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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(113)平成27年 3月26日 東京地裁 平24(ワ)24689号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(113)平成27年 3月26日 東京地裁 平24(ワ)24689号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 3月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)24689号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2015WLJPCA03268038

裁判年月日  平成27年 3月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)24689号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2015WLJPCA03268038

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  被告らは,別紙請求債権目録「原告氏名」欄記載の原告らに対し,連帯して同目録「請求金額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成24年10月12日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。
3  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨。
第2  事案の概要等
本件は,被告株式会社Quess Paraya(以下「被告クエス社」という。)に対して投資目的で出資金及び申込手数料名目の金員を交付したものの,契約の途中で配当金の支払を停止され出資金の償還を受けることができなかった原告らが,被告らは,集めた資金を被告らの運営費用や利得として費消する目的で金融商品まがいの投資ファンドに出資させ原告らから金員を詐取したなどと主張して,被告らに対し,不法行為に基づき,又は被告エターナルファンド株式会社(以下「被告エターナル社」という。)及び被告クエス社については会社法350条に基づき,原告らが被告クエス社に交付した各金員の額及び弁護士費用相当額の合計額の損害賠償及びこれらに対する不法行為後の日である平成24年10月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提となる事実(争いのない事実以外の事実は,括弧内に記載の証拠等によって認める。)
(1)  被告Y1(昭和47年生。以下「被告Y1」という。)は,30歳代の頃から,比較的年齢の若い男女を集め,これらの者を「弟子」と呼んで事業の興し方等を指導するようになり,自らは「会長」と呼ばれるようになった。被告Y1は,そのような中で出会ったC及びDと入籍したことがあり,また,平成10年頃に被告Y3(昭和53年生。以下「被告Y3」という。)と,平成17年頃に被告Y4(昭和50年生。以下「被告Y4」という。)と,同じ頃に被告Y2(以下「被告Y2」という。)とそれぞれ知り合って交流を深め,被告Y4とは平成19年頃から内縁関係を結んでいた。(被告Y1本人,被告Y3本人,被告Y4本人,弁論の全趣旨)
(2)  被告エターナル社は,平成19年2月21日に「投資顧問業,ファイナンシャル・プランニング業,有価証券及び不動産等を用いた自己資金の運用」,「適格機関投資家等を相手方として行う有価証券の私募及び運用」等を目的として設立された会社である。
被告Y3は,平成20年5月5日から同年6月27日までと平成21年10月20日から現在まで被告エターナル社の代表取締役を務め,被告Y2は,平成20年6月27日から平成21年10月20日まで同社の代表取締役を務めた後,被告Y3の下,被告エターナル社の資産の運用責任者として被告エターナル社の業務に関わった。(甲A8,9,乙ロ25,被告Y1本人,被告Y3本人,被告Y4本人,弁論の全趣旨)
(3)  被告クエス社は,平成21年12月11日に「適格機関投資家等を相手方として行う有価証券の私募及び運用」,「投資運用業」,「第2種金融商品取引業」,「イベント,サークルの企画,運営」等を目的として設立された会社である。
被告Y4は,被告クエス社の設立者であり,設立時から現在までその代表取締役である。(被告Y4本人,弁論の全趣旨)
(4)  原告らは,いわゆるソーシャル・ネットワーキング・サービスや被告Y4がマンションの一室で開催したパン教室等のイベントを通して被告Y4と知り合い,そのような者から被告Y4を紹介され,あるいはかつて同級生であった被告Y4と再会した者であるところ,被告Y4から被告クエスト社を営業者とする投資ファンド(以下「本件ファンド」という。)に出資するよう勧誘を受け,それぞれ別紙出入金一覧表1から16記載の「年月日」欄記載の日に原告らを匿名組合員(出資者)とする匿名組合契約(以下「本件各契約」という。)をそれぞれ締結し,「交付金額」欄記載の金員を,「出入金名目」欄記載の名目(「出資金」又は「申込手数料」)で被告クエス社に交付した(なお,原告X4は,平成23年11月24日及び平成24年1月19日付けの契約を除き,同人の夫であるE名義で行った。また,原告X6の平成22年8月8日付け契約(出資金及び申込手数料の入金は同月16日)は,本件ファンドに出資していた者から勧誘を受けて締結したものである。)。
一方,原告らは,被告クエス社から,それぞれ同一覧表1から16記載の「年月日」欄記載の日に,「受領金額」欄記載の金額の金員を,「出入金の名目」欄記載の名目(「配当金」)で受領した。
(甲A1,2,3の1,Bイ1~3,Bロ1~3,Bハ1~4,Bニ1~24,Bホ1~5,Bヘ1~6,Bト1~3,Bチ1~6,Bリ1~20,Bヌ1~4,Bル1~5,Bヲ1~3,Bワ1~4,Bカ1~5,Bヨ1~4,Bタ1~6,原告X8本人,原告X14本人,弁論の全趣旨)
(5)  被告クエス社は,原告らから交付を受けた出資金のほぼ全額をそのまま被告エターナル社に送金し,被告クエス社は,被告エターナル社との間において,利息月2%の条件で被告クエス社が被告エターナル社に貸付けを行う旨の金銭消費貸借契約書を作成した。また,被告クエス社は,被告エターナル社との間において,これらの金銭消費貸借契約書に係る金銭消費貸借の大半について,契約後に利息を月3%に変更する旨の覚書を作成した。(乙ロ1の1~13,乙ホ4~18)
(6)  被告クエス社は,原告らに対し,配当金の名目で金員を支払っていたが,平成24年2月にこれを減額し,翌3月以降は,配当金の支払も出資金の償還もしていない。(甲A10,Bイ3,Bロ3,Bハ4,Bニ24,Bホ5,Bヘ6,Bト3,Bチ4,Bリ20,Bヌ4,Bル5,Bヲ3,Bワ4,Bカ5,Bヨ3,Bタ6,原告X8本人,原告X14本人,弁論の全趣旨)。
2  当事者の主張
(1)  原告らの主張
ア 本件ファンドの違法性
被告らは,被告Y1を指導者として,その指揮に基づき,被告クエス社その他の関連会社を「子ファンド」と呼び,これら子ファンドを通じて原告ら一般人から集めた資金を被告エターナル社に送金させていたが,被告エターナル社においては,集めた資金の一部を外国為替証拠金取引(以下「FX取引」という。)で運用したにすぎず,多額の資金の使途ないし流出先が不明となり,適切な運用はされていなかった。被告クエス社を含む子ファンドは,被告エターナル社との間において,形式的には金銭消費貸借契約を締結し,同契約では,月2%から3%の利息を払うことされていたが,FX取引を含む金融商品取引において,月2%から3%もの利益を恒常的に出し続けることは,経済常識に照らしておよそ不可能である。結局,被告らは,集めた出資金から出資者に配当をするといういわゆるタコ足配当を行っていたものであり,本件ファンドは,破綻必至のものであった。
子ファンドの一つである被告クエス社の代表取締役である被告Y4は,被告Y1の指示に従い,汐留にある高級マンションの一室を被告Y4の居宅であるとして,同所において,料理,ファッション,婚活,マナー,旅行等に関するカルチャー教室を開いて原告らを集め,原告らに富裕層暮らしの疑似体験をさせ,本件ファンドに投資すれば,「月利2%,年利24%で数年で元が取れる。」,「働かなくてもお金が働いてくれるから,毎月海外旅行にも行ける。」などと話し,分散して運用しているから,リスクも低いなどとも説明し,被告Y4のような生活ができるのは被告Y4が勧める本件ファンドへの投資によって成功しているからに違いないと原告らを思い込ませた。
以上からすると,本件ファンドへの投資の勧誘は,取引開始当初から,投資の損益を出資者に適正に帰属させる実質を備えていなかった破綻必至の詐欺的商法であったと言わざるを得ず,原告らに投資が成功すると思い込ませ,これに金員を拠出させた被告らの行為が違法であることは明らかである。
イ 被告らの不法行為責任
被告らは,会長である被告Y1の指揮の下で役割を分担し,違法な勧誘をして投資名下で原告らから金員を詐取したものであり,不法行為責任を免れない。
被告Y3は,原告らが本件ファンドに出資をした際,被告エターナル社の代表取締役を務めており,集めた資金の管理をしていた。被告Y2は,被告エターナル社の前代表者であり,ファンドの組成に関わり,被告エターナル社の資金運用を担っていた。被告Y4及び被告Y4が代表取締役を務める被告クエス社は,本件ファンドへの投資の勧誘を通して被告らの資金集めの実働をしていた。
また,被告クエス社及び被告Y4は,投資先の条件として,運用利回りが平均で10%から30%と宣伝していたが,被告エターナル社がそれだけの運用利回りを実現すると判断した具体的根拠について,原告らに何ら説明していないから,少なくとも著しい説明義務違反があったことは明らかである。
以上のとおり,被告Y1,被告Y2,被告Y3及び被告Y4は,各自,前記の詐欺的商法を実行するため,役割を分担しており,共同不法行為責任を負う。被告クエス社は勧誘組織として,被告エターナル社は詐取した金員の取りまとめ,隠匿,分配のための組織として,いずれも本件詐欺に不可欠の存在であり,固有の不法行為責任を負い,また,被告クエス社は,被告Y4の行為について,被告エターナル社は,被告Y2及び被告Y3の行為について,会社法350条に基づく責任も負う。
ウ 原告らの損害
被告らの不法行為により,原告らは,別紙出入金一覧表1から16記載の「交付金額」欄の合計額の各損害を受けたほか,本件訴訟を提起するに当たって,原告ら訴訟代理人弁護士に委任し,弁護士費用の支出を余儀なくされた。そこで,原告らは,被告らに対し,別紙請求債権目録「交付金額相当損害金」欄記載の金員及び同目録「弁護士費用相当額損害金」欄記載の金額の支払を求める。
なお,原告らは,被告クエス社から別紙出入金一覧表「受領金額」欄記載のとおり,配当金の名目で金員を受領しているが,被告らはこれらの金員を詐欺の手段として,配当金として支払ったものであるから,損益相殺等の対象として控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
(2)  被告Y1の主張
被告Y1は,被告Y3らから「会長」と呼ばれていたが,これは通称にすぎず,被告Y1が指導的立場にあったわけではない。被告Y1は,被告エターナル社から毎月60万円のコンサルタント料を受け取っていたが,これは,被告エターナル社に対して助言を行った正当な対価である。被告Y1は,被告エターナル社の資金の管理には関与しておらず,被告エターナル社が集めた資金の使途は知らないから,原告らに対して不法行為責任を負わない。
(3)  被告エターナル社及び被告Y3の主張
原告らは,納得して被告クエス社に投資をし,被告エターナル社は,被告クエス社と金銭消費貸借契約を締結して被告クエス社が集めた資金を受け取っているのであり,被告エターナル社が被告クエス社から受け取った資金をどのように使うかは自由である。実際の使途にも問題はない。また,被告クエス社に対する月2%から3%の利息も,支払うことができると考えて約束したものである。被告らは何ら詐欺に当たるような行為はしていない。
(4)  被告Y2の主張
被告エターナル社と被告クエス社との間の契約形態は,金銭消費貸借契約であり,被告エターナル社が貸付金の返済をできなくなったのが本件の実態である。被告クエス社と被告エターナル社との間で,貸付金の使途は特に決められていなかったから,被告エターナル社の貸付金の使途にも問題はない。したがって,被告らが原告らに対し,詐欺をしたというわけではない。
被告Y2は,被告クエス社に対し,必要書類の作成やファンドの説明及び契約時に顧客に対して説明すべきことや資料に書いておくべき事項等について助言をしており,その内容は不合理なものではないから,被告Y2は不法行為責任を負わない。
(5)  被告クエス社及び被告Y4の主張
被告クエス社は,被告エターナル社に毎月の集金状況等の報告をしておらず,被告エターナル社の集金装置ではない。被告クエス社がファンドの運用先を被告エターナル社にしたのは,被告Y4やその親族らが出資をした際,運用成績が良かったからであり,当初から被告エターナル社に貸し付ける目的で出資を募ったのではない。被告クエス社は,平成24年2月,被告エターナル社から,毎月支払っていた利息を年払にすると一方的に通告され,出資者に対し,毎月の配当をすることができなくなったにすぎない。被告クエス社及び被告Y4は,原告らに対し,詐欺をしたことはなく,不法行為責任を負わない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提となる事実に証拠(後掲括弧内のもののほか,乙イ1,乙ロ26,27,乙ホ37。ただし,後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められ,同認定を左右するに足りる的確な証拠はない。
(1)  被告Y4は,平成17年頃に被告Y1と知り合い,間もなく被告Y1から自分が育てている弟子であるとして被告Y3を紹介され,その後,被告Y2も紹介された。
被告Y1は,その頃から被告Y3らに投資ファンドを立ち上げて資金を調達する話を持ちかけるようになったが,被告Y1も被告Y3も,それまで投資ファンドに関わった経験はなかった。被告Y4も,投資ファンドに関わった経験はなく,金融関係の仕事に就いたこともなかった。(被告Y1,被告Y3,被告Y4本人)
(2)  被告Y4は,平成21年12月11日,被告Y1から出資金を出してもらって被告クエス社を設立し,汐留のマンションの一室においてパン教室等のイベントを開催する一方で,被告Y2から本件ファンドの説明資料等を作ってもらい,そのアドバイスを受けて,パン教室等のイベントに参加した原告らに対して本件ファンドへの投資を勧誘するようになった。(被告Y4本人)
(3) 被告Y2が作成した本件ファンドの説明資料(甲A3の1)には,「Infinity Fund」という表題が付けられ,その魅力として,「投資家からお預かりした資金を元に,自社でトレーディングを行っている会社へ運用を委託することにより,資金管理を募集会社と運用会社にて資金を分別して管理をしております。」,「自社でトレーディング業務を行っているため,仲介業者が入ることなく運用コストを抑えられるため,その分を投資家利益に還元することができます。運用会社の選択は弊社の選定基準に基づいて行っておりますが,今後の事業規模が大きくなり次第随時ポートフォリオの見直しや業者の追加を行っていきます。」と記載されていたほか,①分配金のイメージとして,配当を約束するものではないとの断りを入れ,投資額が50万円の場合は毎月の配当額が4000円,100万円の場合には8000円,500万円の場合には6万円,1000万円の場合には15万円になること,②ファンドのリスクとして,「当ファンドは,主に国内の株式や為替など値動きのある有価証券等でトレーディングを行っている会社の債券を購入します。運用会社との債券発行利率につきましては,市場状況や運用環境により決定いたします。そのため発行者の経営状況やそれに対する外部評価,外国為替相場等の変動により,基準価額は変更等の影響を受けます。これらにより生じた利益および損失は,当ファンドの投資家であるお客様に帰属することとなります。また元本および利息の保障はなく,預金保険の対象でもありません。」,③ファンドの運用方針として,「運用先の選択は,基本的には短期と長期での両面で運用会社を選択しております。長期運用は,運用資産の長期的な成長戦略をベースに,短期運用は流動性を出来る限り高めに保ちつつ,高めのリターンを得られるように選定しております。」などと記載され,ポートフォリオイメージとして,3社の運用会社が為替,株式,事業投資に分かれて運用するとの図が掲載されていた。(甲A3の1)
(4)  被告クエス社は,そのウェブサイト(甲A1)において,本件ファンドについて,「会社の規模の拡大と共に,運用会社を複数に分散し,リスクを分散していくことで,運用成績の安定を測っています。万が一,運用先の資金の合計が70%を割りそうになった場合は,運用状況を確認し,投資家の方に説明いたします。」とし,年間配当目標を「6~18%」と説明していた。また,本件ファンドの魅力として,前記(3)の説明資料と同内容の説明をし,その特徴として,「金融庁への届出を適切に行っている」,「許認可や届出を行っていない業者も多数存在しているのが実態です。」などと説明していた。(甲A1)
(5)  被告クエス社は,原告らと本件各契約を締結するに当たって,原告らに対し,「匿名組合契約規約」(甲A5の1),「インフィニティ・ボンドファンド契約締結前交付書面」(甲A6の1)を交付した。
ア 「匿名組合契約規約」には,営業者である被告クエス社は,「株式,債券,マザーファンド,ヘッジファンド等への投資,利権等の取得,保有,管理,運用及び処分」等の事業を行う(2条1項),被告クエス社は,「善良な管理者の注意義務をもって誠実かつ忠実に本事業を遂行するものとする。」(8条1項),本契約の当初出資金の額は,匿名組合契約書において記載された口数(ただし,50口以上1口単位とする。)に1万円を乗じた金額とする(6条1項),被告クエス社は,運用開始日から1か月ごとに,出資者の出資口数に応じ,500口未満は出資額の1%を上限,出資口が500口以上は出資額の2%を上限とする配当を行う(10条1項),本契約の契約期間は,本契約締結の日から1年後の月末までとし,その後は毎年1年ごとの自動更新とする(16条本文),本契約が終了した場合,法令及び本事業の状況に照らし,被告クエス社が適切と考える方法によって,本財産を処分し(処分されない場合は一定の客観的基準により算定した評価額),本事業に関する債権を回収し,本事業に係る諸費用・諸債務(営業者成功報酬を含む。)を支払った後に残存する本財産の限度で,出資者に対し,最終償還金額を支払うものとする(19条1項)などとされていた。(甲A5の1)
イ 「インフィニティ・ボンドファンド契約締結前交付書面」(平成22年5月1日現在)には,本件ファンドの目的を「運用資産の長期的な成長を図ること」とし,特色として「ファミリーファンド方式により,主に国内外の運用会社中心に,投資対象の割合等には制限を設けず,積極的かつ長期スタンスの運用を行います。」,「マザーファンドは,投資対象の組入比率には制限を設けず,原則として各運用会社の組入比率はバランスよく保ち,積極的な運用を行います。」などとされていた。そして,注意事項として,「当ファンド商品はリスクを含む商品であり,運用損益は市場環境により変動しますので元本を割り込むことがあります。(元本の保証はありません)また,運用による損益はすべて購入されたお客さまに帰属します。」,「当ファンドは当社の投資判断基準のもと運用会社に運用を委託しているものです。」,「当ファンドは預金ではなく,預金保険の支払対象ではありません」,「当ファンドは,主に国内外の株式や債券など値動きのある有価証券やデリバティブによる自社運用を行っている会社の債券に投資いたします。そのため,市場の相場変動や組入有価証券の発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価の変化などの影響により,基準価額が下落し損失を被ることがあります。また,外貨建資産に投資する際は,為替の変動により損失を被ることがあります。したがってお客さまの投資元本は保証されているものではなく,元本を割り込むことがあります。ファンドの運用による損益はすべてお客さまに帰属します。当ファンドの主な投資リスクとして,株価変動リスク,為替変動リスク,カントリーリスク,投資銘柄集中リスク,流動性のリスク,デリバティブ商品のリスクがあります」とされていた。(甲A6の1)
(6)  被告Y4は,前記(3)の説明資料と前記(5)の「匿名組合契約規約」,「インフィニティ・ボンドファンド契約締結前交付書面」を原告らに示し,被告クエス社は,分散投資しているから,リスクは低い,過去に出資者に対する配当が下がったことはないなどと説明して,本件ファンドへの投資の勧誘をし,被告クエス社は,原告らと本件各契約を締結した(なお,原告X3の平成23年5月10日付け契約(出資金の入金は同月12日,申込手数料の入金は同月16日),原告X4の平成23年11月24日付け及び平成24年1月19日付けの契約並びに原告X5の平成23年7月18日付け契約(出資金及び申込手数料の入金は同月20日)は,インフィニティーファンドと同様の内容のアフェクション・ボンドファンドに関する契約である。)。(被告Y4本人)
(7)  一方,F(昭和52年生。以下「F」という。)は,平成22年4月頃,出会い系サイトを通して被告Y1と知り合い,同被告から,「会社を作れば,投資先は俺が作る。やればもうかる。」,「すごい裕福な生活ができる。」,「失敗して資金を0にしても会社を倒産させれば責任を負うことはない。」,被告Y4は,「1か月で1億集めて,翌月また1億集めてから勤めていた会社を辞めて何もしていない。海外旅行や自分のやりたい事ばかりをしている。ブランド服や高級マンション,海外旅行や高級車も全部経費でまかなえて報酬も得ている。」などと言われ,会社を設立して資金集めするように勧められた。また,その頃,Fは,被告Y1の紹介で被告Y4にも会い,同被告から「会長の言うとおりにすればいい。」などと言われ,被告エターナル社の子ファンドに当たる株式会社グラン・ファミを設立した。
Fが上記会社を設立すると,被告Y1及び被告Y3は,Fに対し,資金集めの方法として,「自分が裕福だと思わせろ。」,「豪華な場所で話をするようにしろ。」,「今までに会ったことのない人だと思わせろ。」,「頭のいい人間はダメ,世間知らずの独身婚活女などがいい。金を貯め込んでいるから。」,「教室を開いて人を集めるために講師を集めろ。」,「子供の将来とか,親の介護,自分の将来の不安をあおれ。」,「うそを言っても将来それを達成すればいいからそれはうそではない。」,「投資されたお金はあなたに投資されたお金だ。」,「ネットを駆使しろ。」,「どれだけいいことがあるかブログを書いたらいい。」などと言い,資金を集めるように求めた。(甲A10,証人F)
(8)  被告Y1は,C及び被告Y4に対し,それぞれ個人の銀行預金口座,株式会社外為オンラインのFX口座を作らせ,被告エターナル社は,これらの口座のほか,被告Y1名義の銀行預金口座及びFX口座,関連会社の銀行預金口座及びFX口座に,被告クエス社や同社と同様被告エターナル社の子ファンドと呼ばれた会社が集めた出資金を移した。
被告エターナル社は,平成24年3月までに,被告クエス社を含む子ファンドから,出資金として少なくとも合計約16億円を集めた。
被告エターナル社は,子ファンドから集めた出資金を,自己が管理する自己名義及び他人名義の複数の口座を利用し,FX取引を行って運用していた。被告エターナル社は,約14億3700万円をFX取引で運用したが,約2億5500万円の損失を出した。被告エターナル社は,集めた資金について,FX取引以外の運用はしていなかった。
一方,被告エターナル社は,平成20年11月ころから平成24年2月ころまでの間,子ファンドに対し,出資金に対する配当として,少なくとも合計約9億4400万円を送金した。
なお,被告エターナル社から子ファンドに対する配当は,平成20年11月から始まっているところ,同月の子ファンドへの送金は,約900万円であった。しかし,平成20年11月までの被告エターナル社のFX取引による運用益は,約516万円にすぎなかった。
(乙ロ2~18,被告Y3本人,被告Y4本人,弁論の全趣旨)
(9)  被告エターナル社は,Cが代表取締役を務める株式会社マーベリックファクトリーに対し,業務委託契約に基づく報酬として平成20年から平成24年までに合計5908万4948円を支払い,被告Y1に対し,平成23年2月から平成24年2月までコンサルタント料として毎月60万円(合計780万円)を支払ったほか,被告Y4に対しても,平成19年から平成22年までにエターナル社の営業活動を行った報酬として合計539万0469円を支払ったなどと説明している。また,被告エターナル社は,被告Y1に対し,平成22年11月から平成24年2月までに約1629万円(被告エターナル社は,上記780万円がこの中に含まれると説明している。)を,平成22年7月30日に3400万円をそれぞれ送金したほか,被告エターナル社が管理している被告Y4名義の銀行口座から平成21年12月14日に900万円,平成22年1月25日に1999万円の合計2899万円を送金した。さらに,被告エターナル社が管理していたG名義の銀行口座からDに対し,平成20年11月から平成22年4月まで合計約673万円が送金され,被告エターナル社の銀行口座からも同人に対し,平成23年4月から平成24年2月まで合計130万円が送金された。(乙ロ2,5,10,17,弁論の全趣旨)
(10)  被告エターナル社は,平成25年7月20日,子ファンドに投資した者を集め,配当金や出資金の償還をすることができなくなった理由等を明らかにする説明会を開催し,その中で,被告Y3及び被告Y2は,「法規制による運用コストの増加から派生したパフォーマンスの低下に毎月の利払いが重くのしかかってきたことが原因で,運用資金が減少していったことが大きく,為替による運用が困難となってしまいました。」などと説明した。また,被告エターナル社は,自社のウェブサイトにおいて,被告エターナル社の負債総額が19億7141万1000円であることを明らかにした。(甲A7~9,乙ロ25)
2  被告らの不法行為責任
(1)  前記1の認定事実のとおり,原告らが被告クエス社との間において締結した本件各契約の内容は,被告クエス社が株式,債券,マザーファンド,ヘッジファンド等への投資,利権等の取得,保有,管理,運用及び処分等の事業を行い(匿名組合契約規約2条1項),被告クエス社は,運用開始日から1か月ごとに,出資者の出資口数に応じ,500口未満は出資額の1%を上限,出資口が500口以上は出資額の2%を上限とする配当を行うというものであり(10条1項),本件各契約の締結前に原告らに交付された「契約締結前交付書面」では,「主に国内外の株式や債券など値動きのある有価証券やデリバティブによる自社運用を行っている会社の債券に投資」するものであり,「主に国内外の運用会社」を中心として出資金を運用し,「各運用会社の組入比率はバランスよく保つ」と説明され,本件ファンドの説明資料においても,出資金を「自社でトレーディングを行っている会社」に運用を委託しており,「基本的には短期と長期での両面で運用会社を選択しております。長期運用は,運用資産の長期的な成長戦略をベースに,短期運用は流動性を出来る限り高めに保ちつつ,高めのリターンを得られるように選定」しているとされ,「ポートフォリオイメージ」として,3社の運用会社が為替,株式,事業投資に分かれて運用するとの図が掲載されていた。また,被告クエス社のウェブサイトでは,本件ファンドについて,「会社の規模の拡大と共に,運用会社を複数に分散し,リスクを分散していくことで,運用成績の安定を測っています。万が一,運用先の資金の合計が70%を割りそうになった場合は,運用状況を確認し,投資家の方に説明いたします。」と説明されており,同趣旨の説明が本件ファンドの魅力として原告らに対してもされたものと認めるのが相当である。
一方,「契約締結前交付書面」及び本件ファンドの説明資料には,前記1(3)及び(5)イのとおり,本件ファンドにはリスクがあり,元本を保障するものではないことが明記され,この点も併せて,原告らに説明されたものということができるが,前記第2の1(4)及び前記1(2),(6)のとおり,被告Y4は,マンションの一室でパン教室等のイベントを開催するなどして知り合った原告らに対して本件ファンドの魅力を説明し,被告クエス社は,分散投資しているから,リスクは低く,過去に出資者に対する配当が下がったことはないなどと説明して本件各契約を締結させ,現に,被告クエス社は,原告らに対し,別紙出入金一覧表のとおり,平成24年2月まで出資額及び出資時期等に応じて月0.4%(年4.8%)から月1.6%(年19.2%)という高率の配当金を支払っていたことが認められる。
そうだとすると,このような本件ファンドの内容は,一見すると,出資した金員が,被告クエス社の専門的な判断の下において,複数の運用会社に分散して投資されているため,リスクは低く限定的であるばかりか,高率の配当金が得られるものと原告らに信じ込ませるものであったということができる。
(2)  しかしながら,前記第2の1(5)のとおり,被告クエス社は,実際には原告らから集めた出資金を分散投資することなく,ほぼその全額をそのまま関連会社というべき被告エターナル社に送金していたものであり,しかも,前記1(8)のとおり,被告エターナル社は,被告クエス社や同社と同様被告エターナル社の子ファンドと呼ばれた会社が集めた少なくとも合計約16億円もの出資金を複数の個人名義及び関連会社名義の口座に移し,そのうち約14億3700万円をFX取引で運用したものの,約2億5500万円の損失を出し,原告らを含む出資者に対する配当金の支払に少なくとも合計約9億4400万円を拠出している。そして,被告エターナル社は,FX取引以外の運用はしておらず,被告エターナル社が集めた少なくとも合計約16億円とFX取引で運用した約14億3700万円との差額約1億6300万円並びにFX取引で運用した約14億3700万円と損失額約2億5500万円及び配当金合計約9億4400万円との差額約2億3800万円の合計約4億0100万円の使途が不明なままになっている。また,前記1(8)のとおり,被告エターナル社から子ファンドに対する配当は,平成20年11月から始まっており,同月の子ファンドへの送金は,約900万円であったが,同月までの被告エターナル社のFX取引による運用益は,約516万円にすぎなかったのであり,被告エターナル社は,子ファンドへの配当開始直後から,集めた出資金を取り崩して配当を行っていた。そして,前記1(1)のとおり,被告Y4も,被告Y3も,被告Y3らに投資ファンドを立ち上げて資金を調達する話を持ちかけた被告Y1も,それまで投資ファンドに関わった経験はなかったことをも考え併せると,本件ファンドは,当初から破綻することが必至のものであり,投資を行う者に適正な損益を帰属させることを目標として組成され管理されていたものということはできず,被告らにおいて利を図ることを意図して組成され運用された金融商品として不適正なものであったと認めるのが相当である。
そうすると,このような金融商品としておよそ不適正な本件ファンドを,適正な金融商品であると誤信させて出資を勧め出資金を拠出させることは,出資者に対する関係において詐欺行為に当たり,不法行為となるというべきである。
(3)  そして,被告Y1は,前記第2の1(1)のとおり,被告Y3,被告Y2,被告Y4らを「弟子」と呼び,これらの者から「会長」と呼ばれて,事業の興し方等の指導をし,被告Y3らに投資ファンドを立ち上げて資金を調達する話を持ちかけた者であり,また,前記1(9)のとおり,多額の金額が被告Y1名義の預金口座に送金されているのであるから,その余の被告らの単なる相談者にとどまらず,金融商品としておよそ不適正な本件ファンドを組成し,原告らに出資させるように仕向けた首謀者と認めることができ,同認定を左右するに足りる的確な証拠はない。そうすると,被告Y1は,不法行為に基づき,原告らに生じた損害を賠償すべき責任がある。
(4)  被告Y3及び被告Y2は,被告エターナル社の代表者又は資金の運用責任者として,被告Y1の指示の下に実際にこのような不適正な本件ファンドを組成して被告クエス社に本件ファンドへの投資の勧誘をさせ,同社を通じて集めた資金を管理していた者というべきであり,本件ファンドが金融商品としておよそ不適正なものであることを十分に認識していたというべきであるから,不法行為に基づき,原告らに生じた損害を賠償すべき責任がある。そして,被告Y3の上記行為は,被告エターナル社の代表取締役の職務として行われたものであるから,被告エターナル社は,会社法350条に基づき,原告らに生じた損害を賠償すべき責任がある。
(5)  被告Y4は,前記1(6)のとおり,本件ファンドの説明資料と「匿名組合契約規約」,「契約締結前交付書面」を原告らに示し,被告クエス社は,分散投資しているから,リスクは低い,過去に出資者に対する配当が下がったことはないなどと説明して,本件ファンドへの投資の勧誘をし,被告クエス社との間において本件各契約を締結させたものである。ところが,被告Y4は,分散投資をすることなく,前記第2の1(5)のとおり,被告クエス社を通して原告らから交付を受けた出資金のほぼ全額をそのまま被告エターナル社に送金していたものであり,少なくともこの点において,原告らに対する欺罔行為があったものと言わざるを得ない。更に言えば,被告Y4は,被告エターナル社との間において,利息月2%(年24%)又は3%(年36%)もの高利な条件で被告クエス社が被告エターナル社に貸付けを行う旨の金銭消費貸借契約書を作成しているが,このような高利な利息を支払うことができる運用を被告エターナル社において続けることができないことは,被告Y4が金融関係の仕事に就いたことがなかったとはいえ,容易に認識することができたものというべきである。そして,被告Y4が被告Y1と内縁関係を結んでいたものであり,被告Y1を通じて被告Y3及び被告Y2とも緊密な関係にあったことをも考慮すると,早晩,本件ファンドが破綻することを被告Y4も認識していたものと認めるのが相当である。
そうすると,被告Y4も,不法行為に基づき,原告らに生じた損害を賠償すべき責任がある。そして,被告Y4の上記行為は,被告クエス社の職務又は事業の執行として行われたものであるから,被告クエス社は,会社法350条に基づき,原告らに生じた損害を賠償すべき責任がある。
3  原告らの損害額
(1)ア  原告らは,別紙出入金一覧表1から16記載のとおり,それぞれ出資金等の名目で,被告クエス社に金員を交付しているところ,これらは,被告らの不法行為と相当因果関係のある損害である。
イ  原告らは,別紙出入金一覧表1から16記載のとおり,それぞれ被告クエス社から配当金の名目で,金員の交付を受けている。
しかしながら,社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも許されないものというべきである(最高裁平成19年(受)第569号同20年6月10日第三小法廷判決・民集62巻6号1488頁参照)。
これを本件についてみると,被告らの前記2の詐欺行為は,反倫理的行為に該当することは明らかであり,そして,被告エターナル社は,当初から出資金を取り崩して子ファンドに対する配当を行っていたのであるから,被告らは,詐欺の発覚を防ぐとともに,原告らに,新たに出資を行わせるための手段として,被告エターナル社から被告クエス社に配当金の名目で金員を交付し,被告クエス社をして,配当金の名目で原告らに金員を交付させていたというべきである。そうすると,配当金の名目での金員の交付によって原告らが得た利益は,不法原因給付によって生じたものというべきであり,本件損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として原告らの出資金額から配当金の名目で原告らにそれぞれ交付された金員の額を控除することは許されないものというべきである。
ウ  したがって,原告らは,被告らに対し,それぞれ別紙出入金一覧表1から16記載の交付金全額(合計額は,別紙請求債権目録の交付金額相当損害金欄記載のとおり)の損害賠償を請求することができる。
(2)  原告らは,弁護士に委任して本件訴訟を提起・追行しており,原告らについて,それぞれ別紙請求債権目録の交付金額相当損害金欄記載の金額の1割である同目録の弁護士費用相当損害金欄記載の金額の弁護士費用も被告らの不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。
4  結論
以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由があるから,これらを認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 永谷典雄 裁判官 小川弘持 裁判官 中田萌々)

 

別紙
当事者目録
東京都大田区〈以下省略〉
原告 X1
山梨県笛吹市〈以下省略〉
原告 X2
愛知県刈谷市〈以下省略〉
原告 X3
名古屋市〈以下省略〉
原告 X4
中華人民共和国 省 市〈以下省略〉
原告 X5
名古屋市〈以下省略〉
原告 X6
東京都大田区〈以下省略〉
原告 X7
東京都八王子市〈以下省略〉
原告 X8(旧姓A)
千葉県柏市〈以下省略〉
原告 X9
愛知県岡崎市〈以下省略〉
原告 X10
愛知県岡崎市〈以下省略〉
原告 X11
川崎市〈以下省略〉
原告 X12(旧姓B)
横浜市〈以下省略〉
原告 X13
横浜市〈以下省略〉
原告 X14
奈良市〈以下省略〉
原告 X15
横浜市〈以下省略〉
原告 X16
原告ら訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 浅井淳子
同 太田賢志
同 佐藤顕子
同 五反章裕
同訴訟復代理人弁護士 見次友浩
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都中央区〈以下省略〉
被告 エターナルファンド株式会社
同代表者代表取締役 Y3
秋田市〈以下省略〉
被告 Y2
東京都葛飾区〈以下省略〉
被告 Y3
東京都港区〈以下省略〉
被告 株式会社Quess Paraya
同代表者代表取締役 Y4
愛知県岡崎市〈以下省略〉
被告 Y4
上記2名訴訟代理人弁護士 奥田保
同 加島光
別紙
請求債権目録

原告
番号
原告
氏名
交付金額
相当損害金
弁護士費用
相当損害金
請求金額
1 X1 5,100,000 510,000 5,610,000
2 X2 510,000 51,000 561,000
3 X3 6,120,000 612,000 6,732,000
4 X4 16,851,500 1,685,150 18,536,650
5 X5 3,060,000 306,000 3,366,000
6 X6 2,550,000 255,000 2,805,000
7 X7 2,040,000 204,000 2,244,000
8 X8
(旧姓A)
5,100,000 510,000 5,610,000
9 X9 28,050,000 2,805,000 30,855,000
10 X10 10,200,000 1,020,000 11,220,000
11 X11 3,060,000 306,000 3,366,000
12 X12
(旧姓B)
5,100,000 510,000 5,610,000
13 X13 2,244,000 224,400 2,468,400
14 X14 14,280,000 1,428,000 15,708,000
15 X15 510,000 51,000 561,000
16 X16 5,100,000 510,000 5,610,000
109,875,500 10,987,550 120,863,050

〈以下省略〉

 

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