【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(274)平成21年 5月13日 東京地裁 平19(ワ)20791号 業務委託料請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(274)平成21年 5月13日 東京地裁 平19(ワ)20791号 業務委託料請求事件

裁判年月日  平成21年 5月13日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)20791号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2009WLJPCA05138001

要旨
◆原告が、被告に対し、フィギュアスケート大会について東京都との交渉等の業務委託を受けて業務を遂行したと主張して、主位的に業務委託契約、予備的に商法512条に基づき、相当報酬額を請求した事案において、業務委託契約が成立したことを認めるに足りる証拠はないなどとして、主位的請求を棄却し、原告が行った業務が被告のために成果を上げたことを認めるに足りる証拠はないなどとして、予備的請求を棄却した事例

評釈
鈴木浩美・判タ別冊 32号110頁(平22主判解)

参照条文
民法643条
民法648条
民法656条
民法697条
民法700条但書
民法3編2章
商法512条

裁判年月日  平成21年 5月13日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)20791号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2009WLJPCA05138001

東京都中央区〈以下省略〉
原告 株式会社ミヨシ・ネットワークス
同代表者代表取締役 A1
同訴訟代理人弁護士 菰田優
同 大藏久宣
同 小野直樹
同訴訟復代理人弁護士 菅原浩史
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 財団法人日本スケート連盟
同代表者理事 A2
同訴訟代理人弁護士 大石雅寛

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,2451万7500円及びこれに対する平成19年7月7日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,平成19年3月20日から同月25日まで東京体育館で開催された「ISU世界フィギュアスケート選手主権大会2007東京」(以下「本件大会」という。)について,被告から,①東京都及び東京都議会との交渉,調整業務,②東京体育館の製氷費用の削減,補修費及び営業補償費の免除交渉,③東京体育館の借上げ料値下げ交渉(事前),④東京都との調整及び仕様調整による製氷作業費の圧縮,⑤東京体育館の借上げ料値下げ交渉(事後),⑥東京都協賛コミッション(看板)の各業務の委託を受け(以下「本件業務委託契約」という。),委託業務を遂行したと主張して,主位的に本件業務委託契約に基づき,予備的に商法512条に基づき,相当報酬額2451万7500円及びこれに対する請求日の翌日である平成19年7月7日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
これに対し,被告は,①本件業務委託契約の成立を否認し,②商法512条の報酬請求権の発生を争った。
2  前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,証拠により容易に認定することができる。
(1)  原告は,セミナー・パーティその他の各種イベントの企画,立案,運営及びこれらに関するコンサルティング業務等を業とする会社である(甲1)。原告の代表取締役はA1(以下「A1」という。)であり,A3(以下「A3」という。)は取締役である。
被告は,我が国におけるスケート競技界を統轄し,代表する団体として,スケートの普及振興を図り,もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とし,スケート競技に関する国際競技会,国際演技会及び国際会議の開催等を事業とする財団法人である。被告の理事(会長)はA4ことA5(以下「被告会長」という。)である(現在休職中)。
(2)  国際スケート連盟(以下「ISU」という。)は,平成16年6月,東京都で平成19年3月に本件大会を開催することを決めた。国際競技会が日本で開催される場合,主催者はISUであるが,被告が主管として国際競技会の運営・管理に当たることになる。
被告は,平成18年7月23日に本件大会の準備委員会を発足させた。準備委員会の委員長には,理事A6(当時フィギュア部長。以下「A6」という。),副委員長には理事A7(以下「A7」という。),事務局長にはA8(当時フィギュア委員。以下「A8」という。)が就任した。
(3)  東京都は,平成18年4月ころ,東京都で平成28年にオリンピックを開催することを目指して,東京オリンピック招致本部(以下「招致本部」という。)を発足させた。
(4)  A7は,本件大会の支出を圧縮するために,東京体育館使用料の減額やリンク設置の際の養生の仕様変更による経費の軽減等について東京都と交渉することを考え,平成18年9月に原告のA3に対して東京都との交渉について相談した。
(5)  A7とA3は,被告会長と都知事との面談の段取りをし,平成18年11月9日,被告会長(その秘書)に対して東京都に対する提案書として「世界フィギュアスケート選手権大会 2007 東京 ご協力のお願い」と題する資料(甲9。同資料は被告と原告との連名となっており,A7は連名であることについて了承していた。)を提出した。被告会長は,同日に都知事と会って,本件大会への協力を要請した。
(6)  A3とA7は,平成19年3月1日,東京都知事(以下「都知事」という。)とA9(ISU会長であり,国際オリンピック委員会(以下「IOC」という。)理事である。以下「A9会長」という。)との会食のセッティングについて打ち合わせをした。同月18日にA9会長,都知事及び被告会長との夕食会が開催された。
(7)  本件大会は,平成19年3月20日から同月25日まで東京体育館で開催された。A3及び原告従業員数名は,本件大会会場で東京都の招待客や来賓の対応をした。本件大会のリンクサイドには東京都の看板が掲示され,東京体育館入口ゲート,正面入口,記者会見場,インタビューバックボードに「OC OFFICIAL PARTNERS」として,「東京都」及びそのロゴマークが表示され,東京体育館内にNPO法人東京オリンピック招致委員会のブースが設けられた。本件大会のプログラムには都知事のあいさつ文が掲載された。
(8)  被告の組織委員会は,平成19年3月12日付けで原告に対して,「世界フィギュアスケート選手権大会2007東京に関する見積書の提出について(ご連絡)」と題する書面(甲4)を送付し,見積書の提出を求めた。原告は平成19年3月15日付けで合計2047万5000円の見積書(甲5)を提出したが,被告は,同年5月30日に行われた理事会において,全会一致で原告への支払を停止することを決定した。
(9)  原告は,本件訴訟において,当初は,本件委託業務を行うに当たり,ロビー活動費用の内容として,「被告が東京都のオリンピック招致活動に協力することが,原告が東京都と交渉を行う際の交渉材料の一つであるところ,オリンピック招致活動に直接かかわる部署の関係者の紹介を受けたり,本件委託業務遂行のためのアドバイスを受けるに当たり,友好的な人的関係を築き上げるために政治献金を行った」と主張していたが,訴え提起後約1年が経過してから,「原告は本件委託業務に関し政治献金は一切行っていない」と主張を変え,政治献金を行った旨の主張を撤回した。これに対して,被告は,原告の主張の撤回に異議を述べ,政治献金である旨の原告の主張を援用すると述べた。
3  争点
(1)  主位的請求原因に係る争点
ア 本件業務委託契約の成否及びA7の契約締結権限の有無(争点1(1))
(ア) A7と原告との間の本件業務委託契約の成否
(イ) A7の契約締結権限の有無
(ウ) A7に契約締結権限がないことにつき原告は善意か
イ 本件業務委託契約は公序良俗違反か,その締結は被告の権限外か(争点1(2))
ウ 業務の遂行の有無(争点1(3))
エ 相当報酬額(争点1(4))
(2)  予備的請求原因に係る争点
商法512条による報酬請求権の有無及び相当報酬額(争点2)
第3  争点についての当事者の主張
1  争点1(1)(本件業務委託契約の成否及びA7の契約締結権限の有無)
(1)  原告の主張
ア 原告の取締役A3は,平成18年9月4日,本件大会の財務担当であり,同大会組織委員会委員及び同大会実行委員会副委員長であった被告理事A7と面談し,A7から本件大会における(ア)被告の支出の軽減,(イ)追加支出の回避及び(ウ)追加収入の獲得を依頼された。A3はA7に対し,上記業務の委託を受けるに当たり,相当額の報酬をもらいたい,その報酬は業務の成果にかかわらず発生するものとしてもらいたい旨述べたところ,A7はこれを了承した。
A3は,同月12日,A7に対し上記目的を達成するための具体的な方法を伝えたところ,A7はこれを了解した。その後,A3はA7に対し,報酬として2000万円程度が見込まれる旨述べ,A7はこれを了承した。
このように原告は,平成18年9月12日ころ,被告(理事A7)との間で,本件大会について,会場である東京体育館の使用料(借上げ料)減免交渉,スケートリンクの設置により同体育館の床が損傷した際の補修費及び補修期間中の営業補償費の減免交渉等の業務を相当額の報酬で委託を受ける旨の合意をした(本件業務委託契約)。
イ A7は,本件業務委託契約を締結する権限を有していた。
ウ 仮にA7に上記権限がないとしても,原告はA7が本件業務委託契約を締結する権限がないことを知らなかった。
(2)  被告の認否及び反論
ア アを不知ないし否認する。
イ イを否認する。A7は,本件業務委託契約を締結する権限を有していなかった。
ウ ウを否認する。被告の寄附行為は被告のホームページや文部科学省のホームページ等において公表されている上,原告は本件業務委託契約の報酬,諸費用が本件大会の予算に計上されていないことを知っていたのであるから,原告は,A7に本件業務委託契約を締結する権限がなかったことを知っていた。
エ 仮に,原告はA7に契約を締結する権限を有していないことを知らなかったとしても,原告には知らなかったことにつき重過失がある。
2  争点1(2)(本件業務委託契約は公序良俗違反か,その締結は被告の権限外か)
(1)  被告の主張
本件業務委託契約は,政治献金という違法な手段により目的を達成しようとするものであって,公序良俗に反して無効であるとともに被告の権限外の行為である。
(2)  原告の認否及び反論
原告が政治献金をしたことを否認し,その余を争う。
3  争点1(3)(業務の遂行の有無)
(1)  原告の主張
ア 原告は,本件業務委託契約に基づき,平成18年9月から平成19年5月までの間に,①東京都及び東京都議会との交渉,調整業務,②東京体育館の製氷費用の削減,補修費及び営業補償費の免除交渉,③東京体育館の借上げ料値下げ交渉(事前),④東京都との調整及び仕様調整による製氷作業費の圧縮,⑤東京体育館の借上げ料値下げ交渉(事後),⑥東京都協賛コミッション(看板)の各業務(以下,順に「本件業務①」などといい,本件業務①から⑥までを合わせて「本件各業務」という。)を行った。
イ 本件各業務の具体的内容は,以下のとおりである。
(ア) 原告は,東京都が2016年のオリンピック招致活動を行っていることに着目し,被告が東京都の上記招致活動に協力すること等を交渉材料として,東京都と交渉することを発案し,同発案についての被告の了解を得て,東京都との交渉を行うこととした。
A3は,平成18年9月19日,国会議員と交渉して東京都都議会議員を紹介してもらい,数回面談をして,同都議会議員から東京都の招致本部のA10本部長(以下「A10」という。)の紹介を受けた。原告は招致本部の職員と面談し,主にA10,A11招致推進部長(以下「A11」という。),A12調整課長(以下「A12」という。)及びA13課長補佐(以下「A13」という。)等と面談をして,どのような進め方をすれば東京都として資金協賛を含めた本件大会の支援ができるのかを検討してもらい,そのアドバイスに沿って作業計画を立てた。
A1,A3及びマネージャーのA14は,平成18年9月に合計約150時間上記のとおり東京都との交渉及び連絡業務等に従事した。
(イ) 原告が平成18年10月に行った業務は,次のとおりである。
まず,支出の軽減として,被告が東京都教育本部を経由して行っていた東京体育館使用料減免申請が凍結状態にあったので,招致本部によって側面から支援してもらえるよう作業を進めることとした(本件業務①及び③)。また,東京体育館にスケートリンクを張るに当たり,なるべくコストを抑えながら,スケートリンクを張ったことにより,東京体育館に損傷を与えない程度の養生を検討するなどして費用の圧縮を図ることとした(本件業務①,②及び④)。
原告は,追加支出の回避として,東京体育館の床が損傷した場合の補修費を東京都で一定金額を補助金として予算化するよう内部調整を行ってもらうこととした(本件業務①及び②)。
原告は,追加収入の獲得として,実行委員会がリンクサイドの広告(看板)販売権を有する法人であるIMG日本支社(International Management Group。以下「IMG」という。)から同販売権を譲り受け,リンクサイドの広告(看板)2枚を3000万円で東京都に売る交渉とその看板に表記する内容をIMG及びISUから許可を得られるように作業を進めることとした(本件業務①及び⑥)。
A1,A3及びA14は,このように平成18年10月に合計約130時間上記の各業務を行った。
(ウ) 原告が平成18年11月に行った業務は,次のとおりである。
A3は,都議会議員との協議において,被告会長が都知事に正式な依頼をしておくべきであるとの助言を受けたことから,A7に対して被告会長と都知事の面談の必要性を伝えた。A7は被告会長に連絡をとり,A3も東京都との間で調整を行い,これによって被告会長と都知事との面談日は平成18年11月9日に決まった。A3はA7と共に被告会長を訪れ,被告会長に対してこれまでの経緯と都知事に依頼する事項について教示し,都知事に交付するよう原告作成の東京都に対する協力依頼の提案書(甲9。原告が平成18年9月ころ作成し,被告の了承を得て原告及び被告の連名としたもの。以下「本件提案書」という。)を手渡した。被告会長は都道府県会館で都知事と面談し,本件提案書を交付して,東京都が本件大会に協賛するメリットを説明し,東京都の協力を求めた。
A3は,当初実行委員会事務局長A8が作成していた本件大会の予算書を作成し,平成18年11月27日にA11を訪れて,本件大会の予算について説明した。そのころ,東京都が3000万円の看板の協賛をすることが内定した。
A3,原告従業員A15(以下「A15」という。)及びA16(以下「A16」という。)は,平成18年11月に合計約160時間上記の各業務を行った。
(エ) A3,A15及びA16は,平成18年12月に東京都から更に協賛を得るための交渉を連日行い,合計約170時間本件各業務を行った。
(オ) 原告が平成19年1月に行った業務は,次のとおりである。
A3は,平成19年1月5日,東京都の窓口として,同月9日に行われる本件大会の記者発表での都知事のあいさつ文をA12から受領し,同記者発表を取り仕切るフジテレビ事業センター副部長A17に送信した。A3は,同月6日,同記者発表の実施概要及び進行台本を受領し,同月7日に帝国ホテルにおいてA7と同記者発表の打ち合わせをした。同記者発表は同月9日に行われ,A3は招致本部の関係者を会場で案内した。
東京都は,同月12日に3000万円の看板協賛について正式決定をした。東京都は,2016年のオリンピック招致に関する文言を看板に取り入れたいと考えていたが,原告は,オリンピックの規制に抵触しないようにするため,被告,IMG及びISUに確認をとることとした。
A3は,同月16日に株式会社CIC(以下「CIC」という。)社長A18及びA19と打ち合わせをし,東京体育館フロア養生を軽減することによりコストカットすることを決めた。
同月17日,本件大会第1回全体会議が株式会社電通の会議室で開かれ,A3,A15,A16及び原告従業員A20が出席した。A3は,同月22日に東京体育館を訪れ,財団法人東京都生涯学習文化財団のA21に東京都の協力体制について説明し,設営コストを削減する方法を検討した。A3は,同日,招致本部の者を東京体育館に案内し,本件大会本番の際の来賓の扱い等に関する打ち合わせをした。
A3は,同月24日にA7から,本件大会のプログラムに掲載する都知事のあいさつ文の作成を東京都に依頼するよう要請されたため,A13にあいさつ文の原稿及び写真の手配を要請した。A3は,同月26日に看板協賛の金額や契約当事者について問い合わせがあったので,それについて確認の上,回答した。原告は,同月30日,CICから,防水シート2層,断熱材2層,コンクリートパネル1層によるフロア養生手法の図面と結露シミュレーションを行った上でのパネルが届いたので,これを招致本部に提出し,教育本部に回して東京体育館使用料減免申請の交渉材料としてもらいたい旨述べた。原告は,平成19年1月,看板協賛の決定が正式に出たこと(本件業務⑥),午前9時から午後6時までの東京体育館使用料が3000万円から1500万円に減額されることが正式に決まったこと(本件業務③)及び東京体育館使用後の万一の損傷の場合の補修費も東京都でおおよそ4500万円の予算化が内定する(本件業務②)など,大きな成果を上げた。
A3,A15及びA16は平成19年1月に上記の各業務に約170時間従事した。
(カ) A3は,平成19年2月14日,本件大会プログラムに掲載する都知事のあいさつ文を英訳し,A12及びA13に送信した。A3は,同日,東京都の納得する内容の看板にするため,A8及びA7と連絡を取り合い,調整した。東京都は,同月13日,CICの養生プランを受け入れなかったので,A3は,同月14日にA19と新たなプランを検討し,同月15日に東京都に同プランを提出して,招致本部や都議会議員に同プランの指示・推奨を依頼した。A15は,同月14日に被告理事A22(平成7年7月から被告の事務局長,平成18年7月から被告の理事であり,本件大会組織委員会の委員。以下「A22」という。)から東京都の看板協賛契約に必要な書類(被告理事A6が実行委員長であることの証明書類及び実行委員会組織図)を受領し,東京都へ届けた。東京都は,同月19日に前記養生プランを正式に承認し,その結果,被告の負担すべき製氷作業費は1億1500万円から1億円に減額された(本件業務②)。
同月21日,本件大会事務局第2回全体会議が株式会社電通の会議室で開かれ,A3,A15,A16及びA20が出席した。
A3は,同月23日,東京都の看板デザインについてA6を通じてA9会長に打診してもらいたい旨A7に連絡し,同月27日にA6から回答を得て,A13に連絡した。
A3,A15及びA16は,このほか本件大会のIDパスに関する業務(IDパスの発行申請手続及び写真の回収・送付等の作業)等を行い,平成19年2月に合計約190時間上記の各業務に従事した。
(キ) 原告が平成19年3月に行った業務は,次のとおりである。
A3は,平成19年3月1日にA7と面談し,都知事とA9会長の会食のセッティングについて打ち合わせをし,A7に対しA6を通じてA9会長のスケジュールを確保するよう依頼するとともに,A12等に時間や場所について電子メールで連絡した。
A15は,同月5日にA12及びA13に対し,被告が都知事の出席を希望する行事について連絡した。A3は,同月7日にA7から,A9会長のスケジュールが同月18日に確保できた旨の連絡を受けた。A3は,同月11日に東京体育館を訪れ,フロアの養生について最終確認をし,同月12日にはA12及びA13と共に東京体育館を訪れ,本件大会の来賓の応対について最終確認をした。A3は,同月18日に送迎用の車両を用意して,A9会長を迎え,到着した同人を都知事の待つ会場へ車両に同乗して案内した。A3と2名の原告従業員のうち2名は,本件大会開催中の同月20日から同月25日の間に会場にいるように時間を調整し,東京都の招待客や来賓の受付業務等を行った。
A3,A15及びA16は,平成19年3月に合計約240時間,IDカードの申請業務(同年2月分も含めて,招致本部15名分,東京都スポーツ振興課11名分,オリンピック招致委員会9名分,デイパス280名分の申請業務),本件大会の受付業務等のほか交渉,連絡業務等の各業務を行った。
(ク) 原告が平成19年4月に行った業務は次のとおりである。
A3は,平成19年4月11日にA11及びA13を訪れ,被告の代行として,本件大会についての事後報告と協力に対する謝意を表した。
被告は,同月20日に東京都から,東京体育館の午前9時から午後6時までの使用料金1500万円を含む借上期間中全体の使用料として,6110万9242円を請求され,原告に対し,再び東京体育館使用料減額交渉(本件業務⑤)を委託した。A3は,A7と共に財団法人東京都スポーツ文化事業団のA23及びA21を訪れ,東京体育館の使用料の減額を交渉したところ,監督官庁である東京都スポーツ振興課に相談するように告げられた。A3は,同月25日にA7作成の使用料減免願いを持参して,A7と共に東京都スポーツ振興課のA24スポーツ振興部長及びA25課長(以下「A25」という。)を訪れ,使用料減額交渉をした。
A3及びA15は,平成19年4月に合計約75時間,被告に代わって本件大会の事後の報告や挨拶回り,東京体育館の使用料減額交渉を行うなどして,上記の各業務を行った。
(ケ) 原告が平成19年5月に行った業務は次のとおりである。
A3は,平成19年5月1日,A25から依頼のあった精算見積りを送信したところ,同月8日,A25から東京体育館の使用料減額を承認するために必要な書類を用意するよう指示があったため,その準備に入り,同月10日,A7作成の使用料減免願い(東京都生活文化スポーツ局スポーツ振興課宛及び財団法人東京都スポーツ文化事業団宛)を電子メールで送信した。
A3は,同月14日にA7と共にA24及びA25を訪れ,東京体育館の使用料につき,約600万円の減額の承認を得た。A3は,同月16日にA11及びA13を訪れ,スポーツ振興課での支援の報告と東京体育館の使用料減額について謝意を表した。A3は,同月21日,A25から東京体育館の使用料減額の手続に必要な書類について要望があったため,A7に連絡をしてその作成を依頼した。A7は書類を作成し,A22の下で捺印をもらうようA3に指示をした。
A3及びA15は,平成19年5月に約60時間,事後の東京体育館使用料減額交渉等の交渉,連絡業務を行った。
ウ 原告による本件各業務の成果は,次のとおりである。
(ア) 東京都は,平成18年11月27日に協賛金として3000万円を支払い,本件大会のリンクサイドに広告を出すことを内定した。この3000万円は,被告の純粋な利益となった。
(イ) 東京体育館の床の養生については,当初東京体育館側が求めた条件に従って作成された養生プランによると,養生費用と製氷作業費の合計が1億1500万円になると試算されていた。しかし,原告が,招致本部を通じて東京体育館に働きかけた結果,平成19年2月15日に作成した養生プランが東京体育館に承認され,養生費用と製氷作業費の合計額を1億円に減額することができた。
(ウ) 原告の働きかけによって,招致本部が東京体育館の補修費及び営業補償費を免除することを了承し,そのための予算を確保した。
(エ) 原告が,A7を通じて東京体育館の本件大会開催中の使用料減免申請手続を行わせ,招致本部を通じて,東京体育館の管轄部署であった東京都教育庁スポーツ振興課に働きかけた結果,平成19年1月下旬ころ使用料の50%減額を実現した。また,本件大会期間外及び夜間の使用料についても,約650万円の減額を実現した。
(2)  被告の認否及び反論
ア 原告の主張アを否認する。
イ(ア) 原告の主張イ(ア)を否認ないし争う。
(イ) 原告の主張イ(イ)のうち,原告が本件大会リンクサイドの看板広告権の販売を検討したことは認め,その余は否認ないし争う。
(ウ) 原告の主張イ(ウ)のうち,A7と原告の主張のうち,A7とA3が打ち合わせて都知事と被告会長との面談の段取りをしたこと,平成18年11月9日にA3がA7と共に被告会長に会って東京都に対する提案書を提出したこと,同日,被告会長が都知事等と面談し,本件大会への東京都の協力を要請したこと,提案書を原告と被告との連名とすることについてA7が承知していたこと,A3がA8作成の本件大会予算書を修正した資料を東京都に提出したことは認め,その余は否認ないし争う。
(エ) 原告の主張イ(エ)を否認ないし争う。
(オ) 原告の主張イ(オ)のうち,A3が本件大会の記者発表の際,事務連絡や会場案内等の作業をしたこと,東京都が平成19年1月に本件大会のリンクサイド看板広告掲出による協賛を決定したこと,A3が本件大会プログラムに掲載する都知事のあいさつ文の原稿及び手配をA13に要請したこと,CICが軽減した養生手法をパネルにしたことは認め,その余は否認ないし争う。
(カ) 原告の主張イ(カ)のうち,CICの製氷作業費が1億1500万円であったこと,CICが当初と異なる製氷作業プランを行ったこと,A3がA12及びA13に対し,本件大会のプラグラムに掲載する都知事のあいさつ文を英訳して送信したこと,東京都がCICの養生プランを受け入れなかったこと,A19が新たなプランを作成してA3に送信したこと,A3がA7に対して東京都の看板デザインについて,A6を通じてA9会長に打診してもらいたい旨連絡したこと,原告が本件大会のIDパスの申請手続をとったことは認め,その余は否認ないし争う。
(キ) 原告の主張イ(キ)のうち,A3がA7と面談して,都知事とA9会長との会食について打ち合わせをし,A12にスケジュールについて連絡したこと,A3がA12及びA13に都知事の出席を希望する行事について連絡したこと,A3が送迎用の車両を用意してA9会長と同乗したこと,A3及び原告従業員数名が本件大会会場で東京都の招待客や来賓に対応したことは認め,その余は否認ないし争う。
(ク) 原告の主張イ(ク)のうち,被告が東京体育館の使用料として6110万9242円を請求されたこと,A7が東京都に東京体育館使用料減額の陳情に行った際,A3が同行したことは認め,その余は否認ないし争う。
(ケ) 原告の主張イ(ケ)のうち,A3がA25に対して本件大会の収支の積算資料及びA7作成の使用料減免願いを送付したこと,A7が東京都に東京体育館使用料減額の陳情に行った際,A3が同行したこと,被告が東京体育館使用料の約600万円の減額を受けたこと,A3が使用料減額願いの修正についてA7に連絡し,A7が修正した使用料減額願いを作成の上,被告事務局で捺印してもらうよう連絡したことは認め,その余は否認ないし争う。
ウ 原告の主張ウを否認ないし争う。
(ア) 東京都はリンクサイドの広告看板による協賛を実行したが,東京オリンピック招致活動にとって,本件大会のような国際的スポーツイベントに協賛金を提供したことをリンクサイド広告で宣伝できることは東京都にとっても相当メリットがある。原告は被告のために交渉したものということはできない。
(イ) 東京体育館の養生仕様の変更は,製氷作業に当たったCIC独自の検討と交渉によるものであって,原告の作業とは無関係である。
(ウ) 原告は,被告が確保したという予算項目を明らかにしておらず,東京都は予算措置をとっていない。
(エ) 東京体育館の通常の使用時間の使用料の減額については,平成18年8月31日の時点で正式に決定しており,使用料の総額は1181万3600円であった。また,本件大会実行委員会は,実行予算書上,東京体育館の使用料を,平成18年8月25日の時点で1500万円と計上しており,3000万円を計上していなかった。3000万円という金額は,本件大会の準備委員会が設置される前の段階で,過去の世界フィギュアの実績数値を参考に計上したものであり,1500万円という数字は,上記正式決定額1181万3600円を前提に,会議室,控え室,特別室,駐車場等施設を使用する範囲が増加した場合の使用料の増額を見込んで計上したものである。ところが,本件大会における東京体育館の実際の使用範囲及び使用時間が,平成18年8月の使用申請の時点とは大きく異なっていたため,4000万円を超える巨額の追加料金が発生し,6110万9242円まで膨らんだが,被告は超過料金を免除され,最終的には5484万0487円を請求されることになった。
実行委員会の予算上,東京体育館の使用料が3000万円から1500万円まで減額されたと記載されているのは,実行委員会が予算案の作成をミスしたためであり,交渉による減額ではない。
4  争点1(4)(相当報酬額)
(1)  原告の主張
原告が行った本件各業務の対価として相当な報酬額は,本件業務①につき100万円,本件業務②につき145万円,本件業務③につき225万円,本件業務④につき225万円,本件業務⑤につき90万円,本件業務⑥につき450万円である。
また,原告は,本件各業務を行うために,⑦ロビー活動費650万円,⑧平成18年9月から平成19年3月までの人件費350万円,⑨平成19年4月及び5月の人件費100万円を支払った。
①から⑨までの合計額に消費税を加えた合計額は,2451万7500円である。
(2)  被告の認否
原告の主張を否認ないし争う。
5  争点2(原告の商法512条による報酬請求権の有無及び相当報酬額)
(1)  原告の主張
仮に,原告と被告との間で報酬金額についての合意が成立していないとしても,原告は被告に対して次のとおり商人としての報酬請求権を有する。
ア 原告は株式会社であり,被告のために本件各業務を行った。原告は,セミナー・パーティその他の各種イベントの企画,立案,運営及びこれらの関するコンサルティング業務等を業とする会社であり,本件各業務は原告の営業の範囲内の業務である。
イ 原告は,被告からの委託に基づき,3(1)記載のとおり本件各業務をした。
ウ 本件各業務に対する相当報酬額は,次のとおりである。
(ア) 本件業務① 100万円
(イ) 本件業務② 145万円(業務の成果額から報酬の額を算出する際に乗ずる割合である報酬率は1%である。)
(ウ) 本件業務③ 225万円(報酬率15%)
(エ) 本件業務④ 225万円(報酬率15%)
(オ) 本件業務⑤ 90万円(報酬率15%)
(カ) 本件業務⑥ 450万円(報酬率15%)
(キ) ⑦ロビー活動費 650万円
(ク) ⑧人件費 350万円
(ケ) ⑨人件費 100万円
(コ) 消費税相当額 84万円
(サ) 合計額 2451万7500円
エ 相当報酬額は,本件業務①から⑥までの計1235万円及び⑦から⑨までの計1100万円並びにこれらに対する消費税相当額116万7500円の合計2451万7500円を下ることはない。
(2)  被告の認否及び反論
原告の主張を否認ないし争う。
ア 原告の主張アのうち,原告が株式会社であり,セミナー・パーティその他の各種イベントの企画,立案,運営及びこれらの関するコンサルティング業務等を登記簿上事業目的としていることは認めるが,原告は,その登記簿の目的欄に広告代理店としての業務を記載しておらず,広告会社ではないから,原告の「営業の範囲内」とはいえない。
イ 原告の主張イを否認ないし争う。被告が原告に対して本件各業務を委託していないことは1(2)記載のとおりである。原告がした業務については3(2)記載のとおりであり,原告の活動による成果はない。
ウ 原告の主張ウを否認ないし争う。
エ 原告のした活動は,その手段として政治献金を行っているから,社会的相当性を逸脱するもので公序良俗に反する。
オ 原告は,以下(ア)から(ウ)までのとおり平成18年4月ころから招致本部と接触し,同年5月ころまでには本件大会の準備活動に積極的に関与し始めていた。
(ア) A3は,平成18年4月ころ招致本部を訪ね,招致本部推進部長のA11と会い,「以前大手広告代理店の電通に勤務していて,サッカーのワールドカップの招致活動に関与したことがあるので,その経験から,ミヨシ・ネットワークスが東京オリンピックの招致活動でもお役に立てる」旨話した。当時,招致本部には,オリンピック招致活動に協力しこれをビジネスに結びつけようとする者が複数訪ねてきており,A3もその一人という程度であった。
(イ) A3は,遅くとも平成18年5月ころから,本件大会において製氷工事,会場設営・管理等を担当したCICや有限会社フロントライン(役員・選手の輸送・宿泊,ホテル・プレスルームの説明等を担当する予定になっていたが,後に被告の元会長の背任事件に絡んで逮捕者が出たため,他の業者に変更になった。)の社員や被告関係者に接触するようになった。
(ウ) 被告は平成18年7月23日に本件大会の準備委員会を発足させ,準備委員会の委員長にA6,副委員長にA7,事務局長にA8が就任したのに対し,A3は,遅くとも平成18年9月3日までにA8やCICほかからの情報を得て,提案書の原案を作成した。
原告は,以上のとおり東京オリンピック招致活動の支援業務を受注することを目的として,本件大会を利用して東京都に協力姿勢をアピールをする機会を得させ,A9会長と都知事との会食をセッティングしたのであり,原告の業務のために招致本部に働きかけていたのであって,被告のために業務をしたのではない。
第4  当裁判所の判断
1  事実関係
上記「前提事実」に,証拠(甲1,2,4,5,6の1・2,9,10,11から13までの各枝番,36の1から9まで,37,38,41,42及び43の各枝番,44,45から47までの各枝番,48,49の1から4まで,65,66,69,乙5から8まで,10の1・2,11から14まで,証人A3,証人A22,証人A7)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。
(1)  原告は,セミナー・パーティその他の各種イベントの企画,立案,運営及びこれらに関するコンサルティング業務等を業とする会社である(甲1)。原告はA1が代表取締役を務め,A3は取締役である。
被告は,我が国におけるスケート競技界を統轄し,代表する団体として,スケートの普及振興を図り,もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とし,スケート競技に関する国際競技会,国際演技会及び国際会議の開催等を事業とする財団法人である。被告理事(会長)はA4ことA5である。
(2)  被告の寄付行為には,次の規定がある(乙11)。
ア (役員)第15条 この法人には,次の役員を置く。
(ア) 理事 18名以上20名以内(うち,会長1名,副会長2名以内及び専務理事1名とする。)
(イ) 監事 2名又は3名
イ (理事の職務)第17条
① 会長は,この法人の業務を総理し,この法人を代表する。
② 副会長は会長を補佐し,会長に事故があるとき,又は欠けたときは,会長があらかじめ指名した順序によりその職務を代理し,又はその職務を行う。
③ 専務理事は,理事会の議決に基づきこの法人の業務を掌理する。
④ 会長,副会長がともに事故あるとき,又は欠けたときは,専務理事がその職務を代理し,又はその職務を行う。
⑤ 理事は,理事会を組織して,この法人の業務を議決し,執行する。
(3)  ISUは,平成16年6月,東京都で平成19年3月に本件大会を開催することを決めた。国際競技会が日本で開催される場合,主催者はISUであるが,被告が主管として国際競技会の運営・管理に当たることになる。
被告が主管する競技会では被告に組織委員会を設置し,更に組織委員会において実行委員会を設置し,実行委員会は,組織委員会の委託を受けて競技会の運営・管理に当たる。組織委員会は,実行委員会に競技会の運営・管理を委託するに当たって,競技会の開催期間,開催場所,開催日程その他の実施概要を定め,競技会の収支について予算を作成し,実行委員会は実施概要と予算を遵守して競技会を運営・管理する。その管理・運営のために,実行委員会内にも事務局(大会事務局)が設置される。
本件大会においても,「世界フィギュアスケート選手権 2007 東京大会組織委員会規約」(乙12)が定められ,平成18年7月1日から平成19年6月30日を事業年度として,平成18年9月30日から施行された。組織委員会の事業は,①大会の開催及び運営に関すること,②大会の開催及び運営に関し関係機関・団体等との連絡調整に関すること,③その他大会開催に関し必要な事業である。組織委員会は組織委員をもって構成され,組織委員会の会長には被告の会長が充てられ,会長は組織委員会を代表し,会務を総理することとされた。また,組織委員会に実行委員会が設けられ,組織委員会の決定に従い,業務の総合調整に当たるとともに,組織委員会の付託を受けて業務を執行することとされた。
(4)  東京都は,平成18年4月ころ,東京都で平成28年にオリンピックを開催することを目指して,招致本部を発足させた。原告の取締役A3は,平成18年4月ころ招致本部を訪れ,招致推進部長のA11に対して,A3が以前に大手広告代理店である株式会社電通に勤務しており,サッカーのワールドカップの招致活動に関与した経験があるとして,原告が東京オリンピックの招致活動に役に立てる旨伝えた。当時,招致本部には,東京都の東京オリンピック招致活動に協力してビジネスに結びつけようとする者が多く訪れていた。
(5)  被告は,平成18年4月までに発覚した経理をめぐる不祥事により,多くの理事が同年6月末の任期満了となり再任されないこととされ,本件大会の準備作業は遅れていた。
被告は,平成18年7月23日に本件大会の準備委員会を発足させた。準備委員会の委員長には理事のA6,副委員長には理事のA7,事務局長にはA8がそれぞれ就任した。その後,組織委員会は本件大会の実行委員会を設け,その委員長には理事のA6,副委員長には理事のA7,事務局長にはA8がそれぞれ就任し,A7は財務担当となった。
A7,A22及びフロントライン社のA26(当時,被告の準備委員会は,同社に対して大会事務局業務を委託していた。)は,同年8月21日,東京都教育庁生涯学習スポーツ部スポーツ振興課競技スポーツ係次席のA27(以下「A27」という。)を訪問し,本件大会の開催地である東京都から本件大会の後援を得るための手続を聞いた。A27はA22らに対して,東京都は6か月前に後援を決定するため,平成19年3月に開催される本件大会については,平成18年9月までに申請書を提出するよう説明した。A22らは,都知事に本件大会名誉会長に就任してほしい旨相談したところ,A27は,後援決定後に改めて依頼文書の提出があってから,東京都が検討する旨伝えた。被告はA27の説明に従い東京都に対して後援申請書を提出し,後援決定後に都知事の本件大会名誉会長就任依頼文書を提出して承諾を得た。
被告は平成18年8月21日に第1回予算委員会を開催し,本件大会の予算案を審議した。A7は,その席上で,収入が6億1710万円で支出が7億1340万円,9630万円の赤字となる旨の本件大会の予算案を提出し,「リンクサイド広告看板を売れば4000万円くらいの増収は見込める」旨述べた。これに対して,A2副会長は,単独の大会で1億円もの赤字を想定した予算を作ることはできないと述べ,収入を増やす方法,支出を削減する方法を再検討し,確実な予算書を作り直すよう要請した。財務部長のA28理事は,「東京都は平成28年にオリンピック招致を目指しており,本件大会のような国際大会に協力することはIOCに対するアピールになるはずである。その点を訴えて協賛金の提供や体育館使用料の減免を交渉することができるのではないか。新会長は参議院議員のA4であり,都知事にお願いするルートも持っているはずであるから,現場サイドで交渉しつつ,被告会長から支援要請するという方法をとれば,十分可能である。」旨述べた。
被告は,平成18年9月4日に第2回予算委員会を開催し,再び予算案が提出された(甲11の2)。この予算案は,同年8月25日時点での予想として,収入面では,入場券収入の見込みを甘くして3000万円増額し,リンクサイド看板広告収入が新たに3000万円(販売可能な場合)計上される一方,支出面では,一部の業者への支払が減少したが,新たに必要になった支出項目が加わり,かえって増額となり,その結果,収入は6億8710万円,支出は7億2197万2950円で,3487万2950円の赤字であった。この予算案は,同月30日に予定されていた被告の評議委員会に提出することが予定されており,A7が「実際の運営において支出を削減し,6億3700万円まで減額することを目標とする」旨明言したこともあって,予算委員会は上記予算案を承認した。
(6)  A7は,本件大会の支出を圧縮するために,東京体育館使用料の減額やリンク設置の際の養生の仕様変更による経費の軽減等について東京都と交渉することを考え,平成18年9月ころ,原告取締役のA3に対して東京都との交渉について相談した。
A3は,そのころA11を再度訪れて,原告が本件大会に関連して東京都に協力を要請する件の窓口として活動することになった旨伝えた。また,A7もA3を同行して,A11に対して同趣旨の説明をした。A3はA11に対して,東京都による本件大会への協力の具体的な内容として,東京体育館の使用料の減額,スケートリンク設置の際の養生仕様の軽減,東京体育館の床面が損傷した場合の補修費の減免,リンクサイド看板広告による協賛金の提供を要請した。東京都の招致本部は,上記要請を検討するに当たって,A9会長(ISU会長でIOC理事でもある。)と都知事との会食を設定することや,A7やA3のみではなく被告会長から都知事に対して要請する方法も必要である旨伝えた。
(7)  A7とA3は,被告会長と都知事との面談の段取りをし,平成18年11月9日,被告会長(その秘書)に対して東京都に対する提案書として「世界フィギュアスケート選手権大会 2007 東京 ご協力のお願い」と題する資料(甲9。同資料は被告と原告との連名となっており,A7は連名であることについて了承していた。)を提出した。被告会長は,同日に都知事に会って本件大会への協力を要請した。都知事は,これを受けて本件大会に可能な限り協力するように指示をした。また,A11は,東京体育館の使用料減額,スケートリンクの設置の際の養生仕様の軽減について,東京体育館に対して2,3度要請の連絡を入れた。
(8)  A3はA8との間で,本件大会の予算に関するメールのやり取りをした(甲11の1から11の6まで)。原告は平成18年11月ころA8から本件大会の被告予算書を受け取っているが,その予算書には原告に対する報酬は計上されていない。A3はA12との間で,都知事が本件大会において寄せるメッセージについてのメールのやり取りをし(甲12の1・2,18の1・2,23の1から3まで),A7,A6,A12及びA13らとの間で,本件大会開催会場の看板広告のデザインについてのメールのやり取りをし(甲18の1,24の1・2,31の1・2,32の1・2,33,34,35の1・2),招致本部との間で看板広告の代金についてのメールもした(甲19の1,20から22まで)。また,A3はA7との間で,都知事のあいさつ文に関するメールをやり取りした(甲17の1)。
(9)  CICは,平成18年8月4日付けで被告の実行委員会に対して,東京体育館アイスリンク設営の見積額を1億1584万0770円(消費税別)とする見積書を提出したところ,被告の実行委員会から同年12月にCICに対し1億円(消費税別)とする発注書が送付されたことから,CICは同額の見積書を被告に提出した。CICのA18,A19はA3と共に変更プランを検討し,リンクの床養生の軽減化についての第1次案を東京体育館に提示したが,東京体育館担当者に受け入れられなかった。そこで,CICはリンク設営会社とで協議して折衷案を作成し,平成19年2月15日に最終提案をしたところ,同月19日に東京体育館から最終提案での着工の許可が下りた。
(10)  東京都は,平成19年1月12日,本件大会のリンクサイドに看板広告を出して本件大会に協賛することを決めた。リンクサイドの看板広告の販売価格は8000万円であったが,東京都は年度中に他の予算を流用して捻出することになるため,被告に対し価格を半額の4000万円にし,更に3000万円にしてもらった。
(11)  原告は,平成19年2月ころ本件大会のIDカード申請手続をした(甲36の1から9まで)。A3のIDカテゴリーは「OC Head」であった(甲41。「OC Staff」とは異なり,アイスリンクやVIPルームにも入ることができるもの)。
(12)  A3とA7は,平成19年3月1日,都知事とA9会長との会食のセッティングについて打ち合わせをし,A12に対してスケジュールの確認を行い,A12及びA13に対して都知事の出席を希望する行事について連絡した。被告会長は,同月5日ころ,都知事とA9会長とが会食予定であることを知り,A22がA12に連絡をとって,A9会長,都知事及び被告会長との夕食会を設定した。同月18日にA9会長が夕食会会場に向かう際に,被告は組織委員会の専用車を用意したが,A9会長は,原告が用意した白色のベンツにA3と共に乗って,会場に移動した。
(13)  本件大会は,平成19年3月20日から同月25日まで東京体育館で開催された。A3及び原告従業員数名は,本件大会会場で東京都の招待客や来賓の対応をした。本件大会のリンクサイドには東京都の看板が掲示され,東京体育館入口ゲート,正面入口,記者会見場,インタビューバックボードに「OC OFFICIAL PARTNERS」として,「東京都」及びそのロゴマークが表示され,東京体育館内にNPO法人東京オリンピック招致委員会のブースが設けられた。本件大会のプログラムには都知事のあいさつ文が掲載された。
(14)  本件大会における東京体育館の実際の使用範囲及び使用時間は,平成18年8月の使用申請時点と大きく異なっていたことから,精算時点において4000万円を超える巨額の追加料金が発生し,金額は6110万9242円となった。しかし,被告はA7名義で使用料の減免申請をしたところ,東京都から超過料金を免除され,平成19年5月22日付けで使用料5484万0487円を請求されることになった。
(15)  平成18年11月ころ実行委員会の動きが遅く,発注業務に遅れが目立っていたことから,被告本部事務局は平成19年3月ころ各業者に対して見積書を再度提出するように依頼し,専務理事,被告会長等の決裁を受けて,各業者に発注書を送付した。被告の専務理事であるA29は,A7との関係で原告が何をしているかを検討するため,原告にも見積書の提出を求めることとし,被告の組織委員会は,平成19年3月12日付けで原告に対して,「世界フィギュアスケート選手権大会2007東京に関する見積書の提出について(ご連絡)」と題する書面(甲4)を送付して,見積書の提出を求めた。
これを受けて,原告は,平成19年3月15日付けで合計2047万5000円(内消費税97万5000円)の見積書(甲5)を提出した。見積書の内容は,次のとおりである。
「① コーディネーションフィー 500万円
・東京都及び東京都議会との交渉,調整業務
・東京体育館の製氷費用の削減,補修費+営業保証費の免除交渉=最大1億4500万円相当
・東京体育館の借上げ料値下げ交渉 3000万円→1500万円
② ロビー実費 650万円
・出費コストベース
③ 東京都協賛コミッション(看板含む。) 450万円
・3000万円×15%
④ 人件費 350万円
・2006年9月~2007年3月=7か月@50万円」
被告は,平成19年5月30日に行われた理事会において,原告からの報酬請求について議論したところ,「見積書の内容が不明確である,「ロビー実費」を伴う政治家を通じての働きかけが財団法人として許されない」との意見が大勢を占め,全会一致で原告への支払を停止することを決定した。被告は,平成19年5月31日付けで原告に対して,原告が提出した上記見積書を受け取ることができない旨連絡した。
2  争点1(1)(本件業務委託契約の成否及びA7の契約締結権限の有無)について
(1)  原告は,平成18年9月12日に被告理事A7との間で本件業務委託契約が成立したと主張し,証人A3は,「1回目の平成18年9月4日にA7と会った時点で,東京都との交渉について被告から業務を依頼されたと認識していた」,「平成18年9月12日には一応一定の方針を立て,戦術を立てて,その方向で動いていいという指示をA7からいただいたので,私としては,そこからじゃあこのまま前に進めるということを言ったので,その時点で仕事を受けたという感じでいた」旨証言し,A3の陳述書(甲65号証)にも同趣旨の陳述記載部分がある。
しかし,証人A3の上記証言は,業務委託契約の成立やその内容はあいまいであり,報酬についても具体的な金額の合意ではなく2000万円程度の相当額を支払うとの合意がされたというにとどまるなど,全体としてあいまいであるというほかない。本件業務委託契約に係る契約書その他の客観的な証拠もない。むしろ,証人A7は,「A3に世界フィギュアに関する東京都との交渉について相談した最初の時点で,報酬について話したことはない」,「A3がA7に平成18年9月の段階から2000万円ほどかかると言ったと主張しているが,(平成18年)9月の段階ではそのような話を聞いていない」旨証言し,A7の陳述書(乙5号証)にも同趣旨の陳述記載部分がある。このようなA7証言等と対比しても,証人A3の上記証言等はたやすく信用することができない。他に本件業務委託契約の成立を認めるに足りる証拠はない。
(2)ア  もっとも,証人A7は,「平成18年11月か12月ころになって原告に対し本件大会についての業務を委託していると認識するようになった」,「報酬が2000万円規模になるという話を聞いたのは,最終的には3月にスケート連盟事務局に対して出てきた見積りによってである」,「成功報酬型で考えておりましたので,…2006年12月段階では数百万円単位,その後,さらに少し成果が上がりましたので,上乗せすることがまた何百万円単位という格好だと思います。」と証言する。これに証人A3の証言等を合わせると,原告取締役A3と被告理事A7との間で,平成18年11月か12月ころ本件大会に関して何らかの業務を委託する旨の合意をしたようではあるが,委託した業務の具体的内容はあいまいである上,その報酬について具体的な合意はなかったことが認められる。(なお,A7は,平成18年12月ころ,被告専務理事A29とA8の3名で原告に対する報酬について話し合ったと証言するが,これを裏付ける証拠はなく,A7の上記証言部分はたやすく信用することができない。)。
以下においては,念のため,A7の契約締結権限について検討する。
イ  被告の寄附行為には,被告の代表権限は会長に専属する旨規定され,会長に事故があるとき,又は,会長が欠けたときに副会長が会長を代理又は代行し,会長,副会長がともに事故あるとき,又は欠けたときは,専務理事が会長の職務を代理又は代行するのみであること,A7は本件大会準備委員会や実行委員会の各副委員長を務める被告理事の一人にすぎず,被告の代表権限がないことは前記1認定のとおりであり,また,A7が被告から業務委託契約の締結につき代理権を授与されたことを認めるに足りる証拠もない。したがって,A7が原告との間で本件大会に関して業務委託契約を締結したとしても,無権代表で無権代理行為である。
なお,証人A7は,この点につき,「東京都との交渉を何百万円単位で外部の企業に委託する権限があったと思っていた」,「(実行委員長であった)A6に口頭で報告した」,「A6は了解していたと思う」旨証言するけれども,A7にそのような権限があったことやA6の了解を認めるに足りる証拠はなく,証人A7の上記証言はたやすく信用することができない。他にA7に業務委託契約を締結する権限があることを認めるに足りる証拠はない。
ウ  原告は,A7に上記業務委託契約を締結する権限がないことを知らなかったと主張し,証人A3は「当該イベントの予算からでなく,競技団体の年間予算から支払われることは珍しいことではなく,原告は正当な報酬が支払われさえすれば,被告の内部においてどのような会計処理がされるかは関心がなかった」などと証言する。
しかしながら,A7は本件大会の準備委員会や実行委員会の各副委員長を務める被告の理事の一人にすぎないこと,被告の寄附行為は被告のホームページや文部科学省のホームページ等において掲載されて公表されていること,原告は平成18年11月ころ被告の予算書を受け取っているが,その予算書には原告に対する報酬が計上されていないことは前記1認定のとおりである。これらの事実に,A7は原告に対して具体的な権限について説明していない旨証言していることを併せ考慮すると,証人A3の上記証言等はたやすく信用することができない。他にA7に契約締結権限がないことを原告が知らなかったことを認めるに足りる証拠はない。
(3)  以上のとおりであるから,A7と原告との間に本件業務委託契約が締結されたことを認めるに足りる証拠はない(また,A7と原告との間で平成18年11月か12月ころ本件大会に関する業務委託契約が成立したとしても,A7はそのような契約締結権限を有せず,かつ,原告がそのことを知らなかったことを認めるに足りる証拠はないから,被告にその効果が帰属することはない。)。
3  争点2(商法512条による商人の報酬請求権の有無及び相当報酬額)について
(1)  原告は,本件業務委託契約が成立していないとしても,被告理事A7から委託を受けて,平成18年9月から平成19年5月までの間に,本件大会に関して被告のために本件各業務を行ったと主張して,商法512条に基づき相当報酬額の支払を求める。
原告の上記主張は,A7から委託を受けて本件大会のために行った活動は被告のための事務管理であると主張するものと解される。もとより,商法512条にいう「他人のために行為をした」とは事務管理であってもよいが,事務管理の成立には「本人の意思に反し,本人に不利であることが明らかでないこと」を要するものと解される(民法700条ただし書参照)。本件では,原告はその活動の手段として政治家に対する政治献金を行ったと主張していたのであるから,このような手段を用いた原告の活動全体が被告の意思に反するものかどうかを検討する必要がある。
もっとも,原告は,本訴の提訴から1年が経過してから,政治的交渉のために政治家に政治献金をしたとの主張を撤回して,a社にロビー活動を依頼し,その代金として400万円を支払ったと主張を変遷させるに至り,その証拠として,甲69号証(A3の陳述書),甲70号証の1(請求書),甲70号証の2(領収書)を提出し,甲69号証には,「私は,9月中旬に,旧知の国会議員に,活動の進め方について相談に行きました。また,同じころ,ある会社(a社)の社長にも相談しました。」,「私は,どの都議会議員にアプローチすればよいか分からず,十分なコネクションもなかったため,私が一から活動しても,短期間で成果を挙げることは不可能でした。そこで,私は,ロビー活動のプロであるa社に,情報収集と私の活動の下地作りをするよう依頼しました。」,「a社からは「最低200万円くらいのコストはかかりますよ。」という話があり,a社の報酬,交際費課税分等を上乗せして400万円(消費税別)のコーディネート費を支払うことで合意しました。」との陳述記載部分がある。しかし,原告はa社の名前を伏せているばかりでなくa社の行った具体的業務内容も明らかではなく,a社が行った業務を認めるに足りる証拠もない。そもそも,原告は政治献金についての主張を変遷させている上,甲69号証で,当初政治献金の主張をしたことについて,「a社の名前を出したくなかった」,「実際にかかった費用であるので名目は重要でないだろうと考えたため事実とは異なる説明をしたが,今考えると適切ではなかった」と陳述記載する部分は説得力のあるものとはいい難く,甲69号証の上記陳述記載部分はたやすく信用することができない。そうすると,被告が原告による政治献金の主張の撤回に異議を述べ,政治献金であるとの原告の主張を援用している以上,原告の行った活動は,政治家に対し政治献金をするという手段を用いたものといわざるを得ない。
しかるところ,弁論の全趣旨によれば,被告は,日本オリンピック委員会から補助金を選手強化資金に充てているほか,競技会の開催においては開催地の自治体から補助金の交付を受けるなどしており,国ないし地方公共団体から直接,間接に補助金を受けている財団法人であることが認められる。このような被告の性格上,政治家に政治献金を行い,これを手段として本件大会における被告の便益を図ることは政治資金規正法の趣旨に反しかねないものであり,社会的相当性を欠き,ひいては,このような手段を用いて行われた原告の活動全体が社会的相当性を欠くものといわざるを得ない。そうすると,原告の上記活動全体が被告の意思に反することが明らかであって,事務管理が成立するとはいえず,商法512条の適用の余地はないというべきである。
(2)  この点をおき,原告が主張する活動が,被告のために成果を挙げたものであるかどうかについても,順に検討する。
ア 原告は,本件業務①について,東京都及び東京都議会との交渉,調整業務を行ったと主張する。
なるほど,原告が,東京都職員との間で,都知事の本件大会に寄せるあいさつ文,東京都が協賛する看板広告,本件大会において都知事の出席を希望する行事に関するメールのやり取りをしたり,提案書(甲9)を作成するなどして,本件大会に関する事務局の活動に一部関与したことは前記1認定のとおりであるが,原告の上記活動により本件大会に寄与するような成果を挙げたことを認めるに足りる証拠はない。
イ 原告は,本件業務②について,本件大会の前に東京都に対し東京体育館の補修費及び営業補償費の免除交渉をして,東京都(招致本部)が免除を了承し,そのための1億円以上の予算を確保したと主張し,証人A3はこれに沿う証言をし,証人A7も「招致本部が4000万円の予算を確保してくれたと聞き,A11部長にお礼の連絡をした」旨証言する。
しかし,原告は招致本部が確保したとする予算の項目を明らかにしていない。また,招致本部のA11は被告訴訟代理人に対し,「実際に損傷し,日本スケート連盟が損害賠償をした場合に,招致本部の予算でこれを補填することを考えていました」と述べるが,その一方で,「過去に損傷したケースはないと聞いていましたし,損傷するとしてもごく一部にとどまるであろうと考えていました」,「平成18年度の予算で4500万円であるとか,翌年度で1億円とかいった規模の予算ではありません」と述べているのであって,原告の主張する予算の規模とも異なる。しかも,証拠(乙17)によれば,東京都の平成18年度予算には国際スポーツ競技大会への支援事業の予算がなかったことが認められ,これらの事実に照らしても,招致本部の職員であるA11の一存で,実際に東京体育館に損傷が生じた場合に,東京体育館の補修費,補償費について,補填ができる性質のものではないのではないかとの疑念を払拭できない。他に原告の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。
ウ 原告は,本件業務③について,本件大会の前に東京体育館の借上げ料の値下げ交渉をして,3000万円から1500万円に減額されることが決まったと主張する。
しかし,原告の上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。むしろ,証拠(甲11の2・5,乙14)及び弁論の全趣旨によれば,東京体育館の通常の使用時間の使用料の減額については,平成18年8月31日の時点で正式に1181万3600円と決定されていたこと,本件大会実行委員会は実行予算上,東京体育館の使用料を平成18年8月25日の時点で1500万円と計上していたが,これは上記の正式決定額を前提に,会議室,控え室,特別室,駐車場などの施設を使用する範囲が増加した場合の使用料の増額を見込んで計上したものであること,3000万円という数字は本件大会の準備委員会が設置される前の段階で過去の世界フィギュアの実績数値を参考に計上したものであることが認められ,これらの事実に照らせば,実行委員会の予算案には借上げ料3000万円から1500万円に減額されたようになっているのは,上記経過からみて,結果からみれば実行委員会のミスであると考えられ,原告の上記主張はたやすく採用することができない。
エ 原告は,本件業務④について,招致本部から側面支援をしてもらえるように交渉し,その結果,平成19年2月19日に承認を得られ,東京都との調整及び養生仕様調整により製氷作業費を圧縮したと主張する。
しかし,CICのA18,A19はA3と共に変更プランを検討し,リンクの床養生の軽減化についての第1次案を作成して東京体育館に提案したが,東京体育館担当者に受け入れられなかったこと,そこで,CICはリンク設営会社と協議して折衷案を作成し,平成19年2月15日に東京体育館に最終提案をしたところ,同月19日に最終提案での着工の許可が下りたことは前記1認定のとおりである。このように,東京体育館の養生仕様の変更はCICがリンク設営会社と協議して最終案を作成した上,東京体育館と交渉して行われたものであり,東京体育館養生仕様の変更が原告の作業と関係があることを認めるに足りる証拠はない。
オ 原告は,本件業務⑤について,本件大会後に東京体育館の借上げ料値下げ交渉をしたと主張する。
しかし,本件大会における東京体育館の使用料は,平成18年8月の使用申請時点と使用範囲及び使用時間が大きく異なっていたことから,6110万9242円となったが,被告がA7名義で減免申請をしたところ,東京都から超過料金を免除され,5484万0487円を請求されるに至ったこと,都知事に対し正式に本件大会への東京都の協力を要請したのは被告会長であることは前記1認定のとおりであり,上記減額が原告による交渉の成果であることを認めるに足りる証拠はない。
カ 原告は,本件業務⑥について,東京都と交渉を行った結果,東京都から本件会場のリンクサイドに看板広告を出し,協賛金3000万円を獲得した旨主張する。
しかし,広告看板は元値が8000万円であるところ,A7は平成18年8月21日の予算委員会で,「リンクサイド広告看板を売れば4000万円くらいの増収が見込める」旨の説明をし,財務部長のA28理事も,「東京都はオリンピック招致を目指しており,本件大会に協力することはIOCに対するアピールになる点を訴えて協賛金の提供等を交渉することができる。被告会長から都知事に支援要請をするという方法をとれば十分可能である。」旨述べたこと,被告会長は同年11月9日に都知事に対し本件大会への協力を要請し,都知事はこれを受けて本件大会に可能な限り協力するように指示をしたこと,東京都は平成19年1月12日にリンクサイドに看板広告を出して本件大会に協賛することを決め,協賛金を3000万円にしてもらったことは前記1認定のとおりである。これらの事実に照らせば,東京都が本件大会の看板広告に協賛金を出すことが原告の交渉の結果であることを認めるに足りる証拠はない。
キ 以上のとおりであって,原告が本件大会に関して行った業務が被告のために成果を上げたことを認めるに足りる証拠はない。
(3)  また,A3は,平成18年4月ころ招致本部を訪れ,A11に対し原告が東京オリンピックの招致活動に役に立てる旨伝えたこと,当時,東京都には,招致本部の東京オリンピック招致活動に協力してビジネスに結びつけようとする者が多く訪れていたことは前記1認定のとおりである。そうすると,原告は,被告に接触する以前から,東京オリンピックの招致活動へのビジネスとしての参加を企図していたことがうかがえ,被告の主管する本件大会における原告の活動は,オリンピック招致活動への参加のための活動が含まれていたものと推認される。
もっとも,証人A3は,「A3が東京都のA11と初めて会ったのが平成18年9月下旬から10月ころである」旨証言する。しかし,A11は,被告訴訟代理人弁護士大石雅寛(被告の理事であり,法制部長)に対する報告書(乙8号証)において,平成18年4月であった旨述べ,同人が作成した報告書の加除訂正の書面(乙10の1・2。平成20年4月17日送付のもの)においても,その時期を訂正していない(なお,原告訴訟復代理人弁護士菅原浩史作成のA11に対する面談の平成20年5月26日付け報告書には,「私がA3さんと初めて会ったのは,平成18年10月ころでした」と記述され,訂正の理由として「「平成18年4月ころだったかも知れない」と答えたが,あとで記憶を整理したところ,間違っていたことに気づいた。被告代理人からは,私から聞いた話をまとめて証拠として裁判所に提出するということは聞かされていなかったので,厳密に正確なことを答えなければならないという意識もなかった」旨記載されているが,被告訴訟代理人作成に係る報告書には「東京地方裁判所民事第5部ろ1係御中」と記載されており,これをA11が確認していることに照らすと,原告訴訟復代理人作成の上記報告書はにわかに信用し難い。)。証人A3の上記証言は,反対趣旨の証拠(乙8,10の1・2)に照らし,たやすく信用することができない。
そうすると,原告はもともとオリンピック招致活動に参加するために東京都の招致本部と交流をしていたのであり,このような経緯から原告が行った活動は,オリンピック招致活動を進める東京都(ないしは原告自身)のための活動といえても,被告のための活動といえるのかは必ずしも判然としない。この点からみても,原告が被告のための業務として行ったものであるかは疑問があるといわざるを得ない。
(4)  以上のとおりであって,原告の商法512条による報酬請求は理由がない。
4  結論
以上によれば,本件業務委託契約が成立したことを認めるに足りる証拠はなく,A7が原告に対し何らかの業務を委託したとしても,その効果が被告に帰属するものではないから,原告の主位的請求は理由がない。原告の予備的請求も,商法512条による報酬請求権が発生しておらず,理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 畠山稔 裁判官 熊谷光喜 裁判官 折田恭子)

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。