「成果報酬 営業」に関する裁判例(49)平成25年12月27日 東京地裁 平25(ワ)28231号 損害賠償請求事件
「成果報酬 営業」に関する裁判例(49)平成25年12月27日 東京地裁 平25(ワ)28231号 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成25年12月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(ワ)28231号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2013WLJPCA12278016
裁判年月日 平成25年12月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平25(ワ)28231号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2013WLJPCA12278016
東京都港区〈以下省略〉
原告 有限会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 板東利国
千葉県市川市〈以下省略〉
被告 Y
主文
1 被告は,原告に対し,201万6274円及びこれに対する平成25年11月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は,仮に執行することができる。
事実及び理由
1 原告は,主文同旨の判決を求め,請求原因として別紙のとおり主張した。
2 被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因1ないし3の事実は認めると述べた。
3 上記事実によれば,被告には,本件店舗(原告が営む焼肉店「a」)の売上金につき,平成24年11月分のうち合計101万3815円を原告に報告せず着服横領した不法行為及び平成25年4月から7月末までの間,本件店舗の現金売上げの一部をクレジットカード売上げと偽って原告に報告し現金売上げを合計82万2459円着服横領した不法行為に基づく損害賠償として合計183万6274円の支払義務が認められる。
また,原告は弁護士費用相当の損害賠償として18万円の支払を求めるところ,上記争いのない事実,証拠(甲2の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,平成25年8月18日,原告代表者に対し,上記2つの横領を認め,これと借入金とを合わせた合計293万6274円を同月27日までに支払うことを約束していたものの,これが支払われなかったため,原告は,同年10月25日,本件訴訟を提起したことが認められる。
そして一般に,相手方の故意又は過失によって自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者である相手方からその履行を容易に受けられないため,自己の権利の擁護上訴えの提起を余儀なくされた場合には,一般人は弁護士に委任しなければ十分な訴訟活動をなし得ないのであるから,このような場合に弁護士の委任に要した費用は,その事案の難易,請求額,認容額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる範囲内のものが不法行為と相当因果関係に立つ損害となる(最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決)。
被告は,本件第1回口頭弁論期日において請求原因1ないし3の事実を認め,訴訟においては実質的に不法行為責任を争わなかったが,上記のとおりの本件訴訟に至る経緯や本件事案の難易,その認容額に照らせば,原告が求める弁護士費用18万円は被告の不法行為と相当因果関係に立つ損害と認められる。
4 よって,被告に対し着服横領金183万6274円及び弁護士費用相当額18万円の合計201万6274円の損害賠償及びこれに対する不法行為の日の後である平成25年11月4日(訴状送達日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の請求は全部理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第24部
(裁判官 吉田純一郎)
別紙
請求の原因
1 当事者
(1) 原告会社
原告有限会社X(以下「原告会社」という。)は,食肉販売に関わるコンサルティング業務や飲食店の経営などを目的とする有限会社である。
原告会社は,東京都港区〈以下省略〉所在の焼肉店「a」(以下,「本件店舗」という。)を経営している。
(2) 被告
被告は,原告会社との間で,本件店舗の運営委託についての契約を締結し,本件店舗の店長として,店舗運営業務のほぼ全般を受託していた者である。
2 本件業務委託契約
原告会社と被告は,平成24年10月20日,以下の概要の業務委託契約を締結した(甲1)。
(1) 被告が受託する業務(第1条)
① 店舗運営を委託する店舗
a店
② 原告会社が被告に委託する業務の範囲(指導・教育を含む)
ア. 顧客満足度向上等による売上拡大にかかわる業務全般
イ. 店舗における原価,人件費,消耗品,水道光熱費などのコスト管理全般
ウ. 従業員の採用・教育トレーニング(採用費は原告の負担)
エ. 従業員の雇用契約・労務管理(原告が雇用主体)
オ. 食材・消耗品・備品の発注(支払は原告が実施)
カ. 食材の管理・調理及び商品の開発
キ. 店舗におけるサービス全般
ク. 店舗における安全・衛生管理
ケ. 店舗に係わる金銭管理
コ. 店舗における苦情処理全般
サ. その他本件店舗の運営・管理全般に係わる業務
(2) 売上の入金(第4条)
被告は本件店舗における売上金を,原告会社が指定する方法により原告会社に入金する。
(3) 業務委託料等(6条)
ア. 業務委託料は,営業利益-15万円の成果報酬(変動)とし,毎月末締めにて翌月15日までに支払う。
イ. 従業員採用,人件費,その他店舗経費は,原告会社の費用負担とし原告会社が支払うものとする。
(4) 報告義務(11条)
被告は原告会社に対して正確な売上,費用を報告する義務を負い,原告会社の定める方法により報告しなければならない。
3 被告による現金売上げの着服
(1) 第1の横領
被告は,本件店舗の運営業務を行うにあたり,本件店舗の平成24年11月度の現金売上のうち合計101万3815円分を原告に報告せず着服横領した。
(2) 第2の横領
被告は,本件店舗の運営業務を行うにあたり,平成25年4月から7月末までの間,本件店舗の現金売上げの一部をクレジットカード売上げと偽って原告に報告し,現金売上げから合計82万2459円を着服横領した。
(3) 上記各行為の被告による自認
被告は,上記第1及び第2の各横領行為等を認めるとともに,平成25年8月18日,各横領行為による損害と被告が原告会社代表者から借り入れた金員の合計額である293万6274円を同年8月27日までに支払う旨を記載した顛末書(甲2の1)及び金銭借用証書(甲2の2)を作成し,印鑑登録証明書(甲2の3)とともに原告会社代表者に提出した。
4 不法行為責任
(1) 被告は本件店舗の現金売上げから合計183万6274円を着服横領するという不法行為に出たのであるから,被告は,原告会社に対し,民法709条に基づき,原告会社が被った損害を賠償すべき義務がある。
(2) 着服した現金売上げの損害
被告は,合計183万6274円を着服横領しているから,原告会社は被告に対し,被告の前記不法行為と相当因果関係のある損害として,183万6274円の賠償を請求できる。
(3) 弁護士費用
被告は,原告に上記損害を弁償しないため,原告会社は,弁護士に本訴の提起及び訴訟追行を委任せざるを得なかった。
従って,原告会社は被告に対し,被告の前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用分の損害について,その賠償を請求できる。
そして,被告の前記不法行為と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害額は,少なくとも18万円に及ぶといえる。
(4) まとめ
以上より,原告会社は,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として,201万6274円(183万6274円+18万円)及びこれに対する訴状送達の日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める。
以上
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