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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(399)平成12年 8月29日 東京地裁 平6(ワ)15941号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(399)平成12年 8月29日 東京地裁 平6(ワ)15941号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成12年 8月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平6(ワ)15941号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2000WLJPCA08290009

要旨
◆総合商社がニューヨーク州法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップに対して別のパートナーシップを通じて出資する仕組みによる海外不動産投資について、顧客らに勧誘した際の説明義務は、顧客らは成功した実業家としての知識・経験を持ち投資につき十分な判断能力を有していたから、本件投資の重要事項を理解することができるような説明を行うべきであり、かつそのような説明で足りるとし、説明義務違反による損害賠償請求が認められなかった事例

参照条文
銀行法10条1項
銀行法10条2項
銀行法1条
民法709条
民法719条

裁判年月日  平成12年 8月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平6(ワ)15941号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  控訴  文献番号  2000WLJPCA08290009

原告 アセット開発管理株式会社
右代表者代表取締役 中野正夫
外四名
右原告ら訴訟代理人弁護士 若松巌
同 尾形雅之
被告 日商岩井株式会社
右代表者代表取締役 安武史郎
右訴訟代理人弁護士 石井成一
同 小澤優一
同 山田敏章
被告補助参加人 株式会社三和銀行
右代表者代表取締役 室町鐘緒
右訴訟代理人弁護士 秋山泰夫
同 香月裕爾
同 露木琢磨
同 小沢征行
同 藤平克彦
同 香川明久

 

主文
一  原告らの請求をいずれも棄却する。
二  訴訟費用は、参加により生じた部分を含め、原告らの負担とする。

事実及び理由
第一  請求
一  被告は、原告アセット開発管理株式会社に対し、一億四六五九万五四一一円及びこれに対する平成六年八月二四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二  被告は、原告早川正株式会社に対し、一億八五三四万三七四七円及び209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員並びに一億八五三四万三七四七円に対する平成六年八月二四日から、209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員に対する平成一一年六月二三日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三  被告は、原告大川工業株式会社に対し、九八一六万一三六四円及び209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員並びに九八一六万一三六四円に対する平成六年八月二四日から、209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員に対する平成一一年六月二三日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四  被告は、原告有限会社マツモトに対し、一億八三二四万〇五三五円及び209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員並びに一億八三二四万〇五三五円に対する平成六年八月二四日から、209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員に対する平成一一年六月二三日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
五  被告は、原告嵯峨建設株式会社に対し、一億四六五九万五四一一円及び209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員並びに一億四六五九万五四一一円に対する平成六年八月二四日から、209万8673.6米ドルを支払時の為替レートで円貨に換算した金員に対する平成一一年六月二三日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二  事案の概要
本件は、ニューヨーク州法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップに対して別のパートナーシップを通じて出資するという仕組みによる海外不動産投資について、被告が右投資を勧誘する際に説明義務を怠るなどしたことによって損害を被ったとして、原告らが被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案である。
一  前提事実
以下の事実のうち、証拠等を挙げた部分は当該証拠等により認められる事実であり、その余は当事者間に争いがない事実である。
1  当事者間
(一) 原告アセット開発管理株式会社(平成二年当時の商号は、株式会社イフ外語学院。以下「原告アセット」という。)は語学教育関連事業を営んでいた株式会社であり(弁論の全趣旨)、原告早川正株式会社(以下「原告早川正」という。)は繊維製品の製造加工販売、不動産の管理、賃貸及び販売等を目的とする株式会社であり、原告大川工業株式会社(以下「原告大川工業」という。)は航空機、自動車用機材等の製造販売等を目的とする株式会社であり、原告有限会社マツモト(以下「原告マツモト」という。)は理容業、美容業等を目的とする有限会社であり、原告嵯峨建設株式会社(以下「原告嵯峨建設」という。)は建設業等を目的とする株式会社である。
(二) 被告は総合商社であり、被告補助参加人(以下「補助参加人」という。)は銀行である。
2  本件に至る経緯
(一) 被告は原告らに対し、平成二年三月ないし同年五月ころ、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に所在するスタインウェイビルディング(以下「本件ビル」という。)を所有するリミテッド・パートナーシップである一一一ウエスト・フィフティセブンスストリート・アソシエイツ(111West 57th Street Associates。以下「本件リミテッド・パートナーシップ」という。)のリミテッド・パートナーとしての持分を取得する予定であった、ジェネラル・パートナーシップである設立予定のマンハッタン・フィフティセブンスストリート・アソシエイツ(Manhattan 57th Street Associ-ates。以下「本件パートナーシップ」という。)の持分(以下「本件持分」という。)を取得することによる投資(以下「本件投資」という。)への勧誘を行った。
本件ビルに関する本件リミテッド・パートナーシップ、本件パートナーシップ等の投資構造図は、別紙一記載のとおりである。
(二) 原告らは、別紙二記載(なお、右別紙中において、原告アセットは、「イフ外語学院」と表記されている。)の申込金支払日に、申込金二〇〇万円を支払って本件投資の申込みを行い、同記載の契約締結日に、次のとおり、各契約を締結した(以下、これらの契約を合わせて「本件契約」という。)。
(1) 出資申込契約(Subscription Agreement。乙二、一二、二二、三二、四二)
(2) マンハッタン・フィフティセブンスストリート・アソシエイツパートナーシップ契約書(Partnership Agreement of Manhattan 57th Asso-ciates。乙一、一一、二一、三一、四一)
右(1)及び(2)の契約は、原告らと本件パートナーシップのマネジング・ジェネラル・パートナー兼本件リミテッド・パートナーシップのジェネラル・パートナーであるエヌアイ・レプロマ・インク(NI Reproma,Inc.。以下「レプロマ」という。)との間における契約である。
(3) 条件付預託契約(Escrow Agreement。乙三、一三、二三、三三、四三)
エヌアイ・プロパティズ・ユーエスエー(NI Properties USA, Corpora‐tion)との間における契約である。
(4) 担保設定契約(Security and Pledge Agreement)
(5) 金銭消費貸借契約書(乙四、一四、二四、三四、四四)
右(4)及び(5)の契約は、原告らとワールド・リーシング株式会社(以下「ワールド・リーシング」という。)との間の契約である。
(三) 原告らは、本件契約に基づき、各二三一万七九五九米ドル(以下、米ドルを単に「ドル」という。)を本件パートナーシップに出資し、本件パートナーシップの持分割合として各8.32055パーセントを取得した。
3  本件パートナーシップは、平成一一年三月三〇日(米国ニューヨーク時間。日本時間で同月三一日)付けで、その保有する本件リミテッド・パートナーシップのリミテッド・パートナーとしての持分を二九三二万七六二五ドルで売却した(以下「本件売却」という。)。(甲二九)
二  原告らの主張
1  被告は、原告らに対し、以下のとおり、補助参加人と共同して違法な勧誘を行い、また、説明義務に違反したから、不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
2  被告と補助参加人の共同不法行為
(一) 利益相反関係の存在及びその秘匿
(1) 平成二年当時、補助参加人は、原告らに対し、原告らの会社経営全般についての専門アドバイザーとして継続的にサービスを提供しており、補助参加人と原告らの間には、補助参加人が投資に関する専門アドバイザーとして原告らにアドバイスをするという信頼関係が形成されていた。
(2) 被告と補助参加人は、本件投資の勧誘に成功した場合に被告が補助参加人に対して成功報酬として一投資家当たり数百万円を支払うこと等を内容とするコンサルティング契約を締結し、右契約に基づいて本件投資を勧誘したので、本件投資の勧誘に成功すれば、被告から成功報酬を得ることができた。他方、補助参加人の顧客である原告らは、本件投資に参加することで、すべての投資失敗のリスクを負担した。
(3) 以上によれば、補助参加人による本件投資の勧誘は、補助参加人と原告らとの間で利益相反関係(以下「本件利益相反関係」という。)にあることは明らかである。
(4) 補助参加人は、原告らに対し、本件利益相反関係を秘匿したままで、本件投資を勧誘した。
(二) 補助参加人の不法行為
(1) 本件利益相反関係の秘匿による不法行為
補助参加人は、原告らとの間で専門アドバイザーとしての信頼関係にあったので、信義則上の義務として、本件利益相反関係の存在を原告らに開示すべき義務を負っていたが、(一)のとおり、補助参加人は、原告らに対して本件利益相反関係を秘匿して本件投資の勧誘をしたので、右勧誘は、不法行為を構成する。
(2) 銀行法に違反する業務の遂行による不法行為
補助参加人による本件投資の勧誘は、(一)のとおり、原告との間の利益相反行為であり、原告らを財産喪失の危険に晒すことによって補助参加人及び被告を利得させるものであるから、銀行法の趣旨(同法一条)である銀行の公共性に反し、原告らの銀行に対する信用を悪用する違法行為である。
また、補助参加人による本件投資の勧誘は、銀行として許容されている業務以外の行為に当たり、原告らの投資による損失のリスクを負担させ補助参加人及び被告を利得させるものであるから、銀行法に違反するだけでなく、民事上の違法行為を構成する。
(三) 被告の不法行為責任
被告は、補助参加人と共謀し、積極的に補助参加人による違法行為を利用する意図で、補助参加人による本件投資の勧誘を教唆、幇助したので、原告らに対し共同不法行為責任を負う。
3  被告の説明義務違反による不法行為
(一) 説明義務の根拠
(1) 本件投資は、ニューヨーク州法に基づいて設立されたリミテッド・パートナーシップに対して、別のパートナーシップを通じて出資するという仕組みによって、米国に所在する不動産にドル建てで投資するものであるが、平成二年当時、我が国において、このような仕組み及び本件投資に伴うリスクは社会的に周知されていなかった。
(2) 原告らは、本件投資に伴うリスクを認識する機会を有しなかったので、自己責任の原則の前提を欠いていたのに対し、被告は本件投資について豊富な情報と経験を有していたのであるから、被告は、原告らに対し、原告らが本件投資に参加するか否かを判断するに当たって必要不可欠な本件投資の概要及び本件投資に伴う危険性を説明すべき信義則上の義務を負っていた。
(二) 説明の方法
前記のとおり、本件投資の仕組み及びリスクは周知性が低かったので、被告は、原告らに対し、本件投資の仕組み及びリスクを具体的に記載した書面を事前に交付し、その書面に基づいて説明を行い、本件投資の仕組み及びリスクについての理解、納得を得て、原告らが自己責任による判断で本件投資に参加することを確認書という書面の形で確認すべき義務を有していた。
(三) 説明の時期
本件投資の説明は、原告らが本件投資への参加の適否を判断するだけの十分な時間的余裕をもって行わなければならないところ、原告らは、本件投資への参加の申込みに際して、二〇〇万円の申込金(以下「本件申込金」という。)の支払を要求されていたので、被告は、原告らに対し、本件投資の説明を本件申込金の支払期日前までに行う必要があった。
(四) 説明の内容
(1) 利益相反関係について
補助参加人による本件投資の勧誘は原告らとの関係で利益相反行為に当たるので、被告は、被告と補助参加人との間のコンサルティング契約の存在、補助参加人が被告から成功報酬を得ること、原告らは補助参加人以外の投資アドバイザーを探す必要性があること、補助参加人は被告の代理人として本件投資を勧誘するのであり通常の投資紹介とは異なることを事前に説明すべき義務を負っていた。
(2) 為替リスクについて
本件投資には為替リスクが存在するところ、被告は、単に為替リスクの存在を指摘するだけでなく、本件投資において、為替レートの変動によってどのような影響が生ずるのかを、具体的数字を用いて説明すべき義務を負っていた。
(3) 本件ビルの管理運営者について
本件投資の成否は本件ビルの管理運営者の管理運営能力に大きく依存しているので、被告は、原告らに対し、本件ビルの管理運営者に関する事項、すなわち、本件ビルの実際の管理運営者が米国人のジェーコブス及びシーゲル(以下「ジェーコブスら」という。)であることを説明すべき義務を負っていた。
(4) 不動産マーケットリスクについて
米国では、不動産の価値は収益還元法によって決定されるので、本件ビルの賃料水準、金利水準及びこれらの動向予想が、本件投資の不動産マーケットリスクを判断する重要な要因となり、また、誰が本件ビルの管理運営を行うのかが投資判断を行う際の重要事項となる。したがって、被告は、原告らに対し、単に本件投資には不動産マーケットリスクがある旨指摘するだけでなく、そのリスクが日本で理解されている不動産投資のリスクと異なること及び米国において不動産マーケットリスクが発生する仕組みを説明すべき義務を負っていた。
(5) 元本保証がないことについて
補助参加人の従業員は、原告らに対し、本件投資は節税商品であると説明したところ、節税商品は投資元本の安全が確保されているとの理解があることは公知の事実であり、また、平成二年当時、日本では不動産価格は長期的には値上りするという土地神話が根強く残っていた。したがって、被告は、本件ビルの価格決定メカニズムを具体的に説明し、土地神話が本件ビルには妥当しないこと及び節税商品であるとの説明は減価償却費という名目上の費用が発生することを意味するに止まり、投資元本が保証されているものではないことを説明すべき義務を負っていた。
(6) 投資対象について
投資家がパートナーシップの出資持分を取得し、投資家の権利、義務の内容はパートナーシップ契約において自由に定められるという本件投資の形態は、周知性がなかったので、被告は、本件投資で投資家が取得するのは本件パートナーシップのパートナーとしての出資持分であり、投資者がどのような権利を取得し、どのような義務を負担することになるのかなどについて説明すべき義務を負っていた。
(7) (1)ないし(6)の外に、被告は、以下の各事実を説明すべき義務を負っていた。
ア ジェーコブスらの権限
原告らに対する分配は、ジェーコブスらの自由裁量に委ねられており、本件ビルからの賃料収入及び本件ビルの売却代金が直接投資家に分配されるものではなく、本件パートナーシップにおけるジェーコブスら以外のパートナーは、ジェーコブスらの決定に対し反対する権利はないこと。
イ 優先配当を受ける権利の内容
原告らが有する七パーセントの優先配当を受ける権利は、本件リミテッド・パートナーシップの解散時及び本件ビル全体を売却したときの清算金分配時には、それまでの未分配分も含めて消滅すること。
本件投資に係る説明資料である被告作成の一九九〇年一月付けの米国不動産小口化投資と題する書面(甲一)及び同年四月付けの同題名の書面(甲二。以下、甲一を「本件説明資料一」と、甲二を「本件説明資料二」という。)における「テナントの変動リスクに対して一定の緩衝効果を備えた安定した商品」との記載は、本件ビルからの賃料収入が一定額以上であり、かつ、米国側パートナーが予備費などの積増しをしないで分配原資とする場合にのみ妥当すること。
ウ 米国側パートナーの優遇
本件リミテッド・パートナーシップの米国側パートナーは、日本側パートナーと異なり、二五〇万ドルの特別分配可能原資を有しており、日本側パートナーと異なる分配を受けられること。仮に右特別分配可能原資が特別に出資していることに対応するものである場合は、右特別出資の存在及び性格。
本件リミテッド・パートナーシップの解散時及び本件ビル全体を売却したときの清算金の分配は、過去の分配実績とは無関係に行われ、また、その時点での残存簿価と無関係に行われることから、日本側パートナーは、米国側パートナーと比して不利に取り扱われる危険性があること。
エ 本件リミテッド・パートナーシップの残存期間
本件投資が投資後一〇年を経過した時点で終了しない可能性の存在、その場合に各投資家が負担することになる債務、出損。
オ 本件パートナーシップの管理運営等
本件パートナーシップの管理の方法、収益等の配分及び分配方法、レプロマが本件パートナーシップから受け取る手数料、レプロマをマネジング・ジェネラル・パートナーから解任した場合にレプロマに対して支払わなければならない特別支払、クロージング名目費用の内訳、レプロマの受取予定金額及びその内訳。
(五) 説明義務違反
被告は、原告らに対し、(四)記載のとおりの説明をすることを怠った。
4  各原告に対する違法な勧誘
補助参加人及び被告は、原告らに対し、次のとおり個別的に違法な勧誘を行った。
(一) 原告アセット
(1) 強引な勧誘
補助参加人の担当者は、泣いて本件投資へ参加を訴え、原告アセットが補助参加人の社員を語学教育の生徒として受け入れていることを考えてほしいと言うなどして本件投資を積極的に勧誘し、損失が発生する危険についてはほとんど説明しなかった。
(2) リスク
補助参加人の従業員は、原告アセットに対し、為替リスクについてはほとんど危険はない、賃料収入で借入金利を賄えるなどと説明した。
(3) 元本保証
補助参加人の従業員は、原告アセットに対し、本件投資において原告アセットに発生する損失は、投資対象不動産に天変地異が発生した場合に、最大限で補助参加人から本件投資資金として借入れを受ける予定であった一億五〇〇〇万円である旨説明し、ワールド・リーシングからの借入金について、原告アセットが独自に負担する債務であるとの説明をしなかった。
(二) 原告早川正
(1) 誤った説明による勧誘
補助参加人の従業員は、本件ビルの評価額が八四〇〇万ドルであり、日本人投資家による投資合計額約四〇〇〇万ドルが本件ビルのリニューアル費用として使用され、その結果、本件ビルの賃料収入は一平方フィート当たり二〇ドルから四〇ドルへの上昇が見込まれるとの誤った説明をした。
右説明の結果、原告早川正は、本件ビルの資産価値は約一億二千万ドルとなり、賃料収入も倍増するものと誤解した。
(2) 為替リスク
補助参加人の従業員は、原告早川正に対し、本件投資の仕組み上、円ドル間の為替レートが変動しても本件投資への影響はないかのような説明をした。
(三) 原告大川工業
補助参加人は、原告大川工業に対し、補助参加人本所支店長の手書きした書面(甲五。以下「本件書面」という。)を交付した。本件書面は、支店長による手書きの書面としてより信用しやすい上、本件投資に伴うリスクについての言及がなく、本件投資が安全かつ極めて投資収益率の高いものであるとの断定的判断を提供する内容が述べられている。
さらに、被告及び補助参加人は、右断定的判断を提供したことに対する是正措置を行わなかった。
(四) 原告マツモト
(1) 為替リスク
補助参加人の従業員は、原告マツモトに対し、あたかも本件投資の仕組み上、円ドル間の為替レートが変動しても、本件投資への影響はないかのような説明をした。
(2) 執拗な勧誘
原告マツモトは、多額の借入れを伴う本件投資への参加することには消極的であったが、補助参加人の従業員は、夜間に原告マツモトの代表者の自宅を訪問して本件投資への参加の勧誘を行った。このような執拗な勧誘は、社会通念上相当な範囲を逸脱したものである。
(3) 勧誘拒絶の困難性
原告マツモトは、執拗な勧誘を受け、原告マツモトの事業を継続していくためには補助参加人との良好な関係を維持していく必要性があったため、本件投資への参加を決定したものであり、勧誘を拒絶することが困難であった。
(五) 原告嵯峨建設
補助参加人の従業員は、原告嵯峨建設に対し、為替リスクについて半分くらいヘッジがついているなどと説明しただけであり、為替リスクに関する説明をしなかった。
5  米国連邦証券法違反の勧誘
本件投資は、米国連邦証券法上有価証券に対する投資に分類されるところ、同法によれば、本件投資への勧誘に用いられた書面には、投資対象であるジェネラル・パートナーシップ持分は、同法に基づき登録された場合又は同法に基づく登録を免除された場合を除いて、米国籍の者又は米国の居住者に転売することができない旨の文言を必ず記入しなければならないにもかかわらず、本件で用いられた書面には右文言が記入されていないのであるから、本件投資への勧誘は、同法に違反する。
6  損害額
(一) 原告ら全員
(1) 提携ローンの金利負担
本件投資において、ワールド・リーシングから提携ローンの借入れを行うことが参加の条件であったため、原告らは、ワールド・リーシングから、一二六万二四七三ドル相当の日本円(平成二年六月当時の為替レート(一ドル154.7円)で換算して、一億九五三〇万四五三七円)を、固定金利年率8.1パーセント、元金返済日平成一二年六月一五日、利息支払日毎年一月一日、四月一日、七月一日及び一〇月一日との約定で借り入れた。
その結果、原告らは、次のとおりの利息支払債務を各自負担したところ、これらは被告の不法行為によって原告らが被った損害である。
ア 原告アセット、同早川正、同マツモト及び同嵯峨建設
合計 各一億四六五九万五四一一円
・平成二年六月二一日から平成六年六月三〇日までの支払済み利息
各六四一八万八八四六円
・平成六年七月一日以降の利息として別紙三記載のとおりの利息支払債務を負担しているところ、その損害額の現在価値
各八二四〇万六五六五円
イ 原告大川工業
合計 七三六七万七二七〇円
・平成二年六月一二日から期限前弁済日の平成六年一月三一日までの支払済み利息
五七三七万七二七〇円
・期限前弁済に伴う違約金
一六三〇万円
(2) 自己資金に係る銀行利息
原告らは、各自、出資金一〇五万五四八六ドル(平成二年六月当時の為替レート(一ドル154.7円)で日本円に換算して、一億六三二八万三六八四円)を出資するため、金融機関からの借入れを行い、次のとおりの利息を支払ったところ、右支払利息は被告の不法行為によって生じた損害である。
ア 原告早川正
三八七四万八三三六円
自己資金分として、補助参加人から一億六三二八万三六八四円を借り入れたところ、これについての支払済み利息である。
イ 原告大川工業
二四四八万四〇九四円
自己資金分として、補助参加人から米国ドル建てインパクトローンとして一〇五万五四八六ドルを平成二年六月一二日に借り入れ、平成四年六月一二日付けで補助参加人から一億五〇〇〇万円を借り換えたところ、これらに対する支払済み利息である。
ウ 原告マツモト
三六六四万五二一四円
自己資金分一億六三二八万三六八四円のうち、一億二〇〇〇万円を株式会社住総から平成二年六月一五日付けで借り入れ、これについての支払済み利息である。
(二) 原告アセットを除く原告ら
(1) 本件売却による損害
各69万7501.3ドル
本件売却によって、原告らは、本件持分の価格低下により、出資額三七七一万〇五〇〇ドルと売却額二九三二万七六二五ドルとの差額である八三八万二八七五ドルの8.32055パーセント(持分割合)相当である各69万7501.3ドルの損害を被った。
(2) 本件パートナーシップによる借入れについての支払利息相当額
各140万1172.3ドル
本件パートナーシップは、平成二年六月一五日、被告の完全子会社であるエヌアイ・プロパティーズ・ユーエスエーから、年利10.8パーセントの約定で一七八二万ドルの借入れ(以下「本件米国借入れ」という。)を行い、毎年一九二万四五六〇ドルの利息を支払ったところ、その支払利息総額は、一六八三万九九〇〇ドル(一九二万四五六〇ドルに、原告らが本件投資契約を締結した後である平成二年七月一日から本件投資が終了した平成一一年三月三一日までの期間である8.75年を乗じたもの)を下回ることはない。
本件米国借入れは、本件投資の仕組みに初めから組み込まれていたものであり、原告らは、被告の違法な勧誘によって本件投資に参加しなければ、この利息債務は負担しなかった。
よって、原告らは、被告の違法な勧誘によって、一六八三万九九〇〇ドルの8.32055パーセント(出資持分)である各140万1172.3ドルの損害を被った。
(3) (1)及び(2)の合計
各209万8673.6ドル
7  よって、原告らは、被告に対し、不法行為に基づき、原告アセットは6(一)記載のとおりの、原告アセット以外の原告らは6(一)及び(二)記載のとおりの損害の賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を請求する。
三  被告の主張
1  補助参加人による不法行為の不成立
(一) 利益相反関係の主張に対して
(1) 補助参加人が、いわゆるメインバンクとしての立場を超えて、原告らの投資アドバイザーとしての立場にあり、特別な法的義務を負担していたことはない。
(2) 補助参加人と原告らとの間に、利益相反関係は存在しない。
すなわち、原告らは、重要なリスクの存在を理解した上で、自己の経済的利益を図るために本件投資に参加したものであり、本件投資の勧誘が原告らの犠牲の下に補助参加人が自己の利益のみを図るための行為であったかのような原告の主張は、失当である。
補助参加人が、本件投資に関して補助参加人が融資をした原告早川正及び同大川工業から融資金につき金利の支払を受けたのは当然のことであり、また、被告が利益を得ることと、補助参加人が利益を得ることとは別問題である。よって、補助参加人による本件投資の勧誘が、原告らとの関係で利益相反行為に当たるとはいえない。
(3) また、原告らは、本件投資の内容を理解して、自らの利益を図るために本件投資に参加したのであり、原告らの主張する本件利益相反関係の有無によって原告らの投資判断が左右されたとは解されず、原告らの主張する利益相反関係の開示の有無と、原告らの投資意思の形成との間には因果関係がないので、仮に原告らが主張する本件利益相反関係が存在したとしても、補助参加人が本件投資の勧誘に際して、これを開示すべき法的義務はない。
(二) 補助参加人が原告らの補助参加人に対する信用を悪用したことはない。
(三) 以上のとおり、補助参加人が原告らに対し、違法な行為をしたことはなく、被告が原告らに対し、補助参加人と共同不法行為責任を負うこともない。また、被告が、補助参加人の違法行為を利用しようとして、補助参加人と共謀し、又は補助参加人を教唆幇助したこともない。
2  説明義務違反の不存在
(一) 被告及び補助参加人は、本件投資の内容について、その基本的仕組み及び本件投資に伴う重要なリスクを説明したので、説明義務違反はない。
(二) 原告らの投資家としての適性
原告らは、いずれも、事業家であり、節税効果によって法人税額を節減し、課税を免れた資金による運用を図り、更に将来不動産マーケットが上昇した場合の譲渡益も得られるという経済的利益を目的として本件投資を行ったのであるから、原告らが本件投資の仕組みを理解する能力に欠けていたという原告らの主張は失当である。
(三) 説明の方法
(1) 説明の方法として確認書を要求する法的根拠はない。
(2) 本件投資の基本的仕組みやリスクについては、本件説明資料一、二とそれに基づく被告及び補助参加人の説明で十分であり、被告に説明義務違反はない。
(四) 説明の時期
契約は、その締結により当事者間に拘束力が生じるのであり、契約締結時までに得た情報によって契約を締結するか否かを決定することができるのであるから、本件投資についての説明義務が履行されたか否かの判断も本件契約締結時を基準とするべきである。
(五) 説明の内容
(1) 本件投資の仕組みについて
本件説明資料一、二は、本件投資の仕組みを分かりやすく説明するものであり、補助参加人及び被告の従業員は、右資料を原告らに交付して、これに基づいて十分に説明した。
(2) 管理運営者について
本件リミテッド・パートナーシップにおいては、本件ビルの価値に影響を与える可能性のあるような管理運営の重要事項については、すべてジェネラル・パートナーであるレプロマが関与して決定することとなっており、その他の日常的な管理運営業務を行う者が誰であるかは、投資判断に当たって重要な事項ではない。また、本件投資において、米国にある本件ビルの日常的管理や本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営業務が米国人である第三者に委託されることは、投資家の合理的予測の範囲内である。したがって、ジェーコブスらという特定人が、本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営業務を委託されることについて説明がなかったとしても、説明義務違反に当たらない。
また、本件投資の収支が、当初の予想と異なる結果になったことは、主として急激な円高による為替リスクの発生及び不動産マーケットリスクの発生が原因であり、ジェーコブスらの行為が原因ではないので、原告らの主張する管理運営者に関する説明義務違反と損害との間には因果関係はない。
(3) 投資リスクについて
本件投資における重要なリスクは、持分を自由に譲渡することができないこと、為替変動、不動産市場の変動、税制度の変動等によって、収支が当初の予測と異なりうることであるところ、このような重要なリスクは、原告らに交付した本件説明資料一、二に明確に記載されており、補助参加人の担当者及び被告従業員は、原告らに対して、右リスクについて説明した。
会社経営者である原告らの代表者らにとって、本件投資に不動産マーケットリスクが付随することは、説明するまでもない自明のことであり、被告は、原告らが主張するような不動産マーケットリスクに関する事項について説明義務を負わない。
3  各原告に対する勧誘
(一) 原告アセット
原告アセットが主張する、補助参加人の従業員が原告アセットに対し、本件投資の参加を泣いて要請し、原告アセットが補助参加人の社員の語学研修先となっていることを考慮してくれと言ったため断れなかったという事実があったとしても、これは、本件投資への参加の有無を決定付ける要因とはなり得ない。
また、被告及び補助参加人が、為替リスクがほとんどない、本件投資は元本が保証されたものであるなどという説明をしたことはない。
(二) 原告早川正
被告及び補助参加人が原告早川正に対し、誤った説明による勧誘や、為替リスクがないという説明を行ったことはない。
(三) 原告大川工業
本件書面は、本件投資に関するB5版一枚の手書きの簡単な案内文書であり、しかも、利回りや節税効果についていずれも見込みであることを明記しており、本件投資が元本の保証されたものであることや投資収益率は保証されているといった文言はなく、これにより被告及び補助参加人が断定的判断を提供して勧誘した事実はない。
(四) 原告マツモト
被告及び補助参加人が原告マツモトに対し、本件投資には為替リスクがない、元本が保証されるなどの説明をしたことはない。
また、被告及び補助参加人が原告マツモトに対し、社会的相当性を逸脱した態様の勧誘を行った事実はなく、また、原告マツモトが主張する被告らの勧誘方法と原告マツモトが本件投資に参加したこととの間には因果関係がない。また、原告マツモトが本件勧誘を拒絶することができなかった事情もない。
4  米国連邦証券法違反の不存在
米国連邦証券法においては、原則として有価証券の売出しを行うには同法五条の定める登録をしなければならないが、外国人に対する外国だけでの売出しで、米国籍の者又は米国居住者に対する転売を防止するための合理的な手段を講じている場合には右登録義務を免除されるところ、本件投資の勧誘においては、米国籍の者又は米国居住者に対する転売をすることができない旨明示するなど、米国籍の者又は米国居住者に対する転売を防止するための合理的な手段を講じているので、同条の登録義務を免除され、したがって、同法の違反はない。
四  補助参加人の主張
1  銀行法違反の不存在
本件投資に関する被告と補助参加人の間における契約は、銀行が顧客に提供する業務等についてのもので、一般にファイナンシャル・アドバイザリー契約と称される契約であって、右契約に基づくサービス(以下「本件サービス」という。)の提供は、銀行法一〇条二項柱書所定のその他の銀行業に付随する業務(以下「付随業務」という。)に該当する。
すなわち、銀行が、金融の専門家として有する特殊な知識、経験、能力をもって、顧客のニーズに応えるべく役務を提供することは、一般的に付随業務に含まれる。また、業務の提供について一定の手数料の支払を受けることは、合理的に決定されたものである限りは当然に許される。
本件サービス、すなわち、商品設計に関する助言、資金調達及び通貨選択に関する情報提供、取得物件に関する助言並びに日本における不動産小口化販売の市場動向に関する情報提供は、銀行業務との関連性、親近性を有する業務であり、付随業務に該当する。
また、補助参加人が被告の依頼を受けて補助参加人の顧客に被告の募集する本件投資を紹介すること自体は、銀行の固有業務に付随する事実行為である。仮に、補助参加人の従業員が、本件投資の紹介を超えて、参加の勧誘を行ったとしても、補助参加人が被告に提供した本件サービスの成果は、本件投資への参加が成約、実行された時点で結実することになるから、補助参加人が受領する手数料は補助参加人が被告に提供した本件サービスの成功報酬と考えられるので、銀行法に違反するものではない。
2  利益相反関係の不存在
補助参加人が、原告らの資産全般にわたりコンサルタントとして継続的に行動し、コンサルタントとしての信頼関係を形成していたことはない。
投資の勧誘が利益相反行為に当たるのは、その投資先が投資資金の運用でもって必ず顧客に損害を与えるということを勧誘の時点で勧誘者が認識している場合に限られ、それ以外の投資の勧誘は利益相反行為となることはない。
本件では、補助参加人の従業員は、本件投資において顧客である原告らに必ず損害を与えるものであるとの認識はなく、また、原告らにとって利益となると信じて行為した場合には利益相反行為には当たらないので、補助参加人は、原告らと利益相反関係にない。
五  争点
1  被告が原告らに対し、補助参加人と共同して違法な勧誘をしたか。
2(一)  被告が原告らに対し、説明義務を怠ったか。
(二)  被告が米国連邦証券法に違反し、違法な勧誘をしたか。
3  原告らの被った損害額
第三  当裁判所の判断
一  前記前提事実に、証拠(甲一ないし四一、乙一ないし五五、丙一ないし五七(以上、枝番を含む。)、証人石畠一己、同穂積重光、同藤森健悦、同海野寿雄、同加藤博雄、同金田次孝、同上田幸三、同塩見政明、同鷲見英二、原告アセット代表者、同早川正代表者、同大川工業代表者、同マツモト代表者)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。
1  本件投資の概要
(一) 本件投資の仕組み
(1) パートナーシップを通じた投資の仕組み
本件投資は、本件ビルを所有する本件リミテッド・パートナーシップの全持分の五〇パーセント弱に相当するリミテッド・パートナー持分を取得するために米国に設立される予定であったジェネラル・パートナーシップである本件パートナーシップの持分に対する投資である。
右にいうパートナーシップとは、米国における営利のための経済主体であり、パートナーシップ名による不動産の登記が認められている。パートナーシップにおけるパートナーには、ジェネラル・パートナーとリミテッド・パートナーがあり、ジェネラル・パレトナーは、当該パートナーシップの責任について無限責任を負うが、パートナーシップの経営に参画することができる。これに対し、リミテッド・パートナーは、有限責任であり、出資の範囲内でパートナーシップに対して責任を負い、パートナーシップの債権者に対して責任を負わないが、事業の経営に参画することができない。
(2) 本件リミテッド・パートナーシップのパートナー構成
本件リミテッド・パートナーシップは、次のパートナーによって構成されていた。
ア ジェネラル・パートナー
ジョセフ・ジェーコブス、アレン・ジーゲル、ビーエスシー・サービス・コープ、レプロマ(被告の完全子会社である。)
イ リミテッド・パートナー
ビーエスシー・フィフティーセブンス・ストリート・アソシエイツ、ユージン・ロマノ、本件パートナーシップ(以下、レプロマ及び本件パートナーシップを合わせて「日本側パートナー」といい、その余のパートナーを合わせて「米国側パートナー」ということがある。)
(3) 本件リミテッド・パートナーシップに対する日本側パートナーの持分
原告ら日本人投資家は合計で本件パートナーシップの99.8466パーセントの持分を取得し、レプロマが残りの0.1534パーセントを取得した。
本件パートナーシップは、本件リミテッド・パートナーシップの持分の49.401パーセントを取得し、レプロマが本件リミテッド・パートナーシップのジェネラル・パートナーとして0.2495パーセントを取得し、日本側パートナーが合わせて本件リミテッド・パートナーシップの49.6505パーセントの持分を取得した。
(4) 本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法
本件リミテッド・パートナーシップについては、そのパートナー間において、リミテッド・パートナーシップ契約(Agreement of Limited Partner-ship of 111 West 57th Street Associ-ates。甲三の1、2)が締結され、また、そのジェネラルパートナー間において、ジェネラル・パートナー運営契約が締結された。
本件リミテッド・パートナーシップのジェネラル・パートナーであるジェーコブスらは、右ジェネラル・パートナー運営契約に従って本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営に責任を負い、その決定は、レプロマを拘束するものとされていた。なお、右決定のうち、一定の重要事項(本件ビルの年間予算の承認、本件ビル全部の売却、本件ビルについての賃貸基準の承認等)については、ジェーコプスら及びレプロマ全員の一致による同意が必要とされており、これによりレプロマも、本件リミテッド・パートナーシップの管理運営上の重要事項についての経営判断に関与することとされていた。
(5) 本件リミテッド・パートナーシップにおける収益等の分配
ア 分配可能なキャッシュフロー及び純収益は、イ、ウの場合を除いて、次のとおり分配されることとされていた。
・第一に、三五万ドルを、日本側パートナーに対して49.6505パーセント、米国側パートナーに対して50.3495パーセント
・第二に、日本側パートナーに対して四万六二〇一ドル
・第三に、米国側パートナーに対して四万六八五二ドル
・分配されずに残った部分について、日本側パートナーに対して49.6505パーセント、米国側パートナーに対して50.3495パーセント
イ 日本側パートナーの優先配当等
平成二年六月一五日から平成八年六月一四日までの六年間、日本側パートナーは、利用可能なキャッシュフローの49.6505パーセントと年二六三万九七三五ドルとのいずれか多い方の金額(以下「日本側優先配当」という。)を受領する権利を有する。
ウ 米国側パートナーの特別持分出資
米国側パートナーは、総額二五〇万ドルの特別持分出資(以下「特別出資」という。)を行い、右出資金及びその利息は、ジェーコブスらが決定する方法で利用するが、平成四年六月一五日以前は、本件特別出資のうち一一五万ドルは、本件リミテッド・パートナーシップの債務又は日本側優先配当のいずれかの支払にのみ充当することができ、米国側パートナーに対して分配されない。この特別出資に対応して、米国側パートナーは、二五〇万ドルの特別分配可能原資を有する。
(二) 本件投資において見込まれた経済的効果
本件ビルは、一九二四年築であり、日本の税務上、本件投資への勧誘時において、既に法定耐用年数(鉄骨造り建物の場合は四五年)を超えたものとして取り扱われ、耐用年数が九年とされる。したがって、投資家は、本件投資の対象商品の価額を減価償却し、各年度の償却額を経費化して課税所得を低減し、課税を繰り延べることにより、課税額を節減することが可能であった。
また、本件持分を売却する際に、不動産市況によっては、キャピタルゲインを得ることも可能であった。
(三) 投資家の資金調達方法
(1) 本件投資の投資金額のうち、約二八パーセントは投資家が自己資金で支払い、残りの七二パーセントは円建て及びドル建ての提携ローンにより借り入れることが条件であった。
右提携ローンのうち、投資総額の約三九パーセント相当分はドル建てのローン(以下「ドル建て提携ローン」という。)であり、約三三パーセント相当分は円建てローン(以下「円建て提携ローン」という。)であった。円建て提携ローンは、ワールド・リーシングからの借入れ(貸主に対して元本及び利息の支払義務を負う通常の金銭消貸借契約)であるのに対し、ドル建て提携ローンは、投資家個人への貸付けではなく、投資家の有する本件持分を担保とする本件パートナーシップに対する融資であり、ノンリコースローン(債務者が返済を怠った場合に、債権者は担保物件の範囲内でのみ回収することができ、債務者が提供した担保物件の価値が不足しても、不足部分について債務者は支払義務を負わず、一般財産は引当てにならない形態のローン)であった。
(2) 原告らは、それぞれ、本件投資の自己資金分としての合計二三一万七九五九ドル相当のうち、自己資金として一億六三二八万三六八四円を用意し、円建て提携ローンとして一億九五三〇万四五七三円をワールド・リーシングから借り入れて、本件投資に参加した。
(四) 本件申込金の支払
本件投資においては、本件契約の締結に先立って、投資予定者は、本件申込金を支払うこととされていたが、最終的に本件投資に参加しない場合には、本件申込金は申込者に返還されることとされていた。
2  本件投資の説明に使用された資料の記載
本件投資の説明に使用された本件説明資料一、二には、次の内容の記載がある。
(一) 投資目的(本件説明資料一、二)
ニューヨーク市マンハッタンの一等地にあるオフィスビルに日本からの直接投資を行い、高利回りの運用と将来のキャピタルゲインを目的とする。
(二) 本件投資の概要
(1) 本件説明資料一
現在、当該オフィスビルを保有している本件リミテッド・パートナーシップに直接投資(リミテッド・パートナー)を行い、投資家が共同で本物件の49.9パーセントを所有する。このパートナーシップのジェネラル・パートナーには、被告の子会社とベアー・スターンズ(BEAR STEARNS)社の子会社が就任の上、投資の管理と運営を行う。
(2) 本件説明資料二
現在、当該オフィスビルを保有している本件リミテッド・パートナーシップに直接投資(リミテッド・パートナー)を行い、投資家が共同で本物件の49.6505パーセントを所有する。日本投資家グループのジェネラル・パートナーには、被告の子会社が就任の上、投資の管理と運営を行う。
(なお、本件説明資料一、二ともに、本件投資の仕組みを図解する別紙一と同様の資料が添付されている。)
(三) 投資金額(本件説明資料一、二)
一口当たりの投資金額は三八三万二一二五ドルであり、その約七二パーセントについて被告により準備された提携ローンがセットされている。したがって、今回の投資は、自己資金(二八パーセント)一〇八万四六五三ドル、提携ローン(七二パーセント)二七四万七四七二ドル、合計三八三万二一二五ドルで行われる。
提携ローンについては、日米双方にて節税効果を最大限にし、為替リスクの低減を図るため、一口当たり投資総額の三九パーセント相当(一四八万五〇〇〇ドル)については、米国における物件所有パートナーシップへのドル建てローンとし、残り三三パーセント(一二六万二四七三ドル)については国内における各投資家への円建てローンとなる。右ローンのうち、ドル建てローン(三九パーセント)については、各投資家のパートナーシップ権益持分を担保とするノンリコースローンであり、投資家は元本及び金利の返済につき責任を負わないが、円建てローン(三三パーセント)については、リコースローンであり、投資家はその元本及び利息の返済につき責任を負う。いずれのローンも元本返済方法は満期一括返済となる。
(四) 投資期間(本件説明資料一、二)
一〇年(不動産市況が良いと判断される場合、九年未満で物件を売却して終了することがある。)
(五) 年率七パーセントの優先配当(本件説明資料二)
取得後六年間にわたり、米国側パートナーから物件購入費用(三七七一万ドル)に対し、年率七パーセントの優先配当が約束されている。
この優先配当は、米国側パートナーに帰属する収益のうち、米国側パートナーの持分を担保とした借入金二〇〇〇万ドルの金利支払後のキャッシュフローにより充当される。
(六) 本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営
(1) 本件説明資料一
被告及びベアー・スターンズ(BEAR STEARMS)社の米国関連会社がジョイント・ベンチャーで当組合のジェネラル・パートナーに就任し、管理運営を行う。
本件ビルの管理運営、テナントの募集活動等は、ベアー・スターンズ(BEAR STEARNS)社の関連会社であるカメオ・マネージメント・インク(CAMEO MANAGEMENT INC.)が行うので、投資家は、不動産の管理運営には一切手がかからないようになっている。
(2) 本件説明資料二
被告及び米国子会社が日本の投資家で組成される当組合のジェネラル・パートナーに就任し、管理運営を行う。
ビルの管理運営、テナントの募集活動等は、ベアー・スターンズ(BEAR STEARNS)社の関連会社であるカメオ・マネージメント・インク(CAMEO MANTGEMENT INC.)が行うので、投資家は、不動産の管理運営には一切手がかからないようになっている。
(七) 収支予想(本件説明資料一、二)
資料として、「一口当たり損益予想」及び「一口当たり資金収支予想」と題する表が添付されており、右各表には、注意書きとして、「この採算予想表は、現時点で予想しうるプロジェクトの収益、費用を日米の会計税務基準に基づいて算出されたもので確定したものではなく、保証するものではありません。」と記載されている。
また、本件説明資料一の右添付資料には「為替レート 取得時一ドル一五〇円」と、本件説明資料二の右添付資料には「為替レート 取得時一ドル一六〇円」とそれぞれ記載されている。
(八) 投資リスク
(1) 為替リスク
ア 本件説明資料一
約四〇パーセントはドル建てで為替リスクはヘッジしているが、残りの六〇パーセントは円投資となるので、投資期間のローン金利支払及び元本返済について為替リスクがある。
イ 本件説明資料二
約三九パーセントはドル建てで為替リスクはヘッジしているが、残りの六一パーセントは円投資となるので、投資期間のローン金利支払及び元本返済について為替リスクがある。
(2) 不動産マーケットにおけるリスク(本件説明資料一、二)
ニューヨークのオフィス市場の変動に伴う不動産マーケットのリスクがある。場合によっては、当初の収支予想どおりの収益が得られないこともある。
(3) 持分権の譲渡(本件説明資料一、二)
持分権の譲渡は、原則としてすることができないが、ジェネラル・パートナーの承認を得た場合及び特別なケースでは可能である。
(4) 税制度の変更リスク(本件説明資料一、二)
投資期間中に、米国又は日本において税制に変更が生じた場合、その影響を受けることがあり得る。
(5) その他(本件説明資料一、二)
本小口化投資スキームについては、被告において日米の弁護士、公認会計士に相談、指導を仰いでいるが、貴社(投資家)においても、税務顧問、弁護士等に相談されたい。
3  本件投資の説明、勧誘における被告と補助参加人との関係等
(一) 被告は、本件投資への投資家を募集するため、取引先の銀行、企業等に投資家の紹介を依頼していたが、平成二年二月から同年三月ころ、補助参加人の事業開発部から、補助参加人の顧客に不動産投資のニーズがあるとの話が持ち込まれた。そこで、被告は、補助参加人に対し、投資家の紹介及び商品の仕組みや海外の市場変動についてアドバイスを行うことなどのコンサルティングサービスを依頼した。
(二) 補助参加人は、被告に対し、本件投資について、平成二年四月九日付けで次の内容の申込みをし、被告は同月一三日付けでこれを承諾した(以下、右の合意に基づく契約を「本件ファイナンシャル・アドバイザリー契約」という。)
(1) 補助参加人は、被告に対し、本件ビルの小口化計画実現のため、次のサービスを提供する。
ア 不動産小口化スキームに関する助言(商品設計に関する助言、資金調達及び通貨選択に関する情報提供、取得物件の買収に関する助言)
イ 日本における不動産小口化販売の市場動向に関する情報交換
ウ その他、被告と補助参加人との間で別途定める事項
(2) 右(1)のサービスを受けるに当たり、被告は、補助参加人を本案件に関わるファイナンシャル・アドバイザーに任命し、国内顧客との折衝を行うことについての権限を委任する。
(3) 被告は、補助参加人に対し、本件ファイナンシャル・アドバイザリー契約に基づくサービスの提供の対価として、基本手数料として二五万ドル、追加手数料として補助参加人のサービスの提供により販売が成約、実行された口数に八〇〇万円を乗じた金額をそれぞれ支払う。
(三) 以後、主として被告海外開発建設部の穂積重光(以下「穂積」という。)と補助参加人事業開発部の鷲見英二(以下「鷲見」という。)が打合せを行い、穂積は、鷲見に対し、被告の有していた資料を交付した。
4  原告らの投資経験等
(一) 原告アセット
(1) 原告アセットは、平成二年当時、正社員数は四〇ないし五〇名、年商は八億七〇〇〇万円、課税所得は約四九〇〇万円である語学教育関連事業を営んでいた株式会社であり、節税対策の商品の紹介を希望していた。
原告アセットは、本件投資前に、投資信託等をしたことがあるほか、補助参加人から投資物件を紹介されたことがあり、補助参加人室町支店長代理である海野寿雄(以下「海野」という。)からゴルフ会員権、リゾート会員権等を紹介されたが断った。
(2) 原告アセットが経営していた語学学校においては、平成二年当時、補助参加人の社員約一〇名が語学研修を行っており、その売上高は、年商約八億七〇〇〇万円のうち、約一〇〇〇万円ないし一五〇〇万円であった。
(二) 原告早川正
原告早川正は、昭和二六年に設立された不動産の賃貸等を行う株式会社であり、早川正一(以下「早川」という。)は設立当時からその代表取締役であった。
平成二年当時、原告早川正の従業員数は関連会社を合わせて五名、年商売上高は約一八億円であった。
原告早川正は、本件投資前に、補助参加人から節税対策としてニューヨーク市所在の不動産への投資を紹介されたが、断ったことがあった。また、早川は、不動産管理業を営む数社の経営者であり、原告早川正、その関連会社及び早川は、昭和六二年ころから平成二年当時まで、ニューヨーク市所在のコンドミニアム五、六物件を一物件五〇〇〇万円から一億円で購入し、また、節税対策としてオーストラリアにある発電所のレバレッジドリースへの投資をした。
(三) 原告大川工業
原告大川工業は、昭和二六年に設立され、昭和三一年一〇月から大川晴義(以下「大川」という。)が代表取締役を務めている株式会社である。
原告大川工業は、本件投資当時、従業員数は八〇名、年商は約二〇億円、税引前利益は約一億円であった。
原告大川工業は、本件投資前にも補助参加人から節税対策として取引を紹介されたことがあり、その取引のうち、不動産投資については二度ほど断ったことがあるほか、レバレッジドリースへの投資を断ったことがあった。
(四) 原告マツモト
原告マツモトは、昭和五三年に設立され、その当時から松本平太郎(以下「松本」という。)が代表取締役を務めている美容室一八店舗を経営している有限会社であり、平成二年当時、年間総売上高は九ないし一〇億円であり、税引前利益は約五〇〇〇万円であった。
原告マツモトは、本件投資前に、株式の現物及び信用投資、投資目的でのゴルフ会員権の購入をしたことがあった。
松本は、補助参加人の吉祥寺支店取引先課長である加藤博雄(以下「加藤」という。)が原告マツモトを訪問していた際に「何か良い節税商品はないか。」などと述べて、節税効果のある投資を探していた。原告マツモトは、本件投資以前に、補助参加人から節税対策としての取引を紹介されて取引をしたことがあった。
(五) 原告嵯峨建設
原告嵯峨建設は、一五名(関連会社を含めると四五名)の従業員を有する建設業等を行う株式会社である。
原告嵯峨建設は、昭和六三年ころから大規模な株式投資を行い、平成元年から平成二年終わりころに、節税対策のため、パートナーシップに対する海外不動産小口化投資を含め一〇件以上の海外不動産投資を行い、その他、本件投資前に、レバレッジドリース、外貨預金、インパクトローン等の投資を行っていた。また、原告嵯峨建設の代表取締役であった嵯峨藤郎(以下「嵯峨」という。)は、個人でも海外不動産投資を行い、海外不動産投資の管理会社を補助参加人以外の銀行の紹介で設立したり、その他、株式投資、信用取引、外貨預金、レバレッジドリースへの投資等の経験があった。
5  原告らに対する勧誘の経緯
(一) 原告アセット
(1) 勧誘の経緯
平成二年四月ころ、補助参加人室町支店長代理である海野は、原告アセットの代表取締役である中野を訪問し、本件説明資料一を交付して、これを読みながら、本件投資について、日本の投資家でパートナーシップを組んで投資すること、投資期間は一〇年を予定しているが不動産市況によっては途中で売却することもあること、賃料収入はドル建てなので円高の際には目減りすること、不動産の賃料の変動についてリスクがあること等を説明した。中野は、右説明の際、交付された本件説明資料一を読んで、「額が大きすぎる。」などといい、本件投資への参加について難色を示した。
海野は、中野を再度訪問し、本件説明資料二を交付し、本件投資の損益について説明した。そのころ、海野は、中野に対し、補助参加人の社員が原告アセットに語学研修生として在籍していることを考えてほしい旨言ったが、中野は、海野が補助参加人の社員の語学研修先を決定する権限を有していないことを知っていた。
原告アセットは、平成二年五月一日、本件申込金を支払った。
鷲見及び海野は、平成二年五月九日、中野を訪問し、鷲見が中野に対し、本件説明資料二を示しながら、本件投資は、パートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク、税制度の変更に関わるリスク等について説明した。
平成二年六月五日、穂積及び海野が中野を訪問し、穂積が、本件説明資料二を示して、本件の節税メカニズム及び利回り並びにマーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどを説明したところ、原告アセットは、本件契約を締結した。
なお、中野は、本件投資を検討する際、本件ビルについて賃料収入の変動がありうることを理解した上で、本件ビルのドル建ての賃料収入による円建てローンの返済時及び本件ビルの売却代金による円建てローンの返済時の為替リスクを相当強く懸念した。
(2) 右認定に反する中野の供述について
中野は、海野から、本件投資において生じる損失は最大限で一億五〇〇〇万円であるとの説明を受けてその旨理解したと供述するが、前記認定のとおり、中野が投資金額等についての記載がある本件説明資料一、二の交付を受けていること、為替リスク及び賃料収入の変動による収益の変化を理解していたことに加え、正社員数が四〇ないし五〇名、年商が八億七〇〇〇万円で、投資経験もある会社の代表者であることに照らすと、中野の前記供述は信用することができない。
(二) 原告早川正
(1) 勧誘の経緯
平成二年四月初めころ、補助参加人の室町支店長代理金田次孝(以下「金田」という。)は、原告早川正を訪問し、早川に対し、本件説明資料一を交付して、これを読みながら、本件投資について、本件ビルの所有を目的とするパートナーシップに基づく投資であること、投資金額及び一口当たりの投資金額、投資期間を一〇年と予定しているが不動産市況によっては途中で売却することもあり、その時の時価で清算され、清算時点での損益は定かでないこと、為替リスクがあることなどを説明した。説明の後、早川は、金田に対し、「そこは場所がいいから検討したい。」などといって、本件投資への興味を持っている旨伝えた。
金田は、その後、早川を再度訪問し、本件説明資料二を交付し、本件説明資料一の損益計算表においては為替レートを一ドル一五〇円として算出していたのに対し、本件説明資料二では一ドル一六〇円で算出していること及び一口当たりの投資金額が換わっていることなどを説明した。
原告早川正は、平成二年四月二七日、本件申込金を支払った。
鷲見及び海野は、平成二年五月一一日、早川を訪問し、鷲見が早川に対し、本件説明資料一又は二に基づいて、本件投資は、パートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク、税制度の変更に関わるリスク等について説明した。
平成二年六月七日、穂積及び金田が早川を訪問し、穂積は、本件説明資料二を示して、本件投資の節税メカニズム及び利回り並びにマーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどを説明した。右同日、原告早川正は、本件契約を締結した。
なお、早川は、本件契約に先立って、本件説明資料二の投資上の注意点、不動産マーケットリスク、為替リスク等に関する記載を読んで、場合によっては当初の収支予想どおりの収益を得ることができないことや、為替変動によって円建て融資の返済額も変動することを理解していた。
(2) 右認定に反する早川の供述について
ア 早川は、金田から、本件ビルの評価額は八四〇〇万ドルであるが、本件投資総額の約四〇〇〇万ドルが本件ビルのリニューアル費用に充てられ、本件ビルの賃料が一平方フィート当たり二〇ドルから四〇ドルに上昇することが見込まれるとの説明を受けた旨供述する。
しかし、本件投資の収支予想が本件説明資料一、二に記載されていること及びこれらが早川に交付されていたことは前記認定のとおりであり、金田がこれらの記載と明らかに異なる説明をするとは通常考え難い上、不動産投資に知識及び経験を有する早川が、右の記載と異なる説明をそのまま信ずるとも考え難いので、早川の前記供述は信用することができない。
イ また、早川は、金田から、円高及びドル高のいずれの場合にも本件投資への影響はないとの説明を受けた旨供述するが、金田が相当規模の会社の代表者である早川に対して、交付済みの本件説明資料一と明らかに異なる説明をするとは通常考え難い上、前記認定のとおり、早川が、本件説明資料二の為替リスクについての記載を読んでその内容を理解し、為替変動によって円建て融資の返済額も変動することを理解していたことに照らすと、早川の前記供述は信用することができない。
(三) 原告大川工業
(1) 勧誘の経緯
平成二年三月ころ、補助参加人の本所支店次長である藤森健悦(以下「藤森」という。)は、本件説明資料一の添付資料の表と同様のキャッシュフローの表及び本件書面を持参して、原告大川工業の代表取締役である大川に対し、本件投資について説明した。
その後、藤森は、大川を再度訪問し、本件説明資料一を交付しこれを示しながら、本件投資は二重のパートナーシップの仕組みになっていること、提携ローンの円建ての部分等について為替リスクがあること等を説明した。
その一、二週間後、藤森は、大川を訪問し、本件説明資料二を交付して、本件説明資料一添付の表と本件説明資料二添付の表において記載されている為替レートが異なることを説明した。
本件投資の説明の際には、その二回目以降、東京シティ信用金庫の元支店長で経理に明るい原告大川工業の布谷総務部長(以下「布谷」という。)が立ち会っていた。
大川は、本件説明資料一、二を読み、本件ビルの家賃収入が下がる可能性があること及び物件を売却する際にその売却代金が相場による影響を受けることを理解していたが、右肩上がりで不動産価格が上がっていたので、本件ビルの価格は下がらないと思っていた。
原告大川工業は、平成二年五月一日、本件申込金を支払った。
補助参加人従業員である鷲見と藤森は、平成二年五月八日、大川を訪問し、鷲見が大川に対し、本件説明資料一又は二を示しながら、本件投資は、パートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク、税制度の変更に関わるリスク等について説明した。
平成二年六月六日、被告従業員である岡田が、本件投資の基本的仕組み及びリスクについて説明した上で、原告大川工業は、大川、布谷、岡田及び石黒の立会いの下で、本件契約を締結した。
(2) 右認定に反する大川の供述について
ア 大川は、藤森から為替リスクは円建てとドル建てで借りているのが相殺されるので為替リスクはないなどと説明された旨供述する。
しかし、右のような説明は不合理であることが明らかであり、交付済みの本件説明資料一、二には為替リスクがある旨の記載があることは前記認定のとおりであり、藤森が大川に対し、右記載と明らかに異なる説明をするとは通常考え難い上、大川が、本件ビルの家賃収入がドル建てであること、ワールド・リーシングからの借入金の返済資金は、米国でドル建てで入金になるものを円転する必要があることを理解していた旨供述するなど、為替リスクの存在を認識していたことが窺われることに照らすと、大川の前記供述は信用することができない。
イ また、大川は、本件説明資料一中の投資上の注意についての為替リスク及び不動産マーケットにおけるリスクの記載に目を通したが、藤森の説明を信頼した、金融の専門家が勧めているので間違いないだろうと思ったなどと供述するが、大川が従業員八〇名、年商が約二〇億円である株式会社の代表者であること、東京シティ信用金庫の元支店長で経理に明るい布谷も説明を受けたことなどに照らすと、大川の右供述は直ちに信用することができない。
(四) 原告マツモト
(1) 勧誘の経緯
平成二年三月又は四月ころ、補助参加人の吉祥寺支店取引先課長である加藤は、原告マツモトの代表取締役である松本を訪問し、本件説明資料一を交付してこれを示しながら、本件投資について説明し、その中で、組合を作って投資すること、出資金の中に被告の提携ローンがある部分と自己資金の部分があり、提携ローンの金利については賃料の収入によって支払われる予定であるため不動産価格の変動や為替相場の変動によって影響を受けることなどを説明した。
松本は、交付された本件説明資料一を読み、不動産マーケットリスクとして、本件ビルの借り手がない場合や、不動産の価格が暴落した場合を想定し、場合によって借入金の返済の必要が発生することを心配した。
加藤は、その後も、松本を訪問して本件投資について説明し、本件説明資料二を交付した。また、加藤は、平成二年四月某日の午後八時ころ、松本の自宅を訪問し、約一時間かけて本件投資の説明をしたが、松本は、右訪問を受けた時点では本件投資に参加することを決心しなかった。
原告マツモトは、平成二年五月一六日、加藤立会いの下で、本件投資の申込みをして本件申込金を支払った。
平成二年六月八日、被告従業員である穂積、補助参加人従業員である石黒及び加藤が松本を訪問し、穂積が、松本に対し、本件説明資料二を示して本件投資における節税のメカニズム及び利回り並びに不動産マーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることを説明した。
被告マツモトは、右同日、本件契約を締結した。
(2) 右認定に反する松本の供述について
ア 松本は、加藤が為替リスクがないと説明した、家賃がドルで入るので為替が動けば日本への送金が小さくなるので、為替リスクが心配であったが、本件説明資料一に為替リスクの記載があるものの、加藤が為替リスクはないというので、「金融の専門家がいうならそうかな。」と考えたなどと供述するが、交付済みの本件説明資料一に本件投資には為替リスクがある旨の記載があることは前記認定のとおりであり、加藤が松本に対し右記載と明らかに異なる説明をするとは通常考え難い上、松本が相当の規模を有し、かつ、投資の経験もある株式会社の経営者であったことに照らすと、松本の右供述は直ちに信用することができない。
イ また、松本は、加藤が本件投資は元本が保証されてリスクはない旨説明したとも供述するが、他方、松本は、本件投資について場合により借入金の返済の必要が発生することがあることを心配していたと供述し、松本自身、本件投資が元本保証のものではないことを理解していたことが窺われるので、松本のリスクはない旨の右供述も信用することができない。
ウ さらに、松本は、加藤から、本件投資において投資家は本件ビルを所有し、本件ビルの登記を経由する旨説明を受けたと供述するが、他方、松本は、本件投資の仕組みが記載された本件説明資料一を読んだこと及び本件契約締結後、本件ビルについて原告マツモト名義の登記を経由したか否かの確認をしていないことを供述していることからすると、松本の本件ビルの所有等に関する右供述も信用することができない。
(五) 原告嵯峨建設について
平成二年四月ころ、補助参加人塚口支店長代理である塩見正明(以下「塩見」という。)は、原告嵯峨建設の取締役経理部長である中野枝に対し、本件説明資料二を交付して本件投資を紹介した。
次いで、補助参加人塚口支店長代理である上田幸三及び事業開発部の大村(以下「大村」という。)は、平成二年五月九日、原告嵯峨建設の代表取締役である嵯峨を訪問し、大村が嵯峨に対し、本件説明資料二を示しながら、本件投資がパートナーシップに対する投資であることなどの本件投資の基本的仕組み、投資期間が一〇年以上になることもあり、また、五年目以降は不動産市況が良ければ本件ビルを売却することもあり、その際は本件投資は終了すること、本件投資の円建ての部分には為替リスクがあること、ニューヨークの不動産市況の変動により当初の予想収益が得られない可能性があることなどを説明した。
原告嵯峨建設は、平成二年五月一一日、本件申込金を支払った。
平成二年六月六日、穂積及び塩見が原告嵯峨建設を訪問し、穂積は、本件説明資料二を示して、本件投資の節税メカニズム及び利回り並びにマーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどを説明した。右同日、原告嵯峨建設は、本件契約を締結した。
6  本件投資の収支結果
(一) 米国の不動産市況が想定どおりに推移しなかったこと、急激な円高傾向になったことなどの影響を受けて、原告らは、本件投資において当初の収支予想どおりの収益を上げることができなかった。
(二) すなわち、本件投資においては、当初、年五パーセントの賃料増加を見込んで収支予測が立てられていたが、平成二年から平成四年ころにかけて米国の景気が沈滞し、また、マンハッタンにおけるオフィスビルの供給が需要を上回る傾向となり、新規テナントの募集及びテナントの契約更改に際して内装費の負担や賃料の値下げを行わざるを得ず、賃料収入が伸び悩み、本件ビルからの収入は予想を下回った。
また、本件ビルの収益及び本件リミテッド・パートナーシップから本件パートナーシップへ分配される金員は、いずれもドル建てであったところ、本件契約がそれぞれ締結された平成二年六月における為替レートは一ドル154.7円で、当初の収支予測も一ドル一五〇円ないし一六〇円で行われていたが、為替レートが急激に円高傾向を示し、平成二年後半から平成三年は一ドル一三〇円台、平成四年は一ドル一一〇円から一三〇円台、平成五年は一ドル一二〇円から一〇〇円台となった。このような円高傾向によって、ワールド・リーシングに対する金利支払のための原資が不足し、円建て提携ローンの支払に充てるため留保されていた準備金が急激に取り崩された。
このような賃料収入の伸び悩み及び為替差損が相まって、平成五年四月一日送金分から原告らに配分される収益による円建て提携ローンの金利支払をすることができなくなった。
(三) 本件ビルの価額は、平成二年当時は八四〇〇万ドルであったが、平成九年初頭に約四一〇〇万ドルと鑑定評価され、平成一〇年には、業者から五、六千万ドルと見積もられるなど、その価値が大きく下落した。
本件売却において、本件パートナーシップは、その保有する本件リミテッド・パートナーシップのリミテッド・パートナーとしての持分を二九三二万七六二五ドルで売却したため、これにより差損が生じた。
二  争点1について
1  原告らが主張する本件利益相反関係の有無
原告らは、平成二年当時、補助参加人と原告らとの間に、補助参加人が投資に関する専門アドバイザーとして原告らにアドバイスをするという信頼関係が形成されていたこと、被告と補助参加人との間のコンサルティング契約(前記認定の本件ファイナンシャル・アドバイザリー契約)により、補助参加人は、本件投資への勧誘に成功すれば、被告から成功報酬を得ることができ、他方、原告らは、本件投資に参加することで投資失敗のリスクを負担することなどを理由として、本件利益相反関係の存在を主張する。
そこで、まず、銀行とその顧客との関係について検討するに、一般に、銀行がその顧客のメインバンクであったり、顧客との間において、一定の取引を行っていたからといって、そのことだけから、当該銀行が顧客に対して投資に関する専門アドバイザーとして何らかの法的な義務を負うものではないことは改めていうまでもない。そして、本件において、原告らが、補助参加人に対して信頼を寄せており、補助参加人から適宜企業経営上のアドバイスを受けるという事実上の信頼関係が存在したとしても、そのことだけから、補助参加人と原告らとの間において、補助参加人が原告らの行う投資における利益を保護すべき法的な義務を負うと認めることはできないし、他に、右のような義務を認めるに足りる証拠はなく、かえって、前記認定のとおり、原告らは、相当の規模を有する企業であり、相当の投資経験があり、その中では、補助参加人が紹介した投資案件を断ったことがあるなど、それぞれ、企業として自己の判断に基づき投資活動を行っていたものであり、補助参加人に対する信頼に基づいて投資判断をしていたものということはできない。
次に、本件ファイナンシャル・アドバイザリー契約による補助参加人の成功報酬と原告ら主張の本件投資のリスクとの関係について検討するに、前記認定のとおり、本件投資は、米国の不動産市況が良好であれば十分な収益を上げることができる反面、為替リスク等の投資リスクを理解し、自らの判断に基づいて本件投資に参加したものであり、原告らの右の判断を補助参加人が左右することができたものではないことからすると、原告ら主張の本件投資の投資失敗のリスクは、本件投資の収支の一面のみを取り上げたものであり、これと本件ファイナンシャル・アドバイザリー契約による補助参加人の成功報酬とを比較衡量することは相当ではない上、本件投資への参加は、原告らの任意の判断に基づくものであるから、右の投資失敗のリスクもその判断に伴うものとして予測せざるを得ないものというべきである。
以上によれば、原告らと補助参加人との間に本件利益相反関係が存在したという原告らの主張は、採用することができない。なお、補助参加人が原告らに対し、本件投資の投資資金を融資し、これにより利息を得ることは、銀行取引上当然のことであり、右利息を得たことをもって、原告ら主張の本件利益相反関係の存在を根拠付けることはできない。
2  本件利益相反関係の秘匿による不法行為の主張について
原告らは、補助参加人が本件利益相反関係を秘匿して本件投資の勧誘をしたことは、不法行為を構成すると主張するが、本件利益相反関係が認められないことは、右1に認定判示したとおりなので、原告らの右不法行為の主張は、その前提を欠くものであり、理由がない。
3  銀行法に違反する業務の遂行による不法行為の主張について
(一)  原告らは、補助参加人による本件投資の勧誘は、原告らとの間において本件利益相反関係が存在する状況において、原告らを財産喪失の危険に晒すことによって補助参加人及び被告を利得させるものであるから、銀行法の趣旨(同法一条)である銀行の業務の公共性に反し、また、銀行として許容されている業務以外の業務であるので、不法行為を構成すると主張するので、この点について判断する。
(二)  まず、原告らの右主張の前提である本件利益相反関係が認められないことは、前記1に認定判示したとおりであるから、この点において、原告らの右主張は理由がない。
次に、前記認定のとおり、本件投資は、納税額の節減という節税効果とともに、キャピタルゲインを得ることを目的とした投資であり、このような利益を受ける可能性がある反面、為替リスクや不動産マーケットリスク等のため、損失を被ることも十分に予想することができる投資であるところ、本件投資において、原告らが結果的に損失を受けたのは、米国の不動産市況が想定どおりに推移しなかったこと、急激な円高傾向になったことなどが原因であるので、本件投資が、当初から収益を上げることができず、損失発生の危険性のみがあるような、およそ相当性を欠く投資であるということはできない。このように、本件投資においては、投資という性質上、投資家らは、損失を受ける可能性もあるが、他方、節税効果やキャピタルゲイン等の利益を得る可能性もあったのであるから、投資家にとって本件投資の紹介を受けることにメリットがなかったとは到底いうことはできない。そして、原告らが本件投資に伴う右のような収支予想を理解して本件投資に参加したことは、前記認定のとおりである。原告らは、補助参加人による本件投資の勧誘は、銀行の業務の公共性に反し、また、銀行に許容された業務ではないと主張するところ、銀行の業務は、与信、受信、為替、手形交換等のほか、その他の付随業務であり(銀行法一〇条一項、二項)、銀行は、これらの業務を通じて金融活動の中核に位置しているから、同法一条一項にいう銀行の業務の公共性とは、国民経済上重要な役割を果たす銀行の業務の性格を規定したものであり、この規定から直ちに銀行の顧客に対する法律上の義務が導き出されると解するのは相当ではなく、また、銀行のいわゆる付随業務は、同法一〇条二項各号に列挙されているものに限られず、銀行業に付随する業務もこれに当たり、その中には、与信、受信等に関連して顧客に対しその資産の増殖に寄与する投資案件を紹介等することも含まれると解される。したがって、原告らが本件投資の結果損失を受ける可能性があり、補助参加人が原告らに本件投資を紹介することにより成功報酬を得ることとなっていたとしても、このことから、補助参加人のした本件投資の勧誘が、銀行の業務の公共性に反し、又は銀行として許容されている業務以外の業務を行ったとして、原告らに対する違法な行為であるということはできない。
(三) 以上によれば、原告らの前記不法行為の主張は理由がない。
4  以上によれば、争点1についての原告らの主張は、いずれも採用することができない。
三  争点2について
1  被告の説明義務違反
(一) 説明義務の根拠等
(1)  不動産に関連する投資商品においては、元本保証の合意があるなどの特別の事情がない限り、投資の性質上、損失発生の蓋然性があり、そのため投資者自身の責任においてそのリスクの程度を判断し、投資すべきか否かの決定をすべきである。
しかし、他方で、投資商品の企画、販売者は、一般的に、投資者よりも豊富な知識と情報を有しているということができるので、投資者が誤った判断をしないよう的確な情報を提供すべき信義則上の義務を負うというべきである。そして、右説明義務の内容、程度は、投資者の経歴、能力、知識、経験等によって異なってくるものと解すべきである。
(2)  本件において、被告は、本件投資を企画し、販売したものであるから、被告は、本件投資の基本的仕組み、これに伴う重要なリスク等の投資者が誤った判断をしないための重要な事項について説明すべき義務を負っていたということができる。
他方で、前記認定のとおり、原告らは、それぞれ相当規模を有する企業であり、本件投資前に投資の経験があったり(原告アセット、同早川正、同マツモト、同嵯峨建設)また、補助参加人らからの投資案件の紹介に対しても断ったことがあるなど自己の判断に基づいて対応してきたこと(原告アセット、同早川正、同大川工業、同マツモト)、不動産関係の事業を業として行っていたこと(原告早川正、同嵯峨建設)からすると、原告らの代表者は、それぞれ成功した実業家としての知識、経験を有し、企業の行う投資について十分な判断能力を有していたと認めることができる。
したがって、被告及び補助参加人(以下、右両名を合わせて「被告ら」ともいう。)は、原告らの右のような判断能力に応じて、原告らが本件投資について前記の重要事項を理解することができるような説明を行うべきであり、かつ、そのような説明で足りたということができる。
(二) 説明の方法
原告らは、被告は、原告らに対し、本件投資の仕組み及びリスクを具体的に記述した書面を事前に交付し、その書面に基づいて説明を行い、本件投資の仕組み及びリスクについての投資家の理解、納得を得て、投資家が自己責任による判断で本件投資に参加することを確認書という書面の形で確認すべき義務を有していた旨主張するが、前記認定のとおり、被告らは、本件説明資料一、二を原告らに示して本件投資の仕組み及びリスクを説明し、原告らは右の説明を理解して本件投資に参加したものであること及び本件投資の勧誘について確認書を徴求すべき法令上の根拠は認められないことからすると、原告らの右主張は理由がない。
(三) 説明の時期
原告らは、被告は、原告らに対し、本件申込金の支払期日前までに本件投資の説明を行う必要があったと主張する。
しかしながら、前記認定のとおり、本件申込金の支払をもって本件契約が締結されたことになるものではなく、申込者は本件申込金を支払ったとしても、本件投資へ参加するか否かを自由に決定することができ、申込者が最終的に本件投資に参加しない場合には、本件申込金は申込者に返還されるものであることからすると、本件投資について説明義務が履行されたか否かは、本件契約締結時までにどのような説明がされたかによって判断すべきである。
(四) 説明の内容
(1) 原告らは、被告は、本件投資における為替リスクについて為替レートの変動による影響を具体的数字を用いて説明すべきであり、また、不動産マーケットリスクが日本で理解されているリスクと異なること、米国において不動産マーケットリスクが発生する仕組み、当時の我が国に存在した土地神話が本件ビルには妥当しないことなどについて説明すべき義務を負っていたと主張する。
しかしながら、被告らは、原告らの投資についての判断能力に応じて、本件投資についての重要事項を理解することができるような説明をすべきであり、かつ、これで足りるところ、前記認定の原告らの投資経験、判断能力等によれば、本件投資の右各リスクについては、これを理解するに足りる説明が行われれば足りるものというべきであり、実際にそのような説明がされたことは前記認定のとおりであるから、原告ら主張のような説明を行わなかったからといって、説明義務違反があったということはできない。
(2) その他の原告ら主張の説明内容
ア 本件利益相反関係
原告らと補助参加人との間において利益相反関係が存在したという原告らの主張を採用することができないことは、前記二において判示したとおりであるから、右主張を前提とする説明義務の主張は理由がない。
イ ジェーコブスらの権限等
原告らは、被告は、本件ビルの実際の運営管理者がジェーコブスらであること、原告らに対する分配はジェーコブスらの自由裁量に委ねられていることなどについて説明すべき義務を負っていたと主張する。
しかし、前記認定のとおり、本件リミテッド・パートナーシップにおいて、ジェーコブスらは、ジェネラル・パートナー運営契約に従って、本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営業務を行うが、本件ビルの年間予算の承認、本件ビル全部の売却、本件ビルについての賃貸基準の承認等一定の重要事項については、ジェーコブスら及びレプロマの全員の一致による同意が必要とされており、これにより、レプロマは、本件リミテッド・パートナーシップの管理運営上の重要事項についての経営判断に関与していたのであるから、ジェーコブスらの裁量は重要事項について制限されていたものということができる。
また、本件説明資料一、二には、本件ビルの管理運営、テナントの募集活動等は、ベアー・スターンズ(BEARSTEARNS)社の関連会社であるカメオ・マネージメント・インク(CAMEOMANAGEMENT INC.)が行うので、投資家には不動産の管理運営には一切手がかからないようになっている旨記載されていることなどからすると、本件投資において、本件ビルの日常的な管理業務や、本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営業務が第三者に委託されることは、投資家の予測の範囲内にあったということができる。
以上によれば、ジェーコブスらが本件リミテッド・パートナーシップの日常的な管理運営を委託されることは、投資家が誤った判断をしないための重要な事項であるとまではいえず、また、投資家がおよそ予測することができない事項でもないから、被告がこれらについて説明をしなかったからといって、説明義務を怠ったということはできない。
ウ 優先配当をうける権利の内容
原告らは、日本側パートナーの優先配当を受ける権利が本件リミテッド・パートナーシップの解散時及び本件ビル全体を売却したときの清算金分配時には、それまでの未分配分も含めて消滅することなどについて説明すべき義務があったと主張する。
しかし、前記認定のとおり、原告ら全員が交付を受けた本件説明資料二において、日本側優先配当の説明として、取得後六年間にわたり、米国側パートナーから物件購入費用(三七七一万ドル)に対し、年率七パーセントの優先配当が約束されている旨記載されており、被告が右記載を超えて原告ら主張の日本側優先配当について説明義務を負っていたとまでいうことはできない。
エ 米国側パートナーの優遇
原告らは、被告らは米国側パートナーが二五〇万ドルの特別分配可能原資を有していること、特別出資の存在等を説明すべき義務を負っていたと主張する。
しかし、前記認定のとおり、米国側パートナーの有する二五〇万ドルの特別分配可能原資は、同額の特別出資に対応するものでもあり、特別出資は、平成四年六月一五日以前においては、そのうち一一五万ドルは、パートナーシップの債務又は日本側優先配当のいずれかの支払のみに充当することができ、米国側パートナーに対して分配されないものとされているのであるから、米国側パートナーを不当に優遇するものということはできず、右の事項について説明しなかったからといって、説明義務を怠ったということはできない。
オ 本件リミテッド・パートナーシップの存続期間
原告らは、本件投資が投資後一〇年を経過した時点で終了しない可能性があること、その場合に各投資家が負担することになる債務等について説明すべき義務を負っていたと主張するが、本件においては、右期間内に本件パートナーシップの有していた本件リミテッド・パートナーシップの出資持分は売却されたのであるから、右の事項について説明しなかったからといって、説明義務を怠ったということはできない。
カ 本件パートナーシップの管理運営等
原告は、本件パートナーシップの管理の方法、収益等の配分及び分配方法、レプロマが本件パートナーシップから受け取る手数料等、クロージング名目費用の内訳、レプロマの受取予定金額及びその内訳について説明義務を負っていたと主張する。
しかし、これらの細目については、本件投資において、投資家が誤った判断をしないための重要な事項であるとまではいえず、これについて説明を行わなかったからといって、説明義務を怠ったということはできない。
(五) 以上によれば、原告ら主張の被告らの説明義務違反を認めることはできず、他に右違反を認めるに足りる証拠もない。
2  各原告に対する勧誘
(一) 原告アセット
(1) 投資経験等
前記認定のとおり、原告アセットは、平成二年以前から、投資信託等を行ったことがあり、本件投資前にも補助参加人から投資物件の紹介を受けたことがあったが、すべて断っていたものである。
(2) 本件投資についての説明
ア  前記認定のとおり、原告アセットの代表取締役である中野は、海野から、本件投資について、日本の投資家でパートナーシップを組んで投資すること、投資期間は一〇年を予定しているが市況によっては途中で売却することもあること、賃料収入はドル建てなので円高の際には目減りすること、不動産の賃料の変動についてリスクがあること等の説明を受け、また、本件説明資料二を交付され、損益についての説明を受けた。
また、中野は、鷲見から、本件投資は、パートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク及び税制度の変更に関わるリスク等について説明され、又、本件契約の締結当日に、右締結に先立って、穂積から、本件の節税メカニズム及び利回り及びマーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどの説明を受けたものである。
イ  前記認定のとおり、中野は、交付された本件説明資料一を読み、本件投資の仕組み(二重のパートナーシップを通じての投資であること)、投資金額及び資金調達方法、本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法、投資リスク(為替リスク、不動産マーケットリスク、税制の変更に伴うリスク、持分の譲渡が制限されていること)等を理解した。
ウ  以上によれば、被告は、原告アセットに対し、同原告が誤った判断をしないために重要な事項についての説明を行ったということができる。
(3) なお、原告アセットは、補助参加人の担当者が泣いて投資参加を訴え、補助参加人の社員が語学教育の生徒となっていることを示唆するなどして勧誘したことを違法な勧誘の根拠として主張するが、原告アセットの売上高中補助参加人の社員の研修費の占める割合は年商約八億七〇〇〇万円のうち約一〇〇〇万円ないし一五〇〇万円であったこと、中野は海野が社員の語学研修先を決定する権限を有していないことを知っていたことに照らすと、本件投資について原告アセットの主張する右の事情をもって同原告の判断を困難にならしめる事情であるとは解されないので、原告アセットの右主張は理由がない。
(二) 原告早川正
(1) 投資経験等
前記認定のとおり、原告早川正は、本件投資前に、補助参加人から紹介された投資案件を断ったことがあり、また、原告早川正、その関連会社及び早川は、ニューヨーク所在のコンドミニアム五、六物件を一物件五〇〇〇万円から一億円で購入し、あるいは、節税対策としてオーストラリアにある発電所のレバレッジドリースに投資を行っていたものであり、右事実によれば、原告早川正は、海外案件も含む投資経験を有し、自己の判断で投資の検討を行ってきたことが認められる。
(2) 本件投資についての説明
ア  前記認定のとおり、早川は、金田から、本件投資について、本件ビルの所有を目的とするパートナーシップに基づく投資であること、投資期間を一〇年と予定しているが不動産市況によっては途中で売却することもあり、その時の時価で清算され、清算時点での損益は定かでないこと、為替リスクがあることなどの説明を受け、また、鷲見から、本件投資は、パートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク及び税制度の変更に関わるリスク等についての説明を受け、更に、穂積から、本件の節税メカニズム、利回り及びマーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどの説明を受けたものである。
イ  また、前記認定のとおり、早川は、本件説明資料一、二の交付を受け、これらにより、本件投資の仕組み(二重のパートナーシップを通じての投資であること)、投資金額及び資金調達方法、本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法、投資リスク(為替リスク、不動産マーケットリスク、税制度の変更に伴うリスク、持分の譲渡が制限されていること)等を理解した。
さらに、前記認定によれば、早川は、本件投資には不動産マーケットリスク及び為替リスクが存することを理解していたことが認められる。
ウ  以上によれば、被告は、原告早川正に対し、同原告が誤った判断をしないために重要な事項についての説明を行ったということができる
(三) 原告大川工業
(1) 投資経験等
原告大川工業が、本件投資前にも補助参加人から節税対策として取引を紹介されたことがあり、不動産購入の案件や、レバレッジドリースへの投資を断るなどしていたことは前記認定のとおりであり、右事実によれば、右原告が投資対象について自己の判断で検討していたことが認められる。
(2) 本件投資についての説明
ア  前記認定のとおり、大川は、藤森から、本件投資は二重のパートナーシップの仕組みであること、提携ローンの円建ての部分等について為替リスクがあることなどの説明を受け、また、鷲見から、本件投資はパートナーシップを通じての海外不動産投資であること、為替リスク、不動産の価格変動や不動産のテナントの出入りに関するリスク及び税制度の変更に関わるリスク等についての説明を受け、さらに、岡田から、本件の基本的仕組み及びリスクについて説明を受けた。
イ  また、大川は、本件説明資料一、二の交付を受けてこれを読み、本件投資の仕組み(二重のパートナーシップを通じての投資であること)、投資金額及び資金調達方法、本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法、投資リスク(為替リスク、不動産マーケット・リスク、税制の変更に伴うリスク、持分の譲渡が制限されていること)等を理解した。
さらに、前記認定によれば、大川が本件投資には不動産マーケットリスク、為替リスク等について理解していたことが認められる。
ウ  以上によれば、被告は、原告大川工業に対し、同原告が誤った判断をしないために重要な事項についての説明を行ったということができる。
(3) 原告大川工業は、補助参加人が、本件書面を交付して断定的判断を提供したと主張する。
しかし、前記認定のとおり、原告大川工業は、本件書面だけでなく本件説明資料一、二の交付を受け、補助参加人及び被告の従業員からも口頭で説明を受けていたのであるから、松本が本件書面により本件説明資料一、二に反する理解をしたことは認められない。
(四) 原告マツモト
(1) 投資経験等
前記認定のとおり、原告マツモトは、本件投資前に株式投資等を行ったことがあり、また、節税効果のある投資を探しており、補助参加人から節税目的の投資案件の紹介を受けたものの、これに参加しなかったことがあるなど、投資について相当程度の経験を有し、自己の判断に基づいて投資を検討していたということができる。
(2) 本件投資についての説明
ア  前記認定のとおり、松本は、加藤から、本件投資は組合を作って投資すること、提携ローンの金利については賃料収入によって支払われる予定であり、不動産価格の変動や為替相場の変動によって影響を受けることなどの説明を受け、また、穂積から、本件投資における節税のメカニズム及び利回り並びに不動産マーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることについて説明を受けた。
イ  また、松本は、本件説明資料一、二の交付を受けてこれらに目を通し、本件投資の仕組み(二重のパートナーシップを通じての投資であること)、投資金額及び資金調達方法、本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法、投資リスク(為替リスク、不動産マーケット・リスク、税制の変更に伴うリスク、持分の譲渡が制限されていること)等について理解した。
さらに、前記認定のとおり、松本は、本件投資について、不動産マーケットリスクとして、本件ビルの借り手がない場合や、不動産の価格が暴落した場合を想定し、場合によって借入金の返済の必要が発生することを心配していたことから、松本は、本件投資に不動産マーケットリスクがあることを理解していたものである。
ウ  以上によれば、被告は、原告マツモトに対し、同原告が誤った判断をしないために重要な事項についての説明を行ったということができる。
(3) なお、原告マツモトは、補助参加人従業員が夜間に訪問するなど強引な勧誘を行ったことは違法であると主張するが、前記認定のとおり、松本は、右の訪問を受けたことにより本件投資への参加を決定したとは到底認められないことに照らすと、原告マツモトの右主張は理由がない。
また、原告マツモトは、その事業を継続していくためには補助参加人との良好な関係を維持していく必要があり、本件投資の勧誘を拒絶することが困難であった旨主張するが、前記認定のとおり、原告マツモトは、本件投資前に、補助参加人から節税対策のための取引の紹介を受けたがこれに応じなかったこともあり、本件投資の勧誘を拒絶することが困難であったことを認めることはできない。
(五) 原告嵯峨建設
(1) 投資経験等
前記認定のとおり、原告嵯峨建設は、本件投資前に、大規模な株式投資を行い、また、パートナーシップに対する海外不動産小口化投資を含めた一〇件以上の海外不動産投資を行い、レバレッジドリース、外貨預金、インパクトローン等の投資を行ったことがあり、さらに、嵯峨個人も、海外不動産投資を行い、海外不動産投資の管理会社を富士銀行の紹介で設立し、株式投資、信用取引、外貨預金、レバレッジドリース等などの経験を有していたものであるから、原告嵯峨建設及び嵯峨は、投資案件について相当高度な知識、経験を有しており、特に本件投資と同様の投資の経験を有していたことから本件投資についての理解能力は相当程度高かったものと認められる。
(2)  本件投資についての説明
ア  前記認定のとおり、嵯峨は、大村から、本件投資がパートナーシップに対する投資であることなど本件投資の基本的仕組み、本件投資の円建ての部分には為替リスクがあること、ニューヨークの不動産市況の変動により当初の予想収益が得られない可能性があること等についての説明を受け、また、穂積から、本件投資における節税メカニズム及び利回り並びに不動産マーケットリスク、税務リスク、為替リスク等があることなどの説明を受けたものである。
イ  原告嵯峨建設が交付を受けた本件説明資料二には、本件投資の仕組み(二重のパートナーシップを通じての投資であること)、投資金額及び資金調達方法、本件ビル及び本件リミテッド・パートナーシップの管理運営方法、投資リスク(為替リスク、不動産マーケット・リスク、税制の変更に伴うリスク、持分の譲渡が制限されていること)等が記載されている。
ウ  以上によれば、被告は、原告嵯峨建設に対し、同原告が誤った判断をしないために重要な事項についての説明を行ったということができる。
3 以上によれば、被告が原告らに対し説明義務を怠ったという原告らの主張は、いずれも採用することができない。
4  米国連邦証券法違反の勧誘について
原告らは、被告が米国連邦証券法に違反し、違法な勧誘をしたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、仮に原告ら主張の同法違反の事実があったとしても、これをもって本件投資の勧誘が違法になるとは解し難く、したがって、右主張は理由がない。
四  以上によれば、その余の点につき判断するまでもなく、原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六五条一項本文、六六条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官吉戒修一 裁判官渡邉左千夫 裁判官園部直子)

別紙(一)

別紙  二、三〈省略〉
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