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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(167)平成25年 7月 3日 東京地裁 平24(ワ)8964号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(167)平成25年 7月 3日 東京地裁 平24(ワ)8964号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成25年 7月 3日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)8964号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2013WLJPCA07038002

要旨
◆不動産仲介業を営む原告が、被告会社との間で不動産売買の媒介契約を締結していたのに、被告らが原告を排除して媒介契約を締結し売買を行ったことにより、仲介手数料相当額の損害を被ったなどと主張して、被告会社に対しては、媒介契約等に基づく報酬又は不法行為に基づく損害賠償を求め、被告銀行に対しては、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、原告と被告会社の間の媒介契約の成立を認定した上で、被告会社は、もともと本件売主側の仲介業者として売却先探索を行っていた被告銀行と媒介契約を締結し、その双方媒介により本件物件の売買契約を締結したのであるから、被告会社は、原告の媒介によって売買契約が成立することという仲介手数料発生の停止条件の成就を故意に妨げたものであり、また、被告銀行は、組織的に原告の本件物件の取引への関与を排除し、原告の被告会社に対する報酬請求権の条件成就を故意に妨害して原告の権利を侵害したと認定して、請求の殆どを認容した事例

参照条文
民法130条
民法709条

裁判年月日  平成25年 7月 3日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)8964号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2013WLJPCA07038002

東京都葛飾区〈以下省略〉
原告 株式会社インサイト・コム
同代表者代表取締役 A(以下「A」という。)
同訴訟代理人弁護士 松村龍一
同訴訟復代理人弁護士 村方善幸
東京都中央区〈以下省略〉
被告 みずほ信託銀行株式会社(以下「被告みずほ信託」という。)
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 工藤舜達
緑川正樹
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告 株式会社飯田産業(以下「被告飯田産業」という。)
同代表者代表取締役 C
同訴訟代理人弁護士 秋野卓生
有賀幹夫
永瀬英一郎
吉川幹司
中川藤雄
内田創
森田桂一
井上雅之
大友秀剛
菅谷朋子

 

 

主文

1  被告飯田産業は,原告に対し,1707万3000円及びこれに対する平成24年2月13日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告みずほ信託は,原告に対し,1707万3000円及びこれに対する平成24年2月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告の被告みずほ信託に対するその余の請求を棄却する。
4  訴訟費用は,被告らの負担とする。
5  この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告飯田産業に対する主位的請求及び予備的請求
いずれも主文第1項と同旨
2  被告みずほ信託に対する請求
主文第2項と同旨(ただし附帯請求の率は年6分)
第2  事案の概要
本件は,不動産仲介業を営む原告が,被告飯田産業との間で不動産売買の媒介契約を締結していたのに,被告らが原告を排除して媒介契約を締結し売買を行ったことにより,仲介手数料相当額の損害を被った等と主張して,①被告飯田産業に対しては,媒介契約等に基づく報酬(主位的請求)又は不法行為に基づく損害賠償(予備的請求)として,1707万3000円の支払を求め,②被告みずほ信託に対しては,不法行為に基づき1707万3000円の損害賠償を求めている事案である(附帯請求は商事法定利率の遅延損害金)。
1  前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認定することができる事実)
(1)原告は,不動産の仲介等を目的とする会社である。
被告飯田産業は,分譲住宅業等を目的とする会社であり,被告みずほ信託は,信託業務等を目的とする大手信託銀行である。
(2)株式会社ジョイント・レジデンシャル不動産は,平成22年当時,会社更生手続中であった会社であり,同社の管財人(以下「本件売主」という。)は,同年5月の更生計画認可決定の後,更生会社所有の東京都港区青山三丁目所在の宅地5筆(地積合計575.40m2。以下「本件物件」という。)の売却処分を試み,被告みずほ信託を含む不動産業者を通じて売却先を探していた。(乙ロ5)
(3)被告飯田産業は,平成22年10月14日,原告から本件物件が売却物件となっている旨の情報提供を受け,これ以降,本件物件の購入を検討していた(甲2①)。
(4)本件物件に対しては,平成23年1月ころ,競合他社から6億2000万円での購入申込みがあり,このことを知らされた被告飯田産業は,これを超える金額で申込みをするかどうかを検討したが,社内決裁で会長が6億2000万円を超える金額での申込みを承認しなかったため,同年2月1日,申込みを断念した。
本件売主は,上記購入申込者に優先交渉権を与えて売却交渉をしたが,契約締結に至らず,同年4月上旬ころ,本件物件の売却先探しを再開した。
(5)本件売主は,被告飯田産業に対し,平成23年9月5日,本件物件を代金5億4000万円で売った。被告みずほ信託は,この売買契約に当たり売主と買主の双方と媒介契約を締結し,被告飯田産業からは,同月9日,仲介手数料として,1707万3000円の支払を受けた。(乙イ1,2)
2  争点及びこれに関する当事者の主張
本件の争点は,①原告と被告飯田産業の間で本件物件の売買のため媒介契約が成立したか否か,②原告が,被告飯田産業に対し,民法130条又は商法512条に基づき媒介報酬を請求できるか,③被告らが,原告に対し,不法行為責任を負うか否かであり,これに関する当事者の主張は以下のとおりである。
(1)争点①(原告と被告飯田産業の間の媒介契約の成否)
(原告の主張)
ア 原告は,平成22年10月14日に被告飯田産業に本件物件の情報を提供し,同月18日に被告飯田産業に売買の契約交渉を行うことを申し入れ,同月末以降,担当者であるD(以下「D」という。)に,社内稟議に必要な登記事項証明書や建物プランを取得して提供したほか,平成23年1月中も,競合買主の動向や本件売主が行う交渉の状況を情報提供し,価格交渉にも関与している。このような事実の流れからすると,原告と被告飯田産業との間には,平成22年11月15日までには媒介契約が成立したといえる。
イ 実際に被告飯田産業が本件物件上に建築した建物は,原告が提供した建築プランと著しく類似しており,被告飯田産業はこのプランを前提に内部決裁を行い,価格次第で本件物件を購入する意思決定をしたといえ,被告飯田産業の本件物件購入に対する原告の貢献は大きい。また,この建物プランは,原告が建築士に依頼して作成したものであり,本来無償で提供される性質のものではない。
ウ 原告は,平成22年10月中に,売買価格の目線として5億3000万円から5億5000万円という金額を被告飯田産業に示しており,被告飯田産業は,これに合致する5億4000万円で本件物件を購入しているから,被告飯田産業は原告の金額提示を参考にしたと考えられる。
(被告飯田産業の主張)
ア 原告と被告飯田産業との間では,宅地建物取引業で要求されている媒介契約の契約書が作成されておらず,媒介契約を締結する旨の口頭の合意もない。
イ 原告が行った,売却物件の情報や登記事項証明書,建物プランの提供は,原告独自の判断で行った単なる営業行為にすぎず,媒介契約成立の根拠とはなり得ない。建物プランは,被告飯田産業が依頼したのではなく,原告からの強い要望によりやむなく作成を承諾したにすぎない。
(2)争点②(原告が飯田産業に対し媒介報酬を請求できるか)
(原告の主張)
ア 不動産仲介業務では,規定手数料の上限である,売買代金の3.15%に6万3000円を加えた金額を報酬とするのが一般的な取扱いであり,媒介契約を締結した原告と被告飯田産業との間でも,その旨の黙示の合意が存在したといえる。
そして,原告は,被告らから排除されなければ,この合意によって,5億4000万円の売買成立により1707万3000円の報酬を受けることが可能であったから,民法130条に基づいてその支払を受けられる。
イ 仮に報酬合意が認められないとしても,原告は,商法512条により相当報酬額の支払を受けることができる。
平成23年2月以降,同年9月の売買契約までの間,原告は被告飯田産業のために仲介行為を行っていないが,不動産仲介業務にあっては,購入希望者のニーズにあった物件を探し,売却希望者と引き合わせることが最も困難かつ重要な業務であり,本件物件に関してこれを行ったのは原告である。また,同年1月に6億円余りの額で価格交渉が行われていた本件物件につき5億4000万円で売買が成立したのは,同年3月の東日本大震災により不動産市況が大きく冷え込んだこと,本件売主が更正手続進行のため売却を急ぐ必要があったこと等の影響であって,双方媒介業者の立場にあり価格交渉を行うことのできない被告みずほ信託の媒介行為の結果ではあり得ず,かつ,原告はこれと同等の目線価格を早くから原告に提示している。
このように,本件物件の売買契約成立は,ほぼすべて原告の媒介行為によるものであるから,原告は,商法512条に基づき,相当報酬額に当たる被告らの間で支払われた仲介手数料と同額の報酬を受けることができる。
(被告飯田産業の主張)
ア 被告飯田産業は,本件物件の取引に関しては,これを購入することができる限り,媒介業者は誰でも良かったのであり,原告を殊更に排除する理由は何もない。被告飯田産業は,原告が提示した建物プランの内容や価格等の条件が希望に合わず,購入の意思決定に関して社内決裁で否決となったため平成23年2月1日に購入を断念したのであり,仮に原告との間で媒介契約が成立していたとしても,契約は同日をもって終了した。したがって,その後原告以外の業者を本件物件の仲介業者とすることに問題はなく,被告飯田産業が原告を排除したとはいえない。
よって,被告飯田産業が,媒介報酬の停止条件の成就を妨げたとはいえない。
イ 原告は,売主側から,6億3000万円以上の価格提示が必要と通告されると,価格引き下交渉等の努力を一切せず,6億4000万円での購入申込みが必要であると述べ,自ら示した目安より1億円以上高い金額を提示した。
被告飯田産業が,一度断念した後,5億4000万円で本件物件を購入できたのは,被告みずほ信託の貢献の結果であり,平成23年2月1日以降,被告飯田産業に対して何の連絡もしていない原告は,売買契約締結に何の貢献もしていない。
被告飯田産業は,原告から建物プランの提供は受けたが,平成23年2月1日に購入を社内決裁で否決し断念した時点でこれを廃棄しており,建物プランは同年9月に売買契約締結に至ったことに何ら影響を及ぼしていない。
したがって,媒介契約の成立ないし商法512条の適用によっても,原告に支払うべき報酬はない。
(3)争点③(被告らが原告に対し不法行為責任を負うか)
(原告の主張)
原告は,被告飯田産業との間で,本件物件のための媒介契約を締結した地位にあり,被告みずほ信託も,平成23年1月には原告が被告飯田産業のために仲介業務を行っていたことは知っていたが,同年4月,本件物件に関して直接被告飯田産業に連絡を取り商談を行った上,原告を仲介から排除するよう働きかけて被告飯田産業と媒介契約を締結したのであり,故意に債権侵害を行ったものとして不法行為責任を免れない。また,被告飯田産業も,原告と媒介契約を締結した立場にありながら,故意に原告を排除して本件物件を売買したのであり,不法行為責任を免れない。
これにより,原告は,本件物件の仲介から排除されなければ受け取ることができたはずの,被告みずほ信託が受領したのと同じ1707万3000円の損害を被った。
(被告飯田産業の主張)
ア 被告飯田産業は,本件物件を購入するに当たり,殊更に原告を媒介業者として排除したのではない。原告が売買契約に関与できなかったのは,原告が平成23年2月以降,本件物件に関する情報収集を怠ったからであるにすぎない。
イ 仮に原告と被告飯田産業の間で媒介契約が成立していたとしても,これは,他の媒介業者による仲介を受けたり自己発見取引が禁止される専任媒介契約ないし専属専任媒介契約には当たらないから,被告飯田産業が被告みずほ信託に本件物件購入の媒介を依頼しても,何の違法性もない。
(被告みずほ信託の主張)
ア 被告飯田産業は,平成23年1月下旬,6億2000万円を超える金額での買受申込みをするかどうかを検討したが,会長が承認せず,同年2月1日に購入を断念した。その後,同年4月上旬に本件売主が売却先探しを再開したことから,被告みずほ信託の担当者のE(以下「E」という。)は,別の案件で被告飯田産業と打合せをした機会にその旨を伝え,本件物件の購入の再検討を考えてもらいたい旨告げるとともに,以後の窓口を原告とすべきかについても尋ねた。これに対し,被告飯田産業は,自身の検討により,被告みずほ信託を媒介業者として購入を検討し,原告を媒介業者としないことを決めた。このように,被告みずほ信託は,本件物件の売却先探し再開に当たり,被告飯田産業と直接商談をしたのではなく,別取引の機会に再検討を求めたにすぎず,しかも原告を窓口とすべきかを被告飯田産業に確認しており,売却先探し再開を原告に故意に隠蔽したり,原告が被告飯田産業の媒介業者となることを故意に排除したのでもない。
イ Eは,被告飯田産業に対し,交渉窓口を原告とするのかを尋ねたにすぎず,他の業者を仲介業者として入れないよう求めたり,働きかけをした事実はない。平成23年4月以降の売却交渉で原告を窓口とするか否かは,被告飯田産業が判断することである。
ウ 原告が平成23年1月までに行った被告飯田産業に対する情報提供は,情報提供行為にすぎず,媒介行為には当たらないから,原告に報酬請求権はなく,損害もない。
第3  当裁判所の判断
1  前提事実その他争いのない事実,証拠(証人D,原告代表者のほか個別に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)被告飯田産業は,準大手の不動産開発業者であり,戸建ての分譲住宅業のほかマンション開発分譲も手がけている。Dは,不動産業の長い経験を持ち,平成22年当時,被告飯田産業のマンション部門に所属しており,マンション用地の仕入れ,事業の企画管理,顧客への販売引渡し等の業務に従事していた。Dは,事業案件に必要なマンション用地を仕入れるため,東京近辺のマンション適地の情報を広く集めるべく,不動産仲介業者に物件情報提供を求めるファックス文書を広範囲に流しており,多くの業者が営業のために接触してきていた。(甲1,乙イ3)
(2)不動産取引業界では,自ら不動産の購入や売却を行う被告飯田産業のような事業者が物件情報の提供を募り,これに対して多くの不動産仲介業者が物件や契約見込先の情報を提供するということが一般に行われており,そこでは,情報提供やその後の契約成立に向けた事実行為のみでは何ら報酬等は支払われないが,その情報が成約に結びついた場合は売買契約締結直前に一般媒介契約書を取り交わし,法令上の手数料の上限である売買代金の3.15%に6万3000円を加えた金額が仲介手数料として支払われている。この場合,情報提供等を行った不動産仲介業者が得る利益は,成約の場合に受ける仲介手数料のみであり,情報提供を受けた事業者が,情報を提供した不動産仲介業者を契約締結時に仲介業者として関与させず仲介手数料を不払いとする行為は,抜き行為などと呼ばれ,平成2年旧建設省告示115号による標準媒介契約約款上の直接取引に対する制裁条項(一般媒介,専任媒介,専属専任媒介のいずれの媒介契約においても,契約の有効期間内又は有効期間の満了後2年以内に、紹介によって知った相手方と,仲介業者を排除して目的物件の売買又は交換の契約を締結したときに,仲介業者に相当額の報酬請求権を認める規定)の趣旨から,不動産取引業界ではルール違反であることが常識となっている。
(3)原告の代表者であるAは,不動産仲介業に長年携わっており,平成22年1月に原告を設立してからは,原告名義で不動産仲介業を営んでいたところ,同年9月,電話でDに接触し,Dから上記ファックス文書の送信を受け,以後,Dに対して継続的に多数の物件情報を提供するようになった。
(4)本件売主は,平成22年半ばころ,被告みずほ信託を含む不動産仲介業者3社に依頼して本件物件の売却先を探し始めた。被告みずほ信託では,同年7月以降,本店不動産営業部門において売却活動に取り組み,自ら買主を探索するほか,系列会社のみずほ信不動産販売株式会社(以下「みずほ信不動産」という。)を含む親密業者にも探索を依頼した。(乙ロ6)
(5)原告は,みずほ信不動産から本件物件の売却活動の情報を得て,平成22年10月14日,Dに対して本件物件を希望に沿う物件として紹介し,資料を提供した。(甲2,7)
(6)Dは,平成22年10月17日には,本件物件を現地で確認の上で原告に価格目線を尋ね,5億5000万円から5億3000万円であれば成約の見込みがある旨教示され,翌18日には,机上計算で本件物件の価格を5億2000万円くらいと見積り,原告に,本件売主に対して指し値で交渉できるかを尋ねた。これに対し,原告は,その値段だと五分五分としながらも是非交渉させてくださいと応じ,以後,Dが社内で本件物件取得を稟議に掛ける作業に協力し,被告飯田産業のためにみずほ信不動産から配管図や道路の資料を入手した。Dは,同年11月に本件物件を稟議に掛けたが,建物プランの内容を理由に否決された。(甲2,3,乙イ3)
(7)原告は,平成22年11月中旬,被告飯田産業の稟議を通すには,全室南向きの建物プランが必要だとDから告げられたことから,これに沿った建築プランを取引のある建築士に作成させ,同月末ころDに提供した。Dは,同年12月以降,本件物件取得を再び稟議に掛けるため,決裁が通りやすくすべくプランの修正を原告に重ねて求め,原告はこれに応じて建築士にプランを修正させ,平成23年1月下旬までに6回修正版を提供した。原告とDとの間では,この建築プランの作成提供自体は無償とする代わり,被告飯田産業が本件物件を取得して建物を建てる場合にはDが被告飯田産業に当該建築士に設計監理業務を発注するよう推薦することが合意されていた。(甲2,4,7,乙イ3)
(8)競合他社との交渉状況の情報は,本件売主から随時被告みずほ信託等の仲介業者に提供されており,原告は,これをみずほ信不動産を介して入手し,被告飯田産業に伝えていた。
本件売主は,平成23年1月,被告みずほ信託以外の不動産仲介業者の探索先から6億2000万円での購入申込みを受け,同月28日までにこの価格を上回る買付けが入らなければこの申込者に優先交渉権を与えることを決め,その旨周知した。原告は,Dにこのことを伝え,本件物件の取得にはこれを上回る金額での購入申込みが必要であるとして検討を促す一方,みずほ信不動産に対しては被告飯田産業が検討中である旨を伝えた。
Dは,そのころ6億3000万円の価格で本件物件の取得を稟議に掛けたが,同月中には結論は出なかった。(甲2,7,乙イ3,乙ロ6)
(9)被告みずほ信託は,本件売主が優先交渉権を付与する期限であった平成23年1月28日,みずほ信不動産を通じて,6億3000万円での買付けを検討している業者があり,それが,もともと取引関係のある被告飯田産業であることを知った。被告みずほ信託の本店不動産営業部門の部長代理であったF(以下「F」という。)は,同日,みずほ信不動産を介して,被告飯田産業の検討状況を速やかに把握するため,同社と直接連絡をとることの可否を原告に打診し,原告から対応を尋ねられたDは,当初は直接の連絡を断ったが,最終的には了承した。このときまで,被告飯田産業は,被告みずほ信託が売主側の媒介業者であることを知らず,被告みずほ信託も,みずほ信不動産の先で購入を検討しているのが被告飯田産業であることを知らなかった。
Fは,直接連絡を取り合って,被告飯田産業の稟議が社長の承認まで済んだが会長決裁が未了であるという状況を聴取し,これを本件売主に伝えて優先権付与の判断を同月31日まで待つよう承諾を得た。一方,Dは,このようにFと直接やり取りをする間,その経過を原告に報告していた。
被告飯田産業では,同日には会長決裁が下りず,本件売主も更にもう1日待つことを了承したが,翌2月1日の会議で価格が高いことを理由に稟議は否決となり,その旨は被告みずほ信託や本件売主のほか,原告にも伝えられた。本件売主は,優先交渉権を6億2000万円の申込者に与え,原告とDがそれ以降本件物件の買付けに関してやり取りをすることはなくなった。(甲2,7,乙イ3,乙ロ6)
(10)本件売主は,優先交渉権者との交渉によっても契約締結に至らず,平成23年4月に,従前と同様の売却先探索を再開した。Fは,同月,Eに指示して,売却活動再開の旨を直接Dに告げて購入を再検討するか否かを尋ねさせ,以後,EとDは,直接に本件物件の売買交渉を重ねた。交渉上,Eは,まとまる可能性のある金額として5億7000万円での購入申込みを求めていたが,Dは当初から5億4000万円の金額を譲らず,同年6月30日にこの額で稟議を通し,取り纏め依頼書を提出した。東日本大震災直後の不動産市況の低迷や本件売主が更正管財人であり売却処分を急いでいたこと等から,本件売主は,7月半ばには被告飯田産業の希望額で売却を承諾し,本件売主と被告飯田産業との間で,同年9月5日,代金5億4000万円で本件物件の売買契約が成立した。被告みずほ信託は,被告飯田産業との間で,同年8月29日に一般媒介契約書を取り交わし,同年9月9日に,法令の上限である1707万3000円の仲介手数料の支払を受けたほか,本件売主からも媒介報酬を得た。(乙イ1,2,乙ロ2,4,6)
(11)被告みずほ信託は,原告やみずほ信不動産に対し,本件売主が平成23年4月に本件物件の売却活動を再開したことや,被告飯田産業との間で売買が成約したことを知らせておらず,Dも,平成23年4月以降原告と他の案件で連絡をとりあう機会は多かったが,これを原告に知らせないでいた。(甲7)
Aは,平成24年1月,本件物件を被告飯田産業が被告みずほ信託の双方媒介により取得したことを知り,Dに面会を求めた。その席で,Dは,Aに対し,被告みずほ信託の担当者から暗に同社と直接取引をしないと不利であることを仄めかされた旨説明した。
2  争点①(原告と被告飯田産業の間の媒介契約の成否)について
上記認定事実,殊に,(1)Dが,原告から情報提供を受けて直ちに現地で物件を確認し,価格目線についても教示を受け,その翌日には価格見積りをして指し値での交渉の可否を原告に尋ねたこと,(2)これに対して原告が是非交渉させて下さいと応じ,以後,被告飯田産業のために資料入手の便宜を図ったほか,本件売主と競合他社との交渉状況もみずほ信不動産から情報を入手し随時提供していたこと,(3)Dが,平成22年10月の情報提供後間もなくに担当者レベルで本件物件を取得する意思を固め,翌月には取引に必要な社内稟議に本件物件を掛けたこと,(4)Dと原告が,原告提供の建築プラン自体は無償とする代わり,成約の場合には作成建築士を推薦することを合意していたこと,(5)平成23年1月,本件売主が優先交渉権付与の判断期限を同月28日までと定めて周知すると,原告が,みずほ信不動産に対して被告飯田産業が高値での買付を検討中である旨伝え,被告みずほ信託を介してこのことを知った本件売主も,最終的には同年2月1日まで判断を留保して被告飯田産業の稟議の結論を待ったこと,(6)Fが,平成23年1月28日,被告飯田産業と直接連絡をとるに当たり,原告に可否を打診しており,不動産業の経験の長いDも,一度は直接の連絡を断り,結局はこれに応じた後も直接のやり取りの内容を原告に報告していたこと,(7)不動産取引業界では,提供情報が成約に結びついた場合に支払われる仲介手数料を成功報酬とするかたちで不動産事業者が情報を募り,不動産仲介業者も成功報酬を対価に情報提供をすることが一般に行われており,成約に至った情報の提供者に仲介報酬を支払わない行為をルール違反とみる常識があること,という事情を総合すると,原告と被告飯田産業との間では,平成22年10月中に,原告が行う情報提供及びその後の売買契約成立に向けた事実行為に対して,これが成約に結びつくことを条件に仲介手数料を報酬として支払うという内容の媒介契約が黙示に合意されたものと認めることがでる。この認定は,原告が,以後,価格に関する意見教示や売主側の動向の情報提供,被告飯田産業の検討状況の売主側への伝達等,媒介契約に基づくとみるべき行為を行っていることのほか,FやDが,平成23年1月28日ころ,原告が既に被告飯田産業の媒介業者の地位にあることを前提とする態度をとっているところからも相当といえる。
媒介契約書の作成がないことは,前記のとおり,売買契約締結直前に契約書を取り交わすことが不動産開発業者と不動産仲介業者との間で通常行われていることに照らすと,契約成立の判断を妨げない。
3  争点②(原告が飯田産業に対し媒介報酬を請求できるか)について
(1)前記認定によれば,被告飯田産業は,原告から本件物件の売却情報の提供を受け,その後実際に原告が媒介行為を行っていることを知っていたということができ,準大手の不動産開発業者である以上,原告との間で媒介契約が成立しており,情報提供が成約に結びついた場合には媒介契約書を取り交わして仲介手数料を支払わなければならないことも認識していたといえる。にもかかわらず,被告飯田産業は,平成23年4月に被告みずほ信託から本件物件の売却活動の再開を告げられた後も,原告にこれを知らせて媒介契約を締結することをしないまま,もともと本件売主側の仲介業者として売却先探索を行っていた被告みずほ信託と媒介契約を締結し,その双方媒介により本件物件の売買契約を締結してしまったのであるから,原告の媒介によって売買契約が成立することという,仲介手数料発生の停止条件の成就を故意に妨げたものとして,原告との媒介契約上支払うべき仲介手数料の支払義務を免れない(民法130条)。
そして,その仲介手数料の額に関しては,前記認定の不動産取引業界における開発業者と仲介業者との間の慣習に従い,成約代金額の3.15%に6万3000円を加えた金額とすることが黙示に合意されていたと認められる。被告飯田産業が原告と媒介契約を結ばずに締結した売買契約の代金額5億4000万円に対して,原告の媒介により売買契約が成立したものとみなされる結果,原告が受けるべき手数料額は1707万3000円となる。
(2)これに対し,被告飯田産業は,平成23年2月1日に稟議を否決したことにより,本件物件の購入を断念し,媒介契約も終了したと主張する。
しかし,被告飯田産業主張の稟議の否決は,本件売主の優先交渉権付与を覆すために必要な6億2000万円超の価格での購入を否定したものにすぎず,価格次第で本件物件の購入の余地が多分に残っていたことは,平成23年1月段階で本件物件の取得の稟議が社長の承認まで進んでいたことや,同年4月以降の実際の契約締結に至る経過に照らし明らかである。加えて,被告飯田産業は,それまでにも一度本件物件取得の稟議を否決したのに数か月後に同じ物件を再度稟議に掛けてもいるのであるから,6億2000万円超の価格での買付を断念したからといって,被告飯田産業が本件物件の取得自体を断念したとはいえず,したがって,原告との媒介契約が終了したともいえない。
また,被告飯田産業は,平成23年4月に被告みずほ信託と本件物件の売買交渉を開始したことを原告に知らせる義務はないとも主張する。しかしながら,前記認定の不動産取引業界の慣習に鑑みれば,不動産取引業界では,成約につながる物件や契約見込先の情報提供に大きな価値を認め,そうであるからこそ成約に至った情報の提供者に手数料を支払わないことがルール違反と認識されているのであるから,不動産開発業者として情報提供を広く募り,これに応じた原告から情報提供を受けた以上,被告飯田産業は,原告に対し,情報提供を受けた本件物件に関して購入申込みを一度断念した後再検討するようになった場合には,その旨を通知すべき信義則上の義務を負っていたものと解するべきである。被告飯田産業の主張は採用できない。
(3)このほか,被告飯田産業は,原告が平成23年2月以降,原告が売買契約の成立に向けて何ら貢献していないと主張する。しかし,原告が平成23年2月以降に本件物件に関して媒介活動をしなかったのは,被告飯田産業が上記信義則上の義務を怠るという条件成就妨害によって,被告飯田産業が本件物件の取得を再検討していることを知らなかったからであるにすぎない。
(4)以上によれば,被告飯田産業は,原告に対し,媒介報酬として1707万3000円及びこれに対する売買契約成立後の日である平成24年2月13日から支払済みまで商事法定利率による遅延損害金を支払わなければならない。
4  争点③(被告みずほ信託が原告に対し不法行為責任を負うか)について
(1)ここまでの認定事実,とりわけ,被告みずほ信託のFが,平成23年1月28日ころ,被告飯田産業と直接連絡を取ることの可否を原告に打診していること,被告みずほ信託が不動産営業部門を要する大手信託銀行であって,不動産取引業界の常識にも通じていること,平成23年4月に本件売主が本件物件の売却先探索を再開したにもかかわらず,被告みずほ信託が系列会社のみずほ信不動産にこのことを知らせないでいる一方,Fの指示でEが直接にDに売却再開を知らせ再検討をするかを尋ね,以後も直接交渉を行った上,最終的には本件売主と被告飯田産業の双方と媒介契約を締結の上報酬を得ていること,Dが,平成24年1月に,被告みずほ信託の担当者から暗に同社と直接取引をしないと不利であることを仄めかされた旨Aに説明していること,という事実と証人Dの証言を総合すると,被告みずほ信託のFやEは,原告が被告飯田産業と本件物件に関して媒介契約を締結した立場にあることを知りながら,原告になり代わって被告飯田産業と媒介契約を締結して仲介手数料を得ることを企図して,意図的に平成23年4月の本件物件の売却再開の情報が原告に伝わらないよう系列会社のみずほ信不動産に対して売却再開を知らせないままにしつつ,被告飯田産業に対しては,原告を媒介業者とせずに売主側媒介業者である被告みずほ信託と媒介契約を結んだほうが本件物件の売買交渉上有利であることを仄めかすことにより,被告飯田産業をその意図に従わせたものと認めることができる。
上記認定に関して,被告みずほ信託は,平成23年4月には被告飯田産業と直接商談をしたのではなく,別取引の機会に再検討を求めたにすぎず,被告飯田産業が原告を媒介業者としなかったのは被告飯田産業自身の検討の結果であると主張し,F及びEの各陳述書(乙ロ6,7)及び証人Eの証言中にも,これらの主張に沿い,かつ上記認定に反する部分がある。しかしながら,両名の供述は,原告と被告飯田産業との間に媒介契約が存在していないことを前提とするものである上,被告みずほ信託が本件売主のために買主を探索すべき立場にありながらみずほ信不動産に本件物件の売却再開を知らせなかったことや,被告飯田産業が何故に不動産業界の信義に反してまで原告を排除して被告みずほ信託を仲介業者としたのかについて,上記認定に代わる合理的説明を提示するものではなく,採用できない。
(2)FやEの上記行為は,被告みずほ信託が組織的に原告の本件物件の取引への関与を排除し,原告の被告飯田産業に対する報酬請求権の条件成就を故意に妨害して原告の権利を侵害したものと評価すべきものであり,自由競争の範囲を著しく逸脱した違法な行為として,被告みずほ信託の原告に対する不法行為を構成するというものといわざるを得ない。
したがって,被告みずほ信託は,原告に対し,被告飯田産業から得べかりし媒介報酬額である1707万3000円の損害を賠償すべき責任を免れない。
5  まとめ
よって,原告の請求は,被告みずほ信託に対する附帯請求が年5分を超える部分は理由がないほか,その余は全部理由があるので,その範囲でこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 宮﨑謙)

 

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