【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業 外部委託」に関する裁判例(10)平成30年 8月 1日 東京地裁 平29(行ウ)257号 都立学校修繕委託契約不当利得返還請求事件

「営業 外部委託」に関する裁判例(10)平成30年 8月 1日 東京地裁 平29(行ウ)257号 都立学校修繕委託契約不当利得返還請求事件

裁判年月日  平成30年 8月 1日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)257号
事件名  都立学校修繕委託契約不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA08018001

裁判年月日  平成30年 8月 1日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(行ウ)257号
事件名  都立学校修繕委託契約不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA08018001

東京都板橋区〈以下省略〉
原告 X
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 東京都知事 A
同訴訟代理人弁護士 石津廣司
同指定代理人 W1
W2
W3
W4
W5

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,東京都住宅供給公社に対し,1億3475万7765円を東京都に支払うよう請求せよ。
第2  事案の概要
本件は,東京都の住民である原告が,東京都において東京都住宅供給公社(以下「本件相手方」という。)との間で締結した平成27年度の都立学校施設維持管理業務の委託契約(以下「本件委託契約」という。)で定められた施設修繕業務及び管理調整業務に係る管理業務費が不当に高額であり,本件委託契約のうち当該不当に高額な部分は東京都の錯誤により無効であるから,それに基づく概算払額の精算は違法であるとして,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号本文に基づき,被告が本件相手方に対して,適正な管理業務費との差額である1億3475万7765円の不当利得返還請求をすることを求める事案である。
1  前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の各証拠等により認めることができる事実)
(1)  当事者等
ア 原告は,東京都の住民である。
イ 被告は,東京都の執行機関たる知事である。
ウ 本件相手方は,地方住宅供給公社法に基づく特別法人である。
(2)  本件委託契約の概要(乙3,弁論の全趣旨)
東京都は,東京都が設置している中学校5校,高等学校186校,中等教育学校5校及び特別支援学校58校のうち,島しょ及び都外に設置している学校を除く244施設を対象として,平成27年4月1日,随意契約の方法により,本件相手方との間で,これらの施設の維持管理業務の委託契約(本件委託契約)を,下記のとおり締結した。
ア 契約期間
平成27年4月1日から平成28年3月31日まで
イ 委託業務
① 施設修繕業務
施設保全に伴う小規模な修繕及び日常的に発生する小規模な修繕の工事で150万円未満(税込み)のものの実施
② カラス・スズメバチ等営巣除去業務
③ 管理業務
①及び②の執行管理,学校別業務執行状況等の管理調整
④ 学校経営支援センター(以下「支援センター」という。)設置端末
ウ 契約金額
20億5238万7288円(税込み)
エ 契約金額の内訳
〈表省略〉
オ 契約代金の支払等
(ア) 委託者(東京都)は,委託業務に要する経費として,契約金額の範囲内の金額を,受託者(本件相手方)に概算払により支払う。
(イ) 支払は半期ごととし,概算払額は次のとおりとする。
上半期分 9億2515万0329円
下半期分 11億2723万6959円
(ウ) 受託者は,委託業務終了後に精算残金がある場合は,速やかに委託者に返納するものとする。
カ 精算基準
管理業務に要する経費のうち,施設修繕業務に係るもの(以下「管理業務費A」という。)及び管理調整業務に係るもの(以下「管理業務費B」という。)について,概算払額の精算時に適用される精算基準(税抜き)は,次のとおりとする。
(ア) 管理業務費A 直接工事実施額(税抜き)×10%
(イ) 管理業務費B (年額)施設数×単価26万円
(3)  概算払額の精算(乙6)
ア 東京都と本件相手方は,平成27年9月30日に上半期分について,平成28年3月31日に下半期分について,それぞれ本件委託契約に基づく概算払額の精算を行った。
イ 上記各精算による決算額の合計額のうち,管理業務費A及び管理業務費Bに係る金額(税抜き)は,次のとおりである。
(ア) 管理業務費A 1億4522万2128円(修繕件数 5587件)
(イ) 管理業務費B 6344万円(244施設×26万円)
(4)  本件訴訟に至る経緯
ア 原告は,平成29年3月13日,東京都監査委員に対し,本件委託契約における管理業務費A及び管理業務費Bが高額であり,その精算が違法であると主張して,適正な管理業務費との差額を返還請求することなどを求める住民監査請求をしたところ,東京都監査委員は,同年5月10日付けで,同監査請求を棄却する旨の決定をした(甲1,2)。
イ 原告は,平成29年6月8日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。
2  争点及び当事者の主張の要旨
本件の争点は,本件委託契約の精算基準により算定された管理業務費A及び管理業務費Bが不当に高額で,本件委託契約のうちこれらの経費が不当に高額となる精算基準の部分が東京都の錯誤により無効であるか否かであり,これに関する当事者の主張の要旨は,以下のとおりである。
(原告の主張)
(1) 本件委託契約は随意契約の方法によるものであるが,予定価格を定めなければならないものであり,その予定価格は,契約の目的となる役務について,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない(東京都契約事務規則33条,13条2項)とされているところ,次の(2)及び(3)のとおり,管理業務費A及び管理業務費Bは合理的な精算基準によって算定されたものではなく,不当に高額である。そして,東京都は,法232条1項の規定によって,本件委託契約を締結するに当たり,必要以上の経費を支出することができず,本件相手方においてもそのことを当然了承しているというべきであり,東京都において必要性のない過剰な支出を行う意思のないことの黙示の表示があったといえるから,本件委託契約のうち管理業務費A及び管理業務費Bが不当に高額となる精算基準の部分は,東京都の錯誤により,無効である。
(2) 管理業務費Aについて
本件委託契約における施設修繕と東京都営住宅等管理業務委託(以下「都営委託」という。)における小口修繕はいずれも150万円未満の工事であり,その業務内容も,本件相手方が設備の修繕依頼を受け,あらかじめ登録している工事店に発注するなど,基本的に共通し,その負担は同等であるか,むしろ本件委託契約の方が質・量的に小さいから,本件委託契約における管理業務費Aも都営委託における小口修繕の間接経費(工事1件当たり1万2636円(税込み))と同額とすべきである。
しかし,本件委託契約においては,管理業務費Aは直接工事実施額の10%とされ,精算後の計算では工事1件当たり2万8072円(税込み)となるなど,都営委託における小口修繕の間接経費の2倍以上となっており,不当に高額である。
したがって,管理業務費Aについては,平成27年度決算額である1億5683万9897円(税込み)と下記の計算式のとおり工事1件当たり1万2636円(税込み)として算出した7059万7332円との差額である8624万2565円が過剰な支出となっている。
(計算式)
工事件数5587件×1万2636円=7059万7332円
(3) 管理業務費Bについて,
都営委託においては,契約上,管理業務費Bのような経費は設定されていないから,本件委託契約でこのような経費を支払うのであれば,特別かつ具体的な根拠が必要であるとともに,明確かつ適正な積算方法が設定されている必要がある。しかし,被告が主張する管理業務費Bの積算根拠(別紙2)のうち,「工事店研修・指導」は工事店が提出する書類の補正業務として,管理業務費Aの中にその経費が含まれていると解されるし,「工事店募集資料作成・案内送付」の1300通の通知発送業務の時間数を1300時間と設定するのは,明らかに過大である。また,工事記録のデータは,発注,検査,支払等の日々の執務で入力されるものであり,「修繕履歴情報の管理」としてその経費を別に支出する根拠はない。しかも,本件委託契約と同旨の契約は例年本件相手方との間で締結されているから,前年度までどの程度の人数及び時間をかけているかなどの業務実績を考慮すべきであるが,東京都は,業者に対する指導業務の実際の件数や内容等を具体的に把握していない。このように,東京都は,委託業務の詳細を把握していない上,積算方法も適正さを欠いている。
そして,管理業務費Bに係る管理調整業務の内容から所要人数を算定すると,年間3名で足りるものであり,その他の経費を合わせても2000万円程度で足りる。したがって,平成27年度の契約金額6851万5200円(税込み)から2000万円を控除した4851万5200円(税込み)が過剰な支出となっている。また,仮にそうでないとしても,管理業務費Bの積算対象のうち,「工事店募集資料作成・案内送付」のうちの867時間,「工事店研修・指導」の3576時間の全部及び「修繕履歴情報の管理」の2922時間の全部は積算に入れる必要のないものであり,これらの合計は管理業務費Bの総時間数1万5379時間のうちの47.89%に当たるから,少なくとも上記契約金額の47.89%に当たる3281万1929円が過剰な支出となっている。
(4) したがって,被告は,本件相手方に対し,適正な管理業務費との差額である1億3475万7765円(又は少なくとも1億1905万4494円)の不当利得返還請求をすべきである。
(被告の主張)
(1) 本件委託契約では,仕様書において,管理業務費A及び管理業務費Bの対象となる各委託業務に係る受託者の事務等の具体的内容を定め,東京都は,管理業務費A及び管理業務費Bを含めた予定価格について内部的意思決定を行って,これに沿う本件委託契約を締結したものであり,その内心的効果意思と意思表示の内容たる表示的効果意思との間に不一致はない。そして,本件では対価の適正に係る動機の表示はされていない上,以下のとおり,本件委託契約における管理業務費は,適正に見積もって算定したものであって,等価性が著しく損なわれているとはいえず,また,法232条1項等から要請される具体的な支出と当該事務の目的・効果との均衡を著しく欠くものでもないから,本件委託契約が東京都の要素の錯誤により無効であるとはいえない。
(2) 管理業務費Aについて
管理業務費Aの対象となる施設修繕業務は,見積額が30万円を超える修繕については支援センターの承認が必要であり,施工までに支援センターとの連絡調整業務が生じる。また,都営住宅は主に「住居」からなり,同じような建材・間取り・仕様となっているため,修繕すべき不具合の内容及び修繕方法が定型化されているのに対し,学校では様々な施設があり,仕様も統一されていないものがあるため,簡易又は定型的な業務ではない。このように本件委託契約における施設修繕業務は都営委託における小口修繕業務と,その対価の精算基準を同一にするほどの事務の共通性はない。東京都は,本件相手方が行う都立学校施設修繕業務の内容を勘案した上で,別紙1のとおり,平成17年度の都営委託の直接工事費合計に対する間接経費合計の比率10.8%を参考として,管理業務費Aの精算基準を直接工事実施額の10%とした。
(3) 管理業務費Bについて
管理業務費Bについては,東京都は,仕様書で求められる業務の遂行のため,本件相手方において実施することが必要と考えられる事務を,それぞれの事務に必要な時間数を算出した上で,都の通常業務量等をもとに,別紙2「業務別経費(管理業務費)の積算内訳」のとおり積算し,1施設当たり26万円(税抜き)と算定した。
(4) 等価性について
平成27年度において,都営委託(小口修繕)の直接工事費に対する間接経費の比率は15.4%であるのに対し,本件委託契約の直接工事費に対する管理業務費A及び管理業務費Bの比率は14.3%と,本件委託契約の方が下回っている。また,平成27年度において,東京都が本件委託契約で支払った管理業務費Aは,都営委託における間接経費額工事1件当たり1万1700円(税抜き)で計算した間接経費の額を上回っているが,これは,本件委託契約において,工事1件当たり工事費額が11万7000円(税抜き)を上回ることが多かった結果にすぎず,本件委託契約において,高い間接経費率を設定したことによるものではない。したがって,本件委託契約の精算基準が対価の等価性を著しく損なうものではない。
第3  当裁判所の判断
1  前記前提事実のほか,掲記した証拠及び弁論の全趣旨によれば,下記の事実を認めることができる。
(1)  本件委託契約締結に至る経緯等
ア 東京都教育委員会は,平成18年4月に,支援センターを設置し,各都立学校の自律的な学校経営を支援するとともに,各学校共通の事務室業務を集中化し,大幅な効率化を図ることとし,このうち,施設維持管理事務については,全校の日常的な小規模修繕等を包括的に外部委託することにより,専門職による予防保全や迅速な緊急修繕対応などを図り,各校で均質で良好な施設管理を確保することとした。そして,施設修繕の外部委託に当たっては,都立学校の教育環境の安定性の確保とともに都内中小企業者の受注機会の確保に留意する必要があり,委託する業務の内容が包括的であることなどから都の外郭団体への委託が望ましいこと,本件相手方が都営委託において高い実績を有していることなどから,本件相手方に委託することとした。(乙12)
イ 東京都は,平成18年度から本件相手方との間で,本件委託契約と同旨の都立学校施設維持管理業務の委託契約を締結している。このような業務委託契約の導入により,都立学校では工事1件ごとの契約が不要となり,支払も個々の工事ごとに行わなくて済むことになるなど,負担は大幅に軽減され,修繕自体も迅速に施工されるようになった。(弁論の全趣旨)
ウ 本件相手方は,東京都監理団体指導監督要綱に定める監理団体であるところ,東京都が本件相手方に対して認めた都立学校施設維持管理業務受託業務に従事する職員定数は,8名である(甲3,乙19)。
(2)  本件相手方が受託した管理業務の内容
本件相手方が受託した都立学校施設維持管理業務のうち,管理業務費A及び管理業務費Bに係る業務の内容は,次のとおりである(乙3,12,16,18)。
ア 随時受け付ける修繕の執行管理(管理業務費Aに係る業務)
(ア) 発注作業
本件相手方の各窓口センターにおいて,都立学校又は支援センターから修繕依頼書をファクシミリで受け付け,学校ごとに作成した工事店一覧表に基づき,修繕依頼に対応できる工事店を選定し,電話連絡する。受注可能であった場合には,基本情報,修繕内容,施工時期,施工方法,注意事項(工事時間や騒音・振動などに関する学校からの制約条件等)等を連絡し,具体的な工事の進め方等を打ち合わせる。「お客様対応システム2.0」(以下「WEBシステム」という。)に学校名,工事店名,処理コード,修繕内容コード,修繕依頼書の文書番号,特記事項等を入力した上で,学校には担当工事店の情報を連絡し,工事店には上記修繕依頼書及び修繕発注書(WEBシステムで作成したもの)を送付する。
(イ) 施工内容の確定
工事店が現場で施工箇所を調査して作成した見積書を提出させ,基本的には写真や図面で現場状況を確認し,必要に応じて直接現場に出向いて施工方法を検討し,上記見積書の内容が適切かを判断する。施工方法,金額,施工期間等の見直しを要する場合は,工事店に見積り条件を伝え,再度,見積書の作成を依頼する。確認した見積書について支援センターの了解を得て,工事店に施工を依頼し,修繕依頼書,修繕発注書,見積書等を工事の履歴としてファイルに保管する。
(ウ) 施工監理
施工方法や期間等に特殊な条件がある工事は,電話等で工事店に適宜指示・確認する。遅れが発生している工事等の進行管理を行う。
(エ) 検査
工事完了後,工事店から提出された書類(完了報告書兼請求書及び添付書類)について,施工内容,積算単価,完了写真(必要に応じて,工事現場で完了状況を確認する。)及び施工図面の確認を複数の職員により実施する。窓口センター長が決裁を行い,WEBシステムに請求金額,処理(コード),完了報告日,支払予定日等を入力する。
(オ) 支払,成果品の保存
WEBシステムにより工事店ごとに検収確認兼支払依頼書を印刷し,これに完了報告書を添付して,支払決裁を行い,検収確認兼支払依頼書及び完了報告書の各副本を保管する。
(カ) 報告
工事書類(各工事の完了報告書兼請求書,完了確認印簿,積算根拠資料)のコピー及び一覧を作成し,業務の成果を,毎日,支援センターに報告する。
イ 計画に基づく修繕の執行管理(管理業務費Aに係る業務)
年度当初の4月に東京都(中部支援センター)から送付される施設の改修希望時期(随時の修繕,試験期間中,長期休業中等)及び概算金額が一括して記載された修繕依頼の表に基づき,発注予定の工事店を選定して見積りを徴収し,施工内容を確認し,使用機材の納品時期などを工事店と調整し,改修希望時期及び概算金額で実施可能か否かを検討する。施工が困難である場合は,実施可能時期・金額等について代替案を作成して各支援センターと協議し,6月に実施計画として東京都に提出する。その後,調整が整った修繕から施工を行い,調整が整っていないものについては,適宜,本件相手方の窓口センターと各支援センターで協議を行う。
発注作業及び施工内容の確定手順は,上記アの(ア)及び(イ)の流れと異なる場合があるが,工事開始後の施工監理以降は,上記アの(ウ)~(カ)と同じ流れとなる。
ウ 管理調整業務(管理業務費Bに係る業務)
管理調整業務の内容は,次の(ア)~(ウ)のとおり補足するほかは,別紙2「業務別経費(管理業務費)の積算内訳」の「事務の具体的内容」のとおりである。
(ア) 「工事店募集資料作成・案内送付」について
当該業務には,工事店募集のために登録する可能性がある業者に対して案内を送付する事務(送付対象工事店の選定のための資料作成等を含む。)のほか,工事店が学校に入る際に工事関係者であることを示す工事店証の発行・交付事務,応募してきた工事店(平成27年度は532店)と工事店契約書を取り交わす事務が含まれる。
(イ) 「工事店研修・指導」について
都立学校施設維持管理業務の委託においては,「都立学校工事店制度」が導入され,地元中小企業の育成に配慮し,積極的な活用を図るため,同制度に登録した工事店を施工者に選定することとされているところ,同制度に関しては,工事店の募集,登録及び契約のほか,工事店に対する研修,指導等も受託者(本件相手方)の責任において実施するものとされている。そこで,本件相手方においては,工事店に対し,学校における修繕や本件相手方が定める積算方法等に係る注意事項などを伝えるため,必要に応じ個別に説明,指導等を行っている。本件相手方が行う工事店への指導は,当該修繕固有のものに限らず,また,契約時のほか,工事着手前や打合せの中で行う場合もある。内容も,工事施工方法,積算方法,写真撮影方法に関するものなど多岐にわたっており,管理業務費A,管理業務費Bのどちらによるものかの区別をせずに,業務を行っている。
(ウ) 「修繕履歴情報の管理」について
都立学校内には同一名称の施設や設備が存在し,同じ施設や設備でも施工箇所や施工した工事店が異なる場合もあるため,施工箇所や工事店などの情報を蓄積しておく必要があり,WEBシステムに修繕内容,施工場所,施工部位等を入力することで,その後の瑕疵の確認や設備機器の設置場所,修繕部位などによる修繕履歴の抽出が可能となる。修繕履歴の利用方法としては,工事発注に当たり適切な工事店を選定するため工事店候補一覧を作成すること,過去の修繕履歴を確認し,瑕疵責任の有無を調べて対応することなどが挙げられる。
(3)  都営委託の概要
ア 本件相手方は,都内にある約26万戸の都営住宅について,入居者への直接的な対応や日常的な施設管理(収納,滞納整理,入居者管理,設備保守点検及び駐車場管理)を指定管理者業務として東京都(都市整備局)から受託しているほか,修繕業務,募集業務,財産管理業務,建替工事監理業務の一部,耐震診断・改修業務等も受託している。都営委託における小口・緊急修繕工事は,150万円未満の工事の間接経費が1件当たり1万1700円(税抜き)であり,毎年度,公募に応じて本件相手方と小口・緊急修繕工事店契約を締結した工事店に発注している。なお,都営住宅には,東京都の職員は常駐していない。(甲2,乙16,弁論の全趣旨)
平成27年度の都営委託における小口・緊急修繕工事の実績は,受託金額43億8175万7566円(税抜き),発注件数5万7816件であった(乙16)。
イ 都立学校施設維持管理業務と異なる主な点(乙16,18)
(ア) WEBシステム活用に関する差異
都営委託では,発注から完了報告までをWEBシステム上で行う。すなわち,都営委託では工事店が全てWEBシステムに登録しているため,本件相手方のコールセンター(お客様センター)のオペレーターが,入居者からの修繕依頼の受付から,工事店選定,工事店への電話連絡,WEBシステムの入力までを行い,社内決済後,WEBシステム上で工事店に修繕発注書を送付する。工事完了手続は,工事店が施工完了後の請求額の内訳,工事内容の報告をWEBシステムに入力することで終了する。
一方,都立学校施設維持管理業務では,WEBシステムに登録していない工事店があるため,これらの工事店とのやり取りは手書き書類,電話,ファクシミリ,対面等となり,また,発注から工事完了までのWEBシステムへの登録も本件相手方の窓口センターの職員が行うことになる。平成27年度には,WEBシステムに登録していない工事店への発注件数の割合は44.74%であった。
(イ) 対象施設の違いによる差異
都営委託の小口・緊急修繕工事の発注業務は,集合住宅の仕様や部材などがある程度統一されているため,定型的・標準的なものであることから,コールセンターのオペレーターがWEBシステムにより工事店に発注した後は,都内10か所の窓口センター職員が施工監理,検査,支払手続等を行っている。
一方,都立学校施設維持管理業務においては,都立学校施設に住宅設備と異なる特殊なものがあり,事前に本件相手方職員による修繕内容の確認,学校や工事店との連絡調整が必要となることから,修繕依頼はファクシミリにより窓口センターの職員が受けることとし,また,その後の修繕を所管する窓口センターを4か所(立川,府中,亀戸,新宿)に限定し,発注,施工内容の確定,施工監理,検査,支払等を行っている。
なお,WEBシステムの記録によれば,平成27年度工事について,完了報告書兼請求書作成の際に必要となる見積りや人工などの記載情報の手直しを指導した割合は,都営委託の小口・緊急修繕工事で全体発注件数の5.55%,本件委託契約によるWEBシステムを利用した工事店への発注(全体発注件数の55.26%)で11.19%となっている。
(ウ) 支援センターの関与の有無
都立学校施設維持管理業務では,支援センターが関与するため,見積書を支援センターにファクシミリにより送信し,その了解を得ることが必要となり,また,業務の成果を支援センターに報告することが必要となる。
他方,都営委託では,このような業務はない。
(エ) 小口修繕単価表の項目の差異
都立学校施設維持管理業務で使用する小口修繕単価表は,2625項目であり,このうち,都営委託の単価表と異なる項目は224項目(各種ガラス,プール専用防水塗料,高圧水銀ランプなど)である(乙18)。
(4)  管理業務費A及び管理業務費Bの精算基準の根拠
ア 管理業務費Aについては,別紙1のとおり,平成17年度の都営委託における直接工事費に対する間接経費(計画策定用固定経費1戸当たり3000円,空家・小口修繕用固定経費1戸当たり3600円,小口・緊急修繕及び空家修繕を除く計画修繕等の工事実施額の4.5%相当額,営繕システム経費)の比率が10.8%であったことを参考とし,その精算基準を直接工事実施額の10%とした(乙11の1~3)。
イ 管理業務費Bについては,本件委託契約の締結に当たって,別紙2のとおり,平成24年度及び平成25年度の実績をもとに,各事務の標準的な規模,処理件数及び単位数を設定し,各事務に係る時間数を算出した上で,その合計数の1施設当たり時間数に,東京都の職員の平均給与を参考にして出した1時間当たりの給与額を乗じて算出した金額に基づき,精算基準を1施設当たり26万円とした(乙12)。
(5)  平成27年度における経費の比率(乙16)
ア 本件委託契約における施設修繕業務の直接工事費に対する管理業務費A及び管理業務費Bの比率は,14.4%((1億4522万2128円+6344万円)÷14億5222万1273円)であった。なお,管理業務費A及び管理業務費Bに営繕システム経費(決算額544万8574円)を加えた経費をとってみても,その直接工事費に対する比率は,14.7%にとどまっていた。
イ 平成27年度の都営委託における小口・緊急修繕工事の直接工事費に対する間接経費の比率は,15.4%(5万7816件×1万1700円÷43億8175万7566円)であった。
2  検討
(1)  前記事実関係によれば,本件委託契約における管理業務費Aの精算基準は,平成17年度の都営委託における直接工事費に対する間接経費の比率を参考として定められたものであるが,本件委託契約では,管理業務費Aとは別に,管理業務費B及び営繕システム経費を算定することとされており,これらの金額は管理業務費Aには含まれないものと解されるにもかかわらず,これらと同種の固定経費や営繕システム経費が含まれる都営委託の間接経費の比率を参考とし,これに準じた比率を管理業務費Aのみの精算基準に用いた上で,更にこれに管理業務費B及び営繕システム経費を上乗せすることとした点においては,経費の精算基準としてその適正さに疑問の余地があるものといわざるを得ない。しかしながら,前記認定のとおり,本件委託契約における施設修繕業務の実績では,直接工事費に対する経費として,管理業務費Aに管理業務費B及び営繕システム経費を加えた経費をとってみても,その直接工事費に対する比率は14.7%にとどまっており,同じ年度の都営委託における小口・緊急修繕工事の直接工事費に対する間接経費の比率である15.4%を下回っているから,少なくとも本件委託契約に関する限りにおいては,管理業務費Aの精算基準に従って算定された経費の額が,不当に高額であるということはできない。
また,前記事実関係によれば,本件委託契約における管理業務費Bの精算基準は,過年度の実績をもとに,各事務の標準的な規模(所要時間),処理件数及び単位数を設定するなどして,1施設当たりの固定経費が定められたものであり,その算定の過程に特段不合理な点は認められず(原告の主張については後記のとおりである。),また,実績においても,管理業務費Bに管理業務費A及び営繕システム経費を加えた経費の直接工事費に対する比率が上記の程度にとどまっていることからすれば,本件委託契約における管理業務費Bの精算基準に従って算定された経費の額が,不当に高額であるということはできない。
(2)ア  原告は,管理業務費Aについて,本件委託契約における施設修繕の工事金額及び業務内容が都営委託における小口修繕と共通していること,業務の負担はむしろ本件委託契約の方が質・量的に小さいことなどを挙げて,管理業務費Aも都営委託における小口修繕の間接経費と同額とすべきである旨主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,本件委託契約における委託業務と都営委託における委託業務とでは,工事店のWEBシステムへの登録状況の違い(この点は,地元中小企業の育成・活用を図るとする「都立学校工事店制度」の導入も影響しているものと解される。)や,対象施設における仕様・部材等の統一具合の違い(完了報告書兼請求書の手直しの割合に2倍程度の差があることも,この点の違いが影響しているものと解される。)などを原因として,その業務の内容及び負担の程度に相当の差異があることが認められ,また,本件委託契約の方が質・量的に業務の負担が小さいと一概にいうこともできないから,原告の主張はその前提において失当というべきである。
イ  また,原告は,管理業務費Bについて,その積算根拠とされた業務の中には,積算に入れる必要がないものが含まれている旨主張するが,以下のとおり,この主張も採用することができない。
(ア) 「工事店募集資料作成・案内送付」について
原告は,各工事店につき同じような配布物を用意し,宛名を書き,封筒に入れて郵券を貼るのに1件1時間(合計1300時間)もかかるはずがなく,過大な積算であり,仮に宛名を手書きで書くとしても,1件当たり20分(合計433時間)もあれば十分である旨主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,「工事店募集資料作成・案内送付」の業務は,各工事店に配布物を1回郵送するだけの業務ではなく,送付対象工事店の選定のための資料作成,案内の送付,工事店証の発行・交付,工事店契約書の取り交わし等の各種事務を含むものであるから,1工事店当たりの所要時間を1時間と見込んで計算したことが不合理であるとはいえない。
(イ) 「工事店研修・指導」について
原告は,「工事店研修・指導」の業務は,工事店が提出する書類の訂正の指示等であり,発注や支払業務に付随するものとして,その経費は管理業務費Aに含まれるから,これを管理業務費Bの中で二重に積算することは許されない旨主張する。
しかしながら,前記認定のとおり,「工事店研修・指導」の業務は,当該修繕固有の指導に限らず,学校における修繕の工事施工方法,積算方法,写真撮影方法等の説明やこれらに関する注意事項の伝達等の多岐にわたる指導を随時行う業務であるから,その経費を個別の修繕業務に付随する管理業務費Aとは区別して管理業務費Bの中で別途積算することが不合理であるとはいえない。
(ウ) 「修繕履歴情報の管理」について
原告は,「修繕履歴情報の管理」とは,発注,検査等のデータを日々入力することを指していると考えられ,これらは都営委託においても行われているから,管理業務費Bとして,別に支出する理由及び必要性はない旨主張する。
しかしながら,被告の説明によれば,「修繕履歴情報の管理」は,データ入力業務のうち,工事箇所(学校の建物別,設備別),工事内容(受付日,発注日,工事完了日,修繕工事の内容等)等のデータ入力・確認をした後,データを建築物,建築設備別に整理し,一覧で把握できるようにする業務であるとのことであり,そのような業務の必要性や実施の事実を直ちに否定することはできないから,このような業務の経費を管理業務費Bの中で積算することが不合理であるとはいえない。
もっとも,実際には日々のデータ入力以外に上記のようなデータの整理をしていないというのであれば,データ入力の経費を管理業務費Aとは別に管理業務費Bとしても積算することの合理性については疑問とする余地がないではないが,先に摘示したとおりの本件委託契約における経費の比率の実績に鑑みれば,少なくとも本件委託契約に関する限りにおいては,上記のような疑問を踏まえてもなお,管理業務費Bの精算基準に従って算定された経費の総額が,不当に高額であるとまでいうことはできないものというべきである。
ウ  さらに,原告は,東京都が本件相手方に対して認めた本件委託契約に基づく受託業務に従事する職員定数が8名であることをもとに,職員1人当たりの管理業務費A及び管理業務費Bの金額が2800万円余りという高額になり社会常識に反している旨も主張する。
しかしながら,上記の職員定数は,東京都が査定した固有職員の枠が8名というだけで,本件相手方において,非常勤職員や人材派遣などの多様な形態の人材を活用して業務処理をすることが,東京都監理団体指導監督基準(甲3)において認められており,維持管理の対象となる都立学校施設の数が244施設に及ぶことなどを考慮すると,実際に受託業務に従事する職員の数が8名にとどまるとは限らないから,原告の主張は,その前提を欠き,採用できない。
(3)  以上の検討からすれば,本件委託契約における管理業務費A及び管理業務費Bの精算基準に従って算定された経費の額が,不当に高額であるということはできず,経費の額の適正の点において東京都に錯誤があるとは認められないから,本件委託契約における精算基準の一部無効をいう原告の主張は失当であり,その精算基準に基づく概算払額の精算が違法であるということはできない。
そうすると,本件相手方は,東京都に対して,不当利得返還義務を負わないから,原告の請求は理由がない。
3  以上のとおり,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
(裁判長裁判官 古田孝夫 裁判官 中野晴行 裁判官 古屋勇児)

 

〈以下省略〉

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296