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「成果報酬 営業」に関する裁判例(61)平成23年 5月27日 東京地裁 平20(ワ)4207号 損害賠償請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(61)平成23年 5月27日 東京地裁 平20(ワ)4207号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成23年 5月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)4207号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2011WLJPCA05278021

要旨
◆実体のないメール配信事業による詐欺商法を信用した原告が、被告らの共謀により加盟店登録料等の名目で金員を騙取されたなどと主張して、主位的請求として、被告Y1ないし同Y3及び被告G社に対しては、不法行為等に基づき、被告D社及び被告O社に対しては、使用者責任及び代表者の行為についての責任に基づき、損害賠償金の連帯支払を求めるとともに、予備的請求として、詐欺取消による原状回復請求として、不当利得に基づき、被告D社及び被告G社に対し、金員の支払を求めた事案において、本件メール配信事業が実体のないものであるとする原告の主張は理由がなく、これを前提として被告らが組織的詐欺商法を展開して原告から金員を騙取したとの主張も理由がないとして、被告Y1ないし同Y3並びに同D社の詐欺による不法行為を否定したが、被告G社及び被告O社については擬制自白の成立を認め、その限度で請求を認容した事例

参照条文
民法704条
民法709条
民法715条1項
民法719条
会社法350条
会社法429条1項
民事訴訟法159条1項

裁判年月日  平成23年 5月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)4207号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2011WLJPCA05278021

東京都品川区〈以下省略〉
原告 X
訴訟代理人弁護士 藤森克美
群馬県高崎市〈以下省略〉
被告 株式会社デジタルグループ
代表者代表取締役 Y1
群馬県高崎市〈以下省略〉
被告 Y1
上記両名訴訟代理人弁護士 坂本誠一
同訴訟復代理人弁護士 森田智宏
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 株式会社オプト・クラブ
代表者代表取締役 A
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 株式会社ゲットウェイ
代表者代表取締役 A
群馬県高崎市〈以下省略〉
被告 Y2
前橋市〈以下省略〉
被告 Y3
同訴訟代理人弁護士 小磯正康
同 齋藤守永

 

 

主文

1  被告株式会社オプト・クラブは,原告に対し,282万0984円及びこれに対する平成14年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告株式会社オプト・クラブ及び同株式会社ゲットウェイは,原告に対し,連帯して1435万7837円及びこれに対する平成14年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告株式会社オプト・クラブ及び同株式会社ゲットウェイは,原告に対し,連帯して1330万3600円及びこれに対する平成15年10月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  原告の被告株式会社デジタルグループ,同Y1,同Y2及び同Y3に対する主位的請求をいずれも棄却する。
5  原告の被告株式会社デジタルグループに対する予備的請求を棄却する。
6  訴訟費用は,原告に生じた費用の5分の3と被告株式会社デジタルグループ,同Y1,同Y2及び同Y3に生じた費用を原告の負担とし,原告に生じた費用の5分の2と被告株式会社オプト・クラブ及び同株式会社ゲットウェイに生じた費用を同被告らの負担とする。
7  この判決は,主文1項ないし3項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
(1)  被告株式会社デジタルグループ,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告に対し,連帯して120万2500円及びこれに対する平成13年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  被告株式会社デジタルグループ,被告株式会社オプト・クラブ,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告に対し,連帯して282万0984円及びこれに対する平成14年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)  被告株式会社デジタルグループ,被告株式会社オプト・クラブ,被告株式会社ゲットウェイ,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告に対し,連帯して1435万7837円及びこれに対する平成14年10月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)  被告株式会社デジタルグループ,被告株式会社オプト・クラブ,被告株式会社ゲットウェイ,被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告に対し,連帯して1330万3600円及びこれに対する平成15年10月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  予備的請求
(1)  被告株式会社デジタルグループは,原告に対し,1515万6321円及びこれに対する平成14年10月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  被告株式会社ゲットウェイは,原告に対し,157万5000円及びこれに対する平成14年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,主位的請求として,実体のないメール配信事業による詐欺商法を信用した原告から,共謀の上,加盟店登録料,インターネットショッピングモール出店料,株式取得代金,貸金などの名目で金員を交付させてこれを騙取したなどとして,原告が,被告Y1,同Y2,同Y3及び被告株式会社ゲットウェイについては,いずれも不法行為(民法709条。ただし,被告Y3に関しては会社法429条1項(旧商法266条の3第1項)の責任も付加されている。)に基づき,被告株式会社デジタルグループ及び同株式会社オプト・クラブについては,いずれも使用者責任(民法715条1項)及び代表者の行為についての責任(会社法350条。)に基づき,上記被告らに対し,主位的請求(1)ないし(4)のとおりの金員(附帯請求は,不法行為日ないしその後の日からの民法所定の年5分の割合による遅延損害金請求)の連帯支払(連帯の根拠は,上記各被告会社の一体性ないし関与被告らの民法719条の共同不法行為責任に基づく。)を求めるとともに,予備的請求として,詐欺の取消による原状回復請求として,民法704条に基づき,原告が被告株式会社デジタルグループ及び同株式会社ゲットウェイに対し,予備的請求(1)及び(2)のとおりの金員(附帯請求は,最終交付日の翌日からの民法所定の年5分の割合による遅延損害金請求)の支払を求めている事案である。
1  前提事実(争いがない事実以外は,各項掲記の証拠等により認める。)
(1)  原告は,昭和7年○月○日生まれの女性で,自宅で夫と八百屋を営んでいたが,昭和63年12月26日に夫が死亡してからは八百屋の仕事を辞め,配ぜん人紹介所に登録して配ぜん人の仕事をし,昭和60年ころから平成元年ころまでの間は日暈紹介有限会社配ぜん人紹介所でアルバイトをしていたが,平成9年ころには配ぜん人の仕事を辞め,その後不動産収入や年金で生活している(甲50,原告本人,弁論の全趣旨)。
(2)  被告株式会社デジタルグループ(以下「被告デジタル」という。)は,平成13年10月2日に設立された株式会社であり,インターネットに企業用ホームページを制作する業務,インターネットを利用した通信販売,広告業務,インターネットの情報提供の仲介及びインターネットへの接続業務の受託などを目的としている。被告株式会社オプト・クラブ(以下「被告オプトクラブ」という。)は,平成14年1月8日に設立された株式会社であり,インターネットに企業用ホームページを制作する業務,インターネットを利用した通信販売,広告業務,インターネットの情報提供の仲介及びインターネットへの接続業務の受託などを目的としている。被告株式会社ゲットウェイ(以下「被告ゲットウェイ」という。)は,平成14年4月4日に設立された株式会社であり,インターネットに企業用ホームページを制作する業務,インターネットを利用した通信販売,広告業務,インターネットの情報提供の仲介及びインターネットへの接続業務の受託などを目的としている。合資会社スルートラフィック(以下「訴外スルートラフィック」という。)は,平成14年12月17日に設立された合資会社であり,コンピュータプログラムの製作,販売,インターネットサイトの製作,リース及びその仲介,広告代理店業務などを目的としている。
(3)  被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,被告デジタルの代表取締役であり,かつて被告ゲットウェイの代表取締役を務めたことがあるほか,被告オプトクラブ及び同ゲットウェイの取締役をしている。被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,原告が本件に関する契約を締結した当時の被告オプトクラブの代表取締役である。被告Y3(以下「被告Y3」という。)は,原告が本件に関する契約を締結した当時の被告ゲットウェイの代表取締役である。訴外B(以下「訴外B」という。)は,被告Y1の実兄であり,訴外スルートラフィックの無限責任社員兼代表社員であった。訴外C(以下「訴外C」という。)は,訴外スルートラフィックの有限責任社員であった。
(4)  被告デジタル及び同Y1は,平成18年10月5日,所得税法違反(被告Y1の平成13年分の所得税3293万7817円の脱税),法人税法違反(被告デジタルの平成14年7月期の法人税3072万9100円及び平成16年7月期の法人税9203万7400円の脱税)の公訴事実で,前橋地方裁判所に起訴され,平成19年5月16日,被告デジタルについて罰金3000万円,被告Y1について懲役1年(実刑)及び罰金200万円の各有罪判決を受け,同判決は,平成20年3月28日に確定した(甲15ないし18)。
2  争点
(1)  被告らによる不法行為の成否
(原告の主張)
ア 被告デジタルは,原告に対し,実体のないメール配信事業をあたかも実体があるように申し向けて金員を騙取したものである。すなわち,被告デジタルは,加盟店を勧誘することのみに従事しており(同被告の平成15年8月1日から同16年7月31日までの総勘定元帳の売上高はすべて登録料で,企業からの広告受注により発生した売上げは見当たらない。),被告デジタルから同オプトクラブ,同ゲットウェイ及び訴外スルートラフィックに金が流れている(甲11)。また,被告デジタルの総勘定元帳の外注費の科目と被告オプトクラブの第3期(平成15年12月1日から同16年11月30日まで)の総勘定元帳(甲14)の売上高広告配信とを比べると,被告デジタルが外注費として被告オプトクラブに流した金を,同被告は広告配信売上高として記帳している。被告オプトクラブの売上げは,被告デジタルから流れた金がほとんどであり,広告配信による売上げは微々たるもので,残りは「広告配信売上」の科目には分類されているが,内容が不明であったり,個人からの売上げだったりと明らかに広告配信による収入ではないものばかりである。被告オプトクラブの第2期(平成14年12月1日から同15年11月30日まで)の総勘定元帳(甲13の①)によれば,被告オプトクラブが同デジタルに支払うべき支払手数料(広告料)は第2期だけで2526万0459円あるが,これが被告デジタルからの外注費と相殺されており,被告デジタルが同オプトクラブに支払う外注費の方が多いことにより,結局は,一部相殺されて被告デジタルから同オプトクラブに金が流れているだけである。
イ 被告デジタルにおいて,広告メール配信事業を完了するための事業整備の意思があったのなら,事業整備のための資金,具体的には研究開発費及び広告宣伝費を相応に支出する必要があるはずであるが,研究開発費については,平成13年10月2日から同14年7月31日及び平成14年8月1日から同15年7月31日まで研究開発費という費目すらなく,研究開発費という費目が設けられた平成15年8月1日から同16年7月31日までは240万4762円にすぎず,また,広告宣伝費については,平成13年10月2日から同14年7月31日まで2064万8709円,平成14年8月1日から同15年7月31日まで1851万4453円,平成15年8月1日から同16年7月31日まで1066万7324円と広告宣伝費は毎年減少しており(なお,広告宣伝費として具体的にどのような業務に対してどれだけかかったかが明らかでないなど上記金額が正しいか極めて疑わしい。),到底事業整備のための研究開発事業を展開していたとは考えられない。
ウ さらに,被告オプトクラブの売上げは,上記のように被告デジタルから流れてきた金及び被告オプトクラブがメール配信事業ではなく,いわゆるアフィリエイトサービスに登録して得た売上げであり,メール配信事業の実体がないのは明らかである。被告オプトクラブがアフィリエイトサービスに登録して得られる報酬はメール会員がアクションを起こすかにかかっており,常に安定した報酬が得られるわけではない。被告オプトクラブは,アフィリエイトサービス提供会社が運営するアフィリエイトサービスというビジネスに乗っかっているにすぎず,被告オプトクラブがアフィリエイトサービスによって報酬を得るためには,まずはアフィリエイトサービス提供会社が企業からメール配信の依頼を受けることが前提であり,アフィリエイトサービス提供会社がどれだけ多くの企業からメール配信の依頼を受けるかによるのであり,被告オプトクラブは,アフィリエイトサービス提供会社からメールが配信されてくるのを待つだけである。被告オプトクラブがアフィリエイトサービスに登録して報酬を稼いだのは,被告Y1が自らの私腹を肥やすため,加盟店やメール会員らにあたかもメール配信事業が稼働しているかのように錯誤させ,加盟店からの広告分配金の支払の追及を免れるためにわずかばかりの分配金を支払うため,メール会員に広告分配金を支払ってつなぎ止めるためであったものと推察される。また,被告オプトクラブとメール配信契約を締結した企業は存在しない(総勘定元帳の売上科目には企業名はなく,広告メールのタイトルは被告オプトクラブが登録したアフィリエイトサービス提供会社から配信された広告メールのタイトルにすぎず,乙9の書面はメール配信契約を締結した企業リストとは認められない。)。
被告オプトクラブの売上げを見ても,平成14年1月8日から同年11月30日までの間に9506万8156円の売上げがあるが,このうち9385万4172円は被告デジタルからの売上げであり,残りもメール配信の売上げと明らかに結びつくのは15件33万2182円しかない(甲12)。平成14年12月1日から同15年11月30日までの間の7485万3450円のうち5673万4483円は被告デジタルからの売上げであり,残りもメール配信の売上げと明らかに結びつくのは10件31万3810円しかない(甲13)。平成15年12月1日から同16年11月30日までの間には3億7663万1239円の売上げがあるが,このうち3億4590万4767円は被告デジタルからの売上げであり,残りも企業名のものはアフィリエイトサービス提供会社からの登録による報酬であり,個人名のものも数人分の売上げをまとめて一つの売上げとして計上しており,メール配信による売上げとは考えられないなど,被告オプトクラブにはメール配信事業による売上げはほとんどないに等しく,そのわずかなメール配信売上げも実体があるかのように装うためのパーフォーマンスにすぎない(甲14)。
被告オプトクラブは,外注費として被告ゲットウェイに6666万6666円,被告デジタルに8571万4286円支払っていることになっている(甲42)。しかし,被告ゲットウェイは,インターネット上のショッピングモール運営事業を目的と称しているが,事業実体がない会社であり,被告オプトクラブは外注費を装って被告ゲットウェイに金を流しているだけで,その金は同被告の支配者である被告Y1に流れているのは明白である。また,被告デジタルに対する外注費も,被告デジタルは加盟店を集めるのが仕事であるから,企業から広告の作成・配信の受注を受ける広告代理業を行うと称している被告オプトクラブの外注先になることはあり得ない。被告デジタルの被告ゲットウェイに対する外注費についても,被告デジタルは加盟店を集める業務をしているだけで,インターネット上のショッピングモール事業の展開を謳っているが,実際にはショッピングモール事業を行っていない被告ゲットウェイに対して外注費を出すことはあり得ず,この金は同社を支配する被告Y1に流れているのは明白である。被告デジタルの訴外スルートラフィックに対する外注費2800万円についても,被告Y1は平成15年8月1日から同16年7月21日までの3200万円の外注費は架空であったことを認めており,被告デジタルから同Y1に金が流れていることは明らかである。
エ 本件各契約について
(ア) 広告メール配信事業加盟店登録契約
① 上記のとおり,メール配信事業を実現させる意思も能力もなく,メール配信事業は実在しない若しくは実在しないに等しい状況であるにもかかわらず,被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,加盟店料名目で金員を騙取しようと企て,原告に対し,説明会の会場,電話及び喫茶店において「3年前から事業を展開している。」「もう事業は軌道に乗っている。」「沢山の口数の契約をすれば,それだけ収入が大きくなる。」「必ず儲かる。」「外国にも進出する。」「楽天を追い越す。」などと虚偽の事実を申し向け,被告デジタルの広告メール配信事業の加盟店となれば,楽天などのIT企業のように成長して必ず利益が得られるものと考えた原告をして,別紙1「主位的請求の趣旨の被告対応表」(以下「別紙1」という。)記載のとおり,被告デジタルとの間で広告メール配信事業加盟店登録契約(以下「加盟店登録契約」という。)を締結させ,平成13年12月21日から同14年3月25日までの間5回にわたり,原告名義で合計140口(1口5万2500円)735万円,平成14年4月26日から同年7月24日までの間3回にわたり,Dなる架空人名義で合計200口(1口5万2500円)1050万円の合計1785万円を同被告に交付させた(甲1の①ないし⑤,2の①ないし③)。
② 仮に,上記行為が詐欺に当たらないとしても,原告は被告Y1から事業安定に向けてメール配信事業がどのような計画の下に進められるのか,試算によればどれくらいの広告収入が入るのか等について具体的な説明がされておらず,被告Y1,同Y2及び訴外Cらの説明義務違反がある。すなわち,信義則上,被告Y1は,メール配信事業を開始して9か月経ったのであるから,原告に対し,その間に広告メール配信契約を締結した企業数,メール配信広告料総売上及び各月数のメール配信広告料売上げ,9か月の間に加盟店に分配された広告配信料の総額及び各月の広告配信料,それまでの加盟店数,メール会員数を,また,事業安定を目指していたとする平成17年までの広告配信料売上げや加盟店数,メール会員数の見通しを説明すべきであったのにこれをしなかった。また,被告Y1,同Y2及び訴外Cらは,被告オプトクラブのメール配信事業による売上げについても,同被告の設立から原告に対する勧誘時までの説明すべきであったのにこれをしていない。
加盟店登録契約は,特定商取引法33条の連鎖販売取引に当たり,勧誘者が勧誘を行うに当たって,商品の品質・性能等,特定利益,特定負担,その他重要事項について事実を告げず,あるいは事実と違うことを告げることを禁じているところ,被告Y1,同Y2及び訴外Cは上記のとおり説明を行っておらず,説明義務違反がある。
(イ) 被告ゲットウェイの株式購入
① 組織的詐欺商法を展開し,原告からさらなる金を騙取しようと企てた被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,「○○」というインターネット上のショッピングモールを立ち上げる意思も能力もなく,被告ゲットウェイにおいて配当を支払うことは不可能であったにもかかわらず,原告に対し「当社は,管理するサーバーにおいてインターネット上で運営するショッピングモールを展開するビジネスをやろうと思っている。当社に出資してみませんか。必ず配当が得られます。」などと虚偽の事実を申し向け,その旨誤信した原告をして,別紙1記載のとおり,平成14年4月ころ,被告ゲットウェイの株式を1株5万2500円で30株購入させ,157万5000円を交付させた。
② 仮に,上記行為が詐欺に当たらないとしても,将来配当が得られるかが不確かであるのにもかかわらず,「必ず配当が得られる。」などと申し向けるのは断定的判断の提供にほかならず,違法である。また,被告デジタルの代表取締役である被告Y1が被告ゲットウェイの株式の売買を行い,被告デジタルが株式代金の受領行為を行っており,被告デジタルは金融商品販売業務を業として行っていたことから金融商品の販売等に関する法律2条5項に該当して同法の適用を受けるところ,同法3条2項では「当該金融商品の販売について当該金融商品の販売を行う者その他の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として元本欠損が生ずるおそれがあるときは,その旨及び当該者」の説明義務を課している。そして,原告に配当が支払われるのは,被告デジタルが中心となって展開するメール配信事業が平成17年に本格始動し,メール配信事業と連動している被告ゲットウェイが展開する○○の収益が上がり,同被告に利益が生じたときであり,また,メール配信事業が本格始動ができなかった場合は,被告ゲットウェイの株式は5万円の価値がなくなり,紙くずとなってしまう可能性もあり,原告に元本欠損が生ずるおそれがあるところ,被告Y1はそのことを原告に説明していないのであり,説明義務違反があり違法である。
(ウ) ショッピングモール△△村出店登録契約
① 被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,「△△村.com」なるインターネット上ショッピングモールは実在していないものであるにもかかわらず,原告に対し,「株式会社デジタルが管理するサーバーにおいて,インターネット上で運営する△△村に出店することができるというものであり,参加する人を紹介すれば紹介料も入る。出店の権利は売ることも貸与することもでき,不動産と同じように考えることができ,換金することもできる。配当金として1か月で1口につき2万円は確実に入り,後は利益によって増額する。」などと虚偽の事実を申し向け,その旨誤信した原告をして,別紙1記載のとおり,平成14年9月17日,同被告とのショッピングモール△△村出店登録契約(以下「△△村出店契約」という。)に応じさせ,同日,1口の出店料(申込料)として35万8000円を交付させたほか,さらに,同年10月8日にも,原告をして被告デジタルとの間で2口の△△村出店契約を締結させ,出店料として71万6000円を交付させた。
② 仮に,上記行為が詐欺に当たらないとしても,被告Y1や被告デジタルの従業員らから,△△村の最大の売りが被告オプトクラブが展開するメール配信事業による宣伝広告であるのに,メール配信事業は稼働していない状況(△△村への商品委託販売契約など企業や個人事業者からの手数料の支払はなく,△△村出店契約締結者に対する配当の支払実績がないこと)であり,△△村事業が平成17年の制度安定を目標としていることについて説明されておらず,被告Y1らについて説明義務違反がある。
また,△△村出店契約は,特定商取引法33条の連鎖販売取引に当たり,勧誘者が勧誘を行うに当たって,商品の品質・性能等,特定利益,特定負担,その他重要事項について事実を告げず,あるいは事実と違うことを告げることを禁じているところ,被告Y1及び被告デジタルの従業員らは上記のとおり説明を行っておらず,説明義務違反がある。
(エ) 訴外スルートラフィックに対する貸付け
被告Y1は,被告デジタルの架空外注費の受入先として,また,組織的詐欺商法を展開し原告を含む被告デジタルの出資者からさらなる金員を騙取するため,同告Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,平成14年12月17日,訴外Bを無限責任社員とする被告トラフィックを設立し,原告からさらなる金員を騙取すべく,訴外Bをして,返済の意思も能力をないにもかかわらず,「デジタルとは別の会社を立ち上げた。資本金はデジタルから出た。」「水をビジネスにした会社で,他の会社を吸収して大きくする。」「会社に融資して欲しい。」「1年後には返済する。」などと虚偽の事実を申し向け,原告にその旨誤信させ,別紙1記載のとおり,①平成14年12月16日に100万円を,②その後5回にわたり合計836万3000円を,③平成15年10月23日に200万円(別表1には1100万円とあるが,900万円について上記①及び②の一部と重複していたことから,200万円に訂正する。)の合計1130万3600円を貸金名目で交付させた。
オ 被告らの共謀による騙取
広告配信メール事業は,被告デジタルが企業から広告配信の受注を受け,その企業の広告メールを作成し,被告オプトクラブに登録しているメール会員にその広告メールを配信していると称するものであるが,広告メール配信事業は実体のないもので,被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイは,加盟店から登録料を巻き上げているだけのものである。△△村出店契約は,出店料を支払えば被告デジタルが運営する「△△村.com」という名称のインターネット上のショッピングモールに出店できるというものであり,出店者のメリットはインターネット上の出店であることから家賃や人件費がかからず,被告デジタルが店の情報を被告オプトクラブに登録しているメール会員にメール広告配信をするということにあったが,「△△村.com」と称するショッピングモールをインターネットで検索しても見当たらず,ショッピングモールは実在していなかったもので,出店料(申込料)名目で金員を騙取したものである。さらに,原告に財産があると見るや,被告Y1は高額の配当があると虚偽の事実を申し向けて,原告に被告ゲットウェイの株式を購入させたり,訴外Bは返済する意思も能力もないにもかかわらず必ず返済すると虚偽の事実を申し向けて訴外スルートラフィックの名で借入れを申し込んで借入金名義で金員を騙取した。
(被告デジタル及び同Y1の主張)
ア 被告Y1は,メール配信事業に関し,「たくさんの口数の契約をすれば,それだけ収入が多くなる。」「とにかく儲かる。」など,原告主張のような事実を申し向けたことはない。また,「必ず配当が得られます。」などと申し向けて被告ゲットウェイの株式を購入させたこともない。訴外スルートラフィックの借入れは,被告Y1や同デジタルとは全く関係のないものである。
イ 被告デジタルの事業内容は,特定の登録会員(オプトクラブ会員)に対する企業による宣伝広告電子メール配信事業であり,具体的には,企業が宣伝広告を配信する度に1メール30円を支払い,そのうち15円は広告代理店(被告オプトクラブ)に,10円はメールの配信を受けるオプトクラブ会員に,5円は加盟店に支払われる仕組みであった。さらに,このような配信システムは当時既に同業他社の出現が予想されていたことから,単なるメール配信事業だけでなくこれに加えて総合販売を実現するためのインターネット上のショッピングモールを展開し,その宣伝システムと配信システムのコラボレーションを図った。そこで,被告Y1は,被告デジタルを設立して加盟店募集を行わせ,登録料を受け取ることにより資金を調達し,これを同様に設立した被告オプトクラブに廻して広告主を見つけるとともにメール会員を募集して上記のような仕組みのメール配信事業を行わせたもので,実際,被告デジタルは同オプトクラブを通じて多額の宣伝費を投じ,メール会員を集め,企業からの広告を募集して広告宣伝活動を行っていたものである。また,被告デジタルは,被告ゲットウェイに対して,企業広告の基盤となる企業を募集することを目的として「○○」というインターネット上のショッピングモールの運営を委託することで,以上の三社で新しいメール配信事業を行うことにあった。このほか,被告デジタルは,インターネット上の商品販売サイトである「△△村」を運営し,原告らをはじめとする加盟店にもインターネット上での商品販売を行う権利を販売し,実際に多数の出店権利者が自らの店舗に商品を置き,インターネット上での販売をしていた。
最終的には,幾多の要因により事業が失敗に終わったが,被告Y1らの予想しなかった結果であり,事業全体が実体として存在せず,詐欺であるとの主張は失当である。
ウ 加盟店募集に関しては,被告デジタルが主催する加盟店募集活動と各加盟店が独自に他の加盟店を募集する二つの場合があり,被告デジタルが主催する加盟店募集活動では事業内容を説明するためのセミナーを実施したが,プレゼンテーションを担当するのは募集活動を行うについて教育訓練を経た者で会社が選任した講師であるが,詐術や断定的判断の提供等の違法行為はしていない。各加盟店が独自に他の加盟店を募集する場合については,特定商取引法に関する法律の厳守や諸規約の遵守が義務づけられており(乙4の④),加盟店は加盟店登録契約,概要書面によりマーケティングプランの説明,クーリングオフの説明を行うのであり,その際に提供される概要書面やパンフレットにも収入についてのシミュレーションモデルの記載のみで,収入の確実性を約束するような内容は記載されていない(乙1)。配信料収入の開始時期と収入の発生については,本格的収入は環境整備後との説明がされているはずであるし,被告デジタルの事業については被告オプトクラブの提携しているショッピングモールの存在を説明するはずである。被告デジタルへの加盟(入会契約の締結)はすべて定型文書によって行われており,また,各加盟店は入会希望者に対し,概要書面(乙5)とカーボン複写となった4枚綴りの書面(乙4)などをスターターキットとしてワンセットとして配布し(乙7),希望者は紹介加盟店の説明とともに加盟店契約概要書面(乙5)などを熟読して入会を検討し,希望者は乙4の①に所要の事項を記載すると,カーボンによる同号証の②ないし④に複写され,③は紹介者に,④は申込者に保留され,①及び②が被告デジタルに送付される仕組みとなっており,原告は複写された契約書(甲1)を所持していることから,上記のとおりの正式な説明の下で内容を理解した上で契約の申込みをしたことは明らかである。実際に被告Y1は,加盟店を募集する際,被告デジタルや同オプトクラブが行う事業の内容を事業説明のための書面(甲9,乙1ないし3)を示して,個別具体的に説明し,加盟店契約に当たっては,事業案内,加盟店登録申請書及び誓約書,加盟店契約概要書面を渡し(乙7),同書面において加盟店の義務と負担や加盟店の業務,報酬プラン,クーリングオフ等の必要事項を説明している。原告が署名している申込書等(甲1,2,4)からも,原告が個別具体的な事業の説明を受けていることは明らかである。
エ 原告は,企業が自らの経済活動により得た利益や販売状況を契約の都度,取引相手にすべて説明する義務があるとの主張をしているが,そのような義務は信義則上も特定商取引上も課せられていない。なお,取引上必要な事業の内容や特定商取引上の重要事項についてはパンフレット(甲9)や概要書面(乙5)等によって十分な説明がされている。原告自身説明されたことを確認するため加盟店登録申請書及び誓約書(甲1,2)の確認欄に自ら署名捺印を行っており,被告らの説明義務が果たされていることは明らかである。
(被告Y2の主張)
被告オプトクラブは,被告デジタルをスポンサーとして業務の委託を受けた一般的な請負を行っていたにすぎない。被告オプトクラブのビジネスモデルは,オプトインメールというインターネット上の既知のビジネスモデルで社会的にも認知されているものである。事業の実態について,約4年間の活動において60万人以上のメール会員を集めて管理・運営してきたものであるし,事業が事実上中止されたのは被告Y2が代表取締役を退いた後のことである。勧誘行為に関しても,被告オプトクラブの業務としては行っていないなど,行為に関与していない。△△村の運営に関しても,サーバーの管理,宣伝を受け持っていたにすぎず,業務の方針や運営の失敗について責任はない。また,訴外スルートラフィックとは一切関係がない。
(被告Y3の主張)
被告Y3は,原告が不法行為と主張する行為に何ら関与しておらず共謀は不存在である。被告Y3は,被告デジタルでシステム開発を担当していたところ,「○○」というショッピングモールを新たに展開するために被告Y1らが被告ゲットウェイを設立したことから,その流れで被告ゲットウェイの名目上の代表取締役に就任したものである。被告ゲットウェイでもシステム開発を担当していただけで経営には何ら関与しておらず,資金調達の方法にも関知していない。被告Y3は,営業を担当したことはなく,加盟店の募集に関与したこともない。加盟店募集の説明会に参加したことはあるが,システムの開発状況について説明したにすぎない。また,原告は被告デジタルから被告ゲットウェイの株式を取得したものであって,被告ゲットウェイから株式を取得したものではないから,原告と被告ゲットウェイとの間に何ら行為が存在せず,被告Y3が責任を負う可能性のある行為が存在しないのであるから,会社法429条の責任を負うこともない。また,被告Y3は,被告ゲットウェイ以外の会社の取締役でもないから,それらの会社について責任を負う根拠はない。
(2)  被告らの責任
(原告の主張)
ア 被告らの責任
(ア) 本件は,被告Y1,同Y2,同Y3,訴外B,同C及び訴外E(以下「訴外E」という。)らが共謀して企画,推進し,各被告会社の従業員らを指揮命令して原告から金員を騙取したものであるから,上記被告らは民法709条,719条の共同不法行為責任を負う。
本件の実行行為者は,被告デジタルの代表取締役である被告Y1を中心として,被告デジタルの従業員であり訴外スルートラフィックの無限責任社員でもあった訴外B,被告デジタルの取締役である訴外E,被告オプトクラブの代表取締役であった被告Y2,訴外スルートラフィックの有限責任社員で被告オプトクラブの従業員でもあった訴外Cらであり,これらの会社代表者を除く者及び従業員の民法709条に基づく責任に関して,被告デジタル及び同オプトクラブは民法715条1項の使用者責任,会社代表者の民法709条に基づく責任に関して,被告デジタル及び同オプトクラブは会社法350条の責任を負うものであるところ,被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイは,設立資金をすべて被告Y1が支出しているほか,その設立時期,本店所在地,役員構成などからみて被告Y1の支配の下,実質的には一体のものとなって,あたかもメール配信事業に実態があるかのように装い,加盟店募集,メール配信,ショッピングモール運営と役割分担をし,また,被告オプトクラブ及び同ゲットウェイへの外注を装い,被告デジタルが加盟店から騙取した金を流していたことが明らかであり,これら3社の代表者ないし幹部が共謀の下に原告から次々と金を巻き上げたものであるから,上記3社についても民法709条,719条の共同不法行為責任を負う。なお,訴外スルートラフィックは,被告デジタルが加盟店料と称して加盟店から集めていた金の横流しを受ける役目を担っていたものであり,被告デジタルと密接な関係を有しており,また,同時に被告デジタルと一体をなしている被告オプトクラブ及び同ゲットウェイとも密接なつながりを有しており,上記4社の一体関係が認められる。
なお,被告Y3は,原告に対する不法行為の直接の実行行為者ではないが,被告Y1主導の下,被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイ,さらには架空外注費の流れ先である訴外スルートラフィックを舞台にして,実在しないメール配信事業によって加盟店登録料を,実在しないショッピングモール△△村を使って出店料を,確実に配当を得られるとの虚偽の事実を申し向けて被告ゲットウェイの株式代金を,返済の意思・能力がないのに訴外スルートラフィック名義で借入金名目でそれぞれ金員を騙取しようと企て,組織的詐欺商法を被告Y1や他の被告らと共謀して立案,推進し,勧誘者らに実行せしめていたものである。また,被告Y3は,被告Y1の主導の下,被告デジタル,同オプトクラブ,同ゲットウェイ及び訴外スルートラフィックにより上記のとおり実体のないメール配信事業による詐欺商法が展開されていることを認識しながら,これに加担して被告ゲットウェイの代表取締役を務めたものであり,代表取締役としての業務に関与していなかったことを理由に会社法429条1項(旧商法266条の3第1項)の責任も免れることはできない。
(イ) さらに,被告Y3を含む被告らは,共謀の上,原告から金員を騙取しようと企て,各勧誘者に原告に対して明確な説明をしないように指揮命令し,各勧誘者らに説明義務違反という違法勧誘行為を実行せしめていたのであるから,民法709条,715条1項,会社法350条,719条の共同不法行為責任を負う。
(被告デジタル,同Y1,同Y2及び同Y3らの主張)
被告らについて不法行為は成立しないものであり,原告主張の被告らの責任についてはすべて争う。
イ 請求(主位的請求)との関連
(ア) 広告メール配信事業加盟店登録に関する被告らの責任に関し,平成13年12月21日契約(出捐)に係る行為については,被告Y1を中心として,被告Y2,同Y3及び訴外Bらの共謀等による共同不法行為(民法709条,719条),被告デジタルの使用者責任(民法715条1項),会社法350条の責任により,上記被告らが連帯責任を負う(主位的請求第1項)。
(イ) 広告メール配信事業加盟店登録に関する被告らの責任に関し,平成14年1月24日から同年3月25日までの契約(出捐)に係る行為については,被告Y1を中心として,被告Y2,同Y3,訴外B及び同Cらの共謀等による共同不法行為(民法709条,719条),被告デジタル及び同オプトクラブの使用者責任(民法715条1項),会社法350条の責任により,上記被告らが連帯責任を負う(主位的請求第2項)。
(ウ) 広告メール配信事業加盟店登録に関する平成14年4月26日から同年7月24日までのD名義による契約(出捐)に係る行為,被告ゲットウェイの株式購入に係る行為及び△△村出店契約(出捐)に係る行為について,被告Y1を中心として,同告Y2,同Y3,訴外B及び同C,被告ゲットウェイらの共謀等による共同不法行為(民法709条,719条),被告デジタル及び同オプトクラブの使用者責任(民法715条1項),会社法350条の責任により,上記被告らが連帯責任を負う(主位的請求第3項)。
(エ) 訴外スルートラフィックに対する貸付け(出捐)に係る行為について,被告Y1を中心として,被告Y2,同Y3,訴外B,同C及び被告ゲットウェイららの共謀等による共同不法行為(民法709条,719条),被告デジタル及び同オプトクラブの使用者責任(民法715条1項),会社法350条の責任により,上記被告らが連帯責任を負う(主位的請求第4項)。
(3)  原告の損害
(原告の主張)
ア 実損害
別紙1記載の「実損害」欄記載のとおりである。
イ 弁護士費用
原告は本件の被害回復のために弁護士に委任せざるを得なかったものであるところ,本件と相当因果関係にある弁護士費用は,別紙1記載の「弁護士費用」欄記載のとおりである。
(被告デジタル,同Y1,同Y2及び同Y3らの主張)
すべて争う。
(4)  詐欺による取消し(予備的請求)
(原告の主張)
ア 上記被告会社らの実行行為者らの行為は詐欺に当たるから,原告は本件訴状で詐欺による取消しの意思表示をする。
イ 契約取消しによる,原状回復義務に基づき,別紙2「予備的請求の趣旨の被告対応表」記載のとおり,被告デジタルは1515万6321円(コミッション及び返済を控除した額)及び平成14年10月9日からの遅延損害金,被告ゲットウェイは157万5000円及び平成14年5月1日からの遅延損害金をそれぞれ原告に支払うべきである(予備的請求第1,2項)。
(被告デジタルの主張)
詐欺行為はしていない。
第3  争点に対する判断
1  証拠(甲1の①ないし⑤,2の①ないし③,3の①ないし③,4の①,②,5の①,②,6の①ないし⑥,7ないし12,13の①ないし④,19ないし26,28ないし33,35,37の①,②,38の①,②,39ないし44,46の①ないし⑤,47ないし52,乙1,2,3の①,②,4の①ないし④,5ないし9,10の①,②,11の①ないし ,12の①ないし③,13の①,②,14の①,②,15の①,②,16の①ないし③,17,18の①ないし③(いずれも枝番を含む。),20,丙1ないし5,原告,被告デジタル代表者兼被告Y1,被告Y3及び同(ただし,尋問終了後同人に対する訴えは取り下げられた。)C)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
(1)  被告Y1は,宣伝広告の費用対効果を図るため,新聞,雑誌,テレビ,ラジオなどによる不特定多数ではなく,特定の登録会員に対する企業による宣伝広告電子メール配信事業を考案した。具体的には,一人一人の好みをデータベース化した特定の登録会員に対して企業が宣伝広告を配信する度に1メールにつき30円を支払い,そのうち15円が広告代理店に,10円がメール配信を受ける会員に,5円が加盟店に支払われる仕組みであり,さらに,このような配信システムは当時既に同業他社の出現が予想されていたことから,単なるメール配信事業だけでなく,これに加えて総合販売を実現するためのインターネット上のショッピングモールを展開し,その宣伝システムと配信システムのコラボレーションを計画した。そして,配信先であるメール会員の募集に当たっては,広告配信を行う事業自体については被告オプトクラブを設立してこれに行わせ,被告デジタルは加盟店の募集に専念できるようにする(後記(2)のとおり加盟店募集についてマルチマーケティングシステムを採用することから,被告Y1は,被告デジタル自身が広告メール配信事業を行うのは「マルチ会社」とのレッテルを貼られやすく,事業主体としては不利になると考え,事業を分離することを考案した。)とともに,インターネット上のショッピングサイトを運営する会社として被告ゲットウェイを設立することとした。
(2)  上記システムにおいては,メール配信を受けるオプトクラブの会員の存在が不可欠であったことから,これを確保するため一般の商取引上の代理店に相当する「加盟店」と呼ばれる事業資金供与者であり,かつ,オプトクラブ会員募集を確保する組織作りを行った。すなわち,被告Y1は,メール配信事業による広告収入が安定したものになるインフラ設備が完了する平成17年を目途として当初の事業計画を立てていたため,それまでの間加盟店にも一定の利益があげられるようにするため,募集期間を平成16年までとして,加盟店になった者が別の加盟店を集めることで紹介料としてコミッション収入が得られるマルチマーケティングシステムなるものを考案した。
このように,加盟店は,事業資金となる1口5万2500円の加盟店登録料を支払うが,更に加盟店を募集することにより紹介料を得ることができるほか,メール会員を募集することにより企業がその会員に宣伝広告を配信する度に1メールにつき5円を受け取ることができた。
(3)  被告Y1は,平成13年4月ころからデジタルの屋号で連鎖販売取引業(以下「マルチ」という。)による物品販売業を個人で営みながら,上記のような配信システムの構築に着手し,広告配信の相手方であるメール会員(オプトクラブ会員)やその募集要員となる加盟店及び協力企業等を募る活動を開始し,同年10月2日,本店を群馬県高崎市とする被告デジタルを設立(資本金8880万円のうち被告Y1は3000万円くらい出資した。)してその代表取締役に就任した(他の取締役は訴外F及び同E)。そして,被告Y1は,平成14年1月8日に本店を東京都渋谷区神宮前とする被告オプトクラブ(資本金5555万円)を,同年4月4日には同所に本店を置く被告ゲットウェイ(資本金2億5850万円)を設立した。被告Y2は,平成17年9月27日まで被告オプトクラブの代表取締役を務めていた。
(4)  被告デジタルは,上記計画どおり,加盟店以外に自らがメール会員を募集した結果得られる1メール当たり5円の配信料収入とメール配信事業が軌道に乗るまでの間に加盟店募集によって得られる登録料を事業資金とし,その多くを事業整備の目的で外注費として被告オプトクラブを含む個人や団体に送金した。すなわち,平成13年10月2日から同14年7月31日までの外注費合計は4359万7840円,同年8月1日から平成15年7月31日までの外注費合計は1億5999万4188円,同年8月1日から平成16年7月31日までの外注費合計は14億9845万0774円であった(甲28ないし30)。
(5)  被告オプトクラブは,被告デジタルから送金された外注費を用いて,テレビCMなどを含め広告主となる企業やメール会員を募集する活動を行っていた。被告オプトクラブが使った広告宣伝費は,平成14年1月8日から同年11月30日までが合計7975万2886円,平成14年12月1日から同15年11月30日までが合計2764万3536円,平成15年12月1日から同16年11月30日までが合計1億4441万8330円であった(乙12の①ないし③)。被告オプトクラブは,各広告主から受け取る1メール当たり30円の広告料を収入源とし,そのうち10円を広告メールを受け取ったメール会員に送金し,5円をメール会員を募集した加盟店又は被告デジタルに送金し,残りを自己の利益としていたところ,被告オプトクラブの広告配信料収入の売上げは,平成14年1月8日から同年11月30日までが合計9506万8156円,平成14年12月1日から同15年11月30日までが合計7485万3450円,平成15年12月1日から同16年11月30日までが合計3億7663万1239円であった(甲12,13の①,14)。
平成17年12月14日の時点で,被告オプトクラブが広告の依頼を受けて広告配信契約を締結していた企業は多数に上り,また,成果報酬型の「アフィリエイトサービス」を提供する企業と契約して広告メールの配信を行っていたこともあった。
(6)  被告デジタルは,最終的にはメール会員を累計で約68万人(被告デジタルが獲得した会員66万人強,加盟店が獲得した会員約2万人弱)を獲得したほか,広告主を囲い込むため出店費用無料のインターネットによるショッピングモール「○○」を構築し,また,アパレルブランド専門のショッピングモール(スーパーブランドストリート)を構築した。そして,被告デジタルは,被告ゲットウェイに対して,企業広告の基盤となる企業を募集することを目的としてインターネット上のショッピングモール「○○」の運営を委託した。そこで,被告ゲットウェイは,「○○」の構築に向けての活動を行い,インターネット環境の整備のためのサーバーの設置,インターネット上で使用する諸権利の整理,インターネットショッピングモールへの参加企業の募集などを行うなどの事業活動を展開する一方,サーバーの管理等システム運営のための資金調達のために新株発行を行い,原告ら加盟店にもこれを割り当てて資金を調達した。
(7)  さらに,被告デジタルは,インターネット上の商品販売サイトである「△△村」を運営し,原告らをはじめとする加盟店にもインターネット上での商品販売を行う権利を販売し,実際に多数の出店権利者が自らの店舗に商品を置き,インターネット上での販売をした。すなわち,「△△村」は,被告デジタルが窓口となり,実際の運営及び管理は被告オプトクラブが行う商品販売を目的とするインターネット上のウェブサイトであり,「△△村」での販売スペースを販売希望者等に賃貸し,その契約者が自己の販売したい商品を「△△村」で販売するというものである(「△△村」のスペースを借りた者は,自ら商品を販売するだけでなく,自分が借りたスペースを利用し,被告デジタルに依頼してスペースを利用した委託販売を行ったり,出店の権利を第三者に転貸し又は第三者に販売させることもできた。)。被告オプトクラブは,「△△村.com」にアクセスしてきたインターネット利用者のデータも収集し,その傾向等を分析し,趣味趣向に応じた広告宣伝を行うことができるオプトインメールと合わせることで業態に合わせた広告宣伝を効率的に行うことが考えられた。「△△村」については,原告をはじめ多くの契約希望者が被告デジタルに出店料を支払い,被告オプトクラブが,管理運営する△△村の権利を取得して商品販売等を行っていた(乙18)。
(8)  しかし,他のメール配信業者の出現による価格破壊,個人情報保護法の制定による情報収集の困難,メール会員のアドレス変更,事業内部での横領問題のほかコミッションの支払等の経費算入が脱税とされて被告Y1が刑事告発されたことなどから,被告Y1のメール配信事業は失敗し,また,「△△村」の運営も行うことができなくなった。
(9)  被告Y3は,平成13年10月,被告Y1からインターネットのショッピングサイト等のシステム開発を担当する人材が必要であるとの要請を受けて被告デジタルに入社し,システム開発を担う人材の確保などを担当した。平成14年4月,システム開発部門を被告ゲットウェイとして独立したことから,被告Y3は被告デジタルを退職し,被告ゲットウェイの代表取締役に就任した。被告Y3は,被告ゲットウェイの代表取締役に就任した後もインターネットのショッピングサイト等のシステム開発に関わる仕事をしていたもので,被告デジタル及び同ゲットウェイの事業の資金調達に関与したことはなかった。被告Y3は,給料の未払が続いたため,平成15年7月に被告ゲットウェイの代表取締役を辞任した。
(10)  原告は,平成13年秋ころ,以前勤めていた日暈紹介有限会社配ぜん人紹介所の代表取締役であるG(以下「G」という。)から「メールによる広告配信事業で儲かる話しがある。」などと誘われて,被告デジタルが品川区立総合区民会館(きゅりあん)で行った説明会に参加するようになった。また,原告は,自宅に訴外B,同C及び同Eらの訪問を受けたり,自宅近くの喫茶店で被告Y1から被告デジタルの話しを聞いたりした。
(11)  原告は,別紙1の「契約日(出捐日)」欄記載の日に「契約の名目」欄記載の契約を,加盟店登録契約及び△△村出店契約は被告デジタルとの間で,被告ゲットウェイの株式取得については被告ゲットウェイとの間で,訴外スルートラフィックとの消費貸借契約については訴外スルートラフィックとの間でそれぞれ締結し,「金額」欄記載の金額を交付した。
(12)  原告は,別紙1の「コミッション及び返済」欄記載のとおり,原告に対し,被告デジタルから広告メール配信事業関係で原告名義の郵便貯金口座に合計367万6516円,D名義の銀行預金口座に合計5万1963円,△△村関係で3万9200円,訴外スルートラフィックから5万9400が送金された。
(13)  加盟店募集に関しては,被告デジタルが主催する場合と各加盟店が独自に他の加盟店を募集する場合があった。被告デジタルが主催する加盟店募集活動においては,事業内容を説明するためのセミナーを実施したが,プレゼンテーションを担当するのは募集活動を行うについて教育訓練を経た者で会社が選任した講師が担当した。各加盟店が独自に他の加盟店を募集する場合については,特定商取引法に関する法律の厳守や諸規約の遵守を義務づけ(乙4の④),加盟店は加盟店契約概要書面(乙5)やパンフレット(甲9,乙1)によりマーケティングプランの説明,クーリングオフの説明を行い,その際に提供される加盟店契約概要書面やパンフレットには収入についてのシミュレーションモデルの記載のみで,収入の確実性を約束するような内容は記載されていなかった。
配信収入の開始時期については,本格的に収入が発生するのは環境整備後になると考えられるとの説明がされており(甲9,乙2),被告デジタルの事業については被告オプトクラブの提携しているショッピングモールの存在についても説明されていた(甲9,乙2)。被告デジタルへの加盟(入会契約の締結)はすべて定型文書によって行われており,また,各加盟店は入会希望者に対し,事業案内(乙3の①,②),加盟店登録申請契約及び誓約書(乙4の①ないし④),加盟店契約概要書面(乙5)及び返信用封筒(乙6)をスターターキットとしてワンセットとして配布し(乙7),入会希望者は紹介加盟店の説明とともに加盟店契約概要書面並びに加盟店登録申請契約及び誓約書を熟読して入会を検討し,乙4の①に所要の事項を記載すると,カーボンによる同号証の②ないし④に複写され,③は紹介者に,④は申込者に保留され,①及び②が被告デジタルに送付される仕組みとなっているところ,原告に対しても,被告Y1ないし被告デジタルの従業員ら及びGにより,上記のとおりの資料提供及び説明がなされていた。
(14)  △△村出店契約の際にも,被告Y1ないし被告デジタルの従業員らは,原告に対し,「△△村」がインターネット上の商品販売サイトであって自ら出店しない場合であっても,出店の権利を第三者に譲渡したり,転貸することができるなどの内容の説明をしていた。また,被告ゲットウェイは,上記認定のとおりの事業を行っていたところ,サーバーの管理等システム運営のための資金調達などのために新株発行を行い,原告ら加盟店にもこれを割り当てたが,その際,被告Y1ないし被告デジタルの従業員らは,原告に対し,被告ゲットウェイが行っている事業などの説明をした。
2  争点(1)(被告らによる不法行為の成否)について
(1)  原告は,広告配信メール事業は,被告デジタルが企業から広告配信の受注を受け,その企業の広告メールを作成し,被告オプトクラブに登録しているメール会員にその広告メールを配信していると称するが,広告メール配信事業は実体のないもので,被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイは,加盟店から登録料を巻き上げているだけのものである。また,ショッピングモール「△△村」についても,「△△村」と称するショッピングモールをインターネットで検索しても見当たらず,ショッピングモールは実在していなかったもので,出店料(申込料)名目で金員を騙取したものである。さらに,原告に財産があると見るや,被告Y1は高額の配当があると虚偽の事実を申し向けて,原告に被告ゲットウェイの株式を購入させたり,訴外Bは返済する意思も能力もないにもかかわらず必ず返済するとの虚偽の事実を申し向けて訴外スルートラフィックの名で借入れを申し込んで貸金名義で金員を騙取した旨主張する。
(2)  しかし,前記認定のとおり,被告Y1は,宣伝広告の費用対効果を図るため,新聞,雑誌,テレビ,ラジオなどによる不特定多数ではなく,特定の登録会員に対する企業による宣伝広告電子メール配信事業を考案し,平成17年ころからは安定した広告配信料収入による利益が得られることを目論み,被告デジタルを設立して加盟店を募集し,広告メール配信システム構築のための資金を獲得しながら広告主体となる企業の獲得,メール会員の募集を行うとともに,被告オプトクラブ及び同ゲットウェイを設立して被告オプトクラブに広告メール配信事業の広告宣伝を,被告ゲットウェイに企業広告の基盤となる企業を募集することを目的としてインターネット上のショッピングモール「○○」の運営を委託してこれを行わせるなど実際に活動していたことが認められる。また,「△△村」についても,被告デジタルは,インターネット上の商品販売サイトである△△村を運営し,原告らをはじめとする加盟店にもインターネット上での商品販売を行う権利を販売し,実際に多数の出店権利者が自らの店舗に商品を置き,インターネット上での販売をしていたことが認められる(原告訴訟代理人は,「△△村.com」をインターネットで検索したが見当たらなかったとするが,メール配信事業が失敗し既にサイトが閉鎖した後のことであると考えられる。)。なお,訴外スルートラフィックについて,被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイとの関係は認め難いものである。
(3)  原告は,広告メール配信事業が実体のないものであるとする根拠として,被告デジタルの売上げは加盟店募集による登録料がほとんどであり,また,被告オプトクラブの売上げについても,被告デジタルから流れた金がほとんどであって,広告の配信による売上げは微々たるもので,「広告配信売上」の科目に分類されているものも,内容が不明であったり,個人からの売上げだったりと明らかに広告配信による収入ではないものばかりであるなどと主張する。しかし,前記認定のとおり,被告デジタルは,加盟店以外に自らがメール会員を募集した結果得られる1メール当たり5円の配信料収入とメール配信事業が軌道に乗るまでの間に加盟店募集によって得られる登録料を事業資金とし,その多くを事業整備の目的で外注費として被告オプトクラブを含む個人や団体に送金している(平成13年10月2日から同14年7月31日までの外注費合計は4359万7840円,同年8月1日から平成15年7月31日までの外注費合計は1億5999万4188円,同年8月1日から平成16年7月31日までの外注費合計は14億9845万0774円である。)ことは過渡期の事業として格別不自然・不合理なものではないし,被告オプトクラブも,被告デジタルから送金された外注費を用いて,テレビCMなどを含め広告主となる企業やメール会員を募集する活動を行い,広告配信料収入の売上げは,平成14年1月8日から同年11月30日までが合計9506万8156円,平成14年12月1日から同15年11月30日までが合計7485万3450円,平成15年12月1日から同16年11月30日までが合計3億7663万1239円であったことは明らかであり,平成17年12月14日の時点で,被告オプトクラブが広告の依頼を受けて広告配信契約を締結していた企業は多数に上り,また,成果報酬型のアフィリエイトサービスを提供する企業と契約して広告メールの配信を行っていたことからも,広告メール配信事業が実体のないものあるとする原告の主張は失当である。原告は,アフィリエイトサービスに登録して得られる報酬はメール会員がアクションを起こすかにかかっており,常に安定した報酬が得られるわけではなく,被告オプトクラブがアフィリエイトサービスに登録して報酬を稼いだのは,被告Y1が自らの私腹を肥やすため,加盟店やメール会員らにあたかもメール配信事業が稼働しているかのように錯誤させ,加盟店からの広告分配金の支払の追及を免れるためにわずかばかりの分配金を支払うため,メール会員に広告分配金を支払ってつなぎ止めるためであったものと推察される旨主張するが,アフィリエイトサービスは,成果報酬型で直接企業との広告料を定めることはできないが,出された広告に対して広告料を支払うことは変わらなず,広告配信の結果商品を購入等のアクションが起きたことにより,企業が成果に合わせてアフィリエイトサービス提供会社に広告料を支払い,当該広告料が広告を出した配信会社に一部の仲介金を差し引いて支払われるものであるから,広告配信事業としての売上げとみることに問題はない。
このほか,原告は,被告デジタルにおいて,広告メール配信事業を完了するための事業整備の意思があったのなら,事業整備のための資金,具体的には研究開発費及び広告宣伝費を相応に支出する必要があるはずであるが,それが見られないなど事業整備のための研究開発事業を展開していたとは考えられない旨主張するが,研究開発費については,平成13年10月2日から同14年7月31日まで及び平成14年8月1日から同15年7月31日まで研究開発費という費目はなく,研究開発費という費目が設けられた平成15年8月1日から同16年7月31日期までは240万4762円にすぎないが,被告デジタルはこの間主として加盟店募集による事業資金の調達に力を注いでいたものであり,研究開発費が上記のようであるからといって事業整備のための展開をしていなかったとはいえず,また,被告デジタルは同オプトクラブを通じて広告宣伝活動を行っており,前記認定のとおり,被告デジタルからの外注費を受けて,被告オプトクラブは,平成14年1月8日から同年11月30日まで合計7975万2886円,平成14年12月1日から同15年11月30日まで合計2764万3536円,平成15年12月1日から同16年11月30日まで合計1億4441万8330円の広告宣伝費を支出しており,原告の上記主張は理由がない。
(4)  そうすると,原告は,①加盟店登録契約に関し,メール配信事業を実現させる意思も能力もなく,メール配信事業は実在しない若しくは実在しないに等しい状況であるにもかかわらず,被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,加盟店登録料名目で金員を騙取しようと企て,原告に対し,説明会の会場,電話及び喫茶店において「3年前から事業を展開している。」「もう事業は軌道に乗っている。」「沢山の口数の契約をすれば,それだけ収入が大きくなる。」「必ず儲かる。」「外国にも進出する。」「楽天を追い越す。」などと虚偽の事実を申し向けた,②被告ゲットウェイの株式購入に関し,組織的詐欺商法を展開し,原告からさらなる金を騙取しようと企てた被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,「○○」というインターネット上のショッピングモールを立ち上げる意思も能力もなく,被告ゲットウェイにおいて配当を支払うことは不可能であったにもかかわらず,原告に対し「当社は,管理するサーバーにおいてインターネット上で運営するショッピングモールを展開するビジネスをやろうと思っている。当社に出資してみませんか。必ず配当が得られます。」などと虚偽の事実を申し向けた,③△△村出店契約に関し,被告Y1は,同Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,「△△村.com」なるインターネット上ショッピングモールは実在していないものであるにもかかわらず,原告に対し,「株式会社デジタルグループが管理するサーバーにおいて,インターネット上で運営する△△村に出店することができるというものであり,参加する人を紹介すれば紹介料も入る。出店の権利は売ることも貸与することもでき,不動産と同じように考えることができ,換金することもできる。配当金として1か月で1口につき2万円は確実に入り,後は利益によって増額する。」などと虚偽の事実を申し向けた,④訴外スルートラフィックに対する貸付けに関し,被告Y1は,被告デジタルの架空外注費の受入先として,また,組織的詐欺商法を展開し原告を含む被告デジタルの出資者からさらなる金員を騙取するため,被告Y2,同Y3,訴外B及び同Cらと共謀の上,平成14年12月17日,訴外Bを無限責任社員とする訴外スルートラフィックを設立し,原告からさらなる金員を騙取すべく,訴外Bをして,返済の意思も能力をないにもかかわらず,「デジタルとは別の会社を立ち上げた。資本金はデジタルから出た。」「水をビジネスにした会社で,他の会社を吸収して大きくする。」「会社に融資して欲しい。」「1年後には返済する。」などと虚偽の事実を申し向けたとの主張をしているところ,広告メール配信事業が実体のないものであるとする原告の主張は理由がなく,これを前提として被告デジタル,同オプトクラブ,同ゲットウェイ及び訴外スルートラフィックが組織的詐欺商法を展開して原告から金員を騙取したとの主張も理由がない。なお,被告Y1らがしたとする「必ず儲かる。」「必ず配当が得られる。」など確実に収益が上がる旨の発言についても,これを認めるに足りる客観的な証拠はなく,いずれにしても詐欺を理由とする被告デジタル,同Y1,同Y2及び同Y3との間において,同被告らの詐欺による不法行為は認めるに足りない。
(5)  信義則上,金融商品販売法及び特定商取引法上の説明義務違反
原告のこれらに関する主張も,基本的に広告メール配信事業が実体のないものであることを前提とするものであり,上記判断のとおり被告デジタル,同オプトクラブ及び同ゲットウェイによる広告配信事業に事業実体がないとはいえないのであるから理由がないものであるほか,加盟店登録契約,被告ゲットウェイの株式販売,△△村出店契約などの際に被告Y1ないし被告デジタルの従業員らが原告に対して行った説明については前記認定のとおりであり,これらの事業の基本的な仕組みについての説明はなされていたものと認められるから,説明について義務違反があり不法行為を構成するものとまでは認められない。また,被告Y3に対する会社法429条1項(旧商法266条の3第1項)の責任についても,その前提を欠くものである。
3  予備的請求について
原告は,被告デジタルの実行行為者らの行為は詐欺に当たり,詐欺による取消しによる原状回復として,被告デジタルに対して1515万6321円(コミッション及び返済を控除した額)の返還を求めているが,前記判断のとおり,詐欺の事実は認められないから,原告の被告デジタルに対する予備的請求は理由がない。
4  被告オプトクラブ及び同ゲットウェイについて
上記被告らは,適式な呼出を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面を提出しないから,請求原因事実を明らかに争わないものと認め,これを自白したものとみなす。同事実によれば,上記被告らに対する請求は理由があるからこれらを認容することとする。
5  よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 志田博文)

 

〈以下省略〉

 

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