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「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(10)平成30年10月17日 東京地裁 平29(ワ)4202号 損害賠償等請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(10)平成30年10月17日 東京地裁 平29(ワ)4202号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成30年10月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)4202号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA10178006

裁判年月日  平成30年10月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)4202号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA10178006

東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 付岡透
同 庄野信
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 サンエース合同会社(以下「被告サンエース」という。)
同代表者代表社員 A
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Aこと
Y1(以下「被告Y1」という。)
東京都狛江市〈以下省略〉
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
同訴訟代理人弁護士 小林雄三
さいたま市〈以下省略〉
被告 Y3(以下「被告Y3」という。)
同訴訟代理人弁護士 内藤政信
横浜市〈以下省略〉
被告 Y4(以下「被告Y4」という。)
東京都墨田区〈以下省略〉
被告 Y5(以下「被告Y5」という。)

 

 

主文

1  被告サンエース,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5は,原告に対し,連帯して336万3000円及びうち102万1000円に対する平成24年8月22日から,うち102万1000円に対する平成25年3月21日から,うち102万1000円に対する平成25年7月31日から,うち30万円に対する被告サンエースにつき平成29年3月6日,被告Y1につき同月28日,被告Y2につき同月11日,被告Y4につき同月4日,被告Y5につき同月26日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告の被告サンエース,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5に対するその余の請求並びに被告Y3に対する請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,原告に生じた費用の4分の3と被告サンエース,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5に生じた各費用の10分の9を被告サンエース,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5の負担とし,原告,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5に生じたその余の各費用並びに被告Y3に生じた費用を原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
被告らは,原告に対し,連帯して366万3000円及びうち102万1000円に対する平成24年8月22日から,うち102万1000円に対する平成25年3月21日から,うち102万1000円に対する平成25年7月31日から,うち60万円に対する本件の訴状送達の日の翌日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  予備的請求
被告サンエースは,原告に対し,300万円及びこれに対する平成29年3月6日(被告サンエースに対する本件の訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,株式会社ベストFAM(以下「FAM」という。)の従業員で,その後,被告サンエースの従業員となった被告Y4から勧誘を受けて,FAMが募集しているとするファンドに3口分合計300万円を出資するとともに,手数料として合計6万3000円を支払った原告が,主位的に,上記ファンドは運用実態がない可能性が高いなどと主張して,被告Y4,FAMの代表取締役であった被告Y5,原告の出資した資金をFAMから引き継いだとされる被告サンエース,被告サンエースの代表社員である被告Y1,被告サンエースの代表社員であった被告Y2及び被告Y3に対し,(共同)不法行為又は会社法429条(被告Y5関係)若しくは同法597条(被告Y1,被告Y2,被告Y3関係)に基づき,損害賠償金366万3000円及び遅延損害金の連帯支払を求め,予備的に,原告は被告サンエースとの間で,上記ファンドに係る出資契約を合意解除したと主張して,被告サンエースに対し,不当利得返還請求権に基づき,300万円及び利息の支払を求める事案である。
1  前提事実(認定に用いた証拠は括弧内に示した。)
(1)  原告は,昭和12年生まれの女性である(甲25)。
(2)  FAMは,平成23年7月6日に設立され,国内外の有限責任組合・匿名組合等の集団投資スキームを用いた投融資の運用・管理業務等をその目的として登記されている会社で,被告Y5がその代表取締役である。商業登記簿上,FAMの本店所在地は,平成25年7月3日から平成26年9月12日まで,被告サンエースの本店所在地と同じ,東京都千代田区〈以下省略〉とされていた。(甲2)
(3)  被告サンエースは,平成26年6月23日に設立され,雑貨の企画,制作,輸入及び販売等をその目的として登記されている会社である。被告サンエースの商業登記簿には,被告Y2及び被告Y3が設立当初の業務執行社員兼代表社員として登記されていたが,被告Y3については同年7月15日に代表社員を退任するとともに被告サンエースから退社した旨の,また,被告Y2については同月25日に代表社員を退任するとともに被告サンエースから退社した旨の各登記がされた(なお,上記の各日付は,平成28年11月1日に更正登記がされた後のものであり,もともとは,両被告とも平成26年10月1日に退任及び退社した旨の登記がされていた。)。そして,上記商業登記簿には,被告Y1が平成26年7月25日に被告サンエースに加入するとともに同日に代表社員に就任した旨の登記がされた(なお,上記の各日付は,平成28年11月1日に更正登記がされた後のものであり,もともとは,平成26年10月1日に加入及び就任した旨の登記がされていた。)。(甲1)
(4)  被告Y4は,FAMの従業員であったが,その後,被告サンエースの従業員となった(原告本人,被告Y2本人,弁論の全趣旨)。
(5)  原告は,以前より面識のあった被告Y4から,FAMが匿名組合を設立し,集めた資金を運用して配当するシステムへの出資の勧誘を受け,平成24年8月22日に1口分100万円をFAMに出資するとともに,手数料として2万1000円を支払った(甲25,原告本人)。
(6)  原告は,被告Y4から,追加の出資を勧誘され,平成25年3月21日及び同年7月31日に各1口分100万円ずつ(合計200万円)をFAMに出資するとともに,手数料として2万1000円ずつ(合計4万2000円)を支払った(甲5,9から12まで,25,原告本人)。
(7)  原告は,平成26年7月頃,被告Y4から,FAMが被告サンエースに社名が変更になるとの説明を受け,同年8月1日に被告サンエースとの間で100万円分及び200万円分の各出資契約書に署名押印し,被告サンエースから出資金預り伝票及び取引履歴書と題する書面を受け取った(なお,このやりとりの際に,原告から被告サンエースに対して新たに300万円が支払われたという事実はない。甲14から19まで,25,原告本人)。
(8)  被告サンエースは,同被告が原告に対し,100万円を平成28年5月末日から分割払いする旨,及び,200万円を同日から分割払いする旨をそれぞれ記載した同年2月19日付けの「和解契約書及び支払い約定書」と題する書面(2通)を原告に送付した(甲20,21,25)。
(9)  原告は,本件の訴状で,(予備的請求の前提として)上記(8)の被告サンエースによる合意解除に同意する旨の意思表示をした。
2  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  被告Y4の責任の有無
(原告の主張)
被告Y4が原告に対して,FAMの募集するファンドへの出資を勧誘した行為は,以下のとおり,不法行為(FAMとの共同不法行為)を構成するというべきである。
ア 被告Y4は,実態のない投資運用を実態があるかのごとく装い,かつ,高利が得られるかのごとく原告に申し向けて,原告から金員を詐取した。
イ 被告Y4は,無職の高齢者であり,かつ,年金生活者である原告に対して,匿名組合契約のような一般的になじみがない契約形態で,投資内容も不明確なものに出資させたものであり,適合性原則に違反する。
ウ 被告Y4は,原告に対し,利率が良いこと,絶対に安全であること,原告に問題が起きたら被告Y4が責任をとるなどと言って,リスク等について説明しないで,原告にFAMの募集するファンドに出資をさせたものであり,説明義務違反(断定的判断の提供を含む。)がある。
(被告Y4の主張)
争う。自分を信じていただくしかないと言った記憶はあるが,絶対安全で大丈夫であるとか,被告Y4が責任を負うと言ったことはない。原告も,(被告Y4が勧誘したファンドについて)元本保証があり,安全確実であるとは思っていなかった。
(2)  被告サンエースの責任の有無
(原告の主張)
被告サンエースは,被告Y4が従業員として移籍しており,被告サンエース及び被告Y4が原告に対して(FAMから被告サンエースへの)社名の変更であると説明していること,被告サンエースが,原告がFAMに交付した金員をそのまま引き継いでいることからすると,FAMに対して関東財務局の調査が入ったことを受けて(なお,FAMは,平成26年10月,無登録でファンドの自己私募及び運用を行っているなどとして関東財務局から警告を受けている。),FAMの受け皿となったといえ,被告サンエースは,主観的にも客観的にもFAMと関連共同性を有するのみならず,実質的にはFAMと同一性を有するといえるから,FAMが行った原告に対する違法な勧誘について共同不法行為責任を負うというべきである。
なお,原告と被告サンエースとの間で和解が成立している旨の被告サンエースの主張は否認する。
(被告サンエースの主張)
争う。なお,原告とは既に和解をしている。また,FAMとの取引を解約した顧客を被告サンエースが勧誘し,一部顧客となってもらったが,被告サンエースは,FAMの受け皿とはなっていない。
(3)  被告Y5,被告Y1,被告Y2及び被告Y3の責任の有無
(原告の主張)
ア FAM及び被告サンエース並びにそれらの役員及び従業員は,原告に関するFAM又は被告サンエースの業務の一環として,各自役割分担して行動しており,被告Y4の行為は,被告Y5,被告Y1,被告Y2及び被告Y3と主観的又は客観的に関連共同性を有するといえるから,被告Y5,被告Y1,被告Y2及び被告Y3も(FAM及び)被告サンエースや被告Y4と共に共同不法行為責任を負うというべきである。
イ 被告Y5は,FAMの取締役(代表取締役)として,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,被告サンエースの業務執行社員(代表社員)として,会社が違法行為を行わないようにする義務を負っていたにもかかわらず,会社による違法行為を防止せず,故意又は重過失により取締役・業務執行社員としての任務を懈怠したといえるから,会社法429条1項又は同法597条の責任を負うというべきである。
ウ 被告Y2は,担当者として原告に連絡をして取引を継続させていること,被告サンエース及び被告Y1と一体となって社会的相当性を逸脱する取引を行っていたこと,及び,被告Y2が代表者の名義を貸すことによって被告サンエースが会社設立登記を完了して違法な行為に及ぶことができたといえることから,被告Y2は,不法行為責任を免れない。
エ 被告Y5は,FAMの代表者として,(原告を含む)顧客に違法な支出をさせて損害を与えていることから不法行為責任を免れない。また,被告サンエースは,その顧客に対してFAMから社名を変更すると説明して取引を継続させているところ,被告Y5は,被告サンエースが原告を含めたFAMの顧客に対して損害を与えることを助長させており,少なくとも過失による幇助としての不法行為が成立するというべきである。
オ 被告Y3は,原告との関係においては,(代表者としての)名義を貸すことによって,被告サンエースを設立させており,被告サンエース及び被告Y1らの違法行為を容易にしたのであって,過失による幇助としての不法行為が成立するというべきである。
(被告Y5の主張)
争う。原告とFAMとの間で取引があったことは認めるが既に元金以上の利益を出して解約により終了している。被告サンエースのことは知らない。
(被告Y1の主張)
争う。なお,原告とは既に和解をしている。
(被告Y2の主張)
争う。被告Y2は,平成23年9月頃,職業安定所での求人募集を見て,FAMに入社した。そして,被告Y1及び被告Y5から,FAMが正規の匿名組合方式による為替運用主体のファンドを行っているとの説明を受けた。被告Y2は,入社当時,最年長であったので,営業部長に就任することになり,電話で,ファンドの勧誘をしていた。なお,FAMにおける資金運用・管理は,代表者である被告Y5と取締役であるB(以下「B」という。)が行っていた(被告Y2は,為替運用の詳細を知らなかった。)。被告Y2を含むFAMの全従業員は,平成28年2月,被告Y1及び被告Y5から,(年末に匿名組合方式ができなくなるとの理由から)FAMを解散し,新しい会社を設立すること,全出資者に対し,FAMで出金し,被告サンエースに入金したとの手続を行い,被告サンエースの契約書,重要事項説明書,出金預り書などを交付するように指示され,全従業員はそれに従い,出資者から同意の上申書を受領した。その後,被告Y2は,被告Y5や被告Y1らに被告サンエースの代表者に就任することを求められた。被告Y2は,代表者の責任を考え一度は断ったが,FAMの解散により,同社の従業員の生活に及ぶ負担や被告Y2が最年長であることを考慮し,代表者は2名,期間は暫定的との約束で就任を承諾し,その後退任した。以上のとおり,被告Y2は,被告サンエースの名義上の代表社員(業務執行社員)になったにすぎない。また,被告Y2には,故意又は重大な過失による任務懈怠はない。
(被告Y3の主張)
争う。なお,被告Y3が平成26年6月23日から同年7月15日まで被告サンエースの代表者であった事情は,概要次のとおりである。被告Y3は,高校卒業後に土木のアルバイトをした後,23歳からは寿司職人として働き始めた。被告Y3は,平成24年頃に被告Y1と飲み屋で知り合い,1年程度,何度か飲食をする仲であったが,平成26年2月頃に被告Y1と再会した際に,被告Y1からインドネシアからの輸入雑貨を扱う仕事を一緒にやらないかと誘われて,これに応じた。被告Y1から,自分では,会社設立に必要な書類がそろうのが遅くなると言われて,被告Y1の代わりに被告Y3が代表になることになった。会社設立に必要な印鑑などは,被告Y1が用意し,手続も被告Y1が行った。被告Y3は,被告Y1から通帳を作るように言われ,通帳に200万円が振り込まれるが,それはすぐに返すようにと指示されたので,それに従った。被告Y3は,会社(被告サンエース)の名前がどのように決まったかも知らず,事務所と称される場所にも行ったことがない。被告サンエースが,原告が主張するような業務(投資関係業務)を行っていたことも知らなかった。なお,被告サンエース設立後に,被告Y3は,務めていた父親の経営する寿司店での仕事に専念する必要が生じたことから,被告Y1に事情を話して,被告サンエースの仕事を辞めることを伝え,被告Y1が作成した平成26年7月15日付けの退任届に署名,押印して印鑑証明書も手渡した。被告Y3は,被告サンエースの設立に当たって,資金を提供したことも,対価(報酬)を得たこともない。
原告が被告サンエースに出資したというのは,被告Y3が被告サンエースの代表者を退いた後のものである。また,被告サンエースが輸入雑貨を扱うことを業とするものと考えていた被告Y3にとって,被告サンエースによる投資業務を監督するのは不可能であった。以上のとおりであるから,被告Y3には重大な過失による任務懈怠はなく,また,(仮に,被告Y3に任務懈怠があったとしても,それと)被告サンエースの設立目的以外の業務から生じた原告の損害との間には,相当因果関係がないというべきである。
(4)  損害論
(原告の主張)
ア 原告は,被告らの(共同)不法行為(又は任務懈怠)により,出資金名目で300万円,手数料名目で6万3000円の支払をさせられており,同額の損害を被った。
イ 原告は,被告らの(共同)不法行為(又は任務懈怠)により,精神的損害を被り,それを慰謝するための金員は30万円が相当である。
ウ 原告は,本件を解決するために弁護士に委任して本訴を提起することを余儀なくされており,弁護士費用相当額の損害は30万円である。
エ なお,原告は,配当金名目で,数回金銭を受け取ったが,かかる金員の支払は,違法な出資状態を継続させ,また,新たな出資をさせるという不法行為のための手段に他ならないから,本件の損害賠償請求において損益相殺的な調整の対象とすべきでない。
(被告らの主張)
争う。
第3  判断
1  FAM及び被告サンエースについて
(1)  前記前提事実に加え,証拠(甲1から6まで,13,乙ハ1,被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア FAMは,その代表取締役である被告Y5及び取締役であるBを中心に運営され,匿名組合方式によるファンドを組成したとして,被告Y2や被告Y4らの営業担当者を通じて,1口100万円,(1口当たりの)手数料を2万1000円で出資を募っていた。
イ FAMの全従業員は,被告Y5及びBから,FAMにおいて匿名組合方式のファンドが継続できなくなったとして,新たに,合同会社を設立して,そこで今までと同じような形で資産運用をするとの説明を受けた。なお,FAMは,平成26年10月に,無登録でファンドの自己私募及び自己運用を行っているなどとして,関東財務局から直ちに当該行為を取り止めるように求める警告書が発せられており,被告サンエースの設立は,監督官庁によるこのような警告が出されるのを見越して行われたものと推認される。
ウ 被告サンエースは,平成26年6月に設立されたが,その設立後も,被告Y1が代表者となるまでは,被告Y5らが中心となり,FAMと同様の業務を行った。そして,FAMの営業担当者は,被告サンエースの設立後,被告Y5らの指示により,FAMの全顧客に連絡して,FAMへの出資を被告サンエースへの出資に切り替える手続をした。
(2)  以上によれば,被告サンエースは,監督官庁からの警告書を受けて営業ができなくなったFAMに代わって,その顧客の資産を引き継いで,その業務を継続するために設立された会社であるといえる。
2  原告が出資したものを含むFAMや被告サンエースが取り扱っていたとされるファンドの実態について
(1)  前記前提事実に加え,証拠(甲3から6まで,25,乙ハ1,原告本人,被告Y2本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 原告は,被告Y4から,FAMによる匿名組合方式によるファンドへの出資の勧誘を受け,その際に,FAMの会社案内(甲3),「匿名組合契約に基づく権利(出資対象事業持分)の取得に係るお取引に関する重要事項説明書」と題する書面(甲4,5),「出資対象事業持分の取得に係るお取引に関する事項(業府令第87条関連)」と題する書面(甲6)の交付を受けた。
イ もっとも,甲3の会社案内では,ファンドの紹介として,「元本確保型」との記載や「運用実績平均 年利8%」などといった記載がみられるが,他方,甲4,5の重要事項説明書には,元本の補填や収益の補足がない旨の記載がある。また,被告Y2は,FAMへの出資の勧誘に当たっては,顧客に対して,甲6の書面の内容を説明した旨供述するが,他方で,同書面は,被告Y5が作成したものであり,被告Y2はその内容をよく理解していない旨の供述もしている。さらに,甲6に記載されている顧客がFAMに支払うべき申込手数料,管理報酬及び成功報酬を考慮すると,FAMにおいて相当な運用実績を上げない限り,顧客が利益を得ることは困難であるにもかかわらず,被告Y2は,資金の運用は専ら被告Y5及びBが行っていたとして,具体的な運用実態を説明できない旨の供述をしている。
(2)  以上のとおり,FAMが出資を募っていたファンドについては,その営業担当者である被告Y2ですら,その具体的内容を説明できず,加えて,FAMが関東財務局から,匿名組合方式のファンドについて警告書を出されていることや被告Y5や被告Y1が本件の訴訟の審理期日に欠席し続けて,上記ファンドの内容について何ら具体的な説明をしないことに照らすと,当該ファンドは,FAM及びこれを引き継いだ被告サンエースにおいて,顧客から集めた資金を全く運用していなかったか,少なくとも,顧客に対して配布した資料に記載されているような運用とは全くかけ離れた程度のことしか行われていないというファンドとしての実態がないものであったと推認するのが相当である。そして,原告が出資したとされるファンドも,甲4から6までに記載された運用があったといえるか疑わしく,やはり,上述したものと同様に実態のないものであったと推認される。
3  被告Y4の責任の有無について
上記2で認定したとおり,原告が出資したファンドは実態がなかったものと推認されるところ,仮に,被告Y4において,そのことを明確に認識までしていなかったとしても,具体的なファンドの内容を理解していたとは認められず,そのようなファンドへの出資を顧客に勧めたことについて,少なくとも説明義務違反が認められ,原告に対する不法行為責任を免れない。
4  被告サンエース,被告Y5及び被告Y1の責任の有無について
前記1,2で認定したところによれば,被告Y5は,FAMの代表者として,また,(被告Y1が代表者になるまでは)被告サンエースの実質的運営者の1人として,実態がないファンドについて顧客から出資を募っていたといえるから,不法行為責任(後述する被告サンエース,被告Y1との共同不法行為責任)を免れない。また,被告サンエースも,被告Y5らがFAMにおいて行っていた違法な業務をそのまま継続するために設立された受け皿会社にすぎず,現に,原告を含む顧客からの出資についてもFAMから引き継いで,違法な業務を継続した結果,最終的にそれらの顧客から集めた資金を返還できない状態にしており,被告Y3の供述及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1も,そのような事情を知りつつ被告サンエースの設立に協力し,後に,その業務執行役員兼代表役員となった者であると認められるから,(被告Y5との)共同不法行為責任を免れない。なお,被告サンエースは,原告との間で和解が成立している旨主張するが,甲20,21は,被告サンエースが,単に原告宛てに送付した文書にすぎず,これをもって,上記和解が成立したと認めることはできず,このほかにこれを認めるに足りる証拠はない。
5  被告Y2の責任の有無について
確かに,被告Y2は,原告に対して直接勧誘行為を行っておらず,原告に対しては,被告Y4から担当者が代わった旨を電話連絡したにすぎない(原告本人,被告Y2本人)。また,前記1の認定事実及び被告Y2本人の供述によれば,FAM及び被告サンエースは,被告Y5(被告サンエースについては,被告Y1が代表者になった後は,被告Y1)が中心になって運営されており,FAM及び被告サンエースの従業員であった被告Y2は,被告Y5に依頼されて,被告Y1が業務執行役員兼代表役員になるまでのつなぎとして,被告サンエースの設立に際して業務執行役員兼代表役員となったものと認められる。
しかしながら,被告Y2は,かつて証券会社に長く勤務した経歴を有していたこと(被告Y2本人)からすれば,自らが営業担当者として出資を勧誘するファンドの内容を知っていてしかるべきところ,その具体的な内容を把握しないまま顧客に出資を勧誘していたという同被告の供述は不自然であり,被告Y2は,上記ファンドが実態のないものであることを認識していたというべきである。そうすると,被告Y2は,被告サンエースが被告Y5のFAMにおける違法な営業を継続するための受け皿会社であることを認識しつつ,その業務執行役員兼代表役員となったものと認められる以上,被告サンエースによる違法な業務の継続を防止せず,その結果,FAMから引き継いだ(原告を含む)顧客の資産を返還できない事態にしたことにつき少なくとも重過失による任務懈怠があるといえるから,会社法597条の責任を免れない(なお,前記前提事実(3)のとおり,確かに,被告Y2は,原告がFAMから被告サンエースに出資を切り替える前である平成26年7月25日に,被告サンエースの代表社員を退任するとともに被告サンエースから退社した旨の登記がされたが,これは,原告の訴訟代理人弁護士が被告サンエースに宛てて損害賠償請求をする旨の内容証明郵便(甲22の1・2及び23の1・2)を送付した後である平成28年11月1日に更正登記がされたものであり,もともとは,平成26年10月1日に退任及び退社した旨の登記がされていたことからすれば,上記更正後の登記の記載をもって,直ちに,平成26年7月中に被告Y2が被告サンエースの代表社員を退任するとともに被告サンエースから退社したと認めることはできず,その他に,これを認めるに足りる的確な証拠はない。)。
6  被告Y3の責任の有無について
確かに,前記前提事実(3)のとおり,被告Y3も,被告サンエースの設立時に,その業務執行役員兼代表役員として登記されていた。
しかしながら,被告Y3は,寿司職人であり,飲み仲間であった被告Y1から雑貨の輸入,販売の仕事をしようと誘われるなどして,被告サンエースの設立時に業務執行役員兼代表役員としての名義を貸したにすぎず(被告Y3本人),同被告がFAMはもとより被告サンエースの業務に関与していたと認めるに足りる証拠がないこと,被告Y3がFAMの存在やその業務内容を認識していたと認めるに足りる証拠がないこと,(被告Y3は,被告サンエースが投資関係の業務をする会社であるとは知らなかった旨供述しているところ,)被告サンエースの商業登記簿には,同被告が投資関係の業務をすることは全く記載されておらず(甲1),被告Y3において被告サンエースが投資関係の業務をする会社であると認識していたと認めるに足りる証拠がないこと,被告Y3が名義を貸したことについて対価を受け取ったり,被告サンエースから業務執行役員兼代表役員であることに関して報酬等を受け取っていたことを認めるに足りる証拠がないこと,被告Y3が被告サンエースの業務執行役員兼代表役員として登記されていた期間も(更正登記がされるまえの退任・退社日を前提としても)約3箇月程度にすぎないことの各事情に鑑みれば,被告Y3について,原告が主張する(共同)不法行為責任や会社法597条の責任のいずれも認めることができないというべきである。
7  原告の損害について
原告は,被告サンエース,被告Y1,被告Y4及び被告Y5の(共同)不法行為及び被告Y2の任務懈怠により,出資金相当額の300万円及び手数料相当額6万3000円の損害を被ったと認められる(なお,原告は配当名目の金員を受け取っていることを自認しているが,(既に判示したとおり)その出資したとされるファンドが実態のないものであったといえる以上,上記金員は,(違法なものへの)出資を継続させ又は新たな出資をさせるために交付されたものといえるから,損益相殺的な調整をしない。)。なお,原告は,慰謝料の請求もするが,本件において,財産的損害の回復を超えて,慰謝料まで認める必要性はない。そして,上記の認容額等に照らせば,弁護士費用相当額の損害は,原告の主張するとおり30万円と認めるのが相当である。
第4  結論
以上によれば,原告の主位的請求は,被告サンエース,被告Y1,被告Y2,被告Y4及び被告Y5に対して,336万3000円及び及びうち102万1000円に対する平成24年8月22日から,うち102万1000円に対する平成25年3月21日から,うち102万1000円に対する平成25年7月31日から,うち30万円に対する本件の訴状送達の日の翌日(被告サンエースにつき平成29年3月6日,被告Y1につき同月28日,被告Y2につき同月11日,被告Y4につき平成同月4日,被告Y5につき同月26日)からそれぞれ支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由がある(なお,被告サンエースに対する主位的請求の認容額が同被告に対する予備的請求の請求額を上回っているので,予備的請求については判断しない。)。よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第44部
(裁判官 飛澤知行)

 

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