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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(353)平成17年12月28日 東京地裁 平17(ワ)8053号 不正競争行為差止請求権不存在確認請求、同反訴請求、不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件 〔一橋学院事件〕

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(353)平成17年12月28日 東京地裁 平17(ワ)8053号 不正競争行為差止請求権不存在確認請求、同反訴請求、不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件 〔一橋学院事件〕

裁判年月日  平成17年12月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)8053号・平17(ワ)9069号・平17(ワ)22916号
事件名  不正競争行為差止請求権不存在確認請求、同反訴請求、不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件 〔一橋学院事件〕
裁判結果  本訴第1事件一部認容、一部却下、反訴第1事件一部認容、第2事件却下  文献番号  2005WLJPCA12280008

要旨
◆反訴被告が「IE一橋学院」といった商標を使用して学習塾を営むことは「一橋学院」の名称で従前から大学受験予備校事業を行っていた反訴原告の商標権を侵害するとして当該商標使用の差止請求及び損害賠償請求の一部が認容された事例
◆本訴原告が本訴被告に対して請求した「IE一橋学院」の商標を使用して学習塾の経営等を行うことについて本訴被告が反訴被告に対して不正競争防止法に基づく使用差止請求権及び損害賠償請求権を有しないことの確認の訴えが、前記の同様の差止及び損害賠償請求の反訴提起によって確認の利益がなくなったとして却下された事例
◆本訴原告が「IE一橋学院」に代えて新しい商標「スクールIE」等を使用して学習塾の経営等を行うことが不正競争防止法に該当せず本訴被告の本訴原告に対する差止請求権及び損害賠償請求権がないことの確認を求めたが、本訴被告が本訴原告の新商標に対して不正競争防止法に基づく請求を行う権利も意図もない旨主張していることなどから紛争の成熟性の点で確認の利益を欠くとして、訴えが却下された事例
◆「一橋学院早慶外語」の名称で大学受験予備校を経営している被告(第一事件反訴原告)が、「IE一橋学院」等からなる原告標章を使用して学習塾の経営等をしている原告(第一事件反訴被告)に対して、不正競争防止法二条一項一号に基づき、原告標章の使用の差止め等を求めた事例において、両標章は類似するとして、被告の請求を認めた事例

評釈
工藤莞司・特許ニュース 11931号2頁

参照条文
不正競争防止法2条1項1号
不正競争防止法3条1項
不正競争防止法4条

裁判年月日  平成17年12月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)8053号・平17(ワ)9069号・平17(ワ)22916号
事件名  不正競争行為差止請求権不存在確認請求、同反訴請求、不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件 〔一橋学院事件〕
裁判結果  本訴第1事件一部認容、一部却下、反訴第1事件一部認容、第2事件却下  文献番号  2005WLJPCA12280008

平成17年(ワ)第8053号
不正競争行為差止請求権不存在確認請求事件(以下「第1事件本訴」という。)
平成17年(ワ)第9069号
同反訴請求事件(以下「第1事件反訴」という。)
平成17年(ワ)第22916号
不正競争行為差止請求権不存在確認等請求事件(以下「第2事件」という。)

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

主  文

1  第1事件本訴について
(1)  原告の第1事件本訴の訴えのうち、被告が原告に対し不正競争防止法3条1項及び2条1項1号に基づく使用差止請求権を有しないことの確認を求める部分を却下する。
(2)  原告の第1事件本訴の訴えのうち、被告が原告に対し不正競争防止法4条及び2条1項1号に基づく損害賠償請求権のうち、金800万円までの部分を有しないことの確認を求める部分を却下する。
(3)  原告が別紙商標目録記載の商標を使用し、学習塾の経営及び経営指導並びに家庭訪問による学習指導業務を目的とする営業を行うことについて、被告が原告に対し不正競争防止法4条及び2条1項1号に基づき金800万円を超える損害賠償請求権を有しないことを確認する。
2  第1事件反訴について
(1)  原告は、学習塾の営業上の施設又は活動に、別紙商標目録記載の商標又は「一橋学院」なる表示を含む商標を使用してはならない。
(2)  原告は、看板、名刺、宣伝ポスター、宣伝用チラシ、教材及び電気通信回線を通じての情報提供に、別紙商標目録記載の商標又は「一橋学院」なる表示を含む商標を使用してはならない。
(3)  原告は、別紙商標目録記載の商標又は「一橋学院」なる表示を含む商標を記載した看板、名刺、宣伝ポスター、宣伝用チラシ及び教材を破棄せよ。
(4)  原告は、被告に対し、金100万円及びこれに対する平成17年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5)  被告のその余の第1事件反訴請求を棄却する。
3  第2事件について
原告の第2事件の訴えを却下する。
4  訴訟費用は、全事件を通じてこれを4分し、その3を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
5  この判決は、第2項(4)に限り、仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件本訴
原告が別紙商標目録記載の商標(以下「原告旧商標」という。)を使用し、学習塾の経営及び経営指導並びに家庭訪問による学習指導業務を目的とする営業を行うことについて、被告が原告に対し、不正競争防止法3条1項及び2条1項1号に基づく使用差止請求権並びに同法4条及び2条1項1号に基づく損害賠償請求権を有しないことを確認する。
2  第1事件反訴
(1)  主文第2項(1)ないし(3)と同旨
(2)  原告は、被告に対し、金800万円及びこれに対する平成17年5月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  第2事件
原告が「スクールIE」及び「拓人スクールIE」(ただし、いずれも「スクール」部分をアルファベット表記する場合を含む。)の商標(以下、これらを併せて「原告新商標」という。)を使用し、学習塾の経営及び経営指導並びに家庭訪問による学習指導業務を目的とする営業を行うことについて、被告が原告に対し、不正競争防止法3条1項及び2条1項1号に基づく使用差止請求権並びに同法4条及び2条1項1号に基づく損害賠償請求権を有しないことを確認する。
第2  事案の概要
第1事件本訴は、IE一橋学院等から成る原告旧商標を使用して学習塾の経営等を行う原告が、「一橋学院早慶外語」の名称で大学受験予備校を開設している被告を相手方として、原告が原告旧商標を使用してその営業を行うことは不正競争防止法2条1項1号に該当しないと主張して、同法に基づく差止請求権及び損害賠償請求権がないことの確認を求めた事案である。
第1事件反訴は、被告が、原告に対し、不正競争防止法3条及び2条1項1号に基づき、原告の学習塾等の営業につき原告旧商標の使用差止め及び看板等の廃棄を求めるとともに、同法4条及び2条1項1号に基づき、原告旧商標の商標登録に関する無効審決取消請求訴訟の応訴、第1事件本訴の応訴及び第1事件反訴の提起に要した弁護士費用等相当の損害のうち一部の賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
第2事件は、原告が、被告に対し、原告が「スクールIE」等の原告新商標を使用し、学習塾の経営等を行うことは不正競争防止法2条1項1号に該当しないと主張して、同法に基づく差止請求権及び損害賠償請求権がないことの確認を求めた事案である。
1  前提事実
(1)  当事者
ア 原告は、平成元年11月1日に設立され、学習塾の経営及び経営指導並びに家庭訪問による学習指導業務等を行う株式会社である。
(争いのない事実)
イ 被告は、昭和30年10月19日、学校法人として設立され、「一橋学院早慶外語」との名称で、大学受験予備校(以下「被告予備校」という。)を設置している。
(争いのない事実、甲44)
(2)  原告旧商標
ア 原告は、平成8年1月30日、原告旧商標につき商標登録出願を行い、平成10年4月17日、商標登録第4136256号をもって設定登録を受けた。
イ 被告は、平成15年3月7日、「一橋学院」から成る商標(以下「被告商標」という。)が被告の「大学受験指導に関する役務」を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているから、原告旧商標は商標法4条1項10号に違反して商標登録されたものであると主張し、原告旧商標につき無効審判の請求を行った。
特許庁は、この請求を無効2003-35084号事件として審理した上、平成16年6月2日、原告旧商標の登録を無効とする旨の審決をした。
ウ 原告は、東京高等裁判所に対し、上記審決の取消しを求める訴えを提起したが(平成16年(行ケ)第299号)、東京高等裁判所は、平成17年3月24日、原告の請求を棄却する旨の判決をした。
エ 原告は、上記判決につき、最高裁判所に対し、上告及び上告受理申立てを行ったが(平成17年(行ツ)第189号及び平成17年(行ヒ)第202号)、最高裁判所は、平成17年7月14日、上告棄却及び上告受理申立不受理の決定をした。
(以上、争いのない事実)
(3)  被告の警告
被告は、原告に対し、平成17年4月1日に到達した警告書(甲4)で、原告旧商標の使用が不正競争防止法2条1項1号に該当する旨主張し、その使用停止を要求した。
(争いのない事実)
(4)  被告による商標登録出願
ア 被告は、平成16年12月10日、商標「一橋IE学院」につき、役務の区分及び指定役務を「第41類 知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、書籍の制作、図書の貸与」として登録出願(商願2004-113251)を行ったが、特許庁審査官は、被告に対し、平成17年6月7日、原告旧商標を引用商標として商標法4条1項11号に該当する旨の拒絶理由通知書を送付した。
(争いのない事実、甲42の1、46)
イ 被告は、平成16年12月10日、商標「IE一橋」につき、アと同じ役務の区分及び指定役務で登録出願(商願2004-113252)を行ったが、特許庁審査官は、被告に対し、平成17年6月7日、当該商標を指定役務に使用しても需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないから、商標法3条1項6号に該当すること、及び原告旧商標を引用商標として商標法4条1項11号に該当する旨の拒絶理由通知書を送付し、後に拒絶査定をした。
(争いのない事実)
ウ 被告は、平成17年8月26日、商標「IE学院」、「IE一橋学院」及び「IE一橋個別指導塾」につき、いずれもアと同じ役務の区分及び指定役務で登録出願(商願2005-80189、2005-80193及び2005-80203)を行った(以下、アないしウの商標を併せて「一橋IE学院等商標」という。)。
(争いのない事実)
2  第1事件本訴及び同反訴についての当事者の主張
(1)  被告の主張
ア 被告の商品等表示及びその周知性
(ア) 被告は、昭和30年以降現在に至るまで、JR山手線及び地下鉄東西線の高田馬場駅を重点とする東京都内及び近郊都市の駅に、「一橋学院」、「早慶外語」の文字を使用した看板広告、ポスターなどによる広告を掲載してきた。
(イ) 被告は、昭和55年から現在まで、朝日新聞及び讀賣新聞に、「一橋学院早慶外語」又は「一橋学院」の文字を使用した広告を掲載している。
また、被告は、昭和55年から平成7年までの間は、日本経済新聞、毎日新聞等の全国紙のほか、北海道新聞、北國新聞、信濃毎日新聞、中日新聞、四国新聞、西日本新聞等の主要な地方紙に、「一橋学院早慶外語」又は「一橋学院」の文字を使用した広告を掲載した。
(ウ) 被告は、昭和50年から平成7年にかけて、毎年2月から3月までの間、各20秒の広告を、ニッポン放送等の複数のラジオ局から放送した。
また、被告は、昭和51年から平成7年までの間、「大学受験ラジオ講座テキスト」、「螢雪時代」及び「高3コース」の2月号、3月号に「一橋学院早慶外語」、「一橋学院」若しくは「一橋学院・早慶外語」の文字から成る広告又は上段に大きな「一橋学院」の文字、その下段に小さな「早慶外語」の文字を配して成る広告を掲載した。
(エ) 被告予備校には、北海道、東北、関東及び中部の各県だけでなく、全国の多数の高校から大学受験生が入学してきた。
(オ)a 「一橋学院早慶外語」の具体的な表示態様には、日刊紙の広告掲載において、「一橋学院早慶外語」を一連表記したものや、「一橋学院」、「早慶外語」を二段に併記したものもあるが、その構成中の「早慶外語」の部分は、需要者である大学受験生に、早稲田大学と慶應義塾大学を意味する「早慶」と、大学入試科目である「外国語」を組み合わせたもの、すなわち、役務の内容を表示するものとして認識され、自他役務識別力が希薄な部分である。
b また、「一橋学院早慶外語」は、漢字8文字から成り冗長であり、「一橋学院」の部分と「早慶外語」の部分とに分離して認識され、自他役務識別力のある要部は、「早慶外語」の部分ではなく、「一橋学院」の部分である。
c さらに、被告は、「一橋学院・早慶外語」として、中間に「・」を挿入したり、「早慶外語」の文字を小さく配したり、「一橋学院」のみの文字から成る商標も使用していた。
d したがって、被告予備校は、需要者である大学受験生に「一橋学院」としても認識されていた。
(カ) 以上の事実によれば、「一橋学院」との被告商標は、原告旧商標の使用開始前から、被告の営む大学受験予備校事業を表示するものとして、関東地方を中心に北海道、東北及び中部の各県にわたり、さらには全国的に、需要者である大学受験生の間に広く認識されていた。
イ 原告の商品等表示
(ア) 原告は、その名称を「IE一橋学院」として、学習塾を開設している。
(イ) 原告旧商標は、別紙商標目録記載のとおり、上下二段に「個別/指導」の漢字4文字を黒塗り方形内に白抜き風に書し、その右側に顕著に表した籠字風の欧文字と太文字の漢字とを「IE一橋学院」と書し、その上段に小さく書した「個別指導だから、よくわかる。」の文字を配した構成から成る。
(ウ) 上記構成中の「個別指導」及び「個別指導だから、よくわかる。」の部分は、いずれも役務の内容を表示するものと認識され、自他役務識別力が希薄な付加的な部分であり、全体としての一体性は弱いものである。
(エ) これらの付加的な部分を除いた構成中の「IE一橋学院」の部分は、欧文字「IE」が籠字風に、漢字「一橋学院」が黒塗りで表されており、欧文字と漢字との字種及び籠字風と黒塗りによる態様の相違により、視覚上自ずと分離して看取され、しかも、その表する意味内容においても、密接なあるいは自然な牽連性はなく、これらを常に一体のものとして把握することはできない。
(オ) したがって、原告旧商標では、「IE一橋学院」のほか、「一橋学院」の漢字部分も、独立した固有の学校名として認識され、役務の出所を表示する自他役務識別力のある要部である。
ウ 類似性
以上のとおり、原告旧商標のうち、「一橋学院」の漢字部分も独立した固有の学校名として認識され、自他役務識別力のある要部であるから、原告旧商標は、被告商標に類似している。
エ 混同及び営業上の利益侵害のおそれ
(ア) 被告予備校と原告の営む学習塾とは、同じ事業分野に属している。
しかも、原告の営む学習塾は、小学生、中学生だけでなく、高校生も対象としているところ、高校生のうち学習塾に通う者の多くが大学受験を目指しているから、対象者が重なり合っている。
(イ) したがって、原告が学習塾の営業に被告商標に類似した原告旧商標を使用すれば、原告の営業が被告の営業であるとの混同を生じ、被告の営業上の利益を侵害するおそれが大きい。
(ウ) 原告は、後記原告の主張エ(イ)で個別指導か否かの違いを主張するが、現在の大学受験予備校は、個別指導に力を注いでいる。その他の事情は、混同のおそれの判断を左右するものではない。
(エ) 後記原告の主張エ(ウ)(原告旧商標の使用中止)は否認する。
オ 侵害の停止予防及び廃棄対象行為
原告は、学習塾を一部直営及び一部フランチャイズ方式により開設しているが、原告旧商標又はそれを一部変更した「一橋学院」を含む態様の商標を表示したパンフレット、名刺、宣伝ポスター、宣伝用チラシ、教材を使用し、電気通信回線を通じての情報提供の画面(原告のホームページ)に表示している。
カ 故意又は過失
(ア) 原告は、前提事実(2)及び(3)のとおり、平成17年3月24日に無効審決取消請求について請求棄却の判決を受け、同年4月1日に被告から原告旧商標の使用を直ちに停止することを求める警告書を受け取った。
(イ) よって、原告旧商標の使用による原告の不正競争は、故意によるものであり、少なくとも過失がある。
キ 因果関係
被告は、原告の原告旧商標の使用を差し止めるために、審決取消請求訴訟及び第1事件本訴に応訴せざるを得ず、かつ、第1事件反訴を提起せざるを得なかった。
ク 損害の発生
被告は、審決取消請求訴訟及び第1事件本訴に対する応訴、並びに第1事件反訴を提起するため、被告訴訟代理人らに対し、弁護士費用及び弁理士費用として、合計800万円以上の支払を約束し、その一部を支払った。
ケ まとめ
よって、被告は、原告に対し、不正競争防止法3条及び2条1項1号に基づき、主文第2項(1)ないし(3)と同旨の判決を求め、同法4条及び2条1項1号に基づき、損害金のうち800万円及びこれに対する不法行為後である平成17年5月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
コ 先使用の抗弁(不正競争防止法12条1項3号)に対し
後記原告の主張コ(ア)(周知性獲得前の使用)は否認する。被告商標は、遅くとも昭和50年ころには、周知性を獲得していた。
同(イ)(不正の目的がないこと)は否認する。
サ 商標法の中用権の抗弁(商標法33条1項)に対し
後記原告の主張サ(ア)(商標法33条1項2号該当性)は認める。ただし、被告が出願した商標「一橋学院」が登録されていない現時点においては、商標法33条1項2号の要件は満たされていない。
同(イ)(無効理由の不知)は否認する。原告は、原告旧商標を登録出願した際、被告商標の存在を知っていたから、原告旧商標が登録できない商標であることを知っていた。
同(ウ)(原告旧商標の周知)は否認する。原告又はフランチャイジーの運営する学習塾は比較的規模の小さいものであり、限られた範囲でしか宣伝活動等を行っていないから、原告旧商標が広く認識されていたとはいえない。
同(エ)(商標法による権利行使)は争う。不正競争防止法に基づく請求に対し、商標法上の中用権の主張をすることはできない。
(2)  原告の主張
ア 被告の商品等表示及びその周知性
(ア) 認否
被告の主張ア(ア)ないし(エ)は不知、(オ)及び(カ)は否認する。
(イ) 被告の商品等表示
被告による使用態様の大部分は、「一橋学院早慶外語」であり、しかも「大学受験の名門」との表現が併記されている。したがって、実際の使用態様から導かれる被告の商品等表示は、「大学受験の名門/一橋学院/早慶外語」である。
そして、「一橋学院早慶外語」は、大学受験予備校としてのイメージ、それも早稲田大学や慶應義塾大学を目指す予備校生に焦点を絞っているかのようなイメージを需要者に強烈に喚起するものであって、単なる「一橋学院」とは明らかに異なる外観、称呼、観念を有している。
(ウ) 周知性
被告商標がある時期ある一定の範囲において周知であったとしても、現在において同様な周知性を備えているかは疑問である。
イ 原告の商品等表示
(ア) 被告の主張イ(ア)のうち、学習塾名は否認し、その余は認める。原告は、学習塾名として「個別指導/IE一橋学院」を使用している。
(イ) 同(イ)ないし(オ)は否認する。原告旧商標の現実の使用形態にかんがみれば、原告が使用する商品等表示は「個別指導/IE一橋学院」として把握するのが適当である。
ウ 類似性
(ア) 認否
被告の主張ウは否認する。
(イ) 外観
外観比較に当たっては、原告旧商標の要部は、少なくとも「IE一橋学院」であるから、それが検討対象とされるべきである。
これに対し、被告の商品等表示は「大学受験の名門/一橋学院/早慶外語」であるから、両者の外観は明らかに異なるものである。
(ウ) 称呼
原告旧商標の要部は、少なくとも「IE一橋学院」であるから、その称呼は「アイイーヒトツバシガクイン」であり、被告の商品等表示の称呼「ヒトツバシガクイン(ソウケイガイゴ)」とは全く異なる。
(エ) 観念
原告旧商標中、「IE一橋学院」は、それ自体からは特定の観念を生じ得ない造語商標である。
「学院」の文字から何らかの学校を観念することは当然であるが、後記エ(イ)の取引の実情を考慮すれば、原告旧商標を見た需要者が持つ観念が「一橋学院(早慶外語)」の持つ観念と同一であると誤認混同されるおそれは存在しない。
エ 混同及び営業上の利益侵害のおそれ
(ア) 認否
被告の主張エ(ア)及び(イ)は否認する。
(イ) 取引の実情
a 原告は、原告旧商標を使用して、〈1〉主に小中学生を対象とした、〈2〉個別指導塾を、〈3〉全国展開している。
これに対し、被告予備校は、〈1〉専ら大学受験に特化し、〈2〉多人数の生徒が集合して授業を受ける形態であり、〈3〉東京都にのみ存在しており、需要者層、流通経路、供給地域等において全く異なっている。
b また、学習塾を選択するに際し、経営母体が受験業界において周知著名性を得ているか否かは、重要な選択基準となっている。したがって、原告旧商標と被告商標とを比較し、これが同一の経営母体であるとか、関連会社であるなどと速断する需要者が存在するとは考えられない。
さらに、学習塾を選ぶ際、入学者にとっての決め手となるのは、そこで提供されている講義や指導講師等のいわゆる「コンテンツ」である。
(ウ) 原告旧商標の使用中止
原告は、原告旧商標の使用を全面的に中止し、今後は原告新商標を用いて事業を継続することを計画し、現在、原告新商標を用いたパンフレットやチラシの作成を進め、既に変更手続に具体的に着手している。
したがって、原告が原告旧商標を再び使用する可能性はないから、原告が被告の営業上の利益を侵害するおそれは消滅した。
オ 侵害の停止予防及び廃棄対象行為
被告の主張オは認める。
カ 故意又は過失
被告の主張カ(イ)は否認する。原告は、原告旧商標につき、特許庁による商標登録を得た上で使用を開始しており、故意はもちろん、過失も存在しない。
キ 因果関係
被告の主張キは否認する。
ク 損害の発生
被告の主張クは不知。
ケ まとめ
被告の主張ケは争う。
コ 先使用の抗弁(不正競争防止法12条1項3号)
(ア) 周知性獲得前の使用
原告が原告旧商標の使用を開始した平成7年2月時点において、被告は、「一橋学院早慶外語」の名称で東京都に2校舎、埼玉県に1校舎、神奈川県に1校舎の合計4校舎を有していたにすぎず、被告商標は、被告の大学受験予備校事業を表示するものとして周知性を獲得していなかった。
(イ) 不正の目的がないこと
原告には、原告旧商標の使用につき、不正の目的はなかった。
サ 商標法の中用権の抗弁(商標法33条1項)
(ア) 商標法33条1項2号該当性
被告は、現在、商標「一橋学院」について登録出願をしており(商願2003-3637)、特許庁において審査中である。原告旧商標の登録無効の審決の確定から1年が経過すると(商標法4条1項13号)、上記出願商標は登録される可能性がある。
(イ) 無効理由の不知
原告は、特許庁による原告旧商標の登録が正当であると信じて、それを使用した。
(ウ) 原告旧商標の周知
被告が無効審判を請求した平成15年3月ころ、原告旧商標を使用した教室は285校、生徒数は合計1万6633人、教室の所在する都道府県数は37都道府県に及んでおり、原告旧商標は、需要者の間に広く認識されていた。
(エ) 商標法による権利行使
原告が潜在的に有する中用権は、商標法に規定されている以上、平成5年法律第47号による改正前の不正競争防止法6条にいう「商標法による権利行使」といえるものであり、被告の不正競争防止法に基づく請求に対抗できる。
3  第2事件についての当事者の主張
(1)  原告の主張
ア 原告の変更作業
原告は、原告旧商標の使用を全面的に中止し、今後は原告新商標を用いて事業を継続することを計画し、現在、原告新商標を用いたパンフレットやチラシの作成等を含めた変更手続に具体的に着手し、原告新商標を用いた営業活動を開始している。
イ 被告の態度
(ア) 被告は、本訴における和解交渉において、被告が原告新商標の使用に異議を述べない旨の条項を含む和解案を拒否した。
(イ) また、前提事実(4)のとおり、被告は、一橋IE学院等商標について、商標登録出願を行った。
(ウ) このような被告の対応にかんがみれば、原告が原告新商標に切り替えて営業を継続した場合であっても、被告が不正競争防止法2条1項1号、3条、4条に基づく差止請求及び損害賠償請求の訴えを提起してくる可能性が高い。
ウ 確認の利益
よって、第2事件の訴えには、確認の利益がある。
(2)  被告の主張
ア 原告の主張ア(原告の変更作業)は否認する。
イ 同イ(被告の態度)(ア)(和解拒否)は認める。被告が和解案を拒否したのは、原告旧商標の使用中止までに長期の期間が定められていたためである。
同(ウ)(提訴の可能性)は否認する。被告は、一橋IE学院等商標を全く使用していないから、原告新商標に対し、不正競争防止法2条1項1号に基づく差止請求等を行う権利も、意図もない。被告が一橋IE学院等商標につき商標登録出願を行ったのは、同商標が自他識別力のないこと及び原告旧商標と類似することを明らかにするためである。
ウ 同ウ(確認の利益)は争う。
第3  当裁判所の判断
1  第1事件本訴について
(1)  第1事件本訴の使用差止請求権及び損害賠償請求権の不存在確認請求に係る訴えについては、被告によりこれに対応する不正競争行為差止め及び損害の一部の賠償を求める給付訴訟が反訴として提起されていることから、その限度では、もはや確認の利益を認めることはできない。
したがって、第1事件本訴の訴えは、使用差止請求権及び第1事件反訴における請求に係る800万円の限度での損害賠償請求権につき、不適法として却下を免れない。
(2)  第1事件本訴の訴えのうち、第1事件反訴における請求に係る800万円を超える部分の損害賠償請求権の不存在確認請求については、確認の利益を認められる。
しかるに、被告は、この部分の損害賠償請求権の存在について何ら主張立証をしない。
したがって、原告の第1事件本訴のうち、第1事件反訴における請求に係る800万円を超える部分の損害賠償請求権を有しないことの確認を求める部分は、理由がある。
2  第1事件反訴について
(1)  原告旧商標についての差止請求権の成否
ア 被告の商品等表示
(ア) 前提事実、証拠(各項に挙示するもの)及び弁論の全趣旨によれば、以下のとおり認められる。
a 被告は、昭和30年10月19日、教育基本法及び学校教育法に従い、学校教育を行うことを目的とする学校法人として設立され、大学受験予備校「一橋学院早慶外語」を設置し、昭和56年に埼玉県大宮市に「一橋学院早慶外語大宮校」を、昭和62年に東京都八王子市に「一橋学院早慶外語八王子校」を、同年に横浜市に「一橋学院早慶外語横浜校」をそれぞれ設置したが、平成14年以降、「一橋学院早慶外語大宮校」、「一橋学院早慶外語八王子校」及び「一橋学院早慶外語横浜校」を廃止した。
(乙4、9の1ないし3)
b 被告は、遅くとも昭和46年ころから現在に至るまで、JR山手線及び地下鉄東西線の高田馬場駅を重点とする東京都内及び近郊都市の駅に、看板広告、ポスター等による広告を掲載している。
このうち、昭和46年10月1日発行の冊子「鉄道広告の上手な出し方」には、駅のホームに通じる階段正面に設置された、校舎を撮影した写真を中央として、その左側に、「国立大受験」の文字を小さく書した中段を挟んで上段に「一橋」、下段に「学院」の文字を大きく書し、その右側に、「私立大受験」の文字を小さく書した中段を挟んで上段に「早慶」、下段に「外語」の文字を大きく書した電飾看板を写した写真が掲載されている。
また、撮影日時は必ずしも明らかでないものの、JR新宿駅等JR山手線及び地下鉄の駅には、線路沿い又は駅構内に、上段左寄りにやや小さく「大学受験の名門」の文字を書し、下段に大きく「一橋学院」の文字を書した構成等から成る看板を掲示している。
(乙6、26、34の1ないし5、35の1ないし4、36の1ないし4、37の1ないし9、38の1ないし17、39の1ないし7)
c 被告は、昭和55年1月13日付け、昭和56年1月11日付け、昭和57年1月17日付け、昭和59年1月15日付け及び平成3年1月13日付け朝日新聞並びに昭和58年1月16日付け、平成3年1月13日付け及び平成4年1月12日付け讀賣新聞の各大学入試共通一次試験(平成3年及び平成4年は大学入試センター試験)の試験問題等の掲載面に、「一橋学院早慶外語」の文字を使用した広告を掲載した。
また、被告は、昭和54年から平成4年にかけて、日本経済新聞、讀賣新聞、静岡新聞、福島民報、新潟日報又は朝日新聞にも同様の広告を掲載した。
(乙7、8の1ないし5、8の13ないし15、19の2、19の16、20の16、20の20及び21、33の3の14)
d 被告は、昭和60年1月27日付け朝日新聞の大学入試共通一次試験の試験問題等の掲載面に、上部に「一橋学院」、下部に「早慶外語」の文字を使用した広告を掲載した。
また、被告は、昭和52年から平成3年にかけて、日本経済新聞、毎日新聞、讀賣新聞、朝日新聞、北海道新聞、埼玉新聞、山梨日日新聞、岩手日報、静岡新聞、山形新聞、福島民報、新潟日報、北國新聞、河北新報、信濃毎日新聞、東奥日報、中日新聞、四国新聞、富山新聞又は西日本新聞にも同様の広告を掲載した。
(乙7、8の6、19の1、19の3ないし15、19の17、19の19、20の1及び2、20の4及び5、20の8及び9、20の13ないし15、20の17ないし19、20の22ないし36)
e 被告は、昭和61年1月26日付け及び平成13年1月21日付け朝日新聞、昭和62年1月26日付け、平成元年1月23日付け、平成6年1月16日付け及び平成13年1月21日付け讀賣新聞、平成13年1月21日付け毎日新聞の大学入試共通一次試験(平成6年及び平成13年は大学入試センター試験)の試験問題等の掲載面、並びに昭和63年2月4日付け及び同月11日付け朝日新聞の国公立大学の志願状況を掲載した面に、「一橋学院」の文字を使用した広告を掲載した。
また、被告は、昭和61年から平成16年にかけて、北海道新聞、埼玉新聞、山梨日日新聞又は朝日新聞にも同様の広告を掲載した。
(乙7、8の7ないし11、8の17及び24、20の3、20の6及び7、20の10及び11、31の3、31の4の1ないし9、31の4の10、31の5の1ないし6、31の6の1ないし6、32の2の1、32の3の3、33の6の1ないし5)
f 被告は、平成2年1月14日付け朝日新聞の大学入試共通一次試験の試験問題を掲載した面に、「一橋学院早慶外語」、「がんばれ!一橋学院生」の文字を使用した広告を掲載した。
(乙8の12)
g 被告は、平成5年1月17日付け、平成7年1月15日付け、平成8年1月14日付け、平成9年1月19日付け、平成10年1月18日付け、平成11年1月17日付け及び平成12年1月16日付け朝日新聞、平成11年1月17日付け、平成12年1月16日付け讀賣新聞の各大学入試センター試験の試験問題等の掲載面、並びに平成12年1月29日付け朝日新聞の国公立大学2次試験出願状況を掲載した面に、上段に大きな「一橋学院」の文字、その下段に小さな「早慶外語」の文字を配して成る広告を掲載した。
また、被告は、平成7年から平成12年にかけて、朝日新聞又は山梨日日新聞にも同様の広告を掲載した。
(乙8の16、8の18ないし23、19の20、20の12、31の1の1及び2、31の2、32の1の1及び2、32の3の1及び2、33の1の1ないし7、33の2の1ないし4、33の3の1ないし13、33の3の15、33の4の1ないし13、33の5の1ないし10)
h 被告は、平成14年1月20日付け、平成15年1月19日付け及び平成16年1月18日付け朝日新聞、各同日付け毎日新聞並びに各同日付け讀賣新聞の大学入試センター試験の試験問題等の掲載面に、中央に大きな「一橋学院」の文字、その左側にやや小さな「大学受験の名門」の文字、その右側にやや小さな「高田馬場」の文字を配して成る広告又は下段に大きな「一橋学院」の文字、上段左側に小さな「大学受験の名門」の文字、上段右側に小さな「高田馬場」の文字を配して成る広告を掲載した。
(乙8の25及び26、32の1の3、32の2の2ないし4、32の3の4ないし6)
i 被告は、昭和52年3月8日付けの朝日新聞に、「一橋学院早慶外語」の文字の「一橋学院」と「早慶外語」の間に記号「・」を配して成る広告を掲載した。
(乙19の18)
j 被告は、昭和61年に「OMNIBUS 1986 大学受験一橋学院」、昭和63年に「大学受験一橋学院 1988入学案内」、「冬期講習 大学受験一橋学院」及び「入試情報シリーズ OMNIBUS 1988 大学受験一橋学院」、平成元年に「入試情報シリーズ SUCCESS 1989新学期特別号 大学受験一橋学院」、平成5年に「君に詳しい予備校 一橋学院」、平成6年に「大きな実力は、小さなクラスから生まれる。小さなクラスが、いっぱいの予備校。一橋学院」、平成7年に「君は予備校を『なに』で選びますか。 授業第一主義 一橋学院 早慶外語」とそれぞれ題する学校案内を作成した。ただし、その発行部数、配布した地域的範囲及び配布先は、必ずしも明らかでない。
(乙15の1ないし8、40の1ないし8)
k 被告は、各20秒の広告を、平成2年2月から同年3月までの間、TBSラジオにおいて100回、ニッポン放送において122回、文化放送において140回放送し、また、平成3年2月から同年3月までの間、ニッポン放送及び文化放送において各140回放送した。その放送内容は、「…一橋学院では、あなたの夢を現実にするためのお手伝いをしています。…一橋学院早慶外語教育情報室まで、お気軽にお問い合わせ下さい。」というものであった。
(乙16の1ないし5、17の2)
l 被告は、旺文社の発行に係る「大学受験ラジオ講座テキスト」(昭和55年3月号から昭和58年の間及び平成3年3月号以降は『大学受験講座ラジオテキスト』。昭和59年から平成3年2月号までは『大学受験ラジオ講座TEXT』。)の昭和51年から昭和61年及び平成2年から平成6年までの各2月号及び3月号、同じく旺文社発行に係る「螢雪時代」昭和50年及び平成7年の各2月号及び3月号、並びに学研の発行に係る「高3コース」(昭和58年に『Vコース』に誌名を変更。)昭和54年、昭和57年、昭和58年及び平成6年の各2月号及び3月号並びに平成7年2月号に、「一橋学院早慶外語」、「一橋学院」若しくは「一橋学院・早慶外語」の文字から成る広告又は上段に大きな「一橋学院」の文字、その下段に小さな「早慶外語」の文字を配して成る広告を掲載した。
(乙23の1ないし32、24の1ないし4、25の1ないし9)
m 被告を含む大学進学予備校約15校で結成する大学進学研究会は、昭和53年1月以降、年数回にわたり、受験用情報誌「大学進学研究」を発刊し、平成8年12月には同誌の第100号を発刊した。また、同会は、平成8年ないし平成10年に「大学入試センター試験自己採点分析資料」等を、平成9年、平成14年及び平成15年には「入試のてびき」等を発行した。これらの中で、被告は、「一橋学院」又は「一橋学院早慶外語」の名称で表示されているほか、「大進研 ’98年入試のてびき 第1集」には、上段に大きな「一橋学院」の文字、その下段に小さな「早慶外語」の文字を配して成る広告を掲載した。
(乙10の1及び2、11の1ないし6、41、42の1ないし4、43の1ないし5)
n 被告作成の前記学校案内の地域別出身校又は全国大学合格者名簿には、北海道、東北、関東及び中部の各県にわたる多数の高校名が掲載され、また、被告作成の「都道府県別入学者数一覧」によれば、昭和53年度における被告予備校の入学者は、北海道から九州・沖縄まで全国から合計7719人に上り、平成8年度においては、減少傾向は見られるが、合計977人(北海道1人、東北7人、関東902人、中部48人、近畿1人、四国1人、九州9人、その他8人)に上っている。
(乙15の6ないし8、21)
(イ) 以上に認定した事実によれば、被告は、その大学受験予備校事業を行うに当たり、当該事業を示すものとして、「一橋学院早慶外語」の表示のほか、被告商標も使用していたものと認められる。
これに反する原告の主張は、採用することはできない。
イ 被告商標の周知性
前記ア(ア)に認定した事実によれば、被告商標は、遅くとも8000人近い入学者のあったことを示す資料が提出されている昭和53年以降、被告の大学受験予備校事業を表示するものとして、関東地方を中心に北海道、東北及び中部地方、さらには全国の大学受験生に広く認識され、その後の入学者の減少に従い周知性の程度は減少したが、長年の広告等により確立された上記周知性は、現在においても存続しているものと認めるのが相当である。
これに反する原告の主張は、採用することができない。
ウ 原告の商品等表示
(ア) 証拠(甲15、20、25)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、直営及びフランチャイズ方式により学習塾事業を行うに当たり、原告旧商標を使用していることが認められる。
また、原告旧商標は、別紙商標目録記載のとおり、上下二段に「個別/指導」の漢字を4個の黒塗り方形内に白抜き風に書し、その右側に顕著に表した籠字風の欧文字と太文字の漢字とを「IE一橋学院」と書し、その上段に小さく書した「個別指導だから、よくわかる。」の文字を配した構成から成るものであるところ、この構成中の「個別指導」及び「個別指導だから、よくわかる。」の部分は、いずれも役務の内容を表示するものとして認識されるものであり、自他役務識別力が希薄な付加的な部分といえ、全体としての一体性は弱いものである。
実際、原告旧商標から「個別指導だから、よくわかる。」の部分を除いたもの(甲7、8、31、39、乙60の1及び2、61、62、64ないし67)や当該部分に別のキャッチフレーズ「見つけます!あなたのBESTWAY」等を挿入したもの(甲6、9ないし11、16、17、21ないし24、27、37、乙59)も原告の学習塾事業の表示として使用されていることが認められる。
また、「個別指導」の部分についても、「個別指導/IE一橋学院」では称呼として長すぎるため、原告自ら(フランチャイジーも含む。)又は生徒や保護者により、単に「IE一橋学院」なる表示が用いられている例(全体を同一フォントで「IE一橋学院」と記載されたものも含む。)が相当数あり、生徒や保護者により「一橋学院」と称呼されている例も少なからずあることが認められる(甲5、11、15ないし17、19ないし25、27ないし29、33ないし35、37ないし39、乙29の1ないし3及び5、59、60の1ないし4、61ないし64、66ないし68)。
さらに、「IE一橋学院」の部分は、欧文字「IE」が籠字風に、漢字「一橋学院」が黒塗りで表されており、欧文字と漢字との字種及び籠字風と黒塗りによる態様の相違により、視覚上自ずと分離して看取されるばかりでなく、その表す意味内容においても、密接なあるいは自然な牽連性はないことから、これらを常に一体のものとして把握しなければならないものとも認められないから、原告旧商標中の「IE一橋学院」の文字部分は、欧文字「IE」の部分と漢字「一橋学院」の部分とに分離して認識されるものというべきである。
そうすると、原告旧商標は、「IE一橋学院」のほか、「一橋学院」の部分も独立した学校名として認識され、自他識別力のある要部となるものと認められる。
(イ) これに反する原告の主張は、採用することはできない。
エ 類似性及び混同
(ア) 原告旧商標の要部である「一橋学院」は、称呼、外観及び観念において、被告称呼に類似している。
(イ) 取引の実情
証拠(甲15ないし17、19ないし25)及び弁論の全趣旨によれば、原告の営む学習塾は、小学生、中学生だけでなく、高校生も対象としていることが認められる。
高校生の多くは大学受験を目指しているものと認められるから、原告の営む学習塾の対象者は、被告予備校のそれと重なり合っている。
(ウ) まとめ
以上によれば、原告旧商標は、被告商標に類似しており、一般的な需要者において普通に払われる注意力を基準として判断すれば、原告が周知の被告商標に類似している原告旧商標を使用して被告の営む大学受験予備校事業に少なくとも類似する学習塾事業を行えば、それが被告の事業であると誤認混同されるおそれがあるものと認められる。
(エ) 原告の主張に対する判断
原告は、原告の学習塾は小学生及び中学生を主な対象としていることや、学習塾を選ぶ際に入学者にとっての決め手となるのは、講義の内容や指導講師等であって、校名等それ自体が決め手となるものではないことなどを理由に、両者間において混同は生じていない旨主張する。
しかしながら、不正競争防止法2条1項1号の「混同」の要件が要求していることは、現実の混同ではなく、具体的な混同のおそれにすぎない。しかも、原告の学習塾事業と被告の大学受験予備校事業とが教育事業のうち学習塾という同じ分野に属し、原告の学習塾事業が高校生も対象としていることは、原告も否定していない事実であるし、大学受験予備校として出発した学校が小中学生を対象とするクラスも設置するようになることは自然な事業展開であり、実際にそのような展開を図っている例も少なからず見受けられること(弁論の全趣旨)からすると、原告の上記主張は、採用することができない。
オ 原告主張の抗弁について
(ア) 先使用の抗弁
前記イに認定のとおり、被告商標は、遅くとも昭和53年には、被告の大学受験予備校事業を表示するものとして、周知性を獲得していたものであるから、原告が主張する平成7年2月との原告旧商標の使用開始時期は、被告商標の周知性獲得に先立つものとはいえない。
したがって、原告主張の先使用の抗弁は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。
(イ) 商標法の中用権の抗弁
原告の商標法の中用権の抗弁は、被告の不正競争防止法2条1項1号、3条、4条に基づく請求に対する抗弁となり得るものではないから、原告主張の中用権の抗弁は、主張自体失当である。
カ 営業上の利益侵害のおそれ
(ア) 前記エに認定した類似及び混同の事実によれば、原告旧商標を使用した原告の学習塾事業の継続により、被告の営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがあるものと認められ、被告は、原告に対し、侵害の停止又は予防として、主文第2項(1)及び(2)記載の差止めを求めることができる。
そして、原告が原告旧商標又は「一橋学院」なる表示を含む商標を記載した看板、名刺、宣伝ポスター、宣伝用チラシ、教材を使用していることは、当事者間に争いがなく、これらの物は、侵害行為を組成した物に当たるから、被告は、原告に対し、侵害の停止又は予防に必要な行為として、主文第2項(3)記載の行為を求めることができる。
(イ) 原告は、現在、原告旧商標の使用を全面的に中止し、原告新商標を用いて事業を継続することを計画し、具体的に変更手続に着手しているから、再び原告旧商標を使用する可能性はなく、被告の営業上の利益を侵害するおそれはない旨主張する。
しかしながら、原告の主張自体、原告新商標への変更手続に着手したが、現段階では原告旧商標の使用を完全には止めていないというものであるから、被告の営業上の利益を侵害するおそれは依然として残っているといわざるを得ず、原告の上記主張は、理由がない。
(2)  原告旧商標使用についての損害賠償請求権の成否
ア 第1事件反訴の提起について
(ア) 過失
前提事実(2)及び(3)のとおり、特許庁が原告旧商標の登録を無効とする旨の審決をし、東京高等裁判所も平成17年3月24日に原告の審決取消請求を棄却する旨の判決をし、直ちに被告からの警告もあったところ、原告が本件訴訟で主張する商標法上の中用権の主張が理由のあることを裏付ける判例・学説上の根拠があったことを認めるに足りる証拠もないから、原告は、平成17年4月以降、原告旧商標の使用を継続して被告の営業上の利益を侵害したことにつき、過失があったものと認めるべきである(後記のとおり弁護士費用等相当の損害を認めるにつき、原告の応訴自体が公序良俗違反を構成することまで要するものではない。)。
よって、原告は、平成17年4月以降の原告旧商標の使用の継続により、被告に生じた損害を賠償する義務がある。
(イ) 損害
証拠(乙72)及び弁論の全趣旨によれば、被告は、原告旧商標の使用の継続を停止させるため、第1事件反訴の提起を余儀なくされ、第1事件本訴への応訴及び第1事件反訴の提起につき、被告訴訟代理人らに対し、着手金及び成功報酬として合計600万円の支払を約し、一部を支払ったことが認められる。
後記ウのとおり、第1事件本訴の提起には違法性は認められないこと、及び第1事件反訴の事案の難易度等の事情を考慮すると、前記(ア)の過失ある原告旧商標の使用継続行為と相当因果関係のある損害を100万円と認めるのが相当である。
これに反する原告の主張は、採用することができない。
イ 審決取消訴訟への応訴について
(ア) 商標登録を無効とする審判がされたことに対し審決取消訴訟を提起すること及びこれに敗訴した場合に上告又は上告受理申立てをすることは、その主張に係る権利若しくは法律関係が事実的ないし法律的根拠を欠くものであることを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たにもかかわらず訴訟提起等をしたような場合を除き、裁判を受ける権利の行使として違法性を欠く。
(イ) 本件においては、前記認定のとおり、原告旧商標は、「IE一橋学院」、「個別指導」、「個別指導だから、よくわかる。」の文字によって構成される商標であり、被告は、正式な学校名としては「一橋学院早慶外語」を使用していたものであり、商品等表示の類似性の判断には取引の実情も十分考慮する必要があることからすると、原告の審決取消訴訟の提起及び上告等をもって、自己に権利がないことを知りながら、又は重大な過失によりされたものと認めることはできない。
(ウ) よって、原告による審決取消訴訟の提起及び上告等をもって違法行為と認めることはできないから、被告の損害賠償請求のうち、審決取消訴訟の提起及び上告等への応訴費用の賠償を求める部分は理由がない。
ウ 第1事件本訴への応訴について
(ア) 第1事件本訴は、不正競争防止法上の差止請求権等の不存在確認を請求するものであり、審決取消訴訟とは訴訟物を異にするから、第1事件本訴の提起をもって、自己に権利がないことを知りながら、又は重大な過失によりされたものと認めることはできない。
(イ) よって、原告による第1事件本訴の提起をもって違法行為と認めることはできないから、被告の損害賠償請求のうち、第1事件本訴への応訴費用の賠償を求める部分は理由がない。
3  第2事件について
(1)  証拠(甲55の1ないし4、56ないし61)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、従前原告旧商標を使用して展開していた学習塾事業につき、原告旧商標に代えて原告新商標を使用することを開始したこと、及び原告新商標を各種態様に構成した商標登録出願も行っていることが認められる。
(2)  他方、被告が原告に対して一橋IE学院等商標に基づき不正競争防止法2条1項1号、3条及び4条に基づく差止請求等を行うためには、同商標の商標登録の有無にかかわらず、長年の使用又は集中的な広告宣伝等により、同商標が被告予備校の事業を表示するものとして需要者の間に広く認識される必要があるところ、被告が同商標の周知性獲得に向け何らかの使用を開始したことの主張立証はない。しかも、被告は、本件訴訟において、原告新商標に対して不正競争防止法2条1項1号、3条及び4条に基づく請求を行う権利も意図もない旨主張している。
確かに、前提事実(4)のとおり、被告は一橋IE学院等商標につき登録出願を行っているが、同商標の登録出願は、不正競争防止法2条1項1号、3条及び4条に基づく請求を行うことには直ちに結びつかないし、同商標が自他識別力のないこと及び原告旧商標と類似することを明らかにするために同商標の登録出願を行ったとの被告の主張も首肯し得ないではない(さらに、弁論の全趣旨によれば、被告は、原告が原告新商標を使用して営業を行う限り、一橋IE学院等商標の侵害を理由に、商標法に基づく差止請求等を行う意図も有していないことが認められる。)。
また、訴訟上の和解を成立させない理由には様々なものがあるから、被告が本訴における和解を受諾しなかったことが確認の利益を基礎づけるものでもない。
(3)  したがって、原告の第2事件の訴えは、紛争の成熟性の点で、確認の利益を欠くといわざるを得ない。
4  結論
(1)  以上によれば、第1事件本訴のうち、差止請求及び800万円までの損害賠償請求については、確認の利益を欠くから、却下すべきである。
他方、第1事件反訴における請求に係る800万円を超える損害賠償請求権の不存在確認請求については、理由がある。
(2)  第1事件反訴は、差止請求及び廃棄請求はすべて理由があるが、損害賠償請求は、100万円及びこれに対する不法行為後である平成17年5月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。
仮執行宣言は、上記損害金の認容部分については付するが、差止請求及び廃棄請求については相当でないから付さないこととする。
(3)  第2事件は、確認の利益を欠くから、却下すべきである。
(4)  よって、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 市川正巳 裁判官 杉浦正樹 裁判官 頼晋一)

 

別紙
当事者目録
第1事件本訴原告(反訴被告)・第2事件原告
株式会社拓人
(以下「原告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 千原曜
同 泊昌之
同 松尾慎祐
同 望月賢司
同 高野裕之
同 澤田繁夫
同 赤司修一
同 大本康志
同 白日光
同 洞敬
同 渡辺和也
第1事件本訴原告(反訴被告)訴訟代理人弁護士
人見勝行
同補佐人弁理士 岩田敏
第2事件原告訴訟代理人弁護士
武藤司郎
同 上田直樹
第1事件本訴被告(反訴原告)・第2事件被告
学校法人金子教育団
(以下「被告」という。)
同代表者理事長 B
同訴訟代理人弁護士 西田育代司
同 牧山美香
同弁理士 佐藤英昭

商標目録〈目録省略〉

 

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