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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(60)平成29年 1月19日 大阪地裁 平28(わ)617号 詐欺被告事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(60)平成29年 1月19日 大阪地裁 平28(わ)617号 詐欺被告事件

裁判年月日  平成29年 1月19日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(わ)617号・平28(わ)977号・平28(わ)1858号
事件名  詐欺被告事件
文献番号  2017WLJPCA01196005

裁判年月日  平成29年 1月19日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(わ)617号・平28(わ)977号・平28(わ)1858号
事件名  詐欺被告事件
文献番号  2017WLJPCA01196005

上記の者に対する詐欺被告事件について,当裁判所は,検察官長田浩則,弁護人後藤貞人(主任),同陳愛(いずれも私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。

 

 

主文

被告人を懲役2年4月に処する。
未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。

 

理由

(罪となるべき事実)
被告人は,コンピュータシステムの開発等を営む株式会社「a(a,以下「a社」という)」の代表取締役であった者であるが,コンピュータシステムの販売等を営む株式会社「b(b,以下「b社」という)」の当時の代表取締役Aらと共謀の上,成功報酬型広告であるアフィリエイトの仲介業を営むことを可能とする「○○」と称するアプリケーションソフト(以下「○○」という)の販売代金等の名目で現金をだまし取ろうと考え
第1  (平成28年3月15日付け起訴状記載の公訴事実)
平成26年7月中旬頃,大阪市〈以下省略〉cビル301号室当時のa社事務所において,B(当時22歳)に対し,真実は,○○は完成していないのに,その情を秘し,被告人らが,あたかも○○が完成しているように装い,b社と加盟店契約を締結し,契約金75万6000円を支払えば○○の引渡しを受け,アフィリエイトの仲介業を開始できるなどとうそを言い,前記Bに○○が完成していると誤信させ,よって,同月16日頃,同所において,同社勧誘員として営業販売活動等に従事していたCが,前記Bから上記契約金として現金75万6000円の交付を受け
第2  (平成28年5月19日付け起訴状記載の公訴事実第1)
平成26年9月4日,前記cビル301号室において,D(当時30歳)に対し,真実は,○○は完成していないのに,その情を秘し,b社勧誘員として営業販売活動等に従事していたEらが,あたかも○○が完成しているように装い,b社と加盟店契約を締結し,契約金75万6000円を支払えば,○○の引渡しを受け,アフィリエイトの仲介業を開始できるなどとうそを言い,前記Dに○○が完成していると誤信させ,よって,同日,同所において,前記Eが,前記Dから上記契約金として現金75万6000円の交付を受け
第3  (平成28年2月23日付け起訴状記載の公訴事実)
平成26年11月26日頃,前記cビル502号室当時のb社事務所において,F(当時20歳)に対し,真実は,○○は完成していないのに,その情を秘し,前記Aらが,あたかも○○が完成しているように装い,b社と加盟店契約を締結し,契約金75万6000円を支払えば○○の引渡しを受け,アフィリエイトの仲介業を開始できるなどとうそを言い,前記Fに○○が完成していると誤信させ,よって,同日頃,同所において,同社勧誘員として営業販売活動等に従事していたGが,前記Fから上記契約金として現金75万6000円の交付を受け
第4(平成28年5月19日付け起訴状記載の公訴事実第2)
平成26年11月27日,前記cビル502号室当時のb社事務所において,H(当時20歳)に対し,真実は,○○は完成していないのに,その情を秘し,前記Aらが,あたかも○○が完成しているように装い,b社と加盟店契約を締結し,契約金75万6000円を支払えば,○○の引渡しを受け,アフィリエイトの仲介業を開始できるなどとうそを言い,前記Hに○○が完成していると誤信させ,よって,同日,同所において,前記Gが,前記Hから上記契約金として現金75万6000円の交付を受け
もってそれぞれ人を欺いて財物を交付させたものである。
(証拠の標目)(括弧内の番号は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠の番号を示す。)
判示全事実について
・被告人の公判供述
・証人I,同A及び同Jの各公判供述
・Aの検察官調書(甲9(不同意部分を除く))
・Jの警察官調書(甲7,8(いずれも不同意部分を除く))
・Iの検察官調書(甲16ないし19(いずれも不同意部分を除く))
・捜査報告書謄本(甲46)
・検証調書謄本(甲14)
・実況見分調書謄本(甲15)
・登記事項全部証明書(甲5,6)
判示第1及び第3の各事実について
・被告人の警察官調書(乙2ないし5,7)
・Kの検察官調書(甲10)
・Gの検察官調書(甲11)
・捜査報告書(甲12,13(謄本))
判示第1の事実について
・被告人の警察官調書(乙8)
・Lの警察官調書(甲25,26)
・Cの警察官調書(甲27,28(いずれも不同意部分を除く))
・Bの検察官調書(甲21)
・捜査報告書(甲22(謄本),23,24)
判示第2の事実について
・被告人の警察官調書(乙9)
・Mの警察官調書(甲38,39)
・Eの警察官調書(甲40(不同意部分を除く),41)
・Dの検察官調書(甲36)及び警察官調書(甲34)
・捜査報告書(甲30ないし33,35,37)
判示第3の事実について
・Fの検察官調書(甲1,2)
・捜査報告書(甲3,4,29)
判示第4の事実について
・Nの警察官調書(甲45)
・Hの検察官調書(甲44)及び警察官調書(甲43)
・捜査報告書(甲42)
(事実認定の補足説明)
1  判示各事実について,各犯行時に○○が完成していなかったにもかかわらず,被告人及び共犯者らが,これが完成しているように装い,○○の販売代金等の名目で現金をだまし取ったことは,関係各証拠により明らかであり,当事者間に争いはない。
本件の争点は,判示各事実につき,被告人が○○を完成させて確実に引き渡す意思及び能力があったか否かであるので,以下検討する。
2  関係各証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)  被告人は,平成25年3月頃,I(以下「I」という)に対し,アフィリエイト(成功報酬型広告)ソフトの開発を依頼した。そのソフトの内容は,「△△」という大手会社が運営するアフィリエイトサービスを個人でもできるようにするものであり,Iは,開発費用として約270万円,開発期間として約半年と見積もり,平成25年10月頃には完成する見込みである旨述べた。
被告人は,同年6月までに,Iに対し,○○の開発費用として少なくとも60万円を支払った。
(2)  Iは,被告人から依頼されたアフィリエイトソフト(○○)について希望する仕様を聞き取り,その仕組みを分析した上で,「△△」のようなアフィリエイトサービスを実現し,○○会員に販売手数料を支払えるようにするためには,○○がアフィリエイター管理機能,広告管理機能,手数料管理機能,販売機能及び決済機能を備え,かつ,これらをシステムとしてつなげることで,掲載する商品と販売場所,その商品が誰の紹介で買われたものであるかを把握できるようにする必要がある,したがって,システムを構築するに当たり,商品情報,販売場所及び決済方法をあらかじめ決めておく必要があると考え,これらについて被告人に指示を求めた。
(3)  Iは,平成25年6月4日,被告人に対し,○○の開発に関する見積書を送付するとともに,要件定義(被告人が希望する仕様に必要な機能)の概要を提案し,同年7月中には,○○の仕様等に関して被告人と打合せを行った。
(4)  被告人は,同年8月2日,開発費用として60万円を追加して支払った。
(5)  Iは,同年8月7日及び同月26日,被告人にメールを送信し,○○で取り扱う商品の情報やキャッチコピーの提供を求めた。これに対し,被告人が,同年9月20日,○○のキャッチコピーのみを送信したため,Iは,同年9月24日,再度商品情報(正式商品名,販売価格,アフィリエイト額・率等)の提供を求めた。
他方,被告人は,Iとの打合せの中で,個人でアフィリエイトセンターを持っことの一番のメリットは,自分で販売する商品を決められることにあり,あらかじめ商品を決定してしまったら○○を販売する意味がない,○○の開発に当たり,商品情報を決定する必要はないなどと述べた。
(6)  Iは,同年9月下旬ないし10月上旬頃,被告人と打ち合わせを行い,○○の画面確認用のプロトタイプを作成して提示するとともに,○○のフロントエンドソフト(○○の利用を開始する際に使用するソフトウエア。以下「○○-FE」という)の作成を提案した。
(7)  Iは,さらに被告人と打ち合わせを行い,同年10月15日には,被告人に対し,決済方法である□□の法人口座の開設と,アフィリエイト商品としての「○○」の正価・アフィリエイト報酬利率または額の指示を依頼する旨のメールを送信した。
他方,被告人は,Iに対し,決済方法については,会員個人が直接□□やその他の決済代行会社を選択できるようなシステムにしたいとの要望を述べた。
(8)  被告人は,追加の開発費用として,同年8月から10月までの間に30万円を,同年10月16日に10万円をそれぞれ支払った。
(9)  Iは,遅くとも同年11月3日までに,○○-FEのデータを被告人に渡した。その後,Iの下に○○初期設定の申請メールが届くようになったため,Iは,同月5日及び14日,被告人に対し,顧客(○○購入者)であるか否かの確認を求める旨のメールを送信した。
(10)  平成26年1月末頃,被告人がIに電話をかけたことをきっかけとして,○○の開発に関する打合せが行われた。そして,Iは,同年3月9日,被告人に対し,以後の○○の開発手順を提案する旨のメールを送信した。
(11)  被告人は,同年3月14日,Iに対し,追加の開発費用として15万円を支払った。
(12)  Iは,被告人に対し,同年6月15日,○○のASPページ申込みサイトのURLを送信した。
(13)  被告人は,同年12月13日,Iに対し,「お久しぶりです」などとメールを送信した。
3  以上の事実を前提に,被告人が○○を完成させ確実に引き渡す意思及び能力があったか否かについて検討する。
(1)  まず,被告人は,平成25年3月頃に○○の開発をIに依頼した後,○○の仕様等について打合せを重ね,複数回にわたって少なくない額の開発費用を支払ったのであり,途中,期間が空くことはあったものの,平成26年3月9日にIから○○の開発手順について提案があり,これを受け,被告人が同月14日には開発費用を追加して支払い,同年6月15日には,Iから被告人に○○の申込みサイトのURLが送信されていることから,この頃,被告人には,○○を開発し,これを販売し引き渡す意思があったと認められる。
それ以降,本件各犯行が行われるまでの間に,被告人とIとの間で○○の開発に関してやりとりがあったことを示す証拠はなく,かえって,被告人が,同年12月13日,Iに「お久しぶりです」とメールを送信していることからすると,この間,○○の開発が進んでいたとは考え難いが,一方で,被告人またはIにおいて,○○の開発を中止・中断したとまでは認め難い。そうすると,同年6月15日以降,被告人の内心において,○○を完成させようという意欲が薄れていた可能性は否定できないが,本件各犯行時(同年7月から11月頃)において,被告人が○○を完成させこれを確実に引き渡す意思を失っていたと認めるには合理的な疑いが残る。
加えて,Iの供述等の関係証拠を踏まえても,被告人が○○を完成させることが不可能であったとまでは認められず,被告人が○○を完成させこれを確実に引き渡す能力がなかったともいえない。
(2)  これに対し,検察官は,被告人が○○の完成に必要な行為を全く行っていなかったことから,これを完成させて確実に引き渡す意思も能力もなかった旨主張する。
確かに,Iから被告人に対し,○○で販売する商品の情報や決済方法を決定するよう依頼したが,被告人はこれを決定しなかったと認められる。
しかしながら,Iの供述内容を検討すると,Iにおいては,被告人から聞き取った○○の仕組みを実現するためには,商品情報や決済方法を決定しておく方がよいと考えて,その旨提案したものと認められるが,他の要件定義のし方やそれに基づく設計がおよそあり得なかったか否かは明らかでなく,商品情報や決済方法をあらかじめ決定していないASPの存在もうかがわれることからすると,商品情報及び決済方法を決定することが,○○の完成に必要な行為であったと認めるには疑いが残る。
また,前記のとおり,被告人は,会員個人が商品及び決済方法を選択できるようにするASPの開発を目指していたため,これらを被告人において決定することをしなかったと認められる。よって,被告人には,商品情報及び決済方法の決定が○○の完成に必要な行為であるとの認識がなかったために,これをしなかったにすぎない。
そうであると,被告人が商品情報及び決済方法を決定することが,○○の完成に必要な行為であるとも,被告人が必要な行為と認識していながらそれをしなかったともいえず,検察官の主張は採用できない。
(3)  以上より,判示各事実のとおり認定した。
(法令の適用)
罰条 いずれも刑法60条,246条1項
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数算入 刑法21条
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
1  本件は,コンピュータシステムの開発等を営む会社の代表取締役であった被告人が,共犯者らと共謀の上,○○が完成していないのに,これが完成しているように装うなどして,○○の販売代金等の名目で被害者4名から現金をだまし取った事案である。
2(1)  本件各犯行は,○○の開発を行うa社の代表取締役である被告人,○○の販売を行うb社の代表取締役であるA及び勧誘員らによって行われた組織的犯行であり,代金を支払えば,○○を利用して金を稼ぐことができるなどと言葉巧みに申し向けて現金をだまし取ったもので,その態様は悪質である。
そして,被告人らは,4か月余りの間に4名から300万円余りの現金をだまし取ったもので,被害額は高額に上っており,常習的な犯行であるといえる。
なお,被告人らは,被害者らとの加盟店契約に基づき,インターネットビジネスに関する資料を提供したり,セミナーを開催したりするなどのサービスを提供していたことが認められる。しかし,被害者らに対する欺罔文言や加盟店契約書の内容からすれば,同契約の中心はソフトウエアとしての○○の販売にあり,その他のサービスは○○が完成しており,それを利用できることを前提とするものであって,被害者らも,○○が完成しておりそれを利用できると誤信したからこそ,その販売代金を支払ったと認められるのであるから,他のサービスが提供されていたことは,大きく刑を下げるべき事情とはならないというべきである。
(2)  被告人が直接欺罔行為を行ったのはBのみであるが,被告人は,○○の発案者として,その開発や販売において中心的な立場にあり,本件各犯行においても主導的な役割を果たしたと認められる。
(3)  被告人は,○○が完成していないことを認識していながら,これが完成しているように装って販売したものであるが,○○が完成しなかった原因が何であったにせよ,○○の完成を待ってから,あるいは,未完成であることを明示して販売することをせず,詐欺という手段を選択したことについて非難を免れないというべきであり,その動機や経緯に特に酌むべき事情は認められない。
(4)  以上からすれば,被告人の刑事責任は相応に重い。
3  しかしながら,他方で,被告人が被害者らに対して被害額全額を支払って示談が成立し,被害者らが被告人を宥恕していること,被告人が各事実をおおむね認め,更生への意欲を述べたこと,被告人の母が出廷し,今後の監督を誓約したこと,前科前歴がないことなど,被告人のために酌むべき事情も認められる。
そこで,以上の事情を総合考慮し,被告人を主文の刑に処した上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(求刑 懲役2年6月)
平成29年1月19日
大阪地方裁判所第5刑事部
(裁判官 大久保優子)

 

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