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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(220)平成23年 9月21日 東京地裁 平21(ワ)46719号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(220)平成23年 9月21日 東京地裁 平21(ワ)46719号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成23年 9月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)46719号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2011WLJPCA09218015

要旨
◆原告会社が、訴外S社に対する貸付金を担保するために、被告会社との間で、又はその代理人若しくは表見代理人である訴外Cとの間で、被告会社が所有する不動産信託契約取引に係る受益権に質権の設定を受ける契約を締結したところ、被告会社が本件受益権に係る受益者である訴外F社の承諾を得ず、本件受益権に信託を設定できなかった結果、損害を被ったなどと主張して、被告会社らに対し、損害賠償の一部を請求した事案において、本件質権設定契約締結について、被告会社による訴外Cに対する代理権授与行為は存在せず、原告側に訴外Cに代理人の権限があると信ずべき正当な理由があったともいえないから、被告会社が原告に対して訴外F社の承諾を得る義務を負うとは認められないなどとし、各請求をいずれも棄却した事例

参照条文
民法110条

裁判年月日  平成23年 9月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)46719号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2011WLJPCA09218015

東京都中央区〈以下省略〉
原告 エヌ・エス・アール株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 染井法雄
東京都町田市〈以下省略〉
被告 合同会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号
同代表者代表社員 一般社団法人リプラス・レジデンシャル
同職務執行者 B
同訴訟代理人弁護士 関高浩
同 中村英幸
同 廣田麻実子
同 森川友尋
同 石田宗弘
鹿児島市〈以下省略〉
被告 Y1
同訴訟代理人弁護士 鈴木五十三
同 山本晋平
同 尾野恭史

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して1億円及び被告合同会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号についてはこれに対する平成22年1月9日から,被告Y1についてはこれに対する同月10日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,株式会社サステイナブル・インベストメンツ(以下「サステイナブル社」という。)に対する2億5000万円の貸金債権を担保するため,被告合同会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号(以下「被告会社」という。)との間で,又はその代理人若しくは表見代理人であるC(以下「C」という。)との間で,被告会社が有する不動産信託契約に係る受益権に質権の設定を受ける旨の質権設定契約を締結したところ,被告会社が上記受益権に係る受託者であるファースト信託株式会社(以下「ファースト信託」という。)の承諾を得ず,上記受益権に信託を設定することができなかった結果,その後倒産したサステイナブル社に対する2億5000万円の貸金を事実上回収することができなくなったなどとして,(1) 被告会社に対し,不法行為又は債務不履行に基づき,2億5000万円の損害の一部である1億円の損害の賠償を求めるとともに,(2) 上記質権設定契約当時被告会社の代表社員である有限責任中間法人リプラス・レジデンシャルの職務執行者であった被告Y1(以下「被告Y1」という。)に対し,ファースト信託から質権設定に係る承諾を取り付ける義務を怠ったなどとして,不法行為又は債務不履行に基づき,上記損害の賠償を求めるとともに,予備的に,実印等の保管・管理を怠ったなどとして,会社法598条2項,597条に基づき,上記損害の賠償を求める事案である。
1  争いのない事実等(弁論の全趣旨に照らして,明らかな事実を含む。)
(1)  当事者等
ア 原告は,化粧品,酵素洗顔料の企画,製造,卸し,販売及び輸出入等を目的とする株式会社(設立平成6年4月,資本金1100万円)である。
イ 被告会社は,不動産信託に関する信託受益権の売買,交換,保有及び管理等を目的とする合同会社(設立平成19年2月,資本金10万円)である。
被告会社が設立された当初,その代表社員は有限責任中間法人リプラス・レジデンシャルであり,その職務執行者はDであったが,その後,平成19年10月12日にEに,平成20年1月25日に被告Y1に,それぞれその職務執行者変更の登記がされた。
ウ 被告Y1は,公認会計士であり,平成20年1月25日,被告会社の代表社員である有限責任中間法人リプラス・レジデンシャルの職務執行者に就任した。
エ(ア) 株式会社リプラス(以下「リプラス社」という。)は,賃貸住宅等の入居者の保証人受託業務等を目的とする株式会社(設立平成14年9月,資本金38億6965万5264円)で,東証マザーズに上場していたものである。
リプラス・アセットマネジメント株式会社(平成19年3月29日付けで商号をリプラス・アドバイザーズ株式会社に変更。以下「アドバイザーズ社」という。)は,リプラス社の連結子会社である。
(イ) サステイナブル社は,投資事業組合財産,投資事業有限責任組合財産,匿名組合財産の運用及び管理等を目的とする株式会社(設立平成18年1月,資本金1000万円)である。
(ウ) リプラス社,アドバイザーズ社及びサステイナブル社は,いずれもCが代表取締役を務めていた。
(エ) リプラス社,サステイナブル社等は,いずれも被告会社とは資本関係を有していない。
(オ) リプラス社は平成20年9月24日に,アドバイザーズ社は同年10月24日に,Cは同日に,サステイナブル社は同年11月21日に,それぞれ破産手続開始決定を受けた(東京地方裁判所同年(フ)第17521号,第19580号,19583号,第21451号)。
(2)  事実経過
ア 被告会社は,平成19年5月30日,リプラス社との間で,リプラス社に対し信託受益権に対する投資を目的とする事業の運営管理に対する代行及び助言業務を委託する旨の「アセット・マネジメント契約」(契約書は丙2。以下「本件アセット・マネジメント契約」という。)を締結した。
イ 別紙「信託不動産一覧表」の「委託者」欄記載の者は,平成19年5月31日から同年9月28日にかけて,同「日付」欄記載の日に,ファースト信託との間で,それぞれ自己を委託者として,その所有する同「不動産の概要」欄記載の建物を,高齢者向け賃貸住宅として管理・運用・処分を行うことを目的として信託し,ファースト信託が受託者としてこれを引き受ける旨及び各委託者を「当初受益者」とする旨の契約(契約書は甲8~13の各1。以下,併せて「本件各信託契約」といい,契約書を「本件各信託契約書」という。)を締結した上,それぞれファースト信託の承諾を受けて被告会社に対し本件各信託契約に係る受益権(以下,併せて「本件各受益権」という。)を譲渡した。
なお,本件各信託契約書には,「受益者は,受託者の事前の承諾を得なければ,受益権を譲渡または質入することができない。(中略)なお,受益者による受益権の譲渡の承諾請求は,別紙8の信託受益権譲渡承諾請求書(中略)の書式またはこれと同等の内容を実質的に有すると受託者が合理的に認める書式にて行われるものとする。」(25条1項)との規定がある。
また,本件各受益権は,大要,信託不動産の賃貸から生ずる賃料や信託財産に属する金銭の運用から生ずる収益から,信託事務処理に必要な費用に係る支出等を費用として控除して純収益又は純損失を計算し,そこから一定の元本組入れ額を控除した額を配当金として交付を受けることができるというものである。
ウ 原告の代表取締役であるA(以下「A」という。)は,平成19年10月ころ,リプラス社の代表取締役であったCと知り合った。当時,リプラス社は,東証マザーズに上場しており,Aは,Cがリプラス社の代表者で発行済株式の40%を保有している旨の紹介を受けた。
エ 原告は,平成19年11月2日,サステイナブル社に対し,利息年5%,弁済期同年12月1日,元利一括弁済との約定で2億5000万円を貸し付けた(契約書は甲1。以下,この貸付けに係る債務を「本件貸金債務」という。)。Cは,同日,本件貸金債務について書面により連帯保証をするとともに,その保有するリプラス社の普通株式4000株(以下「本件リプラス株」という。)を譲渡担保に供した(甲1)。
オ サステイナブル社及びCは,弁済期である平成19年12月1日が経過しても本件貸金債務の弁済をしなかった。
カ Aは,平成20年2月10日ころ,Cから,原告に差し入れた本件リプラス株を返還してほしいと求められるとともに,遅くとも2週間後には時価換算で6億円相当分のリプラス社の株券を交付すると伝えられたため,そのころ,本件リプラス株をCに返還した。
キ Aは,平成20年4月ころ,投資事業の相談相手であるクレッシェンド・ベンチャーキャピタル株式会社の代表取締役であるF(以下「F」という。)に依頼して,Cに対し,早急に本件リプラス株を返還するよう,また,返還できないのであれば,本件リプラス株に代わる物的担保を差し入れるよう請求した。
しかし,原告は,その後,Cから本件リプラス株の返還を受けることはなく,新たにリプラス社の株券の交付を受けることもなかった。
ク アドバイザーズ社は,平成20年6月17日ころ,本件アセット・マネジメント契約に係る業務の受託者としての地位をリプラス社から承継した。
ケ Cは,平成20年8月上旬ころ,Aに対し,本件貸金債務の担保として,被告会社の有する本件各受益権に質権を設定する旨の申出をした。
そして,Cは,同月19日,原告に対し,①被告会社が,原告に対し,本件貸金債務の担保として本件各受益権に第1順位の質権を設定する旨(2条1項),②サステイナブル社が,本契約締結後直ちに,本契約に基づく質権の設定について民法364条に従い第三者対抗要件及び債務者対抗要件を具備するべく,受託者に対し,確定日付ある証書により質権設定通知を行うとともに,受託者の承諾を得る旨(3条2項)が記載され,サステイナブル社及び被告会社の各代表者(ただし,被告会社の代表者につき「代表社員」を「有限責任中間法人リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号」と誤って記載されている。)の記名押印がされた「信託受益権質権設定契約書」3通(甲4の1~3。以下,併せて「本件質権設定契約書」という。)を交付した(ただし,原告が押印したものをCは受け取っていない。)。
また,Cは,同日,原告に対し,「本日,私の責任と判断に依りまして,私が権利を有する合同会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号名義の物件に貴社の質権を設定させて頂きました。本件債務に対する担保としてご提供させて頂きたくお願い申し上げます。」と記載した確認書(甲6)を差し入れた。
Fは,AがCから本件各受益権に係る説明を受ける場に同席していた。
コ 被告会社は,その後,本件各受益権の譲渡に係るファースト信託の承諾を得なかった。
2  争点及び当事者の主張
(1)  有権代理等(争点1)
(原告の主張)
ア(ア) 被告会社は,平成20年8月19日,原告との間で,本件貸金債務の担保として本件各受益権に質権を設定する旨の質権設定契約(以下「本件質権設定契約」という。)を締結した。
本件各受益権に質権を設定するには受託者であるファースト信託の承諾(以下「本件承諾」という。)が必要であるところ,Cは,C及び被告会社が責任をもって本件承諾を徴求する旨を確約した。
(イ) 本件質権設定契約は,被告Y1が,自ら記名押印したか,Cによる記名押印を了解したものである。
(ウ) 被告会社は,事実上の特定目的会社(SPC)であることから,その運営管理は全面的にリプラス社又はアドバイザーズ社に委ねられていた。そして,本件質権設定契約が締結された当時,リプラス社及びアドバイザーズ社(以下,併せて「リプラス社ら」という。)の代表取締役はいずれもCであった。したがって,本件質権設定契約時におけるCの行為は,被告会社のアセット・マネージャーとしてのリプラス社らの代表者としてのものであった。
イ それにもかかわらず,ファースト信託から本件承諾が得られず,結局,質権の設定について対抗力が発生しないこととなった。その後,リプラス社,C及びサステイナブル社がいずれも破産手続開始決定を受けたことから,原告は,2億5000万円の本件貸金債務の弁済を受けることができなくなるという損害を被った。
ウ(ア) 仮に,C及び被告会社において本件承諾を受けていたならば,原告は本件貸金債務の弁済を受けることは十分に可能であった。
ところが,被告会社は,速やかに受託者から本件承諾を得ようともせず,その結果今日まで本件承諾を徴求できない仕儀となっている。
(イ) 被告Y1は,本件質権設定契約当時,被告会社の代表社員である有限責任中間法人リプラス・レジデンシャルの職務執行者であり,速やかにファースト信託から本件承諾を取り付ける義務があり,又は本件承諾の取付けが不可能若しくは困難であることを告知すべき義務があるにもかかわらず,これらを怠った。
エ したがって,原告は,被告らに対し,不法行為又は債務不履行に基づき,連帯して2億5000万円の損害賠償請求権を有する(本件においてはその一部である1億円を請求する。)。
(被告会社の主張)
否認ないし争う。
ア 被告Y1は,本件質権設定契約書に押印しておらず,押印を了解したこともない。
イ Cは,サステイナブル社の代表者(つまりC個人)として本件質権設定契約を締結したものであり,リプラス社らの代表者として締結したものではない。被告会社は,Cに対して本件質権設定契約の締結その他被告会社の財産を処分する代理権限を付与したことなどない。
ウ 仮に,Cによる本件質権設定契約の締結が,リプラス社らの代表としてされたものであったとしても,被告会社は,リプラス社らに対して本件質権設定契約の締結その他被告会社の財産を処分する代理権限を付与していない。
エ したがって,本件質権設定契約の締結は,C又はリプラス社らの無権代理行為であって,その効果は被告会社に帰属しない。
(被告Y1の主張)
否認ないし争う。
ファースト信託から本件承諾を取得する義務は,サステイナブル社の義務であって(本件質権設定契約書3条2項),被告会社の義務ではないから,仮に本件質権設定契約が有効であったとしても,原告の主張には理由がない。
(2)  代理権の濫用(争点2)
(被告会社の主張)
仮に,C又はリプラス社らに,本件質権設定契約を締結する代理権が認められたとしても,本件質権設定契約の締結は,これを濫用してC又はリプラス社らの利益を図るためにされたものであり,原告はそれを知っていたか又は容易に知ることができたものであるから,本件質権設定契約はその効力を生じない。
(原告の主張)
争う。
(3)  表見代理(争点3)
(原告の主張)
本件質権設定契約の締結が被告Y1の行為(直接的行為)ではなく,かつ被告Y1が本件質権設定契約の締結を了承していなかったとしても,次のとおり民法110条による表見代理が成立する。
ア 被告会社は,本件アセット・マネジメント契約においてリプラス社らに代理権を与えており,これが基本代理権となる。
イ(ア) 本件質権設定契約書に押印されている印影は被告会社の職務執行者の印鑑によるものである。
(イ) Cは,本件質権設定契約を締結するに当たり,信託受益化されている不動産の概要書,不動産登記簿謄本,本件各信託契約書の写しなどをAらに提示している。
(ウ) 本件質権設定契約当時,リプラス社は東京証券取引所に上場しており,その子会社である運用会社は金融庁から不動産取引に係る一任勘定の免許を取得しているはずであり,職務分掌とその運用規定に関しては,一般の事業会社に比して,厳格に規定され,適用されていると部外者が類推してしかるべき状況であった。
(エ) Cの説明は,「例えば『東大阪さくらんぼ』では,リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス2号特定目的会社がこの土地建物の元々の所有者であるが,建物は有限会社リプラス・レジデンシャル2号という会社が一括賃借して,これを個別のユーザーに賃貸するが,実際の管理はリプラス社が行う。これによる受益権を被告会社に譲渡したのである。受益権者が実質的な所有権を持つのと同じであり,この受益権に質権を設定すれば,不動産に担保権をつけるのと同じである。」というものであった。
Aは,信託のことは分からなかったが,Cから説明を受け,「そんなものか。」と何となく納得した。Aは,紛らわしい名前の会社が出てくるものの,本件各受益権に係る不動産を実際に管理しているのはリプラス社であり,その代表取締役であるCがいうのであるから間違いないと思った。
(オ) したがって,原告の代表取締役であるAには,Cに被告会社を代理して本件質権設定契約を締結する権限があると信ずべき正当な理由がある。
(被告会社の主張)
否認ないし争う。
ア(ア) 被告会社は,C個人に対して代理権はもとより何らの委任,委託しておらず,その他の契約関係も一切存在しないことから,C個人に被告会社の基本代理権となる権限は与えられていなかった。
(イ) 本件アセット・マネジメント契約によりアドバイザーズ社に委託した業務は,いずれも事実行為に関するものであり,何ら法律行為に関する代理権を含むものではないことは明らかである。
イ(ア) 本件質権設定契約は,代理人と称するC及びリプラス社らの利益になり,本人たる被告会社にとって極めて不利な内容であるから,原告は,本件質権設定契約を締結するに当たり,C又はリプラス社らの有効な代理権を疑うことができた。
(イ) 本件質権設定契約は,倒産隔離のために設立されたSPCである被告会社の目的に明らかに反するものであり,このことは外形的に明らかであった。
(ウ) 本件質権設定契約に至る経緯において,原告又はその代表取締役であるAは,頻繁にCに騙されているのであるから,本件質権設定契約についてもC又はリプラス社らの代理権限を疑うことが容易にできたはずである。
(エ) 金融商品取引法において投資運用業の登録を得ずに投資対象である被告会社の財産処分の代理をすることは違法である(同法29条,2条8項12号)。そのため,投資運用業の登録をしていないC又はリプラス社に対して,被告会社が本件質権設定契約締結に関する代理権限を授与するはずがない。
(オ) 上記(ア)~(エ)のとおり,原告は,C又はリプラス社らが被告会社の代理権限を有していないことについて認識,予見することは十分に可能であったにもかかわらず,被告Y1に対する確認をせず,代理権限を証する契約等の確認もしていない。
(被告Y1の主張)
否認ないし争う。
Aは,Cの言葉だけを信じ,被告Y1に会って事実関係を確認することもなく,質権を設定したと信じたにすぎない。
(4)  被告Y1の任務懈怠責任(争点4)
(原告の主張)
仮に本件質権設定契約が無効である場合に備えて,予備的に次のとおり主張する。
ア 被告会社の代表社員である有限責任中間法人リプラス・レジデンシャルの職務執行者である被告Y1は,業務執行社員と同一の責任(会社法598条2項)を負うが,業務執行社員は,その職務執行に当たって悪意又は重大な過失があったときは,これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(同法597条)。
イ(ア) 被告Y1は,被告会社の実印や本件各信託契約に係る書類等を善良なる管理者の注意をもって管理・保管すべき義務があったにもかかわらず,これに違反し,Cが被告会社の実印などをほしいままに使用して,自己又はリプラス社の資金繰りに使用し又はそのおそれがあることを分かっていたにもかかわらず,実印の保管をそのまま放擲してCの支配下に置いていたことから,原告をして無効な本件質権設定契約を締結させた。
(イ) 原告は,被告Y1の義務違反により,上記(1)(原告の主張)イのとおり,2億5000万円の損害を被った。
ウ したがって,原告は,被告Y1に対し,会社法598条2項,597条に基づき,2億5000万円の損害賠償請求権を有する。
(被告Y1の主張)
否認ないし争う。
ア(ア) 被告会社は,アドバイザーズ社との間で,本件アセット・マネジメント契約を締結し,この契約に基づき,アドバイザーズ社に対して実印を預託した。いわゆるストラクチャードファイナンスにおいて,被告会社のようなSPCは単なる器にすぎないため,実印を外部の第三者に管理させることが一般的に行われている。
しかも,この実印は,百数十社に上るリプラス社関連のSPCの印鑑と共に,リプラス社において一元管理されていた。そして,リプラス社は,内部統制組織が機能している会社法上の大会社・上場会社であったため,SPCの実印を利用する際,その利用目的を記載した稟議書を作成し,複数名のチェックを経て,初めて利用することができたのである。
(イ) 被告会社の実印は,被告Y1がその職務執行者に就任した平成20年1月25日よりも半年以上前から預託されていた。そして,被告Y1が役員に就任する以前に,印鑑が冒用された事実はない。
(ウ) 以上の事実を勘案すると,被告Y1が被告会社の実印をアドバイザーズ社に預託した行為について,善管注意義務違反は存在せず,したがって任務懈怠と評価されるべき行為はない。
イ 印鑑預託者の責任が認められる場合があるとしても,保管者による印鑑冒用の具体的な危険性があり,加害行為を予見することが可能な場合に限られるところ,上記アの事情にかんがみれば,被告Y1に故意又は重過失があるものとは認められない。
ウ 仮に被告Y1が実印を自ら保管していたとすれば,本件質権設定契約が締結されることはないのであり,原告はサステイナブル社に対し無担保の貸金債権を有するにすぎなかったのであるから,原告が主張する2億5000万円の回収不能は,被告Y1による印鑑の預託行為との間に,事実上の因果関係すら存在しない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記争いのない事実等に証拠(甲1~15,乙1~5,丙1~15,24~29,32,33。枝番のあるものは枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおりの事実が認められる。
(1)  被告会社の位置づけ
ア(ア) リプラス社は,そのグループ企業と共に,主に賃貸住宅に係る保証・保険サービスの提供業務(レントゴー事業)と,不動産ファンドのアセット・マネジメント事業に携わっていた(以下,リプラス社とグループ企業とを併せて「リプラスグループ」という。)。
(イ) アセット・マネジメント事業では,機関投資家を主たる顧客とし,不動産資産を通じての資金運用・投資収益の確保を支援する事業をしている。自己資本をその主たる資金として不動産の売買を実行するのではなく,機関投資家等の資金運用を支援することにより運用手数料・成功報酬を受け取るビジネスモデルであり,その概要は次のとおりである(不動産流動化取引)。
① リプラスグループが投資スキームを構築し,機関投資家等に提案する。
② リプラスグループや機関投資家等は,SPCとの間で匿名組合契約を締結し又はSPCに出資等を実施することにより,SPCに対して資金を供給し,SPCは,この資金を基にして不動産を購入する。
③ SPCは,リプラスグループとの間でフィーの授受をするとともに,不動産からの運用益を機関投資家等に対して分配する。
イ 一般に,不動産流動化取引においては,対象資産から生み出されるキャッシュフローを元に,機関投資家や金融機関に対して予定した時期に予定した額の元利金の弁済をすることができるよう,取引の関係者から独立した器(SPC)を資産保有主体として設立し,このSPCが倒産手続,特別清算手続,民事再生手続,会社更生手続その他の法的倒産手続に入らないようにすることを企図してストラクチャーが設計される(倒産隔離)。
この倒産隔離の内容として,① SPCの定款上の目的を不動産流動化取引に必要な限度での事業活動に制限すること,② 不動産流動化取引の根幹をなす社債の発行や借入れ以外には,取引の遂行のために必要と認められるものを除き,SPCが債務を負担することを禁止すること,③ 関係者との資本関係を切断すること,などの措置が採られる。これらは,SPCに不動産事業のみを遂行させ,不動産事業以外をすることにより生じ得るリスクを遮断することにより倒産隔離を実現しようという趣旨による。
ウ 被告会社は,上記アの不動産流動化取引においてSPCとして設立された会社である。
被告会社は,平成19年5月30日,親ファンドである有限会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス(以下「親ファンド」という。)との間で,被告会社を営業者として,不動産信託受益権を取得して信託受託者を通じるなどして不動産の管理,運用及び処分をすることを目的とする事業をするために親ファンドが21億3147万円を出資し,その事業から生ずる利益の分配を受けることを約する旨の匿名組合契約を締結し(契約書は丙5),親ファンドから同額の出資を受けた。
なお,親ファンドは,機関投資家等との間で匿名組合契約を締結し,これに基づいて機関投資家等から出資を受けており,これを原資に,被告会社を含むその他の不動産ファンドに対して匿名組合契約に基づく出資をしている。リプラス社の出資割合(当期損益分を除く。)は約10%であり,その他に出資割合が約33%である機関投資家が1つ,約12%である機関投資家が3つ存在する。
エ なお,SPCは,会計税務事務所との間で,SPCが当事者となる各種契約書等の執行(調印)とSPC名義の印鑑の管理,SPC口座の管理,SPCに係わる書類の保管等を委託する旨の事務管理契約を締結することがある(丙29)。
(2)  事実経過
ア 被告会社が平成19年5月30日に締結した本件アセット・マネジメント契約によりリプラス社に委託した業務は,次のとおりである(丙2)。
(ア) 営業者による本事業の運営管理に対する代行及び助言業務(以下「事業運営管理業務」という。):営業者による本事業の運営(本件不動産の選択及び本件信託受益権の取得を含むがこれに限らない。),本件匿名組合契約に基づく本件匿名組合員への報告又は本件匿名組合員からの通知の受領,本件匿名組合契約上本件匿名組合員の同意又は承諾が必要とされる事項に関する当該同意又は承諾の取得,その他営業者による本事業の運営及び管理業務に関する各種代行業務並びに助言業務
(イ) ファイナンスの助言業務:本件信託受益権の取得,本事業の遂行に要する資金調達(本件匿名組合契約上の当初出資,及びその後の追加出資や本件金銭消費貸借契約の締結による借入れ行為を含む。)に関する助言業務
(ウ) リファイナンスの助言業務:本件匿名組合契約に基づく出資の返還又は本件金銭消費貸借契約上の債務の返済のための本件不動産の売却若しくは本件信託受益権の売却,ノン・リコース・ローンの借換え等に関する助言業務
(エ) 売却戦略に関する助言業務:本件不動産又は本件信託受益権の売却並びに本件匿名組合契約上の清算業務又は営業者の解散及び清算に関する助言業務
(オ) 受益者としての指図に係る業務:営業者が本件信託契約上,信託受益者に対して指図等を行うことが予定されている事項にかかる助言業務(本件不動産に関する売却の指図も含むがこれに限らない。),及び本件信託契約において認められる範囲において営業者を代理して当該指図等を行う業務
(カ) マーケット・リサーチ:本件不動産の属するマーケット及びサブマーケット(不動産の売買及び賃貸)における賃料動向,需給動向,新規開発動向及びテナント動向の調査
(キ) 以上の各業務に関する営業者への事務手続などの役務提供,関係者及び関係行政庁との連絡及び交渉,以上の各業務に付随する業務,並びにその他営業者とアセット・マネージャーが別途合意する業務
イ 被告会社は,そのころ,その実印,銀行印及び預金通帳をリプラス社に預けた。なお,リプラス社では,SPCの実印を使用するためには,「SPC押印申請書」(乙4)を経営管理本部に提出し,所属長の決裁を受ける必要があった。
ウ Cは,リプラス社の株式を担保に多額の借入れをしていたが,平成19年以降,サブプライムローンの影響を受けた株式市場の低迷の中で,リプラス社の株式の時価総額が100億円程度まで落ち込んだ。そのため,支払遅延による借入金の期限の利益の喪失(失期)を防ぐため,追加担保が必要となり,追加の借入れや借換えなどを行った。
エ Cは,平成19年10月20日ころ,原告の代表取締役であるAに対し,サステイナブル社はCが全株式を保有し代表取締役を務める会社であり,Cの個人資産の運用会社である旨を説明した。
オ Cは,平成20年8月19日に本件質権設定契約を締結する際,Aに本件各受益権について説明し,本件各受益権に係る「不動産管理処分信託契約書」(甲8~13の各1),信託原簿(甲8~13の各2),関係会社の履歴事項全部証明書(甲14の1~6)の写しを提示した。
なお,Aは,その当時,被告Y1と会ったことがなかった。また,Aは,被告Y1が本件質権設定契約書に押印したところを見たことはなく,被告Y1にC又はリプラス社に代理権を授与したかどうかを確認したこともなく,受託者であるファースト信託にも本件各信託契約上の事前承諾を得たか否かの確認をしたこともなく,被告会社の印鑑証明書を徴求したこともなかった。
また,本件質権設定契約書には,質権設定者である被告会社が,「受託者に対し,確定日付ある証書により質権設定通知を行うとともに,受託者の承諾を得る」旨の規定は記載されていない。
カ 被告Y1は,平成20年9月14日ころ,C及びリプラスグループの関係者に対し,被告会社等の実印,銀行印,通帳をすべて引き渡すよう要請した。
キ Cは,平成20年9月16日,リプラス社又はアドバイザーズ社の従業員G及びHに対し,被告会社等の実印を作成するよう指示をする電子メールを送付した。Gは,同日中に上記実印の作成を赤坂に所在する「はんこ広場」に依頼し,その後Cに対し,「すいません。今,Y1先生の対応を+していますので,出れません。」と記載した電子メールを送付し,また,リプラス社又はアドバイザーズ社の従業員Iに対し,「ご承知のように実印と似通った印鑑を2個(リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号,18号)作成しておりますが,先日Y1先生から特にフォローがなかったのでまだ提出していません。出さないでうやむやになればいいと思っていたのですが,本日Jさんが別件で会ったときに『Gさんに印鑑の件,どうなったかと伝えてください。』といわれ,また先ほど内線で私宛に電話があったようなので,この件のことだと思います。印鑑を作成するところまではまだいいとしても,明らかなウソをついて提出するのははばかれますし,すぐつじつまがあわなくなってバレて,その結果自己防衛のために言わなくても良いことまで言ってしまっては元も子もないので,印鑑は社長に渡したいと思うのですが。(中略)Y1さんから聞かれたら,当該印は,総務から投資戦略か社長に印鑑貸出しをしていたことがわかった(事実そうなのですが)。⇒その後,投資戦略から社長に返還された という形にしたいのですが,Iさんから社長かKさんに印鑑をお渡し願えませんでしょうか。(また,その後,Y1先生に一部好ましくない取引がわかってしまったと聞いていますので,いっそう辻褄が合わないと困ります。)」と記載した電子メールを送付した(以上の電子メールはいずれも丙25)。
ク 被告Y1は,その後,被告会社の銀行印及び通帳についてはリプラス社又はアドバイザーズ社から回収することができたものの,実印については,回収することができなかった。
(3)  担保価値
本件各信託契約に係る信託の対象となった不動産の鑑定評価額は,別紙「信託不動産一覧表」の「鑑定評価額」欄記載のとおりである(丙32の1~6。なお,これらは本件各受益権自体の評価額ではない。)。
2  争点1(有権代理等)について
(1)  原告は,①被告Y1が本件質権設定契約書に記名押印した,②Cは,被告Y1から承諾を得て上記記名押印をした,③被告会社から上記記名押印の権限を受けたリプラス社らの代表者であるCが,被告会社を代理して上記記名押印をしたことから,被告会社は,原告に対し,ファースト信託から本件承諾を得る義務を負う旨を主張するものと解される。
(2)ア  そこで,検討するに,① 前記争いのない事実等(2)ケ及び弁論の全趣旨によれば,Cは,本件質権設定契約締結の際,被告会社の代表者の記名押印をした状態の本件質権設定契約書を持参して原告の代表取締役であるAに提示したこと,また,Cは,その際,「私の責任と判断に依りまして,私が権利を有する合同会社リプラス・レジデンシャル・ウェアハウス9号名義の物件に貴社の質権を設定させて頂きました。」と記載した確認書を差し入れたこと,② 上記1認定事実(2)エによれば,サステイナブル社はCの個人資産の運用会社であることから,被告会社がサステイナブル社のために本件各受益権に質権を設定することは,上記1(1)イ認定のSPCの設立目的等に反するものであること,③ 前記争いのない事実等(1)及び上記1認定事実(2)イによれば,本件質権設定契約締結時,被告会社の実印は,Cが代表取締役を務めるリプラス社又はアドバイザーズ社が所持していたこと,④ 前記争いのない事実等(1)エ及び上記1認定事実(2)ウによれば,本件質権設定契約締結のころ,リプラス社は資金繰りに苦しんでいたことがそれぞれ認められる。以上の事実関係に照らせば,本件質権設定契約書における被告会社の記名押印は,被告Y1ではなく,Cがしたものと推認される。
イ  前記争いのない事実等(1)イの被告会社の設立目的,上記1認定事実(1)のSPCの性質及び同(2)アの本件アセット・マネジメント契約の内容に照らせば,被告会社が本件アセット・マネジメント契約によりリプラス社らに対して委託した業務には,質権の設定などの本件各受益権の処分をする権限が含まれていたものとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
また,上記1認定事実(2)キによれば,Cを含むリプラス社らの従業員は,被告会社の実印等の返還を求める被告Y1に対し,実印の模造印鑑を提供し,「好ましくない取引」を隠匿しようとしていたものと認められ,この事実に照らせば,Cは,被告Y1に対し,実印を使用したことや被告会社に係る取引をしたことを隠匿していたものと認められる。
(3)  以上の事実関係に照らせば,被告会社が,個人としてのC及びリプラス社らのいずれに対しても,被告会社を代理して本件質権設定契約を締結する権限を授与していたものとは認められない(なお,前記争いのない事実等(2)ケ及び上記1認定事実(2)オによれば,本件質権設定契約書には,サステイナブル社が本件承諾を得る義務を負う旨の記載はあるものの,被告会社が本件承諾を得る義務を負う旨の記載はないことが認められ,この事実に照らせば,被告会社の代表者が本件質権設定契約書の押印を承諾していたとしても,被告会社が本件承諾を得る義務を負うものと認めることはできない。また,原告は,Cが自ら及び被告会社が本件承諾を得る義務を負う旨を述べた(以下,これを「本件申出」という。)とも主張するが,本件質権設定契約書の記載と異なり,直ちに採用することができない上,上記事実関係に照らせば,仮にCが本件申出をしたものとしても,これにつき被告Y1の承諾を得ていたものとは認め難い。)。
3  争点3(表見代理)について
(1)  原告は,本件質権設定契約の締結及び本件申出がCの無権代理行為であったとしても,Cに代理権限があると信ずべき正当な理由があったとして,民法110条による表見代理が成立するとして,被告会社が本件承諾を得る義務を負う旨を主張する。
(2)ア  そこで,検討するに,前記争いのない事実等(2)及び上記1認定事実(2)によれば,リプラス社又はアドバイザーズ社は,本件アセット・マネジメント契約により,被告会社から事業の運営管理業務に関する各種代行業務を委託され,被告会社の実印を預かっていたものと認められ,この事実に照らせば,リプラス社又はアドバイザーズ社は,被告会社から,民法110条の要件である基本代理権を授与されていたものと認める余地もある。
イ  しかしながら,Cが個人として被告会社から基本代理権を授与されていたものと認めるべき証拠がない上,仮にこの点をおくとしても(リプラス社又はアドバイザーズ社が代理行為をしたものと見るとしても),前記争いのない事実等(2)及び上記1認定事実(2)によれば,① Aは,平成19年10月までCと面識がなかったこと,② Cは,本件貸金債務の弁済期を経過しても弁済をしなかったこと,③ Cは,上記弁済期経過後,Aから,6億円相当の株券を交付することを約束して本件リプラス株の返還を受けたにもかかわらず,この約束に反して株券等をAに交付せず,本件リプラス株の返還要求にも応じなかったこと,④ Cは,上記③の約束から半年後に,上記③の約束とは異なり,本件質権設定契約の締結を申し入れたこと,⑤ Cは,本件質権設定契約の締結の際,既に被告会社の代表者の記名押印がされていた書面を持参したものであり,Aは,被告Y1が本件質権設定契約書に押印したところを見たことがないこと(また,被告会社の代表社員の名称が間違って作成されていたこと。なお,Aは,Cから被告会社の履歴事項全部証明書の写し(甲14の6)を受け取っていた。),⑥ AがCから提示を受けた本件各信託契約書には,本件各受益権の譲渡にはファースト信託の事前の承諾が必要である旨が記載されていたこと,⑦ 本件質権設定契約書上,ファースト信託から本件承諾を徴求する義務はサステイナブル社が負うものとされており,被告会社が負うものとはされておらず,本件申出の内容とは異なる記載がされていたことがそれぞれ認められ,これらの事実に照らせば,Aは,2度も約束に反したCの説明を直ちに信頼せずに,C(又はリプラス社ら)の代理権の有無を確認する手段を講ずるべきであったのであり,それにもかかわらず,上記1認定事実(2)オによれば,Aは,被告Y1にその旨を確認したこともなく,受託者であるファースト信託にも本件各信託契約上の事前承諾を得たか否かの確認をしたこともなかったというのであり,その他Cの代理権限の有無を確認したと認めるに足りる証拠もない。
以上の事実関係に照らせば,Aには,Cに代理権限があると信ずべき正当な理由があったものとは認められず,表見代理が成立するものとはいえない。
(3)  原告は,Cから本件各信託契約書及び不動産登記簿謄本(甲8~13の各2)を提示されて前記第2の2(3)(原告の主張)イ(エ)記載のとおり説明を受け,信託のことはよく分からなかったが「そんなものか。」と何となく納得した旨主張し,A及びFも各陳述書(甲7,15)においてこれに沿う供述をするものの,仮にA及びFの供述どおりの事実が認められたとしても,Aは,Cが上場企業の代表者であり自分のことを「グループの独裁者」と自称していたことから,担保目的物である本件各受益権に対する理解も不十分のままCの説明をうのみにしてCに権限があると考えたものと認められるのであり,この事実に上記(2)の事実,特にCが2度も約束に反したことなどの事実を併せ考慮すれば,上記各供述によってCに代理権限があると信ずべき正当な理由があったものとは認められないことが明らかである。
したがって,原告の上記主張は上記(2)の認定判断を左右するものではない。
(4)  上記2及び3(1)~(3)によれば,被告会社が原告に対して本件承諾を得る義務を負うものとは認められないから,これを前提とする原告の被告会社及び被告Y1に対する債務不履行及び不法行為に基づく請求はいずれも理由がない。
4  争点4(被告Y1の任務懈怠責任)について
(1)  原告は,被告Y1は被告会社の実印や本件各信託契約に係る書類を善良なる管理者の注意をもって管理・保管すべき義務があったにもかかわらずこれを怠ったことから,原告に対して会社法598条2項,597条に基づく損害賠償責任を負う旨を主張する。
(2)  そこで,検討するに,原告の主張する損害は,本件質権設定契約が成立し,又はその効力が被告会社に及ぶことを前提として,ファースト信託からの承諾を得られなかったことにより本件貸金債務が回収不能となったというものであるところ,前記争いのない事実等(2)ケ及び上記1認定事実(2)オ等によれば,そもそも本件質権設定契約の効力が被告会社に帰属するものとしても,被告会社に本件承諾を得る義務があるとは認められないし,また,被告Y1が原告の主張する上記(1)の義務を履行し,被告会社の実印を保管・管理していたとすると,単に原告及び被告会社との間で本件質権設定契約が締結されなかったことになるにすぎないものと認められるから(なお,前記争いのない事実等のとおり,原告がサステイナブル社に対して2億5000万円を貸し付けたことも,その際にCから本件貸金債務の担保に取った本件リプラス株をその後返還したことも,本件質権設定契約とは無関係に行われたことである。),上記損害と原告の主張する義務違反との間には因果関係があるものとは認められない。
(3)  したがって,原告の上記(1)の主張は採用することができない。
5  結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松並重雄 裁判官 伊丹恭 裁判官 國原徳太郎)

 

〈以下省略〉

 

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