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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(315)平成19年 8月24日 東京地裁 平18(ワ)2684号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(315)平成19年 8月24日 東京地裁 平18(ワ)2684号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成19年 8月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)2684号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2007WLJPCA08248005

要旨
◆a社の元代表取締役Y1及び元取締役Y2に対し、両名が原告を欺罔して株式購入等によりa社に投資させ、株式譲渡代金等名下に金員を騙取したと主張して、共同不法行為に基づき損害賠償を求めた事案において、被告らは共謀して、原告に対しa社の業績悪化を秘匿した上で投資資金を新規事業に投入する等と欺罔し投資を決断させたとして共同不法行為の成立を認め、免責許可決定を受けたY1との関係でも、上記行為は不正な害意に基づくもので破産法253条1項2号の「悪意で加えた不法行為」に該当し、損害賠償請求権は免責の対象とはならないとして、原告の請求を認容した事例

参照条文
民法719条
破産法253条1項2号

裁判年月日  平成19年 8月24日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)2684号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  認容  文献番号  2007WLJPCA08248005

東京都港区〈以下省略〉
原告 テンプーモデレート株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 柴谷晃
同 野澤吉太郎
東京都稲城市〈以下省略〉
原告補助参加人 マック・フィナンシャル・パートナーズ株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 網谷充弘
同 十亀正嗣
千葉県浦安市〈以下省略〉
被告 Y1
同訴訟代理人弁護士 北村晴男
同 加藤信之
同 佐野周造
同 髙辻庸子
同 大石晶子
同 三苫大介
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y2
同訴訟代理人弁護士 川勝勝則

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,連帯して3184万9081円及びうち715万円に対する平成16年12月17日から,うち2179万6665円に対する平成19年4月28日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。
3  この判決は,仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
本件は,株式会社a(以下「a社」という。)に株式購入や社債引受けにより合計3150万円を投資した原告が,同社の代表取締役及び取締役であった被告らに対し,被告らが共謀して,a社の業績悪化を秘匿した上,投資した資金は新プロジェクトに投下するなどと申し向けて原告を欺罔し,株式譲渡代金等の名下に金員を騙取したとして,共同不法行為に基づき損害賠償を求めた事案である。
1  前提事実(後掲証拠と弁論の全趣旨により認められる。なお,以下において,枝番のある書証は,特に明示しない限りその枝番のすべてを含む。)
(1)  当事者及び関係者
ア 原告は,不動産賃貸業,経営コンサルタント業を主たる目的とし,ベンチャー企業等への投資も行っている株式会社であり,A(以下「A」という。)は,原告の代表取締役である。
イ a社は,昭和63年6月1日に設立された株式会社であり,国内外の市場等の調査及びその調査結果に基づくコンサルティング等を目的としていたが,平成17年3月30日,東京地方裁判所に破産手続開始を申し立て,同年4月1日,破産手続開始決定がされ,同年8月25日,異時廃止により破産手続が終結した。(甲2)
ウ 被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,会社設立以来a社の代表取締役の地位にあった者である。
エ 被告Y2(旧姓C。以下「被告Y2」という。)は,東京税理士会所属の税理士であり,平成16年11月1日,a社の取締役に就任し,以後その地位にあった者である。
オ 原告補助参加人(以下「補助参加人」という。)は,経営コンサルタント等を目的とする株式会社であり,平成16年7月1日ころ,a社との間でコンサルタント業務契約を締結し,同社の事業について助言,指導を行っていた。(乙9の2,乙10,丁3の2・3)
B(以下「B」という。)は,補助参加人の代表取締役である。
(2)  本件投資
ア 原告代表者Aは,平成16年9月初旬ころ,以前にも投資先の紹介を受けたことがある補助参加人代表者Bから,a社に対する投資の話を持ちかけられ,同月13日から同年12月7日にかけて,被告Y1と数回にわたって面談し,a社の事業計画や資金計画の説明を受けた結果,同年12月中旬ころ,被告Y1との間で,原告がa社に総額3150万円を出資することを合意した(以下「本件合意」という。)。
イ 原告は,本件合意に基づき,同月17日,a社及び被告Y1との間で,①原告が被告Y1からa社の株式300株を代金300万円で譲り受けること,②原告が第三者割当増資に基づきa社の株式350株を総額350万円で引き受けることを各内容とする2件の投資契約を締結し(以下,一括して「本件投資契約」という。),同日,被告Y1に譲渡代金300万円を,a社に増資分350万円をそれぞれ支払い,合計650株の株券の交付を受けた。(甲16ないし32)
なお,同日,補助参加人も第三者割当増資によりa社の株式150株を引き受け,150万円を払い込んだ。(丁4の3)
ウ さらに原告は,平成17年1月11日,本件合意に基づき,a社との間で,同社が発行する無担保転換社債型新株予約権付社債3000万円のうち2500万円を引き受ける契約を締結し,翌12日,a社に2500万円の払込みを行って社債券の発行を受けた。上記契約に際し,被告Y1及びa社の取締役であったD(以下「D」という。)は,原告に対し,同契約上の債務の履行につき連帯保証した。(甲35ないし42)
なお,残余の500万円分は投資事業組合が引き受けたが,事実上は,同事業組合の業務執行者である補助参加人の出資である。(丁4の1・3,証人B)
エ 原告の取締役であるE(以下「E」という。)とBは,同月11日,a社の社外取締役に就任した。
(3)  a社の破産手続申立てに至る経緯等
ア Aは,同年2月1日以降,a社から第17期(平成16年5月1日から平成17年4月30日。以下「当期」という場合はこの期を指す。)上半期の中間決算報告書(甲43),平成16年11月から平成17年1月の各月次合計残高試算表(甲44ないし46)及び「今期見通し」と題する書面(甲47)等の交付を受け,またBから借入金明細表(甲48)を入手した。その結果,Aは,同年2月23日,被告Y1に対し,本件投資契約を白紙撤回する旨通告し,原告の投資資金を速やかに返還するように求めるに至った。
イ 被告Y1は,同年3月初めころ,a社と被告Y1の破産申立てを弁護士に委任し,受任した弁護士は,同月3日,各債権者に対し,その旨を通知した。同日,被告Y1は,a社の取締役に対し,a社の破産申立てを議案とする臨時取締役会を同月8日に開催するとしてその招集を通知した。(甲52ないし54)
ウ 同月8日に開催された臨時取締役会において,E,B及びF(以下「F」という。)の各取締役が破産申立てに反対したが,議案は4対3で可決され,a社は,同月30日,東京地方裁判所に破産手続開始の申立てをし,同年4月1日,同社について破産手続開始決定がされた。また,被告Y1も,同月7日,東京地方裁判所に破産手続開始の申立てをし,同月13日,同開始決定がされた。(甲55,60,62)
エ a社及び被告Y1の破産手続は,いずれも平成17年9月末ころ異時廃止となり,被告Y1については,平成17年10月19日,免責許可決定がなされた。(甲68,70)
(4)  原告の主張する損害
本件訴訟において原告が主張する損害3184万9081円の内訳は次のとおりである。
ア 株式購入代金名下に被告Y1及びa社に交付した合計650万円
イ 新株予約権付社債引受代金名下にa社に払い込んだ2500万円のうちDからの返済分を控除した残額2245万3710円
ウ 弁護士費用289万5371円(ア,イの各1割相当額)
2  争点
(1)  被告Y1の不法行為の成否
(2)  被告Y2の不法行為の成否
(3)  原告の被告Y1に対する本訴請求債権は免責の対象外か
3  争点に対する当事者の主張
(1)  争点(1)(被告Y1の不法行為の成否)について
ア 原告の主張
被告Y1は,平成16年9月13日から同年12月7日まで,数回にわたってAと面談した際,実際には,① a社の第17期の業績は予定をはるかに下回って損失を生じる見込みであり,② また,原告から投資される資金はa社が被告Y1又は高利の金融業者からの借入金の返済に充てる予定であったにもかかわらず,Aに対し,これらの事情を秘匿した上,①について,「今期の予想は売上高が3億2000万円,経常利益が4440万円であるが,この予想は控えめな数字であり,実際にはもっと高い結果を達成できる」と虚偽の説明をし,②について,「プロジェクトJAKE」という名称で新規事業(以下「本件新規事業」という。)の立ち上げを計画しているとして,その事業内容等を説明し,同事業の構築・商品開発・営業強化のための資金として投資を要請した上,投資資金を本件新規事業に限定して用いると虚偽の説明をし,さらに,a社が将来株式公開を目指しているとも説明してAを欺罔し,投資金名下に原告から合計3150万円を騙取した。
被告Y1の上記行為は詐欺罪に該当する行為であり,原告に対する不法行為に該当するから,被告Y1は,上記不法行為により原告が被った損害を賠償する義務がある。
イ 被告Y1の主張
(ア) 被告Y1がAに対し,今期の予想として売上高が3億2000万円,経常利益が4440万円であると説明したこと,a社が本件新規事業を立ち上げようとしていること及び同事業の内容について説明したことは認めるが,その余については否認し又は争う。上記売上高等の説明は,後述するとおり,Bの指示により達成可能と思われた最上限の数字を示したものであり,また本件新規事業は,投資を受けるための補足説明として行ったもので,資金使途をこれに限定した投資依頼はしていない。
(イ) a社は,平成15年10月期(第16期の上半期)に4000万円以上の営業利益を計上し,第16期の売上げは第15期の倍以上と飛躍的に増大したこと等から,被告Y1は,第17期(当期)には,大阪営業所の新設,社員の新規採用及び営業強化等を目標とし,その資金調達の方法等を検討していたところ,被告Y2からBを紹介され,補助参加人との間でコンサルタント業務契約を締結した。そして,Bから原告の紹介を受け,原告に新株予約権付転換社債を引き受けてもらうべく,Aと交渉を開始した。
ところが,平成16年10月ころ,株式会社イトーヨーカ堂(以下「イトーヨーカ堂」という。)から定期的にあった受注が同社の予算の都合上しばらく途絶えることになったり(この段階では,他の仕事により売上げの増加の目処は立っていた。),同年9月に受注する予定であった受注業務のスタートが相手方の都合で翌年3月までずれ込んだり,原告から同年9月に投資を受けられることを見込んで事業規模を拡大させていたところ,原告側の事情で投資が同年12月まで引き延ばされたりするなど,予想外の出来事が重なったため,社債引受けまで一時的なつなぎ資金が必要となり,高利金融業者から短期の借入れをすることとなった。被告Y1が原告からの出資金をその返済に充てたのは,それがa社の経営状態を正常に戻し,従来の事業を発展させ,本件新規事業を成功させる近道であったからである。ところが,この事実を知った原告から社債の償還を強く求められたため,被告Y1は,経営継続の意欲を失い,破産申立てをするに至った。
上記のとおり,a社の業績は社債発行計画の当初から悪化の一途をたどっていたわけではなく,被告Y1も社債による調達資金を高利の借入金返済に充てる意図があったわけではない。あくまで,想定外の業績の低迷と社債発行計画遅延が相まって生じた業績悪化が原因となり,社債による調達資金の一部を高利の借入金の返済に充てざるを得なくなったが,被告Y1としては,社債による調達資金の一部を高利の借入金の返済に充てても,事業を継続できれば十分業績を回復できると考えていた。
(ウ) 被告らは,原告から投資を受けるに当たっては,コンサルティングアドバイザーたるBの指示にしたがっていたところ,Bからa社の業績予測を拡大して提出するよう,また業績が低迷していることを示す資料を原告に提出しないよう指示され,達成可能と思われた最上限の売上高3億2000万円を示したが,自ら積極的に業績を拡大して示したり,業績低迷の事実を告げなかったものではない。
ウ 補助参加人の主張
(ア) Bは,a社とのコンサルティング契約締結時に,被告Y1に対し,高利金融業者から借入れをしている会社や,財務諸表等で不適正かつ虚偽の開示をする会社は支援しないと伝えており,高利金融業者からの借入れの話は一切聞いていない。
(イ) Bは,被告らに対して残高試算表や資金繰表等の資料を提出しないよう指示したことはない。平成16年12月2日付けのBの被告Y2に対するメール(乙8)は,万一原告が出資しない場合に他の投資家と交渉する旨を伝えたものにすぎない。もし補助参加人がa社の業績悪化を知っていれば,同月16日に同社に対して500万円の融資をするはずがない。なお,Bは,平成17年1月26日,被告Y2から,a社の試算表をAにも送るかと尋ねられた際,これを止めたことがあるが,これは,試算表を送付するだけでは不十分なので被告Y1が持参した上できちんと説明すべきであると言って止めたのである。
(2)  争点(2)(被告Y2の不法行為の成否)について
ア 原告の主張
(ア) 被告Y2は,a社が高利金融業者からの借入れをしていることを知りながらこれを原告やBに告知せず,同社の財務状況について,特に大きな問題はなくおおむね良好であると伝え,また,財務担当役員として,a社が大型案件の受注失敗により本件新規事業の開始や株式上場を目指すどころではない状態であることを把握していながら,本件投資の実現に向けて事務手続を進めた。これらの事実からすると,遅くとも平成16年10月ころまでに,被告Y1との間で,高利金融業者からの借入れについて社外に秘匿することについて意を通じ,原告Y1と同様の欺罔行為を行ったというべきである。
(イ) 被告Y2は,単なる経理担当職員ではなく,取締役であり,決算報告書も作成し,破産申立てを決議した臨時取締役会においても,a社の資金繰り等の状況について縷々説明をし,議案についても賛成する投票を行った。
イ 被告Y2の主張
(ア) 原告の主張(ア)は否認し争う。
(イ) 被告Y2は,平成16年7月頃から,a社でアルバイトとして働き(週3回,日給2万円),一般経理を担当していたが,これだけでは経理処理ができないため,同年10月から常勤としてa社に勤務することとなり,月給40万円で経理とパソコンを担当した。被告Y2が行っていた対外的業務は,被告Y1から指示を受け,パソコンで文書を送付したり,外部から送られた文書をプリントアウトして被告Y1に提出するという機械的なものである。また,被告Y2は,被告Y1から頼まれ,軽い気持ちでa社の取締役に名前を貸したが,名目的なものであり,取締役の名刺も作成しておらず,平成17年3月8日の臨時取締役会を除き,取締役会に出席したこともない。なお,上記臨時取締役会には,原告代表者から出席を半ば強制されて出席した。
(3)  争点(3)(非免責債権か否か)について
ア 原告の主張
被告Y1の原告に対する欺罔行為は,被告Y1が悪意で加えた不法行為であるから,破産法253条1項2号の「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に該当する。
イ 被告Y1の主張
「悪意」とは,単なる故意ではなく,不正に他人を害する意欲又は積極的な害意をいうところ,(1)において主張したとおり,被告Y1には原告を害する意図はなかった。
原告が問題とする事実の不告知はいずれも欺罔行為を構成せず,また,業績低迷についてAに告知しなかったのは,業績回復の見込みがあり,Bから指示されていたこと等の相応の理由があり,自ら積極的に秘匿したわけではない。
第3  争点に対する判断
1  認定した事実
前提事実,甲76,乙10,丙4,丁1,証人B,原告代表者,被告Y1,被告Y2各本人と後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件の経緯について以下の事実が認められる。
(1)  本件投資案件が原告に紹介される前の状況
ア 被告Y2は,平成16年6月下旬ころ,経営コンサルタント等の業務を営む補助参加人に対し,a社を取引先として紹介した。
被告Y2は,平成5年に東京税理士会に登録した税理士であり,補助参加人とは,平成13年以降平成16年4月まで同社の税理顧問を務めていた関係にあり,他方,a社は,顧客の紹介により同年7月から同被告が勤務することを予定していた会社であった。
なお,被告Y2は,平成16年4月に補助参加人を含む顧客を整理して他社に入社しており,その関係もあって,a社での勤務は当初は週に3日程度で,正社員となったのは同年10月以降であったが,1か月後の同年11月1日には取締役に就任した。
イ 被告Y2が補助参加人にa社を紹介した当時,被告Y1は,前年度上半期(平成15年5月1日から同年10月31日)の好調な業績を踏まえ,平成16年4月に資本金を1500万円から2000万円に増資し,これと前後して本店事務所を移転したり大阪営業所を開設するなどして事業拡大を図っており,これに伴う事業資金調達の方法を検討中であった。
そして,被告Y1は,被告Y2を通じて,補助参加人が新株予約権付転換社債の発行による資金調達を提案していることを知って関心を抱き,同年7月6日,補助参加人の代表取締役であるBと面談した上,補助参加人との間で,補助参加人がa社の資本政策,事業計画,事業パートナーの紹介等の指導,助言を行うとの内容のコンサルタント業務契約書を締結した。そして,a社は,補助参加人に対し,この指導・助言のサービスに対し毎月一定の報酬を支払うほか,特別の業務に関しては別途5パーセントの成功報酬を支払うことを約したが,この「特別な業務」として,Bが提案した新株予約権付転換社債による資金調達が想定されていた。(乙2,3,丁3の1・2)
ウ 上記契約に基づき,Bは被告Y1に対し,a社の事業計画書と資本政策を作成するための資料として,今後3年間程度の売上げ,利益計画を提出するよう依頼し,「損益実績,損益計画書」の書式ファイルをメールで送付した。被告Y1は,同年7月9日,Bから送付された書式の売上高,各経費,経常利益,当期損益等の項目に,平成13年度(第14期)から平成15年度(第16期)までは実績の数値を,平成16年度(当期)から平成19年度までは計画数値をそれぞれ記入した上,被告Y2にこれを送付し,税額の計算と記入を依頼した。被告Y2は,これを基に法人税額を算出して「損益実績,損益計画書」を完成させ,これをBと被告Y1にメールで送付した。
この「損益実績,損益計画書」では,平成16年度(当期)の売上高が3億2000万円(固定費計1億7200万円,純利益1801万5000円),平成17年度の売上高が5億6000万円(純利益3564万8000円),平成18年度の売上高が9億6000万円(純利益7458万4000円),平成19年度の売上高が13億5000万円(純利益1億4999万4000円)とされ,また,平成15年度末の累積損失が5386万円とされていた。(丁3の3,丁3の4の1・2)
エ 上記「損益実績,損益計画書」を受け取ったBは,平成16年7月16日,被告Y1に対し,累積損失と今後の利益の伸び率から判断すると,株価を大きく引き上げるのは難しい状況であり,9月から11月にかけての増資に関してはまだ検討に時間が必要であるとした上,費用の増加をもう少し抑制することが可能かをメールで問い合わせた。(丁3の6)
オ 被告Y1は,同月26日,Bに対し,修正した「損益実績,損益計画書」をメールに添付して送付した。修正後の「損益実績,損益計画書」は,平成16年度(当期)について,売上高には変更がないものの,固定費が1億4650万円に抑えられた結果,純利益が1801万5000円から4122万円(純利益4440万円)へと大幅に上方修正されており(平成17年度は逆に固定費が若干増加して純利益が300万円ほど下方修正されている。),被告Y1は,上記メールで,「17年度の純利益の件は添付ファイルの数字より2000から2500程度多く見ていただいても結構かと思います」とも書き添えた。(丁3の7の1・2)
カ Bは,修正後の「損益実績,損益計画書」を検討した上で,同月27日,被告Y1に対し,メールで,平成17年度の純利益を5000万円として資本政策を立ててみたが出資者が応じるのは難しい旨,解決策は発行株数及びストックオプションを減らし来期以降の資金ニーズを半分にすることだが,それでも株価を上げられない旨を伝え,「来期以降平成19年までの売上げと純利益を予想最大限にして数字を作成していただけませんか」と依頼し,これを受けた被告Y1は,同月31日,「損益実績,損益計画書」の再修正版を作成して送付した。この再修正版「損益実績,損益計画書」は,平成17年度ないし19年度について,売上高に予想最大値を併記し,固定費の数値を下方修正したものであった。これを受け取ったBは,同年8月5日,被告Y2に対し,平成18年及び19年のレンジが大きいため,既に完成した大まかな資本政策の再検討を行っている旨を伝えた。(乙7,丁3の9の1・2,丁3の11)
(2)  被告Y1のAに対する本件投資に関する説明
ア Bは,平成16年9月初旬ころ,以前にも投資案件を紹介し,うち何件かは成約に至ったことのある原告に対し,a社への投資案件を紹介し,Aは,被告Y1と面談して具体的説明を受けることになった。
イ 被告Y1は,同年9月に2回程度行われた面談において,Aに対し,事業計画書(甲9)を示しながらa社の業績を中心に話を進めた。この事業計画書では,前記の再修正版「損益実績,損益計画書」(ただし売上高は,平成18年4月期(第18期)のみ最大予想値を採用し,他の期は修正版の数値を採用したもの)が「利益計画」として掲げられており,被告Y1は,この利益計画について,平成17年4月期(当期)の売上高3億2000万円,経常利益4440万円との予想は控えめなものであると説明した。しかし,Aは,このような被告Y1の説明を聞いても,a社への投資にさほど積極的な姿勢を示さなかった。
ウ このため,被告Y1は,同年10月8日ころの3回目の面談において,プロジェクトJAKE(本件新規事業)の話を持ち出し,この新規事業が「視聴率」ではなく「視聴質」を重視した次世代型の評価システム事業であり,この新規事業を実行に移すため,株式会社インフォプラント(以下「インフォプラント」という。)と業務提携をし,取引先であるエーシーニールセン・コーポレーション株式会社のFを役員に招聘すると説明した。Aは,この話を聞いて,a社に対する投資に関心を示すようになった。被告Y1は,同月22日,Aに対するメールで,Fがa社の本件新事業担当役員に就任することが決まった旨,またインフォプラントとの業務提携について内容の詰めを行う予定であることを伝えた。(甲71)
エ 被告Y1は,同年11月19日ころの4回目の面談の際,Aに対し,本件新事業の事業計画補足資料,a社がFとの間で交わした同年10月25日付けの覚書やインフォプラントとの間で交わした同年11月11日付け機密保持契約書の写しを交付して,本件新規事業を中心とした説明を行うとともに,基本路線での今後の展開,進行中の案件や他の事業提携についても説明した。(甲11ないし14)
また,被告Y1は,同年11月以降,事前にAに交付していた再修正版「損益実績,損益計画書」(ただし平成18年度4月期の売上高は最大予想値のみを記載)についても詳細な説明を行い,このときにも,平成17年度4月期(当期)の売上高及び経常利益の予想は控えめなものであると説明した。(甲10)
オ 被告Y1は,同年12月3日ころの5回目の面談において,Aに対し,第16期(平成15年5月1日から平成16年4月30日まで)の決算報告書を交付した。Aは,Bを通じて,第17期の上半期(平成16年10月期)の決算書の提出を促したが,Bからは作成中であるとの返答を受けた。(甲15)
カ Aと被告Y1との上記一連の面談では,平成16年10月以降,本件新規事業に関する協議が中心となっており,その中で,被告Y1は,原告からの出資は大半を本件新規事業に投入するとの説明をし,Aは,被告Y1のその説明により,投資する資金の大半は本件新規事業のため使われることを前提に,投資を行うとの判断に至った。そして,同年12月17日に株式購入代金として合計650万円,平成17年1月11日に新株予約権付社債の引受代金として2500万円をそれぞれ投入したことは前提事実(2)イ,ウのとおりである。
(3)  a社の経営実態(第17期上半期)
ア a社は,平成16年6月より前に,被告Y1の名義により貸金業者である株式会社SFCGから300万円を借り入れていたところ,同年6月,新たに株式会社東都物産とビオスキャピタルという業者から合計1200万円を借り入れ,これら3社からの借入残は,原告が最初の投資を行った同年12月17日当時では合計1040万円,2回目の投資を行った平成17年1月12日当時では合計1460万円となっていた。この3社のうち,ビオスキャピタル以外の2社の金利は年27ないし29パーセント程度であったが,1000万円前後と最も高額の借入れをしていたビオスキャピタルは,金利が元金1000万円に対し1日当たり5万円(年利182.5パーセント)の闇金融業者であり,原告がa社に投資した合計3150万円の大半は,これら業者の元利金の返済に充てられた(ちなみに,原告が2500万円を入金した平成17年1月12日にはビオスキャピタルに対し元利金合計約1350万円が返済されている。)。(甲56ないし59,75)
イ a社は,イトーヨーカ堂から継続して調査業務を受注しており,このイトーヨーカ堂との取引はa社の売上げの10ないし15パーセント程度を占めていたところ,平成16年10月ころ,同社の予算の都合で受注が途絶えることとなった。
また,同月ころ,a社に対して,年間1億5000万円ないし1億7000万円の売上げが見込まれる西友の店頭来店客調査の見積依頼が2つのルートからあり,a社も見積書を提出していたが,結局この案件は他社が受注し,同年11月末ないし12月初旬ころ,a社にその旨の連絡がされた。(乙4,5)
さらに,a社は,平成15年末,株式会社エーエムピーエム近鉄(以下「エーエムピーエム近鉄」という。)から,平成16年5月における既存店のデータ収集及び同年秋以降に新規出店する際のデータ収集等の発注を受けていたところ,親会社が他社に買収されたことに伴い,同年9月開始予定であった受注業務の開始が平成17年3月までずれ込む結果となった。
ウ a社は,平成15年末,賃料月額220万円余(敷金10か月分)の事務所を賃借して事務所を移転し,平成16年5月に大阪営業所を開設するなどして事業拡大を進める一方,前記アのとおり,被告Y1名義で闇金融業者から高利の金を借りるようになっていたところ,同年9月には,さらに社員を新規に採用し,運転資金調達のため100株(500万円)を増資し,普通社債500万円を発行した。このとき増資した100株は,被告Y1が60株(300万円),被告Y2が30株(150万円),Fが10株(50万円)をそれぞれ引き受けており,普通社債は補助参加人が引き受けた。
エ 補助参加人は,a社に対し,① 平成16年9月前記ウの普通社債(償還期限6か月後)を引き受けて500万円を融資したほか,② 同年12月16日,短期のつなぎ融資として500万円を貸し付け,③ 平成17年1月12日,新株予約権付社債500万円を引き受け,④ 同月17日,a社の株式150株を150万円で引き受けて,以上合計1650万円を融資又は投資した。このうち返還を受けたのは,②の500万円のみである。(丁4の3)
(4)  本件投資実行後の状況
ア 被告Y1は,平成17年2月1日,A及びBに対し,a社の第17期中間決算報告書を交付した上で,その内容の説明を行った。この決算書では売上高が約7754万円,当期損失が約1698万円と計上されており,上半期のみとはいえ,従前被告Y1から説明を受けていた第17期の損益見込み(売上高3億2000万円,経常利益4440万円)とはかけ離れたものであった上,これについての被告Y1の説明は,売上げの停滞が原因という程度の漠然かつ抽象的なものであった。なお,Bは,これに先立ち,a社の第17期中間決算報告書の交付を受けていたが,その中間決算報告書と平成17年2月1日に交付を受けたものとでは,社債残高などいくつかの点で内容が異なっていた。(甲43,丁4の10)
イ Aは,同月15日,Bとともに被告Y1と面談した。被告Y1は,平成16年11月から平成17年1月までの各月次合計残高試算表を交付するとともに,平成17年2月から4月までの取引先ごとの売上見込み,売上停滞の理由及び今後の対応策等を記載した「今期見通し」と題する書面を交付して縷々弁明を行ったが,従前の業績予想と大きく乖離している月次合計残高試算表等の会計書類を投資の実行後に初めて提示した理由について納得できる説明がなされなかったため,Aは,被告Y1の退席後,Bに対し,a社から投資を引き上げることも示唆する厳しい意見を述べた。ちなみに,上記月次合計残高試算表では,a社の当期(第17期)損益状況は,平成16年11月30日時点では,売上高約8592万円,当期損失約2214万円,同年12月31日時点では,売上高約8904万円,当期損失約4113万円,平成17年1月31日時点では,売上高約9539万円,当期損失約4970万円であり,月を追うごとに損失が拡大していた。(甲44ないし47,丁4の13)
ウ Aは,被告Y1から受領した上記各月次合計残高試算表を分析検討した結果,平成17年1月中に短期借入金が約3657万円減少しており,新規借入分(長期)を差し引いても約2400万円減少していることに気付いたため,同年2月22日,Bを通じてa社の借入金明細表を徴求し,翌23日,再度被告Y1と面談した。被告Y1は,新たな「今期見通し」と題する書面,「売上低迷による現状への対策」と題する書面や資金繰表を用意して説明したが,上記借入金明細表及び資金繰表の上では,同年1月中の短期借入金返済のうち約3097万円が被告Y1に対するものであったため,Aは,原告が同年1月に出資した2500万円はそのまま被告Y1への返済に充てられた可能性が高いと判断し,被告Y1に対し,投資契約を白紙撤回するので,投資資金を速やかに返還するように求めた。(甲48ないし51,丁6の1)
エ 被告Y1は,同年3月2日,再度Aと面談し,資金不足のため,投資資金の返還は同年5月ころまで待って欲しいとの申し入れを行ったが,Aは,原告の出資金が被告Y1への返済に充てられたのであれば返還は容易であろうと考え,被告Y1の要求を拒否した。
(5)  破産手続の開始及び終結
ア 被告Y1は,同年2月22日ころ,顧問弁護士である北村晴男弁護士(以下「北村弁護士」という。)に相談した結果,a社の再建は不可能であると考え,a社を破産させることを決意し,同月末ころ,これを被告Y2及びDの両取締役に伝えるとともに,同年3月初めころ,北村弁護士に対し,a社及び被告Y1の破産申立手続を委任した。
イ その後,a社は,同年3月8日の臨時取締役会決議を経て,破産手続開始を申し立てるに至り,同年4月1日に同手続開始決定がされたことは前提事実(3)イ,ウのとおりであるところ,上記取締役会において,経営状況の説明に立った被告らから,a社が高利金融業者から多額の借入れを行っていた上,多額の社会保険料や税金未納分がある事実が初めて明らかにされ,被告Y1への返済は実はこれら債務の返済であると説明された。このため,事情を知らされていなかったB,E,F,とりわけBは,補助参加人も加わって投資した資金が上記返済に充てられたことについて被告Y1らを強く非難し,議事は紛糾したが,結局,Bら3名の反対を押し切る形で破産手続の申立てをすることが可決された。(甲55)
(6)  被告Y2の関与
ア 被告Y2は,平成16年6月下旬ころ,Bにa社に関する資料を渡し,コンサルティング業務の取引先としてa社を紹介した。
イ 被告Y2は,同年4月から年収1000万円の条件で会社勤務を始めたところであったが,a社と補助参加人がコンサルタント業務契約を締結して間もない同年7月中旬ころから,週3回日給2万円でa社の仕事をするようになった。そして,同年10月1日から月収40万円の正社員となって,同年11月1日にはa社の取締役に就任した。被告Y2は,a社に転職するに当たり,被告Y1からは1年後には1000万円以上の報酬を支払うと約束されていた。
ウ 被告Y2は,a社において,主に資金管理,資産管理を担当した。そして,a社で勤務を始める前から,前記(1)ウのとおり,被告Y1がBの求めに応じてa社の財務状況等を開示する際,被告Y1に依頼され,「損益実績,損益計画書」の法人税額を計算し,同書面を完成させてBに送付するなどし,a社で仕事をするようになった平成16年7月中旬ころ以降は,上記「損益実績,損益計画書」の修正版や再修正版の作成について同様に関与し,被告Y1に代わって,Bから要求された過去の貸借対照表等のa社の資料を用意して連絡をするなどした。(丁3)
エ 被告Y2は,同年8月ころには,ビオスキャピタルへの支払を行い,a社が被告Y1の名義でビオスキャピタルから高利の借入れをしていることを知ったものの,そのことを平成17年3月8日の臨時取締役会までBやAに伝えることはなかった。
オ 被告Y2は,前記(3)ウのとおり,同年9月のa社の増資の際,30株を引き受け,150万円を出資した。
カ 被告Y2は,本件投資実行前の同年10月ころ,Aがa社に来社して面談した際に同席し,その後,被告Y1が面談のためAを訪問した際にFとともに同行し,同年12月,BとともにAを訪問して関係書類を交付した。
キ 被告Y2は,a社の第16期決算報告書(甲15),第17期上半期の中間決算報告書(甲43),同年11月から平成17年1月までの各月次合計残高試算表(甲44ないし46)の作成も行い,株式申込書や関係書類の作成も行った。そして,平成16年12月ころ以降は,a社の資金調達に関し,直接Bとの間でメールのやりとりをすることも多かった。(丁4,5)
ク 被告Y2は,平成16年12月24日,新株予約権の無償発行を議案として開催されたa社の臨時株主総会に取締役兼株主として出席し,議案に賛成した。(甲33,34)
ケ 被告Y2は,平成17年3月8日に破産手続開始の申立てを議案として開催されたa社の臨時取締役会において,同年2月末の財政逼迫状況を承知していたと述べ,被告Y1に代わってその逼迫度合いを説明するべく予め用意した資金繰りの資料を出席取締役に配布し,これをオブザーバーにも配布してよいか自ら議決をとろうとしてBにたしなめられたりもした。そして,a社の財務状況に関し,現状の資産状況悪化の原因は「多額の借入れ」にあり,高利金融業者からの借入れを被告Y1名義で行っていたことなどを説明し,Aに交付した資金繰表について,「正直なところもうこの会社であと3か月しかない,1月の末で3か月しかない状態で,そんな売上げをつくるのは苛酷なことは承知の上で,作ったものをAさんにお渡ししました」などと発言した。(甲55)
2  争点(1)(被告Y1の不法行為の成否)について
(1)  上記1(2)(3)の認定事実によれば,
ア a社は,もともと累積損失を抱える企業であったにもかかわらず,第16期の好調な業績を踏まえて平成16年初め以降事業規模の拡大を図った結果,固定経費(事務所家賃,人件費)が相当程度増大したことが主要因となって直ちに運転資金の調達に窮し,同年6月には,いわゆる貸金業者のみならず闇金融業者からも1000万円という高額な借入れをせざるを得ない状況に陥っていたこと
イ 加えて,同年9月ないし10月には,当期売上予想の少なからぬ部分を占めていたイトーヨーカ堂やエーエムピーエム近鉄からの受注が当面不可能であることが判明し,遅くとも同年11月の時点では,同年7月時点で作成した修正後の「損益実績,損益計画書」の3億2000万円という売上予測や純利益4122万円(経常利益4440万円)という当期利益予測の達成は困難であり,当期決算では利益どころか相当の損失を計上する結果になるであろうことは客観的に明らかとなり,被告Y1も当然これは理解していたこと
ウ 被告Y1は,原告から本件の投資が実行されれば,これをまず上記闇金融業者を始めとする高利の借入れや社会保険料等の滞納分の返済に充てる予定でいたこと(これは甲10の記述からも明らかである。)
エ にもかかわらず,被告Y1は,Aに対し,これらの事実を秘匿した上,当期の売上3億2000万円,経常利益4440万円という予測は控えめなものであるとの虚偽の説明を続け,また,原告からの投資資金の大半は本件新規事業に投入するとの虚偽の説明を行ったこと
オ Aは,被告Y1の上記説明を信じてa社に対する投資を決断し,原告による本件投資が実行されたこと
以上の事実が認められる。
そして,Aが上記アないしウの事実を知らされていればa社に対する本件の投資は行わなかったであろうこと(であればこそ被告Y1もこれら事情を秘匿したこと)は明らかであるから,被告Y1の一連の行為は詐欺に当たるものといえ,不法行為が成立する。
(2)  被告Y1は,被告らが示した業績見通しと実績が異なったのは,大型案件の受注失敗など予想外の事情が重なった結果であり,高利金融業者からの借入れは一時的なつなぎ資金であると主張するが,高利金融業者からの借入れ開始の時期(平成16年6月)や,大型案件の受注が当面不可能であることが判明した時期等に照らし,採用できる主張ではない。
(3)  また被告Y1は,高利金融業者からの借入事実の秘匿,平成16年度の売上予想の拡大及び第17期上半期の決算報告書の提出の拒否はいずれもBの指示によるものと主張し,甲55や乙10には一部この主張に沿う部分がある。
仮に被告Y1の主張するとおりであるとしても,a社の代表取締役として主体的に同社への投資を勧誘した被告Y1の不法行為責任が否定されるものではない。
のみならず,前記認定のとおり,補助参加人も平成16年9月から平成17年1月にかけてa社に対し合計1650万円を投資していること(1(3)エ),補助参加人にとっては,平成16年7月ころ被告Y2から紹介されて間もないa社(1(1)ア)よりも,取引の長い原告(1(2)ア)の方が重要な顧客であると考えられること,同年8月にa社が高利金融業者から借入れを行っていることを知りながらこれをBには告げずにいた被告Y2(1(6)エ)が,本件投資実行の直前にこれをあえてBに伝えたとは考えがたいこと及び平成17年3月8日の臨時取締役会におけるBの言動(1(5)イ)に照らすと,被告Y1の主張に沿う前記各証拠は採用できず,他に被告Y1の前記主張を認めるに足りる証拠はない(なお,平成16年12月2日にBが被告Y2に送ったメール(乙8)の「明日の投資会議で直近の財務データの提出を要求された場合,どうしようかと悩んでおります」との記載から被告Y1が主張するような指示まで読みとることはできない。)。
(4)  以上のとおり被告Y1の主張するところはいずれも採用できず,上記(1)の認定を覆すに足りる証拠はない。
3  争点(2)(被告Y2の不法行為)について
(1)  前記1(6)の認定事実によれば,本件の投資話は,もともと税理士である被告Y2が平成16年6月下旬ころ,Bにa社を紹介したことが発端であるところ,被告Y2は,同年9月にはa社に出資し,同年10月には1年後に年収1000万円以上とする約束でa社に入社し,同年11月1日には取締役に就任しているのであり,これらの事実からすると,被告Y2は,実質的経営陣の一人となるべくa社に入社したと推認される。そして,被告Y2は,同年7月ころから,a社が「損益実績,損益計画書」により財務状況をBに開示する過程で,その作成に一部関与し,同年8月にはa社が被告Y1の名義により闇金融業者らから高利の借入れを行っていることも知り,また,現実にa社において資金管理,資産管理業務を担当していたから,遅くとも同社の取締役に就任した同年11月には,a社の現実の財務状況を把握していたと認められるのであり,平成17年3月の臨時取締役会における積極的発言内容もこれを裏付けるものである。さらに,被告Y1とAとの面談の場に複数回同席し,Bとともに資料を届けるためAを訪問するなどした上,本件投資に関し関係書類を作成したり,Bとの間で資金調達に関するやりとりも直接行っており,これら被告Y2の行動は,財務担当役員としての業務遂行と考えるのが合理的である。
以上のような被告Y2の地位,実際に果たした役割,とりわけ高利金融業者からの借入れやa社の財務実態を知りながら,これを秘匿したまま,本件投資実現に向け積極的行動をとっていることを考慮すると,被告Y2は,被告Y1と共通の認識及び目的の下に被告Y1に協力して行動していたと認められるのであり,被告Y1が原告に対し前記の不法行為を行うについて,被告Y2と被告Y1との間には少なくとも黙示の共謀が存在したと認められる。
したがって,被告Y2についても,前記原告に対する詐欺行為について,被告Y1との共同不法行為が成立するというべきである。
(2)  被告Y2は,a社の単なる従業員に過ぎず,取締役は名目上のものである旨主張して被告Y1との共謀を否認し,これに沿う供述や陳述(丙4)をするが,前記1(6)の各認定事実に照らし採用できず,他に上記(1)の認定を覆すに足りる証拠はない。
4  争点(3)(非免責債権か否か)について
前記2において認定判断したところによれば,被告Y1が原告に対して行った一連の行為は不正な害意に基づくものといえ,破産法253条1項2号の「悪意で加えた不法行為」に当たるというべきであり,したがって,原告の被告Y1に対する不法行為に基づく損害賠償請求権は免責の対象とならない。
5  原告の損害について
これまで認定した事実によれば,原告は,被告らの不法行為により,合計3150万円を出資(うち300万円は被告Y1個人への支払)したが,a社の破産により回収不能となり,同額の損害を被ったと認められる。
したがって,原告は,上記金額の一部(Dから回収した分を控除)及びその1割相当額の弁護士費用を損害として,被告らに対し連帯してその賠償及び不法行為時からの遅延損害金を請求することができる。
6  結論
以上によれば,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 三代川三千代 裁判官 藤本博史 裁判官 兼田由貴)

 

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