したはずである。)。Aが,原告に参考文献を紹介してきたのは,「新規事業開発」全体が対象であり,財務テキストの後半部分対象ではない。原告は,項目及び項目ごとの参考文献の指示は受けていない。
b 第8回テキスト原稿(甲2)後半印字部分の「図表1」~「図表9」の文字は,原告の筆跡に似ているが,原告が記載したことはない。当該「図表1」の文字は,原告メモ等(甲3)の「図表1」の文字を被告Y1社がコピーしたものであり,不要な行「図表5-14…」が削除されている。当該「図表2」~「図表9」の文字は,被告Y1社側で真似をして書いたか,原告メモ等(甲3)や他の原告の原稿の文字をコピーして貼り付けたものと思われる。「図表9」の内容は,原告メモ等(甲3)の「図表10」と同じであるが,原告メモ等(甲3)の「図表9」を採用しなかったため,被告Y1社側で文字の貼り替えが必要になったものと思われる。
(イ) 対比
① 第8回テキスト原稿(甲2),校正原稿(乙4),被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)等は,項目立てにおいて,中小企業診断士試験・養成課程科目構成(案)(乙15)における「新規事業開発」科目前半部分の項目立てである「ビジネスプランの作成目的,ビジネスプランの内容,ビジネスプランの作成方法とポイント,ビジネスプランの評価(評価別の評価ポイント),資料作成とプレゼンテーション方法」ではなく,原告メモ等(甲3)に酷似している。特に,原告メモ等(甲3)における「ビジネスプランの策定時に考慮すべき点」,「ビジネスプラン策定時の留意事項」(実行すべきこと),「ビジネスプラン策定時の留意事項」(実行してはいけないこと)の項目立てを,被告Y1社が流用したことが特徴的である。
② 原告メモ等(甲3)のNo7のカードの「(2)-1策定時の留意事項」の項目自体は,養成課程科目構成(案)にはなく,更に,「③このベンチャーに投・融資したい気持ちを抱かせるようにする。」は,原告が,起業家塾において,ベンチャーの気持ちを理解しながら,盛んに使っていた言葉を選択したものである。ティモンズのオリジナルは「多大な時間と費用をかけてビジネスプランを策定することにより,ベンチャーに対するコミットメントの強さを読み手に伝える。」という難解な文章で,原告は,理解しやすい文章に変えたものであり,被告が,原告メモ等(甲3)を流用した例である。
ウ 被告Y2社は,管理責任を負う。
(被告ら)
ア 原告メモ等(甲3)の項目立ては,「中小企業政策審議会ソフトな経営資源に関する小委員会報告書 新しい中小企業診断士制度について」(乙15)における「中小企業診断士試験・養成課程科目構成(案)」に従ったものにすぎず,「ティモンズやドラッカーの著書から,原告の感性により,重要部分を選択し」たものでも,「原告の感性により行った」ものでもない。第8回テキスト原稿(甲2)は,前半部分をAが作成し,後半部分は,原告がAから項目及び項目ごとの参考文献の指示を受けて作成したため,原告としては,その項目立ての由来を知り得なかったものである。
イ 原告準備書面(18),(20)に指摘された部分についても,著作権侵害はない。
(ア) 原告メモ等(甲3)No3のカードの項目は,乙11の各所に広い範囲において適切に使用されており,複製ではない。
(イ) No4のカードに対応する乙11部分は,参考文献1(丙7の1)の該当箇所を受講者が理解しやすいように説明し,見解の基礎がティモンズにあることを括弧をもって頻用しており,表現からみて,ティモンズの見解を基礎にしながら,独自の著作物を構成しており,著作権侵害はない。
(ウ) No5に対応する乙11の1頁11~15行は,内容的には実質的に近似するが,記載の仕方態様は,複製ではなく,原著を基礎として許される範囲で引用したものである。
(エ) No6に対応する乙11の1頁16~23行は,ティモンズの見解を平易に記載したものであって,甲3の複製物ではない。
(オ) No7,8に該当する乙11部分は,参考文献1(丙7の1)の見解を基礎とするものであって,甲3を真似たものではない。同文献の357頁を平易な文章に置き換えたものに過ぎず,原告著作物の複製ではない。
(カ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)のうち,原告メモ等(甲3)のNo23のカードに対応する部分は,参考文献1(丙7の1)の400頁を正しく要約して,意義のある文章にして掲載しているから,著作権侵害はない。
(キ) No24のカード1~4行に対応する乙11の4頁15~19行は,共通する部分はあるが,その部分は少なく,内容的にも詳しいから複製行為に該当しない。
(ク) No25のカードと乙11の5頁12~18行は,内容が異なっており,複製には該当しない。
(ケ) 乙11の7)事業の進捗管理について,原告が指摘する部分が同じであることは認めるが,被告Y1社がそのようにした理由は,被告Y2社は関知しない。
(コ) 原告メモ等(甲3)の講義メモ29頁1~2行の「企業家」は,P.F.ドラッカー著「d」の331頁14行,15行においても「企業家」と記載されており,誤記ではないから,著作権侵害ではない。
(サ) 原告メモ等(甲3)の講義メモ30頁1~4行,13~下から3行は,被告Y1社の主張から,著作権侵害ではない。
(シ) 原告メモ等(甲3)の講義メモ30頁下から2行,31頁1~3行,30頁の図表は,被告Y1社の主張から,著作権侵害ではない。
(被告Y2社)
原告の主張する被告Y2社の「管理責任」については,争う。
被告Y2社が,何故,業務委託契約に基づき,第三者である原告に対して責任を負うのか,法的根拠及び内容は明らかではない。
(4)  原告メモ等(甲3)の著作者人格権侵害行為の成否
(原告)
被告Y1社は,原告メモ等(甲3)を流用・改竄して,第8回テキスト原稿(甲2),校正原稿(乙4),被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)を作成し,著作者人格権(同一性保持権)を侵害した。
被告Y2社は,管理責任を負う。
(被告ら)
原告の主張する事実は否認し,法的主張は争う。
(5)  故意過失
(原告)
ア 被告Y1社
被告Y1社には,著作権侵害,著作者人格権侵害について,故意過失がある。
イ 被告Y2社
(ア) 被告Y2社は,資格取得講座を開講し,受講生用の教材等を発行すること等を目的とする株式会社であるから,第三者の著作権等を侵害することがないよう注意すべきであるのに,これを怠った。
(イ) 本件は,新規事業開発の内容の資料を,無断で「財務」のテキストに流用したものであり,専門的注意能力を持ち,注意義務を負いながら,流用を見て見ぬふりをしており,被告Y2社には,故意又は過失がある。
(被告ら)
原告の主張は争う。
(被告Y2社)
ア 原告の主張する被告Y2社の「注意義務違反」については,争う。
(ア) 時系列上,原告メモ等(甲3)が,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の元となった可能性はあり得ないから,原告の主張は前提を欠く。
(イ) 仮に,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)が,原告の著作物である原告メモ等(甲3)を元に作成したとしても,次のとおり,被告Y2社には注意義務違反はない。
① 同じ講座を,生講義とビデオ講義で異なる講師が担当する場合,受講生間で講座内容が同じになるよう,共通のテキストが使用されるのが通常であり,その場合,両方の講師が協力して内容をすり合わせながら,テキストを作成することは通常予定されることである。
② したがって,仮に,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)が,第8回のビデオ講義を担当した原告作成の原告メモ等(甲3)を元に作成されたとしても,また,そのテキストを,Aが,第8回の生講義において使ったとしても,それは,講義を実施する当業者として通常の専門的注意能力をもってしただけのことであり,被告Y2社が,注意義務違反によって原告の著作権等を侵害したと非難されるべき理由はない。被告Y2社には,故意も,過失による注意義務懈怠もない。
イ 被告Y2社は,平成13年当時から,第三者の著作権侵害を行わないよう注意して業務を行っていた。会社の方針として,第三者の著作物を使う際は,著作者に連絡をとり,使用許諾を受けていた。業務委託契約を締結する際には,契約の相手方である受託者に第三者の著作物を侵害しないように細心の注意を払うように求め,紛争が起きた場合には相手方の責任において解決することになっている(乙2)。
被告Y2社が,被告Y1社に本件講座を委託したのは,同被告のメンバーが,当時,診断士試験予備校の2大代表格のうちの1校であり,老舗で,長年の信頼と定評があった企業経営通信学院における講師経験があり,また,書店で一般に販売できるレベルの書物を作成した経験豊富な人材であったことから,信頼できると判断したからである。
被告Y2社は,差配料を支払うことによって,個々の講師の手配,納期管理等の業務一切をAに任せ,講義のカリキュラムや内容についても,経験豊富な被告Y1社がすべて決めていた。テキストの内容は,すべてAらが決めて作成をし,被告Y2社は,Aから送られてくる原稿を,体裁を整えるために編集したり,誤字や脱字を修正したりする以上のことはしていない(丙16)。
(6)  損害
(原告)
ア 原告は,被告らによる著作権(複製権)侵害行為により,次のとおり,50万円の損害を被った。
(ア) 原告と被告ら間において,従前係属した別件訴訟は,本件講座に使用するための教材(10頁,1頁当たり752字)について,著作権侵害に基づく損害賠償を請求した事案で,損害額が30万円と認定された。
(イ) 本件の被告Y2社テキスト(第8回)は14頁,1頁当たり934字である。
(ウ) そうすると,損害額は,概ね30万円×(14頁×934字)/(10頁×752字)=52万1650円≒50万円である。
(エ) 別件訴訟は,本件講座での教材に対する著作権侵害事件であり,本質的に異なるものではない。
イ 原告は,被告らによる著作者人格権侵害行為により,慰謝料90万円の損害を被った。なお,次の事情がある。
(ア) 被告Y2社テキスト(第8回)の表紙に原告の名前が併記されているのに,講義の機会を与えられなかったため,1講座当たり5万円×2講座×5年間=50万円の損害を被った。
(イ) 被告Y1社は,被告Y2社テキスト(第8回)の表紙に原告の名前を勝手に記述し,その後も5年8月にわたり,その事実を隠蔽したため,慰謝料90万円の損害を被った。
(被告ら)
原告の主張は争う。別件訴訟の損害額の計算根拠は本件には当たらない。
(7)  消滅時効の成否
(被告ら)
ア 消滅時効(その1)
(ア) 原告は,平成13年3月1日のビデオ収録時において,校正原稿(乙4)又は被告Y2社が受講生に配布したテキスト原稿の元となるものを使用しており,これにより,損害及び加害者を知った。
(イ) 平成16年3月1日が経過した。
(ウ) 被告Y2社は,平成21年11月11日の本件第3回弁論準備手続期日において陳述された同月6日付け同被告準備書面(3)において,消滅時効を援用するとの意思表示をした。
イ 消滅時効(その2)
(ア) 第8回テキスト原稿(甲2)は,被告Y1社のAが,原告に対し,平成15年10月31日に送付した。すなわち,別件訴訟提起前に当事者間で協議した際,原告が,被告Y2社の中小企業診断士試験の受験講座の基礎編のテキスト,レジュメ又はその原稿を全て開示するよう求めたため,Aは,第8回テキスト原稿(甲2)を含めて手元にあるものを送付した。
(イ) 平成18年10月31日が経過した。
(ウ) 被告Y1社は,平成21年10月5日の本件第1回弁論準備手続期日において陳述された同年9月30日付け同被告準備書面(1)において,消滅時効を援用するとの意思表示をした。
(原告)
ア 被告らの主張は,いずれも争う。
イ(ア) 原告は,本件講座のテキスト全ての送付を要求していたところ,平成15年10月31日には一部しか送付されてこなかった。
(イ) 原告は,平成18年11月15日に別件訴訟の第1審判決が言い渡された後,同月16日に控訴準備のため,文書の整理をしているとき,原告メモ等(甲3)の著作権及び著作者人格権の侵害の事実を知った。
(ウ) 原告が,被告Y1社に対し,内容証明郵便により通知したところ,同被告が,平成19年2月10日,解決を求めてきたため,原告は,加害者を確定するに至った。
ウ 原告がビデオ収録の際使用したのは,原告メモ等(甲3)である。校正原稿(乙4)は,平成21年11月11日に受領した。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,原告メモ等(甲3)に依拠して作成されたものか否か)について判断する。
前提となる事実に加え,証拠(甲1~3,5,8,9,乙1~12,15~18,丙1,5~8,16(ただし,書証は枝番を含む。),証人D,証人A,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実が認められる。
(1)  第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)作成の経緯
ア 被告Y2社は,平成13年,中小企業診断士試験の講座として,本件講座である「2001年度○○講座」を開設することとし,同年1月ころ,その講座の企画,講義,テキストの作成について,被告Y1社に対して,業務委託した。
イ 本件講座は,基礎編(オリエンテーション,創業基礎,改善基礎,政策基礎,助言理論基礎)全24回,応用編(創業,経営改善,中小企業政策)全12回,実践編(まとめ・総合,口述)全12回から成っており,基礎編は,事例問題である2次試験に必要な1次試験の知識を深めるとともに,2次試験で必要となる知識を加えていくこと,1次試験の知識から2次試験へ移行するための事例演習の助走を行うことを,主な内容及び狙いとしていた。被告Y2社のスケジュール(甲5)では,基礎編の創業基礎では,第5回「新規事業」,第6,7回「Y1社①,②」,第8回「財務」,第9,10回「創業に関する基礎事例①,②」の各講義が予定された。原告は,当該スケジュール(甲5)の写しについては,平成12年12月中旬ころ,他の講師とともに被告Y2社を訪問した際,入手していた。
ウ 当時の被告Y1社の代表者であったAは,本件講座を企画した当初,「新規事業開発」の講義を1回で行う予定であったが,同僚の講師であるCから,「新規事業開発」の講義を2回に分け,「新規事業開発」だけでなく,「ビジネスプランの作成と評価」について,「財務」に関連する部分を抽出し,独立した講義とするよう助言を受けたことから,そのように講座を構成することとした。「新規事業開発」に関する被告Y2社テキスト(第5回)(乙10)においても,本件講座の上記構成に従い,新規事業開発の主要な項目の1つとして「ビジネスプランの作成と評価」が記載された上,「第5回は,『創業や経営革新に関する診断・助言』のための次の理論と知識を学習し,整理する(このうち『ビジネスプランの作成と評価』については,第8回『財務』のところで詳しく展開する予定)」と記載された。
エ Aは,当初,中小企業診断士試験2次試験の講師の経験のなかった原告を,本件講座の講師として採用することは考えておらず,第8回「財務」の講義については,自らが生クラス及びVBクラスを担当し,テキストもすべて自ら作成することを考えていた。しかし,Aは,当時,業務が多忙であったことから,平成13年2月19日に至り,準備が間に合わないとの思いと,従前,講師として原告に依頼してきた経緯,本件講座の基礎編講義の上記趣旨から,原告に対し,講義とテキストの一部の準備を依頼することとした。Aは,同月中旬ころ,原告に電話で連絡し,「第8回」の講義の担当を依頼するとともに,テキストの作成を依頼した。
オ Aは,平成13年度に中小企業診断士制度の改革が行われ,新しい制度の要望に沿う指導をする必要を感じていたことから,専門の月刊誌である「企業診断」等に掲載されていた新制度における新規事業開発の試験要領の項目,概要,出題される可能性のある参考文献等の内容に沿うよう,原告に対し,上記参考文献となっていたティモンズ著の「c」(参考文献1(丙7の1))及び株式会社グロービス著の「f」(参考文献2(丙7の2))を紹介した上で,それをベースにして講義するよう依頼した。
また,Aは,原告に対し,「4 Y2社2次試験対策講座の概要」と題する書面(甲8)や,Aが同日までに作成した原稿(第8回テキスト原稿(甲2)の前半部分),参考資料として,従前被告Y2社が刊行していた中小企業診断士の1次試験のテキスト等を送付した。
カ 約1週間後,原告は,Aに対し,印刷文字によるテキスト部分をファクシミリ送信した。Aは,被告Y2社に対し,平成13年2月26日までには,テキストの原稿を提出し,被告Y2社の新宿本部からは,同月27日15時27~42分ころ,同被告が作成した印刷文字によるテキストとして,ファクシミリ送信を受けた。Aは,自らが執筆した前半部分については,当該校正原稿(乙4)に加除訂正を加え,原告が作成したとされる後半部分については,手を入れなかった。
キ その後,上記テキストは,被告Y2社に納品され,本件講座の第8回のテキスト(乙11)として,受講生に配布された。被告Y1社は,本件講座のスケジュール表(乙12)において,平成13年2月26日時点の情報として,創業基礎の「財務」の講義について,「テキストの入稿〆」欄に「了」と記載し,また,被告Y2社に対する提出書類であり,平成13年2月1日から末日までに遂行した業務の内容を記載する「報酬支払明細書」(乙7)において,「合格講座(8回)[テキスト]」,頁数「15頁」,単価「¥5000」,合計額「¥75,000」を記載の上,講師ごとの内訳として,「(○で囲んだ)I 25,000」(Iは,Aを表す。),「(○で囲んだ)K 50,000」(Kは,原告を表す。)と記載しており,同日ころまでに,被告Y2社テキスト(第8回)の原稿は被告Y2社に納品された。
(2)  講義の実施及び報酬の支払い
ア 原告は,本件講座の講義のビデオ収録の準備のため,原告メモ等(甲3)を作成したが,具体的には,OHP撮影用のカードを作成した後,前半の講義部分を,主に手書きで作成した。前半部分で印刷文字で記載されている部分は,以前,Aとともに「生産管理」に関する書籍を書くために,原告が準備していた「日程管理」に関する原稿から挿入した。
イ 原告は,平成13年3月1日,本件講座の「第8回」のVBクラスの講義のビデオ収録を行った。原告は,収録の際,「「只今から『○○講座基礎編第8回』前半の講義を始めます。」,「テーマは『ビジネスプランの作成と評価です。』」,「ビジネスプランは『財務・会計』の科目と密接な関係があるので『財務管理』における…や重要事項を復習しながら進めていきます。」等と述べ,準備したOHP撮影用のカードにも,「只今から,『○○講座 基礎編 第8回』前半の講義を始めます。」,「それでは『○○講座 基礎編第8回』前半の講義を終了します。」,「それでは『○○講座 基礎編 第8回』後半の講義を始めます。」,「それでは『○○講座 基礎編 第8回』後半の講義を終了します。」等と記載していた。
ウ 原告は,平成13年3月上旬ころ,Aの依頼により,被告Y1社に原告メモ等(甲3)の写しを送付したことがあったが,後半部分のOHP撮影用カードの枚数が多かったことから,Aからは,テキストとしては,既に確定している旨を告げられたことがあった。なお,原告は,Aの関係者であるBと一緒に書籍を執筆していたことから,同年2月下旬に,同人を通じて,原告メモ等(甲3)の写しを,被告Y1社に送付した可能性もあるとの認識でいる。
エ 上記のとおり,被告Y1社は,被告Y2社に対し,被告Y2社テキスト(第8回)の原稿を遅くとも平成13年2月中には納品していた。被告Y2社は,被告Y1社に対し,同年3月末日までには,上記テキストに対する報酬分である1頁5000円×15頁=7万5000円を含めて,同年2月中の業務遂行に対する報酬のうちの原稿料として合計58万5000円を支払った。上記テキスト原稿料のうち,原告の執筆分である5000円×10頁-源泉徴収分=4万5000円については,同年4月9日付けで,被告Y1社から原告に対して支払われた。被告Y1社は,また,同年5月9日,同年3月1日のビデオ収録に対する報酬として1万9114円を支払った。ただし,原告は,報酬の内容については,特段認識していなかった。
(3)  本件訴訟に至る経緯及び本件訴訟提起後の経緯
ア 原告は,平成15年10月31日付けで,原告と被告ら間の著作権侵害問題に関して,原告の求めに応じた被告Y1社から,資料の開示を受け,その際,第8回テキスト原稿(甲2)の送付を受けたが,原告は,「新規事業開発」に関する資料ではないと判断して,放置していた。
イ 原告は,別件訴訟の第1審判決が言い渡された翌日である平成18年11月16日,上記資料を整理するうち,第8回テキスト原稿(甲2)と原告メモ等(甲3)との関係に着目するようになった。
ウ 原告は,被告Y1社に対し,平成19年1月28日付け書面(乙16)により,「ビデオ講義用の収録後,時を置かず数日後に,『研究所』からビデオ収録のための講義原稿(OHP用の作成した縦13cm×横19cmの原稿用紙)と講話原稿(口述のための原稿)を,後日,質問その他の時のための資料として提出するよう求められ,『新規事業開発ビデオ収録メモ(口述原稿用・A4で33枚)』と講義原稿(OHP用原稿55枚)を貴研究所宛に郵送しました。」,「貴研究所は,この北垣原稿を無断で使用して」本件講座の第8回のテキストを「作製・配布しておりました。」との内容の通知をした。
エ 被告Y1社は,原告に対し,平成19年2月10日付けで書面(乙17)を送付し,本件講座の第8回のテキストは,「本件講座のビデオ講義の収録が行われた平成13年3月1日より前である同年2月中にY2社に納品されておりますので,本件テキストがビデオ講義の収録後に貴殿から提供を受けたビデオ講義用原稿を『改竄』及び『無断で転載』したものであるという貴殿のご指摘が誤っていることは時系列的にも明らかです。」と伝えるとともに,和解の提案をしたところ,原告においては,著作権侵害の加害者が確定したとの認識を持つようにになった。
オ 原告は,被告Y1社に対し,ウの書面(乙16)と同趣旨の平成21年6月5日付け書面(甲1)を送付した。
カ 原告は,当裁判所に対し,平成21年7月13日,本件訴訟を提起した。
キ 本件訴訟において,原告は,当初,第2,4(1)アのとおり,被告らは,原告がビデオ講義の収録後に送付した原告メモ等(甲3)を流用・改竄して,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)を作成,配布したと主張し,被告らは,上記テキストは,2月中に被告Y2社に納品されており,ビデオ収録後に送ったとされる原告メモ等(甲3)を流用して作成されることはあり得ないとして争ってきた。
ク 本件訴訟において,原告は,平成22年5月11日の本件第7回弁論準備手続期日において陳述された同日付け原告準備書面(19)において,初めて,第2,4(1)イのとおり,原告メモ等(甲3)の原稿を,平成13年2月中に送ったことが想定される旨の主張をするようになった。
(4)  被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),第8回テキスト原稿(甲2)及び原告メモ等(甲3)の対比
原告が侵害著作物として主張する被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),当該テキストの原稿である第8回テキスト原稿(甲2),原告著作物である原告メモ等(甲3)の記載を対比すると,次の各事実が認められる。
ア 項目立て
(ア) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),第8回テキスト原稿(甲2),原告メモ等(甲3)の各項目立ては,前提となる事実(4)エ,(5)イ(エ),(6)イ(イ)のとおりである。
(イ) 主要な項目については,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,本文が,「1.ビジネスプランの作成と評価」との表題の下に,主要項目として,1)ビジネスプランとは,2)ビジネスプランの目的,3)ビジネスプランの内容,4)ビジネスプランの作成方法とポイント,5)ビジネスプランの評価,6)資料作成とプレゼンテーション法,7)事業の進捗管理,8)成長管理の項目立てがされている。当該項目立ては,第8回テキスト原稿(甲2)においても,原告メモ等(甲3)のうち,OHP撮影用のカードにおいても,同一である。
(ウ) 小項目については,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と第8回テキスト原稿(甲2)は,いずれも「2)ビジネスプランの目的」,「3)ビジネスプランの内容」,「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」,「5)ビジネスプランの評価」,「6)資料作成とプレゼンテーション法」,「7)事業の進捗管理」において,小項目が設けられており,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)には「8)成長管理」について,「(1)増加運転資金と資金調達」,「(2)資金調達」,「(3)その他」の小項目が設けられているが,第8回テキスト原稿(甲2)には小項目が設けられていない点を除いて,項目立て及びその内容は,ほぼ同じである。原告メモ等(甲3)においては,小項目は,「2)ビジネスプランの目的」,「7)事業の進捗管理」,「8)成長管理」についてのみ設けられており,その内容は,2)及び7)について,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及び第8回テキスト原稿(甲2)と同じであり,8)について,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と同じである。原告メモ等(甲3)では,その他の項目については,小項目を設けていない。
イ 形式・内容
(ア) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),第8回テキスト原稿(甲2),原告メモ等(甲3)の形式及び内容は,それぞれ前提となる事実(4),(5),(6)イのとおりである。
(イ) 原告メモ等(甲3)は,前半部分と後半部分で異なる形式が採用され,前半部分の講義メモの手書き部分は,項目立てが明確ではなく,また,口述用の文体で記載されている。前半部分の講義メモの印刷文字部分は,「7)事業の進捗管理」及び「8)成長管理」の各項目に沿った説明及び図表が記載されている。後半部分は,項目立てに沿って,カード形式で記載されており,「1)ビジネスプランとは」(No4のカード),「2)ビジネスプランの目的」(No5~8のカード),「3)ビジネスプランの内容」(No9~22のカード),「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」(No23のカード),「5)ビジネスプランの評価」(No24のカード),「6)資料作成とプレゼンテーション法」(No25のカード),「7)事業の進捗管理」(No28~46のカード),「8)成長管理」(No47~52のカード)の各項目ごとに,説明や図表が記載されている。
(ウ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及び第8回テキスト原稿(甲2)は,テキストの体裁として,項目立てに沿って,項目と説明を記載している。両者は,「1)ビジネスプランとは」(1頁),「2)ビジネスプランの目的」(1~2頁),「3)ビジネスプランの内容」(2~3頁),「4)ビジネスプランの作成方法とポイント」(4頁),「5)ビジネスプランの評価」(4頁),「6)資料作成とプレゼンテーション法」(5頁)において,形式面,内容面,項目ごとの頁数の配分等が,ほぼ同じである。
(エ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,「7)事業の進捗管理」(5~12頁)においては,第8回テキスト原稿(甲2)と,内容面において,ほぼ同じであり,形式面においても,一部,文の順番を変えたり,図表における文の配置や棒グラフを立体的な表現に変更したり,文体を統一する等の変更を除き,ほぼ同じである(なお,当該部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と,原告メモ等(甲3)の「7)事業の進捗管理」(18~19頁)部分が,同一である。)。
(オ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,「8)成長管理」(13~15頁)において,冒頭「P.F.ドラッカーはその著『d』において「ベンチャービジネスは売上が40%ないし50%伸びるごとに資本構成が陳腐化してゆく」と言っている。」,(改行)「このように,ベンチャービジネスが成長を遂げると,通常,新しい資本構成が必要になる。」と記載している部分,「創業期と転換期のマネジメント」と題する図表を記載している部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と同一である(なお,当該部分は,第8回テキスト原稿(甲2)と,原告メモ等(甲3)の「8)成長管理」の冒頭4行部分(29頁)及び「図表10」(32頁)が,ほぼ同一である。)。
(カ) 被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)は,上記に続き,「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとに説明が記載されるとともに,「図表⑨ 資金の使途のチェックリスト」(14頁)が記載されているが,第8回テキスト原稿(甲2)には,当該部分はなく,両者は,相違している(なお,当該部分は,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と,原告メモ等(甲3)の「8)成長管理」の「(1)増加運転資金と資金調達,(2)資金調達,(3)その他」の各項目ごとの説明部分(29~31頁)及び「図表⑨」(30頁)が,ほぼ同一である。)。
2  検討
(1)  以上の認定事実によると,原告は,本件講座の「第8回」のビデオ講義を担当し,ビデオ収録の際も,その旨告げていたところ,被告Y2社のスケジュール表(甲5)によれば,本件講座の「第8回」は「財務」の講義であること,講義のテーマである「ビジネスプランの作成と評価」は,「新規事業開発」の主要項目ではあるが,本件講座においては,「第5回 新規事業開発」の講義では扱わず,上記テーマが,財務会計と密接な関係があるため,第8回「財務」で詳しく展開することとされたこと,被告Y1社のAも,「新規事業開発」の講義を2つに分け,「新規事業開発」の内容の一部を「財務」との関連での講義として構成した旨述べていること等からすると,原告が担当した講義は,「第8回 財務」のビデオ講義であったと認めるのが相当である(原告は,担当したのは「新規事業開発」の講義であり,「第8回 財務」ではなかったと主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。)。
(2)  そして,第1に,第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の作成経緯についてみると,上記認定のとおり,本件講座の「第8回 財務」で使用された被告Y2社テキストの原稿の納品時期については,Aと被告Y2社間におけるテキスト原稿のやり取りの経緯や,被告Y1社が被告Y2社に提出した平成13年2月分の報酬支払明細書の記載,被告Y1社が作成した内部資料である本件講座のスケジュール表における平成13年2月26日時点でのテキスト等の準備に関する進捗状況,その後の報酬の支払の経緯,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),第8回テキスト原稿(甲2)及び原告メモ等(甲3)の対比等によると,被告Y2社テキスト(第8回)の原稿は,平成13年2月中には完成し,既に被告Y2社に納品されていたと認めるのが相当である。
すなわち,①Aは,テキストの前半部分を執筆した時点で,平成13年2月中頃,原告に後半部分の執筆と講義を依頼することとし,原告に対し,講義の趣旨を説明したり,項目,参考文献を提示して,具体的な指示を出していたこと,②原告は,その後,1週間程度で第8回テキスト原稿(甲2)の後半印刷文字部分を送付してきたが,校正原稿(乙4)については,Aは前半部分のみを推敲し,後半部分は原告が作成したものであるとの理由で,手を入れておらず,同年2月中には,被告Y2社に納品したこと,③原稿料も,執筆した頁数に応じて,原告とAで按分して支払をしたこと等,経緯に関して合理的な説明をしており,上記納品の時期は,委託業務の遂行と被告Y2社に対する請求の時期,被告Y2社による原稿料の支払の時期とも整合している。
第2に,第8回テキスト原稿(甲2)又は被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と原告メモ等(甲3)を形式面から対比すると,①被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)と第8回テキスト原稿(甲2)は,概ね形式面において同一であるが,これらと原告メモ等(甲3)と比較すると,主要項目の項目立ては同一であるが,小項目を設けるか否かについては,必ずしも同一ではなく,②原告メモ等(甲3)の講義メモの手書きによる前半部分は,大半が口述用の文体で記載され,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)とも第8回テキスト原稿(甲2)と類似していない。
第3に,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及び第8回テキスト原稿(甲2)と,原告メモ等(甲3)を内容面から対比すると,原告メモ等(甲3)の手書きによる前半部分及びカードにおいて,簡潔に記載されている項目について,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及び第8回テキスト原稿(甲2)においては,説明文で記載されているなど(例えば,甲3の手書部分のビジネスプランの作成方法とポイントは表題のみであり,No23のカード「4)ビジネスプランの作成方法とポイント①作成方法」においては,「ビジネスプランの内容で示した項目にそって,ステップを踏んで展開」と記載されているにとどまるのに対し,乙11及び甲2では,「上の3)のビジネスプランの内容で示した大きな項目をナンバーの順にそれぞれステップを踏んで展開していく。まず,aを詳細に検討,作成し,次bというようにstep by stepのプロセスで効率よく遂行していく。」と記載されている。),表現が異なっており,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11),第8回テキスト原稿(甲2)及び原告メモ等(甲3)は,客観的にも類似していると認めることができない。なお,前記1(4)イ(カ)のとおり,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の「8)成長管理」の項目の記載中には,第8回テキスト原稿(甲2)にはその記載がなく,原告メモ等(甲3)の記載とほぼ同一の部分があるが,他方,「8)成長管理」の中で,第8回テキスト原稿(甲2)及び原告メモ等(甲3)に共通に使用されている図表「創業期と転換期のマネジメント」は,いずれも株式会社グロービズ著「f」(丙7の2)の184頁「図表4-14創業期と転換期のマネジメント」を典拠としていると考えられるなど,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)の「8)成長管理」の上記部分が,他の文献等によらずに,原告メモ等(甲3)に基づいていると断定するだけの根拠もなく,上記第1ないし第3で認定したところに照らしても,上記部分があるからといって,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)が原告メモ等(甲3)に依拠したものと認めることはできない。
そうすると,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)及び第8回テキスト原稿(甲2)は,その作成の経緯や,形式面・内容面における対比からみて,原告メモ等(甲3)に基づいて作成されたと認めることは困難であり,上記原稿は,平成13年2月中に完成し,被告Y2社に納品されたと認めるのが相当というべきである。
したがって,原告によるビデオ講義の収録後,平成13年3月上旬に被告Y1社に送付した原告メモ等(甲3)に依拠して,Aにおいて,被告Y2社テキスト(第8回)を作成したとする原告の主張(第2,4(1)ア)は,上記の第8回テキスト原稿(甲2)の納品時期等との関係で認めることはできないというべきであり,その他,これを認めるに足りる証拠はない。
3  原告の予備的主張について
(1)  また,原告は,被告Y1社の他の講師であるBと行っていた他の書籍の執筆の関係で,原告メモ等(甲3)を平成13年2月中に送付した可能性がある等と主張(第2,4(1)イ)し,本人尋問においても,その旨供述するが,あくまでも可能性に留まるものであり,Aにおいて,原告メモ等(甲3)の原稿に基づいて第8回テキスト原稿(甲2)が作成されたことを推認するには足りないというべきである。
仮に,原告メモ等(甲3)が,平成13年2月中に被告Y1社に送付され,第8回テキスト原稿(甲2)及び被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)のうち,原告メモ等(甲3)に依拠して作成された部分があったとしても,その場合は,前記1(2)エのとおり,原告は,その部分についての原稿料を受領しているから,原告メモ等(甲3)の利用について許諾していたものということができ,複製権侵害は成立しない。
(2)  なお,被告らは,原告の第2,4(1)イの主張は,時機に後れた攻撃防御方法であるとして,却下を求めるが,原告の上記主張は,従前の原告及び被告の主張する事実関係に基づき「可能性」として,原告メモ等(甲3)の交付の時期についての主張を追加したにすぎないものであり,新たな事実関係を追加したものではなかったこと,上記に認定したとおり,上記主張は,平成22年5月11日の本件第7回弁論準備手続期日において陳述された同日付け原告準備書面(19)において,初めて主張されたが,本件訴訟は,その後も,他の争点の整理を含めて,同年6月18日に第8回弁論準備手続期日が,同年8月4日に第9回弁論準備手続期日が,同年9月7日に第10回弁論準備手続期日がそれぞれ実施され,第10回弁論準備手続期日では,当事者双方において「主張,書証の提出は,これ以上ない」ことが確認されたこと,同年11月1日の第2回口頭弁論期日においては,証拠調べが実施され,上記原告の主張も含めた審理がされていることからすると,上記原告の主張が時機に後れた攻撃防御方法に該当すると認めることはできないというべきである。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
4  以上によれば,争点(3)(著作権侵害行為の成否)については,第8回テキスト原稿(甲2)による原告メモ等(甲3)の流用,使用に基づき,被告Y2社テキスト(第8回)(乙11)により原告メモ等(甲3)の著作権が侵害されたとの原告の主張は,上記のとおり,原告メモ等(甲3)に依拠して上記原稿及びテキストが作成されたことを認めることはできないから,理由がない。また,争点(4)(著作者人格権侵害行為の成否)について,原告メモ等(甲3)の著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたとの原告の主張も,同様に,認めることはできないと言わざるを得ない。
したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は,理由がない。
第4  結論
以上により,原告の請求は,いずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大須賀滋 裁判官 菊池絵理)
裁判官坂本三郎は,転官につき,署名押印することができない。裁判長裁判官 大須賀滋
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