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「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(9)平成30年 8月 9日 東京地裁 平30(ワ)1182号 損害賠償等請求事件

「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(9)平成30年 8月 9日 東京地裁 平30(ワ)1182号 損害賠償等請求事件

裁判年月日  平成30年 8月 9日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平30(ワ)1182号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA08098002

裁判年月日  平成30年 8月 9日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平30(ワ)1182号
事件名  損害賠償等請求事件
文献番号  2018WLJPCA08098002

東京都昭島市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 永塚弘毅
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
同代表者代表取締役 A

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,11万円及びこれに対する平成28年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを8分し,その7を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告に対し,35万8902円及びこれに対する平成28年11月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告に対し,55万円及びこれに対する平成28年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,①原告は,保険募集業務を営む被告との間で,平成28年4月1日,原告を被告の保険募集人として雇用する旨の契約(以下「本件契約」という。)を締結した,②原告は,被告に雇用される前は,保険募集業務を営むa株式会社(以下「a社」という。)で雇用されており,被告に雇用されるのに伴って,原告がa社で行っていた保険のパンフレットや設計書の作成を被告においてもできるようにするための移行手続(以下「本件移行手続」という。)をしたが,通常であれば1か月で終了する移行手続が同年8月5日まで要したため,保険募集人としての業務を行うことができなかった,③被告は,原告に対し,同月18日,保険募集人としての募集活動を停止する旨の命令(以下「本件停止命令」という。)を発し,同月29日,本件契約を解除する旨の通知(以下「本件解除通知」という。)をし,原告の募集人の登録を抹消した(以下「本件登録抹消」という。),④被告は,原告の顧客に対し,同年9月頃,原告が同年8月末をもって退職し,以後は被告が対応する旨の通知(以下「本件退職通知」という。)をした,⑤本件移行手続の遅れは,本件契約上円滑な移行手続を行うべき付随義務に違反するものとして違法であり,本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消は,同月18日以降に行うことができた保険の募集人の仕事をできなくするものとして違法である,⑥本件退職通知は,原告が顧客との間で築いてきた信頼関係を毀損するとともに,原告の顧客を介しての新たな顧客の獲得可能性を奪うものとして,原告に対する不法行為に当たる,⑦〈ア〉本件移行手続の遅れによって原告が被った損害は,7万0592円であり,〈イ〉本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消によって原告が被った損害は,25万5683円であり,〈ウ〉本件退職通知によって原告が被った損害は,50万円を下らず,〈エ〉上記〈ア〉及び〈イ〉と相当因果関係のある弁護士費用が3万2627円,〈オ〉上記〈ウ〉と相当因果関係のある弁護士費用が5万円であると主張して,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,上記〈ア〉,〈イ〉及び〈エ〉の合計35万8902円及びこれに対する同年11月3日(不法行為の後の日)から,上記〈ウ〉及び〈オ〉の合計55万円及びこれに対する同年10月1日(不法行為の後の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,証拠(認定事実の末尾に付記する。)及び弁論の全趣旨によって容易に認定することができる事実)
(1)  原告は,保険募集業務を営む被告との間で,平成28年4月1日,原告を被告の生命保険募集人として雇用する旨の本件契約を締結した。(争いのない事実)
(2)  原告は,被告に雇用される前は,保険募集業務を営むa社で雇用されていた。(争いのない事実)
(3)  被告は,原告に対し,平成28年8月18日,同月19日午前零時をもって被告就業規則3条(2)に基づき6か月を超えない範囲で保険募集人としての募集活動を停止する旨の本件停止命令を発し,同月29日,本件契約を解除する旨の本件解除通知をし,本件登録抹消をした。(争いのない事実)
(4)  被告は,原告の顧客に対し,平成28年9月頃,「このたび平成28年8月末日をもちまして弊社を円満退職いたしました原告の後任として,お客様を担当させていただきますA(A)でございます。今後,お客様のご契約につきましては,私が真心を込めてお取り扱いさせていただきますので,今まで同様にご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。」と記載した書面を送付して,本件退職通知をした。(争いのない事実,甲6)
3  争点
(1)  本件移行手続の遅れの違法性の有無
ア 原告の主張
被告に雇用されるのに伴い,原告がa社で行っていた保険のパンフレットや設計書の作成を被告においてもできるようにするための本件移行手続は,通常であれば1か月で終了し,遅くとも平成28年4月30日までには終えることができたのに,同年8月5日まで要したため,保険募集人としての業務を行うことができなかった。本件移行手続の遅れは,本件契約上円滑な移行手続を行うべき付随義務に違反するものとして違法である。
イ 被告の主張
否認する。b生命保険株式会社(以下「b生命」という。)は,平成28年5月下旬にはシステムの利用が可能になっている。c生命保険株式会社(以下「c生命」という。)の手続は遅れたが,これは,生命保険募集人登録だけをするのが同社にとってイレギュラーであったためであり,それ以外の手続が遅れたということはない。
(2)  本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消の違法性の有無
ア 原告の主張
原告は,被告からb生命の新商品のダイレクトメールの送付を強く求められた。しかし,原告は,中立的な立場で各保険会社の保険プランを顧客に提示し,顧客の要望に沿う適切な保険契約を締結するという保険勧誘手法を採っており,特定の保険会社の保険プランを提案することは,上記手法に対する信頼性を害することになるので,被告の求めを断ったところ,被告からb生命の代理店契約が打ち切られてしまうとして,ダイレクトメールの送付を原告に強要してきた。そこで,後記イの書き込みをしたのである。
後記イの書き込みは,被告の名称が記載されず,被告を特定できる事実の記載もないから,被告に対するひぼう中傷には当たらない。仮に,ひぼう中傷に当たるとしても,被告は,原告に対し,新商品のDMの送付依頼を断れば,b生命の代理店契約はなくなると事実に反することを告げたのであり,被告は,保険代理店として多くの保険契約者に関わるものとして公的な存在であるから,後記イの書き込みによって原告が被告に対し何らかの法的義務を負うことはない。
自主点検は,原告が自主的に行うものであり,原告が管理する顧客は原告が勤務していた前の会社から被告に移管されたもので,多摩エリア支店も原告の自宅であり,顧客の管理は原告と被告代表者が別々に行っていたから,原告の自主点検に被告が立ち会う必要はなく,原告が自主点検に立ち会う旨の被告の求めに応じなかったからといって,原告が自主点検を拒否したとはいえない。したがって,原告が被告から本件停止処分を受ける理由はない。
被告は,懲戒解雇として本件契約を解除したが,懲戒事由がなく,仮にそれがあったとしても,弁明の機会を与えていない点において,社会通念上相当性が認められないので,労働契約法15条に反して無効である。
そうすると,原告には被告から本件解除通知を受ける理由はなく,無効な本件契約の解除を理由とする本件登録抹消は,原告の生命保険募集人としての活動を不可能にするものとして違法である。
イ 被告の主張
原告は,平成28年8月18日,WEBサイト上に「被告から原告のb生命の既契約者に対し新商品のDMを送付したいとの依頼を断ったら,b生命の代理店契約はなくなると言われた,これは,コンプラ違反ではないか」と書き込み,もって保険会社及び被告に対するひぼう中傷を誘発したため,被告は,書き込みの理由及びひぼう中傷を誘発した経緯を把握する必要があると考えた。
また,被告は,原告がa社で扱っていた生命保険会社が10社であったのに対し,被告で扱っている生命保険会社が4社であり,残りの6社についても多数の契約がある旨の話を原告から聞いており,かねてから,原告が6社の保険契約者の個人情報を保有していることを疑問視していたので,同月3日,ラインで原告にその点を問い合わせた。
被告は,原告に対し,同月18日,同年9月6日の打合せ,同年10月中の多摩エリアの自主点検を提案したが,原告は,これを拒否した。被告は,原告が保険代理店主である被告の指揮命令に背き,このままでは原告に対し営業所としての管理が及ばず,保険代理店主として責任を負うことが困難であり,原告による募集活動を禁じる必要があると判断し,原告に対し,同年8月18日,本件停止命令を発した。その後も,被告は,原告に対し,打合せ及び自主点検を再考するよう呼び掛けたが,原告は,これを全て無視し,同月28日には原告のWEBサイト中の原告のプロフィール欄から勤務先として被告の名称が消えていた。これを見た被告は,原告が被告を一方的に退職したのも同然と考え,原告を解雇して募集人登録を抹消することを決め,原告に対し,同月29日,本件解除通知を発し,本件登録抹消をした。本件停止命令は,社内規定に基づく募集停止にすぎず,原告が顧客等に接することは可能であり,原告は,被告を解雇され生命保険募集人の登録を抹消されても,原告自らが保険代理店として活動することは可能であった。
(3)  本件退職通知の違法性の有無
ア 原告の主張
本件退職通知は,原告が顧客との間で築いてきた信頼関係を毀損するものであり,仮にそうでないとしても,原告の顧客を介しての新たな顧客の獲得可能性を奪うものとして,原告に対する不法行為に当たる。
イ 被告の主張
否認ないし争う。
(4)  原告の損害
ア 原告の主張
(ア) 本件移行手続の遅れによって原告が被った損害は,平成28年5月1日から同年8月29日までの収入減として,8万3853円(=25万5683円(平成27年度の保険募集人としての原告の収入)÷12月×(3月+29日÷31日))から既払金を控除した残額7万0592円である。
(イ) 本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消によって原告が被った逸失利益は,1年分の収入に相当し,その額は,25万5683円である。
(ウ) 本件退職通知によって原告が被った損害は,50万円を下らない。
(エ) 本件移行手続の遅れ並びに本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消と相当因果関係のある弁護士費用は,3万2627円である。
(オ) 本件退職通知と相当因果関係のある弁護士費用は,5万円である。
イ 被告の主張
否認ないし争う。原告が勤務していたa社が扱っていた生命保険会社は10社であるのに対し,被告が扱っている生命保険会社は4社にすぎず,被告では収入の減少は避けられない。
第3  当裁判所の判断
1  争点(1)(本件移行手続の遅れの違法性の有無)
(1)  認定事実
証拠(認定事実の末尾に付記する。ただし,次の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 原告が平成28年4月1日に被告に雇用されたことに伴う保険募集人の登録は,同年5月13日には完了した。被告は,原告に対し,同月23日,①被告が取り扱っているc生命,d生命相互保険会社(以下「d生命」という。),e生命株式会社(以下「e生命」という。)及びb生命の生命保険に係る募集ソフトのインストールが可能であること,②原告のデータが回っていたb生命を除くその余の3社の連絡先を伝えた。(甲1,乙1)
イ 被告は,原告に対し,平成28年5月28日,b生命の○○接続手順書,ユーザーID/パスワード等を送付した。これにより,原告は,b生命のシステムの利用が可能となった。(弁論の全趣旨(被告平成29年9月14日受付準備書面資料18))
ウ しかし,原告は,c生命の利用登録が遅れ,平成28年6月6日になっても,c生命のシステムが利用できなかった。これは,c生命では,生命保険募集人の登録と損害保険募集人の登録とをセットで行うのが通常で,生命保険募集人の登録だけを行うのがイレギュラーであったために登録が遅れたことによるもので,被告の責任ではなかった。(乙59,弁論の全趣旨(答弁書別紙14ページ,被告平成29年9月14日受付準備書面資料11))
エ 上記ウの結果,原告が,被告の扱っている生命保険の全てについて,a社で行っていたのと同じように保険のパンフレットや設計書の作成することができるようになったのは,平成28年8月5日であった。(甲3,35,弁論の全趣旨)
(2)  判断
上記(1)によると,本件移行手続が平成28年8月5日まで要したのが被告の責任であると認めることはできない。
3  争点(2)(本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消の違法性の有無)
(1)  認定事実
前提事実のほか,証拠(認定事実の末尾に付記する。ただし,次の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
ア 原告と被告は,平成28年4月1日,原告を被告の生命保険募集人として雇用する旨の本件契約を締結した。原告は,被告に雇用される前は,保険募集業務を営むa社で雇用されており,a社から被告に移るに当たって,a社において生命保険募集人として担当していた保険契約者を被告に移管した。(前提事実(1)及び(2),甲34,35)
イ 原告は,被告に勤務する以前から,中立的な立場で各保険会社の保険プランを顧客に提示し,顧客の要望に沿う適切な保険契約を締結するという保険勧誘手法を採っていた。(甲34,35,弁論の全趣旨)
ウ 原告は,平成28年8月3日,ライン上において,被告代表者から尋ねられて,原告が扱っている生命保険及び損害保険の個人情報の取扱いについて答えた。(甲28)
エ 平成28年8月6日,ライン上において,被告代表者が,原告に対し,b生命の既契約者に対し新商品を提案してはどうかと申し出たところ,原告は,被告代表者に対し,一部の会社だけ提案することはできないと述べて,被告代表者の申出を断った。(甲3,乙50)
オ 平成28年8月18日,ライン上において,被告代表者が,原告に対し,b生命の既契約者に対しb生命から給与サポート保険のダイレクトメールを送付して良いかを尋ねたところ,原告は,「困ります。解約されますよ。そのような勝手なことをされるなら仕事を組んではできません。」と述べて,ダイレクトメールの送付を拒否した。被告代表者は,「元々,組んでいるという意識はありませんが。b生命の代理店契約は無くなりますので,ご了承ください。」と述べ,原告は,「了解しました。私の方へ返してください。」と答えたので,被告代表者が,「b生命は成績が未達だと,代理店業務契約を切られます。」と述べたところ,原告は,「了解です。」と答えた。しばらくしてから,被告代表者は,原告に対し,打合せ及び自主点検の実施を求めたところ,原告は,「もうお会いする必要はないと思います。」と答えたため,被告代表者は,原告が打合せ及び自主点検を拒否したことを理由に,「平成28年8月19日午前零時を以て原告に付きましては,被告就業規則第3条(2)に基づき,『6か月を超えない範囲で募集活動の停止』とします。よって,処分が解かれるまでの間,事情の如何に関わらず,被告顧客との接触および被告契約者の個人事情の利用を禁じます。また,被告と代理店業務委託契約のある保険会社との接触を禁じます。同じく,被告と代理店業務委託契約のある保険会社のシステム(オンラインおよびオフライン共に)の利用を一切禁じます。」と述べて,本件停止命令を発した。(甲4)
カ 原告は,平成28年8月18日,WEBサイトにおいて,「会社から私のb生命の既契約者に新商品のDM送付依頼を断ったらb生命の代理店契約はなくなりますだって。こんなのコンプラ違反じゃないの!!」と書き込み,何人がコメント欄に原告を応援する内容のコメントを書き込んだ。(乙43)
キ ライン上において,被告代表者は,原告に対し,平成28年8月19日,「打ち合わせおよび自主点検に応じて頂ければ,『募集活動の停止』を解除します。ご検討ください。」と述べ,同月22日,「8月19日以後の『募集活動停止』に付き,以後,休職扱いとします。休職期間中は無給とします。」と述べ,同月25日,「重ねてのご連絡です。10月中に代理店自主点検をいたします。日程の調整をさせて頂きたい。」と述べたが,原告からは一切の応答がなかったため,同日,「被告の今後の行動について予告します。1.『多摩エリア支店の顧客』の本店への移管。2.多摩エリア支店の廃止。以上です。」と述べたが,原告からは一切の応答がなかったため,同日,「短い間でしたが,ありがとうございました。募集人登録を抹消いたしました。お客様は被告で,責任を以てフォロー致しますので,どうぞ,ご安心ください。」と述べて,本件解除通知及び本件登録抹消をした。(前提事実(3),甲4)
ク 被告は,原告の顧客に対し,平成28年9月頃,本件退職通知をした。(前提事実(4))
(2)  判断
原告と被告は,平成28年4月1日,原告を被告の生命保険募集人として雇用する旨の本件契約を締結した(上記(1)ア)から,原告は,被告の指揮命令を受けるべき地位にあったということができる。
しかし,①〈ア〉被告が原告に対し提案したのは,原告がa社から被告に移管した保険契約者に対しb生命の新商品を提案することであったこと(上記(1)エ及びオ),〈イ〉原告とa社から被告に移管した保険契約者との間には一定の信頼関係が存在することがうかがわれること(甲34,35,乙43),〈ウ〉原告は,被告に勤務する以前から,中立的な立場で各保険会社の保険プランを顧客に提示し,顧客の要望に沿う適切な保険契約を締結するという保険勧誘手法を採っていたこと(上記(1)イ)に鑑みると,原告が上記〈ア〉の被告の提案を拒否したことにも無理からぬ点があったものということができ,仮に,被告が主張するとおり,b生命の新商品が長期にわたる就業不能を保障する商品で,他の生命保険会社がいまだ販売したことがない商品であったとしても,顧客からの要望もないのに,原告からb生命の新商品を提案することは,原告の保険勧誘手法からすると,行い難かったものと考えられること,②それにもかかわらず,被告は,上記①〈ア〉の提案をしないと,b生命との代理店契約が解除されると述べて,その再考を求め,原告がこれに応じないと,被告は,打合せ及び自主点検の実施を求め,原告が「もうお会いする必要はないと思います。」と答えると,被告は,本件停止命令を発したが,被告の陳述書における供述(乙67)も勘案すると,これは,被告の指揮命令に応じようとしない原告が,被告との契約関係を解消して,生命保険募集人として他の保険代理店に移籍する態度を示したことに腹を立てて執った措置であると考えられること,③被告は,〈ア〉原告がWEBサイト上において被告が再考を求めたことを投稿し,〈イ〉その後も,被告が原告に対しライン上において何度も呼び掛けたにもかかわらず,原告がこれに応じない(上記(1)カ及びキ)ことに腹を立てて,本件解除通知したものと考えられることを総合考慮すると,本件解除通知は,合理的な理由を欠くものとして違法であると認めるのが相当である。
また,上記(1)キによると,本件登録抹消は,本件解除通知を前提とする措置であると認められるから,本件登録抹消も,その前提を欠いている点において違法であると認めるのが相当である。
(3)  これに対し,被告は,①原告がWEBサイトに被告をひぼう中傷する書き込みをしたから,書き込みの理由及びひぼう中傷を誘発した経緯を把握する必要があった,②被告は,かねてから原告が6社の保険契約書の個人情報を保有していることを疑問視していた,③そこで,打合せ及び自主点検を求めたが,これに応じなかったことなどから,本件停止命令を発し,本件解除通知を発し,本件登録抹消をした旨を主張する。
しかし,上記(1)によると,原告がWEBサイトに上記(1)カの書き込みをしたのは,被告代表者の提案及びその後の対応に憤慨したからであって,上記(1)カの書き込みをした理由及び経緯は,被告にとっても自明のことであり,これを把握するために打合せを行う必要があったとは認められない。
また,被告代表者は,平成28年8月3日,原告が扱っている生命保険及び損害保険の個人情報の取扱いについて確認しており(上記(1)ウ),重ねて自主点検をする必要があったことを認めるに足りる的確な証拠はない。
そうすると,被告代表者が,原告に対して求めた打合せ及び自主点検に原告が応じないことを理由に,本件停止命令や本件解除通知を発し,本件登録抹消をしたと認めることはできない。被告の主張は,採用することができない。
(4)  以上によると,本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消は,いずれも違法である。
4  争点(3)(本件退職通知の違法性の有無)
上記3(1)によると,本件退職通知は,本件解除通知を前提とする措置であると認められるが,本件解除通知は違法である(上記3(2))から,本件退職通知も,その前提を欠いている点において違法である。
5  争点(4)(原告の損害)
(1)  原告は,本件停止命令,本件解除通知及び本件登録抹消によって原告が被った逸失利益は,1年分の収入25万5683円に相当すると主張する。
しかし,原告が被告において扱うことができる生命保険会社は,原告がa社において扱っていた生命保険会社よりも少ない(甲1,弁論の全趣旨)から,原告が被告において1年間稼働すれば,a社における1年分の収入と同額の収入を上げることができたと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はないから,これを認めることはできない。
そして,本件全証拠を精査しても,原告が被告において1年間稼働すれば得ることができた収入が幾らであるかを明らかにすることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,原告の逸失利益を認めることはできない。
(2)  本件解除通知が違法であるにもかかわらず,被告が本件退職通知をしたことによって,原告は,精神的苦痛を被ったと認めるのが相当であり,その額は,10万円を下らない。弁護士費用1万円は,これと相当因果関係のある損害と認められる。
6  結論
以上によると,原告の請求は,本件退職通知による慰謝料として11万円及びこれに対する平成28年10月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから,その限度においてこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第10部
(裁判官 鈴木正紀)

 

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