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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(90)平成28年 3月24日 東京地裁 平27(ワ)4977号 業務委託料請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(90)平成28年 3月24日 東京地裁 平27(ワ)4977号 業務委託料請求事件

裁判年月日  平成28年 3月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)4977号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2016WLJPCA03248029

要旨
◆公認会計士である原告が、被告会社から、同社が出資した映画を製作した会社に対する経費の支出及び収入の管理に関する財務調査を委託され、当該業務の一部を実施したとして、被告会社に対し、同業務の委託契約における報酬特約に基づき、業務委託料308万円の支払を求めるとともに、被告会社の代表取締役である被告Y1は当初から業務委託料を支払う意思がないのに同委託契約を締結したと主張して、被告Y1に対し、会社法429条に基づき、被告会社と連帯して同額の損害賠償を求めた事案において、原告と被告会社との間には、原告が他の公認会計士らとともに本件財務調査を行い、被告会社が公認会計士1名につき1時間あたり2万円の割合の報酬を原告に支払うとの内容の業務委託契約が成立したと認めた上で、原告が受領し得る業務委託料の額を認定するとともに、被告Y1の任務懈怠を認めて、請求を全部認容した事例

参照条文
会社法429条
民法648条
民法656条

裁判年月日  平成28年 3月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)4977号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2016WLJPCA03248029

アメリカ合衆国テネシー州ギャランティン市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 森田亮介
東京都大田区〈以下省略〉
被告 株式会社ビジュアルビジョン
同代表者代表取締役 Y1
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y1
被告ら訴訟代理人弁護士 五十嵐啓二
同 飯嶋康宏
同 木下いずみ
同 村瀬敦子
同 大谷龍生

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して,308万円及びこれに対する平成25年9月20日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。
3  この判決の第1項は仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文と同じ。
第2  事案の概要
1  本件は,公認会計士である原告が,被告株式会社ビジュアルビジョン(以下「被告会社」という。)から,同社が出資した映画を製作した会社に対する経費の支出及び収入の管理に関する財務調査を委託され,当該業務の一部を実施したとして,被告会社に対し,同業務の委託契約における報酬特約に基づき,業務委託料308万円及びこれに対する催告期間経過後である平成25年9月20日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,被告会社の代表取締役である被告Y1は当初から業務委託料を支払う意思がないのに委託契約を締結したと主張して,被告Y1に対し,会社法429条に基づき,被告会社と連帯して同額の損害賠償の支払を求める事案である。被告らは,被告会社による原告への調査委託の事実を否認して争っている。
2  前提事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1)  当事者
ア 原告は,a公認会計士事務所を代表する公認会計士であり,また,平成25年5月から同年7月当時,Aが代表取締役を務める株式会社アクアキャストの顧問会計士であった(甲22,原告本人)。
イ 被告会社は,映画,アニメーションの企画,製作,輸出入,販売,貸与,配給及び上映等を業とする株式会社であり,被告Y1は,被告会社の代表取締役社長である。
(2)  被告会社は,株式会社手塚プロダクションが製作したアニメ映画「○○」(以下「本件映画」という。)に出資した。
(3)  被告会社は,平成24年8月9日,弁護士B(以下「B弁護士」という。)を代理人として,手塚プロダクションに対し,被告会社が本件映画の製作委員会委員として合計5000万円の出資営業を行ったことに対する成功報酬500万円の支払を催促するとともに,本件映画の共同製作事業契約に基づき,手塚プロダクションが保管する書類の閲覧を請求した(乙1)。
(4)  B弁護士は,平成25年5月15日(以下,平成25年中の日付については原則として年の記載を省略する。),被告会社の代理人として,手塚プロダクションに対し,かねてから本件映画の製作委員会の議事録及び手塚プロダクションにおける製作委員会の支出・収入の管理に重大な疑問があり,本件映画の製作に係る経費の使い方及び収入の管理に疑義があると指摘したが説明等を受けていないとして,手塚プロダクションが保管する本件映画の権利関係,収支に関する書類一切の閲覧請求を行った(甲2)。
(5)  被告会社は,5月23日,手塚プロダクションとの間で,本件映画製作に係る経費の使い方及び収入の管理に関する財務調査(以下「本件財務調査」という。)を行うことを合意した。
(6)  原告は,5月31日付けで,被告会社の「会長」であると称していたAに対し,見積額を380万円(消費税相当額別途)とする本件財務調査の見積書(以下「本件見積書」という)を提出した(甲4,5)。
(7)  原告,被告Y1及びAは,6月4日,B弁護士とともに,本件財務調査に関するキックオフミーティング(以下「本件ミーティング」という。)を行った。
(8)  原告は,6月6日,他の公認会計士3名,被告Y1及びB弁護士とともに手塚プロダクションに赴き,同社において実地調査を行った(以下「第1回実地調査」という。)。その調査結果について,同月20日,報告会が行われた(甲17,22,原告本人,被告会社代表者兼被告Y1本人〔以下「被告Y1本人」と表記する。〕)。
(9)  原告は,7月4日,他の公認会計士1名,被告Y1及びB弁護士とともに,手塚プロダクションに赴き,同社において実地調査を行った(以下「第2回実地調査」といい,第1回実地調査と併せて「本件各実地調査」という。甲17,22,原告本人,被告Y1本人)。
(10)  原告は,9月5日,被告会社に対し,内容証明郵便により,同日から2週間以内に,本件財務調査の業務委託報酬として308万円を支払うよう催促した。
3  争点
(1)  原告と被告会社との間の本件財務調査に関する有償委託契約の成否
(原告の主張)
ア 直接契約
原告は,被告会社の会長であるとするAから本件財務調査に関する見積書の作成を依頼され,公認会計士4名が関与し,対象会社での調査2日,事務所内での調査2日,レポーティング2日の合計6日を想定工数とする業務委託料380万円(消費税相当額別途)の本件見積書を作成してAに提出した。そして,本件ミーティングの際,原告は,被告Y1に対し,本件財務調査に係る公認会計士の時間単価が2万円であり,総見込時間が190時間であることから,業務委託料が380万円となること,委託料は作業を行った翌月末に支払ってもらいたいことを説明し,同被告から了承を得た。
これにより,原告と被告会社との間で,原告が本件財務調査を行い,被告会社がその報酬として原告に対し,公認会計士1人につき1時間あたり2万円を翌月末に支払う旨の業務委託契約が成立した。
イ B弁護士を代理人とする有権代理
被告会社は,平成24年8月9日頃,B弁護士に対し,本件財務調査に係る代理権を授与した。したがって,B弁護士は被告会社の代理人を辞任した平成25年7月18日まで,本件財務調査に関し被告会社を代理する権限を有していたところ,その期間中である平成25年6月4日,原告は,B弁護士に対し,本件財務調査の内容及び費用を説明し承諾を得た。これにより,上記アと同内容の業務委託契約が成立した。
(被告らの主張)
ア 被告Y1は原告から本件財務調査に関する業務の説明を受けたことはなく,原告と被告会社との間で本件財務調査に関する業務委託契約を締結したことはない。本件財務調査は,Aが原告に委託したものであり,被告Y1は,本件財務調査の費用はAが経営する会社において負担すると聞いており,原告から本件財務調査の費用等について説明を受け,それを承諾したことはない。なお,Aは,被告会社の「会長」ではなく,原告はAの経営する会社の顧問会計士であった。
イ 代理に関する反論
B弁護士が受任したのは,手塚プロダクションと被告会社との交渉である。同弁護士は,被告会社から,費用の発生する業務委託契約の締結権限を付与されておらず,6月4日に原告がB弁護士に対し,契約内容を説明し業務委託契約締結の了承を得たこともない。
(2)  被告会社による追認の有無
(原告の主張)
被告会社は,B弁護士を通じた手塚プロダクションに対する書類閲覧請求等について,Aから事後的に報告を受け,これを黙認していた。したがって,本件財務調査に関する原告との業務委託契約の締結がAあるいはB弁護士による無権代理行為であったとしても,被告会社はこれを追認したというべきであるから,同契約の効果は被告会社に及ぶ。
(被告らの主張)
原告の主張は,追認の対象や時点を明確にしておらず失当である。なお,被告Y1は,Aから原告が本件財務調査に参加することを知らされていたが,原告への依頼はAが行っているのであり,原告の参加が被告会社の費用負担を生じさせるとの認識を有していなかった。
(3)  表見代理の成否
(原告の主張)
原告は,被告Y1及びAと名刺交換をした際,Aから被告会社の取締役会長の肩書が記載された名刺を交付され,被告Y1もこれを容認していた。したがって会社法354条の表見代理が成立する。
(被告らの主張)
ア 被告会社は,被告会社の取締役の肩書が付されたAの名刺の作成に関与していない。同名刺は,Aが被告会社の了解なく作成したものである。
イ 上記アの名刺は本件財務調査に関連し,被告Y1の面前で交付されたものではない。原告は,以前からAと親しかったのであり,原告がAに被告会社の業務執行権限があると信じる合理的理由はない。仮に,原告がAに同権限があると信じたとすれば,十分な確認をせず信じたこととなり過失がある。
(4)  原告が受領し得る業務委託料の額
(原告の主張)
原告は,6月6日に公認会計士4名で第1回実地調査を行い,原告の事務所内での調査を経て,同月20日に被告会社に対し1回目の報告を行った。続いて,原告は,7月4日,公認会計士2名で第2回実地調査を行い,事務所内での調査を経て,同月19日に被告会社に対する2回目の報告を行う予定となっていたが,被告Y1が現われなかったことから報告ができなかった。
原告及びその関係する公認会計士が上記調査に要した時間は,6月が114時間,7月が40時間であったから,6月分の報酬228万円,7月分の報酬80万円の合計308万円となる。
(被告らの主張)
原告が本件財務調査の業務を行ったとの事実は知らない。原告から被告らが同業務について報告を受けたこともない。
(5)  被告Y1の任務懈怠を理由とする損害賠償責任の有無
(原告の主張)
被告Y1は,当初から原告に対する業務委託料を支払う意思がなかったにもかかわらず,被告会社の代表取締役として原告との業務委託契約を締結し,これにより原告は本件財務調査を行ったにもかかわらず,被告会社から報酬を受領できず,報酬相当額の損害を被った。同損害は被告Y1が被告会社の代表取締役としての任務を懈怠したことによるものであるから,同被告は損害賠償責任を負う。
第3  争点に対する判断
1  認定事実
証拠(事実毎に付記したもの及び甲22,乙2,原告本人,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる(前記前提事実を含む。)。
(1)  本件映画は,被告会社とバンダイビジュアルが各2億円を出資し,その後,手塚プロダクションが3億円の資金を調達して製作したが,出資者に対する配当はなかった(甲3)。
被告Y1は,平成24年6月頃から,被告会社の業務に当たっていた取締役から,手塚プロダクションとの間で本件映画に関する報酬支払等について紛争が生じていると伝えられ,手塚プロダクションと交渉するなどしていた。
(2)  B弁護士は,平成24年8月頃から,手塚プロダクションに対し,被告会社の代理人として,被告会社の出資営業に対する成功報酬の支払催促をするとともに,製作委員会の議事録及び手塚プロダクションにおける製作委員会の支出・収入の管理に極めて重大な疑義がある等として,本件映画の製作に係る書類の閲覧請求を行っていた。なお,被告Y1は,Aを通じてB弁護士の紹介を受け,少なくとも平成24年8月9日付け書面の送付については同弁護士の事務所に赴いて依頼を行った。
被告会社の上記要求に対し,手塚プロダクションは,被告会社の取締役らが前売券等の代金を精算しない等の問題を指摘するとともに,手塚プロダクションが本件映画に出資することとなった際に仕掛品として評価した動画がほとんど存在していなかったことが判明したとして,契約違反に基づく被告会社の責任を追及する旨告知していた。
上記を含むやりとりの結果,被告会社は,平成25年5月23日,手塚プロダクションとの間で,本件映画製作に係る経費の使い方及び収入の管理に関し本件財務調査を行うことを合意した。
(3)  平成25年当時,被告Y1は,AあるいはAが代表取締役を務めるアクアキャストに対し,多額の貸付けを行っており,その返済が遅滞していた。そのため,被告Y1は,アクアキャストをたびたび訪れていた。
他方,原告は,知人の公認会計士から紹介を受け,同年5月頃から,アクアキャストの会計及び税務業務を行っていたが,Aは被告会社の「取締役会長」の肩書を付した名刺も使用していた(甲15)。
(4)  原告は,5月下旬頃,Aから,被告Y1が出資した本件映画の経費の支出に問題があるため財務調査を依頼したい,調査期日は調査対象である手塚プロダクションとの間で6月6日に決まっている旨告げられ,同月28日頃,アクアキャストにおいてAから,被告会社の代表取締役として被告Y1の紹介を受けた。
(5)  原告は,本件財務調査に対応するため,他の公認会計士に対し協力を依頼し,5月30日ころには,3名ないし4名の協力を得られる見通しとなった。なお,この過程で,原告は,同月29日,協力を依頼したC公認会計士に対し,依頼者は被告Y1である旨を伝えるとともに,6月4日に予定されていた本件ミーティングにおいて見積書を出す予定であること,期限が不明であるのでタイムチャージとすることが考えられることを伝えた。これに対し,C公認会計士は,レートだけを事前に確定させ,チャージした時間を中間報告しながら被告Y1の様子を見ることを提案した(甲23)。
(6)  原告は,5月31日付けで,Aに対し,想定工数を手塚プロダクションにおける調査2日,原告の事務所内での調査2日,レポーンティング2日,公認会計士4名とし,調査報酬を380万円(消費税相当額別途)とする本件見積書を提出した(甲5)。
(7)  原告は,6月4日,C公認会計士とともに,アクアキャストにおいて,被告Y1,A及びB弁護士と本件財務調査に関する本件ミーティングを行った。同ミーティングにおいては,委任者側から①預金口座が手塚プロダクションの口座と区別されていないこと,②子会社と人件費を調整弁として架空経費を出している可能性が高いこと等が指摘され,裁判のためには製作のための金員の使途や「結局戻っているのか」が重要であること,資料を拒まれたものについては拒否リストとして「一筆貰う」ことが協議された上,「費用性(妥当性)」の最終判断は原告ら会計士では行わないことが確認された(甲6)。
(8)  原告は,6月6日,C公認会計士を含む公認会計士3名,被告Y1,B弁護士とともに手塚プロダクションに赴き,第1回実地調査を行った。被告Y1が経営する会社「b社」のコピー機を同社の従業員に搬入させ,帳票類のコピーを行わせるとともに,B弁護士に対し書類の内容について意見を述べるなど,主体的に調査を行っていた。なお,被告Y1は,第1回実地調査の前に手塚プロダクションに対し,守秘義務誓約書を提出した(甲17)。
(9)  第1回実地調査の結果について,同月20日,同調査に関与した原告ら公認会計士4名,被告Y1,B弁護士及びAが出席して,アクアキャストにおいて報告会が行われ,検討対象事項について実施した事項とともに,追加して検討すべき事項が報告された(甲7,19~21。なお,被告らは,被告Y1が上記報告会に出席しなかった旨主張するが,被告Y1は,同人の手帳に同報告会が予定として記載されていたことを認める供述をしており,同日に山梨県で他の予定が存在したことから出席することが困難であったとは供述するものの,その記憶は不鮮明なものに留まっている。他方,原告はC公認会計士らと出席した同報告会に被告Y1が出席していたことを明確に供述しており,本項で認定した原告Y1の本件財務調査への関与の状況,第2回実地調査が実施され,被告Y1が参加していることに照らしても,被告Y1は同報告会に出席したと認定するのが相当である。)。
(10)  原告は,7月4日,他の公認会計士1名,被告Y1及びB弁護士とともに,手塚プロダクションに赴き,第2回実地調査を行った。同調査の結果報告は,同月19日にアクアキャストにおいて予定され,原告及びAは参集したものの,被告Y1が現われなかったことから実施されなかった(甲8,9,13,14)。
(11)  原告は,第2回実地調査当日,被告Y1に対し,本件財務調査に係る業務委託契約書を交付したが,被告Y1はこれに対応せず,アクアキャストに持参した。なお,被告Y1は,上記契約書について,原告に締結の有無等の意向を表明したことはなく,Aが対応したか否かも確認したことがなかった。
(12)  原告は,7月22日,被告Y1が原告に交付した同被告の名刺に記載されていたメールアドレスに送信する方法で,被告Y1に対し,同被告が出席しなかったことから第2回実地調査の報告ができなかったことの確認を求めるとともに,契約書について異存を告げられていないので同月末日を期限に報酬請求を行う旨を通知した(甲8)。
なお,原告は,8月2日,9日及び28日にも,上記と同様の方法により,被告会社代表者である被告Y1に対し,本件財務調査の報酬を支払うよう求めた(甲10の1・2)。
(13)  B弁護士は,被告会社から本件財務調査に係る事件について着手金の支払を受けておらず,被告Y1が自らの名刺に記載しているメールアドレス等にメールを送信する方法によりこれを催促していたが,7月18日,着手金未払いを理由として,手塚プロダクションに対する書類閲覧請求等事件について,被告会社の代理人を辞任するとの意思表示を,被告会社に対し,上記方法で行った(甲13,16)。
2  争点(1)(原告と被告会社との間の本件財務調査に関する有償委託契約の成否)について
(1)  直接契約の成否について
ア 原告は,5月28日にY1と面談して本件財務調査の依頼を受け,協力を得られる公認会計士の手配をした上,6月4日の本件ミーティングにおいて,公認会計士1名につき1時間あたり2万円として報酬を算出する旨を被告会社の代表者である被告Y1に告げて承諾を得たことにより,この内容で原告と被告会社との間に有償の業務委託契約が成立したとの趣旨の供述及び陳述をする。これに対し,被告Y1は,本件ミーティングにおいて,原告から本件財務調査に原告ら公認会計士が関与することによる費用の話はなされなかった旨供述する。そこで,以下,各供述の信用性について検討する。
イ 財務調査等を業とする公認会計士が無償で本件財務調査に関与することは想定し難く,特に,本件財務調査においては,原告がC公認会計士を含む3名の公認会計士を手配しており,原告がこれらの公認会計士に対する報酬支払債務を負うこと(原告本人)からしても,原告にとっては本件財務調査を行うにあたり,依頼者との間で報酬について取り決める必要性が高かったと認められる。そして,原告は,本件ミーティングに先立ち,C公認会計士との間で,報酬について同ミーティングにおいて依頼者である被告Y1に話をする必要があるとのやり取りをし,本件見積書を作成して,被告会社の「取締役会長」であるとの肩書のある名刺を交付されていたAに送付している(認定事実(5)(6))。これらの事実からすれば,本件財務調査に関するキックオフミーティングであった本件ミーティングにC公認会計士とともに出席した原告(認定事実(7))は,同ミーティングにおいて,本件財務調査の主体である被告会社の代表者たる被告Y1に対し,原告ら公認会計士の報酬について説明したと認めるのが合理的である。そして,原告ら公認会計士が,同ミーティングの後に第1回実地調査に着手し,本件財務調査を行っていることからすれば,原告が説明した報酬について,被告Y1が承諾したと認めるのが相当である。
したがって,上記認定に沿う原告の供述には信用性が認められるが,これに反する被告Y1の供述は信用性を欠くといわざるを得ない。
ウ 上記認定によると,原告と被告会社の間には,原告が他の公認会計士らとともに本件財務調査を行い,被告会社が公認会計士1名につき1時間あたり2万円の割合の報酬を原告に支払うとの内容の業務委託契約が成立したと認められる。
エ 被告らは,被告会社が手塚プロダクションに請求していた成功報酬の金額が500万円であることから,業務委託料が380万円となるような業務委託契約を締結することはないと主張する。なるほど,認定事実(2)によれば,被告会社が手塚プロダクションに対し,上記成功報酬を請求していたとは認められる。しかしながら,B弁護士が手塚プロダクションに送付していた書面の内容や本件ミーティングにおいて依頼者側から指摘された問題点の内容からすると,本件財務調査の目的が上記成功報酬の獲得だけであったと解するには疑念がある。このことは,本件ミーティングにおいて,「費用性」については被告会社が判断することが,議事録に記載される程度に明示的に確認されていたことからも裏付けられる。
また,被告らは,被告Y1がAの経営する複数の企業に対し合計で2億円を超える金員を貸し付け,その返済が滞っていたことから,Aが被告Y1の機嫌を取り,金銭の返済を求められることを避けるため,アクアキャストにおいて本件財務調査に要する専門家の費用を支払い,手塚プロダクションとの問題を解決すると被告Y1に申し出ていたから,被告会社が本件財務調査に関与する公認会計士と有償の業務委託契約を締結することはない旨主張する。しかしながら,被告Y1のAあるいはその関係会社に対する貸金が,被告Y1の供述するように同被告が2日に1回程度,Aを訪れて返済について協議するような状態であったのであれば,Aが弁護士や公認会計士の費用に充てる金員により返済を受けるのがより合理的というべきである。加えて,被告Y1は,Aが本件財務調査を積極的に行ったのはA自身の事業のためである旨供述しており,同供述における本件財務調査の目的は,被告らの上記主張における目的から変遷している。そして,Aが手塚プロダクションの関連する事業を行う希望を有していたため,本件財務調査を積極的に行ったとの被告Y1の供述は,本件財務調査が手塚プロダクションに対する敵対的な行為であることからすると,不自然不合理であるといわざるを得ない。
したがって,被告らの上記主張は採用できない。このことは,被告Y1が本件各実地調査に参加し,Aが参加していないとの事実(認定事実(8)(10))及びB弁護士が,被告会社との間で委任契約を締結していたとの認識の下,着手金の不払いを理由に辞任したとの事実(認定事実(13))にも沿うものである。
(2)  以上のとおり,原告と被告会社との間には,有償の業務委託契約の成立が認められる。
3  争点(4)(原告が受領し得る業務委託料の額)について
証拠(甲7,9,22,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,原告及び他の公認会計士らが本件財務調査に費やした時間は,6月が114時間,7月が40時間であったと認められる。したがって,上記2で認定した業務委託契約に基づく原告の報酬額は合計308万円となり,被告会社は同金額の報酬支払義務及びこれに対する催告期間経過後である9月20日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合の遅延損害金の支払義務を負う。
4  争点(5)(被告Y1の任務懈怠を理由とする損害賠償責任の有無)について
上記2で認定説示したように,原告と被告会社との有償の業務委託契約は,原告と被告Y1とのやりとりにより成立している。したがって,被告Y1としては,原告が本件財務調査を行った場合には,被告会社が原告に対し報酬支払義務を負うことを認識していたというべきである。また,被告Y1は,自ら本件各実地調査に赴き,原告らによる報告会にも出席しているから(認定事実(8)(10)),原告が他の公認会計士とともに本件財務調査を行ったことを認識していた。
それにもかかわらず,被告Y1は,被告Y1が自らの名刺に記載している電子メールのアドレスに宛てて行われた原告の請求を認識していないと供述する。しかしながら,平成25年当時の商取引において,取引相手が電子メールアドレスを有しこれを伝えた場合には,電子メールによる連絡や請求を行うことは一般的な方法であったと解されるから,電子メールアドレスを名刺に記載しながら,同アドレスに対する請求を放置した被告Y1の行為は,被告会社の代表者として,当初から原告に対する報酬支払意思がなかったことを推認させる。また,被告Y1が原告から交付された業務委託契約書を放置したこと(認定事実(11)),代理人弁護士を通じた原告の請求にも直接対応しなかったこと(甲11,被告Y1本人)も同様に,被告Y1に上記報酬支払意思がなかったことを推認させる。
そうすると,被告Y1は,当初から報酬支払意思がなかったにもかかわらず,被告会社代表者として原告との業務委託契約を締結したことになるから,被告会社の職務を行うについて,悪意か少なくとも重大な過失により,原告に対する報酬支払を怠ったとの任務懈怠があるというべきである。
したがって,被告Y1は,同任務懈怠によって原告に生じた損害,すなわち業務委託契約に基づく報酬相当額の支払義務を負うというべきである。
5  結論
よって,原告の請求はいずれも理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 倉地真寿美)

 

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