【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(9)平成30年10月18日 東京地裁 平29(ワ)23212号 成功報酬請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(9)平成30年10月18日 東京地裁 平29(ワ)23212号 成功報酬請求事件

裁判年月日  平成30年10月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)23212号
事件名  成功報酬請求事件
文献番号  2018WLJPCA10188009

裁判年月日  平成30年10月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)23212号
事件名  成功報酬請求事件
文献番号  2018WLJPCA10188009

東京都千代田区〈以下省略〉
原告 株式会社ストライク
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 佐藤優
同 西中山竜太郎
宮城県多賀城市〈以下省略〉
被告 株式会社城港観光(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 C
宮城県多賀城市〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 舟木友比古
同 赤津聡

 

 

主文

1  被告会社は,原告に対し,3255万円及びこれに対する平成25年12月25日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
2  被告Y1は,原告に対し,168万円及びこれに対する平成25年12月25日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用は,被告らの負担とする。
4  この判決は,1,2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,原告が被告らとの間で締結したM&A仲介依頼契約に基づいて,報酬(被告会社について3255万円,被告Y1について168万円)の各支払を求めるとともに,平成25年12月25日(報酬発生日の翌日)から商事法定利率年6%の遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。なお,証拠について枝番のあるものは,特定していない限り,その全部を指す。)
(1)  当事者
原告は,企業の合併等の組織再編行為,資本提携,業務提携の仲介,企業の事業譲渡及び事業用資産の売買の仲介などを目的とする株式会社である(甲1)。
被告会社は,ホテル,旅館その他観光施設の経営並びに料理飲食店,売店,娯楽場の経営などを目的とする株式会社である(甲2)。
被告Y1は,被告会社の前代表者代表取締役であったが,平成26年2月28日に辞任した。D(以下「D」という。)は,被告Y1の妻であり,被告Y1とDとの間の子が,現在の被告代表者のC(以下「C」という。)である。
ブリーズベイホテル株式会社(以下「B社」という。)は,ホテルの経営及び飲食店の経営などを目的とする株式会社である(甲3)。
(2)  本件仲介依頼契約の締結
被告会社及び被告Y1は,平成25年9月10日,原告との間で,M&A仲介依頼契約(以下「本件仲介依頼契約」という。)を締結し,原告に対し企業提携,対象企業の探索及びその実現に関して,以下の業務(以下「本件委託業務」という。)を委託した(甲4)
① 必要な資料の作成
② 対象企業の探索
③ 契約条件の調整
④ スケジュールの調整
⑤ 契約書等の草案の作成
⑥ その他付随する業務
(3)  被告会社・B社間の契約締結
ア 被告会社はB社に対し,被告会社が経営するaホテル及びbホテルを譲渡するために,平成25年12月24日,別紙第1売買物件目録記載の土地建物について6億5000万円で売却した(以下「本件売買契約1」という。甲5)
イ 被告Y1及びDはB社に対し,上記アと同じ目的のために,平成25年12月24日,別紙第2売買物件目録記載の土地建物について,被告Y1について2000万円,Dについて2000万円の合計4000万円で売却した(以下「本件売買契約2」という。甲6)。
ウ 本件売買契約1,2締結当時,被告会社は,宮城県から補助金の交付を受けており,本件売買契約1,2による観光施設の譲渡については,県知事の承認が必要であり,仮に県知事の承認が下りないまま譲渡が行われると補助金の返還を求められるおそれがあった。そこで,県知事の承認が下りるまでの間,B社は建物の賃借人としてホテルを経営することとし,被告会社と被告Y1は,B社との間で賃貸借契約を締結した(以下「本件賃貸借契約」という。甲8)。
(4)  被告らは,原告に対し,平成29年10月25日,弁論準備手続期日において,原告に対し,本件仲介依頼契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権(9495万7000円)と原告の請求債権とをその対当額において相殺するとの意思表示をした。
2  争点
(1)  本件仲介依頼契約の有効性(本件仲介依頼契約が宅建業法の規制に服するか否か)
(2)  本件売買契約1,2の錯誤無効の成否
(3)  相殺の抗弁
第3  争点に対する当事者の主張
1  争点(1)(本件仲介依頼契約の有効性(本件仲介依頼契約が宅建業法の規制に服するか否か))
【被告らの主張】
(1) 原告は,本件仲介依頼契約により企業提携を仲介したと主張しているが,本件売買契約1,2は,被告ら及びDとB社との間の単なる宅地及び建物の売買契約であり,原告はその媒介をしているにすぎないから,宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)の規制に服する。
(2) 原告が宅地建物取引業者でなければ,宅建業法が無免許営業者による宅地建物取引の営業を禁止し,処罰の対象にもしていることから,無免許営業者である原告による報酬請求権を認めることは不当であり,本件仲介依頼契約に基づく報酬金の請求は認められない。また,仮に原告が宅地建物取引業者であれば,報酬の上限を定めた宅建業法46条の規制に服するから,原告が請求しうる報酬金額は,被告会社について2112万4800円,被告Y1について136万0800円にとどまる。
【原告の主張】
本件仲介依頼契約により,被告らは原告に対し,企業提携の対象企業の探索とその実現を委託し(甲4・1条),企業提携の手段として法人資産の譲渡・譲受が定められており(甲4・2条2項),原告は,本件売買契約1,2締結前に,M&A対象企業を数10社リストアップし,うち数社にコンタクトを取り,最終的にB社を選定し,不動産売買方式による企業提携を実現したのであり,単なる宅地及び建物の売買契約を媒介したわけではない。本件仲介依頼契約が宅建業法の規制に服することはない。
2  争点(2)(本件売買契約1,2の錯誤の無効の成否)
【被告らの主張】
(1) 被告ら及びDは,被告会社の債務を全額返済できるとの原告の説明を前提に事業譲渡を進めており,約9500万円もの補助金の返還を要し,被告会社の債務を全額返済できない結果になったことについて錯誤がある。
(2) 原告は,B社との関係で,売買代金については被告会社の債務を弁済した後に幾らの現金が残る額を設定するなどの契約条件の調整を行っている以上,被告ら及びDの補助金返還という動機は,本件売買契約1,2の内容になっており,被告会社の債務を全額返済できないならば,被告ら及びDは,本件売買契約1,2を締結しなかっただろうし,そうすることが社会の取引通念上も至当である。以上のとおり,本件売買契約1,2は錯誤により無効である。
【原告の主張】
(1) 被告ら及びDに錯誤があるとの主張は否認する。被告Y1は,本件売買契約1,2の締結まで補助金について説明しておらず,被告らの動機は表示されていない。
(2) 企業提携のための不動産売買が常に売主の債務の全額消滅を伴うものとはいえない。原告の主張は争う。
3  争点(3)(相殺の抗弁)
【被告らの主張】
(1) 被告会社は,平成23年12月頃,宮城県から9495万7000円の補助金の交付を受けた(乙1)。
(2) 被告ら及びDは,B社との間で平成25年12月24日,本件売買契約1,2を締結したが,そのことを知ったCは強く反対し,平成26年1月8日,原告に対して,本件売買契約1,2が実行されると,被告会社が宮城県から補助金の返還を求められるおそれがあることを指摘した。
被告ら及びDは,本件売買契約1,2を締結するにあたって,売買代金額が少なくとも被告会社の債務を全額返済できるとの説明を原告から受けたものの,その額には,宮城県から受けた補助金の返還分がまったく考慮されていなかったため,補助金返還問題の解決を原告に依頼し,原告は,被告会社がホテルの建物をB社に賃貸する方法で対処することとし,平成26年1月28日,被告会社とB社との間で本件賃貸借契約が締結された。
(3) しかし,被告会社が受けた補助金については,県知事の承認を受けないで行うことが禁止されている行為として「譲渡」のみならず「貸し付け」も明示されており,本件売買契約1,2が実行された場合のみならず,本件賃貸借契約が実行された場合にもまた補助金の返還が求められるのは明らかであり(甲7・8条2項),宮城県からも同様の回答を得ている。
以上のとおり,本件賃貸借契約を締結しても,補助金返還問題は解決せず,補助金の返還を考慮に入れず本件売買契約1,2の代金額を定め,補助金返還問題が存在することを認識した後も本件賃貸借契約を締結すれば補助金の返還は不要と判断し,本件賃貸借契約を締結するよう助力しただけの原告には債務不履行責任があり,被告らは,原告に対し,9495万7000円の損害賠償請求権を有する。
【原告の主張】
(1) 原告は,被告ら及びDに,売買代金をもって債務を弁済し,その後にいくらか現金が残るとの説明をしたが,かかる説明は本件売買契約1,2が締結された平成25年12月24日までのものであり,同日までの交渉窓口は被告Y1であった。被告Y1は,同日まで,原告に対し,補助金について説明しておらず,原告は補助金の返還を考慮せずに本件売買契約1,2の締結を進めていた。
(2) 被告Y1は,本件売買契約1,2が締結された平成25年12月24日まで補助金の話をしておらず,補助金返還問題の解決は本件仲介依頼契約における原告の債務にはなっていない。
(3) 本件売買契約1,2又は本件賃貸借契約が実行された場合,補助金の返還を求められることは明らかであるとの主張は争う。
第4  当裁判所の判断
1  認定事実(以下の事実は,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によって認めることができる。)
(1)  被告会社は,平成23年3月11日に発生した東日本大震災によって被災したaホテル及びbホテルを再生するため,同年12月頃,宮城県から9495万7000円の補助金の交付を受けた(乙1)。なお,原告の担当者は本件売買契約1,2を締結する前から被告会社が補助金を受けていたことは知っていた(乙5)。
(2)  原告は,M&Aのために必要な書類のリストを作成し,これを被告会社に交付し(甲17),被告会社は関係書類を原告に提供した(甲18,19)。
(3)  原告は,「M&A譲渡希望企業情報」を作成し,これを原告のホームページに掲載し(甲19),「企業概要書」を作成した(甲20)。
(4)  企業概要書には,希望形態として,株式譲渡(100%),Y1家所有不動産の買取が記載されていた(甲20)。
(5)  原告は,「ホテル買い手候補宮城県外」を作成し(甲20),順次候補会社の意向を打診したが,芳しい反応がなかったため,さらにB社を含む6社を候補として順次意向を打診したところ,B社が強い関心を示したので,本格的な交渉を行った。
(6)  M&Aの希望形態は,株式譲渡(100%),Y1家所有不動産の買取であったが,B社の強い希望により,事業用全不動産の売買によることとされ,平成25年12月24日,本件売買契約1,2が締結された。
(7)  原告は,本件売買契約1,2を締結するにあたって,その売買代金額が少なくとも被告会社の債務を全額返済でき,幾らかの現金が残ると被告らに説明していたものの,その際には,宮城県への補助金の返還については考慮されていなかった。
(8)  Cは,平成25年12月末,被告ら及びDが本件売買契約1,2を締結したことを知りこれに強く反対した。
(9)  Cは,平成26年1月8日,被告Y1及びDが同席する中で,原告の担当者に対し,本件売買契約1,2が実行されると上記(1)の補助金の返還を求められる恐れがあることを指摘した。
(10)  原告は,被告らからの依頼を受け,宮城県から補助金の返還を求められる事態を避けるため,賃貸借契約書の草案を作成し,被告らとB社は平成26年1月28日,本件賃貸借契約を締結した。
2  争点(1)本件仲介依頼契約の有効性(本件仲介依頼契約が宅建業法の規制に服するか否か)
(1)  M&Aは企業の合併及び買収のことであり,買収は株式譲渡又は事業譲渡によって行われる。上記1(6)のとおり,本件では,aホテル及びbホテルの買収にあたって,事業譲渡の形式を取らず端的に不動産売買契約により行われたが,売買対象不動産は,被告会社のホテル事業のために供されていた不動産の全てであって,被告会社のホテルの事業の支配権を移転するために行われたものといえる。したがって,本件売買契約1,2は企業買収のために行われたものといえる。
(2)  宅建業法は消費者利益を保護することを目的としており,宅建業法が適用される「宅地建物取引業を営む者」に該当するか否かは,消費者の利益を守るために法の規制を及ぼすべきかどうかという観点から判断されるべきである。その判断にあたっては,①取引の対象者,②取引の目的,③取引対象物件の取得経緯,④取引の態様,⑤取引の反復継続性などの要素を勘案するのが相当である。
これを本件についてみるに,原告の主な事業は,インターネット及びその他の通信を利用した企業情報提供サービス,企業の合併等の組織再編行為,資本提携,業務提携の仲介,企業の事業譲渡及び事業用資産の売買の仲介であって(甲1),M&A関連業務として事業用資産たる宅地建物の取引を媒介することはあるものの,一般消費者向けに宅地・建物の取引の媒介をすることを目的としてはいない。
また,取引の目的も,上記1(2)ないし(6)のとおり,宅地・建物の取引自体から直接利益を得るのではなく,あくまでもM&A業務によって利益を得ることを目的としている。
なお,原告は取引対象物件を取得していない。
以上からすれば,原告は「宅地建物取引業を営む者」に該当するとはいえず,原告が被告らとの間で締結した本件仲介依頼契約が宅建業法の規制に服するとはいえない。
(3)  この点,被告らは,本件売買契約1,2は,単なる宅地及び建物の売買契約であり,本件仲介依頼契約による本件委託業務が不動産売買の媒介における作業内容と同列であると主張する。
しかし,宅地,建物の売買の媒介において媒介業者が買受希望者に対し提供する情報は,宅地,建物についての情報であるが,本件において原告が提供した情報は被告会社の企業情報であり(甲19,20),その作業内容も上記1(1)ないし(6)のとおり,M&Aを目的としたものであって作業内容が宅地,建物の売買の媒介と同列とは認め難い。被告らの主張は採用できない。
3  争点(2)(本件売買契約1,2の有効性(錯誤の成否))
(1)  確かに,上記1(7)のとおり,原告は,被告会社の債務を全額返済できるように本件売買契約1,2の代金額を設定するなどの契約条件の調整を行っており,被告ら及びDにおいて,被告会社の債務を全額返済できることが本件売買契約1,2の動機となっており,そのことは原告らにも表示されていたとはいえる。しかし,契約相手であるB社に対しても表示されていたといえるのかは定かではない。
また,この点を措くとしても,原告が本件売買契約1,2の締結前に説明を受けていたのは,被告会社が補助金の交付を受けていたという点にとどまるのであり,補助金を返還しなければならなくなるとの説明を受けたのは,上記1(9)のとおり,本件売買契約締結後の平成26年1月8日の時点が初めてである。
したがって,被告ら及びDは,本件売買契約1,2によって,補助金の返還を求められる可能性があることまで原告に説明していない点において重過失があるといわざるを得ない。また,宮城県から補助金の返還を求められたとしても,被告会社の債務を全額返済できるように本件売買契約1,2の代金額を設定するという被告らの動機は明示的にも黙示的にも表示されていたとは認め難い。
(2)  以上からすると,本件売買契約1,2が錯誤により無効になるとは認め難い。
4  争点(3)(相殺の抗弁)
(1)  この点,被告会社が宮城県から平成23年12月頃,補助金の交付を受けているため,本件売買契約1,2が実行された場合はもちろん,本件賃貸借契約が締結された場合においても,補助金の返還を宮城県から求められることになるとされており(甲7・8条2項),宮城県の担当者も同様の回答をしている。
もっとも,原告が,本件売買契約1,2の締結前に説明を受けていたのは,被告会社が補助金の交付を受けていたという点にとどまり,補助金を返還しなければならなくなるとの説明を受けたのは,上記1(9)のとおり,平成26年1月8日の時点が初めてである。
(2)  この点,被告らは,補助金の交付を受けていたことを原告が知っていたのであれば,その返還の可能性についても思い至るべきであった旨主張する。
しかし,通常,補助金は返還義務を伴わないものであって,原告において,被告会社が補助金の交付を受けているということを知ったのみで,補助金の返還についてまで思い至るべき義務があるとは認め難い。
(3)  また,被告らは,本件仲介依頼契約において,被告らが原告に助言を求めた業務は原告の業務となるところ(甲3・3条1項6号),本件売買契約1,2の締結後,被告らは補助金返還問題の解決を原告に依頼しており,同問題の解決が本件仲介依頼契約の内容になったと主張する。
確かに,上記1(10)のとおり,原告は被告らから依頼を受けて,補助金の返還を免れるために本件賃貸借契約の締結を仲介している。しかし,そもそも本件仲介依頼契約(甲3)によれば,法人資産の譲渡・譲受の手段である本件売買契約1,2の締結,すなわち,提携に係る最終契約締結により,原告の被告らに対する成功報酬は生じている(甲4・9条2項)と解すべきである。その後,原告は,Cからの指摘を受け,改めて補助金の返還を受ける事態を防ぐために本件賃貸借契約の締結を仲介しているものの,かかる業務は本件仲介依頼契約における原告の債務として行われたものではなく,本件売買契約1,2の締結後におけるサービスとして行われたものと解するのが相当である。
(4)  以上からすると,本件仲介依頼契約の内容として,宮城県から補助金の返還を受けることを前提にして,被告会社の債務を全て返済できるだけの金額で本件売買契約1,2の締結を原告が仲介することとされていたと認めることはできないし,宮城県からの補助金の返還を免れるために本件賃貸借契約の締結を原告が仲介することまで債務の内容になっていたと認めることはできない。したがって,被告らが原告に対し,本件仲介依頼契約の債務不履行を理由として,宮城県から返還を求められる補助金(9495万7000円)相当額の損害賠償請求権を有しているとは認められず,被告らの相殺の抗弁は採用できない。
5  結語
(1)  以上のとおり,争点(1)~(3)における被告の主張はいずれも採用することができない。
そして,本件仲介依頼契約には,被告らは原告に対し,成功報酬として最終契約時に資産譲渡金額に対し,5億円以下の部分は5%,5億円超10億円以下の部分は4%の成功報酬及び消費税を支払う旨定められている(甲4・9条2項)。
本件仲介依頼契約に基づく資産の譲渡金額は,前提事実(3)のとおり,被告会社は6億5000万円,被告Y1及びDは合計4000万円であるから,被告会社分は3255万円(=(5億円×5%+1億5000万円×4%)×1.05)となり,被告Y1分は168万円(=4000万円×4%×1.05)となる。
(2)  したがって,原告の請求は理由があるから認容し,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第15部
(裁判官 内藤寿彦)

 

〈以下省略〉

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296