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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(53)平成29年 3月10日 東京地裁 平27(ワ)35955号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(53)平成29年 3月10日 東京地裁 平27(ワ)35955号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年 3月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)35955号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA03108003

要旨
◆原告が、被告会社との間で、同社の所有する本件土地1の売却に係る業務委託契約(本件契約)を締結したが、同社は原告に不利な時期に同契約を解除したと主張して、被告会社に対し、民法651条2項に基づく損害賠償を求めるとともに、被告会社の取締役である被告Y1に対し、同人は本件土地1の分筆後の本件土地2につき売買契約の成約の見通しが得られた時点で、悪意により、原告にゆえなくそれ以降の業務をさせなくし、被告会社が原告との本件契約を解除したとして、会社法429条1項に基づき、被告会社と連帯して同額の損害賠償を求めた事案において、原告主張の本件契約が成立したとは認められないとした上で、仮に同契約が成立して解除されたとしても、原告の行った営業活動に依拠して本件土地2が売却されるに至ったものとは認められないこと等から、原告が報酬請求権を喪失したことは、民法651条2項所定の「損害」に当たらないと判断して、請求を棄却した事例

参照条文
会社法429条1項
民法651条2項

裁判年月日  平成29年 3月10日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)35955号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA03108003

東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 小野瀬有
同 橋元紀子
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 株式会社スタジオフォボス(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 A
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
被告両名訴訟代理人弁護士 山﨑悠士

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して,684万円,及び,これに対する,被告会社については平成28年1月8日から,被告Y1については同月14日から,各支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,①原告と被告会社は,業務委託契約(準委任契約・以下,単に「委任契約」又は「委任」という。)を締結したところ,被告会社が,原告に不利な時期に同契約を解除したと主張し,被告会社に対し,同解除に基づく損害賠償請求権(民法651条2項)に基づき,損害金合計684万円(内訳は,得られるべき報酬相当額630万円及び弁護士費用相当額54万円)及びこれに対する平成28年1月8日(履行請求日以降の日・被告会社に対する訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求め,②被告会社の取締役である被告Y1が,土地の成約の見通しが得られた時点で,悪意により,原告にゆえなくそれ以降の業務をさせなくしたところ,被告会社が原告との委任契約を解除したことにつき,会社法429条1項に基づく責任を負うと主張し,被告Y1に対し,同条項に基づく損害賠償請求権に基づき,被告会社と連帯して,前記①と同様の支払(ただし,遅延損害金の起算日は,被告Y1に対する訴状送達の日の翌日である平成28年1月14日)を求めた事案である。
2  前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがない。
(1)原告は,宅地建物取引士(従前の宅地建物取引主任者)の資格を有している者である。なお,原告は,宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)3条1項所定の免許を取得していない。
被告会社は,貸しスタジオ業,不動産の賃貸及び管理,不動産の売買,斡旋管理業等を目的とする会社である。
株式会社丸正不動産(以下「丸正不動産」という。)は,不動産の賃貸及び管理業,不動産の売買,斡旋管理業務等を目的とする会社である。
被告Y1は,被告会社及び丸正不動産の取締役であり,両社の創業者である。両社の代表取締役であるAは,被告Y1の長男である。
(2)原告と被告Y1は,平成7年頃から面識があった。
平成21年6月以降に,原告が被告会社の机を使用したことがあった(ただし,専用の机を使用していたか,及び,継続的に使用していたかについては争いがある。)。原告が,被告会社から,被告会社の「社長室長」との肩書が付された名刺を付与されたことがあった。
(3)原告は,別紙1業務一覧表記載のAないしDの各取引(以下,これらの取引を順次「A取引」などといい,これらを併せて「A~D取引」という。)に関与し,各取引の終了に際し,被告会社あるいは丸正不動産(同一覧表の「支払主」欄記載のとおり)は,原告に対し,同別紙の「報酬」欄記載の各金額を支払った。ただし,A~D取引につき,原告は,重要事項説明を行っていない。
(4)被告会社は,別紙2物件目録記載(1)の土地(以下「本件土地1」という。)及び同目録記載(4)の建物(以下「本件建物」という。)を所有しており,本件建物を貸しスタジオとして使用していた。
本件土地1の隣地所有者であるB(以下「B」という。)は,本件土地1について,買受けを希望する申し出をした。
本件土地1は,平成26年5月29日,2筆の土地に分筆された(分筆後の各土地が,同「物件目録」記載(2)及び(3)の土地であり,それぞれ「本件土地2」,「本件土地3」という。)。
本件土地3につき,被告会社を売主,Bを買主とする売買契約が成立し,同年9月3日付けで,同売買を原因とする被告会社からBに対する所有権移転登記がなされた。
(5)Bは,平成26年9月3日当時,別紙2物件目録記載(5)の土地(以下「本件土地5」という。)を所有していた。本件土地5につき,被告会社,BとC及びD(以下「Cら」という。)との間で,以下のア,イの順に売買が行われた。いわゆる中間省略登記の方法が取られたため,同売買に基づき,同年9月3日,本件土地5につき,BからCらに対する所有権移転登記がなされた。
ア 売主 B
買主 被告会社
イ 売買契約締結日 平成26年5月21日
売主 被告会社
買主 Cら
代金 2億2500万円
被告会社は,原告に対し,平成26年5月20日,「業務委託料支払い約定書」と題する書面(甲11)を交付した。同書面には,本件土地5の売買につき,残代金決済時に,675万円(消費税込み)を業務委託料として一括で支払う旨が記載されていた。
被告会社は,原告に対し,同年9月4日,675万円を支払った。
(6)被告会社は,東急リバブル株式会社(以下「東急リバブル」という。)の仲介で,平成26年11月14日,本件土地2を,Eに対し,代金2億0500万円で売った。
3  争点
(1)原告と被告会社との間で,平成26年2月末日,本件土地1の売却に係る業務委託契約(委任契約)が成立したか,及び,成立した場合,その内容如何(争点1)
(2)被告会社は,原告に不利な時期に,原告と被告会社との間の業務委託契約(委任契約)を解除したか(争点2)
(3)損害額(争点3)
(4)被告Y1は,被告会社による原告との契約解除において,取締役の職務執行につき,悪意により任務を懈怠したか(会社法429条1項)(争点4)
4  争点についての当事者の主張
(1)原告と被告会社との間で,平成26年2月末日,本件土地1の売却に係る業務委託契約(委任契約)が成立したか,及び,成立した場合,その内容如何(争点1)
(原告の主張)
ア 被告Y1は,原告に対し,平成26年2月末日,本件土地1上の地上建物(本件建物)を撤去して,売却処分することに係る業務,売主が行う売却に向けての不動産仲介業者宛ての資料の準備・整理,提供と営業活動を委任した。
イ 被告会社は,前記アに先立ち,被告Y1に対し,前記アに係る代理権を授与し,被告Y1は,前記アに際し,被告会社のために行うことを示した。
被告Y1は,被告会社及び丸正不動産の不動産に関する業務について業務執行権限を有していた。このことは,①A~D取引に係る業務が,被告Y1からの指示によってなされ,これに対する原告への報酬支払が被告Y1の判断によってなされたこと,②本件土地1の処分の方針が平成26年2月に被告Y1の判断により着手され進められたが,そのうち,本件土地3はBとの間で売買契約が締結されたこと,③本件土地5の処分について,被告Y1が原告に売買の指示をなし,その結果,転売でき,被告Y1の判断と指示により原告に報酬675万円が支払われたこと,④本件土地2の売却方針について,被告Y1は,売却の選択肢を考え,これに沿った分割案につき指示し,同案を基とした現地販売会を催すことについて承諾したこと,⑤被告Y1は,自ら東急リバブルに声をかけ,本件土地2の売却について依頼したことなどから明らかである。
ウ 被告Y1と原告は,委任報酬につき,本件土地1の売却代金の3パーセントとすることを黙示的に合意した。
原告がA~D取引につき,業務着手前,又は,業務の途中,業務の完遂の見通しがついた時期に原告に対する報酬の額について,以下のとおり合意され,その金額が支払われたことは,黙示的な合意を基礎付けるものである。
(ア)A取引について
契約金額の3パーセントは140万4000円であるが,買主に対し,建築協力金との名目で代金80万円を減額した結果,4600万円に対する3パーセント相当額である138万円となった。
すなわち,業務の達成が見込まれた時期に,被告Y1から3パーセントでよいかとの申入れがなされ,原告はこれを承諾した。3パーセント相当というのは暗黙のうちに相互に予定していたので,原告は,直ちに承諾した。
(イ)B取引について
契約金額5700万円の3パーセントは171万円であるが,被告Y1の裁量により,51万円が減じられて,2.1パーセント相当額となった。
原告は当然3パーセントと認識していたが,被告Y1の判断により減額されたが,あえて異議を留めなかった。
(ウ)C取引について
契約金額2100万円の3パーセントに6万円が加えられたものに対し,消費税が加算された。A取引で,3パーセントについて合意があったので,改めて合意することはなく,3パーセント相当額に消費税が加えられ支払われた。
(エ)D取引について
丸正不動産が借地権を986万円で取得できたものを2986万円で売却し,2000万円の利益が出たところから,その余のとりまとめ業務の報酬を含め,格別に差額利益の12.5パーセントに当たる250万円とされた。
3パーセントを超える支払がなされたのは,格別の利益が出たことによる。
(オ)間接事実
本件土地5の売却につき,被告会社は,原告に対し,675万円(売却代金2億2500万円の3パーセント相当額)を支払ったことは,原告主張の黙示の合意があったことを裏付けるものである。
エ 平成26年3月下旬,Bから本件土地3の買入れ及びBが所有していた本件土地5の売却の申入れがなされたため,これに伴い,原告に対する委任の内容は,土地の処分については本件土地2の売却及び本件土地5の転売ということに変更になった。
(被告らの主張)
ア(ア)原告主張の委任契約の成立を否認する。
(イ)原告の主張を見ても,委任契約の成立について,合意成立の態様は何ら明らかでない。
委任の目的となる委任事項に係る原告の主張も極めて曖昧である。原告の主張を前提とすると,建物の解体から更地になった土地の売却までを含むもので,余りに広すぎ,また,原告の能力を超える解体工事の実施等が含まれる点において,委任事項とされること自体不合理な事項を含む。加えて,本件土地1は,その後,分筆されて本件土地2,3となっており,いずれも分筆後に売却されているところ,本件土地3の売却について原告が関与していないことは原告も争っておらず,このような原告の主張と「本件土地1」についての委任の成立という主張は整合性がない。
報酬に係る合意の主張についても,過去に取引があったことと,本件土地2についての報酬合意の存否は必然的に結びつくものではない。また,そもそも3パーセントでない場合も見受けられるところ,これについて原告はおよそ具体性を欠く主張しかしておらず,原告の主張する各事情自体,その主張を根拠づけるものとはいい難い。
イ A~D取引に係る原告への支払,675万円の支払について
原告が,実際にした業務は,不動産業者に情報を提供するなどに留まるもので,原告自身は,重要事項説明等を行っていない。支払にみあう業務の実態がないにもかかわらず,原告は,仲介業者と同等の金員を受領しているのであるが,これは,原告の生活状況(原告は,定収を得るような仕事に就いておらず,また,高齢の母親と2人暮らしである。)を考慮したことや,取引の成立に一定の寄与があり,一応,支払の名目が立つことから,いわば便宜を図る形で支払を行っていた。このように,原告に対する支払は,一種の恩恵として行われていたものであり,(黙示の)報酬合意があり,同合意に基づき報酬が支払われたとの事実はない。
A~D取引に係る原告への支払が,その額の定め方に規則性がないことも,一種の恩恵であることに起因するものであり,原告の主張するように両者の(黙示の)合意によって支払額が決定されていたものではないことを裏付ける。
ウ 本件土地1に係る経緯
(ア)本件土地3について
被告会社は,平成26年3月頃,Bから,本件土地1を買い受けたいとの要望を受けた。その後,本件土地1を2筆に分筆した上で,うち1筆の土地(のちの本件土地3)をBに売却すること,当時,Bが所有していた本件土地5を,前記1筆の土地の売却と同時に,被告会社が買い取ることで,概ね双方の了解が得られた。そこで,被告Y1は,平成26年4月頃,本件土地5に関し,丸正不動産の従業員に売却活動を開始するよう指示するとともに,原告に対し,本件土地5を売却する意向があることを伝えた。被告Y1は,原告から,旭住販株式会社(以下「旭住販」という。)に情報を提供してよいかとの申し出を受け,構わないと伝えたところ,旭住販が他の業者を通じて,買主を探索し,最終的に,Cらとの間で本件土地5の売買が成立した。これにつき,被告会社は,被告Y1を通じて,原告に対し,当該物件を売却する意向があることを伝えたのみで,被告会社あるいは被告Y1が,原告に対し,具体的な業務の指示をしたことはない。また,原告がどのような活動をしていたかほとんど報告を受けていない。
(イ)本件土地2について
被告Y1は,平成26年5月頃,本件土地2について,丸正不動産の従業員に対し,売却活動の開始を指示するとともに,原告に対し,売却の意向があることを伝えた。しかしながら,その後,数か月にわたって,具体的な動きがなかったことから,被告Y1は,平成26年9月下旬あるいは同年10月頃,東急リバブルの担当者に本件土地2の売却を依頼した。そうしたところ,東急リバブルが買主を探索し,平成26年11月14日,同土地について被告会社とEとの間で,売買契約が成立した。
被告会社あるいは被告Y1が,本件土地2につき,原告に対し,具体的な業務の指示をしたことはなく,原告がどのような活動をしていたかほとんど報告を受けていない。被告Y1は,原告から,本件土地2の1区画について契約の見込みに至ったとの報告を受けたことはない。その他の本件土地2に係る経緯については,後記(2)(被告らの主張)エのとおりである。
(2)被告会社は,原告に不利な時期に,原告と被告会社との間の委任契約を解除したか(争点2)
(原告の主張)
ア 被告会社は,本件土地1の売却に向けての業務の途中の原告の不利益な時期において,委任契約を解除した。すなわち,原告は,被告Y1に対し,平成26年11月4日,電話により,本件土地2のうち1区画につき買受申込みがあったことを報告したが,被告Y1は,東急リバブルが入っているから進めないでくれと言った。
イ 原告が実施した業務
(ア)原告が担当した主な業務は,本件建物の解体の手配,本件土地2の売却,本件土地5の売却であった。このほかにも,被告会社が,付近に賃借していた駐車場の土地の解約,返還に当たり,被告Y1の求めにより,賃借人のために時間貸駐車場に変更し,契約することの交渉・手続も代行した。
(イ)a 被告Y1は,本件土地2の売却について,一括で売却できる場合と,2つに分割して売却する場合との両案を有していた。
原告は,平成26年9月,一括の売却につき,買受希望者であるFから,株式会社ミブコーポレーション(以下「ミブコーポレーション」という。)の担当者G(以下「G」という。)を通じて,申入れを受けた。原告は,地下一階付きとのFの希望を三菱地所ホーム株式会社(以下「三菱地所ホーム」という。)のH(以下「H」という。)に伝達・依頼して,具体的なプラン(甲32の1,2)を作成してもらった。原告は,同プランが作成された後,被告Y1にプラン内容を報告した。
b これと並行して,被告Y1の求めにより,平成26年10月初旬に打ち合わせをして,原告は,Hにさらに2つのプラン図の作成を依頼し,2つのプラン図(甲34)が作成された。
c 被告Y1は,本件土地2を分割して売却する案を考え,平成26年10月初旬,原告及びb測量事務所の担当者Iを呼び,甲15のような分割案を被告Y1が書き込み,これによる測量図の作成をIに依頼し,同月17日付けの測量図(甲16)が作成された。原告は,同測量図を基にして,丸正不動産のJ(以下「J」という。)に物件概要書の作成を依頼し,Jは物件概要書(甲17)を作成した。なお,同概要書に係る記載内容は,被告Y1と原告が協議の上,被告Y1が決めた。
d 原告は,前記測量図(甲16)の欄外に書き込みをして,株式会社吉祥恒産のKにFAX送信した。その後,原告は,Kに甲36を交付して,説明した。
e この後,被告Y1の了解を受けて中目黒不動産が行った現地販売会の情報をもとに,平成26年11月4日,L(以下「L」という。)が,原告に対し,株式会社アドキャスト(以下「アドキャスト」という。)を通じて,同年11月2日付けの不動産購入申込書を提出した。なお,代金については,合意に至っていなかったため,代金総額の記載はなかった。
原告は,被告Y1に電話をして内容を説明したが,被告Y1は,東急リバブルが入っていると応答し,Lとの売買交渉を進めることを拒否した。
f 原告の活動により,本件土地2の情報は,他の不動産仲介業者にも伝わり,東急リバブルも知ることとなったものである。東急リバブルは,直接,被告Y1に仲介について申入れを行い,被告Y1は,これにより原告に関与させず,東急リバブルの仲介による売却に応じ,これを実行したのであるから,原告の行った営業活動に依拠しながら,あえて,原告を排除して,契約締結に至ったことは明らかである。
(被告らの主張)
ア 仮に,原告と被告会社との間で,委任契約が成立していたとしても,原告に不利な時期に同契約を解除したとの原告の主張は否認し,又は,争う。
イ 民法651条2項にいう「不利な時期」とは,委任事務の処理自体との関連において相手方に不利な時期をいう。しかるに,原告の主張は,ただ「不利な時期」における解除であるというのみで,あとは,原告が実施したという業務が羅列されたものに過ぎず,解除された時期が,原告の事務処理との関係でどのように「不利」であったのかが明らかにされておらず,原告の主張は不十分である。
ウ 原告の主張を善解すると,原告は,「被告Y1が,東急リバブルが入っていると応答し,Lとの売買交渉を進めることを拒否した」との点をもって,被告会社の解除の意思表示を主張していると思われる。しかるに,同主張を前提としても,被告Y1の行為は,「Lとの売買交渉を進めることを拒否した」にとどまり,原告との委任契約の帰趨について何ら言及するものではなく,解除の意思表示についての具体的な主張を欠いている。
エ (原告の主張)イ(原告が実施した業務)(イ)について
(ア)aについて
本件土地2の売却に関し,被告Y1が一括での売却と分割での売却の双方があり得ると考えていたこと,ミブコーポレーションの「G」から一括での問い合わせがあったこと(甲31の「(19)」と記されたメール),Hが甲32の2等の図面を作成したことは認める。その余は不知。
(イ)bについて
「打ち合わせ」の内容が不明であり,認否できない。甲34の図面が,Hにより作成されたことは認める。
(ウ)cについて
正確な時期は不詳であるが,被告Y1が,本件土地2について分割して売却する方法があり得ると考えたこと,b測量事務所のI氏と打合せをしたこと(当該打合せに原告が参加したか否かについては記憶がない。),打合せの結果を踏まえ,図面(甲16)が作成されたこと,物件概要書(甲17)が,原告の依頼を受けて丸正不動産のJにより作成されたものであること,同概要書の「※分割可」の欄に記載された分割案が,前記図面(甲16)の内容に依拠したものであることは認める。被告らが,本件土地2について分割する方法があり得ると考えたのは,同土地の売却活動を始めてから数か月間動きがなく,一括での売買が難しい可能性があると認識したことによる。被告らとしては,あくまで一括での売却を希望するものであった。また,物件概要書(甲17)は,原告が丸正不動産のJに依頼し作成したものであり(Jに作成を依頼した経緯は不明であるが,原告自身がパソコンの操作に不慣れであったことが原因かと思われる。),被告Y1は当該内容について何ら関知していない。
(エ)dについて
不知。
(オ)eについて
被告らが中目黒不動産による現地販売会の実施について了承したことは認め,その余は否認,不知ないし争う。
(カ)fについて
否認又は争う。東急リバブルについては,被告Y1が直接依頼をした業者である。
(3)損害額(争点3)
(原告の主張)
ア 原告は,被告会社との間の委任契約を中途で解除されなければ,被告会社から支払われる約定の報酬(契約額の3パーセント)を得ることができたところ,これを中途で解除されたことにより,売買契約額の2億1000万円に対する3パーセント相当の630万円の得べかりし利益を失い,同額の損害を受けた。
イ 確かに,Lとの間で成約した場合には,残りの区画が残ったものの,この場合には,同区画は整形地となり,売却は容易となり,いつでも買い手が付く状態にあった。よって,同区画についても,平成26年11月上旬,売却の見込みは十分にあった。
(被告らの主張)
ア 争う。
イ 仮に,本件土地2について,原告と被告会社との間で何らかの契約が成立していたとしても,合意の内容は,A~D取引に係る場合や本件土地5に係る場合と異なるところはない。そうであれば,本件土地2について,原告の関与による取引の成立が認められない以上,そもそも報酬請求権が発生する余地はなかったというべきである。
ウ 万一,民法651条2項の「不利な時期」における委任の解除が認められるとしても,原告の主張する報酬相当額は同項の「損害」に含まれない。
同項の「損害」は契約解除が相手方にとって不利な時期に解除されたことにより相手方が特に被った損害を意味し,不利でない時期に解除されても生ずるような損害はこれに含まれない。原告の主張によれば,報酬は個別の案件ごとの成功報酬であるから,その主張する報酬請求権は,契約解除のなされた時期如何にかかわらず,およそ解除があれば常に失われるものであり,原告の主張する契約が成立すると仮定しても,その報酬は「契約解除が原告に不利な時期になされたことによる特別の損害」には当たらない。
(4)被告Y1は,被告会社による原告との契約解除において,取締役の職務執行につき,悪意により任務を懈怠したか(会社法429条1項)(争点4)
(原告の主張)
被告Y1は,悪意により,原告に対し指示して行わせた業務の継続中,分割を予定していた土地の成約の見通しが得られた時点において,ゆえなくそれ以降の業務をさせなくした。
よって,被告Y1は,被告会社が原告との契約を解除したことによる原告の損害につき,会社法429条1項により損害賠償義務を負う。
(被告Y1の主張)
ア 否認し,又は,争う。
イ 原告は,被告Y1に対し,会社法429条1項に基づく損害賠償請求に及ぶのであれば,同被告が,被告会社の取締役として,いかなる善管注意義務を,いかなる態様の悪意をもって違反したものであるか,そして,同義務違反と主張する損害とが相当因果関係を有することについて具体的に主張し,立証すべき責任がある。
ところが,原告が主張しているのは,被告Y1が,本件土地2の売買契約の成約の見通しが得られた時点において,被告会社をして本件委任契約を解除させたという,被告Y1の原告に対する不法行為を主張するにすぎないのであり,主張自体失当である。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
末尾記載の証拠(ただし,以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨等によれば,以下の事実が認められる。
(1)原告は,昭和61年に宅地建物取引主任者の資格を取得し,株式会社デン企画(以下「デン企画」という。)に籍を置き,不動産仲介業務を行っていた。原告がデン企画に在籍中,丸正不動産による不動産の取引に関わったことがあった。(甲40,乙2)
(2)ア  丸正不動産は,その所有していた,別紙1業務一覧表のA欄の「物件所在地」欄記載の場所に所在する土地を,平成22年12月16日,第三者に代金4680万円で売却した。これに先立ち,被告Y1は,丸正不動産の社員に営業活動を行うよう指示するとともに,原告に取引の情報を伝え,良い売却先があれば紹介してほしい旨を依頼した。原告は,同土地の売却につき,朝日住宅株式会社(以下「朝日住宅」という。)という業者を紹介し,朝日住宅の仲介で,同土地は売却された。丸正不動産は,A取引につき,原告に対し,138万円を支払った。
イ  被告会社は,所有していた別紙1業務一覧表B欄の「物件所在地」欄記載の場所に所在する土地及び建物を,平成23年9月7日,第三者に代金5700万円で売却した。同売却に際し,前記アと同様に,原告が三井リハウス東京株式会社に情報を提供し,同社の仲介で同土地及び建物が売却された。被告会社は,B取引につき,原告に対し,120万円を支払った。
ウ  丸正不動産は,別紙1業務一覧表C欄の「物件所在地」欄記載の場所に所在する土地につき,Mの借地権を株式会社オープン・ハウス・ディベロップメントに代金2100万円で売却した案件(取引日(決済日)は平成24年12月19日)につき,仲介を務めた。原告は,丸正不動産の仲介活動の補助をした。丸正不動産は,C取引につき,原告に対し,72万4500円を支払った。
エ  丸正不動産は,別紙1業務一覧表D欄の「物件所在地」欄記載の場所に所在する土地につき,借地権を売買するとともに底地権売買を取りまとめるなどした。成立した契約に係る金額は,丸正不動産が契約当事者になっていないものも含め,合計7572万円であった。原告は,特に,借地権付建物を所有していたNとの関係で補助を行った。丸正不動産は,D取引につき,原告に対し,250万円を支払った。
(以上,甲40,乙2,原告本人,被告Y1本人,弁論の全趣旨)
(3)ア  被告Y1は,被告会社の所有していた本件土地1を売却することを検討していたところ,その旨を原告に伝えた。
イ  Bは,本件土地1の西側隣地に居住していた。被告Y1とBとの間には,40年以上の付き合いがあった。
被告Y1は,平成26年3月頃,Bから,本件土地1を売ってほしいとの打診を受けた。本件土地1そのままでは大きすぎると考えられたところ,被告会社とBとの間で,同年4月頃,本件土地1を2分割し,西側に位置する本件土地3をBに売却すること,当時,Bが所有していた本件土地5を被告会社が購入するという話がまとまった。
被告Y1は,取得予定の本件土地5を第三者に売却することを考え,丸正不動産の社員に同売却の準備について指示をするとともに,原告にもその旨を伝えた。
ウ  原告から紹介を受けた有限会社鈴建が,本件建物の解体工事を受注し,同工事を行った。
エ  原告は,本件土地5につき,旭住販という業者を紹介し,旭住販が買主を探し,最終的に,本件土地5につき,Bから被告会社,被告会社からCらへ順次売買するとの契約が成立した。被告会社は,同年9月4日,原告に対し,675万円(消費税込み)を支払った。
オ  前記アないしエの各取引につき,原告は,被告Y1との間でやり取りを行った。
(以上,甲14,40,乙2,原告本人,被告Y1本人,弁論の全趣旨)
(4)ア  被告Y1は,平成26年5月頃,本件土地3及び本件土地5の売却の目途が立ったところ,本件土地2についても処分を進めることとし,丸正不動産の社員にその旨を指示し,また,原告に対し,その方針を伝えた。(乙2,被告Y1本人,弁論の全趣旨)
イ  原告は,本件土地2の売却につき,三菱地所ホームのHに情報と資料を伝えた。Hは,同土地についての建築プラン等を記載した,平成26年4月18日付けの「東京都目黒区○○a-19プロジェクト」と題する書面を作成した。また,Hは,「ご提案日」を同日とする「三菱地所ホームのお住まいへようこそ 目黒区○○a丁目プロジェクト(19番地・22番地計画)」と題する書面を作成したが,その1枚目には「(土地担当)丸正グループ 宅地建物主任者」との肩書で原告の氏名と連絡先が記載されていた。(甲9,13,40,弁論の全趣旨)
ウ  被告Y1は,その後も本件土地2の売却の目途が立たなかったため,同年9月下旬頃,知り合いであった東急リバブル渋谷支店の担当者に連絡し,本件土地2の売却について依頼した。(乙2,被告Y1本人)
エ  被告Y1は,本件土地2につき,分割せず売却ができれば望ましいと考えていたが,数か月間,物件が動かなかったこともあり,分割での売却の可能性も検討する必要があると考えた。被告Y1は,原告が同席の下で,b測量事務所のIと打ち合わせを行った。同事務所は,本件土地2を2分割することを内容とする分割予定図(平成26年10月17日付け)を作成した。(甲15,16,40,乙2)
オ  丸正不動産の従業員であるJは,原告から依頼を受け,本件土地2に係る物件概要書を作成した。同概要書には「価格2億2200万円(一括)」,「分割可」,「三菱地所ホーム建築プランあり」などと記載されていた。(甲17,40,乙2)
中目黒不動産は,平成26年10月25日,同月26日,同年11月1日,同月2日の4日間,本件土地2につき,現地販売会を行った。被告Y1は,原告から,中目黒不動産による同現地販売会が実施されることを聞き,同実施について承諾していた。(甲18,40,乙2)
カ  Hは,原告から依頼を受けて,平成26年10月,本件土地2を一括して使用した場合に係る建築プランと,分割した場合に係る建築プランを作成した。Hは,同人が作成した図面等を丸正不動産宛てに電子メールで送信したところ,被告Y1も同図面等に目を通していた。(甲32の2,甲34,36,40,乙2,弁論の全趣旨)
キ  原告は,平成26年11月4日,アドキャストを通じて,本件土地2のうちの1区画に係る購入申込書(ただし,代金額は未定のもの)を受け取った。原告は,同申込書とメモを,Jに渡したが,同申込書等は原告方に戻された。(以上,甲21,40,乙2,原告本人,被告Y1本人,弁論の全趣旨)
ク  被告会社は,東急リバブルの仲介により,平成26年11月14日,本件土地2全体を,Eに対し,代金2億0500万円で売った。(前記前提事実(6),弁論の全趣旨)
2  争点1(原告と被告会社との間で,平成26年2月末日,本件土地1の売却に係る業務委託契約(委任契約)が成立したか,及び,成立した場合,その内容如何)について
(1)ア  原告は,①被告会社の不動産関連業務につき業務執行権限を有していた被告Y1は,平成26年2月末日,原告に対し,本件建物を撤去し,本件土地1を売却することに係る業務(不動産仲介業者宛ての資料の準備・整理,提供と営業活動)を委任した旨,②平成26年3月下旬,Bからの申入れに伴い,原告に対する委任の内容は,本件土地2の売却及び本件土地5の転売に変更された旨,③原告と被告会社は,委任報酬につき,黙示的に,本件土地1の売却代金の3パーセントとすることを合意した旨主張する。
イ  これに対し,被告らは,原告の主張事実をいずれも否認する。また,被告Y1は,原告に業務を委任したことはない旨陳述(乙2)・供述(被告Y1本人)し,原告の立場や関与形態に関し,①本件訴訟に至るまで,原告は(宅建業法3条1項所定の)不動産免許を持っていると思っていた旨,②被告会社には,複数の不動産業者が出入りしており,契約が成立した場合に手数料を授受したりしているが,原告も,これと同様の立場で,被告会社に出入りしていると認識していた旨等を供述する(被告Y1本人)。また,被告Y1は,各不動産の情報を原告に伝える場合に,具体的な活動方針について指示をしたことはない旨陳述する(乙2)。
(2)委任契約の成否(原告主張の委任契約に係る申込み及び承諾の各意思表示がなされたか)について
ア 原告が主張する委任契約が成立した時期(平成26年2月)の前後には,以下の経緯があったものである。
(ア)前記認定事実(2)のとおり,原告は,平成26年2月より前の時期に,丸正不動産又は被告会社による不動産の売却等に関し,原告が知っている業者を紹介したり,仲介活動の補助をしたりし,丸正不動産又は被告会社から,これらに係る支払を受けたものであり(A~D取引),原告は,被告Y1から,各不動産に係る情報を伝えられ,各不動産について一定の活動を行い,かつ,これらに関して支払を受けたことが認められる。
(イ)次に,平成26年2月より後の時期においては,原告は,本件土地5につき,業者を紹介するなどし,本件土地5に係る契約成立後,被告会社から業務委託料名目で675万円の支払を受けたものである(前記前提事実(5),前記認定事実(3))。
また,①被告Y1は,本件土地2の売却につき,その処分を進めるように丸正不動産の社員に指示した際に,原告にもその情報を伝え,②原告はHに情報を伝え,被告Y1はHが作成した資料に目を通しており,また,被告Y1は,中目黒不動産が実施する現地販売会について承諾している(以上,前記認定事実(4))など,原告は,被告Y1からの情報を受けて,少なくとも一部については被告Y1の了解の上で,本件土地2の売却に向けた一定の活動を行っていたことが認められる。
イ(ア)他方で,原告の供述や陳述によっても,原告主張の委任契約についてなされたとされる意思表示の内容は,非常に曖昧である。
すなわち,原告は,①平成25年9月終わり頃,被告Y1は,ロフトと呼んでいる別館の土地及び建物を一括して売却することを計画し,これについての業務を原告に依頼した旨,②被告Y1は,平成26年2月下旬,ロフトの土地建物を売却処分することに方針を切り替えて,原告にその指示をした旨,③前記②に向けて準備を始めた矢先に,Bからの申し出があったので,原告が担当する主な業務は,ロフトの解体,残りの土地の売却,及び,Bから買い取る土地の転売ということになった旨等を陳述する(甲40)。また,原告は,①平成25年9月,本館,ロフトを両方売るか,ロフトのみを売るかという話が出た旨,②平成26年2月,被告Y1は,ロフトのみ,更地で売るという結論になり,原告は,被告Y1の指示を受けてロフトの解体の手配をした旨,③ロフトの土地につき,仲介業者なしで,Bから買入れの申込みがあり,次の原告がやる仕事は,残った約半分の土地と,Bから買い受けた土地2か所の売却に向けたものとなった旨を供述する(原告本人)。しかしながら,以上のような原告の陳述及び供述によっても,原告が,被告Y1から,委任を受けたのか否か,いかなる内容の事務に係る委任であるかは必ずしも明らかではない。
(イ)加えて,原告は,「(原告は)被告会社の一員である。」旨,「(委任契約ではなく,一員という主張であるかとの質問に対し)被告Y1に雇われていると思っていた。」旨供述する(原告本人)。原告は,法律の専門家ではないこと(ただし,宅地建物取引士あるいは宅地建物取引主任者の資格を有し,長年,不動産仲介業務を行っていたという原告の経歴(前記認定事実(1))によれば,原告は,取引や契約につき,少なくとも一般人よりは多くの知識・経験を有していることがうかがわれる。)や,雇用と有償委任との識別が難しい場合があり得ることを考慮しても,契約に係る書面の作成もなされていない中で,原告自身が委任を受けたとの認識を有していなかったとすると,これに係る意思表示がなされたものとは容易には認め難い。
ウ 以上を総合検討するに,前記アのような経緯があったことを考慮しても,原告主張の委任契約が成立した(同委任契約に係る申込み及び承諾の各意思表示がなされた)と認めることは困難である。
(3)売却代金の3パーセント相当額の報酬合意が成立したとの主張について
ア 原告は,原告と被告会社(被告Y1)との間で,黙示的に,委任契約に係る報酬を,本件土地1の売却代金の3パーセントとすることを合意した旨主張し,これを基礎づける事実として,A~D取引に係る各支払を指摘し,間接事実として,本件土地5の売却に係る支払を指摘するので,念のため,この点についても検討する。
イ 前記認定事実(2)のとおり,A~D取引においては,契約金額の3パーセント相当額とほぼ同額の支払がなされたのは,A取引のみであり,A~D取引に係る各支払等を根拠として,本件土地1あるいは本件土地2の売却に関し,原告と被告会社あるいは被告Y1との間で,黙示的に,原告に支払われるべき報酬を売却代金の3パーセントとする旨の合意が成立したとは認め難い。
ウ また,原告は,B取引につき,原告主張に係る売却代金の3パーセントより低い金額の報酬が支払われたことにつき,「会長(被告)の言われるままに。」,「減額されたんだと思う。」などと供述する(原告本人)。
このような原告供述に係る経緯によれば,A~D取引においても,各不動産に係る契約が成立した場合,契約金額の3パーセント相当額を原告に払うという合意はなされておらず,むしろ,被告Y1が,原告の関与の態様や寄与の程度などを考慮して,原告に金員を支払うか否か,支払う場合の金額如何を定めていたことがうかがわれる。
エ 以上に照らし,本件土地5に係る支払の経緯を考慮しても,被告会社が原告に対して原告主張の事務を委任したと仮定したとしても,報酬を本件土地1の売却代金の3パーセントとするとの合意が成立したものとは認められない。
(4)以上のとおり,いずれにしても,争点1に係る原告の主張を採用することはできない。
3  争点2及び3(被告会社は,原告に不利な時期に,原告と被告会社との間の業務委託契約(委任契約)を解除したか,及び,損害額)について
(1)念のため,争点2及び3についても判断する。
原告は,①原告は,平成26年11月4日,本件土地2の一区画につき買受申込みがあったことを被告Y1に報告したが,被告Y1は「東急リバブルが入っているから進めないでくれ。」と言ったところ,原告に不利な時期における委任契約の解除に当たる旨,②原告は,委任契約を中途に解除されなければ,本件土地2の売却代金(2億1000万円)の3パーセント相当額(630万円)の報酬が得られたところ,これを中途で解除されたことにより,同額を得ることができなかったものであり,同額の損害を被った旨,③被告らに対する損害賠償請求をするための弁護士費用相当額(54万円)も損害に当たる旨を主張する。なお,原告は,報酬合意があったことを前提とした請求をしており,実費部分についての請求は行わないものである(第4回弁論準備手続調書参照)。
(2)委任は,当事者双方の特別な対人的信頼関係を基礎とする契約であるから,原則として,委任者・受任者のいずれからでも自由に解約することができるものである(民法651条1項参照)。なお,受任者の利益をも目的とする委任契約においては,自由に解約することができない場合があるが(最高裁第2小法廷昭和56年1月19日判決・民集35巻1号1頁等参照),受任者が委任契約による報酬を得る旨が約されているのみでは,受任者の利益をも目的とするものとはいえない(最高裁第3小法廷昭和58年9月20日判決・集民139号549頁等参照)。よって,本件において,原告主張の委任契約が成立しているとしても,委任者による解約が制限されているものではない。
そして,このような委任の性質に照らし,民法651条2項所定の「損害」とは,解約自体から生じる損害ではなく,解約の時期の不当なことによる損害であると解される。そうすると,事務処理完了を条件として報酬を与える合意のある委任契約において,報酬は,解除の時期いかんにかかわらず,解除されれば常に失われるべきものであるため,基本的に,報酬請求権(解除がなされず予定通り委任事務が処理された場合に取得し得えた報酬の支払請求権)の喪失は,同項の「損害」に当たらないと解すべきである(東京地裁昭和30年5月17日判決・下級裁判所民事裁判例集6巻5号984頁参照)。
(3)ア  原告は,①原告の活動により,本件土地2の情報は,他の不動産仲介業者にも伝わり,東急リバブルも知ることとなったが,被告Y1は,原告に関与させず,東急リバブルの仲介による売却を実行したものであり,原告の行った営業活動に依拠しながら,あえて,原告を排除して,本件土地2に係る契約締結に至った旨,②Lとの間で成約した場合には本件土地2のその余の区画が残ったものの,同区画は整形地となり,売却は容易となり,いつでも買い手が付く状態にあり,同区画についても,平成26年11月上旬,売却の見込みが十分にあった旨を主張し,報酬相当額は,不利な時期における解除による損害にあたる旨主張する。
イ  しかしながら,前記認定事実(4)のとおり,被告Y1は,本件土地2の売却話につき,東急リバブル渋谷支店の担当者に連絡をし,その結果,本件土地2の一括売却に至った(なお,被告Y1は,分割せず売却することを希望していた。)ものであり,本件各証拠を総合検討しても,原告の行った営業活動に依拠して本件土地2が売却されるに至ったものとは認められない。
また,本件各証拠を総合検討しても,原告の行った活動等のために,平成26年11月上旬当時,本件土地2のうちのその余の区画(前記ア②のとおり)につき,実際に売却の目途が立っていたものとは認められない。
ウ  以上によれば,原告主張のとおりの委任契約が成立しており,かつ,原告が指摘する被告Y1の発言が解除の意思表示に当たると仮定しても,原告が報酬請求権を喪失したことは,民法651条2項所定の「損害」に当たるということはできない。
(4)以上のとおり,原告主張の委任契約が成立したと仮定しても,原告が,被告会社による解除により,報酬相当額の損害を被ったものとは認められない。また,これに係る損害賠償請求が認められない以上,損害賠償請求をするための弁護士費用相当額54万円に係る損害賠償請求も理由がなく,かつ,被告Y1に対する請求も理由がない。
第4  結論
以上によれば,いずれにしても本件請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第18部
(裁判官 園部直子)

 

〈以下省略〉

 

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