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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(279)平成21年 1月26日 東京地裁 平20(ワ)6076号 地位確認等反訴請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(279)平成21年 1月26日 東京地裁 平20(ワ)6076号 地位確認等反訴請求事件

裁判年月日  平成21年 1月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)6076号
事件名  地位確認等反訴請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA01268012

要旨
◆退職勧奨を契機として被告を退職した原告が、被告は解雇権を濫用して原告を解雇したとして、地位確認や未払賃金の請求をしたところ、被告が解雇の事実を争い、原告は合意退職したと主張した事案について、退職に応じなければ解雇するとして被告が退職勧奨したことは事実であるが、その後、原告は退職を前提として条件闘争をし、被告とのメールのやりとりを通じて退職条件について合意に至ったのだから、これが明確に書面化されていないからといって、退職合意の成立が認められないとはいえないとして、請求を棄却した事例

参照条文
民法第3編第2章

裁判年月日  平成21年 1月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)6076号
事件名  地位確認等反訴請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2009WLJPCA01268012

横浜市〈以下省略〉
反訴原告 X
訴訟代理人弁護士 山崎隆
東京都千代田区〈以下省略〉
反訴被告 株式会社サイバーテック
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 阿久津真也

 

 

主文

1  反訴原告の反訴請求を棄却する。
2  反訴について生じた訴訟費用は反訴原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  反訴原告が反訴被告との間で,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2  反訴被告は,反訴原告に対し,平成20年3月から,毎月25日限り78万円及びこれらに対する各支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3  反訴被告は,反訴原告に対し,546万円及びこれに対する別表記載の各支払うべき金額の支払日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4  訴訟費用は反訴被告の負担とする。
5  仮執行宣言
第2  事案の概要
本件は,反訴被告(以下「被告」という。)に雇用されていた反訴原告(以下「原告」という。)が,被告から不当な解雇をされたと主張して,雇用契約上の地位の確認並びに賃金及び遅延損害金の支払を求める事案である。
1  争いのない事実及び弁論の全趣旨から明らかな事実(文中では「争いのない事実」と表記する。)
(1)  被告は,主としてコンピューターシステムの受託開発・運用・保守を営業目的とする株式会社である。
(2)  原告は,平成18年10月1日,被告と雇用契約を締結し(以下「本件雇用契約」という。),被告の経営の意思決定に関わる上級管理職ないし執行役員の立場で入社した。原告は,入社後,経営企画室ないし営業統括部に所属し,被告の経営の意思決定に関与し,ないしは営業に従事したが,平成19年6月25日に退職勧告を受け,同年7月1日付けで営業支援室室長の肩書きとなった。
(3)  同年6月25日,被告は原告に対し,退職勧告に応じなければ解雇する旨の条件付き解雇の意思表示をした。その後被告は,同日付けの同年7月末日付けで解雇する旨の解雇通知書(7月29日到達)をもって,原告に解雇を通知した。
(4)  原告の被告における賃金は年俸制であり,平成19年4月1日から平成20年3月31日までの1年間の年俸は1092万円と定められていた。この年俸を14等分し,毎月14分の1の額を支払うほか,4月及び10月に各1か月分の額を賞与として支払うことになっていた。原告は,退職以前の3か月間,被告から平均して78万円の賃金の支払を受けていた。
2  争点
(1)  原告と被告は,原告が被告を退職することを合意したか(争点1)
(2)  合意が成立しておらず,原告の退職事由が解雇である場合,解雇の相当性
(争点2)
3  当事者の主張
(1)  争点1(原告・被告間の退職合意の成否)について
(被告の主張)
ア 原告は,被告従業員としての適格性を欠いており,かつ平成18年10月1日から平成19年3月末までの売上実績もゼロという状況であった。
イ そこで被告代表者は,同年6月25日,原告に退職を勧めた。原告は,同月28日,①原告が被告を退職後,被告製品であるデータベースソフトのLuxeonの販売代理店契約を締結すること,②引継を優先する代わりに転職活動を容認し,常勤しなくてもよい,③原告の保有する被告の株式1株を購入時と同価格で買い取ること,という3つの条件を附加して上記退職勧奨に応じる意向を示した。
同日,被告代表者が上記3条件を受け容れ,被告と原告との間で,原告が同年7月末日をもって被告を退職することが合意された。
ウ 6月28日の合意は口頭での合意であったが,7月2日付けメールで再度確認されており,6月28日に被告代表者と原告との間で退職に関する合意が成立したことは明らかである。
上記合意を受け,原告は,同日の社内全体ミーティングで同年7月31日をもって退職する旨の挨拶をした。
(原告の主張)
被告主張の退職合意は成立していない。
電子メールのやりとりからは,交渉途上であることが明らかで,合意が成立したとはいえない。被告主張の上記①ないし③の退職の前提条件のうち,原告は,①及び③の2つの単独又は両方を含む退職合意を証する書面の作成を求めていたが,これが作成されなかったことから,合意が成立せず,解雇になったのが実情である。
(2)  争点2(原告の退職理由が解雇である場合,解雇の相当性)について
(被告の主張)
原告は,被告の経営の意思決定に関わる上級管理職ないし執行役員の立場で,破格の待遇で入社した。営業成績が伸びなければ,原告の人件費がかさむ状況にあった。解雇理由は以下のとおりであるが,このような上級の従業員として中途採用された者は,その地位・待遇に見合う業務遂行がされなかったときは,解雇は有効というべきである。
ア 適格性の欠如
被告在籍中,原告が開拓した新規案件はゼロであった。そして,担当した重要顧客から能力を疑われるほど営業能力がなかった。そのため,被告代表者が原告と面談して原告の営業手法について指導しても,改善しようとしなかった。
イ 原告は,自社製品の商品知識を取得しようとせず,そのため原告の部下が顧客への提案をするに際し,原告に相談することができなかった。
ウ 原告は周囲の者と人間関係を構築することができず,頻繁に部下と衝突した。上記のような原告の誤った業務への姿勢のため,正当な考えを持った部下と対立して退社させている。
(原告の主張)
被告主張の解雇理由は存在しない。
ア 被告は,原告が被告代表者が自社製品の知識習得に努めるよう再三にわたって指示したが,これを無視し続けたと主張するが,原告は同人なりに被告の営業活動に資するよう,被告の製品知識の習得を心掛けていた。
原告が対外的なメールにも「○○でせうか」との表記を多用し,被告代表者から注意・指導を受けた事実はない。
イ 営業成績について
原告の営業成績がゼロであったとの主張について,原告が解雇されるまでの全期間についてゼロであったわけではない。原告の被告における地位・職責は,平成18年10月1日から同19年3月31日までと,平成19年4月以降とは質的に異なっていた。
(ア) 前者の時期においては,経営企画兼パートナー推進担当の執行役員たる立場において,代理店による間接販売を推進するに当たりその候補となる新規のビジネスパートナーを発掘し育成することが主たる任務であり,営業成績の最終責任を負わされる立場にはなかった。
ところが,平成18年11月,原告は急きょ,それまで経営管理部が担当していた採用に関する業務を担当することとなり,同年12月からはさらに従来の直接販売主力から間接販売主力へ営業方針を変えた営業統括部の業務にもその中心的存在として携わることとなった。さらに,同年12月時点において当事業年度中に達成困難な見通しであった粗利目標未達成額約1億6000万円につき,部下を1人配置されただけで,上記の約半分を占める8000万円が原告の職責とされ,他の担当者と比べ,極めて不合理・不相当な責任配分を押し付けられた。
(イ) 次に,平成19年4月以降は原告は被告から営業統括部長を命ぜられ,被告の売上目標の設定及びその達成責任を負うこととなった。ところで,営業統括部の平成19年度上半期(平成19年4月1日ないし9月30日)の売上目標は1億3900万円であったが,受注金額は7060万3000円であり,達成率は50.8パーセントとなった。そのうち,原告個人の売上目標は4600万円であるところ,受注金額は4076万5000円であり,達成率は88.6パーセントであった。なお,受注とは注文書入手済みとなった取引案件を指し,うち2850万円は新規大型受注であった。かような営業成果に鑑みれば,営業統括部長としても大きな不足なくその職責を果たしているもので,「営業成績ゼロ」ではなく,能力・適性欠如ともいえない。
ウ 人間関係を構築することができない,について
原告は確かに部下と衝突することもあったが,それは仕事に厳しいということの証左であり,能力・適性欠如に結びつくものではない。
エ 解雇回避努力について
原告は,被告が原告を解雇とする前になすべきことがあるにもかかわらず,退職勧奨以外にこれを行った形跡がない。年俸の減額変更等,解雇を回避する人事措置を尽くしていない。
第3  当裁判所の判断
1  事実の経過
前記争いのない事実,証拠(甲4ないし6,11ないし16,乙5ないし8,原告本人,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告は,前記争いのない事実(1)記載の事業を営んでいたが,平成18年9月ころには営業不振に陥っており,営業のてこ入れを要する状態であった。そこで,同(2)記載のように,上級の管理職員を営業担当者として採用し,売上や粗利益を増大させることを図り,交渉の上,原告を採用することになった。原告の採用時には,原告を来期には取締役会のような意思決定機関であるボードメンバーに入れることやストックオプションを保有すること,将来目標達成に応じてCOO(経営に責任を負うマネジメント担当者)として事業のけん引者となることが既に予定された。給与も,前記争いのない事実(4)の額が提示され,非常な厚遇で迎えられることになった。被告は,事業としては,①システムの委託開発と②被告製品であるデータベースソフトのLuxeonの販売が主たるものであったが,粗利益を得るという面からは,②の事業の業績の伸びが期待されるところであった。被告は,これを達成するため,目標を掲げ,原告の人件費が大きいところから,これを織り込んだ粗利益の目標を掲げた。原告の担当業務としては,被告のパートナー(販売代理店。被告は,その営業手法を,自社営業マンによる直接販売から,販売代理店による間接販売に転換すべく,販売代理店の獲得が重要な課題となっていた。)及び新規顧客の獲得が最大であった。採用の際のメールのやりとりで,東証一部上場クラスの企業を新規パートナーとして2社獲得することが求められていた。原告は,被告代表者とのメールによる連絡で,これら担当業務以外にも被告社内各部署との連携が必要となるとの見込みから,これに自ら「社内オペレーション全般に伴う担当取締役補佐業務」を付け加えることを提案したりしている。
(2)  原告は入社以来,被告の方針変更もあって,担当する職務が度々変更となった。平成18年11月には,原告は,それまで経営管理部が担当していた採用に関する業務を担当することとなり,同年12月からは従来の直接販売を主力とする営業手法から間接販売を主力とする営業手法へと方針を変えた営業統括部の業務にもその中心的存在として携わることとなった。これにより,同年12月時点において当事業年度中に達成困難な見通しであった粗利目標未達成額約1億6000万円につき,部下を1人配置されたものの,上記の約半分を占める8000万円が原告の職責とされ,他の担当者と比べ,特に重い責任配分を担当させられることになった。平成19年4月以降は,被告から営業統括部長を命ぜられ,被告の売上目標の設定及びその達成責任を負うこととなった。
(3)  原告入社後,被告は,期待したように業績が上がらなかった。上記のように,原告は一貫して営業の先頭に立っていたわけではなく,在職期間中のすべてにおいて被告の営業成績に責任を負う立場にあったわけではない上,営業担当部長の責任放棄ともいうべき事態があったことも一因であるが,被告では,上記のように営業のてこ入れのために原告を採用したという経緯があり,原告には多くの期待がされており,原告の人件費は被告に負担であったので,期待はずれと受け止められた。原告も,平成19年3月末までの自己の成果を,「粗利目標の達成」の欄に実績ゼロ円と評価シートに記載している。そのほか,「組織力の強化」「採用目標の達成」の各欄も,自己評価,評価者の評価共に高いとはいえない。
このようなことから,被告では,同年3月末ころ,来期の原告の年俸を下げようとしたが,原告がこの提案を拒絶し,被告代表者との個別面談で,原告が営業成績(売上,粗利)の達成に関して責任を持つと述べたため,被告代表者は会社の状況が悪いのでラストチャンスである旨伝えて,引き続き原告に営業責任者として働いてもらうことになった。
被告では,営業成績不振のため,資金繰りの必要上,原告退職後の平成19年9月と10月に借入れをする必要が生じ,また,被告代表者は自宅を処分せざるを得なかった。
2  争点2(原告と被告は,原告が被告を退職することを合意したか)について
(1)  交渉の経過
証拠(甲1の1及び2,甲2,3の1ないし12,甲4,7,8,10,12,乙1,8,原告本人,被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 上記認定のように,被告では,原告が期待された成果を挙げられず,その人件費ばかりが負担となった上,原告に関する組織の一員としての問題点を指摘する声もあったことから,原告に退職してもらおうとの結論に至った。平成19年6月25日,被告代表者は,原告とファミリーレストランで面談し,会社都合ということで退職してくれるよう勧奨した。もし応じてもらえない場合は解雇せざるを得ないとも伝えた。原告は,退職勧奨自体は意外に思ったが,営業成績の結果が出ていないことは認識しており,退職の結論自体は早々と受け入れ,被告代表者に対しただ退職の条件闘争のみを行ってゆくことにした。
イ その後,当日のうちから,両名の間で,この件に関し,メールによるやりとりが交わされた。
勤務については,引継ぎを優先する代わりに,転職活動をするため,常勤しなくともよいこととなった。この点は当日のうちに決まった。原告はこれに従い,7月に入ってからは,2日に会議に出たほかはほとんど出社していない。
退職時期に関しては,被告代表者が7月末を提示し,原告が8月末を提示したものの,被告代表者が受け入れず,結局7月末に落ち着いた。
翌26日の原告からのメールで,7月末退職を受け入れるための条件として,原告を被告製品であるデータベースソフトのLuxeonの販売代理店とするとの案が示され,その成功報酬をどうするか,どういう案件(適用時期その他等)に適用されるかなどにつき,やりとりが交わされた。また,原告の保有する被告株式1株を,被告が引き取ることを原告は求め,これについては,取得価格で被告代表者が引き取ることで同日のうちに合意に達した。代金の支払が9月になることについても,6月29日には合意に達した。
原告は,6月28日の社内全体ミーティングで,同年7月31日をもって退職する旨の挨拶をした。
その後は,代理店契約の条件を詰めるためのメールのやりとりが7月2日まで交わされた。問題となったのは,代理店となる原告に支払われる紹介手数料の割合と,手数料の支払時期で,6月28日には原告と被告代表者が30分ほど面談し,細部を詰めた。そして,最終的に,7月2日のメールで原告が「了解しました。製本よろしくお願いします。」とのメールを送信して,この時点で合意が成立した。
ウ その後,7月11日になり,被告の事務員が原告の退職手続にかかる離職票その他に関する詳細を問い合わせるメールを原告に送信したところ,被告代表者から退職に関する書類をもらわないと応答できないと回答してきた。そこで翌日,被告代表者が,販売代理店のライセンス契約に関する正式書面は現在弁護士が作成中であるので,上記退職手続にかかる詳細について応答するようメールで求めた。これに対して原告は,製本(正式書面化)を依頼してから2週間以上経ったのに正式書面が送られてこないことにいらだちを覚えたのか,17日になってからメールで,①「乙(原告)退職後の甲(被告)新規顧客への営業支援に関する契約書」(上記販売代理店のライセンス契約書を指す。),②「会社都合による退職勧奨の理由」,③「上記②に関連するメールのやりとり&口頭にて合意ができているという認識の内容(合意事項)」の3点について,文書を用意するよう被告代表者に求めた。さらに,上記①の契約書が入手できていないことから,退職予定日は正式な契約書を取り交わした日から1か月後とさせていただく,と通知してきた。
エ これに対し,被告代表者は,原告が上記イのように合意が成立したにもかかわらず,新たな条件を付け加えてきたものと感じ,前記争いのない事実(3)のとおり,解雇通知書を,まずメールで送信し,次に郵送した。その後両者間で交渉は行われず,被告は,同年8月,原告に対し,雇用関係不存在確認請求訴訟を提起し,原告が本件訴訟を反訴として提起し,現在に至っている。
(2)  検討
上記認定事実に照らせば,上記イの,7月2日に被告が「了解しました」とのメールを送信した時点で,退職の条件については,当事者双方で合意が成立したものというべきである。確かに,合意内容を書面化することは重要であり,書面化しておかないと後で合意した内容が明確にならず,新たな紛争を引き起こす可能性が存するので,そのことを重視するのは,殊に個人であって会社より弱い立場に置かれやすい原告としては理解できないではない。しかしながら,そのことと合意の成立自体は別であり,あらかじめ書面化した時を合意成立時とするとの約束でもない以上,合意自体は口頭でも成立し得,成立した以上その合意は守られねばならないことになるのは当然である。しかも,本件ではメールのやりとりが残っており,証拠としてもさほど不明確とはいえないのである。原告が,書面化がされていないことを理由に合意が成立していないと主張するのは,この点を混同したものというほかない。それゆえ,いったん合意に至りながら,書面化されないうちはまだ他の内容を付け加えることができる,と解することはできない。上記ウにおいて原告の取った行動は,このようなものといえるのであり,原告の求めた②及び③の書面化は,成立した合意内容に新たなものを付け加えたもので,合意を覆そうとしたものにほかならない。
これに対し,被告代表者が,いったん成立した合意を覆すものと不信感を抱き,その後の上記エの行動に出たのは,やや性急に過ぎるとの感があり,疑問はあるが,退職合意が成立している以上,後はその履行の問題が残るものといわざるを得ない。そして,退職合意の内容のうち,出勤不要とすることについては既に履行されているから,後は代理店契約と株式の売買の履行の問題が残ることとなる。
以上により,退職合意が成立している以上,原告の請求は理由がないというべきである。
3  結論
よって,原告の請求は,争点2について検討するまでもなく理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。
(裁判官 村越啓悦)

 

〈以下省略〉

 

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