【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(111)平成27年 6月30日 名古屋地裁 平24(ワ)1138号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(111)平成27年 6月30日 名古屋地裁 平24(ワ)1138号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 6月30日  裁判所名  名古屋地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)1138号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2015WLJPCA06306002

要旨
◆株式会社である原告が、その取締役であった被告らに対し、取締役の任務懈怠又は不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、被告らが業務提供の実体を伴わない業務委託契約等を複数締結し、それらの契約に基づいて正当な理由なく原告の財産を流出させたこと等が、取締役としての任務懈怠又は不法行為に当たるとして、総額約4億5300万円の支払が命じられた事例

裁判経過
上告審 平成29年 6月15日 最高裁第一小法廷 決定 平28(オ)1611号・平28(受)2041号 損害賠償請求事件
控訴審 平成28年 7月29日 名古屋高裁 判決 平27(ネ)704号 損害賠償請求控訴事件

出典
裁判所ウェブサイト
金商 1474号32頁
ウエストロー・ジャパン

評釈
髙橋美加・ジュリ 1495号115頁
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 3175号(旬刊商事法務2081号)
洪済植・金商 1491号2頁
井上貴也・東洋法学 62巻3号293頁
増田友樹・同志社法学 68巻5号459頁
菊田秀雄・法セ増(新判例解説Watch) 19号131頁

参照条文
民法709条
会社法423条1項

裁判年月日  平成27年 6月30日  裁判所名  名古屋地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)1138号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴  文献番号  2015WLJPCA06306002

愛知県春日井市〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者監査役 A1
同訴訟代理人弁護士 小野吉則
同 矢嶋雅子
同 細野敦
同 大川美貴
同 藤田美樹
同 戸島正浩
同 関口尊成
同 大野憲太郎
同訴訟復代理人弁護士 天白達也
名古屋市〈以下省略〉
被告 Y1
横浜市〈以下省略〉
被告 Y2
名古屋市〈以下省略〉
被告 Y3
上記2名訴訟代理人弁護士 間瀬聡
同訴訟復代理人弁護士 宮本大祐
名古屋市〈以下省略〉
被告ら補助参加人 東海東京証券株式会社
同代表者代表取締役 A2
同訴訟代理人弁護士 鈴木信一
同 松冨しほ里
同 松尾政治

 

 

主文

1  被告Y1及び被告Y3は,原告に対し,連帯して,1億6850万円及びこれに対する平成21年9月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告に対し,連帯して,1億2705万円及び内金1465万円に対する平成22年9月14日から,内金1億1240万円に対する平成23年2月28日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告Y1及び被告Y2は,原告に対し,連帯して,8555万円及びこれに対する平成22年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告Y1及び被告Y2は,原告に対し,連帯して,3370万円及びこれに対する平成23年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5  被告らは,原告に対し,連帯して,3785万5000円及び内金3370万円に対する平成23年8月31日から,内金157万円に対する平成23年11月30日から,内金258万5000円に対する平成24年1月31日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
7  訴訟費用はこれを20分し,その19を被告らの負担とし,その1を原告の負担とする。
8  この判決は,原告勝訴部分に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

(前注)以下,別紙1略語一覧表のとおり,氏名及び法人名等を略称する。
第1  請求
1  被告Y1及び被告Y3は,原告に対し,連帯して,1億7325万円及びこれに対する平成21年9月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告に対し,連帯して,1億3051万5000円及び内金1501万5000円に対する平成22年9月14日から,内金1億1550万円に対する平成23年2月28日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告Y1及び被告Y2は,原告に対し,連帯して,8805万5000円及びこれに対する平成22年11月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告Y1及び被告Y2は,原告に対し,連帯して,3465万円及びこれに対する平成23年4月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5  被告らは,原告に対し,連帯して,3892万3500円及び内金3465万円に対する平成23年8月31日から,内金161万7000円に対する平成23年11月30日から,内金265万6500円に対する平成24年1月31日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  請求の概要
本件は,原告の代表取締役会長であった被告Y1,同代表取締役社長であった被告Y2及び同取締役副社長であった被告Y3が,架空の業務委託契約等を複数締結し,それらの契約に基づき,原告の財産を不正に流出させた等と主張して,原告が被告らに対し,取締役の任務懈怠による損害賠償請求(会社法423条1項)又は不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として,合計4億6539万3500円及びこれに対する各不法行為の日からいずれも支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実(各項末尾に証拠を掲記したもののほかは,当事者間に争いがない。)
(1)  当事者等
ア 原告は,東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に上場している株式会社である。
原告の平成23年10月31日までの商号は,株式会社aであり,同年11月1日に,原告は新設分割により子会社を設立し,同子会社に事業部門の権利義務を承継して,持株会社となった。同子会社の商号は,株式会社a1であり(以下,同子会社を「a1社」という。),同日,原告は株式会社Xに商号変更した。
原告の主たる事業は,映像ソフト,音楽ソフト,ゲームソフト及び書籍の制作,販売並びにレンタル等の事業を営むa1社等の株式を保有することにより,当該会社の事業活動を支配・管理することである。なお,a1社の上記事業は,平成23年10月31日まで原告が行っていたものである。
イ 被告Y1は,平成16年6月から平成19年6月まで原告の代表取締役社長,平成19年6月から平成23年11月1日まで原告の代表取締役会長(ただし,平成20年7月から平成21年6月までは取締役会長),その後,平成23年12月21日まで原告の取締役会長であった者で,同日取締役を辞任した(弁論の全趣旨)。なお,被告Y1は,少なくとも平成19年11月29日から平成24年2月29日まで,b社の取締役であった。
被告Y3は,平成17年6月から平成23年12月21日まで原告の取締役であった者で,同日取締役を辞任した(弁論の全趣旨)。なお,被告Y3は,平成23年5月27日から平成24年2月29日まで,b社の取締役であった。
被告Y2は,平成21年6月26日から平成22年1月1日まで原告の社外取締役,平成22年1月1日から平成23年11月1日まで原告の代表取締役社長,その後,同年11月28日まで原告の取締役であった者で,同日取締役を辞任した(弁論の全趣旨)。
ウ A1は,平成20年6月から原告の常勤監査役の地位にある者である。
エ A3は,平成18年4月から原告の取締役,平成23年11月1日以降は,原告の代表取締役社長の地位にある者である。
オ 被告ら補助参加人は,原告の主幹事証券会社である。
(2)  その他の関係者等
ア A4は,原告の顧問と称していたことのある者である。
A5は,A4の知人であり,c社の代表取締役を務める者である(弁論の全趣旨)。
イ b社は,不動産の売買・賃貸借・仲介及び管理並びに鑑定業を主たる業務とする株式会社であり,代表取締役はA6である。b社は,原告の不動産事業部門として,当初は,いわゆる売れ残りのマンションを安値で購入し,廉価で販売する営業等を主たる業務としていたところ,原告の信用力も背景として,金融機関より事業資金を独自に調達して業容を拡大し,平成20年3月には名古屋証券取引所セントレックス市場に上場した。なお,b社は,平成23年3月30日以前は原告の連結子会社であったが,後記(6)のとおり,同日付け株式譲渡により,原告の連結子会社ではなくなった。
ウ d社は,経営一般及び株式公開に関するコンサルティング業を主たる業務とする株式会社であり,代表取締役はA4である。
エ e社は,新車・中古車の売買,映像コンテンツの企画・制作及び広告・宣伝・イベントの企画等を主たる業務とする株式会社であり,平成23年12月13日に本店を移転する前の本店所在地は,東京都港区〈以下省略〉(後記オのf社の本店所在地と同じ),代表取締役はA7である。
オ f社は,新車・中古車の売買,不動産の売買・仲介,映像コンテンツの企画・制作及び広告・宣伝・イベントの企画等を主たる業務とする株式会社であり,本店所在地は東京都港区〈以下省略〉(前記エのe社の本店移転前の本店所在地と同じ),代表取締役はA8である。f社は,平成22年9月2日に「株式会社f1」に商号変更した。
カ g社は,有価証券等の保有・管理・運用・取得等の投資事業,投資事業組合財産の運用・管理及び不動産の売買・交換・賃貸等を主たる業務としていた株式会社である。なお,平成23年7月14日以降は,企業の営業譲渡,資産売買,資本参加,業務提携及び合併に関する調査,企画並びにそれらのあっせん,仲介等を主たる業務としている(甲16の1ないし3)。
g社の代表取締役はA9であるが,同社を実質的に支配しているのはA4である。なお,g社は,平成22年6月24日にg1社,平成23年4月23日に株式会社g2にそれぞれ商号変更している。
g1社が平成22年8月1日に本店を移転する前の本店所在地は,大阪府八尾市〈以下省略〉(後記キのh社の平成23年5月6日更正前の本店所在地と同じ)である。
キ h社は,有価証券等の保有,管理,運用及び取得等の投資事業等を主たる業務とする合同会社であり(甲36),平成23年5月6日の更正前の本店所在地は大阪府八尾市〈以下省略〉(前記カのg社の本店移転前の本店所在地と同じ),代表社員はd社の契約社員のA10である。
ク i社の代表取締役であるA11は,A4及びA5と交流がある。
(3)  原告の内部規定
ア 取締役会決議を要する場合
原告の職務権限基準表によると,1件1億円以上の有形・無形固定資産の取得,投資額1億円以上の新規アミューズメント店出店計画立案,総額1億円以上の直営店舗売却の選定・決定(社員独立以外),月額50万円以上の顧問・コンサルティング契約,その他経営全般における企画業務等は,すべて取締役会決議事項とされている(甲14,15,23,24,31,52)。
イ 稟議を要する場合
原告の職務権限基準表によると,「支出に関する事項(商品仕入に関する支払を除く)(単発支出)1件100万円以上の支出」には,稟議,すなわちブロック長代理,ブロック長,次長又は部長が起案し,執行役員,取締役が審査し,代表取締役が決裁するという手続を経る必要がある(甲29ないし31,40)。
(4)  b社のリファイナンスに関する経緯
ア b社による本牧不動産の取得
平成19年6月20日,b社は,j社が所有する本牧不動産について,j社と共同開発することを決定し,その2分の1の共有持分をj社から購入した。
b社は,上記本牧不動産の購入に際して,みずほ銀行を主幹事とするシンジケートローン(以下「本件シンジケートローン」という。)によって28億円を借り入れ,j社は横浜銀行から借り換えをして,上記本牧不動産に各銀行の根抵当権(極度額32億円)が設定された。
その後,j社が実質破綻状態となったため,b社は,j社と共同で商業施設としての本牧不動産の再開業を進めることが不可能となり,横浜銀行の根抵当権を残したまま,平成20年10月14日,本牧不動産に対するj社の共有持分(2分の1)を買い受け,b社単独で本牧不動産を商業施設として再開業させることを決めた。
イ k社によるb社に対するファイナンス
本件シンジケートローンの返済期限は平成21年9月末日であったところ,同年5月頃に至っても,本牧不動産の商業施設としての再開業はできておらず,b社には同返済を行える資金はなかった。
被告Y1は,被告Y3に対し,本件シンジケートローンのリファイナンス(借入等による返済資金の手当て)について対応するように指示した。原告からは,当時,b社に対し,役員として被告Y1,A1,A12及びA13の4名が派遣されていたが,被告Y3は,原告の財務担当取締役として,上記のとおり被告Y1から特別の指示を受けたものであった。
被告Y3は,同年8月27日開催の原告の部門連絡会議及び取締役会において,「みずほ銀行に本件シンジケートローンの返済期限延長の要請を行ったものの,同意を得ることができなかったため,リファイナンス先として,lホールディングス(代表取締役はA14)とその関連会社(以下,lホールディングスとその関連会社を合わせて「lグループ」という。)と交渉を行っており,lグループからは,同グループと原告又はb社の共同出資により特別目的会社を設立し,当該会社において本牧不動産の取得及び開発を行うことを目的とした共同事業(以下「本件共同事業」という。)の提案を受けるとともに,貸付けの条件として,本件シンジケートローン28億円のうち,根抵当権によって担保されている価値を15億円と見積もり,担保不足となる13億円分について,b社の親会社である原告に対して,lグループに対する投資をするよう求められた。」との説明を行った。これを受けて,上記取締役会において,30億円の範囲内でlグループへの投資を被告Y1に一任する旨が決議され,この決議に基づき,原告はlグループに対して,合計28億円の投資や貸付けを実行した(弁論の全趣旨)。
同年9月28日,b社はlグループからファイナンスを受け,みずほ銀行等に対して本件シンジケートローン28億円を返済した。具体的には,lホールディングスの子会社であるk社が,みずほ銀行等から債権譲渡を受ける方式でリファイナンスを行い,本牧不動産の根抵当権もk社に移転された(以下「本件リファイナンス」という。)。
ウ 関西アーバン銀行によるb社に対するリファイナンス
その後,lグループとの本件共同事業計画は進展しなかった。本件リファイナンスの返済期限は平成22年3月であったところ,b社の代表取締役であるA6は,関西アーバン銀行との間で諸条件を交渉し,同年6月25日,関西アーバン銀行から30億円のリファイナンスを受けるに至った。具体的には,関西アーバン銀行が,横浜銀行のj社に対する債権とk社のb社に対する債権をそれぞれ15億円で買い取り,横浜銀行及びk社の本牧不動産に対する根抵当権は,いずれも関西アーバン銀行に移転された。
その後,b社は,本牧不動産を単独で事業展開することにし,内装工事を進めてテナントを入れ,同年10月22日に本牧不動産を「○○」として再開業した。
(5)  本件共同事業に関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「本件共同事業コンサルティング契約」という。)の締結と金員の支出
ア 平成21年9月初め頃,被告Y1は,被告Y3以外の取締役や監査役には知らせることなく,原告を代表して,A4が代表取締役を務めるd社,並びにA4の関連会社であるe社及びf社(以下,d社,e社及びf社を合わせて「d社ほか」と呼ぶことがある。)との間で下記の内容を含む本件共同事業コンサルティング契約を締結した(甲10ないし12)。

(ア) 業務範囲
① 原告とlグループの双方が出資した共同事業会社の設立
② 原告が希望する金融事業の計画立案
③ 原告が希望する金融事業に対するlグループによる事業支援の取付け
④ 原告が希望する金融商品のlグループによる開発及び提供
⑤ 原告が希望する原告のグループ会社に対するlグループによる支援の取付け
以下略
(イ) 対価
d社:業務委託成功報酬9000万円(税別。甲10)
e社:業務委託成功報酬5000万円(税別。甲11)
f社:業務委託成功報酬1000万円(税別。甲12)
なお,業務委託の成功とは,前記(ア)①記載の原告とlグループの双方が出資した共同事業会社の設立が対外的に公表された日を規準とし,原告とd社ほかが協議の上で決するものとする。
(ウ) 本件共同事業コンサルティング契約書記載の契約締結日は平成21年7月1日となっているが(甲10ないし12),これは日付を遡らせて作成されたものである。
イ 同年9月18日,被告Y1及び被告Y3は,本件共同事業コンサルティング契約に基づき,d社に対して9450万円(税込),e社に対して5250万円(税込),f社に対して1050万円(税込)の合計1億5750万円(税込)を原告の資金からそれぞれ支払った。
ウ 被告Y1及び被告Y3は,本件共同事業コンサルティング契約締結及びこれに基づく前記イの各支出に際して,原告において取締役会決議を行わなかった。
(6)  b社の株式譲渡に関するコンサルティング名目でのアドバイザリー業務委託契約(以下「株式譲渡アドバイザリー契約」という。)の締結と金員の支出
ア 平成22年9月14日,被告Y2は,被告Y1及び被告Y3以外の取締役や監査役には知らせることなく,原告を代表して,d社との間で,下記の内容を含む株式譲渡アドバイザリー契約(甲17。以下「株式譲渡アドバイザリー契約①」という。)を締結し,同日,原告の資金から,d社に対し着手金として1365万円(税込)を支払った。

(ア) d社によるコンサルティングの内容
① b社の財務審査,法務審査,業務審査,株式譲渡及びその禁止事項に関する助言
② 本件の譲渡先との交渉仲介
③ 本件に必要となる事務手続等に対する助言
④ 本件に必要な書面の作成等についての助言
(イ) d社の報酬
原告は,d社が前記(ア)に定めるコンサルティングに着手するに当たり,株式譲渡アドバイザリー契約①締結後5日以内に,着手金として1365万円(税込)をd社に支払うものとする。また,原告が希望するb社の株式の譲渡が実行された場合には,別途原告とd社との間で誠実に協議した上,成功報酬を原告からd社へ支払うものとする。
イ 同月28日の取締役会では,被告Y2がb社株式につき売却に向けた検討を進めている旨説明し,A3を含む出席取締役,監査役全員からその賛同を得た。
ウ 平成23年2月1日,被告Y2は,被告Y1及び被告Y3以外の取締役や監査役には知らせることなく,原告を代表して,d社及びg社との間でそれぞれ下記の内容を含む株式譲渡アドバイザリー契約(甲19,20。以下「株式譲渡アドバイザリー契約②」という。)を締結した。

(ア) d社ないしg社のアドバイザリー業務内容
① 本件の基本スキームの立案並びに本件手続・交渉の日程の作成
② 原告と対象企業の株式購入先との交渉の仲介,調整並びにその支援
③ 基本合意書,最終契約書等,本件に関連する諸契約書の内容確定及び作成
④ 本件実行に関し必要となる日本証券業協会等の関係諸機関及び関係諸官公庁に対する手続並びに必要書類の作成の支援
⑤ 本件に関する企業精査(デュー・ディリジェンス)の調整並びに支援
⑥ 本件の対外公表に関するアドバイス
⑦ 本件の最終契約書に基づく資本取引等(クロージング)に関する支援
⑧ 本件に関し必要な弁護士,公認会計士,不動産鑑定士等の専門家の選任に関する助言及び原告のための上記専門家への情報提供,指示並びに事務連絡の実行
⑨ 原告とd社ないしg社との間で随時合意する上記以外のサービス
(イ) アドバイザリー業務報酬
原告は,本件が成約し,b社の株式が事前に原告が承諾した先に譲渡された場合,d社及びg社に各5000万円(税別)を成功報酬として支払う。
エ 原告は,同月28日,保有していたb社株式49万株を1株あたり355円(前日の終値)の代金1億7395万円でm社に対して譲渡し,同様に,同年3月30日,b社株式46万株を1株あたり285円(前日の終値)の代金1億3110万円でn社に対して譲渡した。
同年2月28日,被告らは,d社及びg社に対し,株式譲渡アドバイザリー契約②に基づく報酬として,5250万円(税込)ずつ,合計1億0500万円(税込)を原告の資金から支払った。
オ 被告らは,株式譲渡アドバイザリー契約①及び②の締結並びに各契約に基づく前記ア及びエの支出に際して,原告において取締役会決議を行わなかった。
(7)  店舗用複合機の導入に関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「複合機導入コンサルティング契約」という。)の締結と金員の支出
ア 被告Y2は,原告を代表して,g1社との間で下記の内容を含む複合機導入コンサルティング契約を締結した(甲25)。

(ア) g1社が行う業務
原告における店舗用複合機(コピー・FAX・プリンター・スキャナーの複合機)の導入に係る以下の助言及び必要に応じた事務手続その他の業務
① 店舗用複合機の導入に必要な資料の提供
② 店舗用複合機の導入における価格その他取引条件の交渉等
(イ) コンサルタント料
成功報酬として,店舗用複合機の導入にかかる月額費用につき,業務遂行に伴いコストの削減に成功した場合,当該削減額の2か月分に相当する金員を支払う。
なお,平成22年11月5日付け「コンサルティング費用についての合意書」(甲26)において,コンサルタント料は2625万円(税込)と合意された。
(ウ) 複合機導入コンサルティング契約書記載の契約締結日は平成22年8月18日となっているが(甲25),印章押印依頼書記載の印章押印実行日は平成23年2月5日となっており(甲27),契約書は日付を遡らせて作成されたものである。
イ 平成22年11月25日,被告Y2は,複合機導入コンサルティング契約に基づき,g1社に対して2625万円(税込)を原告の資金から支払った。
ウ なお,被告Y2は,前記イの支出に際して,原告において稟議手続を行わなかった。
(8)  車両の調達及び維持管理に関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「車両調達等コンサルティング契約」という。)の締結と金員の支出
ア 被告Y2は,原告を代表して,e社との間で下記の内容を含む車両調達等コンサルティング契約を締結した(甲33)。

(ア) e社が行う業務
原告における車両(自動車・リフト等)の調達及び維持管理に係る以下の助言及び必要に応じた事務手続その他の業務
① 効率的な車両の調達及び維持管理に必要な資料の提供
② 効率的な車両の調達及び維持管理のための価格その他取引条件の交渉等
(イ) コンサルタント料
成功報酬として,車両にかかる月額費用につき,業務遂行に伴いコストの削減に成功した場合,当該削減額の2か月分に相当する金員を支払う。
なお,平成22年11月1日付け「コンサルティング費用についての合意書」(甲34)において,コンサルタント料は3076万5000円(税込)と合意された。
(ウ) 車両調達等コンサルティング契約書記載の契約締結日は平成22年8月23日となっているが(甲33),印章押印依頼書記載の印章押印実行日は平成23年2月5日となっており(甲27),契約書は日付を遡らせて作成されたものである。
イ 平成22年11月25日,被告Y2は,車両調達等コンサルティング契約に基づき,e社に対して3070万円(税込)を原告の資金から支払った。
ウ なお,被告Y2は,前記イの支出に際して,原告において稟議手続を行わなかった。
(9)  金融商品仲介業に関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「金融商品仲介業コンサルティング契約」という。)の締結と金員の支出
ア 原告は,平成22年7月28日開催の取締役会において,金融商品部を設置する組織変更を決議するとともに,金融商品仲介業登録申請を行うために必要となる規程の整備を行う旨決議した。さらに,同年8月末頃に,原告は,東海財務局長に金融商品仲介業登録の申請を行い,同年11月初めに,東海財務局長より金融商品仲介業者登録が完了した旨の通知を受けた。(以上,弁論の全趣旨)
イ 被告Y2は,原告を代表して,d社との間で下記の内容を含む金融商品仲介業コンサルティング契約を締結した。

(ア) d社が行う業務
原告において金融商品仲介業(金融商品取引業者との業務委託契約により,上場株式及び投資信託並びに債権等の有価証券の売買を媒介する行為)を開業するにあたり,必要となる手続き及び社内体制の構築等に関して,以下の助言及び必要に応じた事務手続その他の業務を提供する。
① 金融商品仲介業の開業に必要な資料の提供及び社内体制構築等の助言等
② 所属金融商品取引業者の選定及び取引条件の交渉等
③ 金融商品仲介業の登録手続き及び外務員の育成に係る手配等
(イ) コンサルタント料
2200万円(税別)
(ウ) 金融商品仲介業コンサルティング契約書記載の契約締結日は平成22年11月22日となっているが(甲35),印章押印依頼書記載の印章押印実行日は平成23年2月5日となっており(甲27),契約書は日付を遡らせて作成されたものである。
ウ 平成22年11月25日,被告Y2は,金融商品仲介業コンサルティング契約に基づき,d社に対して2310万円(税込)を原告の資金から支払った(甲28,弁論の全趣旨)。
エ なお,被告Y2は,前記ウの支出に際して,原告において稟議手続を行わなかった。
(10)  東北関東大震災(以下「本件震災」という。)の被害の対応に関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「本件震災対応コンサルティング契約」という。)及びニンテンドー3DS大量仕入れに関するコンサルティング名目での業務委託契約(以下「ニンテンドー3DSコンサルティング契約」という。)の締結と各金員の支出
ア A5は,前記(6)エのとおり,m社がb社株式を取得した後,A4に対して,その株式購入に関するあっせん報酬として3000万円を要求した。また,A5はA4に対し,「この支払については,直接原告から報酬をもらうことは避けたい」とも要望していた。
これを受けて,A4はかかるA5の要望を被告Y2に伝えたところ,被告Y2は,平成23年3月頃,原告からA4を介して,A5に対し3000万円を支払うよう,原告総務本部長であったA15に指示した。
A15は,かかる指示を受けてA4と相談し,当時原告内で検討されていた事項であり,仮装のコンサルティング契約の名目として使っても不自然ではないものとして,本件震災への対応とニンテンドー3DSの仕入れを選んだ。そして,助言等の実体は全くないにもかかわらず,原告から,これらのコンサルティング料の名目で合計3150万円(税込)を支払うこととした。
イ 前記アの経緯に基づき,被告Y2は,原告を代表して,h社との間で下記の内容を含む本件震災対応コンサルティング契約を締結した。

(ア) h社が行う業務
本件震災による原告及び原告子会社の被害等(以下「本件被害」という。)の対応等。具体的には
① 本件被害の収束に至るまでの適切な対応等に係る助言及び指導
② ①に係る事務局の立ち上げ及び運営等に係る一切の業務
③ 本件震災に類する大規模災害発生時に備えた社内体制構築に係る助言等
④ ③に付随するマニュアル等の整備に係る助言及び指導
(イ) コンサルタント料
1000万円(税別)
ウ また,前記イと同様に,被告Y2は,原告を代表して,i社との間で下記の内容を含むニンテンドー3DSコンサルティング契約を締結した。

(ア) i社が行う業務
原告における店舗にて取り扱う商材のうち,ニンテンドー3DSの大量仕入れに係る以下の助言及び必要に応じた事務手続その他の業務
① ニンテンドー3DS仕入れに係る窓口担当者に係る情報の提供及び紹介等
② ニンテンドー3DS仕入れにおける価格・数量その他の取引条件の交渉等
③ ②の交渉結果に基づく契約の締結業務等
④ ②の交渉等に係るノウハウ等の助言及び指導等
(イ) コンサルタント料
2000万円(税別)
エ 本件震災対応コンサルティング契約書(甲37,41)記載の契約締結日は平成23年4月27日(甲37),ニンテンドー3DSコンサルティング契約書記載の契約締結日は同年4月11日となっているが(甲41),前記各コンサルティング契約に関する印章押印依頼書記載の印章押印実行日は同年9月7日となっており(甲38),これらの契約書は日付を遡らせて作成されたものである。
オ 同年4月28日,被告Y2は,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約に基づき,h社に対して1050万円(税込),i社に対して2100万円(税込)を原告の資金からそれぞれ支払った。
カ なお,被告Y2は,前記オの各支出に際して,原告において稟議手続を行わなかった。
(11)  原告と被告ら補助参加人との間のアドバイザリー・サービス委託契約(以下「株主総会アドバイザリー契約」という。)締結に至る経緯
ア 平成23年7月27日,A3が,原告の株主として,①社外取締役5名の選任,②取締役の任期を2年から1年に短縮する定款一部変更を議案とする臨時株主総会の招集を請求した(甲109)。これを受けて,同年8月19日開催の原告取締役会において,上記臨時株主総会を同年10月13日に開催すること等が決定された(甲59)。
イ 同年8月22日,被告らは,原告を代表して,被告ら補助参加人との間で下記の内容を含む株主総会アドバイザリー契約を締結した(甲44)。

(ア) 被告ら補助参加人のアドバイザリー業務内容
平成23年8月8日に原告の取締役会において決議された原告の臨時株主総会を検討及び実施することに関する助言及びそれに関連するサービス
(イ) アドバイザリー報酬
3000万円(税別)
ウ 同月31日,被告らは,株主総会アドバイザリー契約に基づき,被告ら補助参加人に対して3150万円(税込)を原告の資金から支払った。
エ なお,被告らは,株主総会アドバイザリー契約締結及びこれに基づく前記ウの支出に際して,原告において取締役会決議を行わなかった。
(12)  原告と電通国際情報サービスとの間の情報提供サービス利用契約(以下「サービス利用契約」という。)締結に至る経緯
ア 平成23年9月9日,被告らは,原告を代表して,特定の者だけがアクセス権限を有するインターネットを介した情報提供サービスを提供する事業者である電通国際情報サービスとの間で,サービス利用契約を締結した。そして,被告らは,被告ら補助参加人に対し,上記情報提供サービスを通じて,原告の企業価値を算定するのに必要な情報を提供した(甲48,弁論の全趣旨)。
イ 被告Y1及び被告Y2が代表取締役を退任した後,原告は,サービス利用契約に基づき,電通国際情報サービスに対して,利用料金として,同年11月30日に147万円(税込),平成24年1月31日に241万5000円(税込)をそれぞれ支払った。
ウ なお,被告らは,サービス利用契約締結に際して,原告において取締役会決議を行わなかった。
3  争点
(1)  本件共同事業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(2)  株式譲渡アドバイザリー契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(3)  複合機導入コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(4)  車両調達等コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(5)  金融商品仲介業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(6)  本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(7)  株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか
(8)  原告の損害及び被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害との間の因果関係の有無
4  当事者の主張
(1)  争点(1)(本件共同事業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 法令違反(取締役会決議の欠缺)
原告とd社ほかとの間の本件共同事業コンサルティング契約の締結は,1億5750万円(税込)もの多額の支払の原因となるものであり,会社法362条4項の規定する「重要な業務執行」に該当し,同規定を具体化した原告の職務権限基準表においても,「1件1億円以上の債務負担の決定」ないし「月額50万円以上の顧問・コンサルティング契約」として取締役会決議事項とされていた。しかし,被告Y1及び被告Y3は,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,敢えて総額1億5750万円(税込)の支出を3本に分割し,取締役会決議が不要な1件1億円未満の案件として処理し,取締役会決議を行わなかったのであり,取締役としての善管注意義務に違反した(会社法355条,362条4項)。
(イ) 本件共同事業コンサルティング契約締結等の必要性の不存在
そもそも,みずほ銀行をはじめとする本件シンジケートローン参加行において,b社に対する早期返済を強硬に主張していたとの事実はなく,リファイナンス自体が不可避であったとはいえないし,仮にリファイナンスの必要があったとしても,原告が直接b社に貸付けを行うなどの方法もあったのであり,k社への金利及び手数料の支払並びにA4への多額の報酬の支払を強いてまで原告が表に出ることを避け,lグループへの投資を介して融資を行うという迂遠な方法をとる必要性はなかった。なお,原告がb社に対して直接融資を行うことができなかったとの事情も存しない。
また,k社によるb社への貸付金28億円は実質的に原告が負担していることに加え,k社が本牧不動産の根抵当権の全部を取得していることからすれば,k社は実質的に全くリスクをとっていないのであって,このような好条件であれば,lグループでなくてもリファイナンスに応じる相手はいくらでもいたのである。
(ウ) 業務提供の実体の不存在
原告とd社ほかとの間の本件共同事業コンサルティング契約は,A4に対してコンサルティング料名目の金員を支払うための仮装の契約であり,d社ほかが何らかの役務を提供したわけではない。すなわち,k社及び関西アーバン銀行は,自らリスクを判断し,かつ保全措置を用意してb社に対し融資を実行したのであり,法務やファイナンス実務の経験のないA4の言動がかかる融資の実行の成否に影響を与えたはずがなく,A4が本件リファイナンスに関し,何らかの具体的な成果をもたらす役務を提供した事実はなかった。
(エ) 報酬金額の過大性
実務上,28億円のリファイナンスをなしえたことについての対価が1億5750万円というのはあり得ない高額報酬であって,不合理な支出としか評価できない。
(オ) 小括
以上のとおり,被告Y1及び被告Y3が,A4ないしA4の支配する会社に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。
イ 被告Y1及び被告Y3の主張
被告Y1及び被告Y3が行った,原告からd社ほかへの各支出行為は適正であり,被告Y1及び被告Y3において何ら損害賠償責任を負ういわれはない。
(ア) 法令違反(取締役会決議の欠缺)について
d社に加えて,他の2社との契約を求めたのはあくまでA4の側であって,被告Y1及び被告Y3においては,A4への報酬の支払先について何ら関与するものではなかったのであるから,被告Y1及び被告Y3において,原告の職務権限基準表による社内手続規制を免れようとの意図のもと,本件共同事業コンサルティング契約を3本に分けて締結したという事情は全くない。なお,原告の職務権限基準表については,原告がM&Aを繰り返して急激に業容を拡大した新興企業ということもあって,必ずしも厳格に運用されてはいなかったところ,被告Y1及び被告Y3において,本件共同事業コンサルティング契約締結に当たって,取締役会の承認が必要であるとの認識は全くなかった。
(イ) 本件共同事業コンサルティング契約締結の必要性及びA4による業務提供の実体の存在
コンサルティング業務を主たる業務とするd社の代表取締役であり,原告の顧問と称するようになっていたA4は,b社における本件シンジケートローン返済に関する問題の概略を把握していたところ,担当責任者である被告Y3に対しその解決策の提案をするようになり,被告Y3は,当然のことながらA4からの提案についても原告の部門連絡会議や取締役会で説明を行っていた。被告Y3は,本件シンジケートローン返済に向けて,横浜銀行の担当者に対し,債権一部放棄の申入れを行っていたが,断られるなど交渉が全く進展しない中,A4よりlグループの紹介を受け,本件シンジケートローンの返済期限である平成21年9月末までという限られた時間の中で,相当密にA4及びlグループとの打合せを実施していた。なお,週に2~3回程度のA4との打合せの際には,d社及びe社の担当者も同行していた。そして,平成21年8月28日,原告とlホールディングスとの間で基本合意の締結に至り,包括業務提携が実現でき,かつ本件リファイナンスが実行される旨の合意がなされたことから,同年9月初め頃,A4との間で成功報酬についての協議を行い,d社ほかとの間で本件共同事業コンサルティング契約を締結し,同月18日,d社ほかに対する合計1億5750万円(税込)の報酬支払がなされたのである。
また,同月末に本件リファイナンスが完了した後も,被告Y3は,安定的な長期の借入先を模索しており,A4も引き続き積極的に長期借入先のあっせんに当たっており,新たに損害保険会社,証券会社,中国系も含めた各種ファンド等に対し,b社に係る様々な投資,買収等の提案をもたらしていた。被告Y3は,平成22年春頃,A4が本件に関し知己を得た税理士のA5を通して,さらなるリファイナンス先として関西アーバン銀行を紹介され,被告Y3らにて,関西アーバン銀行担当者と面談したところ,同銀行がb社への融資について積極的な姿勢であることが確認され,諸条件については,A5が原告の窓口となって関西アーバン銀行と調整していくことになった。その結果,同年6月25日,関西アーバン銀行から,合計30億円の融資を受けられることになったものである。
以上のとおり,A4は自己の人脈を駆使しながら本件リファイナンスに尽力したのであり,A4による実際の役務の提供が不存在であるとの原告の主張は,ファイナンスにおける交渉・アドバイザリー業務を全否定するに等しく,暴論である。
(ウ) 報酬金額の相当性
被告Y1及び被告Y3としては,b社が破綻懸念先に陥る以前の本件シンジケートローンの手数料が7000万円(税別)であったことからして,破綻懸念先に陥った後のb社へのファイナンスアレンジメントフィーをその倍額の1億5000万円(税別)とすることは妥当な水準にあると判断したものである。
(2)  争点(2)(株式譲渡アドバイザリー契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 法令違反(取締役会決議の欠缺)
原告とd社及びg社との間の株式譲渡アドバイザリー契約の締結は,1億1865万円(税込)もの多額の支払の原因となるものであり,会社法362条4項の規定する「重要な業務執行」に該当し,同規定を具体化した原告の職務権限基準表においても取締役会決議事項とされていた。しかし,被告らは,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,敢えて総額1億1865万円(税込)の支出を2社への支払に分割し,取締役会決議が不要な1件1億円未満の案件として処理し,取締役会決議を行わなかったのであり,取締役としての善管注意義務に違反した(会社法355条,362条4項)。
(イ) 株式譲渡アドバイザリー契約締結等の必要性の不存在
そもそも,本牧不動産の減損が必然ではなかったこと,株式譲渡先による原告の融資肩代わりは受けられないにもかかわらず,原告がb社に対し36億円を貸し付けてその経営を軌道に乗せた直後に,単に時価でb社株式が売却されたことを考え合わせると,原告には特にメリットがなく,原告がかかるb社株式譲渡を行う必要性は全くなかった。
(ウ) 業務提供の実体の不存在
株式譲渡アドバイザリー契約は,A4に対してコンサルティング料名目の金員を支払うための仮装の契約であり,d社及びg社が何らかの役務を提供したわけではない。被告らもA4からの指示で支払先を分割しただけであると述べ,個々の会社に独立の作業実態が存在しなかったことを認めており,上記各契約は虚偽契約というべきものである。
また,A4が紹介したとされる株式譲渡先はm社及びn社という出自不明の会社であり,特に信用のある譲渡先を開拓したとはいえない上,m社及びn社は上場株式を購入する以上,自らリスクを判断して購入を実行しているのであり,A4の言動が株式譲渡の実行の成否に影響を与えたはずがなく,A4がb社の株式譲渡に関し,何らかの具体的成果をもたらす役務を提供した事実はなかった。
(エ) 報酬金額の過大性
仮にA4がb社の株式譲渡のために何らかの関与をしていたとしても,その対価が1億1865万円(株式売却合計金額の38%超)というのは,M&Aアドバイザリーの一般的な報酬相場が取引金額の1~5%であることに鑑みれば,あまりに高額であり,不合理な支出としか評価できない。
(オ) 小括
以上のとおり,被告らが,A4ないしA4の支配する会社に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。
イ 被告らの主張
(ア) 法令違反(取締役会決議の欠缺)について
d社に加えて,g社との契約を求めたのはあくまでA4の側であって,被告らにおいては,A4への報酬の支払先について何ら関与するものではなかったのであるから,被告らにおいて原告の社内手続規制を免れようとの意図のもと,株式譲渡アドバイザリー契約を複数に分けて締結したという事情は全くない。なお,原告の職務権限基準表については,原告がM&Aを繰り返して急激に業容を拡大した新興企業ということもあって,必ずしも厳格に運用されてはいなかったところ,被告らにおいて各株式譲渡アドバイザリー契約締結において,取締役会の承認が必要であるとの認識は全くなかった。
(イ) 株式譲渡アドバイザリー契約締結の必要性及びA4による業務提供の実体の存在
関西アーバン銀行以外の協力金融機関が現れず,b社は,ブリッジファイナンスであるk社への残債の返済に苦慮していたところ,A4を介して,A5から,b社のM&Aに興味がある旨の意向が示され,平成22年8月以降,原告の取締役会等の場において,その旨が協議されていた。その後,b社のM&Aについては成就する可能性が高いとの判断のもと,同年9月14日,被告Y1及び被告Y2らの了解を得て,原告はA4の関連会社であるd社との間で株式譲渡アドバイザリー契約①を締結し,着手金1365万円(税込)を支払った。なお,この頃,原告経理部において,b社における本牧不動産の減損額についての試算を行ったところ,30億円を超える減損が発生する可能性が指摘されており,原告においては,b社の原告からの切り離しが急務であるとの認識になっていた。
平成23年1月頃,A5が,M&A候補先企業であるo社の窓口を務めていたところ,かかるA5から原告の窓口であるA4を介して,「b社株式の取得につき,一度にTOBで過半を取得するよりも,まずは,ブロックトレード(市場外で行われる相対の大口取引)できる範囲内で取得しておき,その事業性・事業レバレッジを見極めたうえで,その後の投資判断を検討したい。」旨の申し出がなされた。さらに,A4よりその他の候補先数社の紹介を受け,このうちp社(A5税理士顧問先)が名乗りを上げてきたが,名古屋証券取引所に確認したところ,「同一性の事業投資会社2社によるブロックトレードは認め難い。事業投資会社と純投資先であれば問題はない。」との見解が示され,A4においてさらに候補先に当たることになった。M&A先企業が2社になるということで,同年2月1日,被告Y1及び被告Y2らの了解のもと,従前のd社に加えて,A4の関連会社であるg社との間で成功報酬を各5000万円(税別)とする株式譲渡アドバイザリー契約②を締結し,同月28日,d社及びg社に対し,成功報酬として各5250万円(税込)の支払を行ったものである。
以上のとおり,A4は自己の人脈を駆使しながらb社の株式譲渡に尽力したのであり,A4による実際の役務の提供が不存在であるとの原告の主張は,M&Aにおける交渉・アドバイザリー業務を全否定するに等しく,暴論である。
(3)  争点(3)(複合機導入コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 複合機導入コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の不存在
被告Y1及び被告Y2は,A4から8000万円もの不当な金銭的要求を受け,同氏に対して4000万円程度を支払うために,g1社との間で複合機導入コンサルティング契約という架空の取引を作出して,A4に資金を流出させたものである。そして,g1社が複合機導入の助言義務等を実施した事実はない。
また,店舗用複合機の取引については,以前から原告とのつきあいが深かったリコーが原告グループに好条件での営業をかけてきたため,これに応じる形で同社との契約を締結したものであり,A4が交渉等を行った結果としてコスト削減が実現したわけではないし,そもそも店舗用複合機の選択に当たって必要なシステムに関する専門知識をA4が有していたとは認められないから,A4によるコンサルティングの実体も存在しない。
したがって,複合機導入コンサルティング契約に基づく金員の支出は原告にとって全く必要性のないものであり,原告の取締役であった被告Y1及び被告Y2がかかる支出を行うことはそもそも許されない。
(イ) 内規違反(稟議手続の欠缺)
原告の職務権限基準表によれば,複合機導入コンサルティング契約に基づく2625万円(税込)の支出には稟議を要することとなっていた。しかし,被告Y1及び被告Y2は,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,稟議手続を行わなかった。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告Y1及び被告Y2が,A4ないしA4の支配する会社に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。なお,被告Y1とA4との関係性に鑑みれば,被告Y1が上記支出について何も知らず,関与もしていないということはおよそ考えられない。
イ 被告Y1及び被告Y2の主張
(ア) 被告Y1について
そもそも被告Y1は,複合機導入コンサルティング契約締結及び同契約に基づく金員支出に全く関与していないから,何ら損害賠償責任を負わない。
(イ) 複合機導入コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の存在
原告が当時営業していた800店ほどの各店舗には必ず複合機が備え付けられていたが,必ずしも大口ユーザーであることによる経済削減効果を得られていない状況であったところ,平成22年7月上旬頃,複合機の切り替えに当たって,原告の営業店舗全店の複合機を一斉に入れ替えることで相当額のコスト削減効果が見込める状況であった。そこで,当時,原告の顧問であったA4からコンサルティング契約書記載の①店舗用複合機導入に必要な資料の提供及び②店舗用複合機の導入における価格その他取引条件の交渉等を受けることで,そのコスト削減効果を最大限にしようとしたものである。具体的には,東京に在住するA4と原告本社担当者との間で,電話や,当時池袋にあった原告東京オフィスの応接室での面談,各メーカーから提出された資料のファックス送信等を通じてやりとりをしていた。国内最大手の富士ゼロックス,キャノン,リコーの3社を競わせた結果,リコーが最もコスト削減効果の大きい提案を行ってきたので,原告は,A4のコンサルティングを受けながら,リコーとの契約リスクを見極めつつ調整を進め,同年11月中旬には,A4のコンサルティングを受けながら,リコーとの間で契約条件の最終的な調整を行い,リコーとの契約締結に至っている。本件複合機導入に係るA4の提案によるコスト削減効果は,1億円強と見積もられたことから,同年11月5日頃,原告は,g1社との間で,支払うべき具体的なコンサルティング料2か月分相当として2625万円(税込)と合意し,同月25日に同額のコンサルティング料を支払ったものである。
なお,複合機導入コンサルティング契約の当事者をA4の関連会社であるg1社にすることを求めたのはあくまでもA4の側であって,被告Y2においては,d社と同様にA4が支配している企業群に属する会社への支払との認識であり,A4に係る報酬の支払先につき何ら関与するものではなかった。
(ウ) 内規違反(稟議手続の欠缺)等について
契約書及び合意書等への原告の押印が遅れた点については,当時,原告において,急激に成長した企業ということで十分な文書管理がなされておらず,押印の申請が遅れるということはしばしばあったところ,特に本件においては,契約の相手方が,原告の顧問であったA4の関連会社という事情もあり,契約書の原案までは作成していたものの,その押印が後回しになってしまったものである。
また,稟議書の作成漏れの点についても,上記契約書への押印漏れと同様,稟議書による管理という点でも必ずしも十分な体制となっておらず,単に漏れてしまったものである。
(4)  争点(4)(車両調達等コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 車両調達等コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の不存在
前記(3)アのとおり,被告Y1及び被告Y2らは,A4からの不当な金銭要求に応じて4000万円程度を支払うこととしたところ,前記複合機導入コンサルティング契約の報酬として支払った2500万円(税別)を差し引いた,残りの1500万円(税別)の支払をするために,e社との間で車両調達等コンサルティング契約を締結し,1500万円(税別)を水増ししてe社へ支払うこととした。このように,車両調達等コンサルティング契約に基づく報酬のうち,1500万円(税別)分は,架空の取引を作出して原告の資金をA4に流出させたものであるし,これを差し引いた残りの1430万円(税別)分についても,e社が車両の調達及び維持管理に関する助言業務を実施した事実はない。また,原告がリバースオークションの取扱いを依頼したq社は,原告の顧問であるA16がA15に紹介し,A15が社内の流通部に提案を行ったのであり,その後のq社との交渉も原告の担当者が直接行っていたものであるから,A4は車両調達に何ら関与していない。さらに,実際の経費削減効果は,車両107台について4986万2743円,q社への報酬額は,上記削減額の3割に相当する1495万0882円であるところ,車両調達の実務を行ったq社に対する報酬が1500万円に満たないにもかかわらず,何らの貢献もしていないA4が3070万円(税込)もの高額の報酬の支払を受ける理由はどこにもない。
したがって,車両調達等コンサルティング契約に基づく金員の支出は原告にとって全く必要性のないものであり,原告の取締役であった被告Y1及び被告Y2がかかる支出を行うことはそもそも許されない。
(イ) 内規違反(稟議手続の欠缺)
原告の職務権限基準表によれば,車両調達等コンサルティング契約に基づく3070万円(税込)の支出には稟議を要することとなっていた。しかし,被告Y1及び被告Y2は,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,稟議手続を行わなかった。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告Y1及び被告Y2が,A4ないしA4の支配する会社に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。なお,被告Y1とA4との関係性に鑑みれば,被告Y1が上記支出について何も知らず,関与もしていないということはおよそ考えられない。
イ 被告Y1及び被告Y2の主張
(ア) 被告Y1について
被告Y1は,車両調達等コンサルティング契約締結及び同契約に基づく金員支出に全く関与していないから,何ら損害賠償責任を負わない。
(イ) 車両調達等コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の存在
原告は,営業用車両のリース契約について見直すことで相当額のコスト削減効果が見込める状況であったことから,当時原告の顧問であり,以前から営業用車両に関してのアドバイスを受けていたA4から,コンサルティング契約書記載の①効率的な車両の調達及び維持管理に必要な資料の提供並びに②効率的な車両の調達及び維持管理のための価格その他取引条件の交渉等の役務の提供を受けることで,そのコスト削減効果を最大限にしようとしたものである。すなわち,原告において,平成22年10月以降,1年間の間にリース契約が終了する100台分の車両入れ替え契約についてコスト削減を図るということで,A4のコンサルティングを受けつつ,q社のリバースオークションを利用し手続を進めることとなった。そして,本件の担当者であるA15は,A4と主に電話でやりとりをし,毎月2~3回所用により上京する都度,原告東京事務所でA4と打合せを行い,A4から様々な助言を得た。
かかるリバースオークションを利用して一括での契約を進めるということで,平成22年10月以降,1年間の間にリース契約が終了する100台分についてだけでも約1億4000万円程度の経費削減効果が得られることとなり,残りの300台についてもこのときのリバースオークションを利用してのやりとりを通じて交渉のノウハウを得ることができたことから,リバースオークションを利用することなく,同水準以上の経費削減効果を得られる契約に順次切り替えていっている。原告とA4との間では,e社の報酬につき,経費削減効果の2か月分ということで合意していたところ,平成22年11月1日頃,当初400台全ての切り替えを予定しての報酬を想定していたという事情も加味して,3076万5000円(税込)と合意し,同月25日に同額を支払った。ちなみに,リバースオークションを取り扱ったq社へは,経費削減効果の35%ということで,報酬として5000万円程度を支払っている。
なお,車両調達等コンサルティング契約の当事者をA4の関連会社であるe社にすることを求めたのはあくまでもA4の側であって,被告Y2においては,d社と同様にA4が支配している企業群に属する会社への支払との認識であり,A4に係る報酬の支払先につき何ら関与するものではなかった。また,e社への支払は,あくまでA4が支配している企業群に属する会社への支払というもので,e社による役務提供の有無に左右されるものではない。
(ウ) 内規違反(稟議手続の欠缺)等について
契約書及び合意書等への原告の押印が遅れた点については,当時,原告において,急激に成長した企業ということで十分な文書管理がなされておらず,押印の申請が遅れるということはしばしばあったところ,特に本件においては,契約の相手方が,原告の顧問であったA4の関連会社という事情もあり,契約書の原案までは作成していたものの,その押印が後回しになってしまったものである。
さらに,稟議書の作成漏れの点についても,上記契約書への押印漏れと同様,稟議書による管理という点でも必ずしも十分な体制となっておらず,単に漏れてしまったものである。
(5)  争点(5)(金融商品仲介業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 金融商品仲介業コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の不存在
原告とd社との間の金融商品仲介業コンサルティング契約に基づくコンサルタント料2200万円(税別)のうち,少なくとも1000万円(税別)分は,前記2(4)ウの関西銀行によるファイナンスに関するA5への支払であったが,原告とA5との間では何らの合意も存在せず,原告がA5に対する支払をしなければならない法的根拠は全く存在しない。また,残りの1200万円(税別)分についても,金融商品仲介業開業のための申請書類等は,原告の金融商品部部長の職を兼務していたA17が,証券会社勤務経験があり二種外務員資格を有している部下従業員に作成させており,A4が助言を与えたり,何らかの具体的成果をもたらす役務を提供したりした事実はない。
したがって,金融商品仲介業コンサルティング契約に基づく金員の支出は原告にとって全く必要性のないものであり,原告の取締役であった被告Y1及び被告Y2がかかる支出を行うことはそもそも許されない。
(イ) 内規違反(稟議手続の欠缺)
原告の職務権限基準表によれば,金融商品仲介業コンサルティング契約に基づく2310万円(税込)の支出には稟議を要することとなっていた。しかし,被告Y1及び被告Y2は,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,稟議手続を行わなかった。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告Y1及び被告Y2が,A4及びA5並びに同人らの支配する会社に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。なお,被告Y1は,前記2(4)のb社のリファイナンスに深く関わったものであるし,同人とA4との関係性に鑑みれば,被告Y1が上記各支出について何も知らず,関与もしていないということはおよそ考えられない。
イ 被告Y1及び被告Y2の主張
(ア) 被告Y1について
被告Y1は,金融商品仲介業コンサルティング契約締結及び同契約に基づく金員支出の手続に全く関与していないから,何ら損害賠償責任を負わない。
(イ) 金融商品仲介業コンサルティング契約締結の必要性及び業務提供の実体の存在
原告においては,800店余りの店舗網及びアクセス数の多い原告ウェブサイトを利用して多角的な収益源を確保するため,lグループと提携して,金融商品の仲介業を行うことを検討していたところ,当時原告の顧問であったA4から,原告において金融商品仲介業を開業するに当たり,必要となる手続及び社内体制の構築等に関し,コンサルティング契約書①ないし③記載のコンサルティングを受けることで,その円滑な導入を図ろうとしたものである。原告は,A4の助言に基づき,A17による二種外務員資格の取得,金融商品部の設置などの組織変更,金融商品仲介業登録申請を行うために必要となる規程の整備及び同申請等を行ったのであり,A4はかかる原告社内における体制整備に関する助言に加えて,提携先であるlグループとの交渉も行っており,具体的な成果をもたらす役務が提供された。
(ウ) 内規違反(稟議手続の欠缺)等について
契約書及び合意書等への原告の押印が遅れた点については,当時,原告において,急激に成長した企業ということで十分な文書管理がなされておらず,押印の申請が遅れるということはしばしばあったところ,特に本件においては,契約の相手方が,原告の顧問であったA4の関連会社という事情もあり,その押印が後回しになってしまったものである。
また,稟議書の作成漏れの点についても,上記契約書への押印漏れと同様,稟議書による管理という点でも必ずしも十分な体制となっておらず,単に漏れてしまったものである。
(6)  争点(6)(本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約締結の必要性並びに業務提供の実体の不存在
本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約は,A5へ3000万円を支払うために仮装された契約であり,上記各契約に基づく役務の提供は全く存しない。また,そもそも原告とA5との間には何らの合意も存在せず,原告がA5に対する支払をしなければならない法的根拠も全く存しない。
したがって,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約に基づく金員の支出は原告にとって全く必要性のないものであり,原告の取締役であった被告Y1及び被告Y2がかかる支出を行うことはそもそも許されない。
(イ) 内規違反(稟議手続の欠缺)
原告の職務権限基準表によれば,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約に基づく3150万円(税込)の支出には稟議を要することとなっていた。しかし,被告Y1及び被告Y2は,原告において必要であったかかる社内統制手続を全く無視して,稟議手続を行わなかった。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告Y1及び被告Y2が,A5に金銭を支払うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。なお,被告Y1は,前記2(6)のb社の株式譲渡に深く関わったものであるし,同人とA4との関係性に鑑みれば,被告Y1が上記各支出手続について何も知らず,関与もしていないということはおよそ考えられない。
イ 被告Y1及び被告Y2の主張
(ア) 被告Y1について
被告Y1は,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約締結並びにこれらの契約に基づく金員支出の手続に全く関与していないから,何ら損害賠償責任を負わない。
(イ) 本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約締結の必要性
前記(2)イのとおり,原告にとって懸案であったb社の株式譲渡に成功したのは,原告が株式譲渡アドバイザリー契約を締結していたA4と,o社の窓口となっていたA5との間の調整によるところが大きかったものである。被告Y2としては,本来であれば,A5は,自らが窓口を務めているo社等から報酬をもらうべきものと考えたが,A4から多岐にわたるアドバイスを受けており,A5に対するA4の立場も慮って,やむを得ず,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約に基づくコンサルティング料という名目で,b社株式譲渡に関するA5への報酬を支払うことにしたのである。
(7)  争点(7)(株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
ア 原告の主張
(ア) 株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約締結目的の不当性等
取締役が自己の会社支配権を維持するために買収防衛策等をとることは,会社及び株主の利益を害する危険があり,取締役の善管注意義務違反ないし誠実義務違反を構成しうるものである。そして,本件において,被告らがA3の請求した臨時株主総会における議案の成立を妨害し,明らかになりつつあった被告らの不正行為の隠蔽を図り,A3からの責任追及を免れようとする目的,すなわち自己保身のために株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約を締結し,これに基づく支出を行ったことは明白である。
また,株主総会アドバイザリー契約において提供される業務内容である「臨時株主総会を検討及び実施することに関する助言及びそれに関連するサービスの提供」という名目は全くの虚偽であり,被告らは,被告ら補助参加人と共謀し,上記買収計画の一環として,サービス利用契約を締結し,特定の者だけがアクセス権限を有するインターネットを介した情報提供サービスを通じて,原告の企業価値を算定するのに必要な原告に関する大量の機密情報を,被告ら補助参加人,原告の買収を検討した企業,法律事務所及び会計事務所に提供した。かかる機密情報の提供が臨時株主総会にかかる助言及びそれに関連するサービスの提供とは全く関係のないことは明らかであり,被告ら補助参加人との上記契約に基づいて実際に提供された役務は存在しない。
以上のとおり,株主総会アドバイザリー契約に基づく金員の支出は対価性のないものであるから,原告の取締役であった被告らがそのような支出を行うことはそもそも許されず,また,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約は,被告らの自己保身のために,原告を第三者に買収させる検討を行うことを目的とする契約であり,そのような目的で原告の財産を費消することは許されず,かかる被告らの行為が善管注意義務違反を構成することは明らかである。
(イ) 法令違反(取締役会決議の欠缺)
仮に上記各契約の締結が,正当な業務執行の目的に基づくものであったとしても,原告の買収に関わる企画である以上,会社法362条4項に規定する「重要な業務執行」に該当し,原告の取締役会で決議する必要があり,「重要な業務執行」を具体化した原告の職務権限基準表においても,取締役会決議事項とされていた。しかし,被告らは「臨時株主総会を検討及び実施することに関する助言及びそれに関連するサービスの提供」にかかるアドバイザリー・サービス委託契約(株主総会アドバイザリー契約)の締結という全く虚偽の内容の稟議を被告Y1及び被告Y2限りで行い,他の取締役への通知や連絡は一切無く,取締役会決議も行われなかった。したがって,被告らは,原告において必要であった内部統制秩序を保持するための社内手続を全く無視したのであり,取締役としての善管注意義務に違反した(会社法355条,362条4項)。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告らが,自らの保身を目的として,原告を第三者に買収させる検討を行うために,社内手続規定を敢えて無視して,原告にとって実質的に必要性のない契約ないし実体的に原因のない仮装契約を締結し,これに基づいて金員を支出した行為は,取締役としての善管注意義務違反に該当し(会社法330条,民法644条),原告に対する任務懈怠ないし不法行為を構成する。
イ 被告らの主張
(ア) 株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約締結目的の正当性等
平成23年7月29日,被告ら補助参加人従業員のA18,A19,A20らが原告本社に来社して,A3が原告の代表者となるのは問題があるので,原告の株主の利益のために,A3に対抗して,現経営陣の会社支配権を維持する方策をとるよう強く勧め,同年8月5日には,「弊社のアドバイザリー・サービスについて」と題するリーフレットを被告Y2らに対して提出した。なお,三菱東京UFJ銀行小牧支社の担当者からは,A3が原告の経営の主要ポストに就任した場合には,以後は,原告への新規の融資には応じられない旨の通告も受けていた。被告Y2らとしては,A3が原告の株式のうち30%以上を掌握している状況であったことから,A3との全面的な対決はできる限り回避したいと考えつつも,A3の原告における稼働状況あるいは過去の反社会的勢力との関係性についての指摘から,被告Y2ら現経営陣の会社支配権維持には全くこだわるところがないものの,A3が代表取締役となって原告についての会社支配権を確立してしまうことは原告の株主の利益にならないものと考えた。その後,被告ら補助参加人から最低限の実費相当額ということで,費用につき,3000万円(税別)とする旨の申入れがあったので,被告Y2らはこれを了解し,同年8月22日に被告ら補助参加人との間で株主総会アドバイザリー契約を締結し,同月31日に約定の3150万円(税込)を支払ったものである。また,被告らは,サービス利用契約を締結し,原告の企業価値を算定するのに必要な情報を被告ら補助参加人に提供した。
以上のとおり,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出は,被告ら当時の原告の経営陣がその保身を図ったものではなく,A3が代表取締役に就任することによる原告の混乱を回避し,原告の株主の利益に資することを目的とするものであった。
(イ) 業務提供の実体の存在等
被告ら補助参加人からは,その後,原告に興味を示したファンド等からのTOBの話がいくつか持ち込まれ,電通国際情報サービスのサーバーにデュー・デリジェンスのためのデータのアップを行ったが,結局,特に協議が進展することのない状況下で被告らは原告の役員を退任することとなった。なお,当然のことながら,原告の営業に係る秘密は保持されることが前提であり,実際にも,サーバー費用を負担したほかには,原告には何らの支出あるいは損害も生じていない。
(8)  争点(8)(原告の損害及び被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害との間の因果関係の有無)
ア 原告の主張
前記(1)ないし(7)で主張した被告らの任務懈怠ないし不法行為により原告から支出した合計4億2308万5000円全額が原告の損害である。
また,本件訴訟にかかる弁護士費用相当額の損害は,上記金額の1割である4230万8500円を下らない。
その結果,別紙2損害計算表の請求額欄のとおり,原告の損害額は合計4億6539万3500円となり,被告Y1が支払うべき金額は同額,被告Y3が支払うべき金額は3億4268万8500円,被告Y2が支払うべき金額は2億9214万3500円となる。
イ 被告らの主張
否認ないし争う。
前記(1)及び(2)で主張した事実経過によれば,本件共同事業コンサルティング契約及び株式譲渡アドバイザリー契約については,仮に原告の取締役会決議に付していたとしても,A3を含め被告ら以外の取締役が反対したということはおよそあり得ず,問題なく取締役会での承認が得られていたはずである。また,前記2(7)ないし(10)の各契約締結及びこれに基づく金員支出に関しても,仮にA15らにおいて稟議書が起案されていた場合の決裁は被告Y1及び被告Y2によってなされるのであり,いずれにしても問題なく承認決裁がされていたはずである。
よって,原告が主張する被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害との間には因果関係がない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提事実に加え,後掲証拠(特に明記しない限り,枝番があるものは枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。
(1)  原告の概要並びに役員の変遷状況とその経緯等
原告は,被告Y1により平成元年に設立された会社を母体とし,平成8年4月,A21が経営していた会社と合併してできた会社であり,A21が代表取締役社長,被告Y1が代表取締役専務となって,その後,積極的にM&A及び店舗買収を行い,業容を拡大していった。その結果,原告は,平成12年11月,大阪証券取引所のナスダック・ジャパンに,平成16年1月には東京証券取引所及び名古屋証券取引所の各第一部に株式を上場した。
同年6月,A21が交通事故で死亡したため,被告Y1が原告の代表取締役社長に就任し,資本・業務提携等を積極的に推進していった。
平成19年6月,被告Y1は,原告の代表取締役社長を退任して,同代表取締役会長に就任し,A21の息子であるA3の意向を受けて,A22が原告の代表取締役社長に就任した。被告Y1は,平成20年7月頃に原告の代表権を返上していたが,原告の業績が悪化した等の事情により,A3の要望を受けて,平成21年6月,原告の代表取締役会長に復帰した。なお,A22は,平成22年1月まで,原告の代表取締役社長であり続けたが,実質的な降格人事として,原告の旧本社である別棟での勤務となった。(以上,乙28,被告Y1)
また,被告Y2は,公認会計士であり,原告と同業のr社の代表取締役をしていたが,被告Y1の依頼を受け,平成21年6月,原告の非常勤取締役に就任し,月に2回ほど原告本社に出社して執務していた。そして,被告Y2は,被告Y1からの依頼を受け,平成22年1月にA22の後任として原告の代表取締役社長に就任した。(以上,乙27)
被告Y3は,みずほ銀行(当時は株式会社日本興業銀行)の勤務を経て,平成17年4月から原告に勤務し,同年6月から取締役監査室長,平成19年6月から取締役副社長に就任した。
社外調査委員会による調査(後記(2)エ)が行われていた期間中の平成23年11月1日,被告Y1及び被告Y2は代表取締役を退任し,A3が原告の代表取締役社長に就任した。
(2)  社外調査委員会による調査に至る経緯等について
ア 平成23年5月下旬頃,A3は,s社の代表取締役であるA23から,①平成22年2月頃,A4の仲介により,被告Y1及び被告Y3と会合し,原告の子会社であるt社(なお,平成22年10月1日に原告に吸収合併された。)からs社に対し協賛加盟保証金名目で3億円の資金提供を受けた,②かかる3億円のうち2億2000万円をA4の指示に基づきg社へ業務委託料名目で送金した,③その後,調査事務所の調査により,g社は不審な会社であるとの調査結果を得たため,今後も原告が引き続きs社の事業に融資等の支援をしてくれるのか確認したい等の事実説明及び追加融資の相談を受け,上記調査事務所の報告書や,s社からg社への送金に関する資料等を受領した。
A3は,上記A23からの相談を受け,原告の監査役であるA1及びA24に相談したところ,上記t社のs社に対する協賛加盟保証金名目での3億円の支出は,内規上要求されていた原告の取締役会決議を潜脱して行われた疑いがあるとともに,t社が拠出した資金のうち2億2000万円もがg社に流れているとの事実が判明した以上,代表取締役社長である被告Y2にも相談の上,事実調査を進めていくべきだということになった。(以上,甲80,81,84)
イ 平成23年6月,原告からのA4ないしA4関連会社に対する不正支出の有無を調査するため,被告Y2を委員長とし,原告の取締役であるA3及びA25並びに原告の監査役4名を調査委員とする社内調査委員会が設置された。しかし,被告Y2は,A24監査役とともに,A23と一度面談したが,その他には具体的な調査を行うことはなかったため(被告Y2),上記調査は進捗しなかった。
ウ そこで,A24監査役の紹介により,原告の監査役会において,調査事務所にA4に関する調査を依頼し,同年8月9日,調査事務所による調査報告書が提出されたところ,その内容は,A4及びA4関連会社には多大な問題があるというものであった。
上記調査結果を受け,原告の監査役会は,A4関連の不正支出の有無に関して,社外の第三者による調査を行うことを決定し,同年8月19日,監査役会から調査依頼を受けたv法律事務所の弁護士等が原告を訪問して,調査を開始しようとした。しかし,被告Y3及び被告Y2らが,上記弁護士らの公正中立性に問題があるなどの指摘をして調査に協力せず,警察を呼ぶなどしたため,結局上記弁護士らは調査を行うことができなかった。(以上,甲4,108)
エ その後,被告Y2がlホールディングス代表取締役のA14に対して社外調査委員の推薦を依頼し,A14が推薦したA26弁護士が委員長を務め,その他弁護士及び公認会計士から構成される社外調査委員会(以下「本件調査委員会」という。)が同年9月6日に発足し,同月7日から同年12月16日まで,同調査委員会が聞き取り等の調査を行い,同日付けで,調査報告書(甲4)を作成した。
(3)  本件調査委員会による調査報告書(甲4,5)の内容
調査報告書(甲4,5)の記載によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件共同事業コンサルティング契約について
A4及び被告Y3は,当初,本件調査委員会あるいは原告監査役会に対し,A4に対する1億5000万円(税別)の報酬支払を3社に分けた理由は,それぞれの会社がb社に関する業務を行ったため,その業務遂行の程度に応じて金額を振り分けたからであると説明していたが,その後,上記説明を変遷させ,A4の税金対策として3社に振り分けたにすぎず,上記3社が実際に業務を分担して遂行したわけではないと説明するに至った。
イ 株式譲渡アドバイザリー契約について
A4は,当初,本件調査委員会に対し,1億円(税別)の報酬支払を2社に分けた理由は,それぞれの会社がb社に関する業務を行ったため,その業務遂行の程度に応じて金額を振り分けたからであると説明していたが,その後,上記説明を変遷させ,2社に分割して支払った意味はなく,全てd社に支払われてもよかったと考えているなどと説明するに至った。
ウ 複合機導入コンサルティング契約について
(ア) 隠蔽工作等の事実
平成22年10月頃,A15は,被告Y2の指示により,当時リコーの複合機導入を担当していた原告従業員であるA27に対し,複合機導入コンサルティング契約という架空名目の契約に基づきA4に2500万円(税別)を支払った旨説明した。しかし,平成23年6月頃,A15は,A25から,複合機導入コンサルティング契約の実態について問いただされたことから,かかる契約が架空契約であることが発覚することを危惧し,A27に対し,複合機導入に関するコンサルティングの実態があるように仮装するための,コンサルティングの成果物としての報告書及びコンサルティング業務の内容や経緯等をまとめた文章を作成するように指示した。これを受けて,同年7月7日頃,A27は,上記報告書作成のための材料となる文章を作成して,これを原告サーバー内の共有フォルダに保存するなどして,A15が同データを利用できる状態にした。また,同月8日頃,A27は,複合機導入に関する架空のコンサルティング業務内容や経緯等をまとめた「ストーリー」と題する書面(甲32)を作成し,上記同様の方法でA15が同データを利用できる状態にした。さらに,A15は,A27が作成した書面に複合機メーカーから受け取っていた資料等を添付して編集するなどの加工を施した「複合機リプレースに関するご報告書」と題する書面を作成し,これをコンサルティングによる成果物と偽って,本件調査委員会に提出するなどしていた。しかし,その後,A15及びA27は,本件調査委員会の追及によって,複合機導入コンサルティング契約が実体を伴わないこと及び関係者間で口裏合わせ等を行ったことを認めるに至った。
(イ) 関係者の最終的な説明内容
被告Y1,被告Y2,A15,A27及びA4らは,複合機導入コンサルティング契約締結及びこれに基づく支出の経緯について,本件調査委員会に対し,最終的に,以下のような説明をした。すなわち,平成22年2月から同年9月頃までの間に,A4が被告Y2に対し,①過去のA22との交際費7000万円と,②u社株式売却のあっせん手数料1000万円の合計8000万円程度の支払を要求したため,被告Y2は被告Y1に相談したところ,被告Y1が「何かの案件のときに上乗せして支払ってあげたらどうか」などと言ったため,上記要求額の半額である4000万円程度の支払には応じることとした。そこで,被告Y2は,A15に対し,A4に4000万円を支払うことになったため何らかの名目を立てるよう指示したため,A15は,同年9月頃,A4と相談の上,その当時原告社内で進められていたコスト削減案件についてのコンサルティング報酬という名目を用いてその支払を実行しようと考え,複合機導入コンサルティング契約を支払名目とすることとした。そして,同契約に基づいてg1社に2500万円(税別)を支払うとともに,車両調達等コンサルティング契約に基づくコンサルティング報酬に1500万円(税別)を水増しし,両社合計で4000万円(税別)という業務としての実体的な裏付けのない支出をA4に対して行った。
なお,A22は,本件調査委員会に対し,上記A4の要求内容について,①被告Y3とともにA4と会食をした事実はあるものの,合計7000万円もの接待を受けた事実はない,②u社の株式譲渡あっせんに関する報酬支払については,A4との間で確たる約束をしたものではない旨説明した。
エ 車両調達等コンサルティング契約について
A15及び被告Y2は,本件調査委員会に対し,車両調達等コンサルティング契約に基づくコンサルティング報酬合計3076万5000円(税込。税別2930万円)のうち,前記ウ(イ)の1500万円(税別)の水増し分を差し引いた残りの1430万円(税別)は,A4によるコンサルティングの実体がある正当な報酬であると述べ,A15及びA4は,かかるコンサルティングの内容について以下のように説明した。
すなわち,A15は,原告の社有車の管理経費削減について検討していたところ,以前,原告顧問のA16から「リバースオークション」という仕組みがあると聞いていたことから,A16に相談して,リバースオークションを取り扱う業者としてq社を紹介してもらった。しかし,A15は車両のリースやオークションについての知識等がなかったため,オークションに詳しいA4にリバースオークションに関する助言を依頼し,A4を介して,e社のA7が行った調査結果に基づく報告や助言を受けた。ただし,A4によるかかる報告や助言はいずれも口頭によるものであった。A15は,これらの助言を受けて,最終的にq社にリバースオークションを依頼することとした。
なお,e社のA7は,本件調査委員会に対し,原告の依頼により,車両のリバースオークションについて調査した事実やこの案件に関与した事実はない旨説明した。
オ 金融商品仲介業コンサルティング契約について
(ア) 支出名目の不整合
金融商品仲介業コンサルティング契約における支払依頼書の支払内容欄には,「社有車ディスカウントオークション利用のコンサルティング費用」という,金融商品仲介業コンサルティング契約の業務内容とは異なる記載がされており,同支払依頼書に添付されているd社から送付された請求書の備考欄にも「社有車ディスカウントオークション利用のコンサルティング経費節減効果による成功報酬」と記載されていた。
(イ) コンサルティング業務についての関係者の説明内容等
A15及びA4らは,本件調査委員会に対し,金融商品仲介業コンサルティング契約に基づくコンサルティング報酬合計2200万円(税別)のうち,①1000万円(税別)はA5に対する報酬支払のために水増ししたものであるが,②残りの1200万円(税別)は,A4によるコンサルティングの実体がある正当な報酬であると述べ,契約締結の経緯やコンサルティングの内容について以下のように説明した。
すなわち,①A5が関西アーバン銀行をb社のリファイナンス先として紹介し,平成22年6月に同銀行からの30億円の融資が実現したことから,A5は原告に対し,同融資金額の1.5%である4500万円を報酬として請求するなどしたが,A4による減額交渉により,被告Y1及び被告Y2の了解のもと,最終的に1000万円を原告からA5に支払うこととなった。そこで,A15は,被告Y2らから指示を受け,A4と相談の上,同年11月25日当時,d社に支払うこととしていた金融商品仲介業コンサルティング料に1000万円を水増しして支払うこととした。なお,これに先立つ同年8月から9月にかけて,d社から,A5が代表取締役を務めるc社宛てに1000万円が立替払された。また,②金融商品仲介業コンサルティング契約においてコンサルティングの対象となった原告の金融商品仲介業とは,lホールディングス関連証券会社が扱っている金融商品を原告のホームページに設置したバナーに掲載したり,原告の店舗内にパンフレットを置いたりするなどして原告の顧客に宣伝し,上記金融商品が販売された場合に原告がその仲介手数料を得るというものである。そして,原告が上記金融商品仲介業を始めるに当たって,A4は,原告経理本部長のA17に依頼して,その営業登録に必要な日本証券業協会の二種外務員資格を取得してもらい,また,平成22年度の原告の定時株主総会で定款上の会社の目的に金融商品仲介業を追加するための資料作成を行った。なお,金融商品仲介業コンサルティング契約の契約書に記載されている「金融商品仲介業の登録及び外務員の育成にかかる手配」について,A15は,本件調査委員会に対し,外務員資格試験の概要を聞くためのA15とlホールディングス関連証券会社担当者の打ち合わせ(ただしA4は欠席)をA4が手配した以外に,d社やA4から助言を受けた事実はない旨説明した。
カ 本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約について
(ア) 隠蔽工作等の事実
A15は,本件調査委員会に対し,当初,「3Dゲーム機の登場による市場動向について(調査報告書)」と題する書面(甲42)がニンテンドー3DSコンサルティング契約の成果物であると回答していたが,本件調査委員会の弁護士から,上記書面がジェトロのレポート(甲43)を冒用したものであるとの指摘を受けて,ニンテンドー3DSコンサルティング契約が,b社株式譲渡に関するA5への報酬支払をするための架空の契約である旨を認めるに至った。
(イ) 被告Y1の関与
被告Y2,A15及びA4は,本件調査委員会に対し,原告からA4を介してA5に3000万円を支払うことについては,被告Y1の了解を得ていた旨説明していた。
キ 調査報告書の信用性に関する被告らの主張等について
被告らは,①本件調査委員会の委員の大半は,平成23年7月にA3が原告の社外取締役としての選任を求めたA28弁護士の主宰するv法律事務所に所属する弁護士であって,一方当事者である原告ないしA3と密接な関係があることからすれば,そもそも公正な調査を期待出来ない上,②調査報告書(甲4)において,被告らに加えてA22も決裁に関与していたことについて何ら記載がないことなどからして,かかる調査報告書の内容は信用性を欠くと主張する。
しかし,①本件調査委員会の委員長であるA26弁護士は,調査の公平性を求める被告らの意向に基づき,被告ら自ら選任したものである。また,本件調査委員会の委員のうち5名は,A3が社外取締役候補者の一人として選任を求めたA28弁護士が主宰するv法律事務所に所属している弁護士であるものの(乙36),かかる事実以外に,これらの者が原告ないしA3と密接な利害関係を有していたことをうかがわせる事情は見出せない。なお,本件調査委員会の委員は,いずれも弁護士ないし公認会計士という社会的地位と専門的知見を有する者であるから,かかる観点からしても,調査委員の人選が公正性を欠くとは言い難い。また,②たとえA22が一連のA4関連の不正支出に関する稟議を行っていたとしても,それによって被告ら自身の責任の成否に直接の影響はなく,A22の決裁に関する記載がないことをもって,調査報告書の内容に信用性がないとまでは認められない。以上によれば,被告らの主張には理由がなく,調査報告書の内容のうち,事実に関する評価が記載されている部分はともかくとして,少なくとも前記アないしカのような,関係者の供述の聞き取り内容等の事実関係の記載については,十分に信用性が認められる。
(4)  被告らと被告ら補助参加人との交渉の経緯等
ア 平成23年7月27日,被告ら補助参加人関係者が,名古屋証券取引所において臨時株主総会招集請求に関する原告のプレスリリースが投函されたのを偶然目撃し,同月28日,別件で原告本社を訪問した被告ら補助参加人関係者が,原告の主幹事証券会社として,上記臨時株主総会招集請求に関する事情を聴取しようとしたが,充分な回答を得られなかった。(以上,丙7)
イ そこで,同月29日,当時被告ら補助参加人の専務執行役員投資銀行副本部長であったA18,東京企業金融部第1グループリーダーであったA20を含む被告ら補助参加人関係者4名が,上記臨時株主総会招集請求に関する事情を把握すべく原告本社を訪問し,被告Y3から事情説明を受け,同年8月1日にも被告らから事情説明を受けた。被告らは,補助参加人に対して,被告らがA3の経営能力に疑問を抱いており,上記臨時株主総会招集請求は,現取締役であるA3が株主提案として行ったものであって,経営に関する支配権をA3のもとに移動させることを目的としたものである等の理由から,A3が原告の経営を支配する立場に立つことは,原告の株主の利益に適うものではない旨説明した。そして,被告らは,被告ら補助参加人との間で,A3による上記臨時株主総会招集請求への対抗策として,①当該臨時株主総会におけるプロキシーファイト(委任状争奪戦)と,これが奏効せずA3の提案議案が可決された場合を想定した②第三者(ホワイトナイト)による公開買付けに向けた準備を進めることを決定した。(以上,丙7,A20)
ウ 同年8月3日,A20らは,プロキシーファイトに関し,IRジャパンと意見交換を行い,臨時株主総会におけるプロキシーファイトの方策及び株主への働きかけの方法について協議し,本件における臨時株主総会への対応について検討した。しかし,当時の原告におけるA3の議決権割合は30%を超えていること,IRジャパンの要求する手数料が高額であり,同月5日に被告ら補助参加人が被告Y2に対して提示した手数料も高額となったため,被告Y2がこれを拒絶したこと等から,被告ら補助参加人は,IRジャパンへのプロキシーファイトに関する依頼は断念し,ホワイトナイトの候補となるファンド等との交渉に注力していった。(以上,丙7,A20)
エ 同月22日,被告ら補助参加人は,被告ら当時の原告経営陣に対し,主に前記イ②のホワイトナイトに関する助言等を提供することとし,株主総会アドバイザリー契約を締結した(A20,弁論の全趣旨)。
オ 被告らは,平成23年7月29日に被告ら補助参加人従業員のA18らが原告本社に来社した際,A18らが,A3が原告の代表者となるのは問題があるので,原告の株主の利益のために,A3に対抗して,被告ら現経営陣の会社支配権を維持する方策を採るように強く勧めた旨主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をする。しかし,会社の経営者の資質等について,あくまで部外者にすぎない被告ら補助参加人が詳細に把握していたとは考え難く,また,原告の経営の根幹に関わる方策を,当時の経営陣の意向も聞かないうちに被告ら補助参加人のほうから主体的・積極的に提案したということは到底措信し難く,事情説明を求めて来社した被告ら補助参加人関係者に対し,被告らが事情を説明した上で,対抗策の提案を求めたと見るのが自然である。よって,上記被告らの供述は採用できない。
また,被告らは,前記イの対抗策のうち①のプロキシーファイトについては,被告ら補助参加人に依頼しておらず,被告ら補助参加人が思い込みでプロキシーファイトに関する業務を遂行していたにすぎないなどとも主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をする。しかし,被告ら補助参加人が被告らからの依頼もなく独断でプロキシーファイトに関する業務を遂行したとは通常考え難く,少なくとも被告らが被告ら補助参加人に臨時株主総会への対応を依頼した平成23年7月29日時点においては,被告らは被告ら補助参加人に対し,プロキシーファイトを依頼していたとみるのが自然である。よって,この点に関する被告らの供述も採用できない。
2  争点(1)(本件共同事業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  法令違反(取締役会決議の欠缺)
被告Y1及び被告Y3は,原告とd社ほかとの間での本件共同事業コンサルティング契約を締結し,同契約に基づき,上記各社に対し,それぞれ9450万円(税込),5250万円(税込),1050万円(税込)を支出するに当たって,原告の取締役会決議を行っていない。たしかに,本件共同事業コンサルティング契約は,形式的には3本に分かれているため,各契約金額は1億円を下回っており,前記第2の2(3)アの原告の職務権限基準表上の取締役会決議事項に該当しない。しかし,被告Y3は,A4が代表取締役を務めるd社のみに上記各契約金額の合計1億5750万円(税込)を支払うということで構わなかったと述べていることからして(被告Y3,前記1(3)ア),上記のように契約を3本に分割したことに合理的な理由は見出せず,実質的には1件1億5750万円(税込)の支出があったと見るべきである。そうすると,かかる1件1億円以上の契約案件は,前記第2の2(3)アの原告の職務権限基準表上,取締役会決議事項に該当する。そして,かかる原告の職務権限基準表上に定められている取締役会決議事項は,原告にとって「重要な業務執行」(会社法362条4項)を類型化したものと解するのが相当であるから,本件共同事業コンサルティング契約締結及びこれに基づく金員支出に際し,取締役会決議を経なかったことは,「重要な業務執行」について取締役会決議を要求する会社法362条4項に違反する。
したがって,被告Y1及び被告Y3が,取締役会決議を経ずに本件共同事業コンサルティング契約を締結し,これに基づく合計1億5750万円(税込)の支出を行ったことは善管注意義務違反(法令違反)に該当する(会社法355条,362条4項)。
(2)  本件共同事業コンサルティング契約締結の必要性等
ア 本件リファイナンスの経済合理性と原告による直接融資の可能性等
本件リファイナンスは,いわゆるブリッジファイナンスであり,事実上,わずか6か月の返済期限延長をもたらすにすぎないものであった。
また,本件リファイナンスは,形式的にはk社が合計28億円の貸倒れリスクを負うものではあるものの,原告のlグループに対する合計28億円の投資等と見合いになっているため,lグループ全体としてみれば,実質的にリスクはなかったものと評価しうる。そうすると,かような好条件であれば,lグループ以外の企業グループであっても融資に応じた可能性が高いと推察される。
そして,上記のとおりの本件リファイナンスの構造からして,経済的に見れば,原告がb社に直接融資している状況と相違ないところ,原告は,さらにA4に対しても報酬として1億5750万円(税込)を支払わなければならず,直接融資をするよりも原告からの支出額が増大している。この点,被告Y1及び被告Y3は,①仮に原告がb社に直接融資をすると,横浜銀行が原告に対し,本牧不動産の担保解除に応じる条件としてj社向け債権額全額の支払を要請してくるおそれがあること,②子会社支援は親会社の経営判断として役員の責任を問われるおそれがあることからして,表だって原告がb社に対し直接融資することはできなかった旨供述する。
しかし,横浜銀行が原告に対し,上記①のような要請をしていたことをうかがわせる客観的な証拠はなく,本件リファイナンスがなされた後である平成22年1月25日に10億円,同年5月31日に5億円を原告がb社に直接融資している事実(甲54)に鑑みれば,原告が横浜銀行との関係に照らしてb社への直接融資を躊躇している状況であったとはいい難い。また,②上記のとおり本件リファイナンスは,経済的に見れば,原告が子会社であるb社を支援しているのと変わりがないことは明らかである上,原告がb社に対し上記15億円の直接融資をした後も融資を継続し,最終的に貸付残高が41億円にまでのぼっていたこと(甲54)を考え合わせると,被告Y1及び被告Y3がb社支援による法的責任を問われることを懸念して,原告がb社に対し直接融資をすることを躊躇していたともいい難い。なお,原告のA29監査役は,平成21年4月ころ,b社の経営状況が深刻であり,このまま放置すると役員の法的責任問題が生じる可能性があるとして,原告がb社に直接融資をすることに反対していた(乙12の1,2)が,これが原告の監査役会の意見であったとは認められない。
よって,上記被告Y1及び被告Y3の主張は採用できない。
イ 本件シンジケートローンの返済期限延長の可能性
また,被告Y1及び被告Y3は,みずほ銀行らが本件シンジケートローンの返済期限における全額返済をb社や原告に対し強硬に求めていたため,本件リファイナンスを実行せざるを得ない状況に置かれていたと主張する。
たしかに,平成21年2月期から平成22年2月期頃のb社の資金繰りは悪化しており(乙15の2,4及びA1),また,いわゆるリーマンショックにより,平成20年頃,上場している不動産関連企業のうち,とりわけ新興の企業が多く破綻したところ(乙17,19及びA1),同年3月に上場したb社も当時,相当厳しい財務環境に置かれていたものと推認できる。
他方,b社は当時,原告の連結対象子会社であり,本件シンジケートローンの主幹事であるみずほ銀行は原告のメインバンクでもあった(A1及び被告Y3)。そうすると,みずほ銀行は原告との今後の関係性も考慮に入れる必要があるところ,b社に対し,新たな貸付けに一切応じないで,本件シンジケートローンの一括返済を強硬に求め続けたかどうかは不明というべきである。
ウ 小括
以上のとおり,みずほ銀行等の本件シンジケートローン銀行団の最終的な態度が不明であった以上,本件リファイナンスは,本件シンジケートローン返済に関する1つの解決方法であったとはいえる。もっとも,本件リファイナンスは,経済的には原告がb社に融資しているのと同様であって,原告及びb社にとって有利な内容であったとはいえず,また,b社がかかる本件リファイナンスを行わざるを得ない状況に陥っていたとまではいえない。したがって,原告が本件リファイナンスに関し,A4との間で業務委託契約を締結し,これに基づいて報酬1億5750万円(税込)を支出する必要性も乏しかったものと認められる。
(3)  業務提供の実体の存否
被告Y1及び被告Y3は,原告とlグループとの業務提携について,A4がlグループらと相当密に打合せを重ねていたと主張し,被告Y3もこれに沿う供述をするが,A4がlグループを原告に紹介した以外に具体的にどのような動きをしていたのかをうかがい知ることのできる客観的証拠は何ら存しない。よって,A4やその関連会社において,本件共同事業コンサルティング契約に基づく業務提供の実体があったとは直ちには認められない。
(4)  善管注意義務違反
被告Y1及び被告Y3は,A4の交渉により,原告とlグループとの間で本件リファイナンス及び本件共同事業の具体的な検討に入ったことから,平成21年9月初め頃に本件共同事業コンサルティング契約を締結し,その後A4との報酬額に関する交渉の末,同月18日に上記契約に基づく報酬を支払ったと主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をする。しかし,前記(3)のとおり,A4がlグループを原告に紹介した以外に,本件共同事業コンサルティング契約の内容に沿った業務提供を行っていたとは認め難いから,被告Y1及び被告Y3が,d社ほかとの間で本件共同事業コンサルティング契約を締結し,報酬として合計1億5750万円(税込)を支出した行為は,正当な理由なく原告の財産を流出させたものとして,善管注意義務違反に該当する(会社法330条,民法644条)。
(5)  被告Y1及び被告Y3の故意又は過失
ア 法令違反(取締役会決議の欠缺)について
被告Y1は,本件共同事業コンサルティング契約締結及びこれに基づく金員の支出に当たって,本来であれば取締役会決議を経るべき場合であるとの認識があった旨供述しており,取締役会決議を経なかったことについて故意があったものといわざるを得ない。他方,被告Y3は,本件共同事業コンサルティング契約締結及びこれに基づく金員の支出に当たって,取締役会決議を経るべきであるとの認識がなかった旨主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をする。しかし,前記(1)のとおり本件共同事業コンサルティング契約を各1億円未満の金額の3本の契約に分けて締結したことに合理的理由は見出せない上,原告の職務権限基準表上には,1件1億円以上の契約案件等には取締役会決議を要する旨が明記されており,被告Y3がかかる規定の存在を認識していなかったとは考え難い。したがって,被告Y3が取締役会決議を経なかったことについて,故意あるいは少なくとも過失が認められる。
イ 本件共同事業コンサルティング契約の締結及び支出行為について
前記(4)のとおり,被告Y1及び被告Y3は,高額の報酬を支払うのに見合った業務提供を受けることなく,d社ほかとの間で漫然と本件共同事業コンサルティング契約を締結し,これに基づきA4に対し合計1億5750万円(税込)もの報酬支払を行ったものであるから,かかる善管注意義務違反行為について故意あるいは少なくとも過失があったものといわざるを得ない。
(6)  小括
以上によれば,被告Y1及び被告Y3が,法令及び原告の内規に違反して,取締役会決議を経ずに,また,A4による業務提供の実体が融資先の紹介以外は不明であるにもかかわらず,原告にとって必要性の乏しい本件共同事業コンサルティング契約を締結し,これに基づく報酬として合計1億5750万円(税込)もの支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
3  争点(2)(株式譲渡アドバイザリー契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  法令違反(取締役会決議の欠缺)
被告らは,原告とd社及びg社との間での株式譲渡アドバイザリー契約を締結し,同契約に基づき,原告から上記各社に対し,それぞれ6615万円(税込),5250万円(税込)を支出するに当たって,原告の取締役会決議を行っていない。たしかに,形式的には,d社に着手金として1365万円(税込)を支払う内容の株式譲渡アドバイザリー契約①,その後d社及びg社にそれぞれ報酬として5250万円(税込)ずつを支払う内容の株式譲渡アドバイザリー契約②に分かれているため,各契約金額は1億円を下回っており,前記第2の2(3)アの原告の職務権限基準表上の取締役会決議事項に該当しない。しかし,被告ら及びA4が,上記各契約金額全額が実質的にA4への報酬支払であるとの認識であったことを自認していることからして(被告ら,前記1(3)イ),上記のように株式譲渡アドバイザリー契約を各1億円未満の3本の契約に分けて締結したことに合理的な理由は見出せず,実質的には1件1億1865万円(税込)の支出があったと見るべきである。そうすると,かかる1件1億円以上の契約案件は,前記第2の2(3)アの原告の職務権限基準表上,取締役会決議事項に該当するとともに,「重要な業務執行」(会社法362条4項)として法令上も取締役会決議事項に該当する。
したがって,被告らが,取締役会決議を経ずに株式譲渡アドバイザリー契約を締結し,これに基づく合計1億1865万円(税込)の支出を行ったことは善管注意義務違反(法令違反)に該当する(会社法355条,362条4項)。
(2)  株式譲渡アドバイザリー契約締結の必要性等
まず,①b社株式の譲渡にA4が関与していること及び同人への報酬支払が予定されていることの説明はなかったものの,b社株式を譲渡すること自体については原告取締役会において承認決議がされていること(乙13,被告Y3),②原告がb社を完全子会社化する意向を積極的に有していたわけではなかったこと(A1)等を考え合わせると,原告が保有するb社株式を譲渡することについては原告役員の間で合意されていたと認められる。また,株式譲渡に当たって,株式譲渡先のあっせんや譲渡価格等に関するコンサルティングを内容とするアドバイザリー契約を締結する一般的必要性がないとまではいえない。
(3)  業務提供の実体の存否
被告らは,A4によって提供されたコンサルティング業務の内容について株式買受人の紹介や条件交渉等に関して多大な貢献をした等と主張し,被告Y3もこれに沿う供述をするが,株式買受人の紹介をした以外にこれらを客観的に裏付ける証拠は何ら存しない。そして,株式売却代金合計3億0505万円の約38%(消費税を考慮しなければ約37%)という高額の報酬を支払うような株式譲渡のアドバイザリーにおいて,譲渡先との交渉経過や条件面の検討状況等を示す報告書等の成果物が一切存在しないというのは極めて不自然である。
この点,被告らは,A4の具体的な活動実績を示すものとして,乙5号証を提出する。乙5号証は,東京証券取引所から照会があった場合に備えて作成していた報告書とされているが(被告Y3),同書面の作成年月日は不明であり,実際に東京証券取引所へ提出された事実があるのかも不明である。また,乙5号証別紙にはb社株式の譲渡に至る経緯が時系列で書いてあるにすぎず,同書面上に記載されている各話し合い期日において作成された書面や議事録等が一切提出されていないため,A4が具体的にどのようなことをしたのかが明らかでない。さらに,原告からm社及びn社への株式売却価格は,その取引日の前日の市場終値で合意されたことが認められる(乙26,被告Y3)から,譲渡価格が原告にとって特に有利であったともいえない。
よって,A4による株式譲渡アドバイザリー契約に基づく業務提供の実体は株式買受人の紹介以外は不明であり,多額の報酬を支払うのが相当な業務提供があったとは認められない。
(4)  善管注意義務違反
被告らは,本件リファイナンスを成功させたA4の交渉により,b社の株式譲渡についても成功する可能性が高くなったことから,平成22年9月14日にd社との間で株式譲渡アドバイザリー契約①を締結し,着手金1365万円(税込)を支払い,さらに平成23年2月1日にd社及びA4の関連会社であるg社との間で株式譲渡アドバイザリー契約②を締結し,同月28日に成功報酬として合計1億0500万円(税込)を支払ったと主張し,同人らもこれに沿う供述をする。しかし,前記2のとおり,A4が本件リファイナンスにおいて具体的なコンサルティング業務を提供していたとは認め難い上,前記(3)のとおり,平成22年8月以降,A4が乙5号証記載のとおりの活動をしていたとも直ちには認め難いから,被告らが,d社及びg社との間で株式譲渡アドバイザリー契約を締結し,着手金及び成功報酬として合計1億1865万円(税込)を支出した行為は,正当な理由なく原告の財産を流出させたものとして,善管注意義務違反に該当する(会社法330条,民法644条)。
(5)  被告らの故意又は過失
ア 法令違反(取締役会決議の欠缺)について
被告らは,株式譲渡アドバイザリー契約締結及びこれに基づく金員の支出に当たって,取締役会決議を経るべきであるとの認識がなかった旨主張し,同人らもこれに沿う供述をする。しかし,前記(1)のとおり株式譲渡アドバイザリー契約を各1億円未満の金額の3本の契約に分けて締結したことに合理的理由は見出せない上,被告Y1は,前記2(5)アのとおり,本件共同事業コンサルティング契約締結及びこれに基づく金員支出に当たって,本来であれば取締役会決議を経るべき場合であるとの認識があった旨供述していることから,1件1億円以上の契約案件等には取締役会決議を要することを認識していたものといえる。また,原告の職務権限基準表上には,1件1億円以上の契約案件等には取締役会決議を要する旨が明記されていることから,被告Y3及び被告Y2もかかる規定の存在を認識していなかったとは考え難い。よって,被告らが,株式譲渡アドバイザリー契約の締結及びこれに基づく金員支出に当たって取締役会決議を経なかったことについて,故意あるいは少なくとも過失が認められる。
イ 株式譲渡アドバイザリー契約の締結及び支出行為について
前記(4)のとおり,被告らは,高額の報酬を支払うのに見合った業務提供を受けることなく,d社及びg社との間で漫然と株式譲渡アドバイザリー契約を締結し,これに基づきA4に対し合計1億1865万円(税込)もの金員支払を行ったものであるから,かかる善管注意義務違反行為について故意あるいは少なくとも過失があったものといわざるを得ない。
(6)  小括
以上によれば,被告らが,法令及び原告の内規に違反して,取締役会決議を経ずに,また,A4による業務提供の実体が株式買受人の紹介以外は不明であるにもかかわらず,株式譲渡アドバイザリー契約を締結し,これに基づく着手金及び成功報酬として合計1億1865万円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
4  争点(3)(複合機導入コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)
(1)  業務提供の実体の存否等
前記1(3)ウ(ア)及び(イ)によれば,複合機導入コンサルティング契約は,被告Y1及び被告Y2が,A4から要求された金員を原告から支出するための架空名目の契約であったといわざるを得ず,同契約に基づく業務提供の実体があったとは認められない。なお,原告がA4の要求した4000万円程度の金員を支払うべき正当な理由があったことをうかがわせる事情も存しない。
この点,被告Y2は,本件調査委員会に対して行った上記説明内容は,本件調査委員会による調査を早期に終了させるために,A4から平成23年7月に送られてきた手紙の内容を参考に創作した虚偽の説明であった旨供述する。しかし,被告Y2が本件調査委員会に対して行った説明内容(前記1(3)ウ(イ))は極めて詳細かつ具体的である一方,被告Y2が供述するA4からの手紙が実在したかどうかは証拠上明らかでなく,本件調査委員会の調査時における被告Y2の説明内容と矛盾する被告Y2の法廷での上記供述は採用できない。
(2)  小括
以上によれば,複合機導入コンサルティング契約の締結及び同契約に基づく2625万円(税込)の支出は,実体を伴わない架空の契約に基づく金員支出といわざるを得ず,かかる契約を締結してA4に対し金員を支出すべき必要性も認められないから,被告Y1及び被告Y2のかかる行為について,原告に対する善管注意義務違反(会社法330条,民法644条)が認められる。
この点,被告Y1は,複合機導入コンサルティング契約締結及び同契約に基づく金員支出に関与していなかったと主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をするとともに,被告Y2も被告Y1には相談していない旨供述する。
しかし,被告Y1及び被告Y2のかかる供述内容は,前記1(3)ウ(イ)に反する上,被告Y1の当時の原告における地位及び被告Y1と被告Y2の関係性に鑑みれば,上記被告Y1の主張は採用できない。すなわち,前記1(1)のとおり,被告Y1は,原告の創業者の一人であり,かつ原告の業績向上に長年貢献してきた人物であるところ,原告社内においてA3を含む他の役員や従業員から絶大な信頼を寄せられ,社内で最も発言力を有する人物であったことが容易に推認される。そして,被告Y2は,被告Y1の依頼を受けて,平成21年6月に原告の非常勤取締役に就任し,平成22年1月から原告の代表取締役社長に就任したものであるところ,それから間もない時期に,上記のような架空契約の締結及びそれに基づく金員支出という,原告に損害を与えることが明らかな行為を行うについて,被告Y1の意向を一切確認せずに独断で実行したものとは到底考え難い。また,被告Y2は,平成21年6月以降に原告の経営に関わるようになったのであるから,それより以前に起こった事情に関してA4が要求する8000万円を原告が支払うべきか否かを判断できないことは明らかであり,被告Y2からの相談を受けた被告Y1が,A4への支払の可否を決定する等,複合機導入コンサルティング契約の締結と,これに基づく金員支出に主体的に関与していたことが強く推認される。
なお,以上によれば,被告Y1及び被告Y2は,原告からA4に対しコンサルティング報酬名目で不正に金員を得させる目的で店舗用複合機導入コンサルティング契約を締結し,これに基づいて金員を支出したものといえるから,前記善管注意義務違反についての故意が優に認められる。
したがって,被告Y1及び被告Y2が,複合機導入コンサルティング契約を締結し,これに基づく2625万円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
5  争点(4)(車両調達等コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  業務提供の実体の存否等
前記1(3)ウ(イ)で認定したとおり,車両調達等コンサルティング契約における報酬額のうち,少なくとも1500万円(税別)部分については,被告Y1及び被告Y2が,A4から要求された金員を原告において支出するための架空名目の契約であったといわざるを得ず,同契約に基づく業務提供の実体があったとは認められない。
そして,車両調達等コンサルティング契約に基づく報酬額のうち,上記金額部分を差し引いた残りの1430万円(税別)について,被告Y1及び被告Y2は,A4から提供された車両の調達及び維持管理に関するコンサルティング業務に対する正当な報酬であると主張するが,実際にA4からかかる業務提供がされたことを裏付ける客観的証拠は何ら存しない。また,被告Y2は,A4から受けた具体的なコンサルティングの内容について把握しておらず,曖昧な供述に終始している。さらに,前記1(3)エによれば,A15及びA4が本件調査委員会に対し,A4によって行われたとするコンサルティング業務の内容について縷々述べているものの,A7の説明内容と矛盾している等,その説明内容の信用性は直ちには認め難い。したがって,A4による車両調達等コンサルティング契約に基づく業務提供の実体があったとは認められない。
(2)  小括
以上によれば,車両調達等コンサルティング契約は,全体として,業務提供の実体のない架空名目の契約であったといわざるを得ず,かかる契約を締結してA4に対し金員を支出すべき必要性も認められないから,被告Y1及び被告Y2が,車両調達等コンサルティング契約を締結し,これに基づき3070万円(税込)を支出した行為について,原告に対する善管注意義務違反(会社法330条,民法644条)が認められる。
この点,被告Y1は,車両調達等コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出に関与していないと主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をするが,かかる供述内容は前記1(3)ウ(イ)に反する上,前記4(2)で認定したとおり,被告Y1の当時の原告における地位及び被告Y1と被告Y2の関係性等に鑑みれば,被告Y1が車両調達等コンサルティング契約の締結及び同契約に基づく金員支出に関与していなかったとはおよそ考え難く,上記被告Y1の主張は採用できない。
なお,以上によれば,被告Y1及び被告Y2は,原告からA4に対しコンサルティング報酬名目で不正に金員を得させる目的で車両調達等コンサルティング契約を締結し,これに基づいて金員を支出したものといえるから,前記善管注意義務違反についての故意が優に認められる。
したがって,被告Y1及び被告Y2が,車両調達等コンサルティング契約を締結し,これに基づく3070万円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
6  争点(5)(金融商品仲介業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  業務提供の実体の存否等
前記1(3)オ(イ)によれば,金融商品仲介業コンサルティング契約に基づく報酬のうち,少なくとも1000万円(税別)部分については,被告Y1及び被告Y2が,A5から要求された金員を原告において支出するための架空名目の契約であったといわざるを得ず,同契約に基づく業務提供の実体があったとは認められない。なお,原告とA5との間には,前記第2の2(4)ウの関西アーバン銀行によるリファイナンスに関して何ら契約関係はなく,原告がA5に対し,上記1000万円(税別)を支出すべき合理的な理由は存しない。
そして,被告Y1及び被告Y2は,A4から提供されたとする金融商品仲介業に関するコンサルティング業務の内容について縷々主張するが,実際にA4からかかる業務提供がされたことを裏付ける客観的証拠は何ら存しない。また,被告Y2は,A4から受けた具体的なコンサルティングの内容について把握しておらず,曖昧な供述に終始している。さらに,前記1(3)オ(ア)によれば,金融商品仲介業コンサルティング契約の支払依頼書等には,支出名目として同契約の業務内容とは異なる記載がされており,金融商品仲介業コンサルティング契約の業務内容は重要視されていなかったことがうかがえ,実質的には,コンサルティング報酬という名目で原告からA4に対し金員を不正に支出するための契約であったことが推認される。なお,前記1(3)オ(ア)において,金融商品仲介業コンサルティング契約の支払依頼書の支払内容欄に記載されている「社有車ディスカウントオークション利用のコンサルティング費用」は,車両調達等コンサルティング契約に基づくコンサルティング費用に対応するものと考えられるが,かかる契約が架空契約であり,コンサルティング報酬の支払が不正支出に当たることは前記5で認定したとおりであり,いずれにしても原告からの金員支出を正当なものとみる余地はない。
(2)  小括
以上によれば,金融商品仲介業コンサルティング契約は,全体として,業務提供の実体のない架空名目の契約であったといわざるを得ず,かかる契約を締結してA5ないしA4に対し金員を支出すべき必要性も認められないから,被告Y1及び被告Y2が,金融商品仲介業コンサルティング契約を締結し,これに基づいて2310万円(税込)を支出した行為について,原告に対する善管注意義務違反(会社法330条,民法644条)が認められる。
この点,被告Y1は,金融商品仲介業コンサルティング契約の締結及びこれに基づく金員の支出に関与していないと主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をするが,前記4(2)で認定したとおり,被告Y1の当時の原告における地位及び被告Y1と被告Y2の関係性等に鑑みれば,被告Y1が金融商品仲介業コンサルティング契約の締結及び同契約に基づく金員支出に関与していなかったとはおよそ考え難く,上記被告Y1の主張は採用できない。
なお,以上によれば,被告Y1及び被告Y2は,原告からA5ないしA4に対しコンサルティング報酬名目で不正に金員を得させる目的で金融商品仲介業コンサルティング契約を締結し,これに基づいて金員を支出したものといえるから,前記善管注意義務違反についての故意が優に認められる。
したがって,被告Y1及び被告Y2が,金融商品仲介業コンサルティング契約を締結し,これに基づく2310万円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
7  争点(6)(本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  業務提供の実体の存否等
本件震災の被害の対応及びニンテンドー3DS大量仕入れに関するコンサルティング業務が提供されたという事実がないことは当事者間に争いがない。また,被告Y2も,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約は,A5への報酬支払のために架空名目で締結する契約であると認識していた(被告Y2)。
被告Y1及び被告Y2は,前記第2の2(6)の原告のb社株式譲渡におけるA5の功績からして,原告からA5に対し,金員を支出することもやむを得なかったと主張するようである。しかし,被告Y1及び被告Y2自身も認めるように,A5はb社株式譲渡に当たってo社の代理人を務めていたのであるから(弁論の全趣旨),報酬はo社から受領すべきものであって,A5と契約関係にない原告がかかる報酬をA5に支払うべき合理的理由は見出し難い。
(2)  小括
以上によれば,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約は,業務提供の実体のない架空名目の契約であったといわざるを得ず,かかる契約を締結してA5に対し金員を支出すべき必要性も認められないから,被告Y1及び被告Y2が,上記各契約を締結し,これらに基づいて合計3150万円(税込)を支出した行為について,原告に対する善管注意義務違反(会社法330条,民法644条)が認められる。
この点,被告Y1は,A5への報酬が架空契約によってA4の関連会社を介して支払われていたとは知らなかった旨供述する。しかし,かかる供述内容は,前記1(3)カ(イ)に反する上,被告Y1自身,A5への報酬は本来o社から支払われるべきとの認識だった旨述べているところ(被告Y1),かかるA5への報酬を原告から支出するために,支出名目を仮装するようA15らに指示したことが容易に推認されるから,上記被告Y1の供述は措信し難い。
以上によれば,被告Y1及び被告Y2は,原告からA5に対しコンサルティング報酬名目で不正に金員を得させる目的で本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約を締結し,これらに基づいて金員を支出したものといえるから,前記善管注意義務違反についての故意が優に認められる。
したがって,被告Y1及び被告Y2が,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約を締結し,これらに基づく3150万円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
8  争点(7)(株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約の締結並びにこれらに基づく金員の支出が,取締役としての任務懈怠ないし不法行為に当たるか)について
(1)  株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約締結の目的等
被告らは,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約締結の目的は,原告株主の利益のためであり,被告らの保身を目的としたものではない旨主張し,本人尋問においてこれに沿う供述をするとともに,A20証人も被告らが原告の経営にとどまることを求めていなかった旨証言する。
しかし,以下の事情に鑑みれば,上記被告らの主張は採用できない。
すなわち,まず,前記1(2)のとおり,A3が臨時株主総会招集請求をした平成23年7月当時,A4関連の不明朗取引の真相解明に向けて,A3及び原告の監査役らが社内調査委員会を設置するなどの具体的な行動を起こし始めており,さらに同年8月19日には原告の監査役会が調査を依頼した弁護士らが,調査のため被告Y3及び被告Y2に直接接触するなどしており,A4関連の不明朗会計の真相解明に向けた動きが着実に進行している状況にあった。そして,前記1(4)によれば,被告らは,上記A3による臨時株主総会招集請求のわずか2日後には被告ら補助参加人に接触し,当該臨時株主総会決議に伴ってA3が経営の実権を握ることを阻止する対抗策を講じることを依頼した上,上記弁護士らによる調査があってからわずか3日後に株主総会アドバイザリー契約を締結している。なお,被告らは,被告ら補助参加人と接触したり,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約を締結したりするに当たって,原告の他の取締役及び監査役に対し,何らの相談ないし報告もしていなかった(被告Y3,被告Y2)。以上の事実経過に鑑みれば,前記2ないし7で認定したとおり,A4に対する不正支出に関与していた被告らが,かかる不正支出についての真相が解明されることにより,民事上ないし刑事上の責任を問われるなどし,自身らの原告取締役としての地位が失われることを危惧して,A3による経営権掌握の動きを阻止しようとする目的のもと,被告ら補助参加人との間で株主総会アドバイザリー契約を締結し,これに伴って電通国際情報サービスとの間でサービス利用契約を締結したことが容易に推認される。
(2)  小括
以上によれば,被告らは,自己保身ひいては被告ら自身の経営支配権維持を目的に,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約を締結し,これらに基づいて原告から合計3538万5000円(税込)を支出したものと認められる。そして,かかる支出行為は,原告の株主の利益に資するものであるとは到底いえず,原告にとって必要性のない支出といわざるを得ないから,被告らの上記行為について,原告に対する善管注意義務違反(会社法330条,民法644条)が認められる。なお,被告らは,自己保身ひいては被告ら自身の経営支配権維持の目的で株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約を締結し,これらに基づいて金員を支出したものといえるから,前記善管注意義務違反についての故意が認められる。
したがって,被告らが,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約を締結し,これらに基づく合計3538万5000円(税込)の支出を行った行為は,原告に対する任務懈怠(会社法423条1項)ないし不法行為(民法709条)に該当する。
9  争点(8)(原告の損害及び被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害との間の因果関係の有無)について
(1)  本件共同事業コンサルティング契約について
ア 損害額
前記2で認定したとおり,そもそも本件共同事業コンサルティング契約を締結する必要性が乏しかった上,A4が同契約に基づいて役務を提供した事実も認められないから,被告Y1及び被告Y3が原告から支出した1億5750万円(税込)全額が原告の損害に当たる。
イ 因果関係
被告Y1及び被告Y3は,前記第2の4(1)イ(イ)の事実経過によれば,仮に取締役会決議を経ていても,問題なく承認決議がなされたはずであるとして,同人らの任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間に因果関係が存しない旨主張し,A4に対し本件リファイナンスに関する報酬を支払うことをA3ないしA22に報告した旨供述する。しかし,前記第2の4(1)イ(イ)において被告Y1及び被告Y3が主張するような事実経過が存したとはいえないことは前記2で認定したとおりであるし,被告Y1及び被告Y3がA3ないしA22に対し上記報告をしていたと認めるに足りる客観的な証拠も存しないことからして,被告Y1及び被告Y3の任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が優に認められる。
(2)  株式譲渡アドバイザリー契約について
ア 損害額
前記3で認定したとおり,A4が株式譲渡アドバイザリー契約に基づいて役務を提供した事実は認められないから,被告らが原告から支出した1億1865万円(税込)全額が原告の損害に当たる。
イ 因果関係
被告らは,仮に取締役会決議を経ていても,問題なく承認決議がなされたはずであるとして,任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間に因果関係が存しない旨主張する。しかし,A4に対し,株式売却合計金額の38%超に及ぶ合計1億1865万円(税込)ものアドバイザリー報酬を支払うという株式譲渡アドバイザリー契約の内容が,取締役会で適時に告知されていれば,そのような多額の報酬を支払う必要性について疑問が提起され,A4が介入したb社株式売却の必要性についてまで疑義を生じかねなかったことは容易に推認されるのであり,被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が認められる。
(3)  複合機導入コンサルティング契約及び車両調達等コンサルティング契約について
前記4及び5で認定したとおり,複合機導入コンサルティング契約及び車両調達等コンサルティング契約は,被告Y1及び被告Y2が,A4に不正に金員を得させる目的で締結した架空契約であり,コンサルティング業務が提供された事実は認められないから,かかる契約に基づいて,被告Y1及び被告Y2が原告から支出した5695万円(税込)全額が原告の損害に当たる。なお,被告Y1及び被告Y2の任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が優に認められる。
(4)  金融商品仲介業コンサルティング契約について
前記6で認定したとおり,金融商品仲介業コンサルティング契約は,被告Y1及び被告Y2が,A4に不正に金員を得させる目的で締結した架空契約であり,コンサルティング業務が提供された事実は認められないから,かかる契約に基づいて,被告Y1及び被告Y2が原告から支出した2310万円(税込)全額が原告の損害に当たる。なお,被告Y1及び被告Y2の任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が優に認められる。
(5)  本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約について
前記7で認定したとおり,本件震災対応コンサルティング契約及びニンテンドー3DSコンサルティング契約は,被告Y1及び被告Y2が,A5に不正に金員を得させる目的で締結した架空契約であり,コンサルティング業務が提供された事実は認められず,その他原告からA5に報酬を支払うべき必要性は何ら存しないことから,かかる契約に基づいて,被告Y1及び被告Y2が原告から支出した合計3150万円(税込)全額が原告の損害に当たる。なお,被告Y1及び被告Y2の任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が優に認められる。
(6)  株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約について
前記8で認定したとおり,株主総会アドバイザリー契約及びサービス利用契約は原告にとって締結する必要性が認められないものであるから,かかる契約に基づいて,被告らが原告から支出した合計3538万5000円(税込)全額が原告の損害に当たる。なお,被告らの任務懈怠ないし不法行為と損害発生との間には因果関係が認められる。
(7)  弁護士費用
原告が,被告らに対する損害賠償請求のために,原告訴訟代理人に対して本件訴訟提起を委任したことは本件記録上明らかであり,これにより原告が弁護士費用相当の損害を被ったことは明らかというべきところ,本件事案の性質,審理の経過及び認容額に鑑みると,原告が被告らの任務懈怠ないし不法行為による損害として賠償を求めうる弁護士費用の額は,損害額の7%相当額(ただし,別紙2損害計算表のとおり,各項目毎の損害について算定し,損害金額が1000万円以上の場合は10万円未満を,損害金額が1000万円未満の場合は1万円未満を,それぞれ四捨五入する。)と認めるのが相当である。
(8)  遅延損害金
被告らの原告に対する前記2ないし8の各善管注意義務違反行為は,取締役の任務懈怠ないし不法行為に該当するので,弁護士費用相当額の損害を含めて,不法行為の日となる各支出の日から年5分の遅延損害金の支払義務が発生する。
10  まとめ
以上によれば,原告の本件請求は,別紙2損害計算表のとおり,被告Y1について4億5265万5000円,被告Y3について3億3340万5000円,被告Y2について2億8415万5000円及び各支出日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において,理由がある。
第4  結論
よって,原告の請求を上記限度で認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 湯浅徳恵 裁判官 那智久美子 裁判長裁判官永野圧彦は,転補のため署名押印することができない。裁判官 湯浅徳恵)

 

〈以下省略〉

 

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