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「成果報酬 営業」に関する裁判例(13)平成29年 6月 7日 東京地裁 平27(ワ)15003号 株主権確認請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(13)平成29年 6月 7日 東京地裁 平27(ワ)15003号 株主権確認請求事件

裁判年月日  平成29年 6月 7日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)15003号
事件名  株主権確認請求事件
文献番号  2017WLJPCA06078001

裁判年月日  平成29年 6月 7日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)15003号
事件名  株主権確認請求事件
文献番号  2017WLJPCA06078001

東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 的場徹
同 服部真尚
同 大塚裕介
同 川口綾子
同 小杉健太郎
同 的場遥
東京都江戸川区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 酒井将
同 浅野健太郎
同訴訟復代理人弁護士 吉川栄輔
同 藤井真事

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
原告が被告の株式90万株を有する株主であることを確認する。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,原告が被告の株式90万株を有する株主であることの確認を求める事案である。
1  前提事実(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実のほかは,当事者間に争いがない。)
(1)  被告は,平成17年12月22日設立された,成果報酬型広告サービスの運営,インターネットを利用したマーケティング活動に係るコンサルティング及び情報提供サービス等を目的とする株式会社であり,平成27年4月24日株式会社東京証券取引所マザーズ市場に上場した。被告の株式を譲渡するには取締役会の承認を要することとされていたが,当該定めは平成26年12月26日廃止された。A(以下「A」という。)は,被告の設立以来代表取締役の地位にある。(甲1(枝番号を含む),2,3,11,乙14)
(2)  被告の資本金の額及び発行済株式総数の変遷は以下のとおりである。(甲1(枝番号を含む),7,乙14)
ア 設立時 資本金の額10万円 発行済株式総数2株
イ 平成18年2月10日
資本金の額1000万円 発行済株式総数200株
ウ 平成18年8月10日
資本金の額1900万円 発行済株式総数380株
エ 平成19年8月30日
資本金の額5400万円 発行済株式総数394株
オ 平成19年11月7日
資本金の額9400万円 発行済株式総数410株
カ 平成25年4月18日
発行済株式総数1万0250株
(1株につき25株の割合による株式分割による)
キ 平成27年1月1日
発行済株式総数205万株
(1株につき200株の割合による株式分割による)
ク 平成27年4月23日
資本金の額3億9104万5000円
発行済株式総数241万9000株
ケ 平成27年5月29日
資本金の額4億3532万円
発行済株式総数247万4000株
コ 平成27年6月30日
資本金の額4億3601万3000円
発行済株式総数257万2400株
サ 平成27年10月1日
発行済株式総数771万7200株
(1株につき3株の割合による株式分割による)
シ 平成28年6月30日
資本金の額4億3896万8000円
発行済株式総数782万2200株
(3)  原告は,被告の事業の立ち上げに協力してきたB(以下「B」という。)からAを紹介され,平成18年8月10日,400万円を出資して被告の株式80株を引き受けた。また,Bも同日,新株を引き受け,同日時点で被告の株式80株を保有するに至った。(甲1の2,5,6,20)
(4)  被告は,株式の上場の準備を進めていたところ,主幹事証券会社であるIPO証券株式会社(以下「IPO証券」という。)の担当者C(以下「C」という。)から,平成18年11月頃,原告が反社会的勢力に該当し,このままでは上場ができないことを伝えられた。(乙12,13,証人C,被告代表者)
(5)  Aは,原告に対し,平成19年2月17日300万円を振込送金し,Bは,原告に対し,同月19日100万円を振込送金した。(乙1,11)
(6)  Bは,ジャフコV2共有投資事業有限責任組合無限責任組合員株式会社ジャフコに対し,平成19年2月15日,同月16日を受渡日として,被告の株式20株を1株250万円,総額5000万円で譲渡する旨の契約を締結した。これに先立ち,被告からBに対し,前記譲渡に関するBの譲渡承認請求が被告の取締役会において承認された旨の同月6日付けの株式譲渡承認書が交付された。また,Bは,同年9月,同月27日を受渡日ないし譲渡日として,投資事業組合オリックス11号業務執行組合員オリックス・キャピタル株式会社に対し被告の株式40株を,朝日生命キャピタル2005投資事業組合業務執行組合員朝日生命キャピタル株式会社に対し被告の株式12株を,りそなキャピタル株式会社に対し被告の株式8株をいずれも1株250万円,総額1億5000万円で譲渡する旨の契約を締結した。これに先立ち,被告からBに対し,前記各譲渡に関するBの譲渡承認請求が被告の取締役会において承認された旨の同月21日付けの株式譲渡承認書が交付された。これらのBの株式の譲渡については,Bから売却先との交渉を依頼されたAがまとめたものであった。(甲12ないし19,被告代表者)
(7)  BがAに対し,平成21年9月30日を譲渡日として被告の株式20株を1株20万円,合計400万円で譲渡する旨の同月10日付けの株式売買契約書(乙4),Bの前記譲渡に関する同日付けの被告あて株式譲渡承認請求書(乙5)が存在し,AはBの預金口座に,同月30日,400万円を振り込んだ。これによりBの同口座の預金残高は合計401万0498円となったが,同日全額が引き出されている。(甲23,乙4ないし6)
(8)  被告が株式会社東京証券取引所に平成27年3月23日提出した「新規上場申請のための有価証券報告書」の「株主の状況」に関する項目には,Aが147万株(株式総数に対する所有株式数の割合65.49%)を有する筆頭株主として記載され,以下合計30名余りの株主名が記載されているが,原告の株主としての記載はない。(甲7)
(9)  原告は,被告に対し,代理人弁護士を通じ,平成27年4月9日,原告は平成18年8月,80株を保有する株主となり,その後20株についてBを経由してAに売却したため,60株を保有する株主となったが,公表されている被告の有価証券報告書に原告が株主として報告されていなかったことに驚愕しており,原告の保有する株式は被告の2度にわたる株式分割を経て30万株となっているはずであるから,30万株の株主であることの確認,株主名簿及び有価証券報告書の内容の訂正を求めるとする内容の書面を送り,平成27年4月21日,A個人に対しても,上記書面と同趣旨の内容の書面を送った。
これに対して,被告(代表取締役A)は,上記2通の書面に関し,同月22日付け書面をもって,株主名簿については有価証券報告書記載のとおりであり,内容に誤りがないことを確認したため,対応できかねる旨の回答をした。(甲8(枝番号を含む),9(枝番号を含む),10)
2  争点及び当事者の主張の要旨
(原告の主張)
ア 原告による株式の保有
(ア) 原告は,平成18年8月10日,被告の株式80株を保有する株主となり,平成21年9月,そのうち,20株をAに400万円で譲渡し,その時点で60株を保有する株主となった。
その後,原告の保有する株式数は平成25年の株式分割により60株から1500株に,平成27年1月の株式分割により1500株から30万株に,同年10月の株式分割により90万株となった。
(イ) 原告が平成19年に株式をA及びBに譲渡したことはない。原告は,平成18年12月頃,Aから被告の主幹事証券会社から原告が反社会的勢力である可能性があり,原告が株主でいる限り被告の株式の上場は難しいと言われていることを告げられた。原告は,反社会的勢力とは無縁であったが,Aから主幹事証券会社の要求に応えるために,原告が保有する被告の株式80株を実質的には原告が保有し続けるものの,形式的にはAが取得して株主となること,すなわち名義貸しをすることを提案され,平成19年1月24日,最終的に60株をAに,20株をBに分散して名義を移すことにして同意した。その謝礼としてAから300万円,Bから100万円を受領した。これは,「形式的な」株式の名義書換えに応じることに対する謝礼であり,株式譲渡の対価ではない。
仮に株式が譲渡されていたとすれば,処分証書たる株式譲渡証が作成されたはずであり,また,当時被告は株式譲渡に取締役会の承認が必要とされる閉鎖会社であったから,売主たる原告から株式譲渡の承認の申立てがされ,その旨の取締役会の承認の議決がされなければならなかったはずである。株式譲渡承認書の交付がないのは株式譲渡の事実がなかったからである。原告もAもBも被告の株式の価格が1株250万円であることを当然の前提として対応を協議していたのであり,1株5万円で売買契約を締結するはずがない。
平成21年9月10日のAに対する株式の400万円での譲渡は,原告がB名義で保有していた原告の株式の譲渡である。BはAから振り込まれた400万円を原告に交付した。
イ 被告の予備的主張について
原告による説明義務違反,被告による解除について事実は否認し,主張は争う。
(被告の主張)
ア 原告による株式の保有について
被告は,平成18年11月頃,当時の主幹事証券会社から原告は反社会的勢力に該当する人物である可能性があり,このまま原告を株主として株主名簿に記載しておくと上場を果たせないとの指摘を受けて,A,原告及びBで協議を行った。その結果,原告は,平成19年2月17日,Aに対し,原告が保有する株式80株のうち60株を300万円で譲渡し,同月19日,Bに対し,残りの20株を100万円で譲渡した。主幹事証券会社から原告が株主であったことをうかがわせる証拠を残さないようにという指摘があったため,原告からA及びBに対する株式の譲渡に関する取締役会の承認は書面化されていないが,同月6日の定例取締役会で承認決議がされた。また,原告からは明示的に譲渡承認請求があり,または黙示的に譲渡承認請求がされているというべきである。
形式的な名義変更では反社会的勢力との関係を排除することを達成できず,被告がそのような方法を採用するはずはない。
イ 解除(予備的主張)
(ア) 新株の引受人は,新株引受契約を締結する際に株式会社に対して自身が反社会的勢力に関係していればもちろんのこと,反社会的勢力との関係が疑われている事情があれば,その属性情報を会社に対して説明する信義則上の義務(説明義務)を負っている。原告は,自身に対する疑惑の報道が繰り返されていたにもかかわらず被告に対して属性情報に関して何らの説明も行わず新株引受契約を締結しているのであるから,原告には説明義務違反が存在する。よって,被告は,平成19年2月17日,民法543条に基づいて又は同法570条,567条の趣旨に基づいて新株引受契約の解除(黙示の意思表示を含む。)を行った。原告の説明義務違反は被告にとって上場という目的達成に重大な影響を与えるものであるから,解除事由を構成する。これにより契約は遡及的に無効となり(同法545条),被告は400万円の原状回復義務を負ったが,自社株取得の過程で原告が株主であったことや原告への被告からの送金が証拠として残ってしまうことを避けるため,A及びB経由で原告に400万円を返還した。
(イ) 原告と被告との新株引受契約は,上場審査において,上場の支障となるような者を株主とすることができないこと,すなわち,「原告が,反社会的勢力に該当しないこと及び反社会勢力に関与している疑いがないこと」という条件が黙示的に表示され,また,当然の前提とされていた。さらに,およそ株式会社であれば反社会的勢力に関する者が自社の株主となることは望まないことから,引受条件に関する錯誤は新株引受契約の重要な核心部分であり,法律行為の要素の錯誤に外ならない。よって,同契約は錯誤によって無効である(民法95条)。その際被告が負った原状回復義務の返還方法は前記(ア)で述べたところと同様である。
第3  当裁判所の判断
1  後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,原告が平成18年8月に取得した被告の株式80株に関し,以下の事実が認められる。
(1)  Aは,Bが開発した,広告主と広告掲載媒体運営者間の仲介として成果報酬額の調整,確定した成果報酬の回収,支払管理等を行うことを内容とするアフィリエイトサービスプロバイダシステムに係る事業を譲り受けて被告を設立し,その設立当初から株式の上場を目指していた。Aは,Bから金融業界の有力者として原告の紹介を受け,原告は,平成18年8月,前記前提事実(第2の1(3))記載のとおり被告に400万円を出資して80株を取得した。(甲20,乙13,弁論の全趣旨)
(2)  被告は,株式上場に向けて,IPO証券を主幹事証券会社として契約を締結して上場準備を進めていた。IPO証券が平成18年11月頃,その準備の一環として,被告の株主について反社会的勢力に該当するか否かのチェック(以下「反社チェック」という。)を株式会社エス・ピー・ネットワークに依頼したところ,原告のみが該当するという結果になった。(乙12,証人C)
(3)  そこで,IPO証券の担当者であったCは,Aに対し,原告が反社チェックに引っ掛かり,このまま原告を株主として残しておいては上場はできないことから原告を株主から外すように伝え,また,原告が株主であったことを示すような契約書や書類は残らない方がいい旨も伝えた。(乙12,13,証人C,被告代表者)
(4)  Aは,Bに対し,平成18年12月頃,IPO証券から原告が反社会的勢力と認定され,このままでは上場の障害となるとの指摘を受けていることを伝え,AとB,原告は,同月から平成19年1月にかけて複数回にわたって協議をし,Aからは,80株全部の返金あるいは買取りを数度にわたって依頼し,これに対して原告は,当初は拒絶していたものの,最終的には原告の提案により60株をAが,20株をBが買い取ることとした上で原告の了承を得,その際,出資の際の金額が1株5万円であったことから,Aが300万円,Bが100万円を原告に支払うことになり,前記前提事実(第2の1(5))のとおりの支払がされた。その後,平成27年4月に原告が被告及びAに対し原告が株主であるとの書面を出すに至るまで(第2の1(9))原告が被告の株主としての地位を主張したり権利行使をしたことはなかった。(甲20,22,乙13,証人B,原告,被告代表者)
(5)  平成19年2月6日の取締役3名,監査役2名全員が出席した被告の定例取締役会において,原告が保有する被告の株式をAとBに譲渡することについて承認する旨の決議がされた。Aへの譲渡については特別の利害関係を有するAを除いて承認決議が可決された。Cから書類は残らない方がいい旨の発言があったことから,株式の譲渡についての書面は作成せず,譲渡承認決議についても議事録は作成しなかった。(乙13,被告代表者)
2(1)  前記認定事実(1(4),(5))及び前提事実(第2の1(5))によれば,原告は,Aに対し,平成19年2月,保有していた被告の株式80株のうち60株を300万円で,Bに対し残りの20株を100万円で譲渡し,当該譲渡は被告との関係でも効力を生じたものと認めるのが相当である。
(2)  この点に関して,原告は,主幹事証券会社の要求に応えるために形式的に株式の名義をA及びBに変えただけであり,実質的には原告が株式を保有し続けていたのであって400万円はその謝礼である,原告は被告の株式を手放すことは考えておらず上場による利益享受を望んでいたなどと主張し,おおむねこれに沿うB,原告の陳述書(甲20,22)や供述が存在する。
しかし,反社会的勢力との関係が指摘され,上場の障害となるとされた人物に実質的には株主として残るが形式的に名義を変更し,その謝礼として会社の代表取締役である人物が金銭を供与するといった対応では反社会的勢力と関係が疑われる人物との関係が解消されず上場の際の障害が依然として残り,原告も期待していた上場がままならないことに変わりはなく,仮にこのような形式を整えることによって上場が果たせたとしても,後々このような扱いが顕在化すれば,その扱いを巡ってより大きな問題が生じかねないことからすれば,会社がこのような対処をするとは考え難いこと,名義の変更先をA一人ではなくAとBに分散することは原告の提案であったにもかかわらず,Bの出えんにより謝礼を支払う理由はないこと,平成21年9月にBがAに被告の株式20株を譲渡した旨の売買契約書が存在するところ(第2の1(7)),これは平成19年2月の原告からBへの20株の譲渡があったことを前提とするものと考えられることなどを踏まえれば,採用できない。
この点,原告は,B,A及び原告は,証券会社の疑義が不当なものであることを十分に承知していたために,原告の株式保有が株式上場の障害となることはなく,当面証券会社に言い逃れができその場がしのげれば事の解決には十分であると考えて形だけの名義変更という扱いに至ったのであり,主幹事証券会社の原告に対する間違った認識が払拭されるか上場が実現するまでの暫定的な措置であった,また,平成21年9月のBからAへの被告の株式20株の譲渡はB名義で有していた原告の株式の譲渡であるなどと主張する。
しかし,平成18年当時は,反社会的勢力の証券市場への介入が問題とされ,金融庁,警察庁,東京証券取引所等によって証券保安連絡会が設置されるなど(乙10),反社会的勢力の排除に関する自己規律や監督のより一層の強化が図られていた時期であると考えられ,当面その場がしのげれば事の解決に十分であるというのが三者の共通認識であった旨の主張は直ちに疎信し難いこと,仮に形式的な名義書換えだとした場合に,名義変更を行ったにもかかわらずその期間や配当金の処理,議決権の行使方法等について具体的な合意をした形跡はうかがわれず,原告は,その後平成27年に上場が確実となった時期に突如として株主として扱われていないことに驚愕している旨の書面を被告やAに送るまで(第2の1(9))何ら株主としての権利主張をしてこなかったこと,平成21年9月の株式の譲渡に関しては原告が株主であるならば原告とAが直接やり取りをするのが自然であると考えられるところAはBとしか売買の話はしておらず,原告とAは直接やり取りをしていないこと(原告,被告代表者),原告及びBは陳述書(甲20,22)あるいは尋問において,Bは同月30日Bの預金口座にAから振り込まれた400万円を即日引き出して現金を原告に交付した旨述べるが,この点についてもその裏付けとなる適確な証拠がないことに照らし,採用できない。
(3)  原告は,仮に原告からA及びBに株式が譲渡されているとすれば,株式譲渡証や,株式譲渡承認書の交付があるはずであるが,これらがないことは譲渡がなかったことの証左である旨主張する。
しかし,通常は上記のような書類が作成されるものであるとしても,本件において反社チェックに該当した人物が株主であった痕跡を残したくないという配慮の下,その当否は別として書類を残さないようにとのIPO証券担当者のCからの指摘があったことは前記1(3)に認定したとおりであり(なお,原告は形式的な名義貸しであったとする前提に立ちつつも,その際書面を作成して取り決めをしなかったのはAが文書を作りたくないと言ったからであると供述しており,前提を異にするものの,書類はAの要望によりあえて作成しなかったこと自体は認めている。),このことからすれば,上記書類が作成されていないことが要式行為ではない株式の譲渡の不存在を示すものとはいえない。
またなお,原告が被告の代表者であるAとの協議を踏まえて株式の譲渡に至っていることからすれば,譲渡への同意は合わせて被告への譲渡承認請求の趣旨も含むものと見るのが相当である。
(4)  原告は,主幹事証券会社からの指摘を受けて原告,A及びBが対応を協議していた当時,被告の株式の価格が1株250万円であることが前提となっており,1株5万円で売買契約を締結するはずがないとも主張する。
この点,当時,Bの株式について1株250万円で第3者に売却するという話が出ていることが三者間の共通認識であったとしても,原告の保有株式に関するやり取りは,原告が反社チェックに該当したことから,株式取得から日が浅く,原告が出資した金額を返金することで原告を株主でなかったことにしたいという意図に端を発するもので(証人C,被告代表者),そのような取扱いが不可能であることはいうまでもないものの,そのいきさつからすれば出資相当額を対価とするというのも十分合理性が認められ,三者間のやり取りの詳細は必ずしも明らかでないものの協議の上で出資相当額である1株5万円を対価とするに至ったと見るのが相当であり,Bの第三者に対する被告の株式の売却の事例と同列に論ずることはできない。
なお,Bは,BとAが原告に支払った合計400万円(1株当たり5万円)は謝礼であることを前提に,当時1株250万円という被告の株式の価格を前提にすると80株で総額2億円となるところ,不動産取引の手数料を参考にその2%くらいと計算したらたまたま400万円になり,これを自分が提案した旨を述べるが,原告との株式を巡るやり取りにおける支払額の根拠の説明としては不自然であることやAがこれを否定していることに照らし,採用できない。
(5)  原告は,Bは自身が保有する被告の株式を平成19年9月に1億5000万円でベンチャーキャピタル3社に売却しており,被告の株式を処分しようとしていたBが原告から改めて被告の株式を購入するはずもないし,もし原告がBに20株を譲渡していたとすれば,このとき同時に売却するのがBの最大の利益になるにもかかわらず,Aは60株の売却の話のみまとめてきており,このことは,AがB名義の20株の株主は実際には原告であったことを認識していたということである旨を主張する。
この点,Aは,平成19年9月に60株の売却の話のみをまとめた理由について分からないなどと述べるのみであるが,証拠(甲20,証人B)によれば,Bは,平成18年当時,保有する被告の株式(平成18年12月当時で80株)について,売却益が得られるのであれば,売却してもよいと考えAに売却先との交渉を依頼していたものと認められ,そのことからすれば,その後の詳細な経緯は明らかでないものの,Aは従前Bが保有していた株式数(合計80株)の売却を前提として売却先との交渉を行い,これが平成19年2月の20株の売却と同年9月の60株の売却となったとも考えられること,Bが自身が元々保有していた株式の処分を検討する一方で,別途原告が保有していた株式を取得することが,原告の株式保有が上場の障害になるとしてその対処が問題となっていた当時の状況を踏まえればあり得ない状況ともいえないことからすれば,Aが同年9月にまとめてきた譲渡の株式数が60株であることが,AがBが平成19年2月に原告から取得した20株は実際には原告の保有する株式であったと認識していたことを基礎付ける事情となるとはいえない。
(6)  その他原告がるる主張するところは,いずれも平成19年2月に原告が保有する被告の株式80株全てを譲渡したとの前記認定を左右するに至らない。
第4  結論
以上のとおりであり,原告は,平成19年2月にはその保有していた被告の株式80株を全て譲渡しているから,その余の点を検討するまでもなく原告の請求には理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第8部
(裁判官 目代真理)

 

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