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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(354)平成17年10月21日 東京地裁 平15(ワ)27558号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(354)平成17年10月21日 東京地裁 平15(ワ)27558号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成17年10月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(ワ)27558号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2005WLJPCA10210005

要旨
◆訴訟物たる原告の請求権が第三者から差押えを受けた場合においても、原告は訴訟追行権を失わないとされた事例
◆仮差押決定が、その被保全権利が存在しないために、当初から不当であるとして、仮差押決定が異議もしくは上訴審で取り消され、あるいは本案訴訟において敗訴判決が確定した場合、特段の事情がない限り、仮差押債権者には過失があったものと推定するのが相当とされたものの、本件では、推定を覆すに足る特段の事情があるとされ、過失が否定され不法行為責任が認められないとされた事例

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成17年10月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(ワ)27558号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2005WLJPCA10210005

原告 株式会社a社
代表者代表取締役 甲山A男
原告 甲山B子
上記2名訴訟代理人弁護士 鈴木正捷
被告 株式会社整理回収機構
代表者代表取締役 鬼追明夫
代理人支配人 和田吉弘
訴訟代理人弁護士 近藤丸人
飯尾拓
工藤研

主  文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は、原告株式会社a社(以下「原告a社」という。)に対し、1億4971万3403円及びこれに対する平成13年6月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は、原告甲山B子(以下「原告B子」という。)に対し、2000万円及びこれに対する平成13年6月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は、原告らが、株式会社b会館(以下「b会館」という。)の債権者である被告は、b会館の原告らに対する不当利得返還請求権の存在について慎重に調査すべき義務があるにもかかわらずこれを怠って、b会館に代位して行使する原告らに対する不当利得返還請求権を被保全権利として原告らの預金債権について仮差押えを執行し、また、その後、原告らが仮差押決定に対する異議を申し立ててb会館の原告らに対する不当利得返還請求権の不存在が明らかになったにもかかわらず上記仮差押命令の申立てを維持したことは原告らに対する不法行為に該当すると主張して、被告に対し、原告a社は、損害賠償として延滞税相当額、逸失利益の一部、慰謝料及び弁護士費用の一部並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金(始期は原告a社の預金債権の仮差押えが執行された日)の支払を、原告B子は、損害賠償として慰謝料及び弁護士費用の一部並びにこれらに対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金(始期は原告B子の預金債権の仮差押えが執行された日)の支払をそれぞれ請求する事案である。
1  前提事実(争いのない事実及び各項記載の証拠により容易に認定できる事実)
(1)  当事者等
ア 原告a社は、甲山A男(以下「原告a社代表者」という。)が代表者を務め、不動産の売買、仲介、賃貸及び管理業務等を目的とする株式会社である。
原告B子は、平成13年6月当時、67歳であり、平成12年当時、b会館の取締役及び株式会社甲山事業(以下「甲山事業」という。)の監査役を務めていた。(甲12、29、71、乙12、16、31)
なお、b会館の代表取締役は甲山C男(以下「C男」という。)であり、甲山事業の代表取締役は甲山D男(以下「D男」という。)であるが、両名と原告a社代表者及び原告B子とは兄弟(姉)である。
イ 被告は、「特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法」に基づき、平成8年7月26日に設立され、平成11年4月1日に株式会社整理回収銀行を合併して株式会社整理回収機構となった。
(2)ア  東京都品川区〈住所略〉所在の別紙「土地目録」の1ないし24記載の各土地(以下「本件各土地」という。)は、同目録「平成12年12月15日当時の所有者(持分)」欄記載のとおり、平成12年12月15日当時、b会館、C男、甲山事業及びD男の共有又は単独所有となっていたが、同目録1ないし12記載の土地(公簿面積合計613.69平方メートル。以下「本件第1区画」という。)と、同目録13ないし22記載の土地(公簿面積合計587.13平方メートル。以下「本件第2区画」という。)並びに同目録23及び24記載の土地(公簿面積合計156.05平方メートル。以下「本件公衆用道路」という。)とは、その間に存在した東京都所有の同目録25記載の土地(公簿面積86.68平方メートル。以下「本件都有地」という。)によって分断されていた。(甲39ないし43、乙25の1ないし24、35)
また、本件第1区画上には甲山事業が所有する別紙「建物目録」記載1の建物(以下「甲山ビル」という。)が存在し、本件第2区画上にはb会館が所有する同目録記載2及び3の各建物(甲山ビルと併せて「本件各建物」といい、本件各土地と本件各建物を併せて「本件不動産」という。)が存在していた。(甲42、43、乙25の25ないし27)
イ  b会館及び甲山事業は、平成12年3月当時、被告を含む債権者に対し50億円を超える債務を負っており、本件不動産を売却して、債権者らに対する弁済に充てることを計画した。(甲27、29、38)
ウ  b会館、C男、甲山事業及びD男は、同月ころ、原告a社に対し本件不動産売却の仲介、各債権者との交渉やこれに伴う諸手続や諸々の関連業務の処理を依頼し、被告を含む債権者らの了解を得て、同年12月15日、株式会社コムズ(以下「コムズ」という。)に対し、本件不動産を代金12億2600万円で売却した(以下「本件任意売却」という。)。b会館は、本件任意売却に先立って被告を含む債権者らとの間で合意したとおり、被告に対して3000万円を弁済し、被告の根抵当権設定登記は抹消された。
エ  b会館は、同日、東京都から本件都有地を代金8355万9520円で買い受け、同日、コムズに対し、同土地を代金4億5500万円で売却した。原告a社代表者は、b会館とコムズの間の本件都有地の売買契約についても立ち会った。(甲58、59、乙11)
オ  コムズは、同日、新日本建設株式会社(以下「新日本建設」という。)及び東洋アレックス株式会社(以下「東洋アレックス」という。)に対し、本件不動産及び本件都有地を代金25億1900万円で売却した。本件各土地及び本件都有地の不動産登記簿上の所有名義人は、別紙「土地目録」の現名義人欄記載のとおりである。(乙11、25の1ないし24)
カ  コムズと、新日本建設及び東洋アレックスの間の売買代金の決済は、新日本建設が振り出した千葉銀行中央支店の自己宛小切手合計49枚と現金500万円によって行われ、上記小切手のうち6枚(額面は、それぞれ1371万円、1400万円、3684万円、1500万円、6000万円、1億1800万円であり、額面合計は2億5755万円である。)が原告a社の預金口座に入金された。原告a社の預金口座に入金された小切手のうち、3684万円はb会館から原告a社に対して仲介手数料として支払われるべきもの、1400万円は本件不動産の一部について競売を申し立てていたフロンティア債権回収に原告a社が立替払いをした分であり、いずれも本件任意売却前に原告a社と被告らを含めた債権者らとの間で合意されていたものである。また、上記小切手のうち別の1枚(額面7525万9000円)が原告B子の預金口座に入金された。(乙5ないし10)
(3)ア  被告は、調査の結果、前記(2)カのとおり、原告a社及び原告B子の各預金口座に小切手による入金がされていることを知ったが、原告a社に対する仲介手数料3684万円を除いて原告らの預金口座への入金は法律上の原因を欠くものであると考え、平成13年6月6日、債務者を原告ら、被保全権利を被告がb会館に代位して行使する不当利得返還請求権、仮差押債権を原告a社及び原告B子の各預金債権として、仮差押命令の申立て(以下「本件仮差押命令の申立て」という。)をし、東京地方裁判所は、同月15日、本件仮差押命令の申立てを認容する旨の決定をした(以下「本件仮差押決定」という。)。(乙28、55、証人乙川)
同月18日、本件仮差押決定が執行され、原告a社の6318万0982円の預金債権及び原告B子の6390万8420円の預金債権がそれぞれ仮差押えされた(以下「本件仮差押え」という。)。(甲1、乙1、2)
イ  原告a社及び原告B子は、同年7月4日、不当な利得は存在していないと主張して、本件仮差押決定に対する異議の申立てをした(以下「本件異議申立て」といい、本件異議申立てに係る東京地方裁判所平成13年(モ)第54018号債権仮差押異議事件を「本件異議事件」という。)。
本件異議事件において、原告らは、被告によって不当利得であると主張されていた各小切手の取得原因について、別紙「本件異議事件における原告らの主張と疎明資料」の「主張」欄記載のとおり主張し、主として同別紙「疎明資料」欄記載の疎明資料を提出した。(甲2の1ないし3、乙15、36、弁論の全趣旨)
ウ  同年11月9日、本件異議申立てに対し本件仮差押決定を認可する旨の決定が出されたため、原告らは、同月22日、上記認可決定に対し抗告の申立てをした(以下「本件保全抗告申立て」といい、本件保全抗告申立てに係る東京高等裁判所平成13年(ラ)第2251号保全抗告申立事件を「本件保全抗告事件」という。)。本件保全抗告事件における争点は、本件異議事件と同様、被告によって不当利得であると主張されていた各小切手の取得原因の有無であった。(甲3、乙15、34)
エ  被告は、平成14年5月20日、原告らに対し、不当利得返還請求訴訟を提起(この訴訟提起に係る東京地方裁判所平成14年(ワ)第10547号不当利得返還請求事件を以下「本件本案事件」という。)し、主位的に、b会館の原告らに対する不当利得返還請求権の代位行使により、原告a社に対し1億9506万7407円とその遅延損害金、原告B子に対し7525万9000円とその遅延損害金の各支払を求め、予備的に、b会館やその債務者である甲山事業の行為を詐害行為として取り消し、原告a社に対し同社に移転した6700万円とその遅延損害金、原告B子に対し同人に移転した7525万9000円とその遅延損害金の各支払を求めた。本件本案事件における争点は、被告によって不当利得であると主張されていた各金員の取得原因及びb会館や甲山事業による詐害行為の有無であった。東京地方裁判所は、平成15年10月7日、本件本案事件について、原告らに不当利得は存しないし、b会館や甲山事業の行為が詐害行為であることを否定して、被告の請求をいずれも棄却する判決を言渡し、同判決は同月21日の経過をもって確定した。(甲7、8)
オ  被告は、同月30日、本件仮差押命令申立事件を取り下げ、これに伴い、同年11月18日に本件保全抗告事件も終了した。
2  争点
(1)  原告a社は被告に対する損害賠償請求権の訴訟追行権を失ったか(本案前の主張)
(被告の主張)
原告a社が主張する被告に対する損害賠償請求権は、平成16年3月12日、東京国税局に差し押さえられ、同月16日、第三債務者である被告に通知された。したがって、原告a社は、被告に対する損害賠償請求権の取立権を失い、訴訟追行権を失ったものであるから、原告a社の本件訴えは不適法として却下されるべきである。
(2)  被告が本件仮差押命令の申立てをしたことに過失があったか(原告a社及び原告B子の請求関係)
(原告らの主張)
被告は、預金保険機構に調査を依頼して自ら調査をせず、しかもコムズや原告らに対して調査することなく、預金保険機構による誤った情報に基づいて本件仮差押命令の申立てをしたのであるから、被告が原告らに不当利得があると主張して本件仮差押命令の申立てをしたことには過失がある。
(被告の主張)
次のとおり、被告が本件仮差押命令の申立てをしたことには相当な理由があるから、被告が本件仮差押命令の申立てをしたことに過失はない。
ア 被告は、原告a社から、本件任意売却に伴う返済計画案において、本件不動産を12億2600万円で売却し、経費は原告a社の仲介手数料3684万円を含む4800万円であり、売却代金の中から被告に3000万円が弁済されるとの説明を受けていたが、平成12年12月15日にb会館らが東京都から本件都有地の払下げを受け、本件不動産とともに本件都有地もコムズに売却すること、さらにコムズから新日本建設に本件不動産及び本件都有地が売却されることについて説明を受けていなかった。
イ 被告は、預金保険機構に依頼して、決済に使用された小切手の流れを調査し、最終的な買主である新日本建設、小切手が入金された金融機関並びに原告a社とともに本件任意売却の立会人となっていた三菱地所住宅販売株式会社(以下「三菱地所住宅販売」という。)から事情を聴取した。その結果、被告は、コムズから新日本建設らへの売却についての決済には千葉銀行中央支店の小切手が使用され、同小切手が平成12年12月15日の各売買のために準備されていたこと、同小切手の一部である2億5755万円が原告a社の預金口座に、7525万9000円が原告B子の各口座にそれぞれ入金されていたことを知ったが、被告はいずれも原告a社からこのような金員の移動及びその根拠について説明を受けていなかった。
ウ 被告がb会館の直近の決算書を調査したところ、b会館が原告らに対し多額の金員の支払を要する法的関係を窺わせる記載はなかった。
エ 被告は、本件仮差押命令の申立ての前に、コムズや甲山の関係者に対して事情を聴取しなかったが、コムズや甲山の関係者を調査すると、原告らが財産隠匿を図るおそれがあったし、仮にコムズや甲山一族を調査しても信頼するに足りる説明を受けられる可能性はなかった。
オ 以上の調査結果を踏まえ、被告は、新日本建設又はコムズから原告らに対し多額の金員が支払われる合理的な理由は通常ないことから、本来、b会館に帰属すべき財産がb会館の代表者を務めるC男の親族である原告らに法律上の原因なくしてこれらの金員が支払われたものと判断した。
(3)  被告が本件異議事件及び本件保全抗告事件においても本件仮差押命令の申立てを維持したことに過失があったか(原告a社及び原告B子の請求関係)
(原告らの主張)
原告らによる本件異議申立てにより、真相が明らかになったのであるから、被告は遅くともこの時点で本件仮差押命令の申立てを取り下げる義務があり、被告はこれを怠って本件仮差押命令の申立てを維持したことには過失がある。
(被告の主張)
原告らの本件異議申立てに対し、裁判所は本件仮差押決定を認可する旨の決定をし、また、本件保全抗告事件は裁判所に判断されることなく終了したのであるから、原告らからの本件異議申立てにより、真相が明らかになったとはいえない。また、各金員に関する原告らの取得原因の主張は、次のとおり、いずれも本案事件において認められるかどうかは不明であった。
したがって、本件異議事件及び本件保全抗告事件において、被告に本件仮差押命令の申立てを取り下げる義務があったとはいえず、過失はない。
ア 原告a社の立退料6000万円の主張について
被告が原告a社から本件任意売却前に示された本件任意売却に伴う返済計画案の中に原告a社が立退料を受領するとの説明がなかった。
また、原告a社は、本件任意売却の仲介業者であり、原告a社が賃借していたとされる甲山ビルについて、コムズから委任を受けて立退交渉を行い、明渡承諾書を徴求する業務の委託を受けていたのであるから、原告a社がコムズから立退料や中途解約損害金を請求するのは上記委託業務の趣旨に反する。
さらに、原告a社の賃借していたとされる事務所の面積がわずか37.78平方メートルと狭く、賃借期間も短いし、賃料月額が10万円と少額で、かつ敷金も保証金も差し入れられていないような賃貸借契約において6000万円もの立退料の支払はあり得ない。
したがって、この点に関する原告a社の主張は信用できるものではなかった。
イ 原告a社の立替払分5000万円及び1700万円の主張について
被告が原告a社から本件任意売却前に示された本件任意売却に伴う返済計画案の中に原告a社が約6700万円を立て替えており、これが本件任意売却の売却代金の中から原告a社に返済されるとの説明がなかった。
また、6700万円のうちの2209万9848円について、原告a社は、甲山事業が本件任意売却により持分権を喪失したことによりb会館に対し1億9700万円相当の求償権を取得し、その一部として甲山事業がb会館から1億1000万円の返済を受け、この中から甲山事業は原告a社に2209万9848円を支払ったと主張するが、b会館は甲山事業に対し、仮払金及び貸付金合計約4億1700万円の債権を有していたのであるから、1億9700万円相当の債務をもって相殺せずに現金で支払ったこと自体納得できるものではない。さらに、b会館が債務超過状態にあり、所有する唯一の本件不動産の売却をもって私的整理を行う状況において、相殺もせずに代表者の親族が経営する甲山事業に優先的に弁済しており、極めて詐害性が高い行為を債権者らに説明していなかったのである。
したがって、この点に関する原告a社の主張は信用できるものではなかった。
ウ 原告a社の業務委託料1億1800万円及び本件都有地払下げ売買契約の仲介手数料1500万円の主張について
被告が原告a社から本件任意売却前に示された本件任意売却に伴う返済計画案の中に原告a社が業務委託料及び本件都有地の売買契約の仲介手数料として合計1億3300万円を受領する旨の説明がなかったし、そもそも本件都有地の払下げ自体の説明がなかったのであるから、この点に関する原告a社の主張は信用できるものではなかった。
エ 原告B子の主張について
仮に、原告B子と甲山事業との間に不動産の交換契約が存在していたとしても被告はそのことを知らなかった。
また、原告B子に対する支払が、被告に対して事前に説明を受けていなかった転売先である新日本建設が用意した小切手によって支払われており、かつ、原告B子もb会館代表者のC男及び甲山事業代表者のD男の姉であったことから、b会館の財産隠匿行為ないし詐害行為として疑わざるを得なかった。
さらに、甲山事業の債務不履行の内容が不明瞭であったこともあって、裁判所の判断を仰がざるを得なかった。
(4)  原告a社の損害額
(原告a社の主張)
原告a社は、本件仮差押えにより、次のとおり、合計1億4971万3403円の損害を被った。
ア 延滞税 471万3403円
原告a社は、本件仮差押えにより、税金の法定納付期限である平成13年11月30日に納付することができず、都税の延滞税として100万9200円、国税の延滞税として370万4203円を加算された。
イ 営業停止に伴う逸失利益 3000万円
原告a社は、本件仮差押えにより信用を失い、営業ができなくなったが、平成13年度の立退料その他の収入を除く事業収益は2億3555万円であり、平成14年度以降も同様の収益が見込まれた。そして、年間事業利益の3割相当額が原告a社の損害であり、原告a社が信用失墜から回復するのに必要な合理的期間は少なくとも5年である。そこで、原告a社の逸失利益3億5332万5000円(2億3555万円×0.3×5年)のうちの3000万円を逸失利益として請求する。
ウ 懲罰的慰謝料 1億円
原告a社は、被告による本件仮差押えにより、信用失墜と経済的破綻に追い込まれ長期間にわたり事業を行えず、その経済的な損失及び精神的な苦痛は莫大である。
エ 弁護士費用 1500万円
原告a社は、本件異議事件、本件本案事件、本件保全抗告事件及び本件についてやむなく弁護士に依頼することとなり、本件解決後弁護士報酬規程(経済的利益の額を基準に、経済的利益が3000万円を超え、3億円以下の部分については着手金が3パーセント、報酬金は6パーセントとする。)に基づき、その範囲内で報酬を支払うことを約した。
そこで、各弁護士費用の合計2829万9717円(計算根拠は次のとおり)のうちの1500万円を請求する。
(ア) 本件異議事件及び本件保全抗告事件
1億7906万0874円×2/3=1億1937万3916円(弁護士報酬規程によれば、保全命令等申立事件等についての報酬分は、審尋又は口頭弁論を経たときは算定された額の3分の2とする。)
a 着手金
1億1937万3916円×0.03=358万1217円
b 成功報酬
1億1937万3916円×0.06=716万2434円
c 小計 1074万3651円
(イ) 本件本案事件
a 着手金
1億9506万7407円×0.03=585万2022円
b 成功報酬
1億9506万7407円×0.06=1170万4044円
c 小計 1755万6066円
(被告の主張)
ア (原告a社の主張)アについて
否認ないし争う。
イ 同イについて
否認ないし争う。
原告a社は、平成13年11月30日を納期限とする法人都民税、法人事業税及び法人税合計8642万7900円を滞納したのであるから、仮に被告が原告a社の預金債権6318万0982円を差し押さえなかったとしても、原告a社が同金員を事業資金として使用することはできなかったし、徴税及び換価が猶予されることもなかった。
また、原告a社は営業実績がほとんどなく、原告a社の平成13年度の売上げの内容は本件不動産の売却等に伴う仲介料、業務委託料収入であり、原告a社代表者の親族が代表者を務めいてたb会館及び甲山事業等所有の任意売却手続から得られた特殊かつ偶発的な売上げにすぎず、平成14年度以降の売上げの根拠となるものではない。
ウ 同ウについて
否認ないし争う。
エ 同エについて
否認ないし争う。
(5)  原告B子の損害額
(原告B子の主張)
原告B子は、本件仮差押えにより、次のとおり、合計2000万円の損害を被った。
ア 慰謝料 1250万円
原告B子は、高齢のうえ就業不能であったことから、本件仮差押えによって生活資金を失い、一時自殺を決意するほど追いつめられたほか、姪や義妹等に頭を下げて生活費を支援してもらった。このように原告B子の受けた精神的苦痛は甚大であり、金銭的に評価すれば500万円を下らない。
また、原告B子は、被告による本件仮差押えにより長期間にわたって経済的破綻に追い込まれ、莫大な精神的苦痛を受けたことから、懲罰的慰謝料として750万円を請求する。
イ 弁護士費用 750万円
原告B子は、本件異議事件、本件保全抗告事件、本件本案事件及び本件についてやむなく弁護士に依頼することとなり、本件解決後弁護士報酬規程に基づき、その範囲内で報酬を支払うことを約した。
そこで、各弁護士費用の合計1128万8848円(計算根拠は次のとおり)のうちの750万円を請求する。
(ア) 本件異議事件及び本件保全抗告事件
7525万9000円×2/3=5017万2666円
a 着手金
5017万2666円×0.03=150万5179円
b 成功報酬
5017万2666円×0.06=301万0359円
c 小計 451万5538円
(イ) 本件本案事件
a 着手金
7525万9000円×0.03=225万7770円
b 成功報酬
7525万9000円×0.06=451万5540円
c 小計 677万3310円
(被告の主張)
いずれも否認ないし争う。
第3  争点に対する判断
1  争点(1)(訴訟追行権の喪失)について
被告は、原告a社の本件請求にかかる損害賠償請求権に対し東京国税局による差押えがされたことにより、原告a社は本件訴訟の追行権を失ったので、本件訴えは不適法として却下されるべきであると主張する。
しかしながら、原告の訴求する請求権が第三者によって差し押さえられたとの一事をもって当該原告が当然に訴訟追行権を失うと解すべき根拠はない。のみならず、実際的に考えても、差押えがあったとしても差押債務者には第三債務者に対し債務名義を取得し時効中断の効果を得る利益があるほか、差押債務者が訴訟追行権を失い訴えが却下されるとすると、その後に差押えが取り下げられたときは差押債務者は改めて第三債務者に対し訴えを提起しなければならいことになり訴訟経済に反することになる。また、差押債務者が給付訴訟の勝訴判決に基づき第三債務者に対して強制執行をしてきたとしても、第三債務者は、当該請求権について差押えがされていることを理由に執行異議を申し立てることにより、これを阻止することができると解される。したがって、東京国税局による差押えにより原告a社は本件訴訟の追行権を失うものではないと解すべきである。
よって、被告の本案前の主張は理由がない。
2  争点(2)(本件仮差押命令の申立ての違法性)及び争点(3)(本件異議事件後も本件仮差押命令の申立てを維持したことの違法性)について
(1)  証拠(括弧内記載のもの)及び弁論の全趣旨に前提事実(第2、1)を総合すれば、被告が本件仮差押命令の申立てをし、これを取り下げるまでの経緯は、次のとおりであると認められる。
ア 被告は、平成11年8月16日、株式会社日本長期信用銀行から、b会館に対する本件各土地を目的とする根抵当権付きの貸金債権を譲り受けた。(乙23、25の1ないし24)
イ 原告a社は、原告a社代表者が昭和54年3月に設立したが(旧商号c総業株式会社)、原告a社代表者が他の会社の業務を優先したり、バブル崩壊に伴う不動産事業の整理を優先していたこともあって、実質的には事業を行っていなかった。(甲10、63の3、69、74、乙13、原告a社代表者)
原告a社は、平成12年3月まで東京都新宿区〈住所略〉所在のビル内に本店を置いていたが、同所を事務所とし、原告a社代表者が代表者を務めていた別会社の営業が譲渡されたことに伴い、上記ビルを退出せざるを得なかったため、甲山事業との間で、甲山ビル405号室(契約面積37.38平方メートル)を期間同月1日から2年、賃料1か月10万円の約定で賃借し、同月上旬ころ、これに入居した。なお、この契約に関して、敷金等の授受は行われていない。(甲13、27、29、31、34、38、63の3、64、乙13、原告a社代表者)
ウ b会館及び甲山事業とその債権者の間では、本件各土地を分断している本件都有地を買収して本件各土地と一体化することが本件各土地の担保価値を高めることにつながるということは共通の認識であり、b会館は、本件都有地の払下げを受けること自体は可能であったが、各債権者や他の金融機関から払下げ資金の融資を受けることができなかった。(甲11、27、29、34、38、56、64、原告a社代表者)
エ(ア) 原告a社代表者、D男及び原告ら訴訟代理人は、同年6月2日、被告に対し、本件不動産について購入希望者がいるので、各債権者の了解を得て任意売却を行いたいと申し入れた。その際、原告a社代表者らは、事前に本件都有地の払下げを受けることは不可能なので現況のまま売却すること、甲山ビルのテナントの立退き及び解体は任意売却後買主において行うこと、原告a社に売却を依頼すること、原告a社は同代表者が近親者として無料で働くのではなく有償で仲介することを説明し、次のとおり、任意売却計画案を提案した。
買取価格         9億8500万0000円
担保権者への総配分額   5億1253万7568円
被告への配分額         917万1000円
売買契約書印紙代         20万0000円
不動産譲渡所得税     2億4225万5000円
債務の清算等に係る弁護士費用 6000万0000円
仲介手数料等         4925万0000円
未払金等処理費(C男、D男への未払給与等)
1億0441万7432円
事務所移転費用等        550万0000円
被告は、原告a社が任意売却の仲介をすること自体には異議を述べず、任意売却についても、売却先がb会館及び甲山事業の各代表者の近親者でないこと、売却価額、諸経費及び被告への配分額が適正であることを条件にこれを了承したが、上記計画案については、買取価格に対する担保権者への総配分額が少ないこと、被告への配分額が少ないこと、債務の清算等に係る弁護士費用、未払金処理費用及び事務所移転費用等が多いことを理由に承諾しなかった。(甲79、乙42、55)
(イ) 原告a社は、同年7月18日、コムズとの間で業務委託契約を締結し、甲山ビルの賃借人の立退業務等の委託を受けた。(甲15、原告a社代表者)
(ウ) 原告a社代表者、D男及び原告ら訴訟代理人は、同月24日、被告に対し、コムズほか2者が売却先であること、売却条件として甲山ビルは賃借人が入居した現況有形有姿のまま売却することを説明し、次のとおり、修正した任意売却計画案を提案した。原告a社代表者らが被告に交付した「b物件売却に関する要望書」と題する書面(乙43)には売却の対象となる土地は本件各土地である旨の記載があり、本件都有地が含まれるとの記載はなかった。被告従業員の乙川E男(以下「乙川」という。)は、原告a社代表者らから、b会館も甲山事業も本件都有地の払下げを受けるだけの資金を調達できないことから、任意売却後に買主となるコムズが改めて東京都と交渉したりして払下げを受けるとの説明を受けた。
売却価格         9億8500万0000円
担保権者への総配分額   8億3429万0044円
被告への配分額        1394万0000円
売買契約書印紙代         20万0000円
不動産譲渡所得税       3114万4302円
債務の清算等に係る弁護士費用 2500万0000円
仲介手数料等         2961万0000円
未払金等処理費(C男、D男への未払給与等)
4819万6154円
事務所移転費用等        876万2000円
被告は、被告への配分額がまだ少なく、未払金処理費が多いことなどから上記計画案についても承諾しなかった。その際、原告a社代表者らは、被告に対し、コムズの商業登記簿謄本、会社案内等の資料も交付した。(甲79、乙43、44の1・2、55、証人乙川)
(エ) その後も、原告a社代表者、D男及び原告ら訴訟代理人は、被告を含む債権者に対し、数回にわたって修正した任意売却計画案を提案し、最終的には、被告らを含む債権者は、従前の任意売却計画案にあったC男及びD男への未払給与等の未払金等処理費を削除した案である、次のような平成12年10月23日付けの任意売却計画案で合意するに至った。(甲79、乙7、45、55、証人乙川)
売却価格        12億2600万0000円
担保権者への総配分額  11億7800万0000円
被告への配分額        3000万0000円
諸経費総額          4757万1900円
木造2棟解体整地        750万7500円
境界石確認、埋石         80万8500円
隣地越境部分撤去         67万5900円
賃貸借預り金引継ぎ       134万0000円
印紙代              40万0000円
原告a社への仲介手数料    3684万0000円
(オ) 被告は、前記(エ)計画案の提案を受けた後、b会館に対し、同計画案における諸経費等の裏付けとなる資料の開示を求め、経費明細は同計画案のとおりであること、東京都主税局への滞納税額が8264万1603円であることを確認し、さらに同年11月10日及び同月14日、b会館の債権者である第一勧業信用組合、東京産業信用金庫及び東京都主税局に対し、本件不動産の売却価格、債権者への弁済総額、被告への弁済額及び購入者等について、被告が原告a社代表者らから受けていた説明内容に間違いがないかどうかを確認したところ、被告が受けていた説明内容と一致し、被告が把握していない情報もないことが確認できたため前記(エ)計画案による任意売却に応じることにした。(乙50、51、55、証人乙川)
(カ) 原告a社代表者、D男及び原告ら訴訟代理人は、同月22日、被告に対し、本件任意売却の実行日が同年12月15日に決定したことを説明し、コムズからの買付証明書(乙53)を交付した。同買付証明書では、買付けの対象は本件不動産とされており、本件都有地の言及はなく、また、甲山ビルについては「賃借人付きの現況有形有姿のままの引き渡し」との記載がある。(甲79、乙52、53)
オ 同月15日、立会人である三菱地所住宅販売内の契約室において、本件任意売却が実行され、原告a社は、コムズとの間で、甲山ビル405号室の賃貸借契約を解除し、同月末日までに明け渡す旨合意した。本件任意売却に立ち会っていた乙川は、本件任意売却と同時に、コムズと甲山ビルの賃借人との間の立退契約が締結されたことは知っていたが、b会館が同日、本件都有地を代金8355万9520円で払下げを受け、直ちに同土地を代金4億5500万円でコムズに売却したこと、コムズが本件不動産及び本件都有地を代金25億1900万円で新日本建設及び東洋アレックスに対して売却したことは知らなかった。(甲13、58ないし60、乙11、24、55、証人乙川)
さらに、原告a社代表者らは、被告に対し、b会館による本件都有地の払下げ、b会館からコムズへの本件都有地の売却について、説明したことはなかったし、被告は、これに伴って原告a社がコムズから立退料及び業務委託料等合計2億6000万円を受領し、原告B子が甲山事業から7525万9000円の支払を受けることを知らなかった。(乙24、55、証人乙川、原告a社代表者)
カ 後日、乙川は、従前被告が把握していたb会館の各債権者、東京都主税局、原告a社等の受領額を確認するため、b会館らから、債権者等の領収書の写しを受領した。(乙54、55、証人乙川)
キ(ア) 乙川は、平成13年1月ころ、本件不動産の不動産登記簿を確認したところ、本件任意売却がされた平成12年12月15日付けで本件公衆用道路を除く本件不動産の所有者が新日本建設となっていることを知り、従前、原告a社代表者らから説明を受けていたコムズではなかったことから、平成13年1月22日、このことについてD男に説明を求めたが、同人からは、買手側の事情なのでよく分からないが、甲山ビルを解体するまでの間は新日本建設を前面に置くといった要領を得ない回答しか得られなかった。(乙24、25の1ないし27、55、証人乙川)
(イ) そこで、乙川は、預金保険機構と協議の上、本件任意売却における金員の流れ等を調査することとし、同年2月15日から同年3月12日にかけて、千葉銀行中央支店、東京三菱銀行目黒支店、東京三菱銀行新宿西口支店、城南信用金庫大岡山支店、さくら銀行高円寺支店、商工中金神田支店、新日本建設及び三菱地所住宅販売を調査し、前記第2、1(2)カのとおり、原告a社及び原告B子の各預金口座に新日本建設から支払われた小切手が入金されていたほか、東洋アレックスから新日本建設に本件不動産及び本件都有地の売買を持ちかけられたのは平成12年10月か11月ころであったこと、前記第2、1(2)エ及びオの各売買が行われたことが判明し、原告a社の役員は多くが原告a社代表者の親族で占められてきたことを確認した。(乙4ないし6、8ないし11、30、55、証人乙川)
(ウ) このころ、乙川は、b会館の平成11年4月1日から平成12年3月31日事業年度の確定申告書(乙14)を調査しているが、それによるとb会館と原告らとの間で、上記のような資金移動の根拠となる債権債務関係があるとの事情は認められなかった。(乙14、証人乙川)
(エ) 被告は、以上の調査を踏まえて、原告a社に対する仲介手数料3684万円及びフロンティア債権回収に対する立替金1400万円を除き、原告らに対する小切手による入金は法律上の原因を欠くものと考え、本件仮差押命令のを申立てをし、平成13年6月15日、本件仮差押決定を得た。
ク 原告らは、同年7月4日、本件異議申立てをし、前記第2、1(3)イのとおり、各金員の取得原因を主張し、その疎明資料を提出した。
ケ 同年11月9日、本件仮差押決定を認可する旨の決定が出されたため、原告らは同月22日、本件保全抗告申立てをしたが、その後、被告が本件本案事件において敗訴判決の言渡しを受け、同判決が確定したため、被告自ら本件仮差押命令の申立てを取り下げた。
(2)  争点(2)(本件仮差押命令の申立ての違法性)について
ア 仮差押決定が、その被保全権利が存在しないために当初から不当であるとして取り消された場合において、上記決定を得てこれを執行した仮差押債権者が、上記の点について故意又は過失のあったときは、民法709条により、仮差押債務者がその執行によって受けた損害を賠償すべき義務があるものというべく、一般に、仮差押決定が異議もしく上訴手続において取り消され、あるいは本案訴訟において仮差押債権者敗訴の判決が言い渡され、その判決が確定した場合には、他に特段の事情がない限り、仮差押債権者に過失があったものと推定するのが相当である。これを本件についてみると、前記認定のとおり、被告は、本件本案事件において敗訴判決を言い渡され、同判決は確定したのであるから、被告において、本件仮差押命令の申立てをしたことについて他に特段の事情のない限り、被告に本件仮差押命令の申立てをしたことについて過失があったものと推定されるところ、以下、かかる推定を覆すに足りる特段の事情があったか否かについて検討する。
イ 被告は、本件任意売却前、原告a社代表者及びD男、原告ら訴訟代理人から、任意売却案の前提として、本件都有地についてはb会館及び甲山事業が東京都から払下げを受けるだけの資力がなく、融資も受けることができないことから、本件都有地が任意売却の対象とならないとの説明を受けていた(前記第3、2(1)エ(ア)及び(ウ))にもかかわらず、本件任意売却後の被告の調査により、本件任意売却日にb会館が本件都有地の払下げを受け、同日、コムズに売却し、外形的には、b会館は約3億7000万円を超える利益を得たことが判明している(前記第2、1(2)エ及びオ)。また、原告a社代表者らは、当初、任意売却案においてC男及びD男への未払給与等の未払金処理費を含む諸経費として約4億7000万円を計上していたが、被告を含む債権者らの要求を受け、最終的にはこれらの未払金処理費は計上せず、諸経費としては原告a社への仲介手数料を含む約4800万円のみが計上されることになった(前記第3、2(1)エ(ア)、(ウ)及び(エ))にもかかわらず、後日の被告の調査によれば、本件任意売却直後に、原告a社の預金口座に本件任意売却において原告a社が受領することになっていた金額を大幅に超える金額の小切手が入金され、原告B子の預金口座にも額面7525万9000円の小切手が入金されており、結局、原告らは、原告a社が受領しうる仲介手数料3684万円及び立替金1400万円を除き、合計2億8196万9000円もの被告が説明を受けていない金員を受領していたことが判明している(前記第3、2(1)キ(イ))。これに対し、b会館は本件都有地の転売により約3億7000万円の利益を得たはずであるところ、本件任意売却案で計上されている金額を除き、1億1229万1480円分の小切手の入金しか新日本建設から受けていない(乙8)。他方、b会館の決算書によってもb会館と原告a社との間にはこのような金銭の支払の根拠となるような債権債務関係を窺わせるような事情はなく(乙14)、何よりも原告らは、本件都有地の払下げ・転売の経緯はもとより、原告らが前記のような支払を受けること及びその原因となる事情について、全く被告に説明していない。さらに、原告a社代表者及び原告B子は、いずれもb会館の代表者であるC男及び甲山事業の代表者であるD男と親族であり、原告B子に至ってはb会館の取締役及び甲山事業の監査役も務めていたのである(前記第2、1(1)ア)。このような状況の下では、被告において、原告らとb会館及び甲山事業との間で被告を含めた債権者らには事前に説明し得ないような不明朗な金銭のやりとりがあったものと推測し、原告らの金員の取得は法的根拠を欠くものであるとして、原告らに対する不当利得返還請求権たる被保全権利が存在すると信じて本件仮差押命令の申立てを行うことにも相当の理由があったというべきである。
なお、原告らは、被告は、コムズや原告らに対して調査をしないまま、不当にも本件仮差押命令の申立てをした旨主張するが、コムズは、本件不動産をb会館らから買い受けた直接の当事者であり、本件任意売却後、直ちに新日本建設及び東洋アレックスに転売し、外形的には約8億3800万円の転売利益を得ている者であること(前記第2、1(2)ウないしオ)、被告はb会館による本件都有地の払下げ及びコムズへの売却についても、コムズが直ちにこれを新日本建設及び東洋アレックスに転売することも知らされておらず(前記第3、2(1)オ)、本件都有地の払下げ・転売は、被告を含む債権者らの知らないところで秘かに実行されたと推認されることに加え、新日本建設が振り出した小切手が直接原告らに入金されていたこと(前記第2、1(2)カ)も併せ考えると、被告において、コムズはb会館、甲山事業及び原告a社と通謀の上これら一連の取引を行ったと考えたこともやむを得ないというべきである。それにもかかわらず、被告に対し原告らやコムズへの調査義務を課すということになれば、原告らに財産隠匿等の機会を与えることにもなりかねず、仮差押えにより暫定的に債務者の財産を保全するという保全処分制度の趣旨に反することにもなるというべきであるから、原告らの上記主張は採用することができない。
ウ したがって、被告による本件仮差押命令の申立てについて、過失があったとの推定を覆すに足りる特段の事情があったといえるから、被告には過失が認められない。
(3)  争点(3)(本件異議事件後も本件仮差押命令の申立てを維持したことの違法性)について
原告らは、本件異議事件において、前記第2、1(3)イのとおり、各金員を取得する法律上の原因を主張し、それを裏付ける疎明資料を提出したものの、被告は本件仮差押命令の申立てを維持し、結局、本件本案事件において敗訴判決の言渡しを受け、同判決が確定したことは前記認定のとおりである。そこで、被告がその後も本件仮差押命令の申立てを維持したことについて過失があったとの推定を覆すに足りる特段の事情があったか否かについて、原告らによる各金員の取得原因と原告ら提出の疎明資料とを対照しつつ、検討する。
ア 原告a社の6000万円について
原告a社は、平成12年3月上旬ころ、甲山ビル405号室に入居したのであるが、その契約面積は37.38平方メートルと必ずしも広いものではなく、敷金等の授受はなく、入居期間も1年に満たず、比較的短期間であった(前記第3、2(1)イ及びオ)。しかも、原告a社は本件任意売却に先立ちコムズから甲山ビルの他の賃借人の立退業務の委託を受けていたほか(前記第3、2(1)エ(イ))、同室に入居したころ、本件任意売却の仲介等の委託を受けたもので(前記第2、1(2)ウ)、本件任意売却が行われることを前提に一時的に甲山ビルに入居したとも考えられるところである。そうすると、原告a社がコムズから6000万円もの高額の立退料を得られる立場にはないと考えるのが自然であって、被告において、かかる金員の受領は法律上の原因を欠くと判断したことは相当の理由があったというべきである。
イ 原告a社の1億3500万円について
原告a社は、1億3500万円の受領について、本件異議事件において、コムズとの間で締結した業務委託契約に基づいて受領したものである旨主張する一方、その一部金を前受けした資金で、b会館及び甲山事業の第一勧業信用組合に対する債務並びに甲山事業の住友銀行に対する債務を立替払いした旨主張していたところ(甲2の1)、それにもかかわらず1億3500万円が前受分を控除することなく原告a社の口座に入金されていることを指摘されるや、住友銀行に支払った1700万円については仮領収書を発行し、後は残金の受領の際に1億3500万円の領収書と差し替えたものである旨、また第一勧業信用組合に支払った5000万円については、追加業務委託契約1億1000万円の中から支払った旨それぞれ主張を変更し、疎明資料(甲15、16、30の1)を提出した。(乙15)
このような原告らの主張は、それ自体不自然かつ不可解に変遷しているのみならず、その内容も、当初の平成12年7月18日付け業務委託契約の委託業務として、既に、甲山ビルの賃借人の立退交渉が含まれているにもかかわらず、同年12月10日付け追加業務委託契約において、委託業務として、重ねて、甲山ビルの賃借人株式会社ワイラーに対する立退交渉が委託されており、しかも原告a社はそれぞれの報酬として1億3500万円、1億1000万円を同月13日と同月15日にかけて受領したことになっている(甲75)のであって、かかる業務委託契約自体、極めて不自然かつ不可解であるといえる。
したがって、被告において、なおも、原告a社によるかかる金員の受領は法律上の原因を欠くと判断したことには相当な理由があったということができる。
ウ 原告a社の5000万円及び1700万円について
前段説示のとおり、原告a社が第一勧業信用組合及び住友銀行に代位弁済したと主張する5000万円及び1700万円についての原告らの主張が不自然に変遷しており、原告らは、被告の指摘を受けた後に不一致部分について説明するという姿勢に終始していたことが窺われるのみならず、住友銀行の領収書(甲19)のあて名が原告a社ではなく甲山事業となっていたり、同月13日に第一勧業信用組合に支払った5000万円の原資とされる追加業務委託契約の報酬に係る領収書(甲30の1)の日付けがそれに後れる同月15日となっているなど、原告らの提出する疎明資料と主張とが一致していなかったことが認められる。しかも、住友銀行及び第一勧業信用組合に対する合計6700万円の代位弁済は、本件任意売却の計画案外のものであり、被告はこれについての事前の説明を全く受けていなかったことからすると、原告a社の疎明資料の信用性について、本案において判断を求めるという判断も不相当であるということはできない。
エ 原告B子の7525万9000円について
原告B子は、原告B子の7525万9000円については、甲山事業との間の平成7年3月28日付け不動産交換契約について、甲山事業の債務不履行を理由に買い戻したことに伴い授受された精算金であると主張し、D男の陳述書(甲29)にも甲山事業の責任によって当該土地に設定してあった根抵当権を抹消しなければならなかったとの記載があるが、不動産交換契約書(甲28の1)には甲山事業がそのような債務を負う旨の記載はなかったこと(甲28の1、29、乙15)、原告B子は、外形的にはb会館名義で処分された本件都有地の売却代金の中から支払を受けたものであるが、なにゆえ甲山事業の債務をb会館が履行したのか不明であることからすると、被告において、なおも原告B子によるかかる金員の受領は法律上の原因を欠くと判断したことには相当な理由があったものというべきである。
オ 平成13年11月9日、東京地方裁判所は、以上に説示したとおりの原告らの主張及び疎明に対する数々の疑問を指摘した上で、本件仮差押決定を認可する旨の決定をしている。
カ 以上によれば、被告が本件異議事件後も本件仮差押命令の申立てを維持したことは相当の理由があったものと認められる。
したがって、被告が本件異議事件後も本件仮差押命令の申立てを維持したことについて、過失があったとの推定を覆すに足りる特段の事情があったといえるから、被告には過失が認められない。
第4  よって、原告らの請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条、65条1項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 藤下健 裁判官 大野昭子 裁判官 小沼日加利)

 

土地目録〈省略〉

建物目録
1 所在 品川区〈住所略〉
家屋番号 618番5
種類 事務所、共同住宅
構造 鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造陸屋根9階建
床面積 1階  85.59平方メートル
2階 220.49平方メートル
3階 220.49平方メートル
4階 204.95平方メートル
5階 204.95平方メートル
6階 204.95平方メートル
7階 204.95平方メートル
8階 204.95平方メートル
9階 204.95平方メートル
2 所在 品川区〈住所略〉
家屋番号 610番1の1
種類 店舗
構造 木・鉄筋コンクリート造亜鉛メッキ鋼板葺地階付2階建
床面積 1階 101.35平方メートル
2階  99.27平方メートル
地階 101.61平方メートル
3 所在 品川区〈住所略〉
家屋番号 609番
種類 店舗
構造 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
床面積 1階  20.62平方メートル
2階  19.80平方メートル

本件異議事件における原告らの主張と疎明資料 〈省略〉

 

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