【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「成果報酬 営業」に関する裁判例(37)平成26年12月11日 東京地裁 平26(レ)679号 損害賠償請求控訴事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(37)平成26年12月11日 東京地裁 平26(レ)679号 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日  平成26年12月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(レ)679号
事件名  損害賠償請求控訴事件
裁判結果  控訴棄却  文献番号  2014WLJPCA12118002

要旨
◆被控訴人と有料職業紹介契約を締結し柔道整復師を紹介するよう依頼した控訴人が、被控訴人は同契約に基づいて柔道整復師法所定の欠格事由の有無を調査、確認し欠格事由のない人材を紹介する義務を怠ったとして損害賠償を求めたところ、原審で請求を棄却されたため控訴した事案において、前科等の欠格事由がある求職者の採用の可否に関しては雇用主である控訴人が第一次的に調査、判断すべき事項といえ、候補人材の欠格事由の有無につき控訴人からの具体的な調査依頼がない本件では被控訴人は候補人材の欠格事由の存否を調査、確認すべき義務を負わず、また、保険請求事務の経験が全くなくともよいという採用条件が示されていたから、仮に保険請求事務が円滑に処理できなかったとしてもそれは被控訴人の債務不履行を意味しないとして、控訴を棄却した事例

裁判経過
第一審 東京簡裁 判決 平25(ハ)30752号

参照条文
民法415条
柔道整復師法4条3号
柔道整復師法8条1項
職業安定法2条1項
職業安定法5条の5

裁判年月日  平成26年12月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(レ)679号
事件名  損害賠償請求控訴事件
裁判結果  控訴棄却  文献番号  2014WLJPCA12118002

東京都中野区〈以下省略〉
控訴人 X
同訴訟代理人弁護士 東海林正樹
東京都渋谷区〈以下省略〉
被控訴人 株式会社Y
同代表者代表取締役 A

 

 

主文

1  本件控訴を棄却する。
2  控訴費用は、控訴人の負担とする。

 

事実及び理由

第1  控訴の趣旨
1  原判決を次のとおり変更する。
2  被控訴人は、控訴人に対し、112万4149円及びこれに対する平成25年5月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は、被控訴人との間で有料職業紹介契約を締結した控訴人が、被控訴人に対し、上記契約の債務不履行に基づく損害賠償請求として、既払報酬相当額等の損害賠償金合計123万4149円及びこれに対する平成25年5月25日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は控訴人の請求を全部棄却したことから、控訴人がこれを不服として控訴するとともに、第1の2のとおり、請求を減縮した。
1  争いのない事実
控訴人は、平成24年12月10日、有料職業紹介事業等を目的とする株式会社である被控訴人との間で、有料職業紹介基本契約(以下「本件職業紹介契約」という。)を締結し、柔道整復師の紹介を依頼した(なお、後記争点2記載のとおり、控訴人が依頼したのは保険請求事務をする技能を有する柔道整復師であるか否かについては争いがある。)。
被控訴人が控訴人に対して本件職業紹介契約に基づきB(以下「B」という。)を紹介したところ、控訴人は、Bを採用し、Bとの間で雇用契約を締結した。
控訴人は、平成25年5月1日、被控訴人に対し、本件職業紹介契約に基づく報酬として63万円(税込み)を支払った。
2  争点及び争点に関する当事者の主張
(1)  争点1(被控訴人に、柔道整復師法上の欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務の不履行があるか)
(控訴人の主張)
柔道整復師法において、窃盗の前科は欠格事由に該当し(同法4条3号)、上記欠格事由に該当する柔道整復師はその免許を取り消され得ることが規定されている。そして、欠格事由を有する柔道整復師はいつその免許を取り消されるか分からないのであり、特に、本件のように1名の有資格者を採用する場合には、当該有資格者の免許取消しは事務所の業務停止に直結するため、採用時にBに免許があったとしても事業が順調に進んで利益が上がるという見通しを立てることができない。本件職業紹介契約2条1項における「適切と判断」との文言については、被控訴人が主観的に適切と判断すれば足りると解釈すべきではなく、有償にて業務を請け負った者として責任ある判断をすることが前提とされており、客観的に適切であることを意味すると解釈すべきである。
このような観点からすれば、欠格事由を有する柔道整復師に対しては、いまだ免許が取り消されておらず営業行為が否定されていないとしても、自由な評価が可能な採用段階において、否定的な評価が下されるのであり、社会通念上、採用段階で前科という欠格事由が判明していれば当該欠格事由を有する有資格者を採用する雇用主はいない。本件においても、控訴人は、Bの欠格事由が判明していれば同人を採用することはなかった。
したがって、被控訴人は、本件職業紹介契約に基づき、柔道整復師法に定められた欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務を負う。
そうであるにもかかわらず、被控訴人は、Bに柔道整復師法上の欠格事由があるか否かを調査、確認することを怠り、控訴人に対し、同法上の欠格事由を有する柔道整復師であるBを紹介した。
以上によれば、被控訴人には、柔道整復師法上の欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務の不履行があるというべきである。
(被控訴人の主張)
被控訴人は職業紹介事業者として職業安定法の規制に服するところ、同法上、職業紹介業者は、法令に違反する内容ではない限り求職者の求職の申込みを拒否することができず(同法5条の5、5条の6第1項)、求職者に対する試問が許される場合も極めて限定されている(同法5条の6第2項)。また、本件職業紹介契約においても、被控訴人は、控訴人から依頼された求人情報に基づき被控訴人が適切と判断した人材を控訴人に紹介すれば足りるとされている(同契約2条1項)のであって、被控訴人には、本件職業紹介契約上、紹介する人材につき、客観的な適切性を調査すべき義務や客観的な適切性を保証すべき義務は課されていない。
以上によれば、被控訴人は、そもそも、本件職業紹介契約に基づき柔道整復師法に定められた欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務を負わないというべきであるから、被控訴人にその義務の不履行もない。
(2)  争点2(被控訴人に、柔道整復師の資格を有する者のうち保険請求事務をする技能を有する人材を紹介する義務の不履行があるか)
(控訴人の主張)
控訴人は、控訴人に対し、管理柔道整復師の紹介を依頼した。管理柔道整復師とは自己の名で保険請求をすることのできる者を指す言葉であり、控訴人は、保険請求事務をする技能を有する柔道整復師の紹介を依頼したのである。
したがって、被控訴人は、本件職業紹介契約に基づき、柔道整復師の資格を有する者のうち保険請求事務をする技能を有する人材を紹介する義務を負う。
そうであるにもかかわらず、被控訴人は、Bが保険請求事務をする技能を有するか否かを調査、確認することを怠り、控訴人に対し、上記技能を有しない柔道整復師であるBを紹介した。
以上によれば、被控訴人には、柔道整復師の資格を有する者のうち保険請求事務をする技能を有する人材を紹介する義務の不履行があるというべきである。
(被控訴人の主張)
否認ないし争う。柔道整復師の資格を保有する者は、保険請求事務をすることができるはずであり、被控訴人は、特段、保険請求をする技能を有する者という依頼はされておらず、単に柔道整復師の紹介を依頼されたにすぎない。控訴人は、Bが保険請求事務をこなすことができなかったとして、求職者の資質を問題としているようであるが、求職者の資質などは本件職業紹介契約の内容とはなり得ないし、そもそも控訴人が被控訴人に交付した求人票の「望ましい経験・スキル」欄にも「管理経験はなくても可」等の記載がある。
したがって、被控訴人は、そもそも、本件職業紹介契約に基づき柔道整復師の資格を有する者のうち保険請求事務をする技能を有する人材を紹介する義務を負わないのであるから、被控訴人にその義務の不履行もない。
(3)  争点3(損害の有無及びその額)
(控訴人の主張)
控訴人が被った損害額は、以下のアからエまでの合計額112万4149円である。
ア 紹介報酬金 63万円
イ 解雇予告手当 29万1954円
ウ 管理柔道整復師と柔道整復師の給与差額(2か月分) 10万円
エ 弁護士費用 10万2195円
(被控訴人の主張)
ア 争う。
イ 本件職業紹介契約12条2項は、損害賠償の額を、故意又は過失による場合を除き、控訴人が被控訴人に支払った紹介報酬金の総額をもって上限とすると規定していて、仮に被控訴人に債務不履行があるとしても、被控訴人の過失は軽微であり、故意又は重過失は存在しないといえるから、同条項により、控訴人の被控訴人に対する損害賠償額の上限は63万円である。
ウ 仮に被控訴人に債務不履行があるとしても、損害賠償額の算定においては、控訴人の過失が考慮されるべきである。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実等
証拠(甲1~5、9、10、乙1~3)及び弁論の全趣旨によれば、争いのない事実を含め、以下の事実が認められる。
(1)  控訴人は平成25年3月から東京都港区赤坂において整骨院を営む者であり(甲10)、被控訴人は職業安定法30条に基づく厚生労働大臣の許可を受けて有料の職業紹介事業を行う株式会社である(弁論の全趣旨)。
(2)  控訴人は、上記整骨院を開設するための準備として、平成24年11月ころ、被控訴人に連絡し、その約1週間後、被控訴人担当者と面談をして、紹介を求める人材の条件などを告げ、求人票(以下「本件求人票」という。乙1)を交付した(甲10)。
本件求人票の「募集職種名」欄には「管理柔道整復師」、「望ましい経験・スキル」欄には「柔道整復師資格取得後3年及び施術経験3年を経過したもの。管理経験は無くても可。レセプト作成経験があれば尚可。」、「求人理由」欄には「新規開業整骨院での管理柔道整復師募集」との記載がある。
(3)  控訴人は、平成24年12月10日、被控訴人との間で以下の内容を含む本件職業紹介契約を締結した(甲1)。
ア 本件職業紹介契約は、被控訴人が控訴人の募集する人材を紹介し、控訴人と求職者との間における雇用契約の成立を有償であっせんすること(以下「紹介業務」という。)について、基本的事項を定めることを目的とする。(1条1項)
イ 被控訴人は、控訴人から依頼された職位、職務条件等の人材求人情報に基づき、該当する候補人材を求め、適切と判断した人材を控訴人に紹介する。(2条1項)
ウ 控訴人は被控訴人が前条により紹介した人材を自ら選考の上、適当と認めた場合には、求人条件等に基づき採用する。この場合、被控訴人は控訴人に必要なアドバイスを行い、その他の採用選考の支援を行う。(3条)
エ 控訴人は、人材紹介の報酬として、被控訴人が紹介した人材を採用する場合、成果報酬金(控訴人が当該人材に支払う月給の2か月分。)及びその消費税相当額を支払う。(4条1項)
(4)  被控訴人は、控訴人に対し、本件職業紹介契約に基づき、柔道整復師の資格を有するBを紹介した。なお、被控訴人は、Bを紹介する際、柔道整復師法4条所定の欠格事由の存在を知らず、Bに上記欠格事由に該当する事実があるか否かを調査しなかった。
(5)  被控訴人は、平成24年12月10日にBと面談した結果、同人を採用することとし、同月14日にBとの間で基本賃金を月額35万円(ただし、試用期間に当たる2、3か月の間は月額30万円)として雇用契約を締結した(甲3)。
なお、控訴人は、Bとの間で上記雇用契約を締結するまでに、自らBに対して柔道整復師法4条所定の欠格事由に該当する事実があるか否かを調査、質問したことはなかった。
(6)  控訴人は、平成25年5月1日、被控訴人に対し、本件職業紹介契約に基づく人材紹介の報酬として63万円(税込み)を支払った。
(7)  控訴人は、Bから過去に自己破産したことがあることを告げられたことから、Bが自己破産した正式な年月日を知りたいと考え、平成25年5月6日ころにインターネットでBの姓名を検索したところ、偶然、Bが平成22年9月20日に窃盗の容疑で逮捕されたことを報道する地方版のa新聞の記事(以下「本件記事」という。甲4)を見つけた(甲10)。
(8)  控訴人は、平成25年5月15日ころ、Bに対し、本件記事の内容の真偽を確認したところ、Bは、本件記事が自己に関する真実の内容であることを認め、現在、窃盗罪の裁判確定後の執行猶予期間中であることを告げた。
上記時点まで、控訴人及び被控訴人は、Bの窃盗に関する上記事実を知らなかった。
(9)  控訴人は、平成25年5月24日、Bを解雇し、同人に対して解雇予告手当として29万1954円を支払った(甲5、9、10)。
なお、Bは、控訴人との間で雇用契約を締結した平成24年12月14日から平成25年5月24日までの間、柔道整復師法4条3号に該当することを理由として8条1項に基づき柔道整復師の免許を取り消されることはなかった。
2  争点1(被控訴人に、柔道整復師法上の欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務の不履行があるか)について
(1)  柔道整復師法において、窃盗の前科は欠格事由に該当するものの(同法4条3号)、すでに柔道整復師の免許を付与された者が欠格事由に該当するに至ったとしても、その免許は直ちに取り消されるわけではなく(同法8条1項)、将来において取り消される可能性があるにとどまる。このように、窃盗の前科という柔道整復師法上の欠格事由が存在することがBの柔道整復師としての免許喪失に直結するものではなく、Bの柔道整復師としての免許が取り消されるか否かは将来予測にわたる性質を有する事項である。求職者が前科等の欠格事由を有する場合、当該求職者を採用するか否かに関しては、欠格事由を有する求職者の将来にわたる労働力をいかに予測し評価するかという、求職者の雇用政策に直接関わる問題であるから、雇用主である控訴人自らが第一次的に調査、判断すべき事項であるというべきである。
そして、前記1の認定事実によれば、本件職業紹介契約において、被控訴人は、控訴人から依頼された職位、職務条件等の人材求人情報に基づき、該当する候補人材を求め、適切と判断した人材を控訴人に紹介し(本件職業紹介契約2条1項)、控訴人は被控訴人が紹介した候補人材を自ら選考の上、適当と認めた場合には、求人条件等に基づき採用する(本件職業紹介契約3条)ことが合意されている。本件職業紹介契約では、控訴人が被控訴人から紹介された候補人材を採用するか否かを最終的に自ら判断することを前提として、職業紹介事業者である被控訴人において、控訴人が依頼した人材求人情報を踏まえ、それに客観的に該当する者ならば候補人材として控訴人に対して紹介することが予定されていたといえる。
以上からすれば、本件職業紹介契約においては、候補人材の欠格事由の有無について控訴人からの具体的な調査依頼がない以上、職業紹介事業者である被控訴人としては、候補人材を紹介するに当たって、控訴人から依頼された職位、職務条件等の人材求人情報に該当するか否かを調査、確認する義務を負うにとどまり、本件職業紹介契約に基づき候補人材の欠格事由の存否を調査、確認すべき義務を負うことはないというべきである。
(2)  これに対し、控訴人は、採用段階で前科という欠格事由が判明していれば当該欠格事由を有する者を採用する雇用主はいないという社会通念が存在する以上、被控訴人は柔道整復師法に定められた欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務を負うと主張する。
確かに、雇用主は、人材の採用に当たって、その労働力を誤りなく評価し判断するために、それに必要な諸事項について関心を有しており、その一環として、前科の有無についてもその一資料として関心を払うことが多い。殊に、柔道整復師のように前科の存在そのものが法律上欠格事由として規定され労務遂行上の障害事情として問題となる場合には、前科の有無は職種との関連において当該人材の労働力評価に直接的な影響を与える重要な事項といえるから、雇用主にとっては、前科の存在は特に重要な関心事項の一つとなるということができる。
しかし他方で、前科を有する者の社会復帰実現のために、その雇用に積極的に取り組む民間の雇用主が現に存在し、また、そのような雇用主を支援する取組が社会全体として進められていることも当裁判所において顕著であり、前科という欠格事由の存在が免許喪失に直結しない柔道整復師の採否に関し、控訴人が主張するような、前科という欠格事由を有する者を採用する雇用主はいないという社会通念が存在するとはいえない。控訴人の上記主張は前提を欠き失当である。
(3)  本件では、控訴人は、本件記事を発見するまでは被控訴人に前科があるか否かについて関心を示していなかった。そして、控訴人は、本件職業紹介契約において、前科がないことを具体的に人材求人情報等に含めておらず、被控訴人に対して欠格事由の存否について調査することを依頼していなかった。
したがって、被控訴人は、本件職業紹介契約において、柔道整復師法上の欠格事由の有無を調査、確認して欠格事由のない人材を紹介する義務を負うとはいえない以上、被控訴人に上記義務の不履行は認められない。
3  争点2(被控訴人に、柔道整復師の資格を有する者のうち保険請求事務をする技能を有する人材を紹介する義務の不履行があるか)について
被控訴人は、本件職業紹介契約に基づき、控訴人から依頼された職位、職務条件等の人材求人情報に該当する候補人材を求め、適切と判断した人材を控訴人に紹介する義務を負うところ、上記1の認定事実のとおり、本件求人票には、「募集職種名」欄に「管理柔道整復師」、「望ましい経験・スキル」欄に「柔道整復師資格取得後3年及び施術経験3年を経過したもの。管理経験は無くても可。レセプト作成経験があれば尚可。」、「求人理由」に「新規開業整骨院での管理柔道整復師募集」との記載があることからすると、控訴人は、被控訴人に対し、保険請求事務を担当することを前提として人材の紹介を依頼したことが認められる。
もっとも、管理業務を行う柔道整復師が管理柔道整復師と通称されることはあるものの、柔道整復師法において柔道整復師という免許制度以外に管理柔道整復師という免許制度は規定されておらず、保険請求事務をするために管理柔道整復師という資格が必要なわけではないから、柔道整復師であれば誰でも保険請求事務を行うことができる。また、本件においては、本件求人票にレセプト作成経験があればより好ましい旨の記載があるにとどまり、レセプト作成経験を有することが必須であったわけでもない。このように保険請求事務の経験が全くなくともよいという採用条件が示されている以上、控訴人の被控訴人に対する柔道整復師の紹介依頼の具体的内容としては、柔道整復師の免許を有する者の紹介依頼にとどまり、保険請求事務をする技能があることは控訴人において採用を考慮する際の一要素にすぎないということができる。したがって、仮に結果的に保険請求事務が円滑に処理できないことがあったとしても、それは被控訴人の債務不履行を意味するものとはいえない。
以上によれば、被控訴人に控訴人主張の不履行は認められない。
4  結論
以上の次第であり、その余の争点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理由がない。したがって、控訴人の請求を全部棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないこととなるから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 佐久間健吉 裁判官 戸室壮太郞 裁判官 伊藤渉)

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。