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「営業アウトソーシング」に関する裁判例(32)平成28年 3月 4日 東京地裁 平26(ワ)18848号 残業代等請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(32)平成28年 3月 4日 東京地裁 平26(ワ)18848号 残業代等請求事件

裁判年月日  平成28年 3月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)18848号
事件名  残業代等請求事件
文献番号  2016WLJPCA03048005

事案の概要
◇被告との間で雇用契約である本件契約を締結して被告に勤務していた原告が、いわゆる所定労働時間外にも就労し、その後被告を退職した旨を主張して、被告に対し、本件契約に基づき、時間外、休日及び深夜の労働に係る割増賃金の一部及びこれに対する遅延損害金の支払、並びに、退職金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するとともに、労働基準法114条に基づき、上述の賃金の一部と同額の付加金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求し、また、安全配慮義務違反による慰藉料等を請求した事案

裁判年月日  平成28年 3月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)18848号
事件名  残業代等請求事件
文献番号  2016WLJPCA03048005

東京都国分寺市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 平松剛
同 伊達竜太
同 湯本良明
同 森﨑善明
同訴訟復代理人弁護士 山縣史也
東京都港区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 木村光伸

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,203万5695円及びこれに対する平成26年3月1日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。
2  被告は,原告に対し,174万4280円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告に対し,72万6600円及びこれに対する平成26年4月26日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4  被告は,原告に対し,30万円及びこれに対する平成26年8月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5  原告のその余の請求を棄却する。
6  訴訟費用は,これを5分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
7  この判決は,第1項,第3項,第4項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主文1項,3項に同旨。
2  被告は,原告に対し,203万5695円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告との間で契約(以下「本件契約」という。)を締結して被告に勤務していた原告が,原告は被告において雇用契約である本件契約の下で平成24年2月26日から平成26年1月25日までいわゆる所定労働時間外にも就労し,その後被告を退職した旨を主張して,被告に対し,本件契約に基づき,上記期間における時間外,休日及び深夜の労働に係る割増賃金の一部及びこれに対する上記退職の日の後の日である最終の支払期日の後の日(平成26年3月1日)から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律6条1項等が定める利率である年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払,並びに,退職金及びこれに対する弁済期の翌日である同年4月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を請求するとともに,労働基準法114条に基づき,上述の賃金の一部と同額の付加金及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案であると解される。
あわせて,原告は,本件訴訟において,被告は適切な人員配置を怠って原告に長時間労働を強い,これにより被告は被告が原告に対して負う安全配慮義務に違反した旨を主張して,被告に対し,債務不履行ないし不法行為に基づき,慰謝料及びこれに対する弁済期の翌日ないし後の日である訴状送達の日の翌日(平成26年8月8日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。
1  争いのない事実等(掲記の証拠等により容易に認定できる事実を含む。)
(1)  被告は,情報通信事業を主たる業とする株式会社である。
(2)  原告は,平成15年3月から,派遣社員として,被告の○○事業部(以下「本件事業部」という。)において勤務していた。(甲19)
原告と被告とは平成19年11月26日に本件契約を締結し,原告は,同日以降,本件契約に基づき,本件事業部において勤務を継続した(なお,本件契約が雇用契約に当たるか否かについては争いがある。)。(甲19)
(3)  原告は,被告に対し,平成26年2月5日,退職届を提出し,同月25日をもって被告を退職した。(甲19)
(4)  被告の就業規則(以下「本件規則」という。)は被告との間で雇用契約を締結した被告の従業員に適用されるものであるところ,本件規則には,上記従業員の賃金に関しては本件規則とは別に定める被告の賃金規程(以下「本件賃金規程」という。)による旨,上記従業員の退職金に関しては本件規則とは別に定める被告の退職金規程(以下「本件退職金規程」という。)による旨の規定がある。(乙1,弁論の全趣旨)
(5)  本件賃金規程には,要旨,被告は被告の従業員に対する給与を当月1日から起算し,当月末日に締め切って計算し,当月25日(支払日が休日の場合はその前日)に支払う旨の規定がある。(乙2)
(6)  本件退職金規程には,要旨,以下の内容の規定がある。(甲8)
ア 被告は,被告の従業員の退職に際して支給する退職金については,本件退職金規程によって支給する。
イ 退職金は,被告の従業員の退職時における基本給与を基準として計算する。被告での勤続年数が6年の被告の従業員が被告の都合によって退職する場合には,上記基本給与に3.5を乗じ,当該従業員が同人の都合によって退職する場合には,上記基本給与に1.5を乗じ,これらによって算出された金額を,当該従業員に支給する退職金の額とする。
ウ 上記勤続年数は,被告の従業員が被告に入社した日から当該従業員が被告を退職し又は死亡した日までとし,1年未満の端数は切り捨てて算出する。
エ 被告は,被告の従業員に対し,退職金を,当該従業員が被告を退職した日から起算して2か月以内に支払う。
2  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  原告が被告の従業員に当たるか
(原告の主張)
ア 原告と被告とは平成19年11月26日に雇用契約を締結したのであり,本件契約は,雇用契約である。原告は,被告に雇用された被告の従業員であった。
イ 以下の各事情に照らせば,原告には被告への使用従属性が認められ,原告は被告の従業員であったといえる。
(ア) 被告はスケジュール表(甲13。以下「本件スケジュール表」という。)を作成し,原告は,本件スケジュール表の内容に従って被告における業務に従事していた。原告には,上記業務に従事するかしないかの諾否の自由はなかった。
(イ) 原告は,本件事業部における原告の上司であったB部長やC氏の指揮命令の下,また,本件事業部における原告の上司がすべて退職した後は,被告のクラウド事業部のD氏の指揮命令の下,被告における業務に従事していた。原告が被告において一人で業務をすることはあったが,この際も,原告は被告所定のマニュアル(甲14。以下「本件マニュアル」という。)に沿って業務をしており,原告による業務の遂行方法等について,被告の指揮監督は及んでいた。
(ウ) 原告は,本件事業部に所属していたが,原告の上司の指示によって,被告の他の部署の業務にも従事することがあった。
(エ) 本件事業部では,午前9時15分から午後5時15分までの勤務と午後5時15分から翌日午前9時15分までの勤務の2交代制が採用されており,出勤時刻及び退勤時刻が定められていた。原告は,上記勤務時間中には,自由な時間を有しなかった。
被告の従業員は被告にスケジュール表,タイムカード,センター業務日報を提出することを義務づけられていたが,原告も,同様に,被告に上記各書類を提出することを義務づけられていた。また,原告は,被告から,原告の被告における勤務場所を指定されていた。
(オ) 原告が,原告以外の第三者に,被告における業務を委託することや,上記業務に補助者を使用することは許されなかった。
(カ) 原告の本件契約に基づく賃金の水準は,時給1200円であったが,この水準は,被告が雇用契約を前提に募集している求人の条件とほぼ同じである。また,原告の本件契約に基づく賃金は時給制であり,上記賃金は原告が被告に提供した労務の提供量(時間)によって算定され,原告が深夜に労働した場合には,上記水準の2割増しの賃金が支払われた。
原告は,被告から,上記賃金を月ごとに支給されており,その際,給与明細書を渡されていた。上記給与明細書には,基本給,普通残業手当の項目があった。
(キ) 被告は,被告が被告の雇用する従業員に対して支払う賃金から所得税を源泉徴収していたところ,被告は,被告が原告に対して本件契約に基づいて支給する金員からも,所得税を源泉徴収していた。また,原告は,被告において勤務している間に,雇用保険にも加入することができた。
(ク) 原告は,個人事業主として稼働した経歴を有しない。
(ケ) 原告は,被告において勤務している間に,副業等を行っていない。
(コ) 原告は,原告が被告に入社する際,身元引受書の提出を求められた。また,原告が被告で勤務している間,原告は,被告から,被告の服務規律を適用され,被告の社内行事に参加することを認められ,また,原告の住所は被告の社員住所録に記載されていた。
(被告の主張)
ア 原告はもともと派遣社員として被告に派遣されていたが,当該派遣が中止となったことから,原告と被告とは,時間報酬での業務委託契約を締結した。この際,被告は,原告は元派遣社員であって被告の外部の人間であったことから,被告の人間ではないという意味で,原告との間で,業務委託契約を締結した。
イ 以下の事情に照らせば,原告は被告の従業員ではなかった。
(ア) 原告と被告とは,労働契約書や雇入通知書等を取り交わしていない。
(イ) 原告は,原告が本件契約に基づいて被告における勤務を開始した当初,社会保険に加入していなかった。
(ウ) 本件スケジュール表や本件マニュアルは,被告の指示によって作成されたものではない。
(エ) 原告が被告に対して提出した身元保証契約書の内容には,信用性がない。
(2)  原告の残業時間
(原告の主張)
ア 原告は,平成24年2月26日から平成26年1月25日まで,別紙1年月日欄記載の日(法定休日を含む。)に,出勤時刻欄に記載した時刻から退勤時刻欄に記載した時刻まで,被告において勤務した。
原告が上記期間において日をまたいで被告で勤務した場合には,これを一勤務として扱い,当該勤務は当該勤務に係る始業時刻の属する日の労働とする。
原告が上記期間に24時間を超えて被告で連続勤務をした場合には,24時間を上限に一勤務日とする。
イ 原告の本件契約に基づく賃金は,1時間当たり1200円である。
ウ 以上を前提に,労働基準法に定められた基準によって原告の上記期間における時間外,休日及び深夜の労働に係る割増賃金を算出すると,上記割増賃金のうち未払の分は,別紙2のとおり,203万5695円である。
(被告の主張)
ア 被告においては,少なくとも平成26年1月の当時から,夜19時以降の電話はなかった。したがって,上記夜19時以降にはやることがほぼない状態であり,同月に原告の主張するような残業を行う必要はなかった。
イ 人は,1か月間,毎日1日中働くことはできない。
ウ 原告が主張する原告の上記期間の労働のうち平成25年10月26日から平成26年1月25日までの出勤時刻及び退勤時刻につき,原告は,上記出勤時刻及び退勤時刻を裏付ける証拠として,作業報告書(甲6の21ないし23)を提出するが,上記各作業報告書には,原告の上長による承認印がない。
(3)  原告の退職金請求の可否及び上記退職金の額
(原告の主張)
原告は被告の従業員であるから,原告には本件退職金規程が適用される。
原告は,平成19年11月26日から平成26年2月25日まで6年以上被告に在籍していた。
本件退職金規程には時給制の場合についての明確な定めがないが,原告の勤務実績からすれば,原告は被告において少なくとも労働基準法の定める労働時間の上限である1日当たり8時間,1週間当たり40時間の勤務をすることを前提とすべきであり,これを基にすると,原告の被告における月平均労働時間は173時間となり,本件退職金規程における基本給与は20万7600円となる。
原告は被告の劣悪な環境に耐えきれず,また,原告が被告に対して上記環境の改善を求めたにもかかわらず被告がこれを受け入れなかったことから,原告は,被告を退職した。したがって,原告の上記退職は,本件退職金規程にいう被告の都合によって退職した場合に当たる。
以上を前提に,本件退職金規程に基づいて原告の退職金を算出すると,上記退職金の額は,72万6600円となる。
(被告の主張)
上記(1)の被告の主張のとおり,原告は,被告の従業員ではない。
(4)  長時間労働に対する損害賠償請求の可否
(原告の主張)
被告は原告に対して安全配慮義務を負うところ,被告は,適切な人員配置を怠り,原告に長時間労働を恒常的に強いた。
特に,被告は,原告に対し,平成26年1月には24時間連続の勤務を1か月にもわたって強い,これにより,原告は,上記期間中,原告の自宅に戻ることができず,睡眠,食事,入浴等日常生活の基本的な活動を制限され,また,原告が被告から離れられないため,原告は,事実上,原告が原告の選挙権を行使することも制限された。
原告及び原告の同僚は被告に対して被告における上述のような環境の改善を訴えたが,被告はこれに全く取り合わなかった。
被告が適切な人員配置を行っていれば上述のような事態は避けられたのであるから,被告には上記安全配慮義務の違反がある。
原告が被告の上記違反によって被った精神的損害の慰謝料は,100万円を下らない。
(被告の主張)
被告は,原告に対し,長時間労働を強いたことはない。
第3  当裁判所の判断
1  上記争いのない事実等に記載した各事実に加え,当事者間に争いのない事実,証拠(甲2ないし7の23,甲13,15,19,20,乙3,証人E,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。この認定に反する証拠は,その限度で採用できない。
(1)ア  原告は,平成15年3月から,派遣社員として,本件事業部において勤務していた。
原告と被告とは平成19年11月26日に雇用契約である本件契約を締結し,原告は,同日以降,本件契約に基づき,本件事業部において勤務を継続した。
イ  本件契約において,原告の労働条件は,要旨,以下のような内容とされていた。
(ア) 契約期間
期間の定めなし
(イ) 業務
本件事業部でのオペレーション業務(以下「本件オペレーション業務」という。)と監視業務(以下「本件監視業務」といい,本件オペレーション業務と合わせて「本件各業務」という。)
(ウ) 配属場所
被告の東京本社
(エ) 休日
シフト制
(オ) 就業時間
a 早番
午前9時から午後5時まで
b 遅番
午後5時から翌午前9時まで
(カ) 賃金
1時間当たり1200円
(キ) 賃金の支払方法
毎月25日締め,当月末日払
ウ  本件事業部は,被告の流通○○サービス(以下「本件サービス」という。)と呼ばれるデータ通信サービスを所管している。本件サービスは,大要,被告が本件サービスを採用している量販店から商品発注データを受け取り,被告が問屋へ上記データを送信するサービスである。
本件サービスにおいては,被告のオペレーターは,多いときには,10分単位のスケジュールに基づいてデータの処理を行う必要があり,また,臨時でデータ処理を行うこともあった。加えて,上記オペレーターは,上記量販店からの依頼で,あらかじめ決まった時刻以外にも,パソコンを操作して上記量販店のサーバーに接続し,上記発注データを取得する必要がある場合もあった。さらに,上記オペレーターは,本件サービスにおいてトラブルが起こった際のリカバリー作業を行い,また,上記問屋に上記データを送信できない時には当該データをファクシミリによって送信し,ないしは,電話で商品名と数とを読み上げて上記データの内容を伝えることもあった。上記オペレーターは,多いときには,1時間に1回くらい,かかる対応を行う必要があった。これらの業務が,本件オペレーション業務に当たる。
また,本件サービスにおいては,上述の量販店からの発注データが上記問屋に適切に送信されない場合には,被告がその責任を負うこととされている。したがって,被告の担当者は,本件サービスが正常に作動しているかを24時間常に監視する必要があった。かかる業務が,本件監視業務に当たる。
エ  原告は,上述の原告が被告において派遣社員として勤務していたころから,原告が被告との間で本件契約を締結し,ひいては,原告が被告を退職するまで,被告において,本件各業務を行っていた。
また,原告は,被告において,原告の上司の指示の下,本件各業務以外に,被告のソフトウエア事業部やアウトソーシング事業部において,伝票の入力代行やプログラム関係の業務を担当したことがあった。
(2)  原告が本件事業部において勤務していた当時,本件事業部においては,原告の上司が本件スケジュール表を作成し,原告を含む本件事業部の所属者は本件スケジュール表に基づいて被告での勤務を行い,また休暇を取ることが原則となっていた。
本件スケジュール表においては,午前9時15分から午後17時15分までの勤務と,午後17時15分から翌午前9時15分までの勤務との2種類の勤務体系があり,上記所属者は,本件スケジュール表において,上記各勤務,休暇等を平等に割り振られていた。本件スケジュール表が作成される際には,原告の私的な都合等が考慮される場合もあったが,原告が仕事をするかどうかを決定することはできなかった。
(3)  原告は,被告からの指示に基づき,原則として,原告が被告に出勤した際及び原告が被告から退勤する際に,タイムカードを打刻していた。原告は,毎月,上記タイムカードの記録等に基づいて原告が被告において勤務した時間をまとめて記載した作業報告書(甲6の1ないし23)を作成し,原告の上司に提出していた。上記上司は,上記作業報告書に記載された原告の各日の出勤時刻及び退勤時刻を承認する旨の押印をし,さらには,被告の労務管理の担当者も上記作業報告書の内容を確認していた。
その後,被告は,原告に対し,上記作業報告書において承認された勤務時間に基づき,上記勤務時間に対応する賃金を,基本給として支払っていた。また,上記勤務時間に夜22時から翌朝5時までの勤務時間があった場合には,被告は,原告に対し,上記勤務時間につき,深夜残業手当として賃金を支払っていた。
(4)  本件事業部には,平成15年ないし平成19年ころには,平均して,約11名ほどの従業員がいたが,同年11月ころには上記従業員は6名となり,原告と同じく本件各業務に従事していたのは,原告を含めて4名となった。このころ以降,原告は,本件各業務を行う際には,原告一人で本件各業務に従事することとなった。
平成23年夏ころから平成24年春ころにかけて,上記従業員4名のうち2名が被告を退職し,本件各業務を行うのは,原告ともう1名の従業員のみになった。その後,本件事業部以外の他の部署の契約社員が本件各業務を手伝うようになり,原告らは本件各業務を3名で交代して行うようになった。しかるに,平成25年11月には上記契約社員が被告を退職し,同年12月25日には上記残りの従業員2名のうち原告以外の者も被告を退職した。このため,原告は,同月26日から,一人で連日24時間本件各業務を余儀なくされた。
この間,原告は,眠たくなっても原則として寝ることはできず,寝たとしても30分おきに目を覚ます必要があった。したがって,原告は,どうしても眠くなったときには,横にならずに机にうつ伏せになって短時間だけ寝るなどしていた。また,原告は,食事については,出前や被告の他の従業員からの差し入れでまかなっていた。さらに,原告は,入浴については,被告にだれもいない夜の時間帯に,給湯室で体をふくことでまかなっていた。
このような中,原告は,被告に対し,平成26年1月6日ころには同日付けの「運用の現状と要望」と題する書面(甲3),同月20日ころには同日付けの「センター運用に関する要望書」と題する書面(甲4),同年2月3日ころには同日付けの「労働契約に関して」と題する書面(甲5。以下,これらの書面を合わせて「本件各書面」という。)を各提出し,本件各書面によって,上述のような勤務状況の改善を求めるなどしたが,原告の上記求めは受け入れられなかった。
原告は,上述のような労働環境で勤務を続けることは不可能であると判断し,被告に対し,同月5日,退職届を提出し,同月25日をもって被告を退職した。
被告は,同月上旬ころ,本件各業務に係る夜勤を廃止した。
(5)  このような中,原告は,平成24年2月26日から平成26年1月25日まで,本件契約における業務上の必要性に基づき,別紙1に記載された各日(法定休日を含む。)に,出勤時刻欄に記載された時刻から退勤時刻欄に記載された時刻まで,被告において勤務していた。
2(1)ア(ア) 上記1における認定に関し,証人Eは,その陳述書(乙3)ないし尋問において,本件契約は雇用契約ではなく業務委託契約である旨を供述する。
(イ) しかし,原告の被告における業務の内容は原告が被告に派遣社員として勤務していたときと原告が本件契約を締結して勤務していたときとで変化がない(甲19,原告本人)ところ,原告が被告に派遣社員として勤務していた際には,派遣の性質上,原告は被告の指揮監督の下で上記勤務を行っていたものというべきであるから,原告は,本件契約の締結後に被告に勤務していた際にも,被告の指揮監督の下で上記勤務を行っていたことがうかがわれる。
また,原告は被告に対して平成26年1月から同年2月にかけて本件各書面によって原告が1人で24時間休むことなく本件各業務を行わなければならない状態になっていることなどを伝えた上で上記状態の改善を求めるなどしている(甲3ないし5)ところ,かかる原告の行動は原告が原告の被告における就労についての諾否の自由を有していなかったことと整合的であるというべきである。
さらには,当事者間に争いのない事実,証拠(甲6の1ないし甲7の23,甲13,20,証人E,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告が被告に出勤すべき時刻及び原告が被告を退勤すべき時刻は被告によって決定され,被告は原告に対してタイムカードを打刻するよう指示し,これに基づいて作成された業務報告書に記載された原告の勤務時間を前提に本件契約に基づいて原告に対して時給制で金銭を支払い,かつ,原告が午後10時から翌午前5時までの間に勤務した際には深夜割増手当を支給していたことが認められる。
上記各事実に照らせば,原告は,本件契約を締結した後も,被告の指揮監督下において労務を提供し,かつ,被告は原告に対して上記労務に対する対償を支払っていたものというべきである。
(ウ) 以上の認定ないし検討に照らせば,証人Eの上記供述を採用することはできない。かえって,上記各事実は,上記1における認定内容と整合的であるというべきである。
イ 以上に関し,被告は,原告と被告とが労働契約書や雇入通知書等を取り交わしていない点,原告は原告が本件契約に基づいて被告における勤務を開始した当初は社会保険に加入していなかった点を指摘する。
被告の指摘する上記各事実については当事者間に争いがないが,上記各事実が生じた理由には様々なものが考えられるものというべきことに照らせば,上記各事実があることをもって,上記アにおける判断が左右されるものではないというべきである。
かえって,上記争いのない事実等に記載した各事実に加え当事者間に争いのない事実及び証拠(甲16,17)によれば,原告は,本件契約を締結して被告に勤務していた際,雇用保険受給者の資格を取得することができたことが認められる。
(2)ア また,証人Eは,その陳述書(乙3)ないし尋問において,被告においては平成26年1月の当時から夜19時以降の電話はなく,したがって同月に原告の主張するような残業を行う必要はなかった旨,原告が提出した平成25年11月度ないし平成26年1月度の作業報告書(甲6の21ないし23)には,原告の上長による承認印がない旨を証言する。
イ しかし,仮に平成26年1月の当時夜19時以降の電話がなかったとしても,本件事業部においては24時間体制での勤務が必要とされていたことから本件事業部においては昼間の勤務と夜の勤務との2交代制が採用されており,また,本件事業部において上記夜の勤務が廃止されたのは同年2月上旬ころであった(甲5,13,15,20,乙3,証人E,原告本人)のであるから,原告が同年1月ころ被告において24時間勤務をすることは十分にあり得ることというべきである。
また,原告が提出した平成25年11月度ないし平成26年1月度の各作業報告書(甲6の21ないし23)には原告の上長による承認印がないことは当事者間に争いがないが,他方,証拠(甲6の21ないし23,甲7の21ないし23)及び弁論の全趣旨によれば,被告は原告に対して上記期間の基本給及び深夜残業手当として上記各作業報告書に記載されたとおりの原告の勤務時間に対応した金員を支給していることが認められる。さらには,原告は,その尋問において,上記承認印が存在しないことの理由として,上記平成25年11月ないし平成26年1月の当時は,本件事業部における原告の上司は退職してしまっており,本件事業部における原告の上司に当たる者がいなかった旨を供述している(原告本人)。
ウ 以上の認定ないし検討に照らせば,証人Eの上記アの証言をもって,原告が平成25年12月から平成26年1月までの間に連日24時間の勤務をしていたことにつき,かかる事実の認定が左右される,ないしは,かかる勤務の必要がなかった,とはいえないものというべきである。
3  上記争いのない事実等に記載した各事実及び上記1において認定した各事実に照らせば,本件契約は雇用契約であり,また,原告は被告の従業員であって,本件規則及び本件退職金規程の適用を受ける地位にあったものというべきである。
4  上述のとおり,原告が被告の従業員である以上,原告は,被告に対し,本件契約に基づき,原告が被告において時間外,休日及び深夜の労働をしたことに対する対価として,賃金請求権を当然に取得する(労働基準法11条)ものというべきである。
上記1において認定した各事実に照らせば,原告は,被告において,本件契約に基づき,平成24年2月25日から平成26年1月25日まで,別紙1の各日において別紙1の実労働時間欄に記載された時間のすべてについて労働を行ったものというべきである。したがって,労働基準法所定の割増賃金の率を前提に計算すれば,原告は,被告に対し,本件契約に基づき,上記労働に係る時間外,深夜及び休日の労働に係る割増賃金として,少なくとも,別紙1の未払い合計欄に記載された金額の合計である203万5695円を請求する権利を取得したものというべきである。
なお,上記争いのない事実等に記載した各事実に加え,上記3に記載した各事実によれば,原告には本件規則及び本件賃金規程が適用されるところ,本件賃金規程のうち上記労働基準法所定の割増賃金の率より低い率を定める部分は無効である(労働基準法13条)。
5  また上記1において認定した各事実及び上記4における検討に加え,本件に現れた一切の事情にかんがみれば,原告は,被告に対し,労働基準法114条に基づき,174万4280円の付加金を請求することができるものというべきである。
6(1)  上記3に記載したとおり,原告には本件規則及び本件退職金規程が適用されるところ,上記1において認定したとおり,原告は被告に対して平成26年2月5日に退職届を提出し,同月25日をもって被告を退職しているから,原告は,被告に対し,本件退職金規程に従って,退職金を請求し得るものというべきである。
そして,証拠(甲8)によれば,本件退職金規程には時給制の場合の退職金の算出方法に関する明確な定めは存在しないとの事実が認められる。しかるに,被告において,被告の従業員のうち時給制の者については月給制の者と異なって退職金を支給しないこととされていたとは合理的には考え難いものというべきである。この点にかんがみ,上記争いのない事実等に記載した本件退職金規程の各規定を合理的に解釈すれば,上記各規定は,被告の従業員のうち時給制の者については,同人の被告における勤務の実態に照らして同人が被告を退職する時点で基本給として毎月取得できたと合理的に考えられる金額を本件退職金規程にいう基本給与として同人に対する退職金の額を算出し,被告は上記従業員に対して上記退職金を支払うべき旨の内容を含むものと解するのが相当である。
(2)  上記1において認定した原告の被告における本件契約締結後の勤務の実態に照らせば,原告は,被告において,原告が被告を退職した時点で,毎月,少なくとも,1日当たり8時間,1週間当たり40時間勤務することが合理的に見込まれていたものというべきであるから,原告は被告から上記勤務に対応する基本給を受領することができたと考えるのが合理的である。
上記勤務時間を前提にすれば,原告の被告における各月の労働時間は少なくとも173時間以上であるというべきであるから,原告は,被告から,原告が被告を退職する時点で,毎月,上記時間に原告の本件契約における時給額である1時間当たり1200円を乗じた20万7600円を基本給として取得できたと考えるのが合理的である。
そうすると,原告につき本件退職金規程の上記各規定を適用するに際しては,上記各規定にいう基本給与は上記20万7600円であるというべきである。
(3)  証拠(原告本人)によれば,原告は被告に対して上記退職に当たって原告の家族の都合で被告を退職する旨を申告していたことが認められる。
しかるに,他方,上記1において認定したとおり,原告は,平成25年12月26日から,被告において,一人で連日24時間本件各業務を行うことを余儀なくされ,被告に対してかかる労働環境につき,本件各書面によって数次にわたって改善を求めたものの上記求めが受け入れられなかったことから,原告は,上述のような労働環境で勤務を続けることは不可能であると判断し,被告に対して退職届を提出して被告を退職したというのである。
以上にかんがみれば,原告の上記退職は,本件退職金規程の上記各規定にいう被告の都合によって退職した場合と同視することができるものというべきである。
(4)  上記争いのない事実等に記載した各事実に照らせば,原告は,原告が被告を退職する時点で,被告に6年以上7年未満勤務していたことが認められる。
(5)  以上を前提に,上記各規定に基づいて原告に係る上記退職金の額を算出すれば,上記額は,上記20万7600円に上記各規定にいう3.5を乗じた72万6600円であるというべきである。
7  原告は,被告には原告に対する安全配慮義務違反があった旨を主張し,これを理由として,被告に対し,債務不履行ないし不法行為に基づき,損害賠償として,慰謝料を請求している。
上記1において認定した各事実に照らせば,被告は原告に対して本件契約の付随義務として原告に過重な労働をさせないように職場環境を整えるべき義務を負っていたものというべきところ,被告は,遅くとも,原告が一人で本件各業務を行うことを余儀なくされた平成25年12月26日以降は,上記義務に違反していたものというべきである。
そして,上記1において認定した各事実に照らせば,原告は,被告による上記義務違反の結果,1か月強の間,一人で連日24時間本件各業務を行わなくてはならなかったというのである。そうすると,原告は,これにより,本件において上記割増賃金を支払われ,また上述の付加金の支払を受けてもなお慰謝されないほどの精神的苦痛を受けたものというべきである。
そして,上記1において認定した各事実を始めとして,その他本件に現れた一切の事情をしんしゃくすれば,原告の上記精神的苦痛を慰謝するためには,上記割増賃金及び付加金に加え,更に30万円が支払われることが必要であるというべきである。
第4  結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求には,上記割増賃金として203万5695円及びこれに対する原告の上記退職の日の後の日である最終の支払期日の翌日の後の日(平成26年3月1日)から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律6条1項等が定める利率である年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払,付加金として上記174万4280円及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,退職金として72万6600円及びこれに対する弁済期の翌日である平成26年4月26日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払,慰謝料として30万円及びこれに対する弁済期の翌日ないし後の日である訴状送達の日の翌日(平成26年8月8日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払,を求める限度で理由があるから認容し,原告のその余の請求には理由がないから棄却する。
(裁判官 石田明彦)

 

〈以下省略〉

 

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