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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(392)平成13年 5月11日 東京地裁 平13(ワ)268号 報酬金請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(392)平成13年 5月11日 東京地裁 平13(ワ)268号 報酬金請求事件

裁判年月日  平成13年 5月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)268号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2001WLJPCA05110002

要旨
◆原告(会社)が第三者企業と資本提携を行うために被告両名(原告の元代表者及び同人が代表者を務める会社)が保有する原告株式を第三者企業に譲渡した際に、原告がアドバイザリー業務委託契約に基づき証券会社に支払った報酬金額が株主に対する利益供与に該当しないとされた事例

参照条文
商法294条ノ2

裁判年月日  平成13年 5月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)268号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2001WLJPCA05110002

原告 株式会社ソフトボート
代表者代表取締役 馬渕恒夫
訴訟代理人弁護士 菊池武
被告 田先政秀
被告 有限会社フリップフロップ
代表者代表取締役 田先政秀
被告ら訴訟代理人弁護士 樋口収

 

主  文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告田先政秀は、原告に対し、3834万7400円及びこれに対する平成13年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告有限会社フリップフロップは、原告に対し、1415万2600円及びこれに対する平成13年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用は被告らの負担とする。
4  仮執行宣言
第2  事案の概要
1  争いのない事実等
以下の事実に争いはなく、または、証拠及び弁論の全趣旨により明らかに認められる。
(1)  原告は、平成12年1月5日、訴外日興證券株式会社(以下「日興證券」という。)との間で、原告を委託者とし日興證券を受託者として、原告が第三者企業と業務提携又は資本提携を行うに際し、日興證券が原告にアドバイザリー業務を提供する旨のアドバイザリー業務委託契約(以下「本件委託契約」という。)を締結し、日興證券に対し、着手金500万円及び消費税25万円を支払った。本件委託契約には、次のような報酬に関する定めが規定されている。
ア 着手金 500万円。なお、委託者が成功報酬を支払う場合には、着手金は成功報酬に充当される。
イ 成功報酬 対価(委託者、委託者の株主、提携先、それらの関係会社その他の関係者及び合弁会社が委託者、提携先、これらの関係会社その他の関係者から、現金、証券及びその他の財産の形で支払又は交付を受ける価値の総額を意味する。)が10億円以下の場合、対価の3パーセント+2000万円。ただし、対価の有無、金額を問わず、成功報酬の最低金額は5000万円とする。
(2)  本件委託契約により、原告は、第三者企業である株式会社アイネット(以下「アイネット」という。)と資本提携することとなり、被告両名において、平成12年4月1日、被告両名が保有する原告会社株式合計7万5000株を総額7億円でアイネットに譲渡した(以下「本件株式譲渡」という。)。被告田先政秀(以下「被告田先」という。)及び被告有限会社フリップフロップ(以下「被告会社」という。)の譲渡した株式及びその代金は次のとおりである。
被告田先 5万4782株 5億1000万円
被告会社 2万0218株 1億9000万円
(3)  日興證券は、平成12年4月3日付けで、原告に対し、本件委託契約に基づく成功報酬の残金として4725万円(うち225万円は消費税)を請求し、原告は、平成12年5月29日これを振込送金した。
2  争点
本件の争点は、原告が日興證券に対し支払った5250万円(以下「本件成功報酬」という。)が商法294条の2の株主に対する利益供与に当たるかであり、原告は、これに当たるとして、被告らに対し、5250万円を被告らの売却した株式数の割合で按分した額の支払を求め、次のとおり主張する。
(1)  本件成功報酬は、アイネットから被告らに株式譲渡代金が支払われたことに対する報酬金であるから、特定株主に対する利益供与に当たる。
(2)  また、原告会社の定款は、株式譲渡は取締役会の承認を条件とする旨規定しているところ、被告田先は訴外アイネットへの譲渡を承認させているから、株主の権利行使に関する利益供与と認められる。
第3  当裁判所の判断
1  本件委託契約は、原告が第三者企業と業務提携又は資本提携を行うに際し、日興證券が原告にアドバイザリー業務を提供するものであるところ、甲第1号証によれば、日興證券が原告に対して提供するアドバイザリー業務は、日興證券が原告に対し提携先を発見し紹介すること、提携を成就するため提携先との交渉戦略等の立案について原告に助言、助力すること、提携先の営業及び財務その他の内容の調査並びに評価及び調査の助言、提携方法の立案及び売却・提携交渉の日程等の作成、原告の代理人として提携交渉の実行、基本合意書・最終合意書の内容確定と作成、提携に関し必要な公認会計士、弁護士その他の専門家の選任に関する助言及び委任等の実行などが規定されている。このような本件委託契約の内容に照らすと、本件委託契約は、もっぱら、原告が第三者企業と業務提携又は資本提携を行うことを目的として締結されたものと解され、本件委託契約自体が、被告らの株主としての権利行使に関し利益を提供する目的で締結されたものと解すことはできない。
2  次に、一応適法な目的で締結された契約であっても、適法な目的に仮託して、株主としての権利行使に関し利益を提供する目的で締結される場合もあり得るから、この点についても検討する。
被告田先は、本件株式譲渡の当時、原告の代表取締役であったことに争いはなく、また、甲第6号証の1によれば、本件株式譲渡の当時、原告の発行済株式総数は10万株であったと認められ、前記第2の1(争いのない事実等)(2) 記載のとおり、被告らの保有する株式は合計7万株であり、原告の発行済株式総数の70パーセントに達していること、弁論の全趣旨によれば、被告田先は、被告会社の代表取締役であったことが認められる。
これらの事情に照らすと、本件委託契約が委託契約に仮託して、株主である被告らのなんらかの権利行使に関し利益を提供する必要は認められないから、本件委託契約がこのような目的で締結されたものと認めることはできず、また、他にこれを伺わせるに足りる事情は認められない。
3  一方、原告は、前記第2の2(争点)(1) 及び(2) 記載のとおり主張する。
しかし、まず、本件成功報酬は、日興證券からアドバイザリー業務の提供を受け資本提携が成功したことに対する対価であり、本件株式譲渡の譲渡代金は成功報酬額を算定する基準に止まるのであるから、アイネットから被告らに株式譲渡代金が支払われたことに対する報酬金であると認めることはできない。また、被告田先又は被告会社が株式譲渡について取締役会の承認を求めることは株主の権利の行使に当たるが、本件成功報酬がこのような権利の行使を目的として支払われたものと見る余地はない。
したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。
4  以上によれば、本件委託契約は、もっぱら、原告が第三者企業と業務提携又は資本提携を行うことを目的として締結されたものと解され、本件成功報酬は、日興證券からアドバイザリー業務の提供を受け資本提携が成功したことに対する対価であると認められ、商法294条の2の株主に対する利益供与に当たるものと認めることはできない。
よって、原告の請求には理由がないから、主文のとおり判決する。
(裁判官 伊東顕)

 

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