【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(344)平成18年 8月30日 東京地裁 平17(ワ)10983号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(344)平成18年 8月30日 東京地裁 平17(ワ)10983号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成18年 8月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)10983号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2006WLJPCA08300013

要旨
◆アダルトアニメゲームソフト事業(本件事業)の営業譲渡契約(本件契約)が原被告間で成立したにもかかわらず、被告から不当に破棄されたとして原告のした債務不履行を理由とする損害賠償請求が、当事者間で覚書が作成された時点では本件契約が成立していたものと認定判断し、被告の債務不履行による損害につき原告の請求を一部認容した事例
◆損害につき、原告は被告に本件事業を営業譲渡して会社を解散する予定でいたところ、被告の債務不履行の結果、原告が本件契約を解除したために、その後にかかった余分の販売管理費、在庫商品の処分に伴う損害、仕入れ商品の処分に伴う損害及び納品先から商品の返品を求められたことによる損害を請求したのに対して、余分の販売管理費及び在庫商品の処分に伴う損害の各請求の一部は認めたが、原告の職員が解散後も仕入れ商品の処分に当たっていたことや元々原告が各社に有していた売掛金債権と返品に係る商品代金を相殺処理していた事情等から、仕入れ商品の処分に伴う損害及び納品先からの返品による損害の各請求はいずれも排斥した事例

出典
ウエストロー・ジャパン

参照条文
民法415条
民法545条3項

裁判年月日  平成18年 8月30日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平17(ワ)10983号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2006WLJPCA08300013

原告 株式会社ジェイ・ノード
代表者清算人 甲山A夫
訴訟代理人弁護士 武藤元
被告 乙川B夫
訴訟代理人弁護士 山崎司平
同 丁沢未来
同 柳楽久司

主  文

1  被告は、原告に対し、802万2949円及びこれに対する平成17年6月12日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は、これを3分し、その2を原告の、その余を被告の各負担とする。
4  この判決は、主文第1項に限り、仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は、原告に対し、2393万4372円及びこれに対する平成17年6月12日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は、原告が、被告との間で、原告の営業するアダルトアニメゲームソフト事業(以下「本件事業」という。)を譲り渡す旨の営業譲渡契約を締結したにもかかわらず、被告がこれを不当に破棄したとして、債務不履行に基づき、被告に対し、2393万4372円の損害賠償及びこれに対する商事法定利率による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1  前提となる事実
(1)  原告は、DVD、ビデオ及びパソコンソフト等の製造、卸売等を業とする株式会社であるが、平成17年(以下では、「平成17年」の記載を省略する。)3月31日、株主総会決議により解散し、現在、清算手続中である。
(2)  被告は、東京都及びその近県において合計26の店舗をもってDVD、ビデオ等の販売業を営む株式会社ロイ電器(以下「ロイ電器」という。)の代表取締役である。
なお、ロイ電器の店舗の中には、原告販売の商品を取り扱う店舗があった(乙5)。
(3)  原告では、1月下旬頃、3月末日をもって会社を解散する方針を決定し、本件事業の処理について可能な限り有利に進めることを検討していたところ(甲39)、同月4日頃、ロイ電器が、本件事業の営業譲渡先の候補会社として上がるようになった(甲35、乙5)。
(4)  そして、被告は、3月8日及び同月15日、いずれも、ロイ電器の丙谷C夫営業部長(以下「丙谷部長」という。)を伴って原告会社を訪れ、原告から、本件事業の内容等について説明を受けるとともに、電子メールにより、在庫リストの送信を受け、また、同月16日には、丙谷部長とともに、原告の商品倉庫を訪れた。
(5)  原告と被告は、3月19日、原告が、現在運営中の本件事業に係る目論見書記載の事業用資産を、被告又は被告の指定する会社に対して譲り渡すこと及びその基本条件を以下のとおりとする旨を記載した「基本覚書」を作成した(以下「本件覚書」という。)(甲1)。
〈1〉 譲渡対象資産は、後記〈4〉の買収監査実行後に、協議の上確定する。
〈2〉 資産の譲渡・譲受に関しては、営業譲渡方式を念頭に置くが、その手法については、協議の上柔軟に対応することとする。
〈3〉 譲渡金額は、3700万円とする。
〈4〉 買収監査は、本件覚書締結後に譲渡対象資産に対して実施するが、日時、内容等の詳細は、協議によって決定する。
〈5〉 譲受後の事業に従事する従業員については、原告、被告及び従業員当人の協議により、買収監査後にその処遇を決定する。
〈6〉 譲受会社名は、被告が独自判断のもとに決定するものとする。
〈7〉 本件事業の譲渡・譲受日は、営業譲渡契約書あるいはそれに準じた売買契約書に記載することとするが、4月1日とする。
(6)  被告は、3月23日、原告に対し、同日付け「ご連絡書」と題する書面をもって、本件事業を譲り受けることには問題があるなどとして(甲2)、本件覚書の撤回を申し入れた。
(7)  これに対し、原告訴訟代理人は、被告に対し、3月29日到達の書面をもって、被告の上記撤回は無効であることを通知するとともに、被告の債務不履行を理由として、原告と被告間の営業譲渡契約を解除する旨の通知をした。
(8)  そのため、原告は、営業譲渡が不可能となって廃業することになり、自ら、在庫商品、4月仕入れ商品及び納品先からの返品商品を処分した。
2  争点
(1)  本件営業譲渡契約の成否
(原告の主張)
〈1〉 原告と被告間では、3月19日の本件覚書の作成をもって、確定的に、本件事業に関する営業譲渡契約が成立した(以下「本件営業譲渡契約」という。)。
〈2〉 被告は、本件覚書は単なる営業譲渡に向けた準備的合意にすぎず、営業譲渡契約は未だ成立していない旨主張するが、原告の解散日が差し迫っていた中で、本件覚書を作成することをもって、譲渡日、譲渡対象資産の内容、譲渡代金及び従業員の処遇等が既に確定しており、原告と被告間でさらに協議をして合意しなければならないような事項はなく、しかも、被告自身が既に原告の商品倉庫に出向いて在庫商品の状況を確認しており、買収監査実施の必要性はなかったことからすれば、本件営業譲渡契約は確定的に成立している。
(被告の反論)
〈1〉 本件覚書(甲1)は、そのタイトルが示すとおり、あくまで契約締結交渉過程における覚書にすぎず、契約書ではなく、原告と被告間では、あらためて最終的、確定的な契約書を作成することが予定されていたから、営業譲渡契約は未だ成立しておらず、営業譲渡に向けた準備的合意がされたにとどまっていた。
このことは、本件覚書の記載内容において、本件覚書締結後に買収監査が実施される予定であった点、譲渡対象資産が、買収監査実施後に協議して確定するとされていた点、事業承継の法的スキームについて、営業譲渡方式を採るのか、その他の方式(会社分割や合併等)を採るのかが、未確定であった点、従業員の処遇が、買収監査後に決定されることになっていた点、別途、「営業譲渡契約書あるいはそれに準じた売買契約書」が作成することが明記されていた点及び譲渡人側である原告の履行義務について具体的定めがない点などからみて、明らかであり、本件覚書は、営業譲渡に関する確定的な契約内容を定めた書面とはいえない。
〈2〉 被告は、本件覚書を作成する以前に、M&Aに関する書籍を購入して本件事業の譲受について研究をしたところ、これらの書籍では、基本合意書の作成後に、買収監査を実施し、最終条件を交渉の上で、最終契約を締結し、対価を授受するものと説明されていたため、本件でも、本件覚書作成後に、さらに買収監査や最終契約書の作成が行われることになるものと考えていたから、本件覚書が最終契約書であるとの認識は全くなかったし、また、原告と被告間の仲介に当たったエンゼル証券株式会社(以下「エンゼル証券」という。)の丁沢D夫(以下「丁沢」という。)から、「とりあえず基本合意だけ、取り交わしたい」と急がされたために、これに応じたにすぎない。
(2)  原告の損害額
(原告の主張)
〈1〉 4月分の余分の販売管理費 合計370万8619円
原告では、本件営業譲渡契約が成立したため、被告の要請に基づき、同月に入荷する新作商品の発注を継続していたところ、本件営業譲渡契約の解除の結果、原告が、次のとおり、自ら、余分な販売管理費を負担して、その処分を行わざるを得なくなった。
すなわち、原告が、当初の予定どおりに3月末日をもって解散する場合には、それまでの間に、4月仕入れ商品の発注をキャンセルするとともに、在庫商品及び返品商品の処分を完了することが可能であったから、4月以降は、社員2名だけでその余の清算業務を行えば足り、これらの余分な経費を負担することはなかった。
ア 仕入れ・配送担当社員4名に対する給与 125万1863円
イ 同アルバイト3名に対する賃金 52万9500円
ウ 上記7名の法定福利費 22万7032円
エ 上記7名の通勤費 10万1800円
オ 商品出荷のための荷造運賃(税込) 115万2699円
カ 販促資料作成のためのカラーコピー機の延長分リース代(税込) 5万1240円
キ 営業・納品等のための営業用車のリース代(税込) 3万4860円
ク 上記営業用車の駐車場代(税込) 5万2500円
ケ 商品の保管等のために要する倉庫費用・保管費用 20万2125円
コ 販売管理に使用するためのコンピューター保守料(税込) 10万5000円
〈2〉 3月末の在庫商品の処分に伴う損害 445万2930円
原告は、本件営業譲渡契約により、被告に対し、在庫商品の価格を合計1183万1000円と評価して譲渡済みであったところ(ただし、原告の簿価では、合計3458万4629円である。)、本件営業譲渡契約の解除の結果、在庫商品を合計737万8070円でしか処分できなかったから、その差額分445万2930円の損害を被った。
〈3〉 4月仕入れ商品の処分に伴う損害 115万8688円
原告は、前記のとおり、被告の要請に基づいて4月に入荷する新作商品の発注を継続するとともに、既存商品についても取引の継続を前提にして追加発注をしていたため、結局、これらの4月仕入れ商品については、合計1295万0166円の仕入額に対し、合計1179万1478円でしか処分できなかったから、その差額分115万8688円の損害を被った。
〈4〉 納品先からの返品に伴う損害 合計1461万4135円
原告は、本件営業譲渡契約が履行され、被告が本件事業を承継してさえいれば、同事業が継続されるため、納品先から返品を求められることはなかったにもかかわらず、以下の二社から、解散による取引終了を理由として、それぞれ、返品処理を求められたため、交渉の結果、各社に対して有する売掛債権から、以下の金額をもって返品に係る商品代金を相殺処理されることになり、これと同額の損害を被った。
また、仮に原告が当初の予定どおりに3月末日をもって解散した場合には、同月中旬頃に納品先に対して解散の通知を行い、その時点で返品を受けていれば、通常、二週間程度の期間があれば、返品商品についても、在庫商品と同様、損失の出ない価格で処分することが可能であったから、これらの損害が生ずることはなかった。
ア ソフトバンクBB株式会社(以下「ソフトバンク」という。) 477万6054円
イ 株式会社ヴューズ(以下「ヴューズ」という。) 983万8081円
なお、これらの返品商品については、ソフトバンク分は、返品量が膨大なことから、4月以降の販売態勢では処分ができないために返品を受けておらず、また、ヴューズ分については、44万3110円で処分することができたにとどまった。
〈5〉 よって、被告は、原告に対し、債務不履行に基づき、以上の損害合計2393万4372円を賠償すべき責任がある。
(被告の反論)
〈1〉 仮に本件営業譲渡契約が成立していたとしても、原告は、もともと、3月末日をもって廃業、解散することを予定しており、結果的にも、当初の予定どおりの時期に解散したのであるから、被告による契約解消に伴って原告に生ずる損害というのは、原告が、被告との間において営業譲渡契約の締結交渉(以下「本件契約締結交渉」という。)を開始した3月8日から、被告が契約解消を告げた同月23日までの16日間に、営業譲渡契約が履行されると信じて行った行為との間で因果関係があると認められるものに限られるというべきである。
したがって、原告が当初の予定どおりに廃業、解散していた場合においても生じたであろう経費や損失については、上記因果関係のある損害には当たらず、結局、原告が被告に対して請求し得る損害とは、本件契約締結交渉が存在した結果、原告の会社解散の準備が遅れたことによって生じたもの及びこの解散準備の遅れによって、原告が失った得べかりし利益に限られる。
〈2〉 本件における原告の損害に関する主張は、いずれも、原告が、3月末日の解散日までに、在庫商品及び返品商品をすべて損失が生じないように処分することが可能であり、4月以降は、わずか2名の社員だけで清算業務を行うことができたことを前提とするものであるが、大量の不良在庫商品を短期間にそのように処分できるということ自体、およそ非現実的であるし、また、返品商品についても、仮に原告が3月8日に納品先に対して解散の通知をしていたとしても、返品の多くは、4月にずれ込んでいたはずであるから、結局、原告の商品の処分自体、同月以降も継続せざるを得なかったことは明らかである。実際にも、原告は、甲6(被告及び丙谷部長宛ての電子メール)において、在庫商品の処分が同月に及ぶとする記載をしている。
〈3〉 したがって、4月分の販売管理費については、原告では、もともと、同月以降における商品の処分を含めた清算業務及び新作商品に関するサポート業務を行うために、社員4名及びアルバイト3名の雇用継続を必要としていたのであるから、その分の人件費は、支出することが予定されていた経費に当たるし、また、その余の販売管理費についても、同様に、上記業務のための支出を含んでおり、結局、これらの販売管理費は、本件契約締結交渉の存在とはかかわりなく、支出されることが予定されていたものであって、原告の損害には当たらない。
〈4〉 そして、商品の処分については、在庫商品に関しては、前記のとおり、もともと、処分時期が4月にずれ込むものであった以上、本件契約締結交渉のために、その処分が16日間程度遅れたからといって、価格が特に下落するものではないから、仮に原告が廉価で処分したことによって損失を被ったとしても、本件契約締結交渉とは関係がない。
また、4月仕入れ商品に関しては、原告が本件契約締結交渉以前に自ら発注していた商品であり、原告がこれらを廉価で処分したとしても、本件契約締結交渉とは関係がない。
さらに、返品商品に関しては、もともと、原告においては、3月末日の解散に伴い、納品先から返品を受けざるを得なかったものであるから、返品を受けたこと自体は、本件契約締結交渉とは関係がないし、また、原告が同日までに返品商品を処分することができたから、損失を被ることはなかったとする点については、前記のとおり、非現実的な話であり、信じ難いものである。
〈5〉 以上のとおりであるから、仮に本件営業譲渡契約が成立していたとしても、原告主張の各損害は、いずれも、損害として認められないものである。
第3  当裁判所の判断
1  本件営業譲渡契約の成否(争点(1))について
(1)  原告が、1月下旬頃、3月末日をもって解散する方針を決定し、そうした中で、本件事業の営業譲渡をめぐり、原告と被告間で本件契約締結交渉が行われ、同月19日に本件覚書が作成されたことは、前記「前提となる事実」(3)ないし(5)のとおりである。
そして、これらの事実と証拠(甲4から甲13まで(ただし、枝番号を含む。)、甲33ないし甲35まで、甲39、乙4ないし乙6、証人戊野E夫(以下「戊野」という。)、証人己原F子(以下「己原」という。)、原告代表者清算人甲山A夫(以下「甲山」という。)、被告)及び弁論の全趣旨を総合すれば、甲山は、1月下旬頃、PwCアドバイザリー株式会社の戊野から、原告の解散に伴う本件事業の処理として、営業譲渡の方式を勧められ、同社や証券会社を通じて、営業譲渡先の候補会社を探していたこと、被告は、3月1日、知人の庚崎G夫から、上記営業譲渡の話を聞き、同人の勧めに従い、同月4日、エンゼル証券の辛田H夫社長に会って、原告の会社概要、本件事業の内容及び原告が同月末日をもって解散することなどの説明を受けたこと、エンゼル証券では、丁沢がこの案件を担当することになったこと、そして、同月8日、被告は、丙谷部長とともに、原告会社を訪れ、甲山及び己原から、原告に版権のある専売商品、在庫商品及び従業員等に関する状況等について説明を受けたが、その際、在庫商品の固定化、4月入荷予定の新作商品の発注維持及び本件事業の中心となる従業員の承継を申し入れたこと、甲山及び己原は、3月8日以降、丙谷部長の求めに応じ、電子メールにより、原告の過去2年間の売上実績、在庫リスト、従業員の給与明細及びロイ電器への転職可能性を記載した書面をそれぞれ送信した上、譲渡代金として4800万円を提示したこと、そして、同月15日、被告は、丙谷部長ら3名とともに、再度、原告会社を訪れ、営業譲渡の条件等について協議を続けたが、その際、原告から、顧客リストの開示と譲渡代金を4000万円に減額する旨の提示を受ける一方、被告が譲受会社として設立する新会社の商号を「株式会社ジェイノードクリエイト」(以下「新会社」という。)とすることを考えている旨を話したこと、その際、被告は、新会社の本店所在地の候補場所として、原告会社の所在するビルの他の空き室を見学したこと、被告は、翌16日、丙谷部長とともに、東京都大田区平和島所在の原告の商品倉庫を訪れ、倉庫及び在庫商品の状況を確認し、商品の入出庫の仕方についても説明を受けたこと、その後も、甲山は、被告ないし丙谷部長に対し、電子メールにより、原告の一部の従業員の業務内容及び新会社への転職の見通し伝えた上、版権リストや譲渡対象資産の目論見書を送信したこと、被告としては、当初、譲渡代金としては、2000万円くらいが相当であると考えていたが、その後の交渉を経て、「譲渡資産目論見書金額内訳」(甲33)に基づいて譲渡代金を合計3700万円(そのうち、在庫商品の価格は、1183万1000円。)とすることに応じ、丁沢から本件覚書案の送付を受けた後、同月19日、前記内容の本件覚書を作成したこと、原告では、取引先に対し、4月1日に新会社に対して営業譲渡を行うことを通知するための3月22日付け案内状を起案の上、同月19日夕方、丙谷部長に対し、電子メールによってこれを送信し、文案の確認を求めたところ、丙谷部長も、同文案について了承したこと、なお、被告は、同日、丁沢との間で、新会社がエンゼル証券に対して企業提携の仲介等を委託し、成約の場合には、成功報酬として500万円を支払うことを約した提携仲介契約書を作成したことが認められる。
(2)  以上認定の事実関係に基づいて考えると、原告の3月末日の解散を間近に控え、原告と被告間では、同月8日以降、被告が設立する新会社が、4月1日に原告から本件事業の営業譲渡を受けることを前提として、本件事業の詳細や在庫商品の状況、従業員の事情等の重要情報が順次被告に対して開示され、これに基づいて交渉が進められた結果、本件覚書が作成された時点では、既に、譲渡日、譲渡対象資産の内容、譲渡代金、従業員の処遇の概要等の営業譲渡契約の内容が確定していたということができるから、本件覚書の作成をもって、本件営業譲渡契約が成立したものと認めるのが相当である。
(3)  この点について、被告は、本件覚書は、そのタイトルが覚書であることや記載内容に未確定な点があることなどからみて、交渉過程における覚書にすぎず、その後さらに買収監査の実施や最終条件の交渉を経て契約内容を確定し、その上で最終契約書を作成することが予定されており、被告自身、そのような認識であった旨主張し、被告本人も、乙5(陳述書)においてこれに沿う記載をするとともに、尋問において同旨の供述をする。
たしかに、本件覚書(甲1)においては、譲渡対象資産の確定、事業承継の方式及び従業員の処遇の点について、原告と被告間での更なる協議の存在を前提とする趣旨の記載があり、また、本件覚書締結後に買収監査を実施することや、「営業譲渡契約書あるいはそれに準じた売買契約書」に譲渡・譲受日を記載するとした記載がみられる。
しかし、本件覚書の記載内容については、前記のとおり、その本文冒頭に、原告と被告が本件事業の事業用資産の譲渡及びその基本条件について合意した旨が明記されている上、本件覚書が作成された3月19日の時点では、原告の解散日が約10日後に迫っており、そうした中で、営業譲渡の日付が具体的に確定されるとともに、譲渡対象資産及びその代金については、本件覚書添付の目論見書及び版権リストによって特定されており(甲1。なお、譲渡対象資産の金額内訳を具体的に記載したものが甲33である。)、事業承継の方式については、当初から、営業譲渡を前提として交渉が進められてきていたところ、本件証拠上、原告と被告間で他の方式について具体的に協議された様子は全く窺われず、従業員の処遇についても、原告において、各従業員に対して新会社に転職するか否かの意向確認が具体的に進められていたのである。
そして、買収監査の点については、被告は、それまでに、二度にわたって原告会社を訪れ、原告から、本件事業の詳細について直接説明を受けたほか、売上実績、在庫リスト、版権リスト、商品の入出庫の仕方、顧客リストや従業員の事情等について重要な情報の開示を受けるとともに、実際にも自ら原告の商品倉庫に出向いて在庫商品の状況確認等を行ってきたのであり、これらにより、原告の財務状況や資産状況等を既に確認し得ていたものと考えられる。現に、被告自身、本件覚書を作成した時点では、その後、3700万円の譲渡代金が減額されることは困難であろうと考えていた旨供述しているのである。
さらに、本件事業の内容及び営業譲渡の規模のほか、本件では、営業譲渡の方式が採られ、株式買収の場合のように株価の決定等を行う必要性がなかったことなどを考え併せれば、本件覚書の作成時点では、譲渡対象資産に対する被告の監査は実質的にはほぼ済んでいたものということができるから、本件覚書における買収監査に関する条項については、それがあらためて実施されない限り、営業譲渡契約が成立しないというような趣旨のものであったとまでは考え難い。また、日数的にみた場合、証拠(証人戊野)によれば、仮に、被告が、本件覚書の作成後3月下旬までの間に買収監査を実施するにしても、その監査の対象や内容というのは、実際上、在庫商品引渡時点における在庫商品の確認程度にとどまったものと認められる。
そうすると、本件覚書において買収監査の実施が予定されていたことだけをもって、本件覚書が営業譲渡に関する確定的な合意ではないとすることはできない。
また、本件覚書において「営業譲渡契約書あるいはそれに準じた売買契約書」の作成に関する記載がある点については、証人戊野及び甲山は、この記載部分は、本件覚書の作成後に、新会社の設立を待って作成する場合の営業譲渡契約書においても、本件覚書と同様、営業譲渡の日付を4月1日とするとの趣旨で記載されたものにすぎず、その場合の営業譲渡契約書の記載内容は、本件覚書と同じものになったはずである旨供述しており、甲34にも同旨の記載があるところ、これに基づいて考えると、別途、原告と新会社間でそのような内容の営業譲渡契約書の作成が予定されていたからといって、本件覚書が営業譲渡に関する確定的な合意ではないとすることはできない。
そのほか、被告は、被告の書籍による研究や、丁沢から本件覚書の作成を急がされた事情等を指摘するが、これらの事情によっては、以上の認定判断を左右するに足りない。
(4)  以上によれば、本件覚書の作成をもって本件営業譲渡契約が成立したものと認められる。
2  被告の債務不履行責任
被告が3月23日に「ご連絡書」と題する書面をもって本件事業の譲受の撤回を申し入れ、これに対し、原告訴訟代理人が同月29日到達の書面をもって、被告の債務不履行を理由として、本件営業譲渡契約を解除した経緯は、前記「前提となる事実」(6)及び(7)のとおりであり、これによれば、被告は、本件営業譲渡契約を一方的に破棄したものというほかないから、債務不履行に基づき、原告の被った後記損害を賠償すべき責任を負う。
3  原告の損害額(争点(2))について
(1)  証拠(甲7の1、2、甲14、甲39、証人己原、甲山)によれば、原告では、1月下旬以降、3月末日での解散に向け、在庫商品の処分を進めるとともに、4月における商品の仕入れを抑えるようにし、遅くとも3月中旬頃までには、取引先に対し、解散の通知をする予定でいたこと、また、同月初め当時、原告には、出向者を含め社員13名とアルバイト2名の従業員がいたが(甲7の2)、原告としては、同月末日までに全商品の処分を完了し、4月以降は、そのうち、己原(営業担当)及び壬岡I子(経理担当。以下「壬岡」という。)の2名だけで清算業務に当たることを予定し、2月22日頃、その余の従業員全員に対して3月末日の会社解散を理由とする解雇を通知したこと、前記のとおり、同月8日から、本件契約締結交渉が始まり、原告では、被告から在庫商品の固定化及び4月仕入れ分の発注の継続の申入れを受けたため、同月以降の営業継続を前提に、在庫商品の処分を抑えるとともに、商品の仕入れをキャンセルしなくなったこと、ところが、本件営業譲渡契約の解除の結果、原告では、己原及び壬岡の2名だけでは、清算業務以外の、返品処理を含む商品の処分に関する業務ついてまで対応しきれないとして、4月については、通常どおりの営業を行うため、引き続き、己原及び壬岡のほかに、社員4名及びアルバイト3名を雇用して販売管理態勢を継持し、これらの業務に当たったこと、なお、原告が取引先に対して解散の通知を出したのは、3月末日間近のことであったことが認められる。
(2)  ところで、原告は、当初の予定どおり、本件契約締結交渉が行われずに、3月末日をもって解散する場合には、それまでの間に、4月仕入れ商品をキャンセルするとともに、在庫商品及び返品商品の処分を完了することが可能であったから、同月以降は、己原及び壬岡の2名だけでその余の清算業務を行えば足りた旨主張するのに対し、被告は、3月末日までに、大量の不良在庫商品を処分するとともに、返品を受け付けた上でその処分を完了することは、非現実的であったなどと反論する。
そこで検討するに、証拠(甲29から甲32まで(枝番号を含む。)、甲38、甲39及び証人己原、甲山)によれば、原告においては、前記のとおり、1月下旬以降、在庫商品の処分を進めており、また、返品商品についても、通常、二週間程度の期間があれば、返品を受け付けながら、原告会社に近い秋葉原近辺で処分することが可能であったから、本件契約締結交渉が行われなければ、3月末日までに全力を挙げて在庫商品及び返品商品の処分を終える見込みを有していたこと、そして、原告では、本件営業譲渡契約の解除後4月末日までの間に、実際にも、在庫商品、4月仕入れ商品及びヴューズからの返品商品の処分を完了したことが認められる。
これらの事実を総合して考えると、原告では、本件契約締結交渉に要した期間(16日間)がなければ、解散日である3月末日までに、価格の点はともかく、これらの商品の処分を完了することができたものであり、その場合には、4月以降は、原告会社の解散後の清算業務だけとなるため、己原及び壬岡の2名で対応することが可能であったと認めるのが相当である。
なお、甲6によれば、たしかに、甲山が、被告及び丙谷部長宛ての電子メールにおいて、在庫商品の処分が4月に及ぶとする趣旨の記載をしたことが認められるが、原告においては、前記のとおり、3月末日までに商品の処分を終え、同日をもって解散し、その後は己原及び壬岡の2名だけで清算業務に当たる予定であったものと認定できることからすれば、この記載は不適切なものというほかないが、これをもって、前記認定判断を左右するには至らないというべきである。
(3)  以上の事実関係を前提として、原告の損害額について、順次検討する。
〈1〉 4月分の余分の販売管理費
ア 従業員に関する経費 211万0195円
証拠(甲14、甲15の1ないし7、証人己原)によれば、原告では、4月においても、前記のとおり、商品の処分を行うことになった結果、従前の販売管理態勢を維持し、そのため、社員4名の給与、アルバイト3名分の賃金及びこれらの従業員の法定福利費、通勤費として、甲14の別紙〈3〉のとおり、合計211万0195円を要したことが認められ、被告は、これを原告が被った損害として賠償すべきである。
イ 商品出荷のための運賃 115万2699円
証拠(甲14、甲16ないし甲20まで(枝番号を含む。)、証人己原)によれば、原告では、新作商品など4月仕入れ商品については、秋葉原近辺で処分可能な在庫商品及び返品商品とは異なり、その販売のために、全国発送用の運賃を要したこと、4月仕入れ商品は、実際には、早めに原告に届けられたため、一部については同月下旬から発送が開始されたこと、そして、原告では、ヤマト運輸分について32万5775円、佐川急便分について35万8298円、福山通運分について18万1661円及びデジクラフト社分について28万6965円の合計115万2699円の運賃を要したことが認められる。
そして、原告が4月において支出したこれらの運賃は、本来、本件営業譲渡後において、被告が本件事業の譲受人として負担すべきものであったと考えられることからすれば、被告は、上記運賃を原告が被った損害として賠償すべきである。
ウ その余の保管料及びリース代等 30万7125円
原告は、4月において、営業や商品の保管等のために様々な代金を要した旨主張し、これに沿う証拠として、甲20から甲25まで(枝番号を含む。)を提出する。
まず、証拠(甲14、甲20、甲24、甲25、証人己原)によれば、原告では、4月においても、引き続き、在庫商品を保管することになった結果、デジクラフト社分について3万7800円、ロジテムインターナショナル分(なお、甲24によれば、日単位の保管も可能とされているものと認められる。)について16万4325円の合計20万2125円の保管料を要したこと、また、販売管理の必要から、4月分の在庫管理システムの保守料として10万5000円を要したことが認められ、被告は、これらを原告が被った損害として賠償すべきである。
次に、カラーコピー機、営業用車の各リース代及び駐車場代については、証拠(甲21から甲23まで(枝番号を含む。))によれば、たしかに、原告では、4月における商品の販売等のために、これらの費用を要したことが認められる。
しかし、その一方で、前記証拠によれば、これらの契約は、いずれも、一定の期間の定めのある契約であることが認められ、これによれば、通常、原告としては、貸主に対し、契約終了の前に、予め所定の期間を置いて解約を申し入れることが予定されているものと考えられるところ(甲23の1の10条は、1か月前までに解約予告を行うべきものと定めている。)、本件証拠上、原告が、本件契約締結交渉の前から、そのような中途解約の手続に着手していたことを窺わせる証拠はないから、原告としては、本件営業譲渡契約の成否にかかわらず、これらの物件に関する解約手続の未了の結果、4月分の費用についても、もともと、貸主に対し、契約が継続したものとして自らこれを負担するか、そうでなければ、契約の終了を主張することにより、所定の違約金等の金員を支払うことになった可能性がないではなく、この点を考慮すれば、前記リース代等を負担したことをもって、直ちに原告の損害に当たると認めることは困難である。
以上を合計すると、30万7125円となる。
〈2〉 3月末の在庫商品の処分に伴う損害 445万2930円
原告は、前記のとおり、本件営業譲渡契約に基づき、被告に対し、在庫商品を合計1183万1000円との評価によって譲渡したものであるところ、証拠(甲32、証人己原)によれば、原告では、本件営業譲渡契約の解除の結果、4月において、在庫商品を合計737万8070円でしか処分できなかったことが認められ、この差額である455万2930円については、原告において実際に生じた損害といえるから、被告は、これを賠償すべき責任がある。
〈3〉 4月仕入れ商品の処分に伴う損害
原告は、4月仕入れ商品について、合計1295万0166円の仕入額に対し、合計1179万1478円でしか処分できなかったから、その差額である115万8688円の損害を被った旨主張し、これに沿う証拠として甲32を提出し、甲山も同旨の供述をする。
しかし、原告は、前記のとおり、4月においても、己原及び壬岡のほかに、7名の従業員を雇用して販売管理態勢を維持し、営業担当社員の減員があったにせよ、4月仕入れ商品を含めて商品の処分に当たっていたことや(証人己原は、原告では4月についてもきちんと販売できる態勢を採ったことを明言している。)、原告では、3月当時、既に、毎月損失を出す状態にあり、そうした経営状況のために解散を決定したこと(甲39、甲山)からすれば、結果として、4月仕入れ商品について、売却金額が仕入れ額を下回ることになったからといって、そのことだけで、直ちにその差額分が損害に当たると認めることはできず、この点に関する原告の前記主張及び証拠は採用できない。
なお、原告は、本件締結交渉が行われなければ、その間に、予め4月仕入れ商品のキャンセルができたとも主張し、証人己原及び甲山も同旨の供述をするが、これらの供述によっても、原告が、各取引先との間で、実際に、何らの費用負担もないままにそのようなキャンセルがたやすく行い得たものとは直ちに認め難く、この点に関する原告の主張等は採用できない。
〈4〉 納品先からの返品に伴う損害
原告は、本件営業譲渡契約が履行され、被告が本件事業を承継してさえいれば、納品先であるソフトバンク及びヴューズの二社から、解散による取引終了を理由として返品処理を求められることはなく、各社に対して有する売掛債権から返品に係る商品代金を相殺処理されることもなかったとして、これと同額の損害を被った旨主張する。
しかし、証拠(甲26の1、2、甲31、甲38、証人己原、甲山)及び弁論の全趣旨によれば、原告では、契約上あるいは納品先との取引慣行として、取引終了時に限らず、随時、一定割合の範囲内で返品を受け入れ、返品に係る商品代金を返還することを行ってきており、そのように返品処理が行われた場合、返品に係る商品代金を返還する一方で、自ら、返品商品を処分(再販売)してきたことが認められ、これに基づいて考えると、原告としては、返品商品の処分による再度の売上げが可能である以上、相殺処理を受けた返品分の代金額それ自体をもって、当然に原告の損害に当たると認めることは困難である。
なお、証人己原及び甲山の各供述中には、原告が3月末日をもって解散する場合であれば、そもそも、同月中に、原告の営業担当社員が納品先に対して丁寧な対応を行うことにより、その納得を得て、返品の話にならなくて済んだであろうとする部分があるが、前記のような返品処理の実情からすれば、納品先が必ず原告に対してそのような態度を採るものとは直ちに考え難く、前記供述部分は採用できない。
ところで、原告は、当初の予定どおりに3月末日をもって解散する場合には、同月中旬頃に納品先に解散の通知を行い、その時点で、前記二社から返品を受けていれば、二週間程度の期間があるので、損失の出ない価格で処分することが可能であったとし、実際には、ソフトバンク分については、返品量が膨大なことから、販売態勢の関係で返品を受けることができず、また、ヴューズ分については、44万円余でしか処分できなかった旨主張し、これに沿う証拠として甲38を提出し、証人己原及び甲山も同旨の供述をする。
しかし、原告は、前記〈3〉と同様、4月においても、己原及び壬岡のほかに、7名の従業員を雇用して販売管理態勢を維持したものである上、原告自身、本件においても、通常、二週間程度の期間があれば、返品商品の受付け及びその処分が可能であったことを自認し、しかも、前記のとおり、これらの返品商品については、秋葉原近辺で処分できたというのであるから、これに基づいて考えると、原告が、4月において、自らの判断によって返品商品を受け入れず、あるいは結果として十分な価格で処分することができなかったからといって、そのことだけで、直ちにその差額分が損害に当たると認めることはできず、この点に関する原告の前記主張及び証拠は採用できない。
そうすると、返品に伴って損害を被ったとする原告の主張は、採用できない。
(4)  以上によれば、原告の損害額は、合計802万2949円となる。
4  よって、原告の本訴請求は、主文第1項の限度で理由がある。
(裁判官 安浪亮介)

 

譲渡資産 目論見書 金額内訳
J-NODEクリエイト株式会社(以下、甲という)及び株式会社ジェイ・ノード(以下、乙という)の間で締結された基本覚書に関する譲渡資産の内容は以下の通りとする。
〈1〉販売管理システム(楽商システム)
(楽商システムがインストールされたパソコン一式を2台分。)
◆譲渡価額:¥6,594,000
〈2〉 電話加入権(@○○-○○○○-○○○○)
◆譲渡価額:¥75,000
〈3〉 過去の全専売商品の版権(但し、ダウンロード販売権・デジタル画像配信権は除く。尚、ダウンロード販売もしくは画像配信販売する対象作品は全て製造終了〈ロットアップ〉しているものに限定する。)
◆譲渡価額:¥9,000,000
〈4〉 すべての営業資料(ショップ及び仕入先メーカーに関する一切の資料)
◆譲渡価額:¥4,000,000
〈5〉 取引店舗の取引情報、口座情報含む一切の顧客情報
◆譲渡価額:¥4,000,000
〈6〉 チラシポスター含む販促物
◆譲渡価額:¥1,500,000
〈7〉 商品在庫(3月31日時点で残る全ての在庫)
◆譲渡価額:¥11,831,000
◆譲渡価額合計:¥37,000,000
以上

 

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