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「成果報酬 営業」に関する裁判例(14)平成29年 4月18日 高松地裁 平27(ワ)198号 割増賃金等請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(14)平成29年 4月18日 高松地裁 平27(ワ)198号 割増賃金等請求事件

裁判年月日  平成29年 4月18日  裁判所名  高松地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)198号
事件名  割増賃金等請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2017WLJPCA04186002

要旨
◆元代表取締役、元従業員による割増賃金、賞与・退職金、損害賠償等の請求がいずれも棄却された例

参照条文
労働基準法114条
会社法350条

裁判年月日  平成29年 4月18日  裁判所名  高松地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)198号
事件名  割増賃金等請求事件
裁判結果  請求棄却  上訴等  確定  文献番号  2017WLJPCA04186002

神戸市〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
神戸市〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
高松市〈以下省略〉
原告 X3(以下「原告X3」という。)
上記3名訴訟代理人弁護士 村尾真大
高松市〈以下省略〉
被告 Y社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 玉井邦芳

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告X1に対し,801万0677円及び内382万3133円に対する平成25年12月27日から支払済みまで年14.6%の割合による金員,内418万7544円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告X2に対して,488万3978円及び内244万3837円に対する平成26年1月21日から支払済みまで年14.6%の割合による金員,内244万0141円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告X3に対して,407万2151円及び内211万9068円に対する平成26年1月21日から支払済みまで年14.6%の割合による金員,内195万3083円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告らが,被告に対し,原告らと被告との間の労働契約に基づき,①時間外労働等による平成25年3月から12月までの割増賃金,②労働基準法114条に基づく付加金,③平成25年の冬季賞与及び④退職金を請求し,⑤いわゆるパワーハラスメントによって精神的苦痛を受けたことを理由とする不法行為,債務不履行(安全配慮義務違反)又は会社法350条に基づく慰謝料及び弁護士費用相当額の損害賠償を請求するとともに,上記①及び③については,原告らが退職した日の翌日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律6条1項に基づき年14.6%の割合による遅延損害金,上記②,④及び⑤については,本判決確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。
1  前提事実(争いのない事実及び後掲証拠により容易に認めることができる事実)
(1)  当事者
ア 被告は,コンピューターによる各種通信システム・流通システム等のコンサルタント業務等を目的とする特例有限会社であり,平成13年5月10日に設立した(設立時の商号はa社・甲1)。実際には,インターネットを利用した小売業(ネットショップの運営)を主たる業務として行っていた(甲18,21)。
イ B(以下Bという。)は,被告設立時の代表取締役であり,平成17年1月に代表取締役を辞任した後も,平成25年10月10日まで被告の取締役であった。また,当時,被告の発行済み株式の85%を有していた。なお,現在の被告代表者はBの子である(甲1,21,乙9)。
ウ 原告X1は,平成23年4月1日に被告に雇用され,平成25年9月1日から被告の代表取締役として登記されていたが(甲1),平成25年12月26日,被告を退職した。
エ 原告X2は,平成25年3月1日,同日設立したBが全株式を保有するb社(以下b社という。)の代表取締役に就任し,平成26年1月20日,辞任した(甲6,19)。
オ 原告X3は,平成24年3月14日から平成26年1月20日まで被告に雇用されていた。
(2)  被告には,就業規則がなく,賞与や退職金の支給について定めた規定も存在しない。
(3)ア  原告X1は,平成25年3月から同年12月まで,毎月,被告から基本給13万円,残業手当1万5000円,技能手当4万円,役職手当6万円の合計24万5000円が支給され,平成25年8月分までは社会保険料(健康保険料,厚生年金保険料,雇用保険料),所得税及び家賃が控除されていたが,平成25年9月分以降,雇用保険料は控除されていない(甲5〔枝番含む〕)。
イ  原告X2は,平成25年3月から同年12月まで,毎月,b社から基本給15万円が支給され,健康保険料,厚生年金保険料及び所得税が控除されていた(甲5の10)。また,同期間,毎月,被告から基本給15万円が支給され,所得税が控除されていたが,社会保険料は控除されていない(甲5〔枝番含む〕)。
ウ  原告X3は,平成25年3月から同年12月まで,毎月,被告から基本給13万円,残業手当3万8000円の合計16万8000円が支給され,社会保険料及び所得税が控除されていた。また,同年3月及び4月は成果報酬として各2万円が支給されていた(甲5〔枝番含む〕)。
2  争点
(1)  平成25年9月1日以降も,原告X1と被告との間に労働契約関係があったか。
(原告X1の主張)
原告X1は,平成25年9月1日に代表取締役として登記された後も,被告の実質的な経営権を握っていたBの指揮命令の下,業務を遂行し,それ以前と支給される給与の額は変わらず,残業手当も支給されていたから,原告X1と被告との間には労働契約関係があった。
(被告の主張)
原告X1は,平成25年9月1日以降,被告の代表取締役であり,被告との間に労働契約関係はない。Bと原告X1とは,経営塾の師弟ともいうべき関係にあり,Bが経営塾長的な立場で指導,助言することはあったが,使用者と労働者の関係ではない。
(2)  原告X2と被告との間に労働契約関係があったか。
(原告X2の主張)
原告X2は,被告の実質的な経営権を握っていたBの指揮命令の下,被告事務所へ出勤し,被告のための業務を遂行し,被告から給与を支給されていたから,原告X2と被告との間には労働契約関係があった。
(被告の主張)
原告X2と被告との間に労働契約関係はない。Bと原告X2とは,経営塾の師弟ともいうべき関係にあり,Bが経営塾長的な立場で指導,助言することはあったが,使用者と労働者の関係ではない。原告X2はb社の代表取締役であったが,新会社で業績がなく,十分な役員報酬が支払えなかったことから,名目上,被告からも給与を支給するよう経理処理を行っていたに過ぎない。
(3)  原告らの時間外労働の有無。
(原告らの主張)
原告らは別表1から3までの残業代等計算表のとおり時間外労働に従事した。被告は,労働時間の管理を怠っていたのであり,また,被告事務所の入退室記録の開示を拒み原告らの立証活動を妨害しているのであるから,原告らの立証が不十分であったとしても,これを原告らに不利に扱うべきではない。
(被告の主張)
原告らが時間外労働に従事したことは否認する。原告らの出勤時間,退勤時間は区々であったし,時間外労働があったとしても,被告は原告X1及び原告X3に対して定額で残業手当を支給しており,その枠内に収まる。被告は,被告従業員に関しては労働時間の管理をしていたが,それらの資料が全くないのは,原告らが,総務,財務のデータ,資料等を破壊・収奪したためであり,むしろ原告らの責めに帰すべき事情である。また,入退室記録は,被告の重要な保安情報であり,原告らに取得させるわけにはいかない。
(4)  原告らの賞与及び退職金請求権の有無。
(原告らの主張)
被告においては,従業員である原告らに冬季賞与を与えることが慣行になっていた。平成25年の冬季賞与も被告の慣行に従って支払われる予定があり,平成25年10月10日にBから被告従業員らに送信されたメールに冬季賞与を支払う旨の記載があったことから,原告X1に150万円,原告X2に100万円,原告X3に100万円の冬季賞与を支払うことが決定された。
また,上記Bのメールには退職金を支払う旨の記載があったことから,原告X1に100万円,原告X2に50万円,原告X3に50万円の退職金を支払うことが決定された。
(被告らの主張)
原告X1は被告代表取締役であるところ,賞与及び退職金を支給する旨の株主総会決議はない。原告X2は,被告と労働契約関係がなく,賞与及び退職金を支給する根拠がない。
被告には,賞与及び退職金について定めた就業規則等は存在しない。過去に被告から原告X1・原告X2に寸志的なものを支給したことはあるが,金額は区々で,そもそも賞与と呼べるようなものではなく,賞与支給の労使慣行は存在しない。Bが平成25年10月10日,被告の解散を前提に賞与及び退職金を支払うような内容のメールを送信したのは事実であるが,被告は解散しておらず,賞与及び退職金支給の前提を欠く上,同メールによっても具体的な金額は明らかではなく,賞与及び退職金支給の根拠とはなり得ない。
(5)  Bによる原告らに対するパワーハラスメントの有無,及びBの行為についての被告の責任
(原告らの主張)
被告は,原告らに対し,長時間の残業をさせてきた上,被告の実質的な経営権を握っていたBは,深夜,自宅にいる原告らに対しても,メールや電話等で業務指示を行うなどした。
Bは,原告X1に対して,平成25年10月11日,「貴方にすべての罪があります。」,「子供の遣いのような融資を受けたからといっていい気になるな。」という威圧的な内容のメールを送付するなどして,叱責した。
また,原告X2が休日にボウリングをした様子をフェイスブック上に掲載したところ,Bから「オイオイ。今日は過去最低だぞ!」,「販売本部!雁首そろえて待っときな!と伝えといて」などと嫌味をいうようなコメントを付けた。
原告らは,以上のような過剰な業務負担,Bからの威圧的な言動等により,精神的損害を被った。
被告は,実質的な経営者であるBの威圧的な言動や過剰な業務負担を防止せず,労働者の生命・健康等を危険から保護するように配慮すべき義務,適切な職場環境を整える義務に違反したもので,不法行為責任,債務不履行責任又は会社法350条に基づく責任を負う。
(被告の主張)
Bのメール等での言動は,その内容や経緯に照らして受忍限度内のものであり,何らかの不法行為が成立することはない。
Bは被告の株主に過ぎず,Bの原告らに対する言動について,被告が何らかの防止義務を負うわけではなく,被告が責任を負う法的根拠は存在しない。
第3  争点に対する判断
1  前記前提事実,証拠(甲18から21まで,乙9,10,証人B,証人C,証人D,X1,原告X2,原告X3),後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。
(1)  Bは,被告設立時の代表取締役だったが,自身が破産し,融資を受けることが困難であったため,平成17年1月に代表取締役を辞任した。次いで,当時Bと内縁関係にあり,被告設立時の取締役副社長であったD(以下Dという。)が代表取締役に就任したが,Dも破産したため,平成21年3月に代表取締役を辞任した。以後,被告の代表取締役は,かつてBと共に仕事をしたことのあるC(以下「C」という。),Eと順次交代した。
Bは,当時,被告の発行済み株式の85%を有しており,被告以外にも複数の会社の主要株主となっていた。被告は,こうした会社を通じて経営塾のような活動も行っており(乙8),原告X1や原告X2はBの教え子であった。原告X1は,大学在学中から被告でアルバイトをしていたところ,大学卒業後,Bの誘いを受けて,被告に入社し,平成25年9月1日,被告の代表取締役に就任した。
Bは,平成17年1月に代表取締役を辞任した後も,平成25年10月10日まで被告の取締役であった。
上記のとおり,Bが被告の代表取締役を辞任したのは自身の破産によって融資を受けることが困難になったためであるが,その後被告の代表取締役に就任したのはいずれもBと近しい人物であり,Bは,少なくとも平成25年10月10日までは,実質的に被告の経営に関与していたものと認められる。
(2)  平成25年9月頃,原告らとBとの関係が悪化し,Bは,かつて共同して事業を行ったことのあるF(以下「F」という。)が,D,原告X1及び原告X2と共に被告の乗っ取りを計画していると感じるようになった。D,原告X1及び原告X2は,平成25年10月9日,Bを被告事務所に呼び出し,その場でBを批判するなどして,口論になった。その場にFもおり,Bに対して,被告への関与をやめるように言った。
(3)  Bは,平成25年10月10日,Dや原告らが宛先に入ったメーリングリストに宛てて,以下の内容(一部抜粋)のメールを送信し,被告の取締役を辞任した。
「皆さんからも私という人間は本当に信用がないこともよくわかりました。」「皆さんを心の底から信じていましたけど,もうお互いに信用する事すら無理だと思います。」「年末商戦では頑張っただけの最終利益の全額を皆さんへお支払いします。取締役は税法上で賞与支給ができないので副社長の被告従業員口座などを経由してでもお支払いしてください。」「年末商戦終了後,現在の事業継続を全て打ち切る事といたしました。」「1月からは全店舗を閉鎖して残務処理をおこなってください。」「グループ全社(高松)で,私は全責任を取って本日付けで取締役を辞任いたします。」「そして全てのグループ会社は,需要が激減する事が予想されている消費税増税前の今から半年以内に,良いタイミングを見計らってグループ全ての会社を清算し,解散の手続きをお願いします。」「その後で皆さんの辞任,退職をお願い申し上げます。皆さんが困らないように少しでも多くの退職金をお支払いしてください。各自への金額は副社長にお任せします。」「私は,cグループの被告,d社,b社の3社の取締役に就任し現在に至りました。しかるにこのたび,一身上の都合により,取締役を辞任いたします。」「冬のボーナスは贈与税の事も考慮して支給してあげてください。」(甲12,13)
(4)  Bは,平成25年10月11日,原告X1に対して,「今回の一連の騒動の犯人は貴方だったのですね。」という件名で,以下の内容のメールを送信した。
「私が何に激怒りをしているのかわかってませんよね。理解していますか?」「それは貴方にすべての罪があります。また,その自覚をもってないことが大きな罪です。」「貴方は組織を束ねるには,まだ若いが,基本的な事で親を売る貴方への信用は完全にゼロとなっていることが理解できないのですか?」「今の貴方はまったく信用できません。少しだけスーパーセールや優勝セールで数字が稼げたり,子供の遣いのような融資を受けたからといっていい気になるな。」(甲14)
(5)  Gは,平成25年11月3日,Bの自宅を訪れ,覚書(乙3)を示した。覚書には,Bの保有する被告の株式や被告に対する全ての権利を第三者(覚書上は空欄となっている。)に譲渡し,被告からその代償として金員(覚書上は金額が空欄になっている。)を支払うことや,Bと被告とが相互に一切関与してはならない旨の記載があり,末尾に当事者として,Bと被告代表者としての原告X1の氏名が記入されており,仲裁人としてFの氏名が記入されていた。Fは,Bに対して,覚書に押印し,被告の株式を原告X1に譲渡することを求めた。
(6)  Bは,平成25年12月26日,Cや弁護士を伴い,被告事務所を訪れた。その時,原告X1とDは出張中で不在であった。Bは株主総会決議があったとして,原告X1を代表取締役から解任することを宣言した。Cは,電話で,原告X1にその旨を伝えた。
同日,Cが被告の代表取締役に,Bが被告の取締役にそれぞれ就任した(甲1)
(7)  Dは,平成25年12月27日,被告の口座から840万円を引き出し(乙2),被告から給与支給明細書(甲5〔枝番含む〕),給料支払明細書(控)(甲10),平成24年分年末調整一覧表(甲16)などの書類を持ち出した。
D及び原告らは,平成26年1月20日,弁護士を通じて,被告に対し,原告X2が同日付でb社の代表取締役及び取締役を辞任すること,原告X3が同日付で被告を退職することなどを伝えた(甲6,乙11)。
その後,Dは,Fが代表取締役を務め,被告と同様のインターネット小売業を主たる業務とするGの取締役となり,原告らは,同社に雇用された。当初,高松市内で営業していたが,その後,拠点を神戸市に移した。
(8)  原告らは,平成27年3月26日,被告に対し,時間外労働分の未払賃金及び平成25年の冬季賞与を請求する内容証明郵便を発送し,同月27日,被告に到達した(a社・7,8)。
2  争点(1)(平成25年9月1日以降も,原告X1と被告との間に労働契約関係があったか。)について
(1)  原告X1は,代表取締役として登記された平成25年9月1日以降も,一切の権限は与えられておらず,Bの指揮命令を受けて業務に従事していた旨供述し,原告X1と被告との間に労働契約関係があったと主張する。
(2)  しかし,前記1の認定事実によれば,平成25年9月頃には原告X1とBとの関係が悪化し,Bは,同年10月10日に,原告らとの間に信用がなくなったなどとして被告を解散する旨のメールを送信するとともに,被告の取締役を辞任し,同年12月26日,弁護士を伴い被告事務所を訪れて原告X1を解任しており,こうした経緯を踏まえれば,少なくとも同年10月10日以降,Bの指揮命令を受けて業務に従事していたという原告X1の供述は信用できない。現に,Bは,これまで原告X1の自宅パソコンにメッセージで業務上の連絡をしていたが,平成25年10月10日を境に途絶えており(甲17),原告X1自身も,本人尋問において,同日前後から,Bの連絡を無視し,指示を聞かないこともあった,誰の指示も受けずに自身の判断で業務を行っていたなどと自認するところである。
加えて,原告X1は平成25年9月1日以降,被告の代表取締役として経済紙のインタビューに応じ(乙7),また,政策金融公庫に自ら出向き,現に800万円の融資を受け,その連帯保証人になるなど(原告X1),代表取締役として業務を行っていたと認められる。他方で,残業手当の支給があること等原告X1が主張する事情は,原告X1と被告との間の労働契約関係の存在を推認するに足りない。
(3)  以上のとおりであるから,上記原告X1の供述は信用できず,他に,原告X1と被告との間に労働契約関係があったと認めるに足りる証拠はない。
3  争点(2)(原告X2と被告との間に労働契約関係があったか。)について
(1)  証拠(甲19,原告X2)によれば,原告X2は,平成25年3月1日から,被告事務所において,被告が販売した商品の梱包,出荷等の業務を行っていたことが認められるけれども,他方,被告Bはb社の代表取締役であり,被告事務所とb社の事務所は同一の建物にあったこと(証人B),b社は物流出荷業務を主たる業務とし,主として被告から業務委託されていた(証人B,原告X2)ことを踏まえると,原告X2が,被告事務所において,被告の商品の出荷業務等に従事していたことをもって,原告X2と被告との間に労働契約関係があったと推認することはできない。
(2)  また,前記前提事実(3)イによれば,原告X2はb社からだけでなく,被告からも月15万円が支給されていたことが認められるけれども,被告からの支給については,社会保険料の控除がなく,b社の役員報酬だけで足りない分を,被告からの支給という形式で補っていたとみる余地もあり,いずれにせよ,原告X2が被告に雇用されていたと推認するには足りない。
(3)  他に,原告X2と被告との間に労働契約関係があったと認めるに足りる証拠はない。
4  争点(3)(原告らの時間外労働の有無)について
(1)  前記3のとおり,原告X2については,被告との間に労働契約関係があったとは認められないので,その余の点について判断するまでもなく,割増賃金及び付加金の請求は理由がない。他方,原告X1は,平成25年9月1日に代表取締役に就任するまでは被告に雇用されていたと認められるから,原告X1及び原告X3について判断する。
(2)  勤怠報告書(甲2から4まで)は,被告が労働時間管理に用いていたものではなく,原告らが平成27年5月22日に本訴を提起するに先立ち,自身の記憶に基づいて作成した(原告X1,原告X2,原告X3)というのであるから,客観的な資料とは言い難く採用できない。
(3)  原告らは,被告が被告事務所の入退室記録の開示を拒み,原告らの立証活動を妨害したというが,入退室記録から直ちに原告らの個々の出退勤時刻が明らかになるわけではなく,開示を拒んだことが直ちに立証活動の妨害とは評価できない。また,被告が従業員の労働時間を管理していたとは認められないものの,原告らの時間外労働を概括的に推認させる証拠すらない以上,原告らの主張は採用できない。
(4)  よって,原告X1及び原告X3についても,割増賃金及び付加金の請求は理由がない。
5  争点(4)(原告らの賞与及び退職金請求権の有無)について
(1)  前記2のとおり,原告X1について,平成25年9月1日以降,被告との間で労働契約関係があったとは認められず,前記3のとおり,原告X2についても,被告との間で労働契約関係があったとは認められないから,原告X1及び原告X3については,その余の点について判断するまでもなく,労働契約に基づく平成25年の冬季賞与及び退職金の請求は理由がない。以下,原告X3について判断する。
(2)  前記前提事実(2)のとおり,被告には,就業規則がなく,賞与や退職金の支給について定めた規定も存在しない。原告らは,慣行として冬季賞与の支払があったと主張するが,証拠(甲9から11まで)により認められる過去の支給額は,原告X1に対して,原告X1がアルバイトをしていた平成22年12月末の寸志1万円,平成23年12月の寸志5万円,平成24年12月のボーナス42万円,原告X3に対して,平成24年12月の寸志12万円であり,その金額は区々で,支給条件や支給基準も明らかではなく,他に,被告に冬季賞与の支払義務を認める程の労使慣行があったと認めるに足りる証拠はない。
(3)  Bの前記1(3)のメールには,賞与及び退職金を支払うように指示する旨の記載があるが,同メールにおいても賞与及び退職金の具体的な金額は定まっておらず,また,いずれも被告を解散することが前提のものであり,同メールをもって,原告X3の被告に対する具体的な賞与及び退職金の請求権を基礎づけるものではない。他に,原告X3と被告との間で,賞与及び退職金を支払う旨の合意があったと認めるに足りる証拠もない。
6  争点(5)(Bによる原告らに対するパワーハラスメントの有無,及びBの行為についての被告の責任)について
(1)  原告らが主張する過剰な業務負担,Bからの威圧的言動については,これを認めるに足りる証拠はない。
(2)  原告X1は,Bの前記1(4)のメールをもって,精神的苦痛を受けたと主張するが,同メールは,その内容や前記1記載の経緯に照らして,Bが,これまで会社経営について指導・助言してきた原告X1がFと共に被告を乗っ取ろうとしていると考え,裏切られたとの思いから送ったものと認められる。その経緯や内容,同メールを送信した時点でBと原告X1は互いに信用を失うほどに関係が悪化していたことを踏まえると,同メールをもって直ちに,原告X1に金銭賠償を必要とするほどの精神的苦痛があったと認めるに足りず,もとより,取締役を辞任した後のBの行為について,被告が不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償責任を負ういわれはない。
(3)  証拠(甲15)によれば,平成25年5月18日未明,原告X2が,原告X1及び原告X3と勤務時間外にボウリングをしている写真をフェイスブック上に掲載したところ,Bから「オイオイ。今日は過去最低だぞ!」,「販売本部!雁首そろえて待っときな!と伝えといて」などとコメントを付けた事実が認められるが,その内容から直ちに,原告X2に金銭賠償を必要とするほどの精神的苦痛があったと認めるに足りず,もとより,原告X2と労働契約関係のない被告が不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償責任を負ういわれはない。
(4)  なお,原告らは,被告の会社法350条に基づく責任をも主張しているが,Bは当時被告の代表者ではなく,主張自体失当である。
7  以上のとおりであるから,原告らの請求はいずれも理由がないため,主文のとおり判決する。
高松地方裁判所民事部
(裁判官 溝渕章展)

 

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