判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(480)昭和56年10月22日 東京地裁 昭55(ワ)6550号 報酬金請求事件
判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(480)昭和56年10月22日 東京地裁 昭55(ワ)6550号 報酬金請求事件
裁判年月日 昭和56年10月22日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭55(ワ)6550号
事件名 報酬金請求事件
裁判結果 棄却 文献番号 1981WLJPCA10220006
要旨
◆区役所に対し水路敷を建築基準法四二条所定の道路として認めるよう働きかけることを依頼し、それが認められることが確認されたときには報酬を支払う旨の契約が不能の停止条件を付したものとして無効とされた事例
出典
判タ 466号135頁(判旨)
参照条文
民法133条
裁判年月日 昭和56年10月22日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭55(ワ)6550号
事件名 報酬金請求事件
裁判結果 棄却 文献番号 1981WLJPCA10220006
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
二 そこで、先ず、右争いのない被告と上田との間に締結された本件報酬契約〈編注―建築業者である被告は、マンション建築工事の施工に先立ち、前記マンションの延べ建築面積を増加させるために、訴外上田一弥(以下、上田という。)に対し、杉並区役所に対して本件水路敷を建築基準法四二条所定の道路として認めるよう働きかけることを依頼し、それが認められることが確認された時には、謝礼として金一、〇〇〇万円を支払う旨約した〉の効力について判断するに、右争いのない事実に、〈証拠〉を総合すると、次の事実を認定することができる。
(一) 被告は、昭和五四年五月頃、本件水路敷の存することを知らずにこの水路敷を含めて建築現場の前面道路の巾員を測定し、それを前提として計算した延べ面積で建築確認申請をしたところ、右水路敷の存在を指摘されて受理されず、改めて、右水路敷を除いた前面道路の巾員で延べ面積を算定して建築確認申請し、漸く同年九月一〇日その確認を得たこと、右確認を得る前、本件水路敷の存在のため、当初の計画の延べ面積6605.887平方メートルが5883.762平方メートルに減じるため、被告の専務取締役野原千秋が、本件建築現場の敷地の売買を仲介した井村清数らにそのことを告げたところ、昭和五四年七月頃、右井村や上田らが野原に対し、有力政治家などに運動を依頼し、近々、本件水路敷を建築基準法上の道路として認めて貰える見通しがあるので、認められた場合の成功報酬として一、五〇〇万円貰えないかと申し入れ、野原は前記確認申請のいきさつや被告の営業活動を通じてそのようなことは不可能であると考えたものの、仮に可能であれば、被告にとつて一億円の増収が見込まれるので、上田らの言にそれ程期待をかけず、できれば儲りものだとの考えから、右申し入れを承諾し、本件報酬契約が締結されるに至つたこと
(二) そうしたいきさつから、被告は上田らから着手金の支払を執拗に要求されたが、運動の成算が確認された段階でなければ支払えないとしてこれを拒否したこと、上田らは本件報酬契約後建設省等関係官庁に問い合わせたり折衝したりしたものの全く見通しが立たず、上田らから依頼を受けた原告会社も、東京都や杉並区役所の担当官に折衝したものの同様で同年一一月末に至るも本件水路敷を道路巾員に含めた場合の延べ面積による増築確認を得ることが出来なかつたこと、杉並区役所は原告会社に対し、本件水路敷を道路巾員に含めて確認申請手続をするよう指示した事実はなく、同区役所の担当官は水路敷を建築基準法上の道路として取り扱うかどうかは建築確認申請手続を通じてのみ判断を示すとの態度をとつており、その申請手続でそのような取扱がなされた事例が見当らないこと
(三) 原告会社が、本件以前に行政庁への働きかけにより、水路敷を建築基準法上の道路に認定してもらつたと称する日野市の例は、同市が昭和五〇年四月八日に既に水路敷を日野市道南平二号の道路と指定していたもので、原告会社の右働きかけとは無関係であり、日野市においては、これまで水路敷を建築基準法上の道路と認めた例は一件もないこと、
以上の事実を認定することができ、原告会社代表者本人の供述中右認定に反する部分は前掲証拠に照らして信用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
右認定事実からすると、本件報酬契約においては、被告と上田、井村間において、上田らの運動によつて本件水路敷が建築基準法上の道路として取り扱われ当初の計画どおりの延べ面積が認められた時に成功報酬を支払うというその到来の不確実な事実に報酬請求権の発生をかからせているのであつて、右契約は停止条件を付したものということが出来るが、その条件となつた事実の実現は、右契約当時においては、社会通念上不能であつたと認めるほかはないから、本件報酬契約は不能の停止条件を付したものとして無効であるといわざるを得ない。
(山口和男 佐々木寅男 丸地明子)
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