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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(209)平成24年 3月12日 東京地裁 平21(ワ)27502号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(209)平成24年 3月12日 東京地裁 平21(ワ)27502号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成24年 3月12日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)27502号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2012WLJPCA03128007

要旨
◆原告会社が、被告会社との間で仲介及びコンサルティングを目的とする業務委託契約を締結していたと主張して、被告会社に対し、主位的に、民法651条2項に基づき契約解除による損害賠償を求め、予備的に、商法512条に基づき報酬の支払を求めるなどするとともに、被告会社の担当者である被告Y1に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、原告会社が主張する業務委託契約が成立した事実は認められず、また、被告Y1に対する不法行為による損害賠償請求権は時効により消滅している等判断し、各請求をいずれも棄却した事例

参照条文
民法651条2項
民法709条
民法724条
商法512条

裁判年月日  平成24年 3月12日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平21(ワ)27502号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2012WLJPCA03128007

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社X
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 鹿内徳行
同 濱口文歌
同 高松政裕
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y1株式会社
代表者代表取締役 B
訴訟代理人弁護士 松尾眞
同 鈴木毅
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y2
訴訟代理人弁護士 大江耕治
同 高橋智彦

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,各自6億5408万8000円及びこれに対する被告Y1株式会社については平成19年8月1日から支払済みまで年6分,被告Y2については平成16年8月9日から支払済みまで年5分の各割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  請求の原因(原告の主張)
(1)概要
原告と被告Y1株式会社(以下「被告Y1社」という。)は,後記(3)の経緯で,遅くとも平成16年3月9日までに,仲介及びコンサルティングを目的とする後記(4)の内容の業務委託契約(以下「本件契約」という。)を締結した。本件契約の内容となる業務は,①DDW事業について,a社と被告Y1社との間でのDDW商品化の合意を目的とした仲介業務,及び,②DDW以外の商品について,商品化を目的とした戦略的情報提供等のコンサルティング業務である。
本件契約においては,商品化のために必要なデータ収集,製品構成,マーケティング調査等にかかる費用等の実費は被告Y1社が負担するものとされ,さらに報酬は,対象商品の売上見込額の10%相当額と合意された。
原告は,被告Y1社に対し,民法651条2項に基づき,本件契約の解除による損害賠償として,実費2億1208万8000円及び逸失利益4億4200万円(対象商品の売上見込額の10%相当額)の合計6億5408万8000円及びこれに対する履行の請求の日の翌日である平成19年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めた。原告は,予備的に,商法512条に基づく報酬請求として上記同額の請求をし,実費2億1208万8000円については更に予備的に,本件契約又は個別の合意に基づく民法650条1項の費用償還請求権,あるいは事務管理に基づく有益費償還請求権として請求する。
原告は,被告Y2に対し,不法行為に基づく損害賠償として,本件契約の被告Y1社の担当者として,DDWプロジェクト等において原告の被る損害の拡大を防止すべき信義則上の注意義務に違反して,原告に対し漫然と無謀な要求を繰り返し,原告に多額の費用を立て替えさせたとして,被告Y1社に対する請求額と同額の損害賠償とこれに対する不法行為の日である平成16年8月9日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
(2)契約関係成立までの背景事情
DDW(Deuterium Depletion Water,重水素軽減水)とは,飲料水に含まれる重水素の含有量を軽減した水で,主に,デオキシリボ核酸(DNA)の損傷を防ぎ,その修復を促進する効果が科学的・医学的研究報告により立証されている飲料水であり,日本をはじめ世界40か国において特許も取得されている(甲3,4)。
a社(甲3)は,DDWの開発者でありその代表者C博士が経営するハンガリー共和国の法人であり,重水素軽減水を利用した生活習慣病予防商品やスキンケア商品及び動物用健康食品の研究開発及び販売を行っている。
原告代表者は,ハンガリー出身のアメリカ人であり,原告は,a社から日本におけるDDW市場開拓の依頼を受けた。原告は,同社がDDWを日本において独占的に販売させる代理店候補企業の調査や,DDWについて日本でライセンス供与又は販売するための日本市場の開拓などの話を持ち込まれ,その仲介役として日本国内の有力企業数社と接触し,その事業性の追求に関する調査を行い,市場性に関するアドバイスを提供するなど,DDWの日本における独占的なマーケティング権保有者としての活動を行っていた。
(3)契約締結の経緯及び契約の推移
原告代表者の知人である当時株式会社パイオニア等の顧問Dが,被告Y1社の当時の社長であったEと知り合いであったことから,a社が製造販売するDDWについて,E社長がその日本での展開に興味を持って,被告Y1社の飲料事業部の代表者が原告本社を訪れ,製品化を検討し交渉することになった。
平成15年4月15日午前10時より,原告事務所において最初の会議が開かれた。被告Y1社を代表する者として,F(食品事業本部事業企画部長),G(飲料事業部副事業部長),H(同部技術開発担当次長)が出席した他,D及びa社CEOのC博士並びに原告代表者が出席した。この場において,原告と被告Y1社との間で,被告Y1社が主宰するDDWの日本国内での製品化プロジェクトを立ち上げることが合意された。そして,被告Y1社がDDW商品化のための調査を行い,その採否を決定するための期間を1か月間とすること,この調査期間中は,原告が被告Y1社以外の企業との間でDDWの商品化に関して接触しないことが合意された。なお,この時,原告代表者は,F,G及びHに対し,原告の報酬が商品の売上見込金額の10%程度であることについて言及していた。
5月15日(平成15年,以下同じ。),原告が被告Y1社に対して当初付与した1か月間の評価調査のための期間が経過した。しかし,原告代表者は,Gから,さらに2か月間の調査期間の延長を求められた。延長すると,他社との間でDDW商業化の話ができなくなり,大きなビジネスチャンスが奪われることを意味するが,原告代表者としては,被告Y1社のF,G及びHが原告代表者に対して,DDW事業化に向けた被告Y1社の熱意や強い関心を常々示していたので,これを信じ,調査期間の延長に応じ,さらに2か月間調査期間が延長された。
5月22日午後4時より,Y1社本社にて会議が開かれた。この日の会議には,被告Y1社からは,G及びHが出席した。この場において,G及びHは,原告代表者に対し,DDWに関する更なる科学的な情報及び科学データ等の提供を要請し,秘密保持契約を締結することを確約した。
7月15日午後4時より,Y1社本社にて会議が開かれた。この日の会議から新たにIが加わり,被告Y1社からは,G,H及びIの3名が出席した。この日をもって原告が被告Y1社に対して付与した調査期間が満了していた。この場において,Gは原告代表者に対し,臨床試験等及び新規ボトルへの設計変更等の各実施を求めてきた。臨床試験等の実施とは,DDWが,がん等の罹患者のみならず,健康体の人々に対しても健康増進の効果があることを示すための臨床試験及びその他科学的研究を行うことであり,新規ボトルへの設計変更等の実施とは,被告Y1社がDDWを日本の自動販売機網等において販売するために,500mlのサイズにボトル設計を変更することであった。これらの依頼に対し,原告代表者は,いずれも非常にコストがかかることを説明した。具体的には,まず臨床試験等の実施については,健康体の人々を対象とする臨床試験の実施が,非常に費用がかかる性質のものであることを,また新規ボトルへの設計変更等の実施については,ヨーロッパでは500mlボトルに対する需要がないことから,被告Y1社の要求を実現するためには,ハンガリーに新たなボトリング設備を導入しなければならず,そのコストは莫大になることを説明した。原告代表者の説明を受けて,Gは,「被告Y1社においてDDW商品化のための予算が組まれることになるから,これら『臨床試験等』及び『新規ボトル等への設計変更等』にかかった費用全額を被告Y1社において支払うので,各作業を実施して欲しい」旨依頼し,費用の支払について約束した。
8月1日,a社と被告Y1社との間で最初の秘密保持契約が締結された。期間を6か月間とし,この期間中,原告は従前の調査期間中から負担していた他の企業との接触禁止義務を継続的に負担し,被告Y1社は,原告が被告Y1社の要求によって交付したデータ等の情報の秘密を厳守し,これらを第三者に開示しない義務を負うこととされた(甲13)。
9月11日,Gの依頼によって行われた臨床試験等の結果をまとめた「研究結果報告書」がその日本語版と共に原告から被告Y1社に提出された。
10月7日午後3時より,原告代表者は被告Y1社のR&Dセンターを訪問し,I及びHとの間で会議を行った。この場においては,DDW以外の新しい健康食品についても,DDWと組み合わせて,又は独立して商品化するための商品開発や市場開拓についての情報提供及び助言等を行ってほしいと依頼された。
平成16年2月4日午後1時より,Y1社本社にて会議が開かれた。この日の会議は,最初の秘密保持契約の契約期間が同年1月末日をもって満了していること,及び,被告Y2が新たに被告Y1社の飲料事業部長に着任し,DDWプロジェクトの責任者に就任したことを受けて開催された。被告Y1社からの出席者は,被告Y2のほかG及びHであった。この場において,被告Y2は,被告Y1社がDDW商品化に対する強い熱意を示し,自らの指揮の下,加速度的に進行させることを約束した。また,既に平成15年10月7日の会議において打診されていたDDW以外の他の新規商品の提案や情報提供についても正式に依頼した。
3月5日(以下平成16年)午前10時より,Y1社本社32階の重役用会議室において会議が開かれた。この席では,6名からなる被告Y1社のDDWプロジェクトの新チームが発足したことが発表され,各メンバーが紹介された。
3月9日午前10時より,Y1社本社にて,E社長と原告代表者との間で会議が開かれた(甲19)。被告Y1社からは,E社長のほか被告Y2が出席した。この席において,原告代表者は,E社長に対し,原告が行っているDDW商品化に向けた仲介及びその他のコンサルティング業務について,その報酬が対象商品の売上見込額の10%であると説明し,報酬合意に関する書面を交付した。原告代表者による報酬の説明及び書面の交付を受けて,E社長は,DDW商品化を更に推進することを約束した。
4月5日午後1時より,Y1社本社にて会議が開かれた。被告Y1社からの出席者は,被告Y2,HのほかJであった。この席において,被告Y2は,原告が紹介した海外ブランドのミネラルウォーターやサワーチェリー飲料等のDDW以外の製品についても被告Y1社が関心を持っていることを示した。また,被告Y2は,DDW商品化のスキームを,完成品を日本に輸入販売する当初の方針から,原料としてのDDWを日本に輸入し,日本で新たに商品製造及びボトリングを行った上で販売する方針に転換すること,及び,特定保健用食品として登録するためにDDWをダイエット商品として販売することを決定した旨述べた。なお,DDWをダイエット商品として販売するために,被告Y1社は,DDWを難消化性デキストリンと混合させる計画を決めていたが,このことは当時原告代表者に対し秘密にされていた。
4月7日午後6時より,E社長が原告代表者を被告Y1社の迎賓施設に招き,夕食会が開かれた。この席上,原告代表者の面前において,E社長は,被告Y2に対し,DDWプロジェクトを迅速に進めるように指示をした。
4月8日,秘密保持契約が更新された(甲14)。
4月14日午後1時30分より,Y1社本社にて,被告Y2及びHと原告代表者との間で会議が開かれた。その場において,被告Y2は,原告代表者に対し,「被告Y1社がDDWを販売することを約束する。できるだけ早く市場に投入することを誓う。まずは2000ケースから始め,その後更に拡大して100万ケース単位での大規模な売上を達成する。小売価格は1本(500ml)あたり400円に設定する。Aさん(原告代表者)には全ての努力に対する支払を約束する。」と述べた。
5月頃,被告Y2は原告代表者に対し,DDWプロジェクトのスキームを再変更する旨の決定を伝えた。世界各国でDDWを販売するために,a社から被告Y1社が独占的ライセンスを取得することであった。被告Y2は,原告に対し,DDWについて日本を含む世界約40か国で特許を保有しているa社との間でのライセンス取得交渉を正式に要請した。
6月4日午後1時30分より,Y1社本社にて被告Y2と原告代表者との間で会議が開かれた。被告Y1社が予定していた難消化性デキストリン原料を使用した健康飲料について,既に他に複数の企業により特定保健用食品認定を受けて販売されていることを知ると,被告Y2は難消化性デキストリンをDDWに混合させる計画を廃案にし,代わりに,原告代表者に対し,胃腸に効果のある健康飲料等,DDWに混合するために相性の良い原料を調査・検討することを依頼した。
6月14日午後1時30分より,被告Y2と原告代表者との間で会議が開かれた。被告Y2は,原告代表者に対し,DDWの商品化の準備が整ったと述べるとともに,DDWの小売価格を1本あたり600円に上げることに決定したと告げた。また,被告Y2は,原告代表者に対し,原告がこれまでに行った仕事に対する請求書を送ってくれ,と述べた。さらに,DDW以外のサワーチェリー,カムカム等20のプロジェクトに関しても協議が行われた。
6月22日午後2時より,原告事務所に被告Y2及びKが訪れ,原告代表者との間で会議が開かれた。Kは,被告Y1社のロンドン駐在戦略スタッフであり,この当時,被告Y1社の技術チームが,ハンガリーにあるDDWの生産施設を視察に訪れることとなったため,Kがそのエスコート役を務めることになり,DDWについての理解を深めるために原告事務所を訪問したのであった。
6月23日及び24日,被告Y2からハンガリー訪問・現地視察について,原告代表者に対し電話での報告及び質問があった。
6月25日午後5時より,Y1社本社にて会議が開かれた。この席において,被告Y2は,従前のビジネススキームを更に変更し,DDWの独占的ライセンス取得に加え,更に被告Y1社によるa社の株式取得を計画し,その手配と交渉を原告代表者に依頼した。
7月1日午後1時30分より,Y1社本社にて被告Y2と原告代表者との間で会議が開かれた。この席上,被告Y2は,被告Y1社がDDWプロジェクト等に対する投資資金を用意するというそれまでの約束を突然反故にし,「被告Y1社には投資資金が無い」と原告代表者に告げた。
7月30日午後1時30分より,Y1社本社で行われた会議において,被告Y2は,被告Y1社の法務部長Lを同席させ,原告代表者に対し,DDWプロジェクト及びサワーチェリー等その他20のプロジェクトについて,全て中止する旨を一方的に通告した。
被告Y2は,原告に対し,平成16年8月9日付け「DDWについて」と題する書面を送り付け,一方的に,被告Y1社において,本件契約を破棄する旨を通告してきた(甲12)。
(4)本件契約の内容
① DDWについての仲介業務の内容
DDW事業に関する仲介業務の内容は,DDWの特許権を有し,その製造元であるa社と被告Y1社との間で,日本国内においてDDWを商品化し,販売するための合意を締結することを目的として,そのために必要な業務を実施することである。具体的には,a社と被告Y1社間の合意を目指す過程において,DDWに関し,日本への輸入,日本における市場開拓,日本市場での販売のための製品構成・ボトリング,日本における新しいタイプの健康飲料としての製造を含めたライセンス供与についての有益な情報の収集及び提供等を被告Y1社に対し行うことである。
② DDW以外の各商品についてのコンサルティング業務の内容
平成16年2月から平成16年8月にかけて,被告Y1社のDDW担当チームリーダーたちは折に触れ,DDWやa社の枠を超えた事柄に関するマーケティング,商品及びフォーミュレーションについての紹介業務を原告に要請し,原告はこの要請に応え,約20のプロジェクトを紹介した。DDW事業以外の各プロジェクトについての戦略的コンサルティングの内容は,別紙「21のプロジェクト一覧」記載のDDW以外の各製品等に関し,日本国内での商品化を目的として,各製品等の紹介,情報提供その他各製品等を商品化するために原告が国際的に調査及び収集した報告書といった有益な商品及び市場動向の情報提供を行うことである。
(5)実費の支払及び報酬の合意
本件契約において,商品化のために必要なデータ収集,製品構成,マーケティング調査等にかかる費用等の実費は被告Y1社が負担するものとされ,本件契約における報酬は,対象商品の売上見込額の10%相当額と合意された。
① 実費の支払合意について
各調査研究及びデータ作成等にかかる費用の支払については,以下のとおり,被告Y1社から実施依頼があった際に,被告Y1社が支払う旨の約束がされている。また,前記(3)のとおり,被告Y2は,度々,原告代表者に対し,被告Y1社が依頼した各作業の費用について支払を約束する旨を述べており,DDWプロジェクト及びその他原告及び被告Y1社間において検討の対象とされた健康飲料の商品化契約に関して原告に生じた全ての費用について包括的な支払約束がされた。
臨床試験の実施と報告書の作成作業及び新規ボトルへの設計変更等の各作業の実施にかかる費用(甲5,7)の支払については,平成15年7月15日,飲料事業部副事業部長であったGとの間で口頭にて合意された。
胃腸に効果のある健康飲料等,DDWに混合するために相性の良い原料を調査・検討することにかかる費用(甲8)の支払については,平成16年6月4日,被告Y2との間で口頭にて合意された。
DDW以外の健康飲料食品に関する科学的研究の実施及び分析データの取得並びにサワーチェリーのサンプルを製造及び準備するための費用(甲9)の支払については,平成16年6月,被告Y2との間で口頭にて合意された。
② 報酬の支払合意について
本件契約についての報酬の支払合意については,平成16年3月9日,E社長と原告代表者との間で黙示の合意が成立した。上記(3)のとおり,原告代表者は,E社長に対し,原告が行っているDDW商品化に向けた仲介及びコンサルティング業務について報酬が対象商品の売上見込額の10%であると説明し,報酬合意に関する書面を交付している。そして,この原告代表者による報酬の説明及び書面の交付を受けて,E社長は,DDW商品化を更に推進することを原告代表者に約束し,更にその後も原告代表者を夕食会に招待したり,a社との間で秘密保持契約を更新したりしている。これらのことからすれば,被告Y1社は,売上見込額の10%の報酬について原告代表者から説明を受け,その内容を認識した上で,原告に対し,仲介等の業務の依頼を継続しているのであるから,報酬支払に関する黙示の合意が成立していた。なお,原告代表者は,平成15年4月15日の最初の会議の時から,G,F及びHに対して上記の報酬について既に説明している。
(6)原告による契約の履行
① DDWに関する業務の履行及び費用
原告は,本件契約に基づく被告Y1社の要求に応え,平成15年4月15日から平成16年8月9日に至るまで,以下の業務を行い,2億1208万8000円の実費を支払った。
DDWが癌や腫瘍にのみ効果的なのではなく,腫瘍予防や健康体の人々の健康増進及びエネルギーアップを図る効果もあることを確認し,裏付けるために,健康な被験者に対する安全性と有効性に関する有益な効果を測定するための臨床試験検査と科学的研究を被告Y1社の要求により実施し,報告書(日本語訳を含む)を被告Y1社に交付した(甲6)。費用は,8507万5000円であった(甲5の1・2)。
被告Y1社の飲料自動販売機網を通じてDDWを流通・販売するために,DDWオリジナルのボトルより小さい500mlサイズのペットボトルを開発した。日本以外では500mlサイズに対する需要がなく,被告Y1社の要求により必要に迫られ充填製造ラインの導入を実施した。費用は,7050万円であった(甲7の1・2)。
原告はa社とともに,DDWに混合して胃腸に効果のある健康飲料にするための天然成分エッセンスとこれをDDWに混合する方法を提案した。費用は,2201万3000円であった(甲8の1・2)。
② DDW以外の製品に関する業務の履行及び費用
別紙「21のプロジェクト一覧」記載の全てについて,原告は,平成16年7月中旬頃までには,業務を一通り完了した。
具体的には,まず,健康飲料食品を作るための技術的・科学的データ,原料,フォーミュレーション,サワーチェリーのサンプルを提供した。費用は,3450万円であった(甲9の1・2)。
カムカムという素材を紹介し,生産のために原料サンプル,フォーミュレーション,特許データ,生産技術データを提供した。
被告Y1社による日本での流通販売のために,ヨーロッパで金賞を受賞したミネラルウォーター(聖なる王を意味する「○○」というブランド名のミネラルウォーター)の権利を確保した。
カプセルコンテナーという植物性健康素材抽出物をボトル内部で液体と混合するための新しいタイプのボトルキャップ下一体・内蔵型素材格納・混合システムを,被告Y1社の健康飲料用に紹介した。このシステムは,飲用の直前までキャップ内に液体に触れないように成分を格納し,紫外線といった外的要因から保護するため,飲料製品において主にネックとなる安定性や有効成分の変質・劣化の課題,また混合のため振って飲用する成分の水溶性といった問題を克服できるものである。
(7)原告の損害
① 実損
原告は,平成15年4月15日から平成16年8月9日に至るまで,上記(6)の各活動を行い,それに伴い2億1208万8000円を出費した。
② 逸失利益
原告は,被告Y1社のために上記(6)の各活動を行っている間,他の事業者との接触の機会を奪われ,被告Y1社以外の事業者とのビジネスの機会も失った。しかし,被告Y1社は,全く一方的な事由により原告との合意を破棄し,事業の継続を頓挫させ,原告がその事業化によって利益を取得する機会を喪失させた。本件契約において原告が取得するはずであった報酬相当額の逸失利益は,対象商品の初年度の売上見込額の10%相当額4億4200万円である。
2  被告らの主張(争点)
(1)契約解除による損害賠償について
被告Y1社と原告との間には契約関係は成立していない。口頭であっても,被告Y1社のE社長と原告が,原告の主張するような合意をした事実はない。被告Y2が,DDWプロジェクトその他原告及び被告Y1社間において検討の対象とされた健康飲料の商品化契約に関して原告に生じた費用について支払約束をしたこともない。
被告Y1社としては,当初から,原告がa社から権限を付与されてDDWの売り込みに来ている会社であるとの認識で原告と接していた。被告Y1社が原告とa社との関係を書面にて確認したい旨要請した際に原告から交付された書面(甲37)に,原告がDDWについてa社から日本国内での販売,マーケティング及び販売促進についての独占的権利を許諾されている旨が記載されていたことから,被告Y1社は原告に対する上記認識を再確認した。このように,原告について,a社の製品を自己の経済的動機もあって被告Y1社に売り込みに来ている会社であるとの認識を有していた被告Y1社が,DDWをa社から購入する契約を締結するための媒介業務を有償で原告に依頼する理由はない。売主からある製品の販売やマーケティングに関する権限を付与された代理人は,売買取引における売主の利益の中の一部を報酬として得ることが一般的である。かかる代理人からマーケティング活動を受けた側としては,代理人による情報提供はマーケティング活動の一環として行われるものであり,当該活動は上記の経済的インセンティブの下に行われていると認識するのが通常である。被告Y1社としては,原告はa社からの経済的インセンティブを背景にa社の利益を代理して原告にDDWを売り込むものであると認識していたからこそ,その商品化の可能性を検討するために一般的に必要となる情報の提供を依頼したにすぎない。
平成15年7月15日に,原告代表者がY1社本社で被告Y1社と会議を行い,被告Y1社からはG,H及びIが出席した。しかし,Gが原告代表者に対して,臨床試験の実施と報告書の作成作業及び新規ボトルへの設計変更等の各作業の実施にかかる費用の支払を口頭で約束したことはない。報告書(甲6)は,平成15年8月27日付けであるところ,「第0日目」と「第44日目」のデータの比較をしている以上,研究は少なくとも45日間行われたことは明らかであるから,8月27日に報告書を作成するには,7月14日に研究を開始せねばならない。これに加えて研究開始の準備期間や研究データの分析期間を要するのが通常の研究であるから,上記報告書が被告Y1社の平成15年7月15日の費用負担合意に基づいて行われた研究の結果であるというのは明らかに不合理である。
平成16年6月4日に,原告代表者がY1社本社で被告Y1社と会議を行い,被告Y1社からは被告Y2が出席した。しかし,被告Y2が原告代表者に対して,胃腸に効果のある健康飲料等,DDWに混合するために相性の良い原料を調査・検討することにかかる費用,及び,DDW以外の健康飲料食品に関する科学的研究の実施及び分析データの取得並びにサワーチェリーのサンプルを製造及び準備するための費用の支払を口頭で約束したことはない。原告は,費用の支払に応じたという証拠は提出していない。したがって,原告が実際に費用負担をしたと認めることはできない。
平成16年3月9日,Y1社本社にて,原告代表者が被告Y1社のE社長と面会した。しかしこれは会議ではなく,E社長が原告代表者のいわゆる表敬訪問を受けたにすぎない。原告代表者とE社長との間で,報酬の支払について黙示の合意が成立したことはない。被告Y1社が,甲41号証の英文面と類似の文書を原告から受領したことはある。しかし,原告代表者が被告Y1社に対して,最低報酬額が10%と説明したことはなく,被告Y1社が受領した文書に「10%minimun fee」との書き込みはなかった。甲41号証は,一見して明らかなとおりその重要部分が空欄となっている契約書の書式にすぎず,被告Y1社の署名・記名はおろか原告のサインすらない。甲41号証は,むしろ被告Y1社と原告との間に原告の主張する契約が成立していないことを推認させるものである。a社の商品を売り込む立場の原告に対して,被告Y1社が仲介及びコンサルティング業務を依頼することはあり得ず,平成16年3月9日に報酬合意が成立することもあり得ない。
報酬合意(原告の主張によれば4億4200万円)について契約書が作成されていないこと,報酬についての合意書(甲41)にも署名がされなかったことからも,被告Y1社と原告との間に仲介・コンサルティング業務の委託契約や報酬合意が成立していないことが明らかである。そもそも相手方の提案するビジネスについての実現可能性の検証(フィージビリティ・スタディ)も未了の段階で,被告Y1社のような規模の企業が,契約書の作成もなく,「DDW商品化に向けた仲介及びコンサルティング業務」なるものの報酬支払を,原告の主張によれば4億円超の金額について口頭で合意することすら到底あり得ない。ましてや原告は,被告Y1社が口頭で合意したことすら主張しておらず,黙示の合意の成立を主張しているのであって,荒唐無稽というほかない。なお,そもそも被告Y1社は,原告から報酬について説明を受けたこと自体を認識していない。
本件は,被告Y1社が,平成15年4月頃に,E社長の知人からの紹介で,原告からハンガリー原産の癌治療に効果のある水としてDDWの商業化の提案を受け,被告Y1社の飲料事業部が応対して原告の提案するビジネスの商業化の検討を行った結果,被告Y1社としてDDWの商業化ビジネスはできない旨原告に伝えたところ,その後も原告から執拗にDDWその他のビジネスの提案を受けたので再度検討した結果,重ねて断りの連絡をしたというものである。すなわち,原告と被告Y1社は,プロジェクト実現のための共同体制にあったのではなく,原告が被告Y1社に対してプロジェクトの売り込みをし,それらを検討した結果,被告Y1社としてこれを断ったにすぎない。被告Y1社の飲料事業部は,平成15年4月に原告の紹介を受けて以降,原告からDDWビジネスについての提案を受けて検討したが,詳細なフィージビリティ・スタディを経るまでもなく,商業化は困難と判断し,平成15年7月9日に,原告に対してメールを送付し,検討を断念する旨連絡した(乙1)。その後,原告の要望を受けて開催した7月15日の会議において,被告Y1社は原告に対し,検討断念の旨を再度説明したところ,原告からはDDWビジネスについて再度検討して欲しい旨の強い要望がされた。被告Y1社は,原告が当時の社長の知人からの紹介であったということもあり,商業化の可能性について一応の検証を改めて行うこととし,そのために必要な科学的資料をその場で原告に求めたところ,原告は,提出予定の資料は守秘性の高い資料であるとの理由で秘密保持契約の締結を求めた。これに応じてその後被告Y1社が締結したのが,原告との間の秘密保持契約であり,同契約は上記の経緯で締結したにすぎない。なお,秘密保持契約では,原告と他企業との接触禁止は一切盛り込まれていないし,同契約が原告と被告Y1社との間に何ら商品・情報の購入・ライセンス義務又は代理店関係若しくは共同事業関係を成立させるものではないことが明記されている(5条,6条)。被告Y1社は,秘密保持契約の締結の後,再度原告の提案について真摯に検討したが,その後原告に対し,DDW及びその他の原告提案の商品についての検討の打ち切りについて連絡をした。その後も原告からの書面の送付が止まないため,被告Y1社は,平成16年8月9日付で,書面にて,従前の経緯の説明とともに,改めてDDW及びその他の商品についての原告の提案の一切を断る旨の通知をした(甲12)。
(2)商法512条に基づく報酬請求について
原告はa社の代理店ないし販売代理店であり,a社から報酬を得るため,又は,自己に売上を生じさせるため,a社の商品を被告Y1社に売り込んでいたのであるから,原告は被告Y1社のために行為したものではない。
(3)事務管理に基づく有益費償還請求について
原告が実際に費用の支出をしたこと自体を争うが,上記(2)と同様,原告が被告Y1社のために行為したものでもない。
(4)被告Y2の消滅時効の抗弁
不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効の起算点である「損害及び加害者を知った時」(民法724条)とは,被害者において,加害者に対する損害賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度においてこれを知った時を意味する。原告が被告Y2の原告に対する不法行為と主張する行為の内容は,被告Y2が平成16年8月9日付け書面にて被告Y1社の責任者としてDDW及びその他の商品についての原告の提案の一切を断った行為及びそれ以前の行為である。したがって,原告は,平成16年8月9日には,原告が主張する不法行為の加害者及び費用の立替え及び逸失利益が回収できないという損害の発生を賠償請求が可能な程度に知っていた。原告が被告Y2に対して本件訴訟を提起したのは平成21年8月5日であり,原告が本件訴訟において主張する被告Y2の不法行為の加害者及び損害の発生を知ってから優に3年が経過している。被告Y2は,民法724条の消滅時効を援用する。
第3  裁判所の判断
1  要約
(1)被告Y1社に対する請求について
被告Y1社が,原告に対し,①DDW事業について,a社と被告Y1社との間でのDDW商品化の合意を目的とした仲介業務,及び,②DDW以外の商品について,商品化を目的として戦略的情報提供等のコンサルティング業務,を委託するという業務委託契約が成立した事実は認められない。したがって,契約解除による損害賠償請求は理由がない。
原告がDDWあるいはDDW以外の商品の商品化等のために,被告Y1社とa社との間の仲介や被告Y1社に対する情報提供をしたとしても,それは,a社のため,またはa社の販売代理店であった原告のための業務であって,被告Y1社のための業務ではない。その業務を行う費用について被告Y1社が負担する合意は認められないし,被告Y1社のための業務ではないから,業務を行ったことを理由として,被告Y1社に対して商法512条に基づき報酬を請求することはできないし,委任又は事務管理に基づき費用の償還を請求することもできない。
(2)被告Y2に対する請求について
不法行為による損害賠償請求権の成否を検討するまでもなく,時効により権利が消滅している。また,被告Y2の行為の違法性ないし過失について検討するまでもなく,被告Y2の行為によって原告に損害が生じたとはいえない。
2  業務委託契約について
原告は,被告Y1社が,原告に対し,①DDW事業について,a社と被告Y1社との間でのDDW商品化の合意を目的とした仲介業務,及び,②DDW以外の商品について,商品化を目的として戦略的情報提供等のコンサルティング業務,を委託する業務委託契約が成立したと主張し,その根拠として上記第2の1(3)の経緯を主張し,これに沿う原告代表者の陳述書(甲30)を証拠として提出する。しかし,被告Y1社担当者との間において口頭による費用支払の合意がされた事実,及び,被告Y1社のE社長との間で報酬支払の黙示の合意が成立した事実は,いずれもこれを認めるに足る証拠がない。原告代表者の陳述書は,上記合意の成立を述べる部分は信用することができない。ほかに業務委託契約の成立を裏付ける証拠はない。
なお,原告が,立証趣旨を「被告Y2が原告に対し,DDWプロジェクトの中止を要請するとともに,未清算金及び損害の填補を約束した事実等」として提出した被告Y2作成の平成16年7月7日付け原告代表者宛書面であるとする甲46号証は,原本の存在及びその真正な成立の証明がないばかりか,本件訴訟が提起されてから1年半後にこのような証拠が提出されたことも極めて不自然であって偽造の疑いがあるため,証拠として採用しない。甲53号証の1の録音の反訳文として提出した甲53号証の2は,意図的な誤訳があるから(乙17),証拠として採用しない。
3  事実認定の根拠の説明
(1)原告とa社との代理店関係
原告は,a社との間の平成13年10月15日付け代理店契約及び平成14年4月22日付け販売代理店契約を締結している。a社は,上記契約に従って,DDWをスキンケア及びビューティケアを含む人体及び家畜に利用されることを目的とした製造方法及び製造ライン(製品等)について,原告を日本国内における独占的な販売店として指名し,その結果として,原告に対し,5年間,日本国内での製品等についての流通,マーケティング及び販売促進を行う独占的権利を許諾していた。原告は,そのことを述べたa社作成の平成16年6月22日付けの陳述書(甲37)を受け取り,これを被告Y1社に示している。
このように原告は,DDWの日本国内の独占的販売代理店であることを被告Y1社に示し,a社との間のDDWの取引に関し,原告が独占的な利益をa社との関係で保障されていることを示している。このような書面を示された被告Y1社としては,原告がa社側の代理人であると認識するのが当然であって,取引相手方の代理人に対し,自ら報酬及び費用を支払ってまで業務を委託することは,通常の取引ではあり得ないことである。
(2)秘密保持契約における契約関係の否定
原告代表者は,a社の代理人として,被告Y1社との間で,被告Y1社とa社との間の平成15年8月1日付けの秘密保持契約(甲13)及び平成16年4月7日付けの秘密保持契約の修正合意書(甲14)を取り交わしている。すなわち,秘密保持契約においても,原告代表者は,a社のために行動している。その上,秘密保持契約5条は,両当事者の関係として,本契約は,当事者間に代理店や共同経営あるいはジョイントベンチャーを成立させるものではないことを定めている。この契約の趣旨からすれば,秘密保持契約がa社に対し業務委託等の契約を生じさせるものでないし,その代理人にすぎない原告に対しても同様である。
(3)E社長に渡したビジネス合意書の書式の評価
原告が,平成16年3月9日にE社長に渡したビジネス合意書の書式(甲41の1)は,多様な業務に関わる契約書の書式にすぎず,これを原告代表者がE社長に渡したからといって,業務委託契約が成立することもないし,報酬支払合意が成立することもない。むしろ,原告は,同日,初対面のE社長に対し,「M&A仲介,プロジェクト・ファインディング,交渉,海外マネージメントチームのヘッドハンティング料金に関しまして,X社(原告)は下記のようなことをお願いしております(大部分が成功報酬ベースです)。a.(略),b.契約成立時にM&A手数料として総取引額の5%,c.加えて,M&A仲介サービスだけでなく戦略的管理および革新的プロジェクト組織スキルを要求されるリゾート/タイムシェア,スポーツ・コンプレックス/アリーナ開発プロジェクト,またはその他の新しいタイプの特殊なプロジェクトに関しては,その特別目的で設立される企業の株式の5%から10%」などと記載した書面(甲28の17頁)を渡すなどして,E社長にM&Aによる事業の多角化の提案を行っていた(甲28)。ビジネス合意書の書式を渡した目的も,このようなM&Aによる事業多角化提案に関する原告の一般的な会社業務の宣伝活動の一環にすぎないと解するのが合理的である。
(4)原告代表者の被告Y2宛の書面による自白
原告代表者は,平成16年8月6日,被告Y1社の飲料事業部長である被告Y2宛に電子メール(乙3)を送り,その中で「X社(原告)とa社は,貴殿(被告Y2)及びY1社から1円たりとももらっていません。通常,サンプルその他特殊な要請をするときは,その対価を支払います。貴殿は,支払の意思を表明することなく,また実際に支払わず,私を,今となっては全く意味の無い,様々な要求で追い立てました。」と述べている。これは,原告が行ったと主張する業務について,被告Y1社から費用支払の意思表示がなかったことを原告代表者自らが自白している証拠であり,これと矛盾する原告代表者の陳述書の記載は信用性がない。
4  商法512条の報酬請求及び事務管理による有益費償還請求について
上記3の認定事実によれば,原告が本件契約に基づいて行ったと主張する業務は,いずれもa社との間の代理店契約及び販売代理店契約に基づき,代理店をしているa社のために,又はa社から独占販売権が認められていたことによりDDWの被告Y1社に対する販売によって利益が得られる原告自らのために行ったと認めるのが相当である。DDW以外の商品等に関する情報提供等にしても,原告としては,被告Y1社のE社長に対しM&A等の原告の業務の紹介をしながら営業活動をしていたのであるから,それらも原告の営業活動として原告のために行ったものと認められ,被告Y1社のために行ったとは認められない。
したがって,被告Y1社のために行為ないし事務の管理をしたものではないから,商法512条に基づき報酬を請求することはできないし,民法697条1項の事務管理にもあたらず民法702条1項に基づく費用の償還請求をすることもできない。
5  被告Y1社に対する請求について
以上によれば,原告の被告Y1社に対する請求は,業務委託契約も報酬支払の合意もないから,契約解除による損害賠償請求は理由がない。また,費用の支払の合意もないから,民法650条1項に基づく費用償還請求も理由がない。
また,原告は被告Y1社のために行為ないし事務の管理をしたものではないから,商法512条に基づく報酬請求も,民法702条1項に基づく事務管理による有益費償還請求も理由がない。
6  被告Y2に対する請求について
原告が主張する不法行為による損害賠償請求権は,平成16年8月9日に,被告Y2が,被告Y1社の担当者として,原告代表者に対し,原告からのDDWに関わる一切の提案を断り,DDW以外の各種の提案(DDW以外の水,サワーチェリー,カムカム,ボトルキャップのアイデアなど)についても断ることを明言した通知(甲12)をしたことにより,費用の支出が無駄になり,利益が得られなくなる損害を被ったというものである。したがって,原告主張の被告Y2の行為により不法行為による損害賠償請求権が成立するか否かを検討するまでもなく,原告代表者は,上記通知がされた平成16年8月9日には,不法行為による損害賠償の請求権について,損害及び加害者を知ったと認められる。本件訴訟が提起された平成21年8月5日までに3年が経過し,その時から3年間権利を行使しなかったことにより,民法724条に基づき損害賠償請求権が時効により消滅している。
また,上記認定判断のとおり,原告は,被告Y1社に対し,損害賠償請求,報酬請求ないし費用償還請求ができる立場にないから,被告Y2の行為によって損害を被ったともいえない。
したがって,被告Y2の行為の不法行為としての違法性又は過失について検討するまでもなく,不法行為による損害賠償請求は理由がない。
(裁判長裁判官 小林久起 裁判官 中島崇 裁判官 見原涼介)

 

〈以下省略〉

 

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