判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(35)平成29年11月 7日 東京地裁 平28(ワ)34558号 損害賠償請求事件
判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(35)平成29年11月 7日 東京地裁 平28(ワ)34558号 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成29年11月 7日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)34558号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 認容 文献番号 2017WLJPCA11078003
要旨
◆被告会社の代表取締役である被告Y1からFXバイナリーオプション取引の自動売買システムを用いて行う本件取引の勧誘を受け出資した原告らが、被告Y1は実際には元本を保証し毎月配当を恒常的に出し続けることが可能な自動売買ソフトなど存在しないのに、同ソフトを利用して本件取引を行うという手法で原告らを誤信させ金銭を交付させるなどしており、その行為は虚偽事実の告知、詐欺的商法、出資法違反、説明義務違反、断定的判断の提供に当たるから同被告は不法行為責任及び会社法429条の責任を負い、また、被告会社は共同不法行為責任及び会社法350条の責任を負うとして、損害賠償を求めた事案において、被告Y1は請求原因事実を争うことを明らかにせず、被告会社については請求原因事実が認められるとして、被告Y1の不法行為責任、被告会社の会社法350条による責任を認め、請求を全部認容した事例
参照条文
民法709条
民法719条1項
会社法350条
会社法429条1項
民事訴訟法159条
裁判年月日 平成29年11月 7日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)34558号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 認容 文献番号 2017WLJPCA11078003
東京都港区〈以下省略〉
原告(以下「原告X1」という。) X1
神奈川県藤沢市〈以下省略〉
原告(以下「原告X2」という。) X2
原告両名訴訟代理人弁護士 五反章裕
東京都千代田区〈以下省略〉
(送達場所:東京都文京区〈以下省略〉)
被告(以下「被告会社」という。) 株式会社S.K.Partners
同代表者代表取締役 Y1
東京都文京区〈以下省略〉
被告(以下「被告Y1」という。) Y1
主文
1 被告Y1及び被告会社は,原告X1に対し,連帯して372万3230円及びこれに対する被告Y1につき平成28年11月6日から,被告会社につき同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Y1及び被告会社は,原告X2に対し,連帯して383万9550円及びこれに対する被告Y1につき平成28年11月6日から,被告会社につき同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告Y1及び被告会社の負担とする。
4 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求の趣旨
主文第1項及び第2項同旨
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 当事者
原告X1及び原告X2は,保険の代理店を営む個人である。
被告会社は,平成25年3月11日に設立され,「コンピューターシステム及びソフトウエアの企画,開発,設計,販売,保守及びコンサルティング」を目的とする株式会社である。
被告Y1は,被告会社の設立当時から現在まで,被告会社の代表取締役の地位にある者である。
(2) 被告Y1の勧誘及び原告X1の出資等
ア 原告X1は,平成26年9月ころ,訴外A(以下「A」という。)から被告Y1を紹介された。被告Y1は,原告X1に対し,FXのバイナリーオプション取引の自動売買システム(以下「本件自動売買システム」という。)を開発した(以下,本件自動売買システムを用いて行うFXのバイナリーオプション取引のことを「本件取引」という。),本件自動売買システムを利用するとバイナリーオプションで確実に利益が得られる,本件取引で既に数十億円の利益を上げている,本件取引により元本保証で毎月8パーセントの利益が得られる,本件取引のやり方について,GMOクリック証券(以下「GMO証券」という。)で証券口座を作り,IDとパスワードを被告Y1に渡すこと,そして被告Y1から原告X1にパソコンを渡すので電源を入れて放置しておいてほしいなどといった話をした。
イ 原告X1は,上記アの被告Y1の勧誘に応じて本件取引に出資することとし,平成26年10月2日,GMO証券で口座を開設し,同年10月9日に同口座に500万円を入金し,IDとパスワードを被告Y1に伝えた。
そして,同年10月15日より,GMO証券において,本件取引が開始された。
(3) 被告Y1の勧誘及び原告X2の出資等
ア 原告X2は,平成26年8月ころ,Aから被告Y1を紹介された。被告Y1は,原告X2に対し,被告Y1が本件自動売買システムを開発した,本件自動売買システムを利用するとバイナリーオプションで確実に利益が得られること,本件取引で既に数十億円の利益を上げていること,本件取引により元本保証で毎月8パーセントの利益が得られることいった話をした。
イ 原告X2は,上記アの被告Y1の勧誘に応じて本件取引に出資したいと思い,平成26年8月6日,GMO証券で口座を開設した。
ウ 被告Y1は,平成27年2月ないし9月頃,原告X2に対し,本件自動売買システムを改良している,この改良により強固になった,元本保証で毎月の取り分が6パーセントに減るが順調に利益が出ているなどと本件取引に出資するように勧誘した。また,被告Y1は,原告X2に対し,本件取引のやり方について,GMO証券で証券口座を作り,IDとパスワードを被告Y1に渡すこと,そして被告Y1から原告X2にパソコンを渡すので電源を入れて放置しておいてほしいなどといった話をした。
エ 原告X2は,上記ウの被告Y1の勧誘に応じて本件取引に出資することとし,平成27年10月8日に上記イで開設した口座に350万円を入金し,IDとパスワードをAに伝えた。
そして,同年10月8日より,GMO証券において,本件取引が開始された。
(4) 被告Y1及び被告会社の違法行為
ア 虚偽事実の告知
被告Y1は,原告X1及び原告X2に対して,実際には,元本を保証し,毎月6ないし8パーセントの配当を恒常的に出し続けることが可能な自動売買ソフト(そのような機能を実際有する自動売買ソフト。以下「本件自動売買ソフト」という。)など存在しないにもかかわらず,自動売買ソフトを利用して本件取引を行うという手法で,元本を保証した上で毎月6ないし8パーセントの配当を出し続けることが可能であると申し向け,原告X1及び原告X2をその旨誤信させて上記(2)及び(3)のとおりそれぞれ金銭を交付させた。
さらに,被告Y1は,平成27年9月の時点で,原告X1に利益が出ていなかったこと等にかんがみると,本件取引で元本を保証し,毎月6パーセントの配当を出し続けられるという客観的な状況になかったにもかかわらず,原告X2に対し,元本を保証し,毎月6パーセントの配当が順調に出ているなどと申し向け,原告X2にその旨誤信させ上記(3)のとおり金銭を交付させた。
イ 詐欺的商法
原告X1及び原告X2が出資したのは,本件自動売買ソフトを利用して本件取引を行うことにより,元本を保証し,毎月6ないし8パーセントの配当を出し続けるというものである。また,本件では,本件取引を紹介し出資をさせた者(紹介者)には,当該出資者の出資金に対して「毎月」「数%」を得られるという報酬制度があった。とすると,被告Y1は,原告X1及び原告X2に対して告げた「元本を保証し,毎月6%から8%の利益を配当する」ためには,その他諸経費や被告Y1が収受する上記報酬制度に基づく紹介料,成功報酬等を考慮すると,最低でも毎月十数パーセントから数十パーセントに及ぶ利益を恒常的に上げ続けることが必要となる。
しかしながら,このような投資が成り立たない(存在しない)ことは経済常識に照らして明らかであるし,このような投資商法は,およそ投資の名に値しない荒唐無稽な部類の話である。そして,被告Y1及び被告会社から具体的にそれが可能であるとの立証があるなど特段の事由がない限り,破綻必至の詐欺的な商法である。
ウ 出資法違反
被告Y1は,原告X1及び原告X2に対して,「私にこの取引をやらせてもらえば,元本保証で,毎月8%(6%)の利益を得られる。」などと申し向けて,原告X1及び原告X2から金銭を収受しているが,当該行為は,「後日出資の払いもどして出資金の全額若しくはこれを超える金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し,又は暗黙のうちに示して,出資金の受入」れる行為であり,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)1条に反する行為である。
エ 説明義務違反
金融商品の勧誘者は,勧誘しようとする金融商品の内容や仕組み商品のリスクについて,投資しようとする者の知識,経験,財産の状況に照らし,当該投資しようとする者に理解させるために必要な方法及び程度による説明する義務を,信義則上負うものとされている。
本件のような出資契約に基づき出資を行う場合,そのような有償契約を行うという観点からも,出資を受ける者は,対象物について一定の説明義務(情報提供義務)を負うことは明らかである。
本件では,被告Y1は,「私にこの取引をやらせてもらえば,元本保証で,毎月8%(6%)の利益を得られる。」などと申し向けて,利益をことさら強調する勧誘を行う一方で,本件取引を行うにあたり,投資判断に必要な本件自動売買ソフトの具体的な内容,性質につき十分な情報を告知すらせず,また,バイナリーオプション取引の一般的な仕組みやリスク,本件自動売買ソフトを利用してする同取引のリスクなどについても一切説明していないのであるから,被告Y1及び被告会社には,説明義務(情報提供義務)違反があることも明らかである。
オ 断定的判断の提供
投資をして収益が上がるか否かは,およそ,その将来における変動が予測困難な不確実な事実であり,これについて断定した判断を告げることは,原告X1及び原告X2をはじめとした一般消費者の投資判断を誤らせ不測の損害を被らせることにつながるから,不法行為を構成する。
そして,上記エで述べたところと同様,そのような有償契約を行うという観点からも,断定的判断の提供は不法行為を構成するものといえる。
本件では,被告Y1は,原告X1及び原告X2に対して,「私が開発した自動売買ソフトを利用すると,バイナリーオプションで確実に利益が得られる。この取引で既に数十億円の利益を上げている。」,「私にこの取引をやらせてもらえば,元本保証で,毎月8パーセントの利益を得られるし,税金も私が払う。」などと申し向けて勧誘を行っているが,当該行為が断定的判断の提供にあたることは明らかである。
(5) 被告Y1及び被告会社の責任
ア 被告Y1は,上記(3)及び(4)で述べた行為を行った者であり,不法行為責任(民法709条)を負うものである。
イ 上記(3)及び(4)で述べた本件の経過・態様等に照らし,これら違法行為が被告会社の通常業務とは異質の偶発的なものではなく,むしろ同社における組織的違法行為の一発現であることが明らかであるから,被告会社は,法人として固有の不法行為責任を負う(民709条)。
ウ そして,被告Y1と被告会社は,企画立案,勧誘担当,説明等,各自,役割を分担して共同して本件を行ったものであり,共同不法行為責任を負う(民法719条)。
エ また,被告Y1の上記(3)及び(4)で述べた行為は,外形上,被告会社の代表者としての職務の範囲内であると判断されるものであり,被告会社は,原告X1及び原告X2に対し,会社法350条に基づく損害賠償責任を負う。
オ さらに,本件取引により原告X1及び原告X2に損害が発生した当時,被告会社の代表取締役であった被告Y1は,被告会社の代表者としてその営業が適法なものとなるように業務執行を行うべきであったのに,敢えてこれをせず,違法勧誘を自ら行ったものであるから,その業務執行について任務懈怠があり,その任務懈怠に少なくとも重過失があったことは明らかであるから,会社法429条に基づく損害賠償責任を負う。
(6) 被告Y1及び被告会社からの違法行為に基づく損害の発生
ア 原告X1について
(ア) 未返還交付金員相当損害金 339万3230円
原告X1が被告Y1及び被告会社からの違法行為により被った損害は,平成26年の損失160万0600円と平成27年の損失229万2630円を併せた金額に,平成26年11月頃,被告Y1に交付した50万円,そこから被告Y1から返還された100万円を控除した339万3230円である。
(イ) 弁護士費用 33万円
本件のごとき専門的な取引について争いとなっている訴訟事件については,一般私人が適切な訴訟追行をなすことは到底期待できず,その権利救済のためには弁護士である訴訟代理人に委任することが必要不可欠であることが明白であるから,原告X1がその訴訟代理人に支払うべき弁護士報酬等の全額が,被告Y1及び被告会社の本件不法行為と相当因果関係を有する損害というべきところ,原告X1は,そのうち上記(ア)の損害額の1割である33万円を請求する。
イ 原告X2について
(ア) 未返還交付金員相当損害金 349万9550円
原告X2が被告Y1及び被告会社からの違法行為により被った損害は,交付した350万円から,口座残高450円を控除した349万9550円である。
(イ) 弁護士費用 34万円
上記ア(イ)と同様であり,原告X2は,そのうち上記(ア)の損害額の1割である34万円を請求する。
(7) まとめ
よって,
ア 原告X1は,被告Y1及び被告会社に対し,上記(5)の不法行為法上ないし会社法上の責任(選択的併合)に基づき,連帯して,合計372万3230円及びこれに対する請求権発生後の日であり訴状送達の日の翌日である被告Y1につき平成28年11月6日から,被告Y1につき同月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,
イ 原告X2は,被告Y1及び被告会社に対し,上記(5)の不法行為法上ないし会社法上の責任(選択的併合)に基づき,連帯して,合計383万9550及びこれに対する請求権発生後の日であり訴状送達の日の翌日である被告Y1につき平成28年11月6日から,被告会社につき同月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,
それぞれ求める。
2 請求原因に対する認否等
(1) 被告Y1
ア 請求原因(1)については認否を明らかにしない。
イ 請求原因(2)アについては,本件取引はパソコンを被告Y1が用意し,それを原告X1本人が設置すればそのパソコンで本件自動売買ソフトを入れて取引を行うこと,税金分については本人で申告してもらうために,その税金分を口座に残すことを説明していたことは認めるが,その余は否認ないし争う。被告Y1は,原告X1に対し,投資においては自己責任である旨説明していた。
請求原因(2)イについては認否を明らかにしない。
ウ 請求原因(3)ア及びウについては,本件取引はパソコンを被告Y1が用意し,それを原告X2本人が設置すればそのパソコンで本件自動売買ソフトを入れて取引を行うこと,税金分については本人で申告してもらうために,その税金分を口座に残すことを説明していたことは認めるが,その余は否認ないし争う。被告Y1は,原告X2に対し,投資においては自己責任である旨説明していた。
請求原因(3)イ及びエは認否を明らかにしない。
エ 請求原因(4)アは否認ないし争う。説明時点の取引結果においてその結果が出る可能性を話したにすぎず,取引開始後の結果を保証してはいない。
請求原因(4)イは否認ないし争う。上記のとおりで,原告X1及び原告X2が主張するような破綻必至で合理性に欠ける説明はしていない。
請求原因(4)ウは否認ないし争う。上記とおり原告X1及び原告X2が主張するような説明をしていない。
請求原因(4)エは否認ないし争う。金融商品の勧誘を行っていない。システムの貸与における成果報酬型の報酬を望んだにすぎず,被告Y1に出資する,金銭を預けるなど金融商品取扱行為を一切していない。
請求原因(4)オは否認ないし争う。原告X1及び原告X2が主張するような断定した説明はしていない。
ウ 請求原因(5)はいずれも否認ないし争う。
エ 請求原因(6)はいずれも否認ないし争う。
オ 請求原因(7)は争う。
(2) 被告会社
いずれも否認ないし争う。
被告会社は本件に一切関与していない。被告会社は不動産領域のサービスを行う会社であり,原告X1及び原告X2に対し,被告Y1が被告会社の代表取締役の肩書の名刺を渡したが,これは新サービスを始めると被告Y1個人が話をした際に渡したものである。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因(1)について
被告Y1の関係では争うことを明らかにしないからこれを自白したものとみなし,被告会社の関係では証拠(甲23,甲24)及び弁論の全趣旨(被告Y1兼被告会社代表者は,平成29年4月28日の本件第3回弁論準備期日において同年6月1日までに原告X1及び原告X2の主張に対する反論の準備書面を提出すると述べたにもかかわらずこれを提出せず,その後の弁論準備期日及び口頭弁論期日には正式の期日呼出にも応じず一切出頭しなかった。以下同じ。)からこれを認めることができる。
2 請求原因(2)について
ア 請求原因(2)アについては,証拠(甲1,甲23)及び弁論の全趣旨によればこれを認めることができる。
イ 請求原因(2)イについては,被告Y1の関係では争うことを明らかにしないからこれを自白したものとみなし,被告会社の関係では証拠(甲2の1及び2,甲5,甲23)及び弁論の全趣旨からこれを認めることができる。
3 請求原因(3)について
ア 請求原因(3)ア及びウについては,証拠(甲1,甲20ないし22,甲24,甲25)及び弁論の全趣旨によればこれを認めることができる。
イ 請求原因(3)イ及びエについては,被告Y1の関係では争うことを明らかにしないからこれを自白したものとみなし,被告会社の関係では証拠(甲3の1及び2,甲6,甲24)及び弁論の全趣旨からこれを認めることができる。
4 請求原因(4)アについて
証拠(甲1,甲20ないし25)及び弁論の全趣旨(上記に加え,被告Y1兼被告会社代表者は,本件口頭弁論期日ないし弁論準備期日において,原告X1及び原告X2から,本件自動売買ソフトの存在を明らかにするよう求められ,これに応じることがさほど困難であったとは解されないにもかかわらず,これを明らかにすることはなかった。)からこれを認めることができる。
5 請求原因(5)について
上記1ないし4からすれば,被告Y1の原告X1及び原告X2に対する不法行為(民法709条)を認めることができる。
証拠(甲1,甲23,甲24)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社の目的の一つに「コンピューターシステム及びソフトウエアの企画,開発,設計,販売,保守及びコンサルティング」が挙げられており,本件取引ないし本件自動開発ソフトの提供等はこれに該当するものと認められること,原告X1及び原告X2は,被告Y1から被告会社の代表取締役の肩書の名刺を請求原因(2)ア及び請求原因(3)アの勧誘の際に交付を受けていることが認められることからすれば,外形上被告会社の業務として上記被告Y1の不法行為が行われたといえる。したがって,被告会社は,被告Y1の上記不法行為に関して会社法350条の責任を負い,これは被告Y1の不法行為責任と不真正連帯債務の関係にある。
6 請求原因(6)について
ア 請求原因(6)ア(ア)については,証拠(甲2の1及び2,甲5,甲23)及び弁論の全趣旨によればこれを認めることができ,同(イ)についても原告X1が請求する範囲においては被告Y1の不法行為と相当因果関係を有するものと認められる。
イ 請求原因(6)イ(ア)については,証拠(甲3の1及び2,甲6,甲24)及び弁論の全趣旨によればこれを認めることができ,同(イ)についても原告X2が請求する範囲においては被告Y1の不法行為と相当因果関係を有するとものと認められる。
7 まとめ
したがって,その余について判断するまでもなく,原告X1及び原告X2に対し,被告Y1については不法行為に基づく責任が認められ,被告会社に対しては会社法350条の責任が認められ,これらは不真正連帯の関係にあり,また,これらは各訴状送達の日の翌日(被告Y1につき平成28年11月6日,被告会社につき平成28年11月19日)には発生していることは明らかであるから,これらに対する同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金について認めることができる。
第4 結論
以上によると,原告X1及び原告X2の請求はいずれも理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,65条1項本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項を各適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第5部
(裁判官 鈴木秀孝)
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