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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(237)平成23年 2月18日 東京地裁 平21(ワ)22162号 損害賠償等請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(237)平成23年 2月18日 東京地裁 平21(ワ)22162号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成23年 2月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)22162号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2011WLJPCA02188021

要旨
◆原告が、①結婚紹介業を営んでいた訴外A社との間で、結婚相手の紹介を受ける旨の会員契約を締結したが、実際の男性会員数よりも多い男性会員がいる旨の虚偽の事実を告げて入会契約を締結させ入会金を支払わせたとして、訴外A社の役員であった被告らに対し、民法719条、会社法429条などに基づき、上記入会金相当額及び慰謝料等の連帯支払を求めるとともに、②訴外B社との間で、再び結婚相手の紹介を受ける旨の会員契約を締結したが、結婚相手の紹介が困難であるにもかかわらず、結婚相手を紹介することができる旨を告げて入会契約を締結させ入会金を支払わせたとして、訴外B社の役員であった被告Y2に対し、民法709条に基づき、上記入会金相当額及び慰謝料等の支払を求めた事案において、結婚紹介サービスにとって会員数が重要な要素であり、顧客がこれによって入会するか否かを判断することになるにもかかわらず、虚偽の説明をして入会を勧誘し、上記各契約を締結させた行為は不法行為を構成する等判断し、原告の請求を全部認容した事例

参照条文
民法709条
民法719条
会社法429条
会社法430条

裁判年月日  平成23年 2月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)22162号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2011WLJPCA02188021

東京都品川区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 佐々木幸孝
同 浅賀大史
東京都文京区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都港区〈以下省略〉
Aこと
被告 Y2

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して151万7500円及びこれに対する平成19年11月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  Aこと被告Y2は,原告に対し,438万5000円及びこれに対する平成20年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用は,被告らの負担とする。
4  この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,①原告が,結婚紹介業を営んでいた株式会社デスティナ・ジャパン(以下「ジャパン」という。)との間で,結婚相手の紹介を受ける旨の会員契約を締結して代金を支払ったが,被告ら,あるいは,ジャパンの従業員は,実際の男性会員数よりも多い男性の会員がいるという虚偽の事実を告げたことにより,原告はその事実を誤信して入会契約を締結して入会金121万7500円を支払ったとして,被告らの同行為は詐欺の不法行為を構成する,あるいは,被告らはジャパンの代表取締役又は取締役として従業員に対して会員数について虚偽の事実を告げるように違法な指導をしたと主張し,被告らに対し,民法719条,709条,又は会社法429条,430条に基づき,上記入会金相当額及び慰謝料30万円の合計151万7500円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,②原告が,ジャパンの業務を引き継いだデスティナ・アピス株式会社(以下「アピス」という。)との間で,再び結婚相手の紹介を受ける旨の会員契約を締結して代金を支払ったが,アピスはジャパンの営業を引き継いだものであり,また,ジャパンは同契約締結当時業務停止命令を受けていたため,アピスにおいて,結婚相手を紹介することが困難であったにもかかわらず,Aこと被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,アピスにおいて,結婚相手を紹介することができる旨を告げて入会契約を締結させ,入会金408万5000円を支払ったことが詐欺の不法行為を構成するなど主張し,同社の取締役であった被告Y2に対し,民法709条に基づき,上記入会金相当額及び慰謝料30万円の合計438万5000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
1  争いのない事実等
(1)  原告は,昭和47年生まれの独身女性である。
(2)  ジャパンは,結婚紹介業を営んでいた株式会社である。
(3)  原告は,平成19年11月22日,ジャパンとの間で,ジャパンが原告に対し結婚相手を紹介する旨の会員契約を締結し,同日,ジャパンに対し,入会金として121万7500円を支払った(以下「本件第1契約」という。甲3,4)。
(4)  原告とジャパンとの間の本件第1契約締結当時,被告Y1(以下「被告Y1」という。)は同社の代表取締役,被告Y2は取締役をそれぞれ務めていた。(甲1,10)
(5)  ジャパンは,平成20年2月19日,東京都から,平成18年9月から平成19年10月までの男性会員数が300人ないし400人程度であったにもかかわらず,男性会員数が1000人いるように告げて顧客を勧誘し,特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)44条1項に違反すること等を理由として,6か月間の業務停止命令を受けた(甲27,28の1・2)。
(6)  被告Y1は,平成20年2月27日,ジャパンの代表取締役及び取締役を退任した(甲10)。
(7)  アピスは,平成20年3月ころ,ジャパンから,その結婚紹介業に係る営業譲渡を受けた会社である。アピスは,同年2月末日までジャパンの本店所在地であった東京都渋谷区〈以下省略〉を本店所在地としており,同場所をオフィスとして営業を始めた。(甲3,8,10,被告Y2本人7,8頁)。
被告Y2は,同年2月27日,アピスの取締役に就任した。(甲2)
(8)  原告は,被告Y2から勧誘を受け,平成20年4月28日ころ,アピスとの間で,アピスが原告に結婚相手を紹介する旨の会員契約を締結し,仮契約書に署名・捺印したうえ,アピスに対し,入会金として408万5000円を支払った(以下「本件第2契約」という。甲7,8,9,50)。
2  争点及びこれについての当事者の主張
(1)  被告らは,原告に対し,本件第1契約締結に当たり,不法行為(虚偽の会員数の告知)を行ったか。また,被告らは,それぞれ取締役等としての従業員に対して従業員が会員数を偽って勧誘する違法な指導をしたか。
(原告の主張)
ア 被告らは,共謀して,自らあるいはジャパンの従業員をして,原告に対し,同社の男性会員数は300人程度であったにもかかわらず,総会員数が3000人程度で,同社の男性会員数が1000人いるなどと虚偽の事実を告げて勧誘し,原告をその旨誤信させて,原告との間で本件第1契約を締結させたうえ,入会金121万7500万円を支払わせた。
イ 本件第1契約締結当時,被告Y1はジャパンの代表取締役,被告Y2は同社の取締役であり,自らが会員数を偽り顧客と契約を締結することがないようにするのはもちろんのこと,ジャパンの従業員が,男性会員数を偽って顧客と契約を締結することがないように指導・監督する義務を負っていたにもかかわらず,かかる義務に違反して,男性会員数が300人程度であったにもかかわらず,1000人いるなどと説明して勧誘するように指導していた。
ウ したがって,被告らは,原告に対し,上記アの不法行為につき,民法719条,709条に基づき,あるいは,上記イの違法な指導を行ったことについて,会社法429条,430条に基づき,連帯して損害賠償責任を負う。
(被告らの主張)
ア ジャパンは,日本ブライダル連盟等の相互扶助組織に加盟していたのであるから,それらの会員数を合計すると,会員数は9万人を超えているほか,ジャパンの会員期間を経過しても紹介業務が継続されるのであって,男性会員数は優に1000人を超えていた。それにもかかわらず,東京都は,調査を怠ったまま,男性会員数が300人ないし400人程度であると誤った判断をして業務停止命令を発したのであり,同命令は違法なものである。
イ そもそも,結婚紹介にあたっては,多くの会員を紹介しても結婚に至らない場合があったり,逆に初めて紹介された会員と結婚することもあるのであるから,会員総数は顧客の判断に影響を及ぼす重要な事項ではなく,期間内に一定数の相手を紹介できる可能性があったかどうか,紹介される相手方とのマッチング,本人が内面や外面のアドバイスを受けて魅力を向上させることができるかどうか等こそが重要なことである。
(2)  本件第1契約についての損害額
(原告の主張)
原告は,被告らの不法行為又は違法な指導により,ジャパンに支払った入会金相当額121万7500円のほか,多くの会員の中から選ばれた男性の紹介を受けるものと思っていたのに,それが虚偽であったことから,深く傷つけられ,大きな精神的苦痛を受け,慰謝料30万円の損害を被った。
(被告らの主張)
否認する。原告は本件第1契約どおり男性会員2名の紹介を受けており,役務の提供を受けていたので損害はない。
(3)  被告Y2は,原告に対し,本件第2契約締結に当たり,不法行為を行ったか。
(原告の主張)
ジャパンが平成20年2月,東京都から,勧誘の際虚偽の男性会員数を告げていたことを理由に業務停止命令を受け,6か月の間,契約締結の勧誘をする行為,契約の申込みを受ける行為,契約を締結する行為をすることができなくなったため,アピスは,ジャパンの営業を引き継ぎ,入会の勧誘を始めたが,アピスは,ジャパンの営業をそのまま引き継いだのであり,実際には会員の紹介や契約書に掲げられたサービスなど提供できなかった。それにもかかわらず,被告Y2は,原告に対し,これらのサービスを受けられ,また結婚相手も何人も紹介できるなどと虚偽の事実を告げるとともに,ジャパンが上記の理由により営業停止命令を受けたとの不利益事実を故意に秘匿するなどの違法な勧誘行為を行い,原告をして,被告アピスと本件第2契約を締結させ408万5000円もの高額な入会金を交付させた。
原告は,ジャパンが上記の理由により業務停止命令を受け,アピスがジャパンの業務を引き継いだことを知っていたのであれば,上記高額な入会金を支払って本件第2契約を締結することはなかった。
実際に,原告は,アピスから本件第2契約に基づく男性の紹介を受けていないほか,他のサービスの提供をほとんど受けておらず,そのサービス内容も高額な支払額に比べ,実費は安価なものであった。
被告Y2は,原告に対し,上記のとおりアピスが結婚紹介をすることが困難であったにもかかわらず,これを秘匿し,本件第2契約を締結させたのであるから,民法709条に基づき,損害賠償責任を負う。
(被告Y2の主張)
ア ジャパンと同様に,アピスにおける結婚紹介においても,会員総数は重要な要素ではなく,この点は前記のとおりである。特にアピスでは,付加価値として会員紹介以外のサービスを重視しており,原告に対しても十分に説明していた。
イ 会員数についても,本件第2契約では,アピスの会員以外からも広く相手候補を探すことを想定していたのであって,アピスでは,そもそも会員数という概念がない。
ウ アピスは,本件第2契約に基づき,原告の写真撮影などを行っており,役務の提供を行った。
エ 原告は,本件第2契約締結時,ジャパンが行政処分を受けた事実を熟知し,これを承知して同契約を締結した。
オ 特商法及びこれに規定された業務停止命令は,被告Y2の営利的表現の自由,営業の自由,顧客の幸福追求権等を侵害し,また,明確性の原則(憲法31条),平等原則(憲法14条)等に違反するものであるから違憲である。また,上記規定に基づく行政処分は,さらに誤った事実認定に基づきなされたものであり,手続上も処分の理由等を名宛人に示さない等の違法があるほか,比例原則あるいは平等原則にも違反するから,違憲,違法な処分である。
カ 仮に,アピスが原告に対し,本件第2契約に基づくサービスを十分に提供できなかったとしても,被告Y2は,アピスが結婚紹介等のサービスを提供できないことを予測することができなかった。
(4)  本件第2契約についての損害額
(原告の主張)
原告は,被告Y2の上記行為により,アピスに支払った入会金408万5000円相当額のほか,慰謝料30万円の損害を被った。
(被告Y2の主張)
否認する。原告は本件第2契約どおり役務の提供を受けていたので損害はない。
(5)  過失相殺
(被告らの主張)
仮に,本件第1契約について被告らに不法行為等に基づく損害賠償責任が認められ,また,本件第2契約について被告Y2に不法行為に基づく損害賠償責任が認められるとしても,原告には過失があったのであるから,いずれの損害についても全額の過失相殺が認められるべきである。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件第1契約についての被告らの不法行為の成否ないし職務上の悪意の有無)について
(1)  上記第2の1の争いのない事実等のほか,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 被告Y2は,平成5年に渡米し,平成8年3月ころ,ニューヨークにおいて結婚紹介業を始め,同所にDestina Japan Incという法人を設立した。平成13年11月7日,東京都内に結婚紹介業等を目的とする有限会社ウィズ・ユー・ジャパンを設立して,同社の取締役の地位に就いたが,平成14年10月1日,同社の商号を有限会社デスティナ・ジャパンに変更し,同年12月4日は,同社を株式会社デスティナ・ジャパン(ジャパン)に組織変更した。また,平成17年4月からは,ジャパンの支店として大阪支店を開設した。さらに,ジャパンの関連会社として,上記ニューヨークにあるDestina Japan Inc.,イギリスにあるDestina Japan Ltd.,サンフランシスコ,ロサンゼルスにおける各法人が存在する(以下,これらの支店及び関連会社を併せて「ジャパン関連会社」という。)。被告Y2は,本件第1契約締結当時,ジャパンの取締役を務めていた。(甲2,10,24,33,51,乙1)
イ 被告Y1は,被告Y2の結婚紹介所の元会員であり,その後,被告Y2と結婚し,同人の結婚紹介業に参加した。被告Y1は,本件第1契約締結当時,ジャパンの代表取締役を務めていた(甲10,33)。
ウ 原告は,平成15年11月ころ,ジャパンのオフィスを訪れ,同社のサービスについて説明を受けたことがあり,それ以降,ジャパンから,定期的に案内等の資料が送付されるようになった。
原告は,平成19年11月ころ,ジャパンのオフィスを訪れ,ジャパンの従業員であるBから,本件第1契約の内容について説明を受け,同月22日,ジャパンに対して契約金121万7500円を支払って本件第1契約を締結し,同社のグローバルVIPトータルプロデュースコースの会員となった。
原告は,同日までに,ジャパンから,同社の紹介記事が掲載されたユナイテッド航空の機内誌(甲51)等の送付を受けて,これに目を通していた。同機内誌の記事では,被告Y1へのインタビュー内容を交えながら,ジャパンのサービス内容が詳細に紹介されているほか,ジャパンは,ニューヨークの他にロサンゼルス,東京,サンフランシスコにも支社を設けるほど急成長を遂げており,会員数が現在3000人を越える規模にまで増えていると紹介されている。また,ジャパンは,同誌を同社のオフィスに置いていたことがあった。
(甲3,50,51,原告本人1ないし3頁,被告Y2本人20頁)
エ 本件第1契約の契約書には,次の記載がある(甲3)。
(ア) 原告の入会コースとしてグローバルVIPトータルプロデュースコース,入会日として2007年11月22日,会員期限として2008年11月21日との記載がある。
(イ) ジャパンが提供する役務の内容は次のとおりである。
① 結婚又は交際を希望する者に対する紹介候補者の探索のための準備。
② データベースに基づく結婚又は交際を希望する者に対する紹介候補者の探索。なお,ジャパンの関連会社である米国ニューヨーク州立法人Destina Japan Inc.と英国法人Destina Japan Ltd.に対する,各社が保有するデータベースからの検索に関する各種連絡作業(実際の検索作業は,各社が現地において行い,ジャパンはその連絡作業をするということ)及び検索結果の報告を含むこと,ジャパンがさらに別の外国法人と連携した場合には,当該外国法人が保有するデーターベースの検索に関する各種連絡作業,及びその結果の報告も行う。
③ 会員同士の主な条件が合致した場合における結婚,成婚又は交際を目的とした異性会員の紹介及びミーティングセットアップ。ここにいう紹介とは,ジャパンから会員に対して,事前に会員からメール又は電話あるいは直接,会員双方の条件が合致する可能性のある異性のプロフィール等の連絡をすることをいい,ミーティングに至らない場合においても,ジャパンからの上記連絡をもって紹介予定人数のうち1人を紹介したものとする。ミーティングセットアップとは,上記紹介に基づき,両者が面会することに合意した場合,会員同士が面会するための日時や場所の設定をすることをいい,一旦ミーティングセットアップの連絡が事前に会員のメール又は電話あるいは直接,ジャパンから,会員に行われた時点で,1人のミーティングの調整を完了したものとする。紹介時期及び紹介者はジャパンが会員同士の条件,人柄等を総合考慮して決定する。
④ 海外渡航による紹介の場合には海外渡航に関するアドバイス。ジャパンは,紹介等に関する会員への連絡や相談,アドバイス,サポートなどは,面接,Eメール,ファックス,電話などにて役務を提供する。海外法人のデータベースの検索は,当該海外法人への電話やEメールなどによる依頼によって行う。
(ウ) 紹介予定人数は10人,ミーティングセットアップ予定人数3人と記載がある一方で,会員が異性に希望する主な条件に合致する異性を探索できない場合には,役務提供期間内に異性を紹介できない場合もあることなどの記載がある。
(エ) グローバルVIPトータルプロデュースコースの料金は,入会金3万円,海外関連会社への支払代行分66万円,マッチメーキング,各種コーディネート,アドバイス,相手の検索等のコース料金66万円の合計141万7500円(税込み)である。
(オ) 役務提供前に中途解約した場合には,料金のうち,契約の締結及び履行のために通常要する法定費用である入会金を除く金額を返還し,役務提供後に中途解約した場合には,〔会員が入金した額-入会金-海外法人への支払代行分-{(コース料金×紹介実績÷紹介予定人数)と(コース料金×セットアップ実績÷セットアップ予定人数)のうち少ない方と,(コース料金×会員在籍期間÷役務提供期間)を比較した場合高額な方}-契約解除により通常生ずる額〕を返還する。
オ 東京都は,平成19年11月20日午前11時ころから午後5時15分ころまでの間,特商法に基づき,ジャパンの本店に立入調査をした。この立入調査の経過及び結果は,次のとおりであった。(甲34)
(ア) 被告Y1は,東京都からの会員名簿の提出の求めに応じて,同社のパソコンを操作して登録会員のデータ(以下「デヂエデータ」という。)をエクセルデータとして抽出した上,これを東京都職員に提出した。東京都は,このエクセルデータに基づき,東京都職員の陳述書(甲32)に記載された分析,解析方法により,ジャパン,ニューヨーク,ロンドン,ロサンジェルス,サンフランシスコ,大阪等の各オフィスの男性現役会員数について,平成18年9月時点で378人,平成19年4月時点で309人,同年7月時点で282人,同年11月時点で247人であると算出した。(甲13,21,31,32,34)
(イ) 東京都職員が被告ら及びジャパンの従業員から事情聴取を行ったところ,被告Y1は,アクティブな会員は2500人程度だと思うなどと回答し,被告Y2は,会員数は2500人程度,男女比は1:1.5ないし2である,それには外国在住の男性会員も含む人数であるなどと説明をした。また,ジャパンの従業員でカウンセラーを担当しているC(以下「C」という。)は,会員数や成婚率について,ほとんどの人が尋ねる,会員数については,グローバルで2500人,そのうち男性が1000人と答えているなどと回答した。(甲34,35)
カ その後,ジャパンは,東京都知事宛ての平成19年12月5日付け報告書を提出した。同報告書には,同月1日時点の会員の状況として,国内外の会員登録数が1927人であり,うち男性が511人である旨,ジャパンのオリジナルメンバー以外に日本ブライダル連盟等のメンバーだけで約8万人以上の登録者がいる旨の記載がある。(甲37)
そして,ジャパンは,東京都知事から,平成20年2月6日付けで行政手続法に基づく弁明の機会が付与されたところ,同月14日付け弁明書(甲26)を提出した。同弁明書には,平成18年9月から平成19年10月までの会員には,デヂエデータには入力されていない海外の会員もおり,また,ジャパンが有していない海外会員の資料が存在するという弁明内容が記載されていた。(甲24,25,26)。
キ 東京都は,平成20年2月19日,ジャパンに対し,上記オ(ア)の男性現役会員数に基づいて,ジャパンが,平成18年9月から平成19年10月までの男性会員数は300人ないし400人程度であったにもかかわらず,顧客を勧誘する際,「各拠点(5か所:東京,ニューヨーク,サンフランシスコ,ロサンゼルス,ロンドン)200人ずつぐらい男性が登録されている。」,「国内外の会員数が2500人,そのうち男性が1000人,女性が1500人」などと,あたかも男性会員数が1000人いるように告げていたと認定し,特商法44条1項違反(不実の告知)を理由の一つとして業務停止命令を発令した。(甲5,6)
ク ジャパンは,新規採用者の研修用教材を作成しており,同教材には,同社のアウトラインとして,会員数が2500人(グローバル合計,男性40:女性60(国内のみの集計だと男性20弱:女性80強)との記載がある(甲36)。
ケ ジャパンは,従業員の接客研修用に「千本ノック」と題する質問応答方式の研修資料を作成しており,同資料には,会員数についての質問に対する回答要領として,「アクティブな方が2600~2700名程度です。」,「男女比は1:2~1:3程度になります。」との記載がある。
コ ジャパンは,従業員の接客研修用に「千本ノック」と題する録音データ(以下「千本ノック」という。)を作成しており,被告らも,この録音に加わっていた(甲38ないし42,被告Y2本人20,21頁)。
(ア) 平成18年8月23日付け千本ノック(甲38)においては,被告Y1は,「アクティブの,アクティブな方でと言ってもらおう。アクティブな方で,ま,2,500から二千七,八百の間ぐらいという感じじゃないかな。で,増えていると思うけどね。ただ,ま,六・四というふうに言っているんだけどね,六・四と言ってもまあいいか。」と発言して,上記のとおり顧客に告知するよう従業員を指導している。
(イ) 平成18年9月11日付け千本ノック(甲39)においては,従業員のDはEに対し,「最初に,トータル人数を2,500人って言って,割合とかも全部言っちゃってたんですよ。なので,結局,デヂエで調べると非常に少なくなるじゃないですか。」,「だから,その言った言葉とデヂエは全く違うので,上手に言わなきゃいけないなと。(笑)」と発言し,この発言に対し,Eは,「わかりました。それはまたY1さんに聞きましょう」と発言している。
(ウ) 平成18年9月15日付け千本ノック(甲40)においては,被告Y1は,会員の男女比について,「1対2から1対3くらいで女性のほうが多くなっています。」,「数字を言うんだったら,1対2前後ぐらいでしょうかと言ってもいいかもしれないけどね,数字を言うなら。でも,言わないで,ま,女性のほうがちょっと多くなっていますという感じで言ってもいいでしょう。なかなか難しいところだよね。あんまり嘘はつきたくないしね。」と発言している。
(エ) 平成18年9月28日付け千本ノック(甲41)においては,従業員が「各拠点で200」と発言したのに対し,被告Y1は,「ああ,各拠点で200人くらい?じゃあ,4拠点で800人とか?ああ,そういうふうに言っているんだ。」と発言し,従業員が「という情報を共有していましたけど。」と発言したのに対し,被告Y1は,「まあ,世界でアクティブな人は2,500人から3,000人の間ぐらいでいいと思うけどね,基本的にはね。男性と女性の比は1対2から1対3ぐらいというのが,それでいいと思うけどね,基本的にはね」と発言している。
また,従業員が「これは言ってはいけないんですか。」,「聞かれた,カウンセリングのときに。」と発言したのに対し,被告Y1は,「人数?いや,人数はだから全体が2,500から二千七,八百で。」と発言し,続けて,被告Y2が「七,八百だよね。二千七,八百が日本の方で。」と発言し,さらに被告Y1が「そうそうそう。で,1対2ぐらいの割合,まあ,でもね,一般的にはね,6・4と言ってたんでしょ?」,「6・4で男性が少ない。6が女性。」,被告Y2が「6が女性で,4が」と発言し,被告Y1が「新規カウンセリングね。でも,ほんとうは1対2とか1対3って言ってもいいと思うけどね。そんなにうそつく必要もないと思うしね。何かね,1対2でいいと思うんだけど。1対2ぐらいで,男性のほう,女性のほうが多くなっていますと。」と発言している。
(オ) 平成18年10月9日付け千本ノック(甲42)においては,被告Y1は,従業員から,「今は,アクティブで動いているの2,500」と聞かれて,「2,500ですね,今のところ。」と答え,さらに,従業員から,「となると,人数はもうそういう単純計算で出しちゃっていいんですか。」と聞かれると,「まあ,それで計算して出せばいいんじゃないかな。大体1対3だよね,大体ね,男性と女性比はね。1対3だから,2,600を4で割ると,650か。」と答えている。また,被告Y1は,従業員から,「あんまり聞かれなくなってきたんですけど,6・4ぐらいで1,500と言ってるんですけど,各拠点。」と言われて,「1,500は何?1,500は女性?」と尋ね,従業員が,「1,500が女性で,1,000が男性で,各拠点と言われたら200弱ぐらいといつも。」と答えると,「男性もアクティブじゃなくても,過去の人もいざとなったら声かけてね,結構来てもらったりね,そういうこと,結構ほかの拠点とかもやってるみたいだからね。切れてても,会員が切れててもね。いいんじゃないのかな,そのくらいであれば,誤差の範囲であれば。そんな大きな間違い・・・・・・・。」と発言している。
サ 雑誌「フォーブス」の平成19年12月号には,ジャパンの紹介記事が掲載されており,同記事では,同社の男性登録会員数が約1000人,女性の同会員数が1500人であると紹介されている(甲33)。
シ 原告は,本件第1契約締結後,ジャパンから二人の外国人男性を紹介された。
はじめは,英国人男性を紹介され,渡英して,平成20年1月3日,ロンドンで同男性と一緒に食事したが,会話も盛り上がらないと感じ,帰国後,二人の関係は特に進展しなかった。
次に,再び英国人男性を紹介され,渡英して,同年3月26日,ロンドンで同男性と一緒に食事したが,帰国後,二人の関係は特に進展しなかった。原告は,帰国後まもなく,たまたまジャパンのホームページを見たところ,同男性が婚約した記事が掲載されていた。
原告は,これらの男性と面談するにあたり,男性の仕事,年収,身分等を知らされなかったし,自分の情報も詳しく伝えていなかったため,どうしてマッチングできるのかがわからず,帰国後ジャパンに要望を述べたことがあった。(甲50)
(2)ア  本件第1契約締結時点における実際のジャパン及びジャパンの関連会社の男性会員数について
証拠(甲24,51)及び弁論の全趣旨によれば,上記(1)オ(ア)記載の東京都により算出されたデヂエデータに保存されていた男性現役会員は,ジャパンに登録していた会員のほか,ジャパン関連会社に登録していた会員であることが認められ,同記載のとおり,その人数は,平成18年9月時点で378人,平成19年4月時点で309人,同年7月時点で282人,同年11月時点で247人であることが認められる。そして,上記(1)で認定したとおり,千本ノックにおいても,会員数を質問した顧客への回答要領について,被告らが従業員に対して,確たる根拠も示さないままに被告らのいう会員数を答えるよう指導していたこと,従業員自身も,デヂエデータに記録された会員数と顧客に述べていた会員数が大きく異なっていることを認識していたことに加え,被告らは,東京都に対する弁明時はもとより,本訴が提起されて現在に至るまで,デヂエデータを超える会員数が存在することを裏付ける客観的資料を提出しないことなどにかんがみると,本件第1契約時のジャパン及びジャパンの関連会社の男性現役会員数は,250人前後であったと認められるのであり,この認定を覆すに足りる的確な証拠はない。
これに対して,被告らは,ジャパンは日本ブライダル連盟等の相互扶助組織に加盟していたのであるから,それらの会員数を合計すると,会員数は9万人を超えており,また,デヂエデータには全ての顧客情報の入力はなされていなかったと主張供述(乙1,被告Y2本人21頁)をする。しかし,本件第1契約に基づく紹介候補者の検索の役務に,被告らが主張供述する相互扶助組織の会員が対象とされていないことは,下記ウに記載するとおり,ジャパンがその総会員数は3000人である旨を述べて勧誘を行なっていたことや当該契約の内容自体から明らかであって,本件第1契約に基づいて紹介を行なうべき会員はジャパン及びジャパン関連会社に入会している現役の会員を指しているものというべきである。そして,現在に至るまで,しかも東京都から弁明の機会を与えられ,業務停止命令まで受けているにもかかわらず,被告らから,デヂエデータのほかに,ジャパン及びジャパン関連会社の会員数を裏付ける客観的証拠が提出されていないこと,及び,上記(1)で認定したとおり,被告ら自身も,千本ノックと称する従業員への指導において,従業員からデヂエデータによれば会員数が少ない旨の指摘を受けながら,会員数について明確に説明せず,かえって顧客にはあえて曖昧に説明することを教示していることに照らせば,ジャパンには,デヂエデータに登録された会員の他にも会員がいたと認めることはできない。したがって,被告らの上記主張は採用できない。
イ  会員数は契約の重要な要素といえるか否かについて
結婚紹介サービスにおいては,顧客とすれば,会員数が多ければ多いほど,自らの希望条件に沿う異性の紹介を受ける機会が増大するものと考えるのはもっともなことであり,現に,千本ノックにおいても,被告らが従業員らに対し,会員数についての顧客への回答要領を入念に指導していること,東京都の立入検査時の事情聴取においても,ジャパンの従業員であるCは,会員数や成婚率についてほとんどの人が尋ねてくるなどと回答していることに照らすと,ジャパンへの入会を考える者にとっても,また,会員を募集するジャパンにとっても,会員数について関心が高いことは明らかであり,本件第1契約締結時においても,原告にとって,ジャパンの会員数,男性現役会員数が入会契約の重要な要素であったと認めることができる。
被告らは,結婚紹介サービスにおいて,会員総数は重要な要素ではなく,期間内に一定数の相手を紹介できる可能性があったかどうか,会員同士のマッチング,内面や外面のアドバイスをして魅力を向上することができるかどうかが重要であると主張するが,なるほど結婚紹介サービスにあたっては性格,相性,面談技術等の様々な条件を考慮することも必要であろうが,顧客としては,紹介業者を選択するにあたり,まずもって会員数及びその年齢,学歴,収入などの加入層を重んじることは明らかであるというべきであり,被告らが主張する要素についての考慮を否定しないが,上記認定のとおり,会員数は重要な要素であったと認められる。
ウ  被告らの行為について
上記(1)で認定したとおり,被告Y1や被告Y2は,新人研修において,事実に反していると認識しながら,顧客を勧誘する際には,東京,ニューヨーク,サンフランシスコ,ロサンゼルス,ロンドンの各拠点の会員を合計した総会員数が3000人,男性会員が1000人いる旨を説明するように指導を行い,また,被告Y1は,雑誌等の取材に対しても,同旨を述べていたことによれば,ジャパンは,組織的に,顧客を勧誘する際に,虚偽の会員数を告げていたものということができる。かかるジャパンの行為の一環として,ジャパンは,上記(1)で認定したとおり,原告に対し,本件第1契約締結時までに,ジャパン及びジャパン関連会社の男性会員数が1000人いる旨が記載された機内誌(甲51)等を送付し,原告は,同記載を読んだこと等によって,本件第1契約締結時までに,本件第1契約においてジャパン及びジャパン関連会社の男性会員の数を1000人であると認識するに至ったことが認められる。
エ  結論
以上によれば,ジャパンは,原告に対し,結婚紹介サービスにとって会員数が重要な要素であり,顧客がこれによって入会するか否かを判断することになるにもかかわらず,総会員数が3000人を超えている旨記載された資料を原告に読ませるという方法等により,男性会員数が250人程度であることを知りながら,1000人程度はいる旨の事実と異なる説明をして勧誘し,本件第1契約を締結させたと認められ,これらの行為は不実告知として特商法に違反するものであって,かかる行為は民事上も違法なものであって民法709条の不法行為を構成するというべきであるとともに,被告らは,代表取締役及び取締役であって,上記認定のとおり,虚偽の会員数を告げて顧客を勧誘するように従業員を指導したり,被告Y1は雑誌の取材に対して虚偽の会員数を告げていたことによれば,被告らが,上記の違法な行為を行っていた,あるいは,職務を行うについて悪意があったものということができるから,被告らの行為についても民法709条の不法行為あるいは会社法429条の責任が成立するというべきである。
2  争点(2)(本件第1契約についての損害額)について
上記認定事実によれば,原告はジャパンに対し,被告らの不実の告知によって本件第1契約を締結し,入会金121万7500円を支払ったのであるから,原告は,被告らの上記不法行為により,同額の損害を被ったものと認められる。
また,原告は,被告らの勧誘が実際にそのとおりであると信じて本件第1契約を締結したのであるが,男性会員数が説明より少なく,原告に対する紹介相手を検索する母数が少なかったことから,原告にしてみれば,同契約に基づく紹介を想定していたにもかかわらず,実際にはその条件が満たされないまま紹介サービスが行われていたといえるのであり,被告らの勧誘を信じて紹介を受けていた原告には大きな精神的苦痛が生じたというべきであり,これを経済的な損害に対する填補でまかなうことは相当でなく,その慰謝料を認めることが相当である。その慰謝料は,30万円が相当である。
これに対し,被告らは,原告が本件第1契約に基づく役務の提供を受けたのであるから損害は生じていないと主張する。この主張が損益相殺を主張するものと善解したとしても,被告らの不法行為の態様等にかんがみると,被告らの提供した役務は,損益相殺の対象となるべき正当な利得ということはできないのであって,原告がジャパンから提供を受けた役務を金銭的に評価して,これを,損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者である原告の損害額から控除することが損害の公平な分担を図る損益相殺の趣旨に合致するとは到底認められないから,被告らの主張は採用することができない。
以上によれば,被告らは,原告に対し,民法719条,709条あるいは会社法429条,430条に基づく損害賠償として,連帯して151万7500円の支払義務を負う。
3  争点(3)(本件第2契約についての被告Y2の不法行為の成否)について
(1)  前記第2の1の争いのない事実等のほか,後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア ジャパンは,本件業務停止命令を受けた後,平成20年2月27日ころまでに,アピスに対し,ジャパンの事業を売却金1円で譲渡した。その際,被告Y2は,アピスの取締役となることが合意された。
アピスは,それ以前には,結婚相手紹介サービス業を行ったことはなく,ジャパンの全ての会員をアピスが引き継ぎ,アピスがその後,新たな入会契約を締結することになったが,アピスとの契約によって会員となった者は1か月10人以下であった。アピスのオフィスも,ジャパンのそれを引き継いでいた。
(甲2,被告Y2本人6~10,15,23頁)。
イ 被告Y2は,平成20年2月27日,アピスの取締役に就任した。被告Y2は,平成20年4月ころ,対外的に,アピスにおける「取締役社長COO」と自称していた。また,実務的な責任者であった。(甲2,53の1ないし53の4,被告Y2本人6頁)
ウ 被告Y2及び当時アピスの取締役であったF(以下「F」という。)は,平成20年4月中旬ころ,原告と飲食店で会食し,アピスの結婚紹介サービスについて説明を行った。その際,被告Y2及びFは,原告に対し,契約会社の変更について,ジャパンがM&Aによってアピスとなり,従前よりも新規会員が増え,紹介しやすくなった旨を説明した(甲2,50,原告本人5,9頁)。
エ また,アピスは,原告に対し平成20年4月28日までの間に,ウルトラVIPコースという名称のコースの概要が記載された書面(甲7)を渡した。
同書面には,ウルトラVIPコースは,結婚相手を,アピスのメンバー以外の一般の富裕層から,日本のみならず海外からも,独自のネットワークの中から探して紹介すること,及び,「パーソナルプロデュース」という名称の,原告の内面・外面等の生活全体を総合的にサポートするなどして魅力を引き出すことを内容とするものであることが記載され,また,トータルプロデュースの内容としては,EQ診断,EQ専門コーチによるコーチング,コミュニケーション術やマナーの実践レッスン等であることが記載されていた。また,ウルトラVIPコースの料金については,権利金として事前に500万円支払い,退会する場合には,かかる権利金から,婚約または成婚した場合にはその成功報酬として250万円,及び,パーソナルプロデュース料として約100万円が控除された残金が返金される仕組みとなっている旨が記載されていた。(甲7)
オ その後,原告は,平成20年4月28日までの間に,ジャパンと本件第1契約を締結するまでに訪れたオフィスを再度訪れ,被告Y2から,本件第2契約についての勧誘を受け,本件第2契約(ウルトラVIPコース)を締結した(甲50,原告本人5,6頁)。
カ 本件第2契約の契約書(甲8)には,提供される役務の内容として,本件第1契約の契約書(甲3)と同一の記載(上記1(1)エ(イ))があり,また,結婚相手を検索,紹介し,面談を設定する(ミーティングセットアップ)役務は無料で行われ,紹介相手と婚約等をした場合には成功報酬として250万円の料金がかかること,及び,「パーソナルブランディング」という名称の役務は,エステティックサービス,EQ診断,マナー習得等の各種サービスからなっており,会員が,それらの中から選択してサービスの提供を受け,各サービスに応じた料金がかかる仕組みとなっていることが記載されていた。また,役務の提供期間は,契約締結日から1年間とされ,その期間経過後は,あらかじめ会員がアピスに対し振り込んでいた金員から,提供された役務の料金を控除した残金が返金されることが記載されていた。(甲8)
キ 原告は,平成20年4月28日,アピスの指定した銀行口座に対し,408万5000円を振り込んだ(甲9)。これは,前記のとおり成功報酬まで含むものであった。
ク アピスは,平成21年4月28日までの役務提供期間において,原告に対し,EQ診断,カラーコーディネート,写真撮影等の役務の提供をした。また平成20年8月ころから,被告Y2から紹介者がいると伝えられたが,写真とプロフィールが教えられず,面談をするに至らず,結局,男性を紹介されることがなかった(乙2)。
ケ アピスは,平成20年8月ころまでの間に,被告Y2を解任する旨伝え,被告Y2はアピスを辞めた(甲50,乙2の1,被告Y2本人4頁)。
(2)ア  上記1(1)及び上記(1)に記載のとおり,平成19年11月時点でのジャパン及びジャパン関連会社の男性会員数は250人程度であったこと,及び,ジャパンは平成20年2月ころ,東京都から不実告知を理由に6か月の業務停止命令を受けていたことに加え,アピスとの新規契約者は1か月10人以下であったことによれば,アピスは,平成19年11月時点から約4か月しか経過していない平成20年3月ころに,ジャパンがそれまでに有していた会員を引き継いだとしても,本件第2契約が締結された同年4月28日時点でのアピスの男性会員数は250人を大きく超えることはなく,アピスは男性会員数1000人の中から異性を紹介することができる状態にはなかったことが認められる。
なお,上記(1)に記載のとおり,契約締結に先立って交付された説明書(甲7)には,会員以外の者からも紹介する旨が記載されていたが,アピスが,当時,かかる会員以外の者の名簿を有していたことやそれらの者のデータベースへアクセスすることができたことについて何ら立証がなされていないところ,かかる会員が存在したと認めることはできない。
イ  上記アで認定したとおり,アピスは本件第2契約締結時,実際には男性会員数が250人前後を超えて存在することはなかったにもかかわらず,上記(1)の認定のとおり,被告Y2及びFは,平成20年4月中旬ころ,原告と飲食店で会食し,原告に対し,M&Aによってジャパンの業務をアピスが行うことになり,従前よりも会員が増えて相手を紹介しやすくなった旨を説明したこと,その後,被告Y2が勧誘及び担当することにより,本件第2契約が締結されたことが認められる。
被告Y2のかかる説明によって,原告は,本件第2契約締結当時,アピスの会員数について,第1契約締結を締結した際に認識したジャパンにおける3000人,男性会員数1000人の会員が,アピスにも引き継がれたと認識し,さらにはM&Aによって会員数がそれ以上に増加し,十分な紹介を受けられるという認識を有するに至ったと認められる。そして,原告が実際には,アピスの男性会員人数が250人を大きく超えることはなかったことを知っていれば当然高額な入会金を支払って新たにアピスと会員契約を締結することがなかったにもかかわらず,被告Y2はアピスの人数が従前よりも増加し,それらの会員の中から結婚紹介を受けられる旨の説明と勧誘をして原告に本件第2契約を締結させたというのであるから,原告に虚偽の事実を述べて同契約を締結させた行為について民法709条の不法行為が成立すると解することが相当である。
これに対し,被告Y2は,本件第2契約締結するまでの間に,原告はジャパンが本件業務停止命令を受けたこと及びその内容を熟知していたと主張し,これに沿う供述をする。しかし,原告はジャパンが行政処分を受けたことは知っていたが,その詳しい処分内容はわからなかったと述べ,仮に原告がジャパンが男性会員数を偽っていたことによって本件業務停止命令を受けたことを知っていたとすれば,本件第1契約よりも高額な代金を支払って本件第2契約を締結するとは到底考えがたいから,原告の上記供述は十分に信用できるというべきである。そうすると,原告が行政処分の内容を熟知していた旨の被告Y2の供述を採用することはできない。よって,被告Y2の上記主張に理由はない。
また,被告Y2は,本件第2契約は,アピスの会員以外からも広く相手の候補者を捜すことを内容とするものであるから,そもそも会員数という概念はないと主張し,証拠(甲7)が存在する。しかし,原告にとっては,ジャパンと同様に,アピスが実際に紹介することのできる男性会員数が重要な意味を有することは明らかであり,原告が同会員以外の男性の紹介を受けることを前提に上記の成功報酬まで含む高額な入会金を支払う意思を有していたとは到底考えることができない。したがって,被告Y2の上記主張に理由はない。
さらに,被告Y2は,特商法の規定及びこれに基づく本件業務停止命令が違憲,違法なものであり,その手続にも違法があると主張するが,独自の見解であって,これを採用することはできない。
加えて,被告Y2は,アピスが結婚紹介サービスの提供をすることができないことを予想できなかったと主張するが,被告Y2が原告に対し本件第2契約締結時に虚偽の説明をしたことが問われているとともに,同被告は営業譲渡前後を通じて取締役を務めていたにもかかわらず,男性会員数,さらには営業譲渡後の経営体制等について調査を尽くしたかどうかも明らかでないのであって,結婚紹介サービスを提供できないことを予想できなかったとはいえないのであって,責任を免れる理由にはならないというべきである。
ウ  結論
以上によれば,被告Y2には,本件第2契約を締結するに当たって,原告に対し,事実よりも過大な会員があって,それらの会員の中から結婚紹介を受けられるものと認識させる行為を行い,それによって,原告がその旨誤信した結果として,本件第2契約を締結したことが認められるので,被告Y2の不法行為及び下記記載の損害との因果関係を認めることができる。
4  争点(4)(本件第2契約についての損害額)について
本件第2契約に基づく契約代金としてアピスに支払われた408万5000円相当額が損害として認められる。
慰謝料については,前記2において説示したとおりの理由から,30万円と認めるのが相当である。
被告Y2は,原告が本件第2契約に基づく役務の提供を受けたのであるから損害は生じていないと主張するが,この主張が損益相殺を主張するものと善解しても,これを採用することができないことは前記2において説示したとおりである。
5  争点(5)(過失相殺)について
被告らは,過失相殺を主張するが,原告の過失の内容について具体的に主張立証をしないし,本件証拠によっても,他に原告の過失を認めるに足りる証拠はない。なお,損益相殺については前記認定のとおりである。
6  以上によれば,被告らは,原告に対し,本件第1契約に係る民法719条,709条あるいは会社法429条,430条に基づく損害賠償として,連帯して151万7500円及びこれに対する不法行為の日である平成19年11月22日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
また,被告Y2は,原告に対し,本件第2契約に係る民法709条に基づく損害賠償として,438万5000円及びこれに対する不法行為の日である平成20年4月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
そうすると,原告の被告らに対する請求は,全て理由があるから認容し,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 齋藤清文 裁判官 渡邊英夫 裁判官 伊東あさか)

 

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