【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(460)昭和61年 2月27日 秋田地裁大館支部 昭59(ワ)258号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(460)昭和61年 2月27日 秋田地裁大館支部 昭59(ワ)258号 損害賠償請求事件

裁判年月日  昭和61年 2月27日  裁判所名  秋田地裁大館支部  裁判区分  判決
事件番号  昭59(ワ)258号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1986WLJPCA02271016

要旨
◆貴金属の先物取引につき、違法に顧客を勧誘し、不当に利益金の保証金の組入れや仕切りを回避、拒否したとして、業者らの不法行為責任を認めた事例

出典
判タ 617号101頁
先物取引裁判例集 6号51頁

参照条文
商品取引所法8条
商品取引所法94条
民法709条

裁判年月日  昭和61年 2月27日  裁判所名  秋田地裁大館支部  裁判区分  判決
事件番号  昭59(ワ)258号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1986WLJPCA02271016

原告 山本ヨウ子
右訴訟代理人弁護士 津谷裕貴
被告 日通商事株式会社
右代表者代表取締役 中野渡邦男
中野渡邦男
成田登
浅野總一
羽野博幸
右五名訴訟代理人弁護士 小林昶

 

主   文
一  被告らは、原告に対し、各自金一八二六万円及びこれに対する被告成田登、同浅野總一、同羽野博幸については昭和六〇年一月一一日から、被告日通商事株式会社については同年一月一二日から、被告中野渡邦男については同年一月一七日から、各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
二  訴訟費用はこれを一五分し、その一を原告の、その余を被告らの各負担とする。
三  原告のその余の請求を棄却する。
四  この判決は第一、第二項に限り仮に執行することができる。

事   実
第一  当事者の求めた裁判
一  請求の趣旨
(主位的請求)
1 主文一項の「金一八二六万円」を「金一九五六万円」とする外は主文一項と同旨。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
3 仮執行宣言
(予備的請求)
1 被告日通商事株式会社(以下、「被告会社」という。)は、原告に対し、金一六一〇万円及びこれに対する昭和六〇年一月一二日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告会社の負担とする。
3 仮執行宣言
二  請求の趣旨に対する答弁
1  原告の主位的、予備的請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。
3  仮執行免脱宣言
第二  当事者の主張
(主位的請求)
一  請求の原因
1 当事者
(一) 原告は、昭和二四年から小学校の教師として勤務し、昭和五九年に退職した者である。
(二) 被告会社は現物条件付保証取引という名目の私設市場いわゆるブラックマーケットの先物取引受託等を目的とした会社で、被告中野渡は被告会社の代表取締役、同成田は被告会社の弘前支店長、同浅野は同支店次長、同羽野は同支店係長で営業担当の従業員である。
2 被告らの不法行為
(一) 被告らは、日本通商振興協会中央取引市場なる私設市場におけるパラジウムの先物取引を装つて、一般大衆からパラジウム先物取引の売買保証金等の名目で金員を詐取しようと企てていたが、
(1) 被告羽野は、昭和五九年九月一七日、原告方で、これまで先物取引等の投機性のある取引の経験がなく、その知識もない原告に対して、「パラジウムは金や銀と同様に重要な貴金属です。今は値段が安いので買い得です。これから有望視されているものです。パラジウムの取引は安全で、今これを買つておきますと絶対儲かります。預けたお金の四割位は確実に利益を上げられます。株のように損することは絶対にありません。わたしに任せて下さい。」などと言って、原告をその旨誤信させ、同月一九日、一〇万円を原告から預り、これを詐取した。
(2) 被告羽野、同成田は、同月一九日、原告に対して、「先日は取引をしていただいてありがとうございます。実はもつと安いパラジウムがあります。特別にあなたのために取つて置いたものです。これを買いますと莫大な利益が得られます。買つて下さい。」などと言つて、原告をその旨誤信させ、同月二〇日四〇〇万円、同月二二日二〇〇万円を原告から預り、これを詐取した。
(3) 同月二六日、被告会社の営業部長の吉田と称する者から原告に対し、「この間買つたものがもう九〇万円の利益を生んでいます。あと五〇〇万円分買つて下さい。」との電話があり、これに呼応して被告羽野、同成田が、原告宅を訪れ、原告に対して、「もしあなたがだめでしたら、だれか友達を紹介して下さい。」などと言つて、原告から同月二七日五〇〇万円を預り、これを詐取した。ただし、この時は原告は娘史名義で右金員を渡している。
(4) ところで、原告は、被告らの勧誘が強引であり、取引についても不信に思つたので、右五〇〇万円を渡す昭和五九年九月二六日頃、被告羽野に対して、今までの取引を全部止め、現金の返還を要求した。ところが、被告羽野は、昭和五九年一〇月半ばには原告の取引をすべて仕切り、原告が被告らに預けた現金及び利益をすべて返還するから安心してほしい旨答え原告をその旨誤信させた。
(5) 同年一〇月一五日、前記吉田から電話で、原告に対して、「トータルで一五〇万円の利益が出ました。あと五〇〇万円買つて下さい。まだお金はあるでしよう。」との電話が入つたが、原告はもうお金はないとのことでこれを断わつた。
(6) 原告は、昭和五九年一〇月二〇日頃、被告羽野に対して、前記(4)記載のとおり一〇月半ばが来たので約束通り、現金を返して欲しいと要求した。これに対して被告羽野は言を左右し答えなかつた。
(7) 被告羽野、同浅野は、同月二六日、原告に対して、「パラジウムが暴落しました。今までの利益がなくなつてしまいました。今清算するとこれまでいれていた一一一〇万円のうちせいぜい三〇〇万円しか戻りません。元金を取り戻すためには両建をすることしかありません。そのためには一二七〇万円必要です。なければ、あなたが五〇〇万円準備をしてくれれば、私が本社から七七〇万円借りてあげます。」などと言つて、原告をその旨誤信させ、同年一一月二日現金五〇〇万円を原告から詐取した。
(二) 以上の被告らの行為は、本来パラジウムの私設市場における取引がそもそもないのに、あるかのように装い、その取引に必要な売買保証金等の名目で原告から金員を詐取したもので不法行為を構成することは明らかである。また、仮に右の私設市場における取引があつたとしても被告らの前記のような不当な勧誘行為は、少なくとも商品取引所法八条、九四条に違反し、社会通念上容認しえない違法なものであり、不法行為を構成するものである。
よつて、被告らは、民法七〇九条、七一九条により、また被告会社については選択的に民法七一五条により、原告が被つた損害を賠償すべき義務を負う。
3 損害
本件不法行為によつて原告は次の損害を被つた。
(一) 原告が被告らに詐取された現金合計一六一〇万円(史名義の五〇〇万円を含む。)
(二) 慰謝料 一五〇万円
被告らの本件不法行為はブラックマーケットをでつちあげ一般大衆から多額の金員を巻き上げていたものであつて極めて悪質である。原告にとつては三〇年以上にもわたる教員生活の結晶である退職金を根こそぎもぎ取られたものであり、原告の精神的損害は計り知れない。
(三) 弁護士費用 着手金二〇万円と右(一)、(二)の成功報酬一七六万円の合計一九六万円
以上合計一九五六万円
4 結語
よつて、原告は、被告らに対し、主位的に不法行為に基づき、右損害金一九五六万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二  請求の原因に対する認否及び
被告らの主張
1(一) 請求の原因1(一)の事実は認める。
(二) 同1(二)中、被告らの職業は認めるが、その余の事実は否認する。
2(一) 同2(一)本文は否認する。
(二) 同2(一)(1)ないし(3)中、被告羽野、同成田が原告から原告主張の金員の交付を受けたことは認めるが、その余の事実は否認する。
(三) 同2(一)(4)ないし(6)の事実は否認する。
(四) 同2(一)(7)中、被告羽野、同浅野が原告から原告主張の金員の交付を受けたことは認めるが、その余の事実は否認する。
(五) 同2(二)の主張は争う。
3 同3は争う。
4 商品取引所法八条は、パラジウムのような政令指定外商品については適用されないのであり、本件取引は同条に反しない。
5 仮に、本件契約が商品取引所法に違反するとしても、直ちに契約の無効をきたすものではないし、原告は本件取引の投機性を認識して本件契約に至つたものであるから、被告らの行為に違法性はない。
6 仮に、原告において投機性の認識がなかつたとしても、原告は本件契約の締結については投機性を認識すべきであつたにもかかわらず、これを怠つたもので、本件については過失相殺がなされるべきである。
(予備的請求)
一  請求の原因
1 現金の交付
原告は、被告会社に対し、主位的請求の原因2(一)記載のとおり、本件のパラジウム取引に関連して合計一六一〇万円の現金を交付した。
2 契約の無効、取消
原告と被告会社間の本件パラジウム取引に関する契約は、主位的請求の原因2記載のとおり商品取引所法八条、九四条に違反したものであり、公序良俗に反し無効である。
また、右契約は、主位的請求の原因2記載のとおり、被告会社の詐欺に基づくものであり、原告は被告会社に対し昭和六〇年一月一一日これを取消す旨の意思表示をした。
3 結語
よつて、原告は、被告会社に対し、予備的に不当利得に基づき交付した現金一六一〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である昭和六〇年一月一二日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二  請求の原因に対する認否
1(一) 請求の原因1中、現金交付の事実は認める。
(二) 同2は争う。
2 商品取引所法八条は、パラジウムのような政令外指定商品については適用されないので、本件契約は同条に反しない。仮に、本件契約が同法に違反するとしても、直ちに契約の無効をきたすものではない。
3 原告は、本件取引の投機性を認識して本件契約に至つたものであるから、原告の意思表示に瑕疵はない。
第三  証拠〈省略〉

理   由
第一  原告の主位的請求について、以下判断する。
一  当事者
1  原告が、昭和二四年から小学校の教師として勤務し、昭和五九年に退職した者であることは当事者間に争いがない。
2  被告会社が、貴金属製品の販売等を目的とする会社であり、株式会社日本通商振興協会なる私設市場の会員として、顧客に対し、同市場におけるパラジウムの先物取引を勧誘する行為を業として行つていたことは、〈証拠〉により認められ、被告中野渡が被告会社の代表取締役、同成田が被告会社の弘前支店長、同浅野が弘前支店次長、同羽野が営業担当の弘前支店係長であることは当事者間に争いがない。
二  原告と被告会社との取引の経過
原告から被告会社に対し、原告主張の金員が渡されていることは当事者間において争いがなく、右争いのない事実と、〈証拠〉を総合すれば、以下の事実が認められる。
1  原告は、三四年間の教員生活を経て退職し、退職金等により手元に一五〇〇万円位の資金を有していたが、東京で勉学中の子供と病気療養中の実母を抱え、年金を受給しながら生活している状況であり、右一五〇〇万円は老後の生活のために必要な唯一の資金であつた。
2  原告は、株式はもちろん、商品の先物取引の経験はこれまで皆無であつたが、被告会社から昭和五九年九月一七日ころ「話を聞いてもらいたい。」との電話を受け、翌日被告会社の社員である被告羽野外一名の訪問を受けた。被告羽野は原告に対し、「パラジウムは有望であり、株式と違つて安全で、かつ銀行や郵便局の貯金よりずつと有利で、順調にいけば四割位の利益が生じる。値段が下がつても絶対に損はしない。」旨説明し、これを信じた原告は、まず一〇万円を被告会社に預けることにして、翌一九日一〇万円を被告羽野に手渡した。
3  右一九日の午後被告成田と同羽野が再び原告宅を訪れ、原告に対し「後四〇〇万円安いのが取つてあるので、買つておくと利益が多くなる。是非買うように。」と申し向け、原告は先物取引の投機性について理解しえないまま、被告羽野の説明を信じ、預金のようなつもりで四〇〇万円を預けることにし、翌日四〇〇万円を被告羽野に渡した。
4  原告は、同年九月二一日、被告成田、同羽野から、電話で「後二〇枚原告のために取つてあるから、明日までに二〇〇万円準備するように。」と言われ、同じく先物取引の投機性について理解しえないまま、翌二二日被告羽野に二〇〇万円を手渡した。このころ、被告羽野は、一抹の不安を感じた原告からの質問に対し、「預かつたお金は一〇月半ばころには返す。」旨述べていた。
5  同年九月二六日ころ、被告羽野から原告に対し、九〇万円の利益が出たとの電話による報告がなされた。
6  翌二七日、被告会社の吉田部長から原告に対し、「後五〇枚安いのを準備したので買うように。」との威圧的な口調の電話があり、その後被告成田、同羽野からも同旨の電話があつたので、依然として先物取引の危険性に気付いていない原告は、娘の鎌田史の名義で買うことにし、その日の午後、被告羽野に五〇〇万円を渡した。
7  同年一〇月一六日、前記吉田から原告に対し、再び電話があり、原告は「後五〇枚買うように。」と言われたが、資金の余裕がなく、この申出は断つた。同日被告羽野から原告に対し、「トータル一五〇万円の利益が出た。」旨の電話があつたが、原告は、このころから、被告会社の強引なやり方に不信の念を抱き、一刻も早く被告会社に預けたお金を取り戻したいと思うようになつてきた。
8  翌一七日以降、原告は被告会社に数回電話をして約束の一〇月半ばも過ぎたので預けた金を返すように再三依頼したが、被告会社からは不明瞭な返答が返つてくるだけで埒があかなかつた。
9  同年一〇月二六日、被告羽野から原告に対し、「パラジウムが暴落したので訪問してお話ししたい。」との電話があり、原告は、原告宅に来た被告浅野と同羽野から「パラジウムが暴落したのでお金は返せない。」旨告げられた。右被告両名は、全く予想してなかつた事態に当面して精神的衝撃を受けていた原告に対し、更に「一二七〇万円準備すれば、両建という方法により確実にお金を返すことができる。」「一二七〇万円中五〇〇万円を原告が準備すれば、残七七〇万円は本社から借入れる。」旨申し向け、原告に対し「両建にすれば、従前までに預かつたお金と両建用の五〇〇万円は確実に返せること、返還の時期は米国の大統領選挙終了時であること。」を確認した。原告は、ここに至つても依然として被告らの右の説明を信じ、知人等から借金をしてようやく準備した五〇〇万円を、一一月二日被告羽野に渡した。
10  原告は、同年一一月九日、約束の米国の大統領選挙が終了したので、被告会社に対し、預けた金の返却を数回申出たが、「値段が安定していないので両建をはずせない。」等の回答を得るのみであつた。
11  同年一一月一五日被告羽野から原告に対し、「今日両建をはずす。」との電話があつたが、一一月一七日付で被告会社から原告宛に届いた取扱明細確認書によれば、一〇月二六日のときより原告の損害が大きくなつていた。一一月二二日被告羽野が原告宅に損害の説明をしにきたが、両建についての説明も従前と異なつており、原告が納得できる説明はなく、原告はこの時に至つてようやく被告らの言をそのまま信用していたことの誤りに気付いた。
12  原告は、一一月二七日、弁護士を通じて、被告会社に対し、「従前の取引はすべて無効であるから、これまでに手渡した一六一〇万円を原告に返還することを請求する。」旨通知した。
13  同年一一月二九日、前記吉田が原告宅に来て、原告に対し「一六一〇万円を取戻したいなら、弁護士による前記通知書を撤回し、更に二五〇万円を一二月五日までに準備するように。」と申入れてきた。
14  同年一二月五日前記吉田が原告宅に来て前記二五〇万円を執拗に原告に催促したが、原告はこれを断つた。
15  その後、被告会社から原告に対し、鎌田史名義分を一二月一二日に、原告名義分を同月一五日に、それぞれ仕切る旨電話で通知があり、後日報告書が原告宅に郵送されてきたが、それによれば原告が被つた損失はこれまで原告が被告会社に渡してきたお金の合計額一六一〇万円を上廻り、被告会社が原告に返還すべき金員はないとのことであつた。
以上の事実が認められ、右認定に反する〈証拠〉は前掲各証拠に照らし措信しえない。
三  被告らの責任
1  原告は、第一に株式会社日本通商振興協会なる私設市場における本件のパラジウム先物取引の存在自体架空のものである旨主張するが、本件全証拠によつても、右私設市場における先物取引が実際には存在しなかつたことを、認めるに足りる証拠はない。
2 次に本件取引についての被告らの行為の違法性について、判断する。
(一)  商品取引所法は、先物取引が過当な投機や不健全な取引に至る危険性が大きいこと、特に一般人がこれに参加することによつて社会的混乱すら生じうることに鑑み、厳重な法規制のある取引所においてのみこれを許すべきであるとの趣旨で立法されたものであること、及び同法八条一項が証券取引所を明文で除外するとの規定の仕方をしていることからすれば、同法八条は政令指定商品及びそれ以外の商品の先物取引のいずれについても、その商品市場の開設及び私設市場における売買を原則として禁止したものと解するのが相当である。
よつて、被告会社が前記私設市場において、業としてパラジウムの先物取引をする行為は同法八条に違反するものである。
(二)  商品の先物取引においては、取引業者は、年金、恩給、退職金等により主として生計を維持する者や、先物取引の知識、経験がない主婦等の家事従事者に対しては、その投機性からいつて、原則として積極的な勧誘は差し控えるべきであり、更に勧誘にあたつては「利益を生ずることが確実である」等の断定的判断の提供(商品取引所法九四条一号)や、融資の斡旋申出はしないこと(同条二号)、先物取引の投機性や危険性を十分に告知、説明すべきであること、等の義務があると解されるところ、被告会社は、前記二認定のとおり、小学校教員の経験があるのみで株式売買や商品の先物取引等の投機的な行為の経験及びこれらについての知識がなくかつ退職金と年金により生計を維持している原告に対し、先物取引が有する投機性及び危険性についての必要な説明を全くせずに、ひたすら「四割もの利益が生じ、銀行や郵便局の貯金より有利で絶対に損はしない。」等の説明と勧誘に終始して、この旨原告を誤信させて、先物取引の危険性を理解していない原告に高額の売買保証金を提供させて後記のような方法で多大の損失を生じさせ、更に一〇月二六日に両建を勧めるにあたつて、資金が底をついている原告に対し七七〇万円の融資斡旋の申出をもする等、前記の先物取引において要求される取引業者の注意義務に悉く違反していることは明らかである。そして被告会社は前記二認定のとおり、利益が出ても原告に支払わず(利益金を売買保証金に組入れていたものと推認される。)、顧客である原告が取引の終了を要求しても、その都度適当な理由を述べて取引の決済を回避し、結局は原告を高額の損失を受ける事態に追い込んでいるのであるが、先物取引においては右のような利益金の売買保証金への組入や仕切りの回避、拒否の方法によれば、相場の変動により顧客がいずれ莫大な損失を被る事態に陥ることは必定である。このような被告会社の取引開始後の対応の仕方と前記の違法な勧誘行為とを総合すれば、被告会社は、先物取引については素人の原告から可能な限り現金を引き出して、これを相場による損失と相殺させることを当初から企図していたものであつたと言つても過言ではなく、これらの被告会社の行為が社会通念上到底容認しえない違法な取引行為に当たることは明らかである。
(三)  右のような被告会社と原告との取引の経過に鑑みれば、被告会社は、会社ぐるみで右のような違法な勧誘行為とそれに続く仕切り拒否等の不当な取引行為をなしていたことが推認されるのであり、被告会社及び原告との取引に直接加担した被告羽野、同成田、同浅野はもとより、被告会社の代表取締役である被告中野渡も、民法七〇九条、七一九条により、本件取引行為により原告が被つた損害について、故意による共同不法行為責任を負うというべきである。
四  損害
1  財産的損害
原告が被告らの不法行為によつて被つた財産的損害は、前記二に認定したところによれば、原告が被告会社に交付した現金合計一六一〇万円である。
2  精神的損害
民法七一〇条は、財産権侵害の場合にも慰藉料の賠償を認めているが、財産権侵害の場合は、特別事情のない限り、財産的損害の賠償によつて精神的損害も一応回復されると見るべきである。ただし、本件の原告のように教員退職後年金で生活している者が、被告らの前記のような悪質な違法行為により、老後の生活の支えとなる退職金の大部分を失い、更に五〇〇万円の借金まで背負わされるとの極めて深刻な状況に陥つたことにより受ける精神的衝撃は看過しえないものがあり、被告らも原告の資産、生活状態を知りながら、借金までさせて原告の損失を大きくさせていつたことからすれば、被告らの不法行為によつて原告が深刻な状況に陥り精神的衝撃を受けることをも知りえたというべきであり、以上によれば、被告らは原告が被つた精神的損害をも賠償すべきである。そして原告にも不注意な面があつたことも否定しえないとの本件の諸般の事情を総合考慮すれば、原告が被つた精神的損害は五〇万円をもつて慰藉するのが相当であると考えられる。
3  弁護士費用
本件事案の内容に鑑みれば、弁護士費用は右認容額の一割に当たる一六六万円をもつて相当と言うべきである。
4  過失相殺
前記認定のとおり、本件は被告らの故意による不法行為である以上、過失相殺を認めるのは相当ではない。
第二  結論
以上によれば、原告の主位的請求は、右損害合計額一八二六万円及びこれに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日から民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文、仮執行宣言について同法一九六条を適用し、仮執行免脱宣言については相当ではないからこれを却下し、主文のとおり判決する。
(裁判官設楽隆一)
*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296