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「成果報酬 営業」に関する裁判例(7)平成30年 2月27日 東京地裁 平27(ワ)16237号 不当利得返還請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(7)平成30年 2月27日 東京地裁 平27(ワ)16237号 不当利得返還請求事件

裁判年月日  平成30年 2月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)16237号
事件名  不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA02278037

裁判年月日  平成30年 2月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)16237号
事件名  不当利得返還請求事件
文献番号  2018WLJPCA02278037

愛媛県松山市〈以下省略〉
原告 グルーヴィウェア株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 藍原義章
東京都渋谷区〈以下省略〉
(商業登記簿上の本店所在地)東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 プラネット・テーブル株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 雨宮美季
同 高橋知洋

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,2660万4000円及びこれに対する平成27年4月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告は原告に対してシステム開発を発注し,原告はこの業務を行ったが,その開発行為に要した時間は5717時間であり,これに関わった日本人スタッフ及びベトナム人スタッフの統計上の時給を参考にすると,その相当報酬額は2660万4000円となるとして,原告が,被告に対し,商法512条に基づき報酬2660万4000円及びこれに対する平成27年4月25日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,また,原告と被告との間で契約が締結されていないとしても,原告と被告が契約締結準備段階に入っており,被告が原告の契約成立への利益を不当に侵害したから,契約締結上の過失があるとして,原告が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償金2660万4000円及びこれに対する平成27年4月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1  前提となる事実
次の各事実は,当事者間に争いがないか,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる。
(1)  原告は,ITシステムの開発及び販売に関する事業を行う株式会社である【争いのない事実】。
(2)  被告は,世界の食農分野の課題解決プラットフォームの構築を目的として設立された株式会社である【争いのない事実】。
(3)  原告と被告は,平成26年9月,原告が被告のシステム(名称は「a1システム」)を開発することとした。そのコンセプトは,「生産者とシェフ,生産者と消費者が,ストレスなく直接取引を行うことができるサポート・プラットフォーム」とされ,その求められる機能は,「生産者とシェフ・消費者の『出会い・対話の場の提供』」,「生産者とシェフ・消費者の『通訳』」,「生産者とシェフ・消費者の『情報の一体化/行動の連続性』の確保」,「生産者とシェフ・消費者の間になる『非効率な物流の解消』」とされ,同システムの全体構成は,三つの柱で成り立つとされ,具体的には,①生産者と消費者の直接取引プラットフォームである「a1システム」,②生産者とシェフの直接取引プラットフォームである「b」,③生産者と購入者の入札・買付プラットフォームである「c」とされた。そして,原告と被告はプロフィットシェアによる開発連携を行い,被告が「a1システム」と「c」の運用及び収益計上,「b」の海外の運用及び収益計上,国内データの管理及び保有を行い,シェフズ・ファームズ株式会社(被告代表者が代表取締役を務めている。以下「シェフズ・ファームズ」という。)が「b」の国内の運用及び収益計上を,それぞれ行うこととされた。なお,これらのシステムは,後に「aシステム」と名称を変更した(以下「aシステム」ともいう。)。また,被告は,原告に対し,「d1システム」の全体像を文書で提示した。このシステムは,後に名称を「d2システム」,「dシステム」と順次変更した。これは農家専用の情報共有サービスである【争いのない事実,甲2の2,甲21,乙25,弁論の全趣旨】。
(4)  被告は,現在,主として一般消費者向けの食の課題解決型情報プラットフォームサービスである「e」,生産者とシェフの間の流通・物流プラットフォームサービスである「f」,農産物の受発注・取引管理プラットフォームサービスである「g」を提供している【争いのない事実,甲6の1,甲92,乙16の2,乙25】。
2  争点及び当事者の主張
(1)  原告と被告との間の契約の性質及び原告による履行の有無(争点1)
ア 原告の主張
原告は商人であるところ,原告は,被告のために「dシステム」及び「aシステム」のシステムを制作した。そして,原告は,その開発に5717時間を要したところ,その内訳は日本人スタッフが2509.5時間,ベトナム人スタッフが3207.5時間であり,一般社団法人日本ニアショア開発推進機構の調査によると,日本人の時給は4600円,ベトナム人の時給は3300円であるが,原告が行ったのはウェブシステムの開発であるから1.12倍し,「Java」を使用したことから更に1.1倍する必要がある。そうすると,計算上,2726万2250円となるから,商法512条に基づく相当報酬額は,少なくとも2660万4000円となる。なお,原告と被告との間には,報酬を成功報酬型とする合意は成立していない。
イ 被告の主張
原告に報酬請求権が発生することを争う。原告と被告は,「dシステム」及び「aシステム」を共同開発することとし,被告が原告に対してサービスにかかるシステム開発の完成を注文する請負契約を基本として,当該サービスのリリースにより発生した収益を分配する合意(つまり成功報酬型とすることの合意)が成立した。そして,原告は,「dシステム」及び「aシステム」のシステム開発に着手したが,開発の初期段階から開発が遅れており,被告は,顧客との最終的な期限に間に合わなくなることを懸念し,早い段階から開発のペースを上げることや密にコミュニケーションを取る必要があることを提案したが,原告の遅延体質や品質の低さは改善されなかった。そして,原告は,平成27年4月上旬,開発中であった「dシステム」のデータを被告の承諾なく削除するに至り,信頼関係が破壊された。原告は,同システムを完成していない。なお,被告は,平成27年4月以降,株式会社スタートアップテクノロジー(以下「スタートアップテクノロジー」という。)に委託して「f」のサービスを開始したが,「aシステム」とは異なるシステムであり,原告が開発していた「aシステム」のソースコードを利用してはいない。
(2)  被告の契約締結上の過失の有無(争点2)
ア 原告の主張
平成26年9月,原告と被告は,原告が被告のシステム開発をすることになり,原被告間で秘密保持契約を締結し,被告は原告に作業を指示しつつ,契約締結交渉を行っていた。そして,原告は,平成27年1月17日,「aシステム」を,同年3月24日,「dシステム」を,それぞれ納品し,不備も修正したため,報酬を得るために契約成立の利益を得ていたところ,被告は,同年4月9日,事実上契約締結を拒否し,原告の契約成立の利益を侵害した。よって,原告と被告は契約締結準備段階に入っていたが,被告が原告の契約成立への利益を侵害したから,契約締結上の過失があるというべきであり,被告は,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償義務を負う。
イ 被告の主張
争う。前記(1)イのとおり,原告と被告との間には,報酬の支払について成功報酬型とする契約が成立しており,原告の主張は前提を欠く。また,原告は,「dシステム」及び「aシステム」を納品していない。原告が「dシステム」のソースコードをテストサーバーにアップしたが,バグが残存しているテスト段階であり,完成したものではないし,「aシステム」は平成27年3月11日にソースコードが送付されたが,これは開発が予定どおり進捗していないため,ソースコードを両社で共有し,被告の方でもエンジニアを投入して開発を加速させることを提案したことに基づいて送付されたものであり,完成品の納付ではない。さらに,「dシステム」は同年4月上旬ころ,被告の承諾なくテストサーバー上からソースコードが削除され,原告のサーバー上にある「aシステム」も,同月以降,被告が見ることができなくなっており,いずれのシステムについても被告がアクセスできる状態にない。
よって,被告は,不法行為に基づく損害賠償義務を負わない。
(3)  原告の損害(争点3)
ア 原告の主張
原告は,日本人スタッフ及びベトナム人スタッフの人件費として合計2217万円を要し,また間接経費及び諸経費としてこの20%相当額である443万4000円を要した。よって,原告は,被告の不法行為により,合計2660万4000円の損害を受けた。
イ 被告の主張
争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実を認めることができる。
(1)  原告の取締役であるC(以下「C」という。)は,シェフズ・ファームズのD(なお,同人は,被告の電子メールアドレスも使用していた【甲12】。)に対し,平成26年9月30日,開発方式をアジャイルソフトウェア開発方式(区切られた期間での開発作業を反復することにより,ユーザーのフィードバックを得ながらソフトウェアを作り上げていく開発手法であり,その区切りごとに,必要性の高いものから開発を行い,ユーザーの反応を基に後続する区切りで機能に修正を加えたり,新たな機能を追加したりして,徐々にユーザーの望むソフトウェアを完成させていく。)とすること,全体の開発期間を平成27年12月末ころまでとすること,収益分配による開発・回収方式とすること,サービス開始までの開発費が1185万円であり,保守費用が1か月42万5000円であるが,開発費の回収の方法として初年度は粗利の50%,次年度以降は粗利の15%を希望すること,契約期間は5年間とすることなどを内容とする電子メールを送信した【甲72の1ないし72の7,乙19,弁論の全趣旨】。
(2)  被告代表者であるB(以下「B」という。)は,Cに対し,平成26年10月8日,a1システム(aシステム)開発について開発の全体像を整理しながら進めたいと考えていること,要件の整理,リリースの手順等を話した後に開発に着手したいことなどを記載した電子メールを送信した【甲23】。
(3)  原告代表者であるA(以下「A」という。)は,Bに対し,平成26年12月9日,契約締結については昨日話したとおり,今週中に提案すること,完全成功報酬型の契約とすることを提案したこと,ストックオプションが原告の従業員にも行き渡るよう考慮してほしいことなどを記載した電子メールを送信した【甲13】。
(4)  Bは,Aに対し,平成26年12月16日,契約については継続的な成果報酬モデルで進めていきたいこと,いくつか開発する予定のサービスについても早めに提示して進めたいこと,ストックオプションについては,Aが被告の社外取締役に就任し,その他の人は被告に出向した扱いとしてストックオプションを付与することが考えられることなどを記載した電子メールを送信した【甲14】。
(5)  Bは,Cほかに対し,平成26年12月25日,全体的にスケジュールが後ろ倒しになっているので少しだけ速度を上げさせてほしいこと,12月中に基本的な動作を見ることができる必要があり,部分的にできているものの繋ぎ込みを含めて,平成27年1月23日にApp Storeに申請してプレス・リリースを行い,同月30日に製品リリースし,同年2月以降はイベント作成機能,グループ作成機能等を作成していくという想定が可能かといったことを記載した電子メールを送信した【乙5】。
(6)  Bは,原告のE(以下「E」という。)に対し平成27年1月6日,「d2システム」及び「aシステム」について,多少,機能が限定的でも今月中に外部に対してデモをリリースすることができるよう体裁を整えていく必要があること,「d2システム」のサービス名称は「dシステム」でグローバル統一することなどを記載した電子メールを送信した【甲87の5】。
(7)  Bは,Cほかに対し,平成27年1月8日,今月中に外部に見せることができるようデモをリリースすることが必須であるので確認をしたいこと,「dシステム(d2システム)」のモデルは原告から得たモックアップを操作し,添付モデルと対比して見る限り,全体的にギアチェンジしてもらう必要があることなどを記載した電子メールを送信した【乙8】。
(8)  Bは,Eに対し,平成27年1月19日,「aシステム」の現状をチェックしたところ,商材が登録されていない(また登録できない)ので売買等までの一連の動作が確認できないこと,月内デモリリースに向けて詳細を詰める必要があるので,今後の作業工程を確認してほしいことなどを記載した電子メールを送信した【甲4】。
(9)  Eは,Bに対し,平成27年1月24日,本日完了予定となっていたタスクで一部完了することができなかったこと,ベトナムチームには土曜日及び日曜日に出勤して機能を完成させるように指示していること,自分たちも土曜日及び日曜日に全機能のテストを行い,アプリ品質を上げていこうと思っていること,大変遅れていることをお詫びすることなどを記載した電子メールを送信した【乙6の1】。
(10)  Bは,Cに対し,平成27年2月10日,契約書のドラフトを木曜日に送ること,被告が原告に対して発注して原告がこれを請け負う形式とすること,成果報酬型収益分配モデルとすること,算定基準収益(人件費を除いた運用等に必要なコストを控除した純売上げ)の15%から20%を原告に支払うこと,各システムの開発期間は最終期限のみ合意すること,開発はスクラム(アジャイル)方式で,スプリントのサイクル及び進捗は都度確認して合意すること,開発システム数は10件を上限とすること,契約期間は5年として両社の合意により自動的に更新が可能とすること,収益分配期間は開発総コストの回収にかかる期間又は契約期間の長い方とすること,A,C及び原告からの出向者に対してストックオプションを付与することなどを記載した電子メールを送信した【甲7】。
(11)  Bは,Cに対し,平成27年2月21日,「dシステム」については,アプリケーションの担当者と話した感触だと2名から3名で2か月程度でできるとの見立てであり,このとおりに進むかは別としても,自分たちもクリアしなければならないスケジュールがあり,進め方に悩んでいること,「aシステム」については,そもそも動作や登録ができないと話をし,修正を依頼したまま止まっていること,全体のリリース予定も3回ほど遅らせていること,収益分配型であるので早く収益につながる仕事ができるようにしたいこと,積算コストを見ながら妥当な収益分配ルールを決めたいものの,オーバーランの状況等を加味しなければならないと考えていることなどを記載した電子メールを送信した。これに対し,Cは,Bに対し,同月23日,リリース計画の精度を向上させること,「dシステム」はバグフィックス及びアカウント作成画面の登録フローの変更を実施し,「aシステム」はインターネットエクスプローラーへの対応を実施すること,工数オーバーで開発費増加を懸念していると思うが,開発費を直接負担しているのは原告であり,リリースが遅れればそのまま原告のデメリットとなるので,早期リリースを目指したいことなどが記載された電子メールを送信した。これに対し,Bは,Cに対し,同日,全体の進め方の整理について打合せをしたいこと,開発費の増加については,原告における積算コストを踏まえて収益分配率を検討したいとの意図であるが,以前に見た積算コストと作業進捗がかい離している感じがするので相談したいこと,特に「aシステム」について,依頼した機能や項目になっていない部分や動作しない部分が結構あること,リリースまでの機能の絞り込みを含めた全体設計の見直しや進め方を相談したいことなどを記載した電子メールを送信した【甲17,乙10の1及び2,乙11】。
(12)  Eは,被告のFに対し,平成27年3月11日,「aシステム」のソースコード一式を送ること,現在,「dシステム」のスプリント12.5のバックログを登録していること,バックログの優先度を決めてほしいことなどを記載した電子メールを送信した【甲5】。
(13)  Bは,Cに対し,平成27年3月11日,スプリントの期日を迎えてもバグが残る(解消したはずのバグが再発する)などがあり,次のスプリント期間に修正作業が食い込む状況が続いていること,ベトナム人スタッフの経験にむらがあり,工数が読みづらい,巻き取る日本側のリソースが足りない,「dシステム」と「aシステム」の二つのラインを回すリソースが足りないなど,悩みがあれば率直に聞かせてほしいこと,その上で被告がどこまで関与できるかも話をしたいこと,10月ころの開発初期から話している投資家や取引先に待ってもらうのがそろそろ限界で,4月1日にはリリースが必須である状況であることなどを記載した電子メールを送信した【甲19】。
(14)  Cは,Bに対し,平成27年3月12日,「dシステム」についてはスプリントタームと開発と改善に分けて運用しているが,バグ等がスプリント完了を越えていること,「aシステム」については打合せをして認識の共有化を図りたいことなどを記載した電子メールを送信した【甲8】。
(15)  Cは,Bに対し,平成27年4月9日,「dシステム」については4月1日向けリリース版は完成しているが,一部リンク先の状態不適合によりテストが実施できていないこと,「aシステム」については1月19日にインプットされた仕様の反映は完了済みであること,3月末を目標としていたレベニューシェア契約書はどうなっているのかを聞きたいことなどを記載した電子メールを送信した。これに対し,Bは,Cに対し,同日,2月から3月の状況を見ると,被告の開発に集中していると思えないくらい経過した時間と品質が見合わないこと,ベトナムチームの育成もあるであろうから,スケジュールは原告の都合も聞きながら柔軟に対応してきたが,本来リリースすべき時期を2回ほど逸していること,現状ではこの春も本番リリースができない事態になりかねないこと,これ以上リリースすることができない期間が延び,収益及び資金調達の機会損失といったリスクを何度も取れないこと,契約はリリースが約束される開発体制があることが前提であることなどを記載した電子メールを送信した【甲9,甲10,甲20】。
(16)  被告は,スタートアップテクノロジーに対し,「f」の開発を注文し,その費用として108万円を要した。なお,「aシステム」は生産者とシェフが直接取引を行うプラットフォームサービスであるのに対し「f」は,生産者とシェフの直接取引データを基に,荷物の物流(保管,在庫管理,荷捌き,梱包,配送等)を担うプラットフォームサービスであり,両者は異なるシステムである【乙14,乙16の1ないし乙16の3,乙25,被告代表者】。
(17)  被告は,ケイスリーエイト合同会社に対し,「e」の開発を注文し,その費用として151万2000円を要した。なお,「dシステム」は農家専用の情報共有サービスであるのに対し,「e」は主として一般消費者向けの食の課題解決型情報プラットフォームサービスであり,両者は異なるシステムである【甲79,乙15の1ないし乙15の3,乙25,弁論の全趣旨】。
2  争点1(原告と被告との間の契約の性質及び原告による履行の有無)について
前記前提となる事実及び認定事実によれば,原告と被告は,「dシステム」及び「aシステム」といったシステムを共同で開発することとし,原告は,被告に対し,原告の報酬について完全成功報酬型とし,上記システムによるサービスを開始してから得られる収益を原被告間で合意された比率に従い分配することにより原告が費やした開発費用を回収することを提案したこと,原告は,ストックオプションの付与も求め,被告はこれに応じる方針であったこと,原告は,上記システム開発に着手したものの,そのシステム開発における各スプリント(小分けされた開発期間)における進捗目標を達することができず,開発が滞り,リリース予定も数次にわたり変更され,平成27年4月に至っても上記システムに基づくサービスを開始するまでに至らなかったこと,被告は,「dシステム」及び「aシステム」に基づくサービスの提供を開始することなく,別途,異なるサービス内容を有する「e」及び「f」といったシステム開発を原告以外の会社に注文し,これに基づくサービスを開始したこと,原告と被告との間で,原告によるシステム開発期間が予定よりも長期にわたり,サービス開始に至る見通しが立たなかったため,契約書作成に至らなかったことなどを認めることができる。
以上によれば,原告と被告との間で収益分配の比率等の詳細が詰められるに至ってはいなかったものの,原告が被告に提案し,被告がこれに応じたとおり,原告は,開発するシステムに基づくサービスが開始されることにより得られる収益を分配することにより開発に要した費用を回収して利益を上げることを前提に,システム開発を行っていたのであるから,当事者のかかる合理的意思を前提とするならば,本件において商法512条に基づく報酬請求権が発生するには,原告が単に労力を投じたに止まらず,少なくとも,原告がシステムを開発し,被告がこれに基づきサービスを開始することができる状態に至ったことが必要というべきであるが,かかる状態には至らなかったことが認められる。
原告は,前記各システムについてのソースコードを被告に送付したことを主張し,Fは,「dシステム」はバージョンごとに完成していたと証言するものの,他方で,開発過程においてユーザーテストの趣旨で反応を見ていた旨を証言するに止まり,実際にシステムに基づくサービス開始に至ったことまで証言するものでもないし,本件において,その他にこのことが認められる証拠はない。
よって,商法512条に基づく報酬請求権が発生するとの原告の主張を採用することはできない。
3  争点2(被告の契約締結上の過失の有無)について
原告は,報酬を得るために契約成立の利益を得ていたところ,被告は,平成27年4月9日,事実上契約締結を拒否し,原告の契約成立の利益を侵害した。よって,原告と被告は契約締結準備段階に入っていたが,被告が原告の契約成立への利益を侵害したから,被告には契約締結上の過失がある旨を主張する。
しかし,既に説示したとおり,原告と被告との間で収益分配の比率等の詳細は詰められず,合意するに至ってはいなかったものの,原告は,自ら被告に提案したとおり,開発するシステムに基づくサービス開始により得られる収益が分配されることにより開発に要した費用を回収して利益を上げることを前提に,システム開発を行っていたが,原告による開発の遅れからリリース予定も数次の変更を余儀なくされ,最終的にサービスの開始には至らなかったのであるから,被告が原告との間で正式に契約書を交わすに至らなかったとしても,そのことから被告に信義則上何らかの過失が認められるということはできない。
したがって,原告の主張を採用することはできず,被告が原告に対して不法行為に基づく損害賠償義務を負うということはできない。
第4  結論
以上によれば,その余の点につき判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第32部
(裁判官 澁谷輝一)

 

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