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「営業コンサルタント」に関する裁判例(16)平成31年 1月16日 東京地裁 平29(ワ)6389号 損害賠償等請求事件

「営業コンサルタント」に関する裁判例(16)平成31年 1月16日 東京地裁 平29(ワ)6389号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成31年 1月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)6389号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2019WLJPCA01168008

裁判年月日  平成31年 1月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)6389号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2019WLJPCA01168008

東京都中央区〈以下省略〉
原告 株式会社Jplanning(以下「原告会社」という。)
同代表者代表取締役 X1
東京都中央区〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
原告ら訴訟代理人弁護士 小笠原耕司
同 山崎臨在
原告ら復訴訟代理人弁護士 幸森理志
同 菊地鈴華
東京都港区〈以下省略〉
被告 株式会社オーシャン・デベロップメント(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 Y1
同訴訟代理人支配人 A
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  原告会社の1億円の保証金に関する請求
被告会社に対する請求(1)と(2)は,(1)が主位的,(2)が予備的である。
(1)被告会社は,原告会社に対し,1億円及びこれに対する平成28年6月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告らは,原告会社に対し,連帯して1億円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告X1の1000万円の出資金に関する請求(100万円の限度で一部請求)
被告らは,原告X1に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告会社の5億0960万7826円の設備投資金に関する請求(100万円の限度で一部請求)
被告会社に対する請求(1)と(2)は,選択的である。
(1)被告会社は,原告会社に対し,100万円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告らは,原告会社に対し,連帯して100万円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要等
1  事案の概要
原告会社の請求は,原告会社が,被告会社との間で,被告会社から米国グアム準州(以下「グアム」という。)での生コンクリート製造販売事業等に係るコンサルティング等を受ける旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結し,本件契約に基づき,「保証金」として1億円(以下「本件金員」という。)を支払ったところ,①被告会社のコンサルティング業務等の不履行,原告会社に対する信用毀損行為等を理由に,民法651条1項又は本件契約の約定により本件契約を解除したとして,被告会社に対し,本件契約の解除による原状回復請求権に基づき,本件金員1億円及びこれに対する本件契約の解除の日の翌日である平成28年6月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求1(1)),②被告会社の代表取締役である被告Y1が,被告会社をして本件金員を費消させ,本件金員の原告会社への返還を拒絶したことなどにより,同額の損害を被ったとして,被告Y1に対しては会社法429条1項,被告会社に対しては同法350条に基づき,連帯して1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成29年3月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求1(2)),③被告会社が,原告会社に対して,本件契約に付随する情報提供,助言義務等に反し,不正確な情報提供をしたことなどにより,原告会社は,本件事業に対して480万7621ドル(5億0960万7826円)の無駄な設備投資をさせられたとして,被告会社に対して,債務不履行による損害賠償請求権に基づき,上記投資額のうち100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成29年3月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求3(1)),④被告Y1が,被告会社の代表取締役として,被告会社が原告会社に対して負う情報提供,助言義務等を履行するよう体制を整備し,他の取締役の業務執行を監督する義務に違反したことにより,原告会社は,本件事業に対して無駄な設備投資をさせられたとして,被告Y1に対しては会社法429条1項,被告会社に対しては同法350条に基づき,連帯して上記投資額のうち100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成29年3月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(請求3(2))というものである。請求記載のとおり,被告会社に対する請求のうち,①及び②の請求は,①が主位的請求,②が予備的請求の関係に立ち,③及び④の請求は,それぞれ選択的併合の関係に立つ。
原告X1の請求は,被告会社が,信義則上の説明義務等に反し,不正確な説明をするなどして上記事業の勧誘をしたことにより,原告会社の代表取締役である原告X1は,原告会社の設立費用として1000万円を支出させられたとして,被告会社に対しては不法行為,被告Y1に対しては会社法429条1項に基づき,連帯して出資額1000万円のうち100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成29年3月31日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(請求2)というものである。
2  前提事実(当事者間に争いがないか,後掲各証拠(以下,特に明記しない限り,枝番の表記は省略する。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者等
原告会社は,平成26年12月12日に,原告X1が資本金1000万円を出資して設立した生コンクリート製造販売事業等を目的とする株式会社であり,設立当初から原告X1が代表取締役を務めている(甲3)。
被告会社は,経営コンサルタント,土木建築技術の企画開発,投資顧問,生コンクリートの製造販売等を業とする株式会社であり,被告Y1が代表取締役,B(旧姓B1。以下「B」という。),C(以下「C」という。)が取締役を務めている(甲1)。
株式会社ミライト・テクノロジーズ(以下「ミライト」という。)は,昭和35年に設立された,電気通信工事,土木,建築,大工等の工事及び付帯設備の施工,請負及び保守並びにこれに関連する測量及び設計等を目的とする株式会社である。原告X1は,原告会社の設立前からミライトに勤務していた(乙18)。
(2)日本企業によるグアムにおける米軍再編成計画関連事業の受注に向けた動き(甲8,10,弁論の全趣旨)
平成22年頃,日米政府による極東米軍再編成計画が発表されたことをきっかけに,グアムにおける米軍再編計画に伴う基地通信事業(以下「本件通信事業」という。)に関連する工事の受注獲得を目指して,複数の日本企業から構成されるコンソーシアム(以下「本件コンソーシアム」という。)が組織され,被告会社はその幹事として各参加企業の取りまとめを行っていた。
被告Y1は,平成22年頃,元グアム副知事のD(以下「D」という。)及び現地の設計コンサルタントのE(以下「E」という。)とともに,グアムにKM&Tという会社(以下「KM&T」という。)を設立し,KM&Tは,グアム港湾局から,グアム内のM1と称する区画において,生コンクリート事業及び港湾事業を行う権利を取得していた。
(3)ミライトによる本件コンソーシアムへの参加と事業参入に向けた検討(甲8,乙19,弁論の全趣旨)
ミライトは,平成24年頃,本件通信事業への参入を希望し,本件コンソーシアムに参加した。
本件通信事業の一部として,米軍基地の格納庫等の設備設置に必要な生コンクリートを製造販売する事業(以下「本件事業」という。)があり,当初,本件コンソーシアムに参加していた2社が,本件事業への参入の準備を進めていたが,途中で撤退した。そこで,被告Y1は,平成25年9月頃,ミライトに対し,本件事業への参入企業として,生コンクリート業者の紹介を依頼したところ,ミライト自身が本件事業への参入を検討することになった。原告X1は,この頃から,ミライトの営業部長として,ミライトの本件事業への参入準備に係る業務を担当し,ミライトの窓口として,被告会社との連絡・協議等を行うようになった。
ミライトは,その後,現地の建設会社であるSmith Bridge GUAM Inc.(以下「スミスブリッジ」という。)に委託して,グアムに生コンクリートプラントを建設する計画の下,本件事業への参入の準備を進めていた。
(4)ミライトによる本件事業への参入の中止と原告会社の設立(甲3,乙11の46,乙14,19,弁論の全趣旨)
ミライトは,平成26年7月頃,本件事業はミライトの本来業務ではないとの親会社の意向により,本件事業への参入を中止した。
原告X1は,従前,ミライトにおいて本件事業への参入の準備を担当していたことから,自ら会社を設立して,本件事業に参入することとした。
その後,原告会社の設立に先立ち,平成26年12月5日付けで,原告会社と被告会社を名義人とする覚書(以下「本件覚書」という。)が作成された。本件覚書は,本件事業を行うための原告側の資金体制が整うまで,また,原告会社と被告会社との間で条項内容が既に合意されている「業務提携契約書」の締結までの暫定的な措置として取り交わすものとされ,①本件覚書取り交わし後1か月以内に「業務提携契約書」を締結する,②「業務提携契約書」第3条の「保証金」について,総額2億円のうち1000万円は,手付金として本件覚書締結後に原告会社が被告会社に対して支払うこととし,支払った金員は,「業務提携契約書」締結時に原告会社が被告会社に対して支払う保証金初回支払分1億5000万円の一部として充当すると定められた。本件覚書の具体的内容は,別紙覚書のとおりである。
原告X1は,平成26年12月12日,1000万円を資本金として出資し(以下「本件出資金」という。),ミライトのグループ企業として,原告会社を設立した。
(5)再度の覚書の作成及び原告会社による「手付金」の支払(甲6,乙15)
原告会社及び被告会社は,本件覚書で定められた期限内に「業務提携契約書」が作成されなかったことから,平成27年3月27日,原告会社が支払う「保証金」の支払に関し,再度,覚書(以下「本件更新覚書」という。)を作成した。
本件更新覚書では,「保証金」総額2億円のうち,300万円を平成27年3月31日に,1000万円を同年4月30日に支払う,残額1億8700万円の支払及び「業務提携契約書」締結を同年5月29日に行うなどと定められた。本件更新覚書の具体的内容は,別紙更新覚書のとおりである。
原告会社は,本件更新覚書に基づき,被告会社に対し,平成27年3月31日に300万円,同年4月21日に1000万円をそれぞれ支払った。
(6)本件契約の締結(甲4ないし6,8,乙11の46,弁論の全趣旨)
平成27年5月頃,原告会社の子会社として,グアム法人であるJ Planning Guam Corporation(以下「本件現地法人」という。)が設立された。
原告会社及び被告会社は,平成27年6月15日,「業務提携契約書」を交わし,本件契約を締結した。本件契約において,被告会社は,原告会社に対し,本件事業遂行のための生コンクリート材料調達支援,案件受注のための営業,斡旋活動,関係各所との交渉やロビー活動,競合他社や市場動向の情報収集等の業務を行うこととされ,他方,原告会社は,被告会社に対し,「保証金」合計2億円を支払う,そのうち既払の手付金を含めた1億円(本件金員)を本件契約締結時,残金1億円を被告会社による本件事業の業務稼働開始時に支払うものとされた。本件契約の具体的内容は,別紙業務提携契約書のとおりである。
そして,原告会社は,平成27年6月16日,被告会社に対し,本件金員から既払額合計1300万円(同年3月31日支払の300万円と同年4月21日支払の1000万円の合計額)を控除した8700万円を支払った。
(7)原告会社による本件契約の解除の意思表示(甲13,14)
本件契約締結後,原告会社及び本件現地法人は,本件事業への参入に向けて,生コンクリートプラント用地の手配などの準備を進めていたが,原告会社は,平成28年5月31日,代理人弁護士を通じて,被告会社に対し,民法656条,651条1項又は別紙業務提携契約書第7条により本件契約を解除する旨の意思表示をし,本件金員の返還を請求した。解除の理由は,本件契約上,被告会社が,プラント用地の手配,生コンクリート輸送に係る車両等の手配,関係諸官庁へのロビー活動,情報入手活動等を行うこととなっていたが,原告会社自らプラント用地や輸送車両等を手配せざるを得なくなったこと,原告会社の反対を無視してグアムの上院議員に申入れをして,原告会社の信用が毀損されたこと,また,グアムでの生コンクリート製造業者に係る説明が誤っていたことなどであった。
3  本件各請求における当事者の主張の構造と争点
(1)本件金員に係る請求について
ア 被告会社に対する請求(本件契約の解除に基づく原状回復請求)
(ア)解除事由の有無(争点1)
① 民法651条1項に基づく解除
② 被告会社の本件契約の債務不履行
(イ)解除の意思表示(前提事実(7))
(ウ)解除に伴う本件金員返還義務の有無(争点2)
イ 被告Y1に対する会社法429条1項に基づく請求及び被告会社に対する同法350条1項に基づく請求(争点3)
(ア)被告Y1の会社法429条1項による責任の有無及び損害
(イ)被告会社の会社法350条による責任の有無及び損害
(2)本件出資金に係る請求について(争点4)
ア 被告会社に対する不法行為に基づく請求
被告会社の不法行為責任の有無及び損害
イ 被告Y1に対する会社法429条1項に基づく請求
被告Y1の会社法429条1項による責任の有無及び損害
(3)原告会社の設備投資金に係る請求について(争点5)
ア 被告会社に対する債務不履行による損害賠償請求
被告会社の債務不履行の有無及び損害
イ 被告Y1に対する会社法429条1項に基づく請求及び被告会社に対する同法350条に基づく請求
(ア)被告Y1の会社法429条1項による責任の有無及び損害
(イ)被告会社の会社法350条による責任の有無及び損害
4  争点に関する当事者の主張
(1)本件契約の解除事由の有無(争点1)
【原告会社の主張】
ア 民法651条1項に基づく解除
本件契約は,契約書上「業務提携契約」となっているものの,業務内容からすれば,その性質は,原告会社が被告会社に対して事実行為の事務を委託した準委任契約である。
したがって,原告会社は,いつでも本件契約を解除することができる(民法656条,651条1項)。
イ 被告会社の債務不履行
被告会社は,本件契約上,クライアント企業への生コンクリート販売,斡旋営業活動業務を行う債務を負っていたところ,原告会社に対し,行った営業活動内容について一切報告しておらず,その他についても,何らの営業活動を行っていない。
被告会社は,本件契約上,関係諸官庁へのロビー活動業務を行う債務を負っていたところ,被告会社は,Guam Power Association(以下「GPA」という。)に対して,工事の遅延に係る苦情申入れをしたが,それにより原告会社はグアムにおいて取引上の信用を著しく毀損されており,債務の本旨に従った履行があったとはいえない。
被告会社は,米国及び日本からの生コンクリート需要に関する建設工事発注計画情報の入手伝達活動業務を行う債務を負っていたところ,原告会社に対して提供した情報のほとんどは,Naval Facilities Engineering Command(以下「NAVFAC」という。)のホームページに掲載されている公知ないし既知のものであり,情報価値を欠いていた。
以上によれば,被告会社は,本件契約の債務不履行がある。
なお,被告らが,本件契約の業務として行ったと主張するメールの内容に係る認否は,別紙グアムの本事業に関するコンサルティングに係るメールの「認否」欄記載のとおりである。そして,本件契約の当事者ではないミライトに対して実施された業務及び本件契約締結前に実施された業務については,本件契約上の債務の履行に当たらない。
【被告会社の認否反論】
ア 本件契約の性質
本件契約は,準委任契約ではないから,原告会社は,民法651条に基づく解除をすることはできない。
イ 被告会社による債務の履行
被告会社は,大和ハウスグアムや日通に対する生コンクリート購入依頼,鈴与株式会社に対する骨材搬送依頼,淺沼組への営業活動等,被告らの人脈を通じたロビー活動を行った。また,GPAに対する苦情申入れに至ったのは,原告会社内の連絡体制が整っていないことが直接の原因である。NAVFACにて公開されている情報を原告らに伝達することも,本件事業遂行に当たり必要な情報入手活動である。
被告会社は,そのほかにも,本件契約の業務として,具体的には,別紙グアムの本事業に関するコンサルティングに係るメール【1】のとおり,原告らに対して本件事業に係る情報提供を行い,同別紙【2】のとおり,本件事業に関するグアムにおける支援活動を行った。
原告X1は,当初,本件事業を行う予定であったミライトの窓口として被告会社との交渉をしていたが,ミライトが本件事業への参入を取りやめたところ,原告X1は,自ら本件事業を行うこととして参入に向けて稼働したこと,原告会社による資金調達が叶わなかったことにより本件契約の締結が遅延したことなどの経緯からすれば,ミライトに対して実施した業務及び本件契約締結前に実施した業務についても,本件契約上の債務の履行に当たる。
したがって,被告会社には,本件契約上の債務不履行はない。
(2)本件契約の解除に伴う本件金員返還義務の有無(争点2)
【原告会社の主張】
本件金員は,本件契約3条4号に規定された保証金として,つまり,「全額償還を前提と」して差し入れたものであり,原告会社が本件事業を開始した後に,原告会社が被告会社に支払うコンサルタント料の一部相当額分を,被告会社が原告会社に対して毎月償還する定めとなっている。したがって,本件契約上,本件金員は原告会社に返還されることが予定されていたことは明らかである。
原告X1は,被告らから,本件金員の使途について説明を受けたことはないし,本件金員が返還不要であることについて同意したこともない。むしろ,被告らからは,本件金員について,全額返還が予定されていることを理由に,被告会社の運転資金とは別口座で保管するとの説明を受けた。
したがって,本件契約の解除に基づく原状回復として,被告会社は原告会社に対し,本件金員を返還する義務がある。
【被告会社の認否反論】
本件金員は,返還の必要のないアセットバリュー権利金,つまり,被告会社がグアムにおいて築いてきた人脈や投資環境等を,原告会社が独占的に使用し,被告会社が長年計画してきた大きな営利事業へ参入することの対価であり,被告会社は,今後の営業等の活動に必要な資金として使用できるものであることは,本件覚書,本件更新覚書及び本件契約を取り交わす都度,原告X1及び被告らとの間で確認されていた。本件契約上は,税務,会計処理上の便宜を考えて,「保証金」として記載することを合意したにすぎない。
そして,被告らは,原告X1に対し,保証金の使途を伝え,その都度同意を得ており,反論されたことは一度もなかった。
本件の経緯としても,被告会社は,当初,本件事業を遂行する予定であったミライトやそれを引き継いだ原告会社に対し,積極的に本件事業展開に関して協力してきたが,その間,全く本件事業に係るコンサルタント料は受け取っておらず,事業が展開されるときに得ることのできるアセットバリュー権利金が,被告らが過去に行ってきた業務の対価の支払に充てることのできる唯一のものであった。ただし,保証金の名目で預かったものとして計上した金額は,将来的に事業活動がなされ,規定のコンサルタント料が支払われた段階で,その収入の一部をもって,支払合計が保証金相当額になるまで返金するという契約内容となっていた。
したがって,仮に本件契約の解除が有効になされた場合であっても,被告会社には原告会社に対し,本件金員を返還する義務はない。
(3)本件金員に係る被告Y1の会社法429条1項の責任及び被告会社の同法350条の責任の有無並びに損害(争点3)
【原告会社の主張】
被告会社は,本件金員を運転資金として費消しないという合意に違反して,委任者である原告会社に無断で,具体的な返還のめども立たない状況下において本件金員の9割5分を費消した上で返還拒絶している。
そして,被告会社は,原告会社に対して本件金員を返還する義務を負っているのは明らかであるにもかかわらず,本件金員の具体的使途の開示要請を拒み,返還も拒み続けている。
このような被告会社の対応は,委任契約の受任者として原告会社に対して負う報告義務,説明義務及び契約終了後の原状回復義務に違反している。
被告Y1は,被告会社の代表取締役として,適法かつ適正に職務を執行すべき善管注意義務があるにもかかわらず,それに違反し,被告会社が上記のような対応をする旨の判断をしているから,悪意又は重過失による任務懈怠があった。
そして,被告Y1の任務懈怠により,原告会社は,本件金員の返還を受けることができず,同額(1億円)の損害を被った。
したがって,被告Y1は会社法429条1項に基づき,また,被告Y1は被告会社の代表者なので,被告会社は同法350条に基づき,原告会社に対し,連帯して1億円の損害を賠償する責任を負う。
【被告らの認否反論】
被告会社が原告会社に対し,本件金員の具体的使途を開示しなかったこと,本件金員の返還を拒絶したことは認める。
しかし,上記(2)【被告会社の認否反論】記載のとおり,仮に本件契約が有効に解除されたとしても,被告会社は,原告会社に対し,本件金員を返還する義務はない。また,本件契約は準委任契約ではないから,被告会社は,原告会社に対し,本件金員の使途を詳細に報告する義務はない。
いずれにせよ,被告Y1に任務懈怠はなく,それを前提とする被告会社の会社法350条に基づく賠償責任もない。
(4)本件出資金に係る被告会社の不法行為責任及び被告Y1の会社法429条1項の責任の有無並びに損害(争点4)
【原告X1の主張】
ア 被告会社の義務違反
被告会社は,情報格差のある原告X1に対し,事業への勧誘を行う際は,将来における変動が不確実な事項につき断定的判断は避け,原告X1が本件事業を開始するか否かについて的確な判断ができるよう客観的かつ正確な情報を提供し,助言する義務を負っていた。しかし,被告会社は,以下のとおり,本件事業のリスクの説明や正確な情報提供をせず,むしろ,原告X1との情報格差を奇貨として将来における変動が不確実な事項につき,断定的判断を示して,原告X1に対して本件事業の勧誘を行い,上記義務に違反した。
(ア)アンダーセン空軍基地に係る説明
被告会社の原告X1に対する説明によれば,平成22年当時,米軍再編成計画の一環としてアンダーセン空軍基地におけるステルス戦闘機の大型格納庫12基の建設が予定されており,その建設事業の受注を目指す現地の業者は,当時米軍施設において必要とされる高硬度かつ高品質な生コンクリートを製造することができない,そこで,高硬度生コンクリートの原材料を獲得するためのルートを有する被告会社の協力があれば,原告会社は上記事業において競合他社に対する優位性を獲得できるとのことであった。
しかし,結果的に,米軍が発表した上記事業において必要とされる生コンクリートの硬度は,現地の業者においても既存の設備で対応できるスペックで足りることとされ,原告会社が上記事業に新規参入する途は事実上なくなり,一件として受注することはできなかった。
(イ)港湾事業に係る説明
被告会社の原告X1に対する説明によれば,米軍再編成計画により,グアムの陸海空軍が増員され,米軍基地向けの大規模な港湾,空港整備等の土木工事や,ホテル,住宅等の建設工事が予定され,これらの工事に伴い,同地域において年間1500万立方メートルの高硬度かつ高品質な生コンクリートの需要が見込まれる,日本通運株式会社(以下「日通」という。)が行う生コンクリート輸入資材を荷揚げする港湾の埠頭建設工事のために必要とされる生コンクリートについても,被告会社を通じて,原告会社が大量の受注を受けることができるとのことであった。
しかし,日通の港湾事業はいまだに実施されていない。
(ウ)プラント用地の確保及び現地輸送車両の手配に係る説明
被告会社の原告X1に対する説明によれば,大量の生コンクリート生産体制の構築に当たり,グアム内に生コンクリートプラント用地が必要であり,現地企業でありかつ被告会社が3分の1を出資しているKM&Tを通じてプラント用地を確保することが可能である,また,被告会社と取引関係のある日通が,グアム内にて製造した生コンクリートの輸送業務全般を請け負うことが可能である,とのことであった。
しかし,被告会社は,KM&Tとの折衝を開始した平成26年12月時点から1年ほど経っても,一向にプラント用地を借り受けることができる気配がなかった。結果的には,被告会社に任せていてはプラント用地を確保することができないと危惧した原告X1が,自らスミスブリッジと交渉し,平成28年2月1日,同社よりプラント用地を借り受ける旨の契約を締結した。
また,グアム内にて製造した生コンクリートの輸送についても,日通は,自社所有の輸送車両による輸送業務の請負はできず,日通から示された代替案は,当初の被告会社の説明内容とかい離しており,特に価格の点で到底折り合いをつけられないものであったことから,原告会社自ら輸送手段を確保せざるを得なかった。
(エ)原告会社による本件事業の推移
被告会社による上記説明は大部分が誤っており,原告会社は,本件事業に関連して,いまだに一件として受注に至っていないばかりか,そもそもグアムにおいて被告会社を通じた生コンクリート取引の成約に至ったことすら一度もない。
その後,原告X1は,自らグアムで営業活動を続け,小口の受注をわずかに獲得するに至ったが,その売上高は,当初の予想と明らかにかい離している。
イ 被告Y1の任務懈怠
被告Y1は,被告会社の代表取締役として,社内における監督体制を整備し,他の取締役の業務執行を監督する義務があった。
しかし,被告Y1は,何ら監督を行うことなく,上記アのとおり,被告会社担当者が原告X1に対して甘言を弄する過程を漫然と見過ごしたのであるから,悪意又は重過失による任務懈怠がある。
ウ 損害
被告会社の注意義務違反又は被告Y1の任務懈怠により,原告X1は,1000万円を出資して原告会社を設立し,同額の損害を被った。
エ まとめ
以上より,被告会社は不法行為に基づき,被告Y1は会社法429条1項に基づき,原告X1に対し,連帯して1000万円の損害を賠償する責任を負う。
【被告らの認否反論】
ア 被告会社の説明義務について
原告X1は,自らの事業として本件事業への参入を決意し,そのために原告会社及び本件現地法人を設立したのであるから,本件事業の見通しやリスクについて,第一義的には,原告らが自らの責任で判断すべきは当然であって,被告会社は,原告X1が主張するような説明義務は負わない。
被告らは,原告X1に対し,以下のとおり,本件事業に係るリスク等の説明を十分に行っているから説明義務違反はない。また,被告Y1の任務懈怠もない。
イ 本件事業に係る説明等について
(ア)アンダーセン空軍基地に係る説明
米軍関連の案件を受注するためには,プラントがバックアップ機能を有すること,すなわち,プラントを最低2基設置することが条件であり,被告会社は,原告らに対し,再三にわたりその条件を説明した。しかし,原告らはバックアッププラントを設置せず放置したために,案件を受注することができなかったのである。
(イ)港湾事業に係る説明
被告会社は,原告会社に対し,無条件で日通から大量の生コンクリートの受注を受けられることを断言ないし確約していない。日通の港湾事業は実施されていないが,日通に対して原告X1らを紹介済みであり,港湾事業が行われる際は原告会社の生コンクリートを使用するとの確約を得ている。
(ウ)プラント用地の確保及び現地輸送車両の手配に係る説明
被告会社は,原告会社に対し,日通が輸送業務全般を請け負うことが可能との説明を,港湾事業完成に拘わらない一般論としてしたものではない。
プラント用地の手配については,被告Y1らが,スミスブリッジに対して,原告X1らを紹介し,条件に合う土地を探していたところ,土地賃貸借の契約書の原案を作成する時点になって,原告X1から,土地の面積,賃借料等の詳細については直接スミスブリッジと交渉したいとの強い意向が示されたため,被告会社関係者は交渉から外れたものである。
また,被告会社と日通との間でまとまった車両手配の話を原告らに通知したところ,原告らから,価格面で難色を示され,自ら手配を行うとの意向が示されたため,被告会社関係者は交渉から外れたものである。
(5)原告会社の設備投資金に係る被告会社の債務不履行責任,被告Y1の会社法429条1項の責任及び被告会社の同法350条の責任の有無並びに損害(争点5)
【原告会社の主張】
ア 被告会社の債務不履行,被告Y1の任務懈怠等
被告会社は,本件契約上の債務として,原告会社に対し,情報提供,助言をする義務があった。しかし,上記(4)【原告X1の主張】アのとおり,原告らに対し,不正確な説明,情報提供をし,当該義務に違反した。
被告Y1は,被告会社の代表取締役として,被告会社が上記義務に違反しないよう,社内における監督体制を整備し,他の取締役の業務執行を監督する義務があった。しかし,何ら監督を行うことなく,被告会社が,原告会社に対し,上記のような不正確な説明,情報提供をすることを漫然と見過ごしたのであるから,悪意又は重過失による任務懈怠がある。
イ 損害の発生及び因果関係
上記アの被告会社の債務不履行及び被告Y1の任務懈怠により,原告会社が機材等購入のための費用として支出した480万7621ドル(平成28年7月18日時点で5億0960万7826円相当)は無駄になったから,原告会社は,同額の損害を被った。
ウ まとめ
以上より,被告会社は本件契約の債務不履行及び会社法350条に基づき,被告Y1は同法429条1項に基づき,原告会社に対し,連帯して480万7621ドル(平成28年7月18日時点で5億0960万7826円相当)の損害を賠償する責任を負う。
なお,原告らは,被告らに対し,上記損害額の一部である100万円の支払を求めるものである。
【被告らの認否反論】
上記(4)【被告らの認否反論】ア,イのとおり,被告会社には,本件契約の債務不履行はなく,被告Y1の任務懈怠もない。
被告らは,原告X1に対して断定的判断を提供していない。ミライトが本件事業への参入を取りやめた後,原告X1が,自らの判断で,本件事業に参入するとの判断をしたものである。
損害の発生及び因果関係は争う。損害額は不知。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実のほか後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)被告会社のミライトに対する情報提供等(平成25年11月頃から平成26年3月頃)
ア 被告会社によるグアム関係者へのミライトの紹介
Cは,平成25年11月17日,Eに対し,ミライトの企業情報資料を提供した上,本件事業への参入企業の候補としてミライトを紹介した。また,Cは,同年12月5日,Eに対し,ミライトが本件事業等についてのKM&Tや被告会社の説明を裏付ける調査報告書を希望している旨伝えた上,当該調査を行う現地コンサルタントの紹介を依頼した(乙11の23,24)。
イ ミライトによるグアム視察
ミライト担当者は,平成26年1月下旬頃,グアムを視察したところ,Cは,E及びDに対し,ミライトが希望する訪問先を伝えた上,視察の日程調整等を依頼した(乙11の25~27)。そして,視察後の同月29日,Dに対し,ミライト内部の事業計画策定に必要であるとして,プロジェクトに関する情報の提供を依頼した(乙11の28)。
また,この頃,Cは,Dに対し,情報錯綜を避けるため,被告会社がコーディネートしているミライトを含む各企業についての情報交換は,窓口を被告会社に一本化するよう依頼した(乙11の29)。
ウ 被告会社によるミライト等への米軍再編関連案件に係る情報提供
Bは,平成26年1月から同年3月にかけて,ミライトに対し,米軍再編に関連する,グアムにおける道路建設,基地内格納庫建設,インフラ整備等各プロジェクトに関し,それぞれの買付機関,資金源,予定金額,国の予算年度,発注状況に係る情報等をまとめたプロジェクト統括表(英文及びそれを和訳したもの)や,米軍再編関連プロジェクトの案件について公示された事前引合書を和訳したものなど,関係資料を送付した(乙11の85・86・88)。
なお,Bは,その後も定期的に,ミライト(平成26年12月の原告会社の設立後は原告会社も含めて)及びその関係者に対し,定期的に,情報を更新した上で,同様の資料を送付した(乙11の89~94・96~116・119~123・125)。
(2)ミライトとスミスブリッジ間の優先的合意の締結に向けた協議(平成26年2月頃から同年4月頃)
ミライトは,平成26年2月頃,Bに対し,プラントの基礎工事を含めた建設工事をスミスブリッジに委託したいこと,そのため,スミスブリッジとの間で,条件付きの優先的合意(第一拒否権合意)を締結し,提携関係を構築したいことを伝えた(乙11の1)。
Cは,平成26年2月から同年3月にかけて,スミスブリッジとの間で,ミライトと上記合意をすることについて協議し,Bは,ミライトに対し,協議の進捗を報告した(乙11の3・4・87)。
Cは,平成26年4月7日,スミスブリッジに対し,ミライトが作成した優先的合意の覚書案を送付し,チェックを依頼した(乙11の5)。
(3)ミライトによるグアム訪問(平成26年5月)
Cは,平成26年5月,Dに対し,ミライト担当者が同月にグアムの再訪問を計画している旨を伝えた上で,日程調整や情報提供等を依頼した(乙11の30~32)。
(4)ミライトの本件事業からの撤退(平成26年7月頃)
前提事実(4)のとおり,平成26年7月頃,ミライトは本件事業への参入を中止した。
(5)原告会社設立の経緯(平成26年7月から同年12月)
ア 原告X1による本件事業への参入の意思決定
前提事実(3)及び(4)のとおり,従前ミライトの窓口として本件事業への参入の準備に従事していた原告X1は,自ら会社を設立して本件事業に参入することとし,被告会社との協議を続けた。原告X1は,被告らに対し,株式会社ダイコーから15億円の融資を得るなどして事業資金を調達することができるから,自分に任せてほしい旨伝えた(原告X1本人)。
Cは,平成26年10月8日,Dに対し,本件事業に係る計画が遅延している旨報告するとともに,プラント用地の紹介や生コンクリート材料調達に係る情報提供等を依頼した(乙11の34)。
イ 事業計画書の作成
原告X1は,事業資金の融資元候補に本件事業を説明するための資料として,原告会社名義で平成26年11月12日付け事業計画書(以下「本件事業計画書」という。)を作成した(甲8,原告X1本人)。
本件事業計画書には,平成27年4月に生コンクリート製造及び販売の開始を目標とすること,日本の親会社(原告会社)が総額10億数千万円の出資,貸付けを受け,グアムにおける現地法人(のちに設立されることになる本件現地法人)に対して出資することが記載されていた。資金拠出元として,ダイコー株式会社を含む二つの会社から数千万円の融資を受けることが記載されているが,残額約10億円の融資元は未定であった。しかも,原告会社は,最終的に,上記二つの会社のいずれからも融資を受けることができなかった(原告X1本人)。
ウ 原告X1によるグアム訪問
原告X1は,平成26年12月9日,グアムを訪問し,スミスブリッジ担当者と面会するなどしているところ,Cは,それに先立って事前に,Dに対し,本件事業に係る計画の内容や視察の日程等を説明するとともに,スミスブリッジ担当者との間で,打合せの日程調整をするなどした(乙11の6・36・37)。
エ 原告会社の設立及び関係者とのやり取り
前提事実(4)のとおり,平成26年12月5日付けで原告会社及び被告会社名義による本件覚書が作成され,原告X1は,同月12日,原告会社を設立した。
Cは,平成26年12月13日,Dに対し,同月9日の原告X1のグアム訪問時の対応等の礼を伝えるとともに,原告X1が現地法人の社長となる見込みであることを伝えた(乙11の38)。また,Cは,その頃,スミスブリッジ担当者に対しても,原告X1のグアム訪問時の対応等についての礼を伝えたところ,スミスブリッジ担当者から,好意的な返答及び基地のプロジェクトに関する情報を得た(乙11の7・8)。このほか,その頃,現地の不動産会社から,原告X1が視察した土地に関する情報を入手したりもした(乙11の65)。
(6)原告会社の融資獲得に向けた活動(平成27年1月頃から同年4月頃)
Bは,平成26年12月15日,原告会社に対し,融資元候補に対する説明資料として,グアムでの生コンクリート市場価格に係る資料等を送付した(乙11の95・124,原告X1本人)。
原告会社は,平成27年1月頃,三谷商事(証拠上,正式名称は不明である。)に対し,本件事業への融資を打診していたところ,Bは,三谷商事の原告会社への質問事項の回答書を作成し,原告会社に対し,三谷商事への説明資料を送付するなどした(乙11の126・127)。
しかし,結局のところ,原告会社は,三谷商事からも融資を受けることができず,その後,原告ら代理人弁護士事務所からの紹介で,昭栄商会(証拠上,正式名称は不明である。)から融資を受けられることになった(原告X1本人)。
(7)本件現地法人設立の経緯(平成27年5月頃)
ア 原告会社とスミスブリッジ間の工事に関する協議
原告会社は,平成27年4月から同年5月にかけて,スミスブリッジとの間で,生コンクリートのプラントの工事の内容や進め方について,Cを介して協議した(乙11の9~12)。
イ 本件現地法人の設立及び事務所の立上げ準備
前提事実(6)のとおり,平成27年5月頃,原告会社の子会社として,本件現地法人が設立されたところ,Cは,D及びEに対して,その旨報告するとともに,本件現地法人の事務所の設計工事について,Eと協議した(乙11の42~46)。
(8)本件契約の締結以降の経緯(平成27年6月頃以降)
ア 本件現地法人とスミスブリッジ間の優先的合意の締結
被告Y1,B,原告X1,昭栄商会担当者及びCは,平成27年7月13日から同月15日までの間,グアムを訪問し,D及びEとの打合せ,用地の視察,スミスブリッジへの挨拶訪問等をしているところ,Cはその日程調整を行っている(乙11の13・14・47)。
Cは,上記訪問に先立つ平成27年7月11日,スミスブリッジ担当者に対し,スミスブリッジと原告会社との間の優先合意書について,改めてスミスブリッジと本件現地法人との間で合意書を作成したいとして,日本側の弁護士から提示された合意書案を送付し,検討を求めた(乙11の15)。
その後,Cを介して,本件現地法人とスミスブリッジとの間で優先権合意書の案が検討され,平成27年9月16日,本件現地法人とスミスブリッジは,優先権合意書(業務提携基本契約書)にサインした。その内容は,本件現地法人がグアムにおける生コンクリート製造販売のための設備建設についてスミスブリッジと契約を締結する,相互利益を生み出すために協力することを確認し,本件現地法人がスミスブリッジから生コンクリート製造に必要な骨材を優先的に買い受け,製造した生コンクリートをスミスブリッジに対して優先的に売る,契約期間は2年,それ以降は2年ごとに自動更新される,といったものである(乙11の17~20)。
イ プラント用地の賃借
Cは,平成27年5月,グアムの不動産会社に対し,本件事業のプラント用地の賃料についての情報提供及び関連施設の用地の紹介を依頼した(乙11の66)。
Cは,平成27年8月5日,スミスブリッジ担当者に対し,本件事業のプラント用地につき,スミスブリッジから提案された土地を賃借することが有効と考えている旨伝え,賃貸の条件について質問した(乙11の17)。
Cは,平成27年9月7日,スミスブリッジ担当者に対し,原告会社がグアムに持ち込むことを予定している移動式プラントの図面を送付し,用地の賃貸の条件について質問した(乙11の18)。
Cは,平成27年10月27日,スミスブリッジ担当者に対し,本件事業のプラント用地の賃借について,今後は原告会社が直接交渉をすることになる旨連絡し,以後,原告会社とスミスブリッジとの間で交渉がされ,賃貸借契約が締結された(乙11の22,弁論の全趣旨)。
ウ 生コンクリートの輸送手段の手配
Cは,平成28年1月から同年3月にかけて,グアムのセメント会社との間で,本件事業に係る生コンクリートの輸送の条件等について協議し,Bは,原告X1,昭栄商会担当者に対し,上記セメント会社からの質問事項を和訳して送付した(乙11の69~72・118)。
Cは,平成28年3月末頃,上記セメント会社に対し,本件現地法人が試験練り用のセメントの購入を希望していること等を伝え,セメントの購入について協議した(乙11の73~75)。
エ 特殊電圧の敷設工事に関するGPAへの要請(平成28年4月)
Cは,平成28年4月4日,グアムの上院議員に対し,本件事業のプラントに必要な特殊電圧の敷設工事が遅れていることから,施工者であるGPAの関係者を紹介してほしい旨依頼し,関係者の紹介を得た(乙11の77~81)。
また,Cは,その頃,Dを通じて,GPAに対し,上記工事を早く進めるよう要請した(乙11の56)。
(9)原告会社による本件契約の解除及びその後の経緯(平成28年5月以降)
平成28年5月頃になっても,本件現地法人は,本件事業に関する生コンクリート製造販売の案件を受注することができなかった。
そして,前提事実(7)のとおり,原告会社は,平成28年5月31日,被告会社に対し,本件契約を解除する旨の意思表示をし,その後,同年10月頃まで,原告会社と被告会社との間で保証金の支払等を含めた話合いがされたが,合意締結には至らなかった(甲17,乙6)。
そこで,原告らは,平成29年2月24日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
2  本件契約の解除事由の有無(争点1)について
前提事実(6)のとおり,本件契約は,原告会社が本件事業を円滑に遂行することを目的として,被告会社が,原告会社のために,生コンクリート用骨材料調達の協力,支援,原告会社が販売する生コンクリートの営業活動,ロビー活動や関係各所の調整,交渉,競合他社の動向や市場の動向に関する情報入手などの業務を行う内容の契約である。
上記のように,本件契約は,原告会社が,被告会社に対し,本件事業の遂行に必要な種々の事実行為を委任する内容の契約であるから,本件契約の性質は,準委任契約と解され,原告会社は,被告会社の債務不履行の有無にかかわらず,民法656条で準用される同法651条1項に基づき,いつでも本件契約を解除することができる。
したがって,その余の点(被告会社の債務不履行)について判断するまでもなく,平成28年5月31日の原告会社による解除の意思表示(前提事実(7))により,本件契約は解除されたものと認められる。
3  本件契約の解除に伴う本件金員返還義務の有無(争点2)について
準委任契約が解除された場合,その効果は将来に向かってのみ生ずることになる(民法656条,652条,620条)。ただし,この規定は強行規定ではないからこれに反する特約も有効である上,受任者は,委任事務を処理するために委任者から受け取った物についてはすべて委任者に引き渡すべきであり(同法646条),前払費用(同法649条)に残額があればそれも返還する必要がある。
この点につき,原告らは,本件契約においては,本件金員が「全額償還を前提と」して(3条④)差し入れられるものとされていること,被告会社は,本件金員につき,全額返還が予定されていることに鑑み,被告会社の運転資金とは別の口座で保管する旨説明していたことを根拠に,被告会社は,原告会社に対し,本件金員を全額返還する義務を負う旨主張する。
しかしながら,確かに,本件契約においては,原告会社から被告会社に支払われる本件金員を含む2億円の「保証金」について,「全額償還を前提とする」と規定されている(3条④)ものの,その具体的な償還の方法については,原告会社が被告会社に対して毎月支払うコンサルタント料の3分の1を割り引く方法により償還する旨規定されている(同条③)一方で,契約終了時に被告会社が原告会社に対して「保証金」残額を一括して返還する等の規定は見当たらない。また,本件契約の締結に当たり,被告会社が,原告会社に対し,本件金員を被告会社の運転資金とは別の口座で保管する旨説明したことを認めるに足りる証拠はない。
しかも,原告らが主張するように,本件金員を預り金として被告会社の運転資金とは別の口座で管理するとなると,被告会社は,原告会社からのコンサルタント料の支払が開始されるまでの間,本件契約上の事務の対価の支払を一切受けられない上,コンサルタント料の支払開始時期が,原告会社の本件事業による累積売上高が3000万米ドルを超過した月の翌月(4条④)と,本件契約の締結時からかなり長期間が経過した後に設定されたことになり,被告会社にとって著しく不合理な内容の取引となる。
以上のほか,被告会社が,原告会社に対し,本件事業遂行のための生コンクリート材料調達支援,案件受注のための営業,斡旋活動,関係各所との交渉やロビー活動,競合他社や市場動向の情報収集等の業務を行うとの本件契約の内容や,認定事実(1)ないし(7)のとおり,被告会社が,本件契約の締結前にも,原告会社及び原告会社をグループ企業として傘下に擁するミライトが本件事業に参入するために,現地関係者との調整や情報提供など様々な事務を行っていたことに鑑みると,本件金員は,被告らが主張するように,被告会社が原告会社らに提供するグアムでの人脈や事業参入のノウハウ等のほか,被告会社が原告会社らのために行う種々の事務の対価として支払われたものと認めるのが相当である。すなわち,本件金員は,本件契約が長期にわたり継続すれば,毎月のコンサルタント料の割引により,全額償還されるのと同様の結果を達成することができるものの,そうでない限りは,直ちに原告会社への返還が予定されていない金員であって,本件契約が終了し,償還額(コンサルタント料の割引額)が本件金員の全額に満たない場合であっても,被告会社は,原告会社に対し,本件金員から既償還額を控除した残額について直ちに全額を返還する義務を負わないものと解するのが相当である。
なお,原告会社は,本件契約の当事者ではないミライトに対して実施された業務や本件契約締結前に実施された業務については本件契約上の債務の履行に当たらないと主張する。しかしながら,認定事実(1)ないし(7)で認定したとおりの,原告X1が原告会社を設立するに至った経緯や本件契約の締結に先立って本件覚書や本件更新覚書が作成されていることからすると,上記の主張の妥当性自体問題となる上,仮に本件契約上の債務の履行に当たらないと解される部分があるとしても,本件契約の条項を解釈するにあたり,被告会社によって上記各業務が実施されていることを考慮することは,何ら妨げられるものではない。
したがって,被告会社が,原告会社に対し,本件契約解除の原状回復義務として,本件金員を返還する義務を負うとは認められず,原告らの上記主張を採用することはできない。
4  本件金員に係る被告Y1の会社法429条1項の責任及び被告会社の同法350条の責任の有無並びに損害(争点3)について
原告会社は,被告会社が本件金員を費消して返還拒絶したこと,具体的使途の開示要請を拒絶したことについて,被告Y1の任務懈怠があると主張するが,上記3のとおり,そもそも被告会社が原告会社に対し本件金員の返還義務を負うとは認められないから,原告会社の上記主張は,前提を欠き,採用することができない。
5  本件出資金に係る被告会社の不法行為責任及び被告Y1の会社法429条1項の責任の有無並びに損害(争点4)
原告X1は,被告会社が,アンダーセン空軍基地,港湾事業,プラント用地の確保及び現地輸送車両の手配に関し,不正確な情報提供又は不確実な事項について断定的な判断を示し,原告X1に対する説明義務に違反したと主張する。
しかしながら,被告会社が,原告X1の主張するような説明を行い,かつ,その内容が,当該説明をした当時,事実に反していた又は不適切であったことを認めるに足りる客観的な証拠は見当たらない。また,原告X1は,原告会社を設立する前から,ミライトの営業部長として,本件事業への参入の準備に深く関与しており,本件事業を取り巻く状況についても熟知していたと考えられる。その上,ミライトが本件事業への参入を中止した後,自ら積極的に本件事業への参入の意思を表明してもいる(認定事実(5)ア)。このような事実からすれば,被告会社の説明によって原告X1が原告会社を設立するか否かについての判断を誤ったとは容易には認め難い。したがって,被告会社に原告X1に対する不法行為を構成するような説明義務違反があったとは認められず,原告X1の上記主張を採用することはできない。
以上のとおり,被告会社が原告X1に対し不法行為責任を負うとは認められず,それを前提とする被告Y1の原告X1に対する会社法429条1項の責任も認められない。
6  原告会社の設備投資金に係る被告会社の債務不履行責任,被告Y1の会社法429条1項の責任及び被告会社の同法350条の責任の有無並びに損害(争点5)
原告会社は,被告会社が,アンダーセン空軍基地,港湾事業,プラント用地の確保及び現地輸送車両の手配に関し,不正確な情報提供又は不確実な事項について断定的な判断を示し,原告会社に対する説明義務に違反したと主張する。
しかしながら,上記5の認定判断と同様に,被告会社に,原告会社に対する債務不履行を構成するような説明義務違反があったとは認められず,原告会社の上記主張を採用することはできない。
したがって,被告会社に本件契約上の債務不履行があったとは認められず,被告会社の債務不履行に係る被告Y1の任務懈怠及びそれを前提とする被告会社の会社法350条の責任も認められない。
第4  結論
以上によれば,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第33部
(裁判長裁判官 原克也 裁判官 砂古剛 裁判官 小久保珠美)

 

〈以下省略〉

 

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