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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(80)平成28年 7月12日 東京地裁 平27(ワ)5500号 損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(80)平成28年 7月12日 東京地裁 平27(ワ)5500号 損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)

裁判年月日  平成28年 7月12日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)5500号・平27(ワ)23174号・平27(ワ)29963号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)
裁判結果  請求棄却(第1事件)、請求棄却(第2事件)、認容(反訴)  文献番号  2016WLJPCA07128009

要旨
◆第1事件被告(被告Y1)の娘と一時交際していた第1事件原告兼第2事件原告(原告)が、被告Y1及び同被告の友人である第2事件被告(被告Y2)は、原告の勤務先を訪れ、同勤務先の社長に原告の社会的評価を貶める虚偽の内容を告げて原告の名誉を毀損するとともに、原告の中絶同意文書の作成を強要したと主張して、被告Y1及び被告Y2(被告ら)に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた(第1事件、第2事件)ところ、被告らが、原告は創作された虚偽の事実に基づく本訴を提起し、被告らは応訴による経済的負担を余儀なくされたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた(反訴)事案において、原告主張に係る被告らの各不法行為は認められないと判断して、第1事件及び第2事件に係る各請求を棄却する一方、原告が本訴で主張する事実関係はその根拠を欠くものであるだけでなく、原告においてそのことを知っていたが、仮に認識していなかったとしても、通常人であれば容易に知り得たものと認められるから、第1事件及び第2事件に係る提訴は不法行為を構成するとして、反訴請求を認容した事例

参照条文
民法709条
民法710条

裁判年月日  平成28年 7月12日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)5500号・平27(ワ)23174号・平27(ワ)29963号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)
裁判結果  請求棄却(第1事件)、請求棄却(第2事件)、認容(反訴)  文献番号  2016WLJPCA07128009

平成27年(ワ)第5500号損害賠償請求事件(以下「第1事件」という。)、
平成27年(ワ)第23174号損害賠償請求事件(以下「第2事件」といい、第1事件と併せていうときは単に「本訴」という。)、
平成27年(ワ)第29963号損害賠償請求事件(以下「反訴」という。)

東京都港区〈以下省略〉
本訴原告(反訴被告) X(以下単に「原告」という。)
同訴訟代理人弁護士 谷井秀夫
同 髙橋祥子
千葉県木更津市〈以下省略〉
第1事件被告(反訴原告) Y1(以下「被告Y1」という。)
長野県佐久市〈以下省略〉
第2事件被告(反訴原告) Y2(以下「被告Y2」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 岩﨑精孝

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  原告は、被告Y1に対し、191万1600円及び内63万7200円に対しては平成27年10月28日から、内127万4400円に対しては被告Y1に対する本判決確定の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告は、被告Y2に対し、110万1600円及び内36万7200円に対しては平成27年10月28日から、内73万4400円に対しては被告Y2に対する本判決確定の日の翌日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  訴訟費用は、本訴、反訴を通じて原告の負担とする。
5  この判決は、第2項及び第3項に限り、仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
被告Y1は、原告に対し、1000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成27年3月8日)から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2  第2事件
被告Y2は、原告に対し、被告Y1と連帯して、500万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成27年8月29日)から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
3  反訴
主文第2項及び第3項に同旨
第2  事案の概要等
1  事案の概要
本件は、原告と被告Y1の娘が一時交際し、同女が妊娠したことに端を発する紛争である。
本訴は、被告らが原告の勤務先を訪れ、同勤務先の社長に原告の社会的評価を貶める虚偽の内容を告げて原告の名誉を毀損するとともに、原告を脅迫して中絶同意文書の作成を強要した不法行為を行ったとして、原告が被告らに対し、その損害の賠償としての慰謝料の支払いを求めた事案である。
反訴は、被告らが、原告は創作された虚偽の事実に基づく訴訟(本訴)を提起するという不法行為を行い、これにより被告らは応訴による経済的負担を余儀なくされたとして、その損害の賠償を求めた事案である。
2  前提事実
当事者間に争いのない事実のほか、証拠(事実ごとに後掲)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実として、以下の事実が認められる。
(1)  当事者
原告は、平成26年4月当時、訴外a株式会社(以下「a社」という。)に勤務していた昭和39年生まれの男性である。原告は、同年3月頃まで、訴外A(以下「A」という。)と交際していた人物である。
被告Y1は、Aの実父であり、訴外株式会社bに勤務する会社員である。
被告Y2は、訴外株式会社cの代表取締役であり、被告Y1の旧来の友人である。
(2)  原告とAの関係
原告とAは、インターネットの出会い系サイトで知り合い、平成25年12月19日より交際するようになり、平成26年2月11日にはAの妊娠が発覚した。
Aは、同年3月末頃、中絶することを決心し、その後堕胎手術を行った。
第3  争点及びこれについての当事者の主張
1  本訴について
【原告の主張】
(1) 被告らの不法行為について
ア 被告Y1は、平成26年4月2日、スキンヘッドで一見して反社会的勢力のような風貌の被告Y2を引き連れて、原告が勤務していたa社に突然押しかけ、社長に対して、原告がAを妊娠させたなどと非難し、原告が妊娠の事実が発覚した途端にAへの連絡を途絶したなどと虚偽の事実を申立て、会社がそのような人物を雇っていることを外部に言いふらすなどと強弁し、原告を解雇するよう要求し、さらには原告に中絶の同意文書を作成させるように要求した。
原告は、被告らがa社を出た後、社長に呼び出され、被告らの突然の訪問について伝えられ、個人的な問題について被告Y1が屈強な男性を引き連れて勤務先の社長の元に突然押しかけたという事態に驚愕するとともに恐怖を感じた。
被告Y1は、Aより原告の住所及び電話番号を聞いて把握していたし、Aは原告の自宅マンションの鍵を持っていたのであるから、原告に言いたいことがあれば原告に電話するなり自宅を訪問すればよく、勤務先のa社を訪れる必要は全くない。被告らは、原告に社会的制裁を加えるという明確な悪意をもって原告の勤務先を訪問したものである。
イ 原告は、自宅の鍵をAに渡したままだと被告らに何をされるか分からないと怯え、被告らがa社を立ち去った直後、Aに対してマンションの鍵を返すようメールを打ち、さらにAの携帯電話の留守電に、勤務先には絶対に来ないよう、自宅の鍵を直ちに返すようメッセージを残した。
すると程なくして、被告Y1はa社の社長に電話をかけ、原告が中絶の同意文書を書き、それとの交換でなければ鍵は返さないと通告した。原告はこの報告を受け、これ以上被告らに勤務先に押しかけられてはたまらないと怯え、また鍵を持たれたままだといかなる被害が生じるか分からないと危惧したため、子供を望んでいたにもかかわらず、被告らの要求に応じ、意思に反して中絶の同意文書を作成した。
ウ 平成26年4月4日、被告Y1は中絶の同意文書を受け取るため、再び人相の悪い屈強な被告Y2と共にa社に押しかけた。
被告Y1は、a社の社長から、原告が強要され作成した中絶同意文書を受け取り、社長に原告の自宅マンションの鍵を渡した。原告は社長から自宅マンションの鍵を返してもらったが、その際、被告Y1が会社のビルの1階ロビーで原告に会いたいと言っていると聞かされた。そこで原告が1階ロビーに降りると、被告らが待っており、社長を通じて中絶の同意文書を受け取っていたにもかかわらず、さらに原告に対し、産婦人科所定の中絶同意書に必要事項を記載するよう要求した。原告がこれを断ると、被告Y1は、「どうやってこのことを終わらせるつもりだ。」、「それなりのものを出せ。」と金銭の要求をした。
原告が、どうしてAと話をさせないのですかと尋ねると、被告Y2は、「そんなことは関係ない。」、「お前が悪いんだから責任をとれ。」と、一方的に原告を恫喝した。さらに、被告Y1は、「お前の住所も分かっているんだ。」、「外を歩くときには気をつけろ。」と脅迫した。原告は強い恐怖を感じ、しばらくは道を歩くのも怖く、平静でいられない状況であった。
エ このとおり、被告Y1は、原告への直接の連絡手段がありながら、あえて反社会的勢力に属すると思しき被告Y2を連れ添って原告の勤務先に押しかけ、原告の社会的評価を貶める事実に反する内容を原告の勤務先の社長に告げて原告の名誉を棄損しただけでなく、原告を脅迫し、原告に中絶同意文書の作成を強要した。被告らは明確な悪意をもってかかる行為に及んだのであり、これは不法行為を構成する。
オ 被告らは、Aをして人工中絶手術を受けざるを得ない状況に追い込んだと主張するが、事実に反する。
原告は、Aとの間に子供が出来たことを大変喜んでいたものであり、中絶するよう追い込んだことは一切ないし、Aに自宅マンションの鍵を渡していつでも入ってよいと伝えていた。一方で、Aは母親になるとの自覚が薄かったため、原告はたびたび母親になることの自覚を持つように注意していた。原告が平成26年4月2日にAに送信したメールもかかる趣旨である。
(2) 損害について
ア 原告は、Aと真剣に交際しており、生まれてくる子供を楽しみにしていたにもかかわらず、被告Y1に中絶同意文書の作成を強要された結果、中絶が行われ、子供を失うこととなり、筆舌に尽くし難い精神的苦痛を被った。
そして、原告は、a社にて年俸1200万円(月額基本給100万円)を得ていたが、被告らの行動が原因となり、平成26年5月30日にa社から解雇を言い渡された。被告らの行為がなければ、原告は、同年6月から平成27年2月まで900万円以上の給与を受けていたが(このほか2月には業績連動賞与の支給がある)、これを得られず、多大な経済的損害を被ることとなった。
原告は多大な精神的損害及び経済的損害を受けており、その損害額は1000万円(被告Y2との関係では500万円)を下ることはない。
イ 被告らは、原告がa社を被告として別途提起した地位確認等請求訴訟(東京地方裁判所平成26年(ワ)第30166号事件。以下「別件労働訴訟」という。)におけるa社の主張内容から、原告がa社から解雇されたのは被告Y1がa社にAの件を伝えたこととは関係がない旨主張する。
しかし、a社が述べる解雇理由は合理的理由なく変遷しており、被告らの行動に起因する解雇理由以外の理由は、a社が無理やり作り上げたものであり、その前提となる事実自体全く存在しない。
【被告らの主張】
被告らは、原告に対する不法行為を行っていない。
(1) 不法行為について
ア 被告Y1は、平成26年4月頃、娘のAから、原告との交際の経緯及び妊娠中期に入っている事実を聞かされ、原告とAとのメールを見せられた。その内容は、意思の疎通が十分でなかったこと、原告が話し合いに後ろ向きだったことをうかがわせるものであった。原告が、避妊を怠り、妊娠させ、産むかどうか決断する時期を過ぎてなお、自分の意思を明確に示さず、同居も入籍も、会社の保険への加入すら拒否していたとの説明を聞き、被告Y1は激しい憤りを感じた。
こうしたときに、Aから、相手から非難されるばかりで十分な話し合いができないと相談され、経緯を詳しく聞くに至ったものである。客観的にみれば原告が何かを隠しており、妊娠が必ずしも望むタイミングではなかったことが感じられ、どこまでが本当の話なのか分からなかったし、Aから同年3月に子供を産まないならリミットが一週間しかない旨連絡していたにもかかわらず、その返答すらなかった。
そのため被告Y1は、原告がAにとって幸せな結婚、出産がかなう相手ではないと判断し、人工妊娠中絶の同意書を原告に書いてもらうことのみを考え、もっとも迅速かつ確実に同意書を入手できる方法を検討した。
イ 被告Y1は、原告のマンションへ行くことも考えたが、原告とは面識もなく、鍵を渡されていたAですら警察に通報すると原告に言われている状況で、しかもAより原告のマンションの鍵は二つあり、Aが渡されている鍵だけでは入ることができないと聞かされている中で、どうすれば同意書を受け取れるかを思案し、Aの身体に悪影響を及ぼす可能性が大きくなっていた時期であり、緊急事態であったので、原告の勤務するa社に電話をかけることとした。
a社では、人事担当者であった訴外B(以下「B」という。)が対応してくれた。被告Y1はBに、あくまでもプライベートな相談であるので内密に処理して欲しい旨お断りし、事情を電話にて丁寧に説明した。さらに、会社には迷惑をかけたくないので、直接の訪問は避けたいこと、個人的に原告に金銭を要求したり自分から訴えを起こす意思がないことも併せて述べた。
ウ その結果、a社が事情を理解して対応してくれ、a社が原告に同意書を作成させてくれることとなった。
しかし、原告は、その後の保身を考えたのか、ワープロで同意書を作成し、シャチハタ印を押すという誠意の全く感じられない書面を会社に提出した。これにはa社もあきれてしまい、「役に立たないですね」といってくれた。そこで被告Y1は、原告が書いたものであるという会社の証明という形をお願いし、a社も快く了解してくれ、原告作成の同意書にa社代表者のC(以下「C」という。)が原告から同意書を受領したことを証明する文書を添付してくれた。
被告Y1は、これを受領するため、平成26年4月4日に初めてa社を訪れた。
エ 平成26年4月4日、被告Y1は、勤務先会社の取引先の代表取締役である被告Y2と商談していた。被告Y1と被告Y2は以前同じ勤務先であったことのある十年来の友人であったため、被告Y1は被告Y2にAの件の経緯を話し、これから中絶の同意書を受け取りに行く予定であることを伝えた。
被告Y2は、被告Y1が娘のAがひどい目に遭っていることから感情的になり、a社の人々に迷惑のかかるような行動に出ないように注意するととともに、友人として見守るために同席したい旨被告Y1に申し出た。被告Y1はこれを了承して、二人でa社に赴いた。
オ 被告らは、a社が入居するビルの1階ロビーでBと面談し、被告Y1がBより中絶同意書の交付を受け、被告Y1はAから預かっていた原告のマンションの鍵を原告に渡して頂きたいといってBに交付した。この時被告Y1は、Bから、せっかく会社を訪問したのであるから、原告を呼びましょうかと言われ、「本人にその意思があるのならお願いします。」と答えた。この際、被告Y2は何も発言せずただ立ち会っていた。
しばらくして、原告が1階ロビーに姿を現したので、被告Y1は原告に対し、Aの件についてどうするつもりなのか聞いたところ、原告は「親権者でもないあなたに話す必要はない。」と答えた。これを聞いて被告Y2は、原告に対し「それはないでしょう。」と発言したところ、原告は被告Y2に対し、「お前なんか関係ない。」といって、その場を逃げるように立ち去ってしまった。
カ 原告と被告Y1及び被告Y2が面談したのはこの平成26年4月4日の時だけであり、またその際のやり取りも上記のとおりであり、他には全くない。原告は、同月2日に被告両名がa社に押しかけ、Cに対し、原告が被告Y1の娘を妊娠させたなどと非難した旨主張しているが、そのような事実は全くない。
また、原告は、a社の入居するビルの1階ロビーで面談した際、被告Y1が産婦人科所定の中絶同意書に必要事項を記載するよう要求したとか、「どうやってこのことを終わらせるつもりだ。」、「それなりのものを出せ。」と金銭を要求したなどと主張しているが、原告は上記オのやり取りをした後、逃げるように姿を消したのであり、原告の主張するようなやり取りは一切ない。被告Y2の発言も同様である。
ゆえに、原告の主張は全くの事実無根の主張であり、虚偽の事実を創作しているもので、不法行為は成立しない。
(2) 損害について
争う。
なお、原告は、被告らの行動が原因となってa社から解雇された旨主張するが、別件労働訴訟におけるa社の主張を見ると、a社は原告を解雇した理由として、原告が所属していたポストが廃止され他にポストがないこと、原告の能力不足が確認されたこと、入社時の経歴等詐称等を挙げている。被告Y1がa社にAの件を伝えたことにより解雇されたとの主張は誤りである。
2  反訴について
【被告らの主張】
(1) 原告は、本訴について、上記1の【原告の主張】欄のとおりの主張を行っている。
しかし、本訴における原告の主張は事実に反する。第一に、被告らは平成26年4月2日には原告の勤務先会社を訪問していない。第二に、同月4日には同会社を訪問はしたものの、上記1【被告らの主張】のとおり、原告の主張するような脅迫行為は一切行っていない。
さらに原告は、被告らが勤務先を訪問したことにより解雇されたなどと主張しているが、原告が勤務先を解雇されたのは別の理由によるものである。
したがって、原告の本訴請求は創作された虚偽の事実に基づく訴訟であり、本訴の提起そのものが被告ら両名に対する不法行為を構成するものである。
(2) 被告らは、原告の提起した本訴に応訴するため、以下のとおり弁護士を訴訟代理人として訴訟手続を依頼し、委任契約を締結してそれぞれ着手金を支払った。これは、原告の不当な訴訟提起により負担させられた費用であり、上記不法行為により被告らが被った損害である。
ア 被告Y1について
着手金:63万7200円(消費税含む、以下同様)
成功報酬:127万4400円
合計:191万1600円
イ 被告Y2について
着手金:36万7200円
成功報酬:73万4400円
合計:110万1600円
(3) よって、被告らは、原告に対し、
ア 被告Y1については、上記損害金合計191万1600円及び内63万7200円に対しては反訴状送達の日の翌日(平成27年10月28日)より、内127万4400円に対しては勝訴判決確定の日の翌日よりそれぞれ民事法定利率年5分の割合による遅延損害金
イ 被告Y2については、上記損害金合計110万1600円及び内36万7200円に対しては反訴状送達の日の翌日(平成27年10月28日)より、内73万4400円に対しては勝訴判決確定の日の翌日よりそれぞれ民事法定利率年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める。
【原告の主張】
争う。
事実関係は上記1【原告の主張】のとおりであり、正当な訴訟である。
第4  当裁判所の判断
1  認定事実等
(1)  認定できる事実
上記第2の2記載の前提事実に加え、証拠(被告Y1本人、被告Y2本人、乙5の1及び2、8ないし10の3のほか、事実ごとに後掲)によれば、以下の事実が認められる。なお、以下において、月日の記載は特に断りなき限り平成26年のそれを指す。
ア 被告Y1は、3月下旬ころから、Aから、原告と交際するに至った経緯、原告の子を妊娠しているが、原告に対する不信感から人工中絶手術をせざるを得ない状況に追い込まれているという話を聞かされた。Aは、交際して妊娠し、結婚まで考えていた相手である原告が、Aからの相談にまともに対応してくれず、何かを隠している様子であり、原告に対する不信感を募らせ絶望したとして、被告Y1に相談したとのことであった。
4月1日までに、被告Y1は、原告とやり取りした下記のメールをAから見せられた(甲2、3、乙2、3)。
(ア) 3月24日午後4時43分、Aが「今日家に行くね。会って話したいから。」とメールしたのに対し、原告は、「何時に来るの?事前に言われてなかったから別の鍵をかけたと思うから家には入れないよ」と返信した。
(イ) 4月1日午前1時40分、Aが「ママがXさんに連絡してるみたいだけどなんで一緒に住めないのか、ということと早くおばあちゃんに挨拶に行けってことと、Xさんの戸籍謄本がまだ来てない、ということだったよ。なんで一緒に・・・に関しては2人で話すから待ってて。とは言って、おばあちゃんに挨拶も、Xさんの体調が良くないから。と言ってあるよ。ただ戸籍謄本がないことで怒ってるみたいで、Xさんの家調べて行くかもって言ってたよ。これも止めてるんだけど・・・ママは本当にやりかねないから、戸籍謄本のことだけよろしくね。」とメールしたところ、原告は、同日午前7時45分、「なんで一緒に住めないって、Aがいつも帰ってるからじゃないの?私から帰れなんて言ったことないよ。言ってる意味がわからないんだけど。おばあさんの挨拶は、直ぐには行けないって言ったはずだよ。戸籍は、私だってもらってないよ。お母さんからの電話は、Aにも電話したけど、Aと連絡取れないから私の家に居るかって留守電が入っていて、そんな内容じゃないよ。それは、Aに電話した時も言ったはずだけど。なんか全然話が噛み合わないし疲れて来たんだけど・・・Aは、仕事していないけど私は働いてしかも家事とかもしてるんだよ!」と返信した。
次いで、Aが同日午前8時24分、「もうXさんの家に住み始めていいの?もちろん帰るのはいつもわたしの意思だけど、本当に住み始めていいなら、荷物も送っていい?おばあちゃんの件は私からも言ってるから大丈夫!ママは3日に戸籍謄本取りに行くって言ってたから、Xさんも準備はしておいて。ママから電話は、おとといじゃなくて、昨日の夜は来てたかな一と思って!昨日来てないならいいの。ごめんね。疲れてるときにごめんね。昨日はわたしも木更津に行くのでXさんに会って話せなかったから。直接会って話した方がいいよね。Xさんの都合のいいときに話しに行くから、いい日を教えて!」とメールしたところ、原告は、同日午後零時42分、「いつも荷物送って良いって言うけど、どんな荷物か、どの位の量かって聞いてないんだけど。遅い時間に電話されても寝てるって言っておいて。戸籍なんか取りに行ってる暇ないよ!営業で勝手に出歩けるのとは違うんだよ!何度も言ってるけど鍵渡してるから事前に言えばいつでもこれるでしょ!もうやめよう!」と返信した。
イ Aからの説明を聞くとともに、上記メールを見た被告Y1は、結婚する予定の相手方のものとはとても考えられず、また原告が避妊を怠りAを妊娠させ、産むかどうかの決断をする時期も過ぎているのに自分の意思を明確にせず、同居も入籍も会社の保険への加入すら拒否していると聞かされたことで、原告の態度に激しい憤りを感じた。Aは被告Y1に、非難されるばかりで十分な話し合いができないと訴え、3月に子供を産まないならもうリミットが一週間しかない旨連絡したにもかかわらず、その返答すらなかった旨説明した。
被告Y1は、原告がAにとって幸せな結婚出産がかなう相手ではないと判断し、人工中絶手術をするしかない旨Aに助言した。そして、原告から中絶の同意を書面でもらっておく必要があると考え、Aが妊娠中期に入っていることから、迅速かつ確実に原告から同意書を入手する方法を検討した。Aからは原告のマンションの鍵は二つあり、Aが渡されている鍵だけでは入れないと聞かされていたこともあり、緊急を要すると考え、原告の勤務する会社に、あくまでもプライベートな相談であるので内密にしてほしいという前提で電話することとした。
ウ 4月1日、被告Y1はa社に架電し、人事責任者につないでほしい旨述べた。これを受けたのはBであったが、電話口の声色からただならぬ雰囲気を感じ、自席から社内の個室に移動した上、被告Y1の話を聞くこととした。
Bが要件を確認したところ、被告Y1は、「お宅の男性社員が女性トラブルを起こしている。そのような人物を雇い入れ、トラブルを放置しておくという会社の態度はいかがなものか。御社における社員教育はどうなっているのかなどの点も含め、御社の人事責任者と話がしたい。」といった趣旨のことを述べた。Bは、会社が従業員の個人的な問題に立ち入ることはないこと、その男性社員がa社の従業員かどうか分からず、内容が真実かどうかも分からないため電話をつなぐことができない旨を伝えたところ、被告Y1は、「会社へ電話したことが該当社員に伝わり、妨害されると困るので、対象社員名とトラブルの内容はまだ話せない。しかし御社の社員であることは間違いないし、名前も把握している。直接会社に出向いてもいいが、いきなり会社に来られても都合が悪いだろうと思い電話をしている。」と述べた。そこでBは、再度、会社では従業員の個人的問題に関与はしないため個人間で解決して欲しい旨話をしたところ、被告Y1は、「当事者間では解決できない、話し合いにならない状態に陥っている。そもそも御社の対象社員が誠意ある対応をせず、誹謗中傷ともとれる発言をしており、その女性は大変困惑している」と述べた。ここで被告Y1は、自身の名前が「Y1」であることと、連絡先として被告Y1の携帯電話の番号をBに伝え、Bは上席の者に報告・相談した上で改めて連絡することを被告Y1に伝えたうえで、いったん電話を切った。
Bは役員室に赴き、Cに被告Y1からの電話の内容を報告してCと話し合い、その場で以前依頼したことのあるD弁護士(以下「D弁護士」という。)に架電して対応方法を仰ぐこととした。D弁護士は、会社又は従業員への嫌がらせ等も考えられるが、後々問題が発生する可能性もあるので放置せず、問題の従業員の氏名及びトラブルの内容を確認し、慎重に対応するべき旨助言した。これを受けて、Bが引き続き対応することとなり、同日午後3時頃、Bが被告Y1の携帯電話に架電した。
Bは、従業員のプライベートな問題には立ち入れないことを改めて伝えたが、被告Y1は、従業員のプライベートな問題には会社が対応できないことは十分承知の上だが、その上でなんとか対応して欲しい旨答えた。そこでBが、対象従業員、トラブル内容、要望事項を確認したいと伝えたところ、被告Y1は、これから弁護士に相談に行くのでまだ対象従業員名は明かせないとしつつも、a社従業員が交際中の女性を妊娠させているにもかかわらず、話し合いもせず侮辱的な態度をとるなど誠意ある対応がとられず、a社従業員と当該女性との間で正常に話ができないため、仕方なく会社に電話したこと、当該従業員の心無い対応に当該女性は心身ともに弱っている上、当該女性だけでなく自分に対しても侮辱的な発言をしているため、当該従業員からは適切な対応が取られないと判断し、今回連絡に至ったことを述べた。被告Y1は、法的措置も検討しているが、妊娠週数が進んでいるため中絶手術をするには早急な対応が必要なので連絡をしている旨述べたため、Bは改めて被告Y1に問題の従業員の名前を問うたが、被告Y1は弁護士に相談・検討した上で再度連絡すると応じた。Bはこの時点で、被告Y1の電話での話し方や対応から、いたずらや嫌がらせではないと判断し、社内でさらに検討するため、該当従業員名がa社のマネージングディレクターのE(以下「E」という。)でないことを被告Y1に確認した上で電話を切った。
その後Bは、電話の内容をC及びEに報告し、対象の人物が誰であるのか、a社のレピュテーションを侵害する問題に発展しないか等様々な視点から検討した。この後CとEとで会社としての対応を検討することとなり、Bはその場を外れた。
エ 4月1日午後10時31分、Aは、原告に「パパが怒っててかなりまずいことになってるから、明日行くね。」とメールした。
これに対し原告は、同月2日午前6時51分、「そんなの当たり前だろ!前にも言ったけど、普段何してる、の?ブラブラしてるだけ?親としての自覚がなさ過ぎるから、もう産むのやめたら?自分では、現実的に行動してるとか口だけで、結果的にA以外の皆が迷惑してるだけじゃない!わかってるの?只の自分勝手な言動を繰返してるだけじゃない!最低な人間だよ!」と返信した。
オ 4月2日、被告Y1はa社に架電し、Bが対応した。Bはやはり個人的な問題は当事者間で解決して欲しい旨を述べたが、被告Y1は、当事者間で問題が解決できない状態であり、妊娠週数が進んでいるため時間がない旨答えた。そこでBは、ある程度会社が関与することもやむを得ないと判断し、対象従業員の名前と今回の連絡の趣旨を確認し、問題の人物が本当にa社の従業員であるのか、本人はその妊娠の事実を知っているのかを被告Y1に問うたところ、被告Y1は、女性本人が妊娠後当該従業員にも妊娠の事実を伝え、母子手帳に名前も記載しているので間違いないとのことで、当該従業員は原告であること、当該女性はAであることを述べた。被告Y1は、親として原告のAに対する心無い言動を考えて中絶を勧めており、今の段階では同月5日に手術することを検討しているが、そのためには手術までにパートナーの中絶同意書が必要であり、原告本人の自署・捺印した書面を取得するため協力して欲しいこと、Aはまだ迷いもあり、原告が結婚の可能性も語っていたようなので、できれば原告の意向も確認して欲しい旨を述べた。
そこでBは、被告Y1からの電話だけではその話が事実だとは確認できないので、原告に事実関係とその意向を確認した上で必要最低限の協力をする旨伝えた。被告Y1は、「それはもちろんそうですよね。ぜひ本人に確認してください。見ず知らずの人からの電話を根拠なく信じてもらえるとは思っていません。ただし時間があまりないので、早急にお願いしたい。」と答えた。この際被告Y1は、原告は独身か、実は既婚者で結婚できない理由があるのではないかと尋ねた。被告Y1は、原告の対応が30代後半の大人の対応として疑問だと述べており、Bは原告の年齢について被告Y1が誤った認識をしていると理解したが、原告の婚姻歴及び年齢については回答しなかった。被告Y1は手術前の4月4日までに中絶同意書が手元に欲しいと述べていた。これらのやりとりをする中で、Bは、被告Y1から当初はa社に対する厳しい発言があったものの、次第に冷静かつ紳士的な口調に変化していたことから、原告に対する嫌がらせ目的ではなく、問題が解決できず切羽詰って困り果てたうえで電話してきたのだと感じた。
Bは被告Y1からの電話を切った後、被告Y1から聞いたトラブルの内容や中絶同意書の作成を要望されていることをCに報告した。その後Cは、役員室に原告を呼び、原告に事実確認を行った。原告は、Aとの交際及びAの妊娠の事実を認め、Aとは結婚を考えたが、Aの母親に反対されて以降話は進まずAとも会っていない、中絶同意書を作成することに異存はないが、Aにマンションの鍵を預けているので回収したい、被告Y1には会いたくないので同意書と鍵の交換はa社で行いたい旨を述べた。Cは原告を退室させた後、Bを役員室に呼び、その旨をBに伝えた。
カ 4月2日午後4時21分、原告はAに対し、「今日、私の家の鍵を返しに来て。勝手にマンションには、入らないで、入ってたら警察に通報するから。鍵を返しに来なくても警察に盗難届をだすから。何時に来る?」とメールした。
キ 4月3日午後、原告はCに中絶同意書を交付した。しかし、それは原告自身の名前も含め前文がパソコンで作成されており、相手方名の記載も原告本人の自署もないうえ、捺印はシャチハタ印と非常に簡素な書面であった(甲1)。Cは、これでは本人確認も同意書の有効性も疑わしいので、被告Y1やAは納得しないのではないかと原告に尋ね、中絶に同意しているのであればAの氏名を記載し、自ら署名し、シャチハタ印ではない印鑑で捺印したほうが良いのではないかと提案したが、原告は「この書面に相手が記入すればいい、これでいい。」と言って中絶同意書の作り直しを拒否した。Cはその後、役員室にBを呼び、かかる経緯を説明した上、Cが原告本人から預かったことを証明する方法を検討した結果、原本証明書を付すことにした旨を述べ、被告Y1にこれを連絡するようBに指示した。
Bは被告Y1の携帯電話に架電し、中絶同意書を原告から取得したこと、ただしその内容は上記のようなものであることを被告Y1に伝えたところ、被告Y1も、原告から受領したことが分かるようにしてほしい旨要望した。Bは、a社の代表者であるCが原本証明を付す予定であることを伝え、被告Y1は、「代表の方にまで迷惑を掛けて申し訳ありません。」と詫びたうえで、「明日取りに伺って良いでしょうか。」と尋ねた。Bは、個人的な問題で会社に来られるのは困るので、社外でのやり取りとしたいこと、原告からマンションの鍵の返却を要望されていることを伝えて、当日はa社が入居するビルの1階ロビーに到着したら連絡するよう被告Y1に頼んで電話を切った。この後Bは架電内容をCに報告し、Cは原本証明書を作成した(乙1)。
ク 4月4日午後、被告Y1は勤務先会社の取引先として株式会社cの代表取締役である被告Y2と商談のため面会した。被告Y1と被告Y2は以前に同じ会社に勤務していたこともある友人であったことから、被告Y1はAと原告の件を被告Y2に話し、この後原告の勤務先のa社へ中絶同意書の交付を受けに行く予定であることを話した。被告Y2が詳しい話を聞くと、被告Y1はAが原告にひどい目に遭っている旨を語り、被告Y1が父親として原告の対応に激しい憤りを感じていることが感じられた。
そこで被告Y2は、被告Y1がa社に行って、感情的になってa社の方に迷惑を掛けるような行動に出ないようアドバイスをするとともに、心配なので友人として見守りたいと述べたところ、被告Y1は被告Y2にa社への同行を求め、被告Y2もこれに応じて二人でa社に赴くこととした。
ケ 4月4日の夕方、被告らはa社の入居するビルに赴き、1階ロビーでBに架電した。Bは役員室に行ってCに被告Y1が到着した旨を報告し、Cから中絶同意書及び原本証明書を受領し、これを手に1階ロビーに赴いた。
Bが1階ロビーに赴くと、被告Y1は「Bさんですか、初めまして、Y1と申します、この度はお手数をお掛けしまして申し訳ありません。」と挨拶した。Bも被告Y1に挨拶するとともに被告Y2に会釈し、被告Y1は、Bに被告Y2を紹介した。この際、被告Y2はBに会釈は返したが、発言はしなかった。なお、この時の被告Y2は、平均的な人相の40ないし50代の男性で、身長170センチメートル弱程度の中肉中背、サラリーマン風の地味なスーツを着用しており、Bにとっても人相が悪く屈強な容貌と感じることはなく、反社会的勢力の関係者であると疑うようなことはなかった。
Bは預かっていた原本証明書と中絶同意書を、「内容を確認してください」と言って被告Y1に渡し、被告Y1から原告の自宅マンションの鍵を受け取った。被告Y1は、原本証明書が付された中絶同意書を見て、「確かにこれでは本人が書いたかどうか分かりませんね、社長さんにまでご迷惑を掛けて申し訳ありません。可能であれば本人に会って直接、最終的な意思を確認したいと思ってます。その上で自署してもらえないかと思い同意書を持ってきたんです。」といった趣旨のことを述べた。Bが、「では呼んできましょうか。」と言ったところ、被告Y1は「お願いします」と答えたため、Bは「本人が拒否した場合はまたご連絡します。私はここで失礼します。」と述べてa社に戻った。
戻った後、Bは被告Y1の意向をCに報告し、Cに原告の自宅マンションの鍵を渡した。Cは役員室に原告を呼び、被告Y1が原告に会いたい意向であることを伝えたところ、原告は「わかりました。」といってすんなり下りて行った。
コ 被告らが1階ロビーでしばらく待っていたところ、原告が姿を現した。被告Y1は、原告に対し、「娘の件、どうするつもりなのか」と問うたところ、原告は「親権者でもないあなたに話す必要はない」と応じた。これを見た被告Y2が、原告があまりにも不誠実な態度と感じ、「それはないでしょう」と言ったところ、原告は「お前なんか関係ない」と言って、その場を逃げるように立ち去った。その後、原告はa社に戻り、普段どおりの様子で通常業務に戻った。なお、原告がa社の自席を立ってから、1階ロビーに赴き、再び自席に戻るまでの時間は10分程度であった。
同日午後6時半頃、Bは、原告本人の意向確認ができたか否かを確認し、被告Y1が持参した同意書に原告が自署したのであれば、Cが作成した原本証明書は返却してもらおうと考え、被告Y1に架電した。被告Y1は、原告とは初対面であるにもかかわらず、原告は被告Y1を認識するなり、目を吊り上げ、挨拶もせずに「こんなところまで来やがって」という雰囲気で、「お前には親権がないから関係ない」などと激昂していたため取りつく島もなく、妊娠中絶に対する原告の意向を確認できないまま面会は終わってしまった、大人としての対応をしてもらえず非常に残念な結果になった旨をBに述べた。
同日午後7時頃、業務を終え帰宅準備をしていたBに、原告が「今日は変な人が来ちゃったねえ。」と笑いながら話しかけた。Bが「変な人ですか、変な人ではないと思いますが・・・」と応じると、原告は「いやー、昔から女運が悪くてさあ・・」と続けた。Bは「女運が悪い、ですか・・・」と答えたものの、それ以上の会話に困り、原告からの返答もなかったため、早々に帰宅した。この際、原告に怯えている様子や不安な面持ちなどは見られなかった。
サ 4月9日、Cが原告と面談した際、Aとの件について確認したところ、原告は「全て解決した」と答えた。
(2)  補足説明
本件においては、原告が不法行為の請求原因として挙げる被告らの行為の有無等について原告と被告らの供述するところに大きな差異があるため、以下において、上記のとおり認定した理由を補足して説明する。
ア まず、被告Y1(乙8、被告Y1本人)及び被告Y2(乙9、被告Y2本人)の供述は、4月4日に被告Y1と被告Y2が同行することになった経緯から、a社の入居するビルの1階ロビーでの出来事についてほぼすべて合致している。特に被告Y2については尋問時の供述態度もごく自然であり、反対尋問にも全く揺らぐところはみられない。
ただし、被告らは本件の当事者本人であり、一般的に信用性を肯定するには慎重な検討が必要であるから、他の証拠との整合性等について検討する必要がある。
イ この観点で見るに、本件においては、当時原告が勤務していたa社の代表者であるC(乙10の1、3)及び従業員であったB(乙10の2)の陳述書が存在する。
C及びBの上記陳述書における供述(主としてBの供述)は、本来a社として関与することのない原告とAの交際及び妊娠にまつわる件について、a社として関与することになった経緯から、被告Y1とのやり取りの推移、原告の言動等について自然かつ合理的に説明されている。これらの陳述書は原告とa社の間の雇用契約の終了の是非が問題となった別件労働訴訟において提出されたものであることは当裁判所に顕著であるところ、別件労働訴訟においてa社は原告とAの件を原告の解雇理由として挙げていないのであるから、(原告にとってはともかく)a社にとっては原告とAとの件について虚偽の供述をなす動機は認められない。
加えて、本件においては、原告が作成した中絶同意書(甲1)及びCが作成した原本証明書(乙1)が存在するところ、C及びBの供述は、この作成経緯を合理的に説明できている。すなわち、中絶同意書はワープロソフトで「同意書 母体保護法第14条による人工妊娠中絶手術を行うことに同意いたしました。なお、当該手術にかかる以後の経過については一切苦情を申しません。」とのみ印字されたうえで、原告の氏名が印字され、そこにシャチハタ印あるいは三文判と思しき原告の名字「X」の印が捺印されたものであり、一見して原告本人が作成したものであるかどうか疑問を抱いても不思議ではない体裁のものであるだけでなく、原本証明書については、このような形式の書面自体通常作成されることが考え難いものであり、加えて(Bが繰り返し述べているように)本来会社が従業員個人のプライベートな問題に関与することはないと考えられるにもかかわらず、a社の代表取締役たる地位にあるCが自署して作成しているという、稀有なものであるといえる。このような書面がなぜ存在するのかについて、C及びBの供述は合理的な説明がなしえているものであり、逆に言えばこれらの供述以外にこのような書面の存在及び作成経緯を合理的に説明することは困難と考えられる。
これらの点に照らせば、C及びBの供述には信用性が認められる。
ウ そして、被告らの供述も、C及びB、殊にBの供述とおよそ一致ないし合致している。とくに被告Y2については、上記のとおり被告Y1の供述と合致しているだけでなく、Bの供述とも全く矛盾なく一致している。
なお、被告Y1の供述は、a社に架電した最初の時点から、原告の氏名をBに伝えたか否か、その際a社の責任を問うかのような発言をしたか、平成26年4月4日にa社の入居するビル1階のロビーでBと会った際、原告の作成した中絶同意書について、これでは原告が作成したか否かわからないので原告と面会したい旨をBに述べたか否か等、いくらかの点で合致していない点が認められる。これらの点については、上記(1)記載の認定事実(以下単に「認定事実」という。)ア及びイのとおりAから事情を聴き、原告からAへのメールを見せられるなどして、被告Y1はAの父親として強く憤慨しており(後述のとおり、これらのメールについては原告の不誠実な態度が強くうかがわれるものであり、被告Y1が憤慨したこと自体は無理からぬところである)、Bも被告Y1がa社に架電してきた当初は強く憤慨していたこと、被告Y2も4月4日当日被告Y1が強く憤慨していたことを述べていること等に照らせば、被告Y1自身が述べるとおり(被告Y1本人27頁)内心は強い怒りを抱きつつも冷静に務めていたつもりの被告Y1と、実際には抑えきれない心情が表に現れていたのを目にしたBとの受け取り方の相違が主たる原因と考えられる。ゆえに、客観的な事実関係については、Bの供述のほうが信用性に優るものと認められる。
また、被告Y1の供述では、認定事実ア(ア)及び(イ)のメールのほか、認定事実カ記載のメールをも見たうえで、a社に架電したかのように述べているが、Bの供述等に照らして被告Y1が最初にa社に架電したのは4月1日と認められるから、認定事実カ記載のメールをこの時点で被告Y1が見ていたとは考えられず、これは事後に見たものと認められる。
エ これに対し、原告の供述(甲14、18、原告本人)には、全く信用性が認められない。
(ア) まず、原告の供述が被告らの供述と主要な点で一致していない点はおくとしても、C及びBの供述とも主要な点で一致せず、矛盾している。
原告は、4月4日のみならず、4月2日にも被告Y1及び被告Y2がa社に突然押しかけ、Cに対して、原告がAを妊娠させたなどと非難し、妊娠が発覚した途端にAへの連絡を途絶したなどと虚偽の事実を申し立て、a社がそのような人物を雇っていることを外部に言いふらすなどと述べ、原告を解雇するよう要求したなどと述べる(甲14・2頁)が、上記のとおり被告らはそもそも4月2日にa社を訪れていないことは、Bも述べているとおりであるし、4月2日の時点では被告Y1もBと電話で話す中で冷静かつ紳士的な応対をしていた旨Bは述べているのであり、全く矛盾している。
原告は本人尋問においては、被告らが来たことを自身は確認していないことを認め、Cから被告らが押しかけてきたことを聞かされたなどと供述を変遷させている(原告本人14頁)が、変遷の内容も大きく、その理由も何ら述べられていない。かかる状況で陳述書(甲14)に上記のように記載していることは、原告が自身で体験していないにもかかわらず、被告らを悪しざまに見せんと虚偽あるいは少なくとも誇張した事実を述べるという原告の姿勢が表れていると見ざるを得ない。
(イ) また原告は、4月2日にCから被告Y1が会社に押しかけたことを聞かされた後、Aに自宅の鍵を返すようメールしたところ、その後被告Y1から再度a社に電話があり、中絶同意書を書かなければ鍵は返さないと言われたと述べている(甲14・3頁、原告本人5頁)。しかし、Bは、この日被告Y1からの電話の内容をCに報告し、Cから原告に事実確認を行って以降に、さらに被告Y1からa社に電話があったとは述べていない。むしろ、中絶同意書と鍵の交換は原告が要求した旨を述べているのであり、この点もBの供述と矛盾する。
この点も、被告Y1からの架電の事実やその内容等は原告が直接体験した事実ではないにもかかわらず、また事実と異なると考えられるにもかかわらず、原告がかく述べていることは、被告Y1の悪質性を強調せんがために、事実と異なる供述を行っていることをうかがわせる。
(ウ) 原告が作成した中絶同意書についても、原告が述べるところでは、上記イのとおり非常に奇異といえる中絶同意書及び原本証明書の存在を説明できず、これら客観的証拠と合致しない。
原告は、上記のとおり被告Y1から種々脅され恐怖心を感じ、強制されて中絶同意書を作成したことを強調している(原告本人6頁等)。しかし、中絶同意書は上記イのとおり、ごく単純な文章を印字した上、シャチハタ印あるいは三文判を押しただけのものである。原告が自身で述べるほどの社会人経験を有する人物なのであれば、自署や実印での押印が重要視されるものであり、これが本人確認の面で疑問を持たれるであろうことや、誠実さを疑われるおそれのあるものであることは容易に認識できたはずである。まして、原告が述べるとおり恐怖心を感じて作成したというのであれば、このような相手をより怒らせかねない中絶同意書を作成することは到底考え難いところである。原本証明書がなぜ作成されたのか、原告の述べるところからでは全く説明できないことを併せ鑑みても、この点もまた原告の供述の信用性を大きく減殺する点である。
(エ) この点を始め、原告は、被告らから脅迫された、恐怖を感じ中絶同意書の作成を強制されたなどと強調するものであるが、実際には原告は上記のような同意書を作成するだけでなく、一見して反社会的勢力と思しき人物らから脅迫されたなどとしながら、実際には警察に届け出ることもなく(この点は原告も自認している。原告本人16頁)、Bの述べるところではBに対して「今日は変な人が来ちゃったねえ。」と笑いながら話しかけるなどしているというのであり、整合しないこと甚だしい。
原告と被告らが話す等していた時間についても、Bは、原告は1階に下りて行ってから10分ほどで戻ってきた旨述べているところであり、原告が供述するとおりの被告らによる脅迫なり恫喝なりがあったのだとすると、この時間で原告が戻ってこられるとは考え難い。
(オ) 被告Y2に関しても、原告は、原告にとって被告Y2の氏名が判明する前から、「スキンヘッドの人相が悪く屈強な男性」、「反社会的勢力に属すると思しき人物」などと評し(訴状3、5頁)、氏名が判明した後も、「体格がよくスキンヘッドであり、一見すると反社会的勢力のような風貌」(平成27年8月20日付け第2準備書面1頁)などと主張し、その旨述べている(甲14・4頁)。
しかし、原告のいう「一見すると反社会的勢力のような風貌」がどういった外見を指すのか不明であるが、被告Y2はBが称するところでも「平均的な人相の40ないし50代の男性で、身長170センチメートル弱程度の中肉中背、サラリーマン風の地味なスーツを着用しており、Bにとっても人相が悪く屈強な容貌と感じることはなく、反社会的勢力の関係者であると疑うようなことはなかった」というものであり、「平均的な人相の40ないし50代の男性で、身長170センチメートル弱程度の中肉中背」という点は多くの者が共感するであろうことは当裁判所にも顕著である。
原告は本人尋問においては、被告Y2をみて「たぶんそうだと思う」と被告Y2であることを肯定しつつ(原告本人7頁)、ただだいぶ痩せており、当時はもっと体格がよかった旨述べるが(原告本人12頁)、原告が4月4日時点との違いとして挙げるのはこの点だけであるし、被告Y2が太っただけで「一見すると反社会的勢力のような風貌」になるなどとは考え難いところである(なお、被告Y2自身は、当時と比して痩せていない旨述べている。被告Y2本人11頁)。
結局この点も、原告が被告らの悪性を強調せんがために、被告Y2の風貌について虚偽ないし誇張して表現したものの、実際の被告Y2の風貌とはかけ離れたものとなってしまっているものと見るのが自然である。
(カ) このほか、原告は、Aの妊娠を喜び、Aとの結婚を望んでいた、Aが一方的に中絶を決めたため失望したなどと述べるが、この点についても信用できないというほかはない。
原告はAに対し、自宅の鍵を渡しており自由に行き来できるようにしていたかのごとく述べていたが(甲14・4頁)、実際には自宅の鍵を二つ取り付けており、Aが自由に行き来をすることはできなかったものである。また、Bの述べるところによれば、原告は4月2日にCから被告Y1の要望等を伝えられた際、Aを思いやる発言や中絶手術を拒否する発言は全くなく、自分の自宅の鍵の回収を真っ先に心配する原告に対し失望した気持ちになったとのことであり、これも原告の述べるAに対する姿勢とは相容れない。これらの点に代表されるように、原告が強調する点と実際には大きな隔たりが存する部分が見られる。
4月2日までの時点での原告とAとの間のメールのやり取りは認定事実ア、エ及びカのとおりであるが、原告がAに送信したメールは、その文面だけから見ても、妊娠中期を迎えて人工中絶手術の適応が限界に近づいている時期の、自身も結婚と出産を望んでいたはずの女性に対するものとしては、あまりにも配慮を欠くものと言わざるを得ない。のみならず、認定事実エのとおり、Cを通じて被告Y1からの連絡等の事実を聞く以前の時点から、原告は「親としての自覚がなさ過ぎるから、もう産むのやめたら?」などと、Aに中絶を勧めるかのような文面のメールを送信しているものである。原告は、Aに母親になる自覚を持ってほしい等の理由からかかる文面のメールを送ったかのごとく述べるが(原告本人4頁)、これを虚偽であるとはいわないとしても、外部に現れた文面がおよそ配慮を感じさせないものであることは上記のとおりである。
認定事実ア(イ)のとおりの4月1日のメールのやり取りを見るに、原告は、Aの態度のここかしこに対してAを非難しているが、殊に戸籍の点については強い拒否反応を示している節がうかがわれる。結婚を考えている相手ないしその親であれば、婚姻歴等を確認するため戸籍を求めても不自然ではないと考えられるが、原告がこれに拒否反応を示していることは、原告がAに対して婚姻歴や前婚時の子供の有無等についてAに対して偽りの事実を告げ、あるいは真実を告げていなかったことをうかがわせるところ、原告もAに独身だと告げていたこと、子供がいることを話していなかったことは認めている(原告本人12、13頁)。一般的な独身女性が結婚の是非を判断する際に、婚姻歴及び前婚時の子供の有無が重要な要素となることは公知の事実であるところ、原告はその自認するところでも自宅に飾っていた乳児の写真をAが見た際、流産した際の子供だと説明している(原告本人17頁)にとどまるのであって(当然であるが、流産したのであれば乳児の写真が残っているはずもないから、これは死産した子ではなく別の子すなわち元妻との間の長女の写真としか考えられないところであり、そうすると原告は虚偽の説明をAにしたことになる。)、被告Y1がAから聞いていたように、Aが原告は隠し事をしているとして不信感を抱いても無理はない。
原告とAの出会いの契機であるサイトについても、原告はAが原告に対して提起した別件訴訟(東京地方裁判所平成26年(ワ)第20216号損害賠償請求事件。以下「別件損害賠償訴訟」という。)において、以前同サイトを利用していた際のプロフィールをそのまま利用する形で再登録した旨述べていたようであるが(甲4・9頁)、この種のサイトはアクセスするたびに自身のプロフィールが表示されるものであり、自身のプロフィールと実際との齟齬について幾度となく認識する機会があると考えられるところ、原告はa社の従業員と飲酒する際、結婚に縁がなかったと婚姻歴自体を偽るかの如き発言をしていること(乙10の2・3頁)、原告は元妻と婚姻する以前にも同サイトを利用しており利用歴があること(甲4・9頁)、原告は別件損害賠償訴訟において元妻と離婚すること自体は確定的であるという認識で同サイトに再登録した旨述べているようであり(甲4・9頁)、同サイト上のプロフィールとの形式上の齟齬について意識はしていたことがうかがわれること等からすれば、少なくとも子供の有無については同サイトのプロフィールが虚偽の表示となっていることは認識していたことがうかがわれる。上記のとおりの原告のAに対する態度と併せ考慮すれば、原告にAと結婚する意志がなかったとまで断言するものではないにしても、Aに対して子供の有無を偽るなど、結婚しようとする女性に対して誠意ある態度をとり続けていたかのごとく述べる原告の供述に疑問を抱かざるを得ないことは自明の理である。
(キ) 以上のとおり、原告の供述は、その供述内容自体も不自然不合理な点が多々見られるだけでなく、これと合致し、裏付ける証拠はほぼ存在せず、合致しない、あるいは矛盾する証拠が多々存するところであり、全体として信用性を認めることはできないというほかはない。
オ かかる検討から、上記(1)のとおりの事実を認定するに至るものである。
2  本訴について
(1)  上記の認定事実からすれば、まず原告が不法行為の請求原因として挙げる、「被告Y1が、原告への直接の連絡手段がありながら、あえて反社会的勢力に属すると思しき被告Y2を連れ添って原告の勤務先に押しかけ、原告の社会的評価を貶める事実に反する内容を原告の勤務先の社長らに告げて原告の名誉を棄損しただけでなく、原告を脅迫し、原告に中絶同意文書の作成を強要した」などといった事実は到底認めることができないことは明らかである。
まず、被告らが4月2日にa社を訪問していないことは上記のとおりである。被告Y1は、4月1日よりa社に架電しているところ、当初は原告及びその雇用主であるa社を非難するかのように(Bにとっては)受け取れる言動があったものの、Bとやり取りするうちに冷静さを取り戻して紳士的な対応をするようになり、BひいてはCも被告Y1のかかる態度を信用し、a社として対応することとしたと認められるものであるし、被告Y1の要望は一貫して原告から中絶同意書を取得することに尽きるといえるから、これらの点に社会的相当性を逸脱するような違法な点があったと認めることはできないというほかはない。
次いで、4月4日の出来事についても、認められるのは認定事実ケ及びコのとおりであり、被告らが原告を脅迫したとか経済的給付を要求したといった事実は全く認められない。被告Y1においては、Aの件についてどう責任を取るつもりかといった発言をしたにすぎず、発言内容自体についてもその経緯を見ても、これが社会的相当性を逸脱する違法なものであったと認められないのは同様である。被告Y2においては、原告が「親権者でもないあなたに話す必要はない」と応じたのをみて、原告があまりにも不誠実な態度と感じ、「それはないでしょう」と述べたにすぎず、何ら違法又は不当な点は認められない。
(2)  よって、その余の点を判断するまでもなく、本訴については理由がない。
3  反訴について
(1)  民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和60年(オ)第122号・昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁)。
(2)  これにつき本件を見るに、原告が不法行為に基づく損害賠償請求権の請求原因として主張した事実関係は、上記のとおりその根拠を欠くものであるだけでなく、その根拠を欠く理由は、4月2日に被告らがa社を訪れて原告を誹謗するなどしたであるとか、4月4日に原告を脅したり経済的給付を要求したなどといった、単純な事実の有無にかかるものであり、特に困難な法律的評価を含むものでは全くない。
さらに、上記1(2)エで述べたとおり、原告は、4月2日の件などに代表されるように、自身が体験した事実ですらないにもかかわらず、4月2日に被告らがa社を訪れて原告を誹謗中傷したなどと断ずる主張及び供述をなすであるとか、被告Y2の風貌を一見して反社会的勢力に属する人物と思しきなどと(実際にはそうでないことは多くの者に明らかであるにもかかわらず)断定するなど、被告らに対する悪評化を印象づけんと虚偽ないし極端な誇張と解される主張を重ねているものであり、これを裏付ける証拠が全く存しないのも上記のとおりである。
これら原告の主張及び供述の態度からは、原告が自身の非は一切認めず、相手方を(虚偽ないし誇張をしてでも)貶めて、悪しざまに見せんとする姿勢がうかがわれるといわざるをえない。そして、かかる原告の人間性は、C及びBの陳述書においても、原告が婚姻歴や職歴、公認会計士資格について詐称していたである(原告は本件においてもこれについて弁解しているが、少なくとも全て正直に説明しなかったことの理由足りえるものではない。)とか、原告は自身の非を認めず、反省せず、高圧的な態度を取ったり一方的に相手を非難したり、不貞腐れる態度をとるなどといった原告の人間性に対する記述が見られることとも合致する。
本件についても、原告は4月9日の時点ではCに「全て解決した」と報告し、その後被告らに何かしらの請求をした節は全くうかがわれないが、Aから別件損害賠償訴訟が提起され、また原告がa社に対して別件労働訴訟を提起した後、本件訴訟が提起された経緯、別件労働訴訟においてa社がA及び被告Y1の件を解雇事由として主張していないにもかかわらず、本訴を提起してその損害に関する主張の中でこの件により解雇されたとしていることからすれば、原告はこれら二つの別件訴訟が提起され、訴訟対応をする中で、感情の矛先を被告らに向け、上記のとおり根拠を欠くにも関わらず本訴を提起したと見るのが自然である。
(3)  以上からすると、原告が本訴において主張する事実関係は、その根拠を欠くものであるだけでなく、原告においてもそのことを知っていたか、仮に知っていなかった(認識していなかった)としてもそれは上記のような原告の人間性が原因であり、通常人であれば容易に知り得たものと認められる。
にもかかわらず、原告は上記のような理由から本訴を提起したものであり、これは訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められる。
ゆえに、本訴の提起は不法行為を構成すると認めるのが相当である。
(4)  そして、証拠(乙6の1ないし9)及び弁論の全趣旨によれば、被告らはこれにより被告ら代理人弁護士を訴訟代理人として応訴することを余儀なくされ、以下のとおりの支出をせざるを得なくなったものと認められる。
なお、これらの損害のうち、着手金はすでに被告らが支払っており現実の損害として生じているのに対して、成功報酬は後に支払うべきものであるから、これについては将来請求と認められるが、上記のような原告の訴訟態度に鑑みれば、本件訴訟の終了後に債務名義なくして請求しても応じないであろうことは明らかであるから、あらかじめその請求をする必要があることは優に認められる。
ア 被告Y1について
着手金:63万7200円(消費税含む、以下同様)
成功報酬:127万4400円
合計:191万1600円
イ 被告Y2について
着手金:36万7200円
成功報酬:73万4400円
合計:110万1600円
(5)  以上より、反訴請求についてはいずれも理由がある。
4  まとめ
よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、被告らの反訴請求についてはいずれも理由があるからこれを認容し、訴訟費用について民事訴訟法61条、仮執行宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 中野達也)

 

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