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「営業ノルマ」に関する裁判例(9)平成27年 1月30日 東京地裁 平23(ワ)41991号 損害賠償請求事件

「営業ノルマ」に関する裁判例(9)平成27年 1月30日 東京地裁 平23(ワ)41991号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 1月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)41991号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2015WLJPCA01308021

裁判年月日  平成27年 1月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)41991号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2015WLJPCA01308021

名古屋市〈以下省略〉
原告 X株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 中島健一
同 佐々木保臣
東京都国立市〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 田門浩
同 宮田百枝

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,163万9000円及びこれに対する平成24年1月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを50分し,その1を被告の負担,その余を原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,1億2334万3339円及平成24年1月18日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,工事の受発注を担当する従業員であった被告の背任行為により6556万0034円の損害を被ったと主張して,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求している事案である。
1  前提事実(当事者間に争いがないか掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認定することができる。)
(1)原告は,建築工事,給排水工事,内装仕上げ工事等の請負,施工等の事業を営む会社である。
(2)被告は,原告の元従業員であり,原告東京支店の営業開発部の特販・直販担当主任の立場で,マンション等の建設業者から主としてキッチン,浴室洗面所等の家具や建具の内装工事を受注し,これを施工するため工事を下請業者に発注するための営業活動に従事していたが,平成23年9月30日をもって懲戒解雇された(甲1)。
2  請求及び争点
原告は,被告が,自分の営業成績を上げるため,受注金額より施工金額が高くなる赤字の工事を受発注して原告に6556万0034円の損害を与えたと主張して,債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償を求めている。なお,原告は,本件訴訟の当初は,赤字額のみではなく得べかりし目標利益額も逸失利益として主張し,1億2334万3339円を請求額としていたが,請求の減縮をしないまま目標利益額に関する主張を撤回した。
本件の争点は,背任行為の有無と過失相殺である。
3  原告の主張
(1)被告は,平成20年7月ころ以降,平成23年9月末に懲戒解雇されるまでの間,受注金額が下請業者に対する支払金額を下回る工事案件(以下「赤字工事」という。)を多数受発注した上,原告の経理システムに架空の受発注金額を入力することにより赤字であることを隠して原告内部の受注決裁を通し,架空の工事案件を作出したりキャンセルされた受注案件を経理システム上取り消さないままとし,そのような存在しない案件の支払予算を使って,赤字工事の経理システム入力発注額と実際の発注額の差額を支払うということを繰り返した。原告が受発注した赤字工事は,別表「工事明細(被告Y関係)」の受注名欄記載の工事のうち,損害合計欄の金額がプラスである30件であり,別表の工事の内受注金額欄と発注金額合計欄がいずれも零円の工事は架空の工事案件である。
被告は,受注金額を上回る金額で下請業者に工事を発注して原告に損害を与えない労働契約上の義務又は不法行為上の注意義務を負っており,赤字工事の受発注は債務不履行かつ不法行為に当たる。
被告が,赤字工事を受注した上,不正な方法で発注金額を支払ったことにより,被告は,各赤字工事につき,別表の損害合計欄記載の赤字額を損害として被った。その金額は,同じ期間に被告が取り扱った黒字の工事案件(別表の工事のうち損害合計欄の金額がマイナスのもの)で出た利益額と損益相殺してもなお6556万0034円となる。
(2)被告は,下請業者に対する発注業務は積算工務課所属の社員が担当していると主張するが,積算工務課は,組織上は本社直轄であっても,実際の執務場所は東京支店内である。また,下請業者から見積書の提出を受けるのは営業担当者であり,積算工務課担当者は,営業担当者が見積書を取ってきた下請業者を発注先として,営業担当者が申告する金額をそのまま経理システムに入力して正式な発注としていたにすぎない。
(3)被告の赤字工事の受発注は,架空工事を作出するなどの方法で故意に行われたものであり,他に原告の内部に関与者がいたとしても,信義則上被告の責任が制限されるものではない。
4  被告の主張
(1)原告内部では,下請業者から見積書を徴収し発注する業務を担当するのは,原告本社生産本部の積算工務課の発注担当者であり,被告のような営業担当者は発注業務を担当していなかった。
(2)被告は,一部の工事について,原告が主張するように,赤字工事を受発注した上,架空工事を作出しその予算で下請業者に差額分を支払うということをしていたが,これは,原告東京支店内の上司であるマネージャーのアドバイスや,東京支店長の承認ないし指導の下で組織的に行われていたものである。
すなわち,原告では営業社員に対して本社から受注金額に関する厳しい営業ノルマが課せられ,かつ,同時に各工事案件に課せられた「GR率」と呼ばれる高い目標利益率を確保することも求められていたが,高い利益を上乗せした金額で競合他社に競り勝って受注を取るのは容易ではなかった。そこで,東京支店では,支店長が,部下に対し,受注金額の営業ノルマを達成するために,目標利益率を下回る工事でも,あるいは必要なら赤字工事でも架空工事でも計上することはやむを得ないと指導しており,赤字工事や架空工事の受発注は,経理システムの入力担当者や支店長も承知の下で,組織的に行われたものである。
したがって,赤字工事の受発注で生じた赤字による損害の責任を,営業担当者の被告にのみ負わせるのは,労働契約上の信義則に反し許されない。
(3)また,赤字工事の中には,下請業者が着工した後に追加工事が発生し,下請業者には原告から追加工事代金を支払ったにもかかわらず,元請会社からは受注金額の増加に抵抗され,追加金額の全部又は一部が回収できなくなって,結果的に赤字となったものも少なくなく,被告が担当した赤字工事の全てが当初から赤字を予定して受発注されたのではない。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実,争いのない事実,証拠(甲338,乙8,証人B及び被告本人のほか後掲のもの)及び弁論の全趣旨によれば,本件に関して以下の事実が認められる。
(1)被告は,40歳代半ばである平成17年4月,a株式会社に入社して営業担当者として働いていたが,平成20年11月の同社と原告との合併により,以後は原告の東京支店営業開発部で,特販・直販担当主任として,マンション等の建設業者から主としてキッチン,浴室洗面所等における家具や建具の内装工事を受注するための営業活動に従事していた(以下,この合併以前のa株式会社のことも「原告」という。)。
(2)原告は,受注した工事案件において,工事で使用する自社又は他社の建具等を販売するだけで,取付工事の施工は自社では行わず全て下請業者に行わせており,建具等の商品販売益と,取付施工に関する受発注金額の差益との両方で利益を上げていた。
原告では,このような商品販売や取付施工で得られる利益について,GRと呼ぶ利益率をそれぞれ設定し,営業担当者に対し,設定されたGRによって利益を確保することを要求していたが,平成20年11月の合併後,GRは大幅に引き上げられた(甲2の1,2の2,4)。
(3)原告は,従業員毎に年間の売上高ないし受注高の達成ノルマを定め,ノルマ達成を厳しく求めていたが,下請業者が提示する見積金額にGRに基づく利益額を上乗せした金額で,競合他社との競争に打ち勝って受注を獲得することは,営業担当者にとって容易ではなかった。被告が,GRを確保した受注金額で売上ノルマを達成することが困難であると上司に相談したところ,GRの確保よりもノルマ達成を優先すべきであると指示された。こうして,被告は,平成20年4月頃以降,GRを確保していない受発注金額の工事案件を受発注するようになったが,同年中は,少額の赤字工事となったものが2件あったのみで,多くの工事で黒字は確保しており,通算では黒字額が赤字額を上回っていた。(甲6,9の1~9の5,乙2)
(4)GRの確保より売上ノルマを優先することは,被告が所属する東京支店の支店長の方針でもあり,同支店営業開発部の特販・直販担当者6名のうち,原告を含む5名は,支店長も了承の下,赤字工事を含めGRに満たない工事案件を受発注した上,決裁処理を行う原告の経理システムには,GRを確保した金額を入力することで,原告の内部書類上は問題のない受発注である体裁を整えていた。このように,経理システムに実際と異なる受発注金額を入力することは,東京支店での経理システムへの金額入力担当者も承知していた事柄であった。(甲6,56の1,乙1)
(5)被告は,平成21年から平成23年までの間も,売上ノルマの達成を優先し,GRを確保しない受発注金額の工事案件の受注をしていたが,平成20年中に比べ,赤字工事の割合や赤字額は大きくなっていった。ただし,赤字工事は,受注の当初から赤字が前提で受発注されたものばかりではなく,追加工事の発生により下請業者への追加支払が発生しながらこれに見合う受注金額の増額が得られない場合や,現場で発生した諸費用を受注先から負担させられる等の事情により結果的に発生するものもあった(甲6,29の3)
また,GRを確保せず工事案件を受発注していた東京支店の担当者は,経理システム上の金額に基づき下請業者に支払可能な金額と,下請業者に対する本当の発注額との差額を簿外で支払うため,架空の工事案件を作出したり,受発注額を操作して,支払予算に余裕のある他の工事案件の予算を自分の他の工事案件に流用したり,担当者間で支払予算を融通し合ったりという手法を用いており,主任の地位にあった被告は,上司から予算の融通を受けるとともに,部下に支払予算を融通することもあった。こうして,被告等は,前の工事の簿外の支払を後の工事の予算で補うという自転車操業を継続的に行うようになった。(甲6,9の5,29の3,334の1~336)
(6)被告が平成20年以降担当した工事案件のうち,実際にはGRを確保していなかったものは,通算でおよそ50件であり,通算で受注金額は2億3509万0400円,発注金額は3億0065万0434円となり,差引では6556万0034円の支払超過となった。(甲6)
(7)原告内部では,平成23年8月初めまでに,東京支店で経理システムに入力されたのと異なる金額で工事案件を受発注していた事実が発覚し,調査が実施された。原告は,調査結果に基づき,同年9月30日付けで,東京支店の営業開発部の特販・直販担当者6名のうち被告外1名を懲戒解雇,1名を諭示解雇としたほか,東京支店のその余の7名を,不正な受発注に関与した責任,又は管理監督者責任を理由に減給や降格処分とした。また,本社の取締役本部長及び東日本支社長も,管理監督者責任を問われ,同日付けで降格処分となり,処分対象者は全体で12名にのぼった。(甲9の1~9の6,22の2,3,29の3~6,乙1)。
2  認定事実に基づき検討する。
(1)労働契約は,仕事の結果に対して報酬が支払われる請負契約とは異なり,労働に従事すること自体に対して報酬が支払われることを本質とする契約であって(民法623条),一定の結果を残すこと自体は労働者の債務の目的には当たらない。無論,労働者は,使用者の指揮命令に従って労務を提供しなければならず,また,労働者は,労務提供に当たって善管注意義務を負っている上,労務提供は信義に従い誠実に行われなければならないのではあるが,使用者が一定の仕事の結果を求めたからといって,これに沿った成果を出さないこと自体が債務不履行に当たらないことは当然であり,債務不履行の成否は,善管注意義務や,誠実義務の違反の有無という観点から判断されるべきものであるし,善管注意義務及び誠実義務の違反がなければ,その労務提供に不法行為上の違法性があるともいえない。
(2)ア  このような観点から原告の主張について検討するに,原告は,被告が上記のとおり平成20年以降に赤字工事を受発注したことが労働契約上の債務不履行であり,かつ不法行為を成立させる違法行為に当たると主張する。
イ  しかしながら,原告は,売上高等のノルマの達成を従業員に厳しく求めていたのであり,被告が平成20年以降GRを確保しない利益率の低い工事を受発注するようになったのも,GRの確保とノルマ達成が容易には両立できない困難な状況の下で,ノルマ達成を優先させたためで,かつ,ノルマ優先は上司の指示でもあった。巷間,売上規模を優先するために赤字の取引が敢えて行われることは決して珍しくないし,殊に,原告にあっては,工事の受発注量が増えれば,工事で取り付けられる建具等の商品の販売量が増えるという事情がある以上,赤字工事を敢えて受発注することが,直ちに原告に損失を与えることを意味するものでもない。
さらに,平成20年の段階でみれば,被告が受発注した工事の中で赤字工事は2件のみであって,多くは黒字の工事であったのであり,被告が原告を害する目的で敢えて赤字工事を受発注したのでないことは明らかであるし,工事全体を通算すれば黒字でもあったのであるから,ノルマを優先させる中で一部に赤字工事を発生させたことをもって,被告に善管注意義務違反や誠実義務の違反があるとはいい難い。
ウ  認定によれば,被告の担当する工事案件において,赤字工事の割合や赤字額は平成21年以降大きくなってはいるものの,被告等は,GRを確保していない前の工事のための自分や他の担当者の工事案件の簿外支払を,後の工事の予算で補うという自転車操業を行ったのであるから,赤字工事の割合や赤字額が計数上増えたことの原因もここにある蓋然性が高く,各工事の実際の受発注額で計算した赤字工事の割合や赤字額が平成20年の時期と比べて悪化していたとまで認めるべき証拠はない。
エ  確かに,被告が担当した案件全体では,平成20年以降の通算で約6556万円の支払超過が生じているものの,この中には,部下のために予算を回した部分が含まれている可能性が否定できないし,赤字工事は,必ずしもその全てが当初から敢えて赤字工事として受注されたものではなく,受注後の事情により結果的に赤字になったものも含まれているとも考えられるから,3年余りの期間の通算の赤字金額の大きさから,被告に善管注意義務違反や誠実義務違反があったと推認することも相当ではない。
オ  以上の検討によれば,赤字工事の受発注をしたことそれ自体を債務不履行又は不法行為とする原告の主張については,債務不履行又は不法行為に当たる行為を被告が行ったと認めることはできず,理由がない。
(3)とはいえ,3年余りに及び被告が適切な利益を確保できない工事の受発注を行う中で,実際の受発注金額と異なる金額を経理システムに入力し,さらに架空工事を作出して簿外の支払を続けていた行為は,適切な受発注を確保するために経理システムを整備した原告に対して誠実さを欠く行為であったことは否定できず,これによって,被告は,原告に知られることなく,利益率の低い工事の受発注を3年以上継続したのであるところ,原告に事態が早期に知られていれば,被告を配置換するなど適宜の措置を取ることにより,支払超過額が6556万円余にもなる事態は避けられたものと認められる。したがって,この点において被告には労働契約上の債務不履行があり,原告に生じた損害の賠償を免れない。
ここで,被告の債務不履行により原告に生じた上記損害の額は,その性質上証拠により的確に認定することが極めて困難というべきであるから,ここまで認定した事実と弁論の全趣旨に基づき,支払超過額の1割に当たる655万6003円を相当な損害額と認めることとする(民事訴訟法248条)。
さらに,ここまでの認定事実によれば,上記損害発生に関しては,東京支店支店長の了承がある等,原告の組織自体における落ち度が寄与している度合いも大きいというべきであり,上記損害額に対しては,4分の3の過失相殺を行うことが相当である。よって,被告が賠償すべき損害額は,163万9000円となる。
3  まとめ
以上によれば,原告の請求は,163万9000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年1月18日以降民法所定の年5分の割合による遅延損害金の限度で理由がある。よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 宮﨑謙)

 

〈以下省略〉

 

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