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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(126)平成26年11月25日 東京地裁 平25(ワ)28756号 コンサルタント契約解約無効確認請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(126)平成26年11月25日 東京地裁 平25(ワ)28756号 コンサルタント契約解約無効確認請求事件

裁判年月日  平成26年11月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)28756号
事件名  コンサルタント契約解約無効確認請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2014WLJPCA11258023

要旨
◆原告が、被告との間のコンサルタント契約について被告が解約するとの意思表示をしたことに関して、被告に対し、主位的に、本件コンサルタント契約には一定期間解約しないとの合意があったなどと主張して、本件解約が無効であることの確認を求め、予備的に、本件解約が原告に不利な時期に行われたと主張して、民法656条、同法651条2項本文に基づき、損害賠償を求めた事案において、原告と被告との間に被告の解約権行使を制限する合意が存在するとは認められず、また、本件コンサルタント契約が原告の利益を目的とするものとも認められないなどとして、本件解約を無効とすべき事由は存在しないとするとともに、本件解約が原告に不利な時期になされたということもできないとして、請求を棄却した事例

参照条文
民法651条
民法656条

裁判年月日  平成26年11月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)28756号
事件名  コンサルタント契約解約無効確認請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2014WLJPCA11258023

東京都北区〈以下省略〉
原告 有限会社X
同代表者取締役 A
同訴訟代理人弁護士 大西幸男
同 小林健一
同 鏡味靖弘
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 藤田清文
同 冨來真一郎
同 井口敦
同 大場規安
同 田中達也
同 石原遥平
同訴訟復代理人弁護士 竹本英世

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
原告と被告との間のスクリーン広告のコンサルタント契約に関し,被告が平成25年8月20日をもって解約するとした意思表示が無効であることを確認する。
2  予備的請求
被告は,原告に対し,3171万円及びこれに対する平成25年8月20日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告と被告との間のコンサルタント契約について被告が平成25年8月20日をもって解約するとの意思表示をしたこと(以下「本件解約」という。)に関し,原告が被告に対し,①主位的に,上記コンサルタント契約には一定期間解約しないとの合意があった等と主張して,本件解約が無効であることの確認を求めるとともに,②予備的に,本件解約が原告に不利な時期に行われたと主張して,民法656条,651条2項本文に基づき損害賠償を求める事案である。
1  前提となる事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨から容易に認められる。)
(1)  当事者等
ア 原告は,不動産の売買・賃貸及びこれらの仲介・斡旋に関する業務,個人業務又は会社業務に対する運営・経営及び企画立案に関するコンサルタント業務等を目的とする有限会社である。
イ 被告は,株式会社aが平成25年7月1日にb株式会社を吸収合併し,現商号に商号変更した株式会社であり(以下,吸収合併及び商号変更の前のa社を含め「被告」と表記する。),c株式会社がその株式の100%を保有している(甲9の1)。
ウ 株式会社d1(以下「d1社」という。)は,パチンコホールの運営を行う株式会社eの親会社であり,平成24年8月に香港証券取引所に上場した株式会社d(以下「d社」という。)の前身である。
エ Dは,株式会社ダイエーの取締役経理本部長,株式会社オーエムシーカード(現在の商号は株式会社セディナ)の専務取締役,アイフル株式会社の専務取締役等に就任した後,平成18年10月にd1社の取締役に就任した者であり,d社の社外取締役及び香港上場規則に定める独立取締役を務めている。
(2)  平成19年夏頃,被告の専務取締役であったEは,知人であったDに対し,スクリーン広告の広告主の募集活動を依頼し,Dはこれを了承した(証人E,証人D)。
(3)  被告は,Dの意向により,Dが顧問をしていた原告との間で,以下の内容を含む「コンサルタント契約」(甲6)を平成19年10月1日付けで締結した(以下「本件コンサルタント契約」といい,その契約書を「本件契約書」という。)。
ア 被告が運営するfシネマ(以下「本件劇場」という。)において実施するスクリーン広告の広告主の獲得を目的として,被告は原告に対し,以下のコンサルテーション業務(以下「本件業務」という。)を委託し,原告はこれを受託した。
(ア) 原告の要請に応じ,原告に対しスクリーン広告の販売に関するアドバイスを行うこと
(イ) 原告が指定する企業に対してスクリーン広告枠販売のための補助活動を行うこと
イ 原告の行う本件業務に対する報酬は,原告の本件業務の結果,被告がスクリーン広告掲出契約を獲得できた場合に限り,被告から原告に対し支払われるものとする。
ウ 上記イの報酬は,スクリーン広告掲出契約に基づく被告の宣伝広告料としての売上高の30%とする。
エ 原告が本件コンサルタント契約に基づく業務遂行に際して要するすべての費用は,原告の負担とする。
オ 本件契約は,平成19年10月1日から1年間とする。
(4)  被告は,Dの紹介により,平成21年12月18日,e社との間でスクリーン広告掲出基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。
(5)  被告とe社は,本件基本契約に基づき,以下の個別契約を締結した(甲3~5。以下「本件各個別契約」という。)。
ア 契約期間 平成21年12月26日から平成22年6月25日まで
上映劇場数 10劇場
広告収入 2476万円
イ 契約期間 平成22年6月26日から平成22年7月23日まで
上映劇場数 10劇場
広告収入 374万7693円
ウ 契約期間 平成22年7月24日から平成22年8月6日まで
上映劇場数 10劇場
広告収入 187万3846円
エ 契約期間 平成22年8月7日から平成23年8月5日まで
上映劇場数 24劇場
広告収入 9789万円
オ 契約期間 平成23年8月20日から平成24年8月20日まで
上映劇場数 35劇場
広告収入 1億2542万4000円
カ 契約期間 平成24年8月21日から平成25年8月20日まで
上映劇場数 40劇場
広告収入 1億0646万1000円
(6)  被告は,原告に対し,本件各個別契約に関する報酬として,各広告収入の30%に相当する金員を支払った。
(7)  被告は,平成25年7月25日頃,原告に対し,「コンサルティング契約解約通知書」を送付して,同年8月20日をもって本件契約を解約するとの意思表示をした(本件解約)。
(8)  被告は,平成25年8月19日,e社との間で,同月21日から平成26年8月20日までを契約期間とし,上映劇場数を44劇場とする個別契約を締結した(以下「平成25年個別契約」という。)。
2  争点
(1)  本件解約が無効か否か〔主位的請求関係〕
(原告の主張)
ア 解約制限合意の存在による本件解約の無効
原告と被告との間には,原告の専務取締役であったEとDとの平成19年夏頃及び平成20年10月上旬頃の口頭の合意により,コンサルタント契約に基づく報酬支払の期間を,仲介された顧客のスクリーン広告が上映されている期間とする合意,すなわち上記上映期間はコンサルタント契約を解約しないとの合意が成立していた。
したがって,原告の仲介したe社と平成25年個別契約を締結しながら,原告とのコンサルタント契約を解約することはできず,本件解約は無効である。
イ 原告の利益を目的にすることによる本件解約の無効
原告と被告との間のコンサルタント契約は,本件業務遂行に関する全ての費用を原告の負担とし,被告による報酬の支払は完全な成功報酬とする上,被告の書面による事前の許可なくパンフレット等を使用することができないなど,本件業務遂行手段が制限された内容であることからすると,受任者である原告の利益をも目的とする契約であるというべきである。したがって,被告は同契約を一方的に解約することはできないから,本件解約は無効である。
ウ やむを得ない事由の不存在
原告は,被告とe社との本件各個別契約の期間中も,Dからe社に対し契約更新等の働きかけを継続し,その余の顧客先の開拓に関しても,従前どおり,Dの人脈や影響力によるトップセールス的な手法により広告主獲得の努力をしていた。また,e社と被告とのスクリーン広告掲出契約に関し,Dが顧問を務める原告が被告からコンサルタント契約に基づく報酬を受領することは何ら利益相反行為に該当しない。このように被告には本件解約を行うべきやむを得ない事由は存在しなかったから,本件解約は無効である。
エ 信義則違反による本件解約の無効
被告は,少なくとも原告による次年度の個別契約獲得に向けての活動が開始される前の段階で,原告に不利益もしくは損害が発生しないように,相当な予告期間を設けてコンサルタント契約を解除すべき信義則上の義務があった。それにもかかわらず,原告に平成25年個別契約の締結目前まで当該契約締結に向けての活動をさせた上,本件解約を行った被告の行為は信義則に反するから,本件解約は無効である。
(被告の主張)
ア 解約制限合意の不存在
本件契約書では契約期間は1年とされ,延長や更新に関する定めはされていないのであり,原告と被告との間でコンサルタント契約の解約を制限する合意は存在しない。仮に,平成20年10月1日以降,本件コンサルタント契約が黙示的に更新されているとしても,更新後は期間の定めのない契約となっているに過ぎないから,被告が相当の予告期間をもって原告とのコンサルタント契約を解約することは妨げられない。
イ 受任者の利益を目的とすることによる解約制限の不存在
仮に原告と被告とのコンサルタント契約が受任者である原告の利益をも目的とするとしても,被告は同契約の解除権を放棄しておらず,民法656条により準用される同法651条1項に基づく解除権行使は制限されないから,本件解約は有効である。
ウ 本件解約を行うべきやむを得ない事由の存在
被告はe社との間で平成25年個別契約の締結について協議交渉を行ったが,原告は何ら補助活動を行わず,少なくとも平成24年8月以降,被告が原告からコンサルタント契約に基づく具体的な役務の提供を受けたことはなかった。Dがe社の関係者と会食やゴルフをともにするなどの行為は,Dのd社の社外取締役としての職務の域を出ないものであり,本件業務とは評価できない。
また,原告が本件業務を行っている実態はなく,原告と被告とのコンサルタント契約は実質的には被告とDとの契約であったところ,Dは,平成19年当時d1社の取締役であり,現在もd社の社外取締役兼独立取締役であるから,上記コンサルタント契約は,自らが取締役を務める持株会社(d社)の子会社であるe社と本件各個別契約を締結した被告から,自らが顧問を務める原告に多額の報酬を支払わせるものである。そのため被告は,Dに対し,利益相反上の問題がない旨のe社の確認書を提出するよう求めたが,Dはこれに応じなかった。
以上の事実は,被告が原告とのコンサルタント契約を解約すべきやむを得ない事情に該当するから,本件解約は有効である。
エ 信義則違反の不存在
被告が,漫然と,原告にe社との平成25年個別契約締結の目前まで,同契約締結に向けてのコンサルタント活動をさせた事実はなく,本件解約が信義則に反することはない。
(2)  本件解約が原告に不利な時期にされたか否か〔予備的請求関係〕
(原告の主張)
被告とe社との個別契約の契約期間は8月21日から翌年8月20日までであり,原告は,各年の個別契約締結直後から,翌年の個別契約の獲得に向けてe社に間接的に働きかける活動を開始しており,平成25年個別契約の締結に向けてもほぼ1年にわたり本件業務を行い,その結果,平成25年個別契約を締結することについて大筋の合意ができ,同契約が締結されれば,被告には原告に報酬を支払うべき義務が生じるはずであった。
それにもかかわらず,被告は,e社との平成25年個別契約締結直前に本件解約を行ったものであり,本件解約は原告に不利な時期に行われたから,被告は本件解約により原告に生じた損害を賠償すべき義務がある。
(被告の主張)
被告は,口頭での解約申入れからは2か月近く,文書による本件解約においても1か月近い予告期間を定めて原告とのコンサルタント契約を解約しており,原告に不利な時期に解除したものではないから,損害賠償義務を負わない。
(3)  原告の損害額
(原告の主張)
原告は,平成25年個別契約に関する報酬として3171万円の支払を受けられるはずであったから,本件解約が原告に不利な時期にされたことによる損害は上記報酬額と同額である。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
証拠(事実毎に記載したもののほか,甲25,26,乙1,2,証人E,証人D,証人F)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる(上記第2の1の前提となる事実を含む。)
(1)  被告は,Eが常務取締役管理本部長,デュピティー・マネージングディレクターであった平成17年頃,被告の収益改善のため,利益率の高いスクリーン広告の広告主獲得の方法として,Eの知人であったGに対し広告主の募集を依頼し,Gが指定したg社(以下「g社」という。)との間で,コンサルタント業務に要する費用はg社の負担とし,g社の活動によりスクリーン広告掲出契約が締結された場合に被告の広告収入の30%相当額を報酬として支払うとの内容を含むコンサルタント契約を締結した。なお,g社は,その後,h社(以下「h社」という。)に吸収合併され,上記コンサルタント契約の契約上の地位はh社に承継された。
被告は,Gが主体となって行った活動により,平成17年にパイオニア株式会社との間でスクリーン広告掲出契約を締結したのを初めとして,ソニー株式会社や三洋電機株式会社とスクリーン広告掲出契約を締結した。
(2)  Eは,平成18年に被告の専務取締役に就任し,常勤役員の責任者の地位にあったところ,平成19年2月決算期には10億円を超える経常利益を挙げたものの,新劇場の開設に伴う多額の支出を要したことから,同年夏頃には平成20年2月の決算の悪化が見込まれた(甲22)。そこで,Eは被告の収益状況改善のためにスクリーン広告の広告主を募ることとし,知人であったDに対し広告主の募集活動を依頼し,Dはこれを了承した。この際,EとDとの間では,広告主の募集活動に要する経費は被告ではなく,Dが負担すること,報酬はDの募集活動により,被告がスクリーン広告掲出契約を締結できた場合に,被告の広告収入の30%に相当する額を支払うことが合意された。
(3)  Dは,スクリーン広告の広告主を開拓するために,被告の役員や幹部従業員とともに,企業の役員らと会食やゴルフ,面談を行い,平成19年10月にはソフトバンク株式会社との商談の場を設け,これを契機として,同年12月にソフトバンクと被告との間で,被告の広告収入を約700万円とするスクリーン広告掲出に関する契約が締結された。
(4)  被告とソフトバンクの契約により,被告が報酬を支払うべき状況が生じたことから,契約書が作成されることとなり,平成20年3月24日頃,被告広告営業部のHが,Dの意向に応じ,契約の当事者をDが平成19年1月から顧問を務めていた原告として,同年10月1日付けで本件契約書の文案を作成した。
本件契約書の文案には,被告が委託する本件業務の内容,本件業務に対する報酬の割合,同報酬は被告がスクリーン広告掲出契約を獲得できた場合に限り支払われること,本件業務遂行に要する費用は原告負担とすることのほか,本件業務を遂行するに際し,原告は,被告の書面による事前の許可なく,パンフレット,小冊子,広告等を使用することができず,被告の商標及びロゴを用いることはできないこと,広告主から宣伝広告料を受領しない限り,被告は原告に対する報酬の支払義務を負わないことが記載され,契約期間は平成19年10月1日から1年間とする旨記載されていたが,Hが作成した稟議書には「今後多くの企業へのアプローチを予定している」と記載されていた(甲6,乙3)。
被告においては,平成20年4月上旬,上記文案に基づく契約締結について,営業企画本部のI常務取締役(以下「I取締役」という。)及び管理本部のJ常務取締役(以下「J取締役」という。)に対する回議が行われ,J取締役は,Dが原告と直接の関係がないため,契約はDと関係のある会社と締結するよう要請しつつ,締結済みの取引があり,時間が経過していることから,今回に限り原告に対する支払を行うことはやむを得ないとして,次回取引までに改善するよう意見を述べた。
Eは,同年8月29日,本件契約書による原告との契約締結に関する決済を行ったが,J取締役の上記意見を踏まえ,条件付承認とした(乙3,4)。なお,この際,Eは,本件契約書において契約期間が平成19年10月1日から1年間とされている反面,本件業務によりスクリーン広告掲出契約が締結された場合に当該契約の広告主との契約が継続している限り被告は原告に報酬の支払を行うとの定めや,被告による本件コンサルタント契約の解約を制限する定めが設けられていないことについて,何ら修正を指示しなかった。また,原告又はDから,本件契約書では契約を締結できないとして修正が求められることもなかった。
(5)  被告は,本件コンサルタント契約の締結に先立つ平成20年1月から同年3月頃,株式会社iとの間で,本件劇場における宣伝広告に関する広告枠の販売に関するコンサルタント契約を締結し(契約書の日付は同年1月31日),同年5月には株式会社jとの間で同様のコンサルタント契約を締結した(契約書の日付は同年4月18日)。
上記各コンサルタント契約は,スクリーン広告のみではなく,本件劇場における商品の展示,ポスターの掲示等スクリーン上映以外の方法による広告をも対象とし,広告主の勧誘,広告主として適切なクライアントの被告への紹介,広告宣伝契約に関する条件の交渉をもコンサルタント業務の内容としているが,本件コンサルタント契約と同様,報酬の支払は完全成功報酬方式であり(報酬の割合は原則として本件コンサルタント契約と同様である。),業務遂行費用は受任者の負担とする内容であった。また,これらの契約の契約期間は契約締結日から1年とされており,期間満了の3か月前までにいずれかの当事者から更新しない旨の書面による意思表示がない限り同一条件で1年間更新すると合意されるとともに,いずれの当事者も,理由を問わず,60日以上前に書面で相手方に通知することにより,契約を解除することができると合意されていた。さらに,コンサルタント契約が更新されず,あるいは60日以上前の通知により解除されたことにより終了した場合,契約終了時に有効に存在する広告宣伝契約に基づく報酬の支払は,当該広告宣伝契約の残存期間に限り継続するものとし,残存期間経過後に宣伝広告契約が継続されたとしても,更新後の宣伝広告契約に関する報酬は発生しないことが合意されていた(乙5~8)。
i社及びj社(以下「i社ら」という。)との上記各契約は,EがGやDに対し依頼したと同様の経緯で締結されたものであり,依頼に際しEが提示した取引内容は,G及びDと異なるものではなかった。
(6)  被告は,Dの紹介により,平成21年12月18日,e社との間でスクリーン広告掲出に関する本件基本契約を締結し,以後,同月から本件各個別契約を順次締結した。なお,Dの紹介により被告がスクリーン広告掲出契約を締結したのは,上記(3)のソフトバンク及びe社のみである。
被告は,原告が本件各個別契約に関し,被告に対する請求を行うべき時期や金額について文書で連絡するなどした上,本件コンサルタント契約と同一の内容で原告に対する報酬の支払を行ったが(甲3~5,12の1),原告と被告との間で,本件契約書とは別の新たな契約書が作成されることはなかった。
(7)  被告の最高財務管理者であったJ取締役は,本件各個別契約が継続していた平成22年1月,Dに対し,原告との関係を確認するとともに,e社の関係者が本件業務を担当し,報酬を受領するのは利益相反ではないかと質問したが,被告から原告への報酬支払はその後も継続された。
(8)  被告は,平成24年5月29日,H,広告営業部において被告とe社との取引を担当することとなったFらが出席し,E(平成22年に被告の専務取締役を退任して顧問に就任し,平成23年には顧問からも退任し,e社のアドバイザーに就任していた。)及びDとe社のスクリーン広告の継続について協議した(甲14)。
なお,平成19年夏以降,本件業務に関与していたのはDのみであり,原告代表者や原告従業員が本件業務に関与したことはなく,Eを含めた被告の役員や被告従業員が,原告代表者や従業員と面談したり,連絡を取ったりしたことはなかった。
(9)  平成25年個別契約締結前の状況
ア Fは,平成25年1月25日,Dに対し,e社とのプロモーション活動において,本件劇場にe社の新規出店店舗のポスター掲出を15万円で行うとの契約を締結したとして,上記ポスターの媒体費15万円の30%に相当する4万5000円を同年2月の請求時に「通常分」と併せて請求するよう連絡した(甲7の1)。
これに対し,Dは,スクリーン広告以外にも営業活動が拡大し前向きに進んでいることに言及した上,D自身は,次回のe社との契約更改に向けて「水面下の活動を開始」するとし,その対象をK社長とすることや窓口となるk社(旧商号はk1社)の社長はダイエーの出身であるため,気心が知れており「そちらのラインは大丈夫」である旨返信した(甲8)。
イ Fは,同年2月27日,Dに対し,ポスター掲出によるe社の新規出店店舗のプロモーションに関する取引について,「通常分」と併せてポスター媒体費の30%に相当する1万0500円を請求するよう連絡した(甲7の2)。これに対し,Dは,「今後とも頑張って本体部分を逃さないようにお互い頑張りましょう」と返信した(甲7の3)。
ウ Fは,平成25年4月4日,D及びEに対し,被告がbと合併し,同年7月1日に現商号で新会社を発足させる旨(以下「本件合併」という。)連絡した(甲9の1)。
エ Fは,平成25年5月31日,Eから同年6月5日にk社の部長であるK及びLとスクリーン広告とは別の件で会うとして,e社とのスクリーン広告掲出契約の状況について情報を求められ,本件合併により「新会社としてのコーポレートポリシーを確認すべきではないかとの雰囲気になっており」,同年8月20日を終期とする契約の更新の機会に禀議を上げて社内の承認を得ることになり,株主総会で新経営陣が承認を得れば早々に禀議を具申する計画であること,広告の効果測定や契約更改は停止した状態であるが,k社広告宣伝部のNの理解を得ていること等を伝えた。
Eは,Fに対し,「新会社のコーポレートポリシーの確認」とは,パチンコをスクリーン広告対象として継続承認するか否かの意味かと尋ね,e社がc社グループに15店舗をテナントとして出店しているとの参考資料を添付して,c社グループとしてはパチンコに対し門戸を開放しており,平成24年のd社の香港証券市場への上場は同社が国際的・社会的な企業として認知された証であるとのEの見解を伝えた(甲10)。
オ Eは,平成25年6月6日,k社のMに会って得た情報として,e社の新体制におけるスクリーン広告に関する意思決定の流れ,被告が新会社として業種承認手続中であることをe社が理解していることを伝えるとともに,Mからの要求として,①毎年効果測定を行い,効果が実証できるデータがなければ広告掲出契約の継続はできず,e社が新組織となった平成25年は特にそれが重要であること,②本件合併により劇場数が増えることに伴う被告の提案に関心があること,③今後年間40店舗から50店舗の出店を考えているが,その事前告知にスクリーン広告を活用することとその効果を見極めたいことを伝えた。また,その際,Eは,Dと協議した結果として,効果測定を明確にし,e社の新任の部長や社長が役員会等で説明できる準備を整えること,e社の最大の経営課題が新店舗の急速な出店であるため,新店舗の知名度の拡大や新店舗用物件の獲得にスクリーン広告が貢献すること等を考えるよう伝え,状況に変化があれば連絡するよう求めた。
Fは,翌7日,Eに対し,既に稟議を挙げているが協議が進んでいないようであること,同稟議はI取締役を決裁者としたが,被告においてさらに上層部で協議される可能性が大きいこと,稟議の結論を待たず,同時並行で効果測定のためのアンケート調査を実施することになったこと,Nには同月中に契約更新について判断する旨伝えていること等を連絡した(甲10)。
(10)  I取締役は,平成25年6月26日,Dと面談して,被告とe社とのスクリーン広告掲出契約に関し,d社の非常勤取締役であるDが顧問をする原告に報酬を支払うとの取引は,利益相反取引の疑いがあり,仮にこれに該当しないとしても,企業倫理上問題があるとして,コンサルタント契約の解約を申し入れたが,Dはこれに異議を述べた。
その後,Dは,同年7月5日頃,I取締役に対し,文書で利益相反に当たらないとの意見を述べるとともに,被告がこだわるのであれば,Dがd社の非常勤取締役の地位にある間は原告の手数料受領を放棄し,同地位終了時から再度手数料を受け取ることを提案した(甲24)。
(11)  Dは,平成25年7月18日,Fに対し,I取締役に文書を送付したが返答がないと伝えるとともに,e社と被告との交渉状況を問い合わせ,e社と被告との契約を止める必要はないこと,Dは一時報酬の受取りを辞退し,他の企業への営業活動は継続する考えであると伝えた。
これに対し,Fは,翌19日,前日にNと面談し,被告として従来どおり営業活動を進めたい旨伝えたこと,具体的な実務はこれからであることを返答した(甲11)。
(12)  被告は,平成25年7月25日頃,原告に対し,本件解約の意思表示をするとともに,同年8月20日までに発生する報酬を支払うとの意思を表示した(甲18)。
これに対し,原告は,同年8月8日頃,本件解約は継続中の契約を一方的に解約するものであり信義誠実の原則に違反すること,被告とのコンサルタント契約には解約に関する条項は規定されていないので,解約のためには双方当事者の合意が必要となることを理由として異議を述べた(甲19)。
2  争点(1)(本件解約が無効か否か)について
(1)  原告と被告とのコンサルタント契約は,スクリーン広告の販売活動の補助等,法律行為でない事務を委託するものであるから準委任契約に該当し,民法656条により同法651条が適用されることとなり,各当事者がいつでも解除できるのが原則となる(同条1項)。
しかし,民法の上記規定は任意規定であるから,準委任契約の当事者間において解約を制限する旨の合意がある場合には,当該合意により解約権の行使が制限されることになる。
また,委任契約が受任者の利益をも目的としているときは,委任者は民法651条1項による解除をすることができないと解されている(大審院大正9年4月24日判決・民録26号562頁)。もっとも,受任者の利益のためにも締結された委任契約であっても,受任者が著しく不誠実な行動に出たなどのやむを得ない事由があるときは,委任者は民法651条1項により委任契約を解除することができる(最高裁昭和43年9月20日判時536号51頁)。さらに,受任者の利益のためにも委任がされた場合で,上記やむを得ない事由がない場合であっても,委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるときは,委任者は651条1項に則り,委任契約を解除することができると解される(最高裁昭和56年1月19日・民事35巻1号1頁)。
以下,これらの観点から,本件解約が無効か否かについて検討する。
(2)  解約制限合意の成否について
原告は,EがDに対しスクリーン広告の広告主獲得を依頼した平成19年夏頃,EとDとの口頭合意により,Dが本件業務を行うことにより広告主が獲得できた場合には,当該広告主と被告とのスクリーン広告掲出契約が継続している期間は報酬の支払を継続するとの合意が成立し,同合意は本件契約書記載の契約期間が経過した平成20年10月上旬頃,EとDとの口頭合意により再確認されているとした上で,同合意は上記スクリーン広告掲出契約が継続している期間,被告によるコンサルタント契約の解約を制限する合意であると主張する。そして,E及びDは,原告の上記主張に沿う供述等をする(甲25,26,証人E,証人D)。
この点,平成20年3月末頃起案され,同年8月末にEが条件付きで承認した本件契約書では,Dが本件業務を受任する条件であったとE及びDが供述する条件のうち,本件業務に要する費用は受任者の負担とすること,及び本件業務の報酬は完全な成功報酬とし,被告の広告収入の30%相当額を支払うことは記載されているにもかかわらず,報酬支払期間に関する規定や解約権行使の制限に関する規定は何ら設けられておらず,かえって原告主張の報酬支払期間とは矛盾する契約期間を1年とする旨の規定が設けられていた(上記1(4))。
被告のような大規模な企業においても,口頭合意により取引がされることがないとはいえないが,口頭合意が先行していたとしても,後に契約書が作成される場合には,当該口頭合意の内容が契約書に反映されるのが通常であると解される。特に,原告主張の解約制限合意は,EがDのような人脈や影響力を有する人物に対し,経費を受任者負担とし,成功報酬の方式で本件業務を依頼するに当たっては必須の条件であったとの供述等をし,Dも当該条件がなければ本件業務を受任しなかった旨の供述をしているであるから(甲25,26,証人E,証人D),平成19年夏の時点で解約制限合意が成立していたのであれば,受任者に有利な当該合意が記載されていない本件契約書による契約の締結をE及びDが容認することはなかったと解するのが相当である。それにもかかわらず,Eは本件契約書の修正を指示することなく,本件コンサルタント契約の締結を承認し,原告も本件契約書による契約の締結に応じていることからすれば(上記1(4)),本件契約書が作成された平成20年8月末時点において,原告主張の解約制限合意は成立していなかったと推認するのが相当である。
このことは,本件契約書が作成されたと前後して被告がi社らと締結したコンサルタント契約が,EがDに依頼したと同様の経緯でスクリーン広告の広告主募集を依頼したことを契機とした契約であり,Eがi社らに提示した取引内容はDと異なるものではなかったにもかかわらず,契約期間は契約締結日から1年であり,いずれかの当事者が期間満了の3か月前までに更新しない旨を書面で意思表示すれば契約が終了するとの合意,いずれの当事者からも,理由を問わず60日以上前に書面で相手方に通知することにより契約を解除することができるとの合意,及びこれらにより契約が終了した場合,契約終了時に有効に存在する広告宣伝契約に基づく報酬の支払は,当該広告宣伝契約の残存期間に限り継続するものとの合意といった原告主張の解約制限合意と矛盾する合意を含むものであること(上記(5))からも裏付けられる。
なお,Dは,本件契約書による本件コンサルタント契約の締結に際し,Hから契約期間は便宜的に記載したものに過ぎないとの説明を受け,Eからも,本件契約書の内容にかかわらず,原告と被告とのコンサルタント契約においては,解約制限合意が成立している旨確認し,本件契約書にかかわらずEとの口頭合意が優先すると理解した旨の供述をするが,ダイエー等の大規模な企業において取締役経理本部長を務めた経験を有するD(前提となる事実(1)エ)が,被告における契約書作成の効果について,上記のように理解したとは解しがたい。
以上に照らせば,平成19年夏から平成20年8月末頃までに,原告と被告とのコンサルタント契約に関し,原告主張の解約制限合意が成立していたとは認められない。
そして,原告主張の平成20年10月上旬の解約制限合意の成立についても,同合意を的確に認定し得る証拠はない上,①上述したように,平成19年夏の解約制限合意の成立が認められないこと,②被告から原告への本件各個別契約に関する報酬支払状況に照らせば,本件契約書記載の契約期間経過後も原告と被告とのコンサルタント契約は黙示的に更新されていたと認められるところ,このような場合,当事者間で特段の合意がされない限り,契約期間以外の契約内容は同一であるのが通常であるところ,原告主張の解約制限合意を契約内容とする契約書の作成は行われていないこと(上記1(6))に照らし,認められないといわざるを得ない。
したがって,原告と被告との間に,被告の解約権行使を制限する合意が存在するとは認められず,当該合意の存在により本件解約が無効であるとする原告の主張は理由がない。
(3)  原告の利益を目的にすることによる本件解約の無効について
原告と被告とのコンサルタント契約に関しては,平成20年8月末頃に作成された本件契約書が存在し,本件契約書作成後の上記契約の内容は,契約期間の点を除き,本件解約まで本件契約書記載の内容であったと認めるのが相当である。
原告は,本件契約書記載の内容のコンサルタント契約について,本件業務遂行に関する全ての費用が原告の負担であること,被告による報酬の支払が完全な成功報酬であること,被告の書面による事前の許可なくパンフレット等を使用することができないなど本件業務遂行手段が制限されていることを根拠に,受任者である原告の利益をも目的とする準委任契約であると主張する。
委任契約あるいは準委任契約の解約の自由を制限する理由となり得る受任者の利益とは,契約により受任者に約束されている「報酬」とは別の,委任事務と直接関係のある利益をいうと解するのが相当であるところ,本件契約書と同様の内容のコンサルタント契約について,受任者である原告あるいはDに上記利益が存在するとは認められない。
したがって,原告と被告とのコンサルタント契約が原告の利益を目的とすることを理由として本件解約が無効であるとする原告の主張は理由がない。
(4)  信義則違反による本件解約の無効について
原告は,被告が平成25年個別契約の締結目前まで原告に当該契約締結に向けた活動をさせた上,本件解約を行ったことを理由として,本件解約は信義則に反し無効であると主張する。
しかしながら,準委任契約は各当事者がいつでも解除できるのが民法の原則であり,上記(2)及び(3)で認定説示したように,原告と被告とのコンサルタント契約について上記原則を変更すべき事情は認められない。
また,上記コンサルタント契約では,民法において委任者負担とされている委任事務の費用が受任者負担とされており,証人Dの供述によれば,原告が平成25年個別契約締結に向けたDの本件業務遂行費用を支出したとは推認されるけれども,被告がDに対し具体的な本件業務の遂行を指示し,費用を支出させたとの事実は認められない。これに,平成25年個別契約の締結協議は被告の本件合併及びe社における体制変更により進行が遅れ,同年7月中旬以降に具体的な協議が行われたこと(上記1(9)),被告は平成25年6月26日に口頭で上記契約の解約を申し入れた上,同年7月25日頃に約1か月の予告期間を設けて本件解約を行っていること(上記1(10)(12))に照らせば,被告による本件解約が信義則に反するとは認められない。
(5)  以上で検討したところによれば,本件解約を無効とすべき事由は存在しないから,その無効確認を求める原告の主位的請求は理由がない。
3  争点(2)(本件解約が原告に不利な時期にされたか否か)について
(1)  原告は,本件解約が有効であるとしても,平成25年個別契約の締結に向けてもほぼ1年にわたり本件業務を行い,その結果,平成25年個別契約を締結することについて大筋の合意ができていたことからすれば,平成25年個別契約締結直前に行われた本件解約は原告に不利な時期に行われたものであると主張する。
しかしながら,上記1(9)で認定した事実によれば,被告が原告に対し口頭でコンサルタント契約の解約を申し入れてから本件解約に至る時期に,平成25年個別契約を締結することについて大筋の合意ができていたとまでは評価できない。また,平成25年個別契約の締結に向けたDの本件業務遂行の費用として,どのような費用がどれだけ支出されたかを認定し得るに足りる証拠はない上,同個別契約の締結に向けて従前より多額の費用が支出され,それを被告が認識していたと認めるに足りる事情もない。
これらに照らせば,本件解約が原告に不利な時期になされたとは認められず,被告が民法651条2項本文に基づく損害賠償義務を負うことはないというべきである。
(2)  なお,原告は,本件解約が原告に対する報酬支払の条件成就を実質的に妨げる行為であるともみなすことができるから,民法130条により,報酬相当の金員の支払を請求することができるとも主張するが,本件解約が有効である以上,同主張には理由がない。
4  結論
よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 倉地真寿美)

 

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