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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(38)平成29年10月25日 東京地裁 平27(ワ)36325号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(38)平成29年10月25日 東京地裁 平27(ワ)36325号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年10月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)36325号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2017WLJPCA10258008

要旨
◆原告が、架空のFX取引(外国為替証拠金)の投資ファンドである本件ファンドについて、連鎖取引類似の勧誘方法(本件仕組み)を用いて投資を募った被告に対し、被告の下位者から勧誘を受けて、同ファンドに投資して損害を被ったとして、不法行為に基づき、220万円の損害賠償を求めた事案において、被告は、本件ファンドが出資金の運用実態を有していないことを認識しながら、本件仕組みを構築し、本件ファンドに対する投資の勧誘活動において主導的な役割を果たしたものであるから、本件仕組みに基づき自身の下位者を通じて投資勧誘活動を行うことで、原告を含む多数の顧客を詐欺的な商法である本件ファンドに出資をさせたものであると認められ、原告を虚偽取引に勧誘したことについて故意による不法行為が成立すると認められるとして、請求を全部認容した事例

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成29年10月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)36325号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2017WLJPCA10258008

東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 浅井淳子
同 太田賢志
同 五反章裕
同 津田顕一郎
同 見次友浩
同 磯雄太郎
東京都稲城市〈以下省略〉
被告 Y

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成27年12月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
3  この判決は仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
原告は,架空のFX取引(外国為替証拠金)の投資ファンドについて,連鎖取引類似の勧誘方法を用いて投資を募った被告に対し,被告の下位者から勧誘を受けて,同ファンドに投資して損害を被ったとして,不法行為に基づき,220万円(投資金額相当額200万円,弁護士費用20万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年12月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。
1  前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)ア  Aは,「aリスクマネージメントトレーディングインベストメント」との名称の投資ファンドを企画,立案し,設立した(以下,Aを「A」,同投資ファンドを「aファンド」という。)。
aファンドは,FX取引(外国為替証拠金取引)の自動売買運用システムを利用し,FX取引を行って出資金を運用することにより,恒常的に高い利益を上げることができると宣伝していた。
また,aファンドは,傘下の顧客を通じて投資の勧誘を行う階層的な連鎖取引類似の出資勧誘の手法を用いて投資の勧誘を行い,出資金名下に資金を集め,顧客に対する配当及び紹介料の支払をしていた(以下,このような投資勧誘の仕組みを「本件仕組み」という。)。
イ  被告は,本件仕組みを通じて多数の顧客に対してaファンドに対する投資の勧誘を行った者である。
(2)  原告によるaファンドに対する投資
原告は,平成25年11月15日,B(以下「B」という。)からaファンドに対する投資の勧誘を受け,出資金名下に200万円をA名義の口座に送金した(甲4)。しかし,原告は,現在に至るまでaファンドから配当金の支払や出資金の返金を受けていない。
2  争点
(1)  不法行為の成否
ア 本件仕組みの発案及び違法性(争点(1))
イ 虚偽取引への勧誘(争点(2))
ウ 説明義務違反(争点(3))
エ 断定的判断の提供(争点(4))
(2)  損害(争点(5))
3  争点に対する当事者の主張
(1)  不法行為の成否
原告は,被告が本件仕組みを発案し,Bをして原告を勧誘させた。その際,説明義務違反,断定的判断の提供があったほか,被告には調査義務等の違反があったとして,被告に故意又は過失による不法行為が成立すると主張している。
被告は,本件仕組みを発案したこと及びBをして原告を勧誘させたことは否認するものの,説明義務違反,断定的判断の提供をしたこと,調査義務違反については争うことを明らかにしない。
ア 争点(1)(本件仕組みの発案及び違法性)について
(原告の主張)
(ア) aファンドは,出資金元本を保証した上で,月3%ないし8%,最高で月22.8%の配当を恒常的に支払うと宣伝して,出資を募っていた。本件仕組みにおいては,上位者に対して下位者の出資額に対する一定割合の紹介料等が支払われることとなっており,さらに,ファンドの運営費や出資金の運用者に対する報酬等の経費を考慮すれば,これらの経費を賄える高率の運用益を恒常的に上げ続ける必要があることになるが,これは経済常識に照らしておよそあり得ない。そして,aファンドにおける出資金の流れや顧客に対する配当金及び紹介料の支払原資については,一切明らかにされなかったことからすると,aファンドにおいては,顧客に対して約束した配当や紹介料等を継続的に支払い続けることを可能とするような出資金の運用実態はなく,破綻が避けられないものであり,本件仕組みに基づく取引の勧誘は違法であるから,不法行為を構成する。
(イ) 被告は,Aと共同して本件仕組みを発案し,Bを勧誘して取引をさせた。Bは,被告の説明を信じて原告を勧誘し,原告は,Bの説明を信じて勧誘に応じて投資をしたものであり,本件仕組みを発案した被告は,本件仕組みに係る不法行為について責任を負っている。
(被告の主張)
(ア) 被告は,aファンドにおいて本件仕組みの企画,立案,伝播を行っていない。
(イ) また,被告は,原告と面識はなく,原告に対してaファンドに対する投資を直接に勧誘したことはなく,Bに指示して原告に対する勧誘を行わせたこともない。
イ 争点(2)(虚偽取引への勧誘)について
(原告の主張)
次の事項を踏まえれば,被告には,aファンドへの投資を勧誘するに当たり,aファンドが架空のものであり,運用実態がなく,投資の安全性,資金保全の確実性がないことを知りながら,本件仕組みを組織的に企画,立案,伝播し,下位者による勧誘を止めさせるなどの措置をとることもなく,被告をして虚偽取引に勧誘したことが推認される。
仮に故意がないとしても,次の事項を踏まえれば,投資の安全性,aファンドにおける出資金の運用実態,資金保全の確実性に関する裏付けとなる合理的根拠について,調査し確認する義務があったところ,これを怠り,本件仕組みを組織的に企画,立案,伝播し,下位者による勧誘を止めさせるなどの措置をとることもなく,被告をして虚偽の取引に勧誘したことになる。
(ア) aファンドは,本件仕組みを介して,被告から勧誘を受けた下位者が更に第三者に対する勧誘を行うことにより,その後連鎖的に投資の勧誘が行われることを予定するものであったから,未だ勧誘を受けていない潜在的な顧客についても危険に直面させるものであった。
(イ) 被告は,aファンドが必ず毎月数%から数十%の異常な利益を恒常的に出し続けるという経済合理性に反する危険な取引の宣伝をしていた。
(被告の主張)
上記ア(被告の主張)(イ)のとおり
ウ 争点(3)(説明義務違反)について
(原告の主張)
FX取引は為替の変動によって損益が変動するものであり,FX取引を利用するaファンドの損益も将来的に変動する可能性のある不確実なものであるから,被告には,aファンドに対する投資を勧誘するにあたり,原告に対し,投資の危険性について説明すべき義務があったにもかかわらず,投資の危険性について説明をしなかった。
(被告の主張)
上記ア(被告の主張)(イ)のとおり
エ 争点(4)(断定的判断の提供)について
(原告の主張)
FX取引は為替の変動によって損益が変動するものであり,FX取引を利用するaファンドの損益も将来的に変動する可能性のある不確実なものであるにもかかわらず,被告は,下位者を介して,原告に対し,出資金元本が保証され,月平均3%ないし8%程度の配当が確実に得られると申し向けて,aファンドに対する投資の勧誘を行った。この被告の行為は,断定的判断の提供に該当する。
(被告の主張)
上記ア(被告の主張)(イ)のとおり
(2)  争点(5)(損害)について
(原告の主張)
原告は,aファンドに対する投資により,出資額200万円の損害を被ったほか,本件訴訟に係る弁護士費用のうち被告の上記不法行為と相当因果関係のある損害として20万円の損害を被ったものである。
(被告の主張)
原告の主張は争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実,争いのない事実,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)ア  Aは,aファンドを設立し,平成17年3月頃から,主としてFX,株式,先物取引で出資金を運用して利益を上げる旨を宣伝し,出資を募っていた。被告が関与するまでは,顧客は直接Aとの間で出資に係る合意をしており,本件仕組みは存在しなかった。
イ  Aと被告は,家庭日用品等を連鎖販売取引するb合同会社(以下「b社」という。)の会員であり,連鎖販売取引において,被告が上位者,Aがその下位者の関係にあった。被告は,Aがaファンドの運用により資金を得ているとの話を聞き,平成23年6月頃から,aファンドに出資し,その運営に関与するようになった。具体的には,被告において,b社で培った連鎖販売取引の人脈(ネットワーク)と手法を活用して,aファンドの資金を集めるために,紹介料を介して顧客に新たな顧客を勧誘させて数多くの顧客を集める階層的な連鎖取引類似の勧誘の仕組み(本件仕組み)を考案し,これをAに対して提案した。Aは,被告の提案を採用し,aファンドにおいて出資金を集めるための本件仕組みを立ち上げることとした。
なお,被告は,平成27年8月又は9月頃,b社の人脈(ネットワーク)を,b社の営業以外に利用したことが倫理綱領に違反するとして,b社を退職させられた。
ウ  本件仕組みにおいては,顧客が更に他の顧客の勧誘に成功すると毎月紹介料が入る紹介料制度が存在し,勧誘した下位の顧客が行った投資の利益に対応する紹介料が上位の顧客に対しても支払われるといった仕組みがとられていた。
(甲17,19,20,23,乙3,4)
(2)ア  aファンドは,本件仕組みを通じて顧客の規模を爆発的に拡大し,最終的に,顧客は500人以上,出資金総額は約25億8000万円となった。この出資金のうち,約4億8000万円をAとその妻が費消し,約1億4728万円を後述のとおり被告が紹介料やその他の金員として収受し,その余の金員については,国内の証券会社等に運用を委託した金員も存在したが,大部分の金員は,運用に回されることなく,顧客から返金申請があった出資金の返金や顧客に対する配当金名目の金員の支払に流用するなどされていた。このように,aファンドは,顧客から送金を受けた出資金を運用に回すことなくこれを他の顧客に対する出資金の返金や配当金の支払に流用することを繰り返しており,その資金繰りは自転車操業の状態となっていた。
イ  aファンドは,顧客を勧誘するに際し,短期売買と中期売買をうまく組み合わせ,最大で500倍,実質は100倍ないし200倍のレバレッジを効かせて収益を積み上げていくFX自動取引の手法により出資金の運用をしていること,出資金の運用利回りの平均パフォーマンスは,月3%ないし8%,実質は6%ないし16%であり,最高で22.8%であることなどを宣伝していた。
ウ  aファンドは,顧客に対して定期的に運用レポートを送付していたが,顧客の出資金の管理方法,出資金の運用の仕組みや具体的な運用実績(取引状況・取引内容)については明らかにしていなかった。
(甲1,2,15,17,19,20,乙3,4)
(3)ア  被告は,aファンドに出資した後の平成23年10月ないし11月頃からaファンドにおける顧客の勧誘等の営業活動を開始するようになり,自ら直接に40人程度の顧客の勧誘をしたが,その多くは自身の親族又はb社の人脈(ネットワーク)を利用したものであった。また,被告は,本件仕組みを通じた顧客の勧誘を自ら実践して自身の傘下の顧客を拡大して,aファンド内にY帝国と呼ばれる階層的な一大組織(以下「Yグループ」という。)を形成した。Yグループは,最終的に,18ないし20程度の系列からなる440人程度の顧客で組織されるようになり,集めた出資金総額は20億8000万円にも上り,顧客数及び出資金総額ともにaファンドの大半を占めていた。
イ  被告は,顧客に告げることなく,顧客に配当されるべき金員から半額を中抜きして収受した上で,残額から自身の紹介料として15%の紹介料を収受し,他の紹介者に対する紹介料も支払わず,中には,顧客の出資金について架空の配当金を計上して自身の紹介料を前倒しする形で収受するといった,被告とAとの間でのみ共有されていた金銭分配の仕組みに基づき,毎月370万円の金員をaファンドから収受した。
さらに,被告は,上記の金銭分配システムによる紹介料等の金員以外にもaファンドから金員の支払を受けており,また,Yグループにおける下位の顧客がaファンドに対する投資の勧誘をする際に必要な交通費や飲食代等の経費を自ら管理し,aファンドの資金から経費の支払を受けていた。
このようにして,被告が約2年半の間にaファンドから支払を受けた金員は紹介料だけでも約1億4728万円に上るものであった。
ウ  aファンドにおける出資金の運用はAが行っており,被告は,aファンドにおける出資金の運用自体には直接関与していなかったものの,上記(2)イのような高利率の配当金の支払が謳われていることをAから聞いて認識しており,顧客に対して支払われるべき配当金からAに対する報酬や被告に対する上記紹介料等が支払われていることについても認識していたにもかかわらず,本件仕組みの構築や本件仕組みを通じた顧客の拡大を行うに際して,aファンドに出資された資金の流れ,出資金の運用の具体的な内容や運用手法,運用実績等についてAに対して確認しておらず,顧客に対する配当金や被告に対する紹介料等の支払原資等を具体的に確認することはしていなかった。
(甲15~17,19,20,23,乙3,4)
(4)  Yグループ傘下の顧客であるBは,平成25年11月頃,原告に対し,「aファンド概要」と題する書面及びaファンドの運用報告書を交付した上で,aファンドに対して出資をすれば,元本が保証され,月平均3%ないし8%程度の配当が得られるなどと告げて,aファンドに対する投資の勧誘を行った。
原告は,Bの話を信用し,同月15日,出資金名下に200万円をA名義の口座に送金し,aファンドに出資をした。
Bは,Yグループ傘下の顧客であったため,原告もYグループ傘下の顧客となり,被告は原告との関係でも紹介料等の金員を収受した。
(甲1,2,4,24)
(5)ア  原告がaファンドに出資をした後,aファンドにおける出資金の運用等を行っていたとされる海外法人であり,Aが代表取締役を務めていた「c有限公司」という会社から原告の下にaファンドへの出資金に関する運用報告書が定期的に届き,そこにはaファンドによる原告の出資金の運用は順調に利益を上げており,平成27年2月28日の時点で411万7781円の通算利益が生じているかのような記載がされていた。平成26年の下旬に入ると,aファンドから顧客に対する出資金の返金が滞るようになって,原告の下にも運用報告書は届かなくなり,その後,aファンドは顧客への返金をすることができない状態となった。
Aは,平成27年1月,原告に対し,配当金の送金についてはシンガポールにある法人から行う旨を告げたが,aファンドから原告に対して配当金の送金がされることはなかった。その後,Aは,同年5月2日,原告に対し,aファンドにおける出資金の運用委託先による詐欺の疑いが生じたことから,現時点で出資金の返金を行うことはできず,同年7月末日に出資金の返金を行う旨を告げた。しかし,原告は,出資後から現在に至るまで配当金の支払はおろか出資金の返金すら受けていない。
イ  A及び被告は,平成28年2月17日,共謀して,元本保証と高利回りを約束してaファンドへの出資を募ったとして,預り金及び金利等の取締りに関する法律違反の罪により逮捕され,同年3月9日,同法違反の罪で起訴された。
Aは,同年5月24日に同法違反の罪により実刑判決を受け,同判決に対して控訴したものの,同年11月24日に控訴棄却の判決を受けて,その後上告したが,上告棄却によって上記実刑判決が確定した。被告も同法違反の罪により実刑判決を受けて,同判決に対して控訴し,現在控訴審に事件が係属中である。
(甲5,6,14,20~22,24,乙3)
2  争点(1)(本件仕組みの発案及び違法性)について
(1)  aファンドでは,顧客に対して,出資金の運用利回りの平均パフォーマンスは,月3%ないし8%,実質は6%ないし16%であり,最高で22.8%であることなどの宣伝が行われ,これに基づく投資の勧誘がされていた(前記認定事実(2)イ)が,このような異常な高利率による配当を行うだけの運用益を継続的に出し続けることは常識的に考えて不可能である。さらに,Aに対する成功報酬や本件仕組みの下での紹介料も支払う必要があり,早晩破綻することが避けられないものであった。
(2)  現に,出資金の大部分は,運用されることなく,他の顧客に対する出資金の返金や配当金の支払に充てられ,A及びAの妻によって費消された結果,aファンドにおける資金繰りは自転車操業状態となった(前記認定事実(2)ア)。
また,aファンドにおける顧客の出資金の管理方法や出資金の運用の仕組み,具体的な運用実績,紹介料の支払原資などは,一切明らかにされておらず,原告が支出した出資金の帰趨も不明である(前記認定事実(2)ウ,弁論の全趣旨)。
(3)  これらの点を総合すれば,aファンドにおける出資金の運用実態は,その一部について運用の実態はあったとしても,全体としてみれば,常識を超えるような高利回りの配当等という虚構の事実を宣伝し,これを信じた顧客から出資金名下の資金を集め,その一部を配当として還元することで高利回りの虚構性を隠蔽し,連鎖取引類似の勧誘方法(本件仕組み)を介して,顧客を拡大して資金の増大を図るという詐欺的なものであって,顧客に約束した配当金を支払えるだけの運用実態はなかったものと認めるのが相当である。
3  争点(2)(虚偽取引への勧誘)について
(1)  被告は,Aに提案してb社で培った人脈(ネットワーク)及び手法を参考にして本件仕組みを考案,実践し,本件仕組みを通じてaファンドに対する投資の勧誘活動を行い主導的な役割を果たした(前記認定事実(1)アないしウ)。aファンドの顧客500人以上のうち約440人がYグループを占め,出資金総額25億8000万円のうち20億8000万円をYグループの顧客が出資し,その結果として,被告は1億4728万円の紹介料を収受した(前記認定事実(3)ア及びイ)。これらを踏まえると,被告は,aファンドにおいて中核的な地位にあったことが認められる。
そして,被告は,顧客の出資金の運用自体には関与しておらずaファンドに出資された資金の流れ,出資金の運用の具体的な内容,運用実績等は把握していなかったものの,aファンドにおける投資の勧誘に際して上記のような常識外ともいえる高配当の支払が謳われていることを認識していたこと(前記認定事実(3)ウ),Aが被告に交付した運用報告書上もaファンドからYグループの顧客の出資元本を上回る紹介料等を受け取ることとされていたこと(甲23),被告が実際に収受した紹介料の中には,被告自ら考案して顧客の出資金について架空の配当金を計上して自身の紹介料を前倒しする形で収受していた金銭が存在すること(前記認定事実(3)イ)を総合すれば,被告がAから出資金の運用実態について説明を受けていなかったとしても,被告自身としても,aファンドが顧客に約束した配当金を支払えるだけの出資金の運用実態を有していない虚構のものであることを認識していたことを優に認めることができる。
(2)  被告は,このようにaファンドが出資金の運用実態を有していないことを認識しながら,本件仕組みを構築し,aファンドに対する投資の勧誘活動において,主導的な役割を果たしたものであるから,本件仕組みに基づき自身の下位者を通じて投資勧誘活動を行うことで,原告を含む多数の顧客を詐欺的な商法であるaファンドに出資をさせたものであると認められ,その余の点(争点(3)及び(4))について判断するまでもなく,被告について,原告を虚偽取引に勧誘したことについて故意による不法行為が成立すると認められる。
4  争点(5)(損害)について
(1)  原告は,aファンドに対する出資金の返金を受けていないことから,当該金員200万円は原告に生じた損害である。原告は,Yグループ傘下のBから,本件仕組みによる勧誘を受けて,aファンドに対して上記金員の出資をしたから,被告の上記不法行為と原告の上記損害との間には相当因果関係があると認められる。
なお,被告は,原告が出資したことを知らなかったと主張するが,本件仕組みは,連鎖取引類似の構造を有し,下位者が出現することが当初から予定されているから,下位者に生ずる損害は通常生ずべき損害であって,被告の認識の有無に左右されない。
(2)  本件の事案の性質に照らし,原告が要した本件訴訟に係る弁護士費用のうち,上記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は20万円であると認められる。
(3)  よって,損害額は220万円である。
第4  結論
以上によれば,原告の請求は理由があるからこれを全部認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第25部
(裁判長裁判官 本間健裕 裁判官 小西圭一 裁判官 谷田部峻)

 

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